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生石灰で改良した浚渫土の海洋生物への影響に関する基礎的研究

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Academic year: 2022

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生石灰で改良した浚渫土の海洋生物への影響に関する基礎的研究

長崎大学大学院 正会員 後藤惠之輔 長崎大学工学部 正会員 大野 博之 長崎大学大学院 学生会員 ○入江 和敏 長崎大学水産学部 非会員 山口 恭弘 (財)日本環境衛生センター 非会員 平岡 誠

1.はじめに

近年,海洋汚染の問題がクローズアップされるようになってきた.そうした中で,陸域起源の汚染や廃棄物 等の海洋投棄処分による汚染を対象とした調査などが行われ,海洋の重金属・有機化合物・ダイオキシン類・

炭化水素の汚染状況を日本近海で把握しようとしている.一方,近年,海や湖沼の底泥の浚渫土を建設材料な どとして有効利用しようとする傾向が顕著になってきている.浚渫土は,泥状で高含水であるため強度が低く,

生石灰などで処理することで強度を高めて建設材料(堤防材料など)として利用される.底質を浚渫することは,

そこにある汚染物質(重金属をはじめ富栄養化の要因となる窒素・リンなど)を除去することにつながるが,こ の浚渫土の後処理・処分が問題となるので,適切な処理をして建設材料などとして有効に利用しようというわ けである.しかし,この浚渫土等が材料として使われる時に環境にどのような負荷が掛かるのかは未だ十分に 把握されていない.

石灰は,一般には,地盤改良材として用いられるが,それだけでなく,水質浄化の機能も併せ持つ.特に,

海洋への石灰散布は,閉鎖性海域においてしばしば問題となる富栄養化を防ぐ効果があるとされている.

石灰処理した浚渫土においては,アルカリ溶出や浚渫土に含まれるシリカ分の溶出も問題視されるようにな ってきた.こうした石灰処理による問題はこれまでいくつかの研究が見られるが,近年問題となっている水中 のダイオキシン類などの問題については検討されていない.また,付着性の生物を取り扱っているものが多く,

魚介類や海草・海藻などの水産物への影響を把握するまでには至っていない.こうした水産物への影響を改善 して,建設廃棄物の有効利用を図ることは循環型社会をつくる上で重要な項目の一つといえよう.そのために は,化学的・生物学的な観点から代表的な環境変化の形態を解明し,適切な対策法をつくり上げる必要がある.

大野他 1)は,浚渫土と生石灰の配合によりケイ素,すなわちシリカの溶出がある程度抑えられる可能性を示 した.

そこで,次の段階として,本研究では,生石灰で処理した浚渫土を,堤防用盛土材として利用した場合や水 底凹部の埋め戻し材として利用した場合などの海洋環境下における海洋生物への影響について検討した.

2.実験方法

約2m

筏 筏

ポ ッ ト 入 り バケット

海底 本実験は,生石灰処理した浚渫土を海水中に水

浸させたときの海洋生物への影響を把握すること を目的として実施した.本実験では,実際の海水 中に図-1に示すようなポット入りのバケットを3 つ投入し(写真-1),それぞれのポットに,砂のみ,

砂と生石灰処理した浚渫土を詰めた.それぞれの ポットには海洋生物としてアサリを5個ずつ生息 させた.生石灰の配合量については,0g/ℓ ,20 g/

ℓ ,40 g/ℓ ,80 g/ℓ の4種類とし,砂のみとあわせ て合計5種類の実験を行った.なお,この生石灰

海面

図-1 アサリへの影響に関する実験概要図 キーワード 石灰改良土,浚渫土,リサイクル材,海洋環境影響,アサリ

連絡先 〒852-8521 長崎県長崎市文教町 1-14 長崎大学工学部社会開発工学科 TEL095-819-2614 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-867- 5-434

(2)

バケット 3 バケット 2 バケット 1

配合量は,実際の現場で利用する浚渫土に配 合する量が1ℓ に付き 40g(1m3当り 40kg)で あることから,その半分と倍を設定したもの である.また,ここで,アサリの成長量は,

図-2に示すように,観測時点の殻長,殻高,

殻厚を計り,それらの海水投入前の大きさと 比較したときの体積変化(便宜上,直方体と仮 定)とした.なお,今回,観測期間は平成 17 年2月4日から3月2日である.

3.結果と考察

3つのバケット内のポットのアサリの1ヶ 月の成長量の平均を図-3に示す.

写真-1 各バケットの配置場所

断面図 殻高 殻厚

図に示すように,砂のみと生石灰配合20g/ℓ 殻長 の浚渫土がほぼ同じ成長量で,最も大きい.

実際の現場で利用される生石灰配合40 g/ℓの

場合は,20 g/ℓよりも成長量が減るものの,生

石灰を配合しない 0 g/ℓの浚渫土よりは成長 量が大きい.これに対して,生石灰配合量の

多い80 g/ℓの浚渫土は,むしろ配合していな

い場合よりも成長量が小さい.

平面図 以上のことから,現在,実際に配合されて

いる適度な生石灰配合量であれば,浚渫土そ のものよりもアサリの成長を促進させる可能 性があることが考えられる.

図-2 アサリの成長の計測部位

0.00000 0.00005 0.00010 0.00015 0.00020 0.00025 0.00030 0.00035 0.00040

砂のみ 0g/L 20 g/L 40 g/L 80 g/L 体積変化量(m3

図-3 アサリの成長の違い(1 ヶ月成長量)

一般に,浚渫土中には,重金属が含まれて いることが多い.アサリの成長は,こうした 重金属により成長を阻害される可能性があり,

1m3当り40kgの生石灰の配合は,こうした阻

害要因を除去している可能性も考えられる.

こうしたことは,浚渫土の有効利用の上で,

生石灰を適度に配合することが,生物への悪 影響を軽減させることが出来る可能性が考え られる.今後,この点についてはより詳細に 検討していく必要がある.

4.おわりに

本研究では,生石灰で処理した浚渫土を,堤防用盛土材として利用した場合や水底凹部の埋め戻し材として 利用した場合などの海洋環境下における生物への影響について検討した.その結果,適度な生石灰の配合は,

海洋生物であるアサリの成長を,浚渫土そのものよりも促進するかもしれない可能性があることが示唆された.

なお,日本石灰協会より石灰等の試料の提供をしていただいた.ここに感謝の意を表する.

参考文献

1) 大野博之,後藤惠之輔,小島敦,宗清生(2004):石灰で改良した浚渫土の海洋の化学的環境変化の検討,

平成16年度全国大会第59回年次学術講演会要旨集

土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-868- 5-434

参照

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委員長(副会長) 高橋基樹 神戸大学大学院・国際協力研究科 委員(会長) 西川潤 早稲田大学名誉教授.

長崎大学工学部 ILEM 正会員 ○上阪 康雄, 株式会社ドーユー大地 伊川 嘉昭 西日本高速道路株式会社 正会員 福永 靖雄, 九州大学大学院工学研究院 フェロー

神戸大学大学院 正会員 ○橋本国太郎 大阪市立大学大学院 正会員 山口 隆司 日鉄住金ボルテン(株) 正会員 吉見 正頼 TONE(株) 正会員 平尾

東北大学工学部  学生員  ○岡田清宏      東北大学大学院  正  員    今村文彦 東北大学理学部      篠崎鉄哉      東北大学大学院  正  員    越村俊一 東北大学大学院     

(株)コムスエンジニアリング 正会員 ○土屋 智史 東京大学大学院 正会員 本庄 勇治 東京大学大学院 正会員 石原

山口大学大学院 学生会員 ○平野 正幸 五洋建設株式会社 正会員 前田 智之・本間 宏記 岐阜工業株式会社 正会員 稲川 雪久 山口大学大学院 正会員

徳島大学大学院 学生会員 ○井上 真尋 徳島大学 正会員 野田 稔 徳島大学 正会員 長尾 文明 徳島大学 正会員 宗田