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遠隔微気象モニタリングシステムによる樺島大橋の局所的気象調査

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Academic year: 2022

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(1)

遠隔微気象モニタリングシステムによる樺島大橋の局所的気象調査

長崎大学工学部  学生会員  ○関  重樹  長崎大学工学部  正会員      奥松俊博   長崎県土木部    正会員      中  忠資  長崎大学工学部  フェロー    岡林隆敏 長崎大学大学院  学生会員    下妻達也  長崎大学工学部  非会員      永田正美 1.はじめに   

  高濃度塩分環境にある海洋架橋の維持管理においては飛来塩 分などの気象環境に基づく腐食環境を正しく評価することが重 要である1).特に,通常雨に洗われない桁下空間における錆発生 は著しく,維持管理のための詳細な環境計測が必要である.既 報2)において長崎半島の最南端に架設されている樺島大橋の桁 上下空間の環境を微気象観測から評価したが,本研究では,樺 島大橋の架設方角および地形的特色を鑑み,地域の大局的な風 向・風速と樺島大橋周辺の局所的な風向・風速について比較を 行った.その結果得られた知見について報告する.

2.樺島大橋の架設環境 

対象橋梁は,長崎半島の最南端部に位置する樺島と長崎市野 母崎町をつなぐ樺島大橋で,橋長227m,幅員7.5m,最大支間 152mの昭和61年に完成した鋼ランガー桁の道路橋である.仮 設後20年以上が経過しており,海からの潮風などの影響で桁下 部の部材の接合部,ボルト,検査路などに多くの腐食が確認で きる.また,樺島大橋は橋軸直角方向である北東と南西の海洋 方向に開けて架設されており,この方向からの風はより高濃度 な飛来塩分を含むと考えられる.その結果,桁下空間への塩分 付着が顕著になると考えられる.樺島大橋の外観を図-1に,樺 島大橋と長崎市野母崎町に設置されているアメダス観測地点と の位置関係,樺島大橋架設方向,地理的状況を図-2に示す.

3.遠隔気象モニタリングシステムの概要 

  本システムは,計測者が直接現場を訪れることなく橋梁周辺 の気象環境を知ることが出来るよう,現場に設置するサーバPC と管理事務所に設置するクライアント PC 間に携帯電話を用い たデータ通信ネットワークを構築し,遠隔モニタリングを実現 している.サーバ PC は現場の気象環境を計測し,データを通 信機器より送信する.クライアント PC は送られてきたデータ を受信して結果を表示する.本システムの計測プログラムは仮 想計測器ソフトウェア LabVIEWにより作成した.システムの 概要を図-3に示す.気象観測システムの設置箇所は図-4に示 すように橋梁桁上部と桁下部の 2 箇所とした.計測装置は検査 路上に固定設置した.本システムの構成機器を表-1に示す.大 局的な風向・風速との比較を行うため,対象橋梁から西へ約4 kmの距離にあるアメダス観測点のデータを参照した.

図-1  樺島大橋外観

図-2  樺島大橋架設位置

図-3  遠隔モニタリングシステムの概要

橋長 22700

23775 23775 16 @ 9500 = 15200 25650

街灯

長崎側 樺島側

橋長 22700

23775 23775 16 @ 9500 = 15200 25650

街灯

長崎側桁上 樺島側

パソコン 桁下

気象観測システム パソコン 気象観測システム パソコン

図-4  システム設置状況 表-1  使用機器

機器名 型式 備考

ノートPC(サーバ) BTO(パソコン工房) PC(クライアント) BTO(パソコン工房)

風向:全方位,±5°以内 風速:3〜40m/s,±5% 以内 温度:-20 〜 +40℃,±0.5℃以内 湿度:0〜100℃,±5% 以内 シリアルポート USB-232/2(NI)

携帯電話 FOMA P851i(DoCoMo) 最大64Kbps,通信可能エリア内 気象観測システム WM-5201(光進電気工業)

サーバ PC(現場設置)      クライアント PC(管理事務所)  土木学会西部支部研究発表会 (2008.3) VI-012

-841-

(2)

4.微気象観測実験 

(1)計測概要 

計測は,桁上桁下それぞれの温湿度・風向・風速を5 秒 おきに測定し 5分毎にその平均値をとり,2 時間おきに結 果をクライアントPCに送信するという手順で行っている.

また本システムではデータの計測・送信・受信,結果の表 示・保存までの全ての工程を自動化している.図-5はクラ イアントPC上でのモニタリング画面である.

(2)実験結果 

  図-6は2007年7月の一ヶ月間の風向風速データをアメ ダスデータと比較したものである.桁下に流れ込む風は橋 梁主構やその他部材の影響で弱まり,気象観測システムの 起動風速(3m/s)を越えるデータが十分に得られなかった ためその風向データについては除外した.図より,アメダ スと桁上の風向には若干差が生じている事が分かる.図-7 は2007 年 7 月の一ヶ月間における風向の分布を示したも のである.アメダスでは北北西の風が多く観測されている

のに対し,樺島大橋桁上では西南西や東といった海峡方向の風が多いこ とが確認できる.図-8は図-6より特に風速の高かった13日〜15日の データを抽出したものである.13日〜14日にかけてはアメダス,桁上 とも同方向(東)の風を観測しているが,14日〜15日にかけては大局 的な風(北北西)に対し,桁上は西〜西南西の風向を示していることが 確認できる.この原因は,樺島大橋周辺の地形的環境によるものと推察 できる.橋軸直角方向の風が多くなると,塩分などが桁下に入ってくる 可能性が高くなり,腐食の要因になると考えられる.

5.まとめ 

  本研究を要約すると以下のようになる.

①仮想計測器ソフトウェアLabVIEWで移動体通信による 環境遠隔モニタリングシステムの開発を行い,遠隔地に 架設された橋梁の微気象を知ることを可能にした.

②橋梁周辺の地形と風向の関係を明確にするために,長期 的に橋梁の微気象環境を計測し,大局的なデータと比較 した.

今後は,飛来塩分計測を含め,橋梁の腐食環境と微気象 との関係を明らかにしていきたい.

なお,本報告で用いた地図は,「国土地理院発行の2万5千分の1地形図」を使用したものである.

【参考文献】

1)  中 忠資,岡林隆敏,奥松俊博:長崎県臨海部の道  路橋腐食環境評価のための飛来塩分特性調査,鋼構造年 次論文集第15巻,pp.597-602,2007.

2)  石橋直樹,岡林隆敏,下妻達也,中 忠資,奥松俊博:腐食環境解明のための遠隔モニタリングによる鋼橋マ イクロ微気象観測,平成18年度土木学会西部支部研究発表会  講演概要集,pp.125-126,2007.

a)風向・風速表示画面 b)時系列データ表示画面 図-5  計測プログラム

0 5 10 15 20 25 30

風速(m/s)

-70 0 -60 0 -50 0 -40 0 -30 0 -20 0 -10 0 0 100 200

風向

風向(アメダス)

風速(桁上)

風速(アメダス)

西

風向(桁上)

風速(桁下)

0 5 10 15 20 25 30

風速(m/s)

-70 0 -60 0 -50 0 -40 0 -30 0 -20 0 -10 0 0 100 200

風向

風向(アメダス)

風速(桁上)

風速(アメダス)

西

風向(桁上)

風速(桁下)

図-6  風向風速の変化(2007年7月)

7/1   7/11 7/21   7/31

0 200 400 600 800 1000 1200

北北東 北東

東北東

東南東 南東 南南東

南南西 南西 西南西

西 西北西

北西 北北西

アメダス 桁上

図-7  風向分布(2007年7月)

0 5 10 15 20 25 30

0 150 300 450

風速(m/s)

-700 -600 -500 -400 -300 -200 -100 0 100 200

風向

風向(アメダス)

風向(桁上)

風速(桁下)

風速(桁上)

風速(アメダス)

西

図-8  風向風速の変化(2007年7月13〜15日)

7/13 7/14 7/15

土木学会西部支部研究発表会 (2008.3) VI-012

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参照

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