博士(農学)西本 学位論文題名
ミツノヾチa ‑Glucosidase アイソザイムの 構造と 機能に 関する研究
学位論文内容の要旨
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ミツバチ(Apis mellifera L.)成虫には3種のa‑glucosidase (HBGI,IIおよびIII)が存在する。
こ れ ら の 酵 素 は 分 子 量 , 至 適pH,pHや 温度 安定 域な ど の一 般的 性質 のみ な らず 、基 質特 異 性 , 発 現 時 期 , 発 現 部 位 が 異な っ てい る。HBGIは基 質 の種 類に より 、正 お よび 負の 協同 性 を示 す アロ ステ リッ ク酵 素 であ り、 羽化 後、2,3日目に胃に相当する中 腸で発現する。HBGII は他の酵素が作用で きないsoluble starch,isomaltoseおよびglucose―l‑phosphateを加水分解 で き 、 幼 虫 か ら 成 虫 ま で 定 常的 に 発現 し、 血リ ンバ や 中腸 に存 在し てい る 。HBGIIIは羽 化 後 、20日 前 後 に 下 咽 頭 腺 で 発現 し 、基 質に 対す る親 和 カは 低い が分 子活 性 が高 いと ぃう 特 徴を 持 つハ チミ ツ生 成に 関 与す る酵 素で ある 。 本研 究で は、3種 のa―glucosidase遺 伝子 を ク ロ 一 二 ン グ し 、 そ れ ら が アミ ノ 酸一 次配 列や 染色 体 上で の遺 伝子 構造 の 異な るア イソ ザ イ ム で あ る こ と を 明 ら か に し た 。 ま た 、HBGIIお よ びHBGIII遺 伝 子 を 異 種 細 胞 で 発 現 さ せ、酵素作用に関わ るアミノ酸残基の解析を行 った。
(1)酵素遺伝子のクロー ニングと推定アミノ酸一次配 列
各 酵 素 の 一 次 構 造 を 推 定す るた め、 常法 に した がっ て精 製 酵素 の部 分ア ミノ 酸 配列 に基 づ ぃ た プ ラ イ マ ー を 合 成 し 、 ミ ツ バ チ 成 虫 か ら 調 製 し たcDNAラ イ ブ ラ リ ーお よ び5'RACE (rapid amplification of cDNA51end)法を用いてcDNAのクローニングを行った。Q−glucosidase はそ の一 次構 造 からfamilyI、お よびfamily IIに分類され、前者 はa−amylase familyの特徴 を 有 す る 。HBGI,IIお よ びIII cDNA塩 基配 列 から 予想 され る アミ ノ酸 配列 は各 ア イソ ザイ ム間 で約40ワ 。 の同 一性 が認 めら れ 、い ずれ もQ−amylase familyの特徴である4つの保存領 域を 持ち 、Q・glucosidase familyIに 属していた。これまでに解 析されている他起源の酵素と の 比 較 で は 蚊 や シ ョ ウ ジ ョ ウ バ ェ のa‑glucosidase homologueあ る い はSaccharomyces cerevisiae由来のQ−glucosidaseなどとそれぞれ30ワ 。前後の同一性を有していた。また、すで に立体構造が明らかになっ ているBacillus cereus由来oligo−1っ6−glucosidaseとの一次配列お よび 二次 構造 の 比較 によ り三 次構 造 の予 測を 行っ た結 果 、(B/a)8バレ ル 構造 のN−domain、 その 途中 に存 在 するsubdomain、B・sheet構 造のC・domainか らな ることが予測された。活性
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に必須な触媒残基はD212−E281―D343 (HBGI)、D202―E27l―D333 (HBGII)、D206ーE269―D329 (HBGIII)であると考えら れた。
(2) HBG遺伝 子の ゲノ ム にお ける 構造
キ イ ロ シ ョ ウ ジ ョ ウ バ ェ(Drosophila melanogastピ′ ) にお いて3つ のQ−glucosidase homologue遺 伝 子 が そ の ゲ ノ ム 上 で 並 ん で 存 在 す る こ と が報 告さ れて い る。 近年 、そ の 全 ゲ ノ ム 配 列 が 解 読 さ れ 、 そ の 他 に4つ のa‑glucosidase homologue遺伝 子 が並 んで 存在 し 、 計7つ のa‑glucosidase homologue遺 伝子 がゲ ノム 上 でク ラス ター 構造 を とっ てい るこ と が 明 ら か に な っ た 。HBG遺 伝 子 が ミ ッ バ チ ゲ ノ ム 上 で 同 様 なク ラス ター 構 造を とる 可能 性 お よ び 染 色 体 に お け る 遺 伝 子 の 構 造を 調べ るた め、 サ ザン 解析 およ びゲ ノ ミッ クラ イブ ラ リ ー か ら ク ロ ー ニ ン グ を 試 み 、 ゲ ノム 解析 を行 った 。 サザ ン解 析に より 、 各遺 伝子 がミ ツ バ チ ゲ ノ ム 上 で シ ン グ ル コ ピ ー で 存在 して いる こと が 示唆 され た。 また 、 約13 kbpのゲ ノ ム 配 列 を 解 析 し 、HBGI遺 伝 子 が8エ キ ソ ン7イ ン ト ロ ン で 構 成 さ れ て い る こ と 、 約3kbpの ゲ ノ ム 配 列 を 解 析 し 、HBGII遺 伝 子 に は イ ン ト 口 ン が 存 在し ない こと 、 約30 kbpのゲ ノ ム 配 列 を 解 析 し 、HBGIII遺 伝 子 が 少 な く と も6エ キ ソ ン5イ ン ト ロ ン で 構 成 さ れ て いる こ と を 明 ら か に し た 。 ま た 、 サ ザ ン 解 析 お よ びPCRの 結 果 か ら、3種 のa‑glucosidase遺伝 子 は ゲ ノ ム 遺 伝 子 構 造 の 異 な る ア イ ソザ イム であ り、 シ ョウ ジョ ウバ ェで 見 られ るよ うな ク ラ スタ ー構 造を と る可 能性 は低 い か、 ある いは 各遺 伝 子間 の距 離が 大き いことが考え られた。
(3)異 種 宿主 発現 系の 構築
大 腸 菌 、 酵 母Pichia pastorisの発 現系 を用 いてHBG遺伝 子 の異 種宿 主発 現系 の 構築 を行 っ た 。 大 腸 菌 で は 生 産 さ れた タン バク 質は 封 入体 とし て不 溶 性画 分に 存在 し、 活 性を 持っ たタ ンバ ク質 と して 生産 され なか っ た。P. pastorisで は、HBGI組換え酵素は生産されなか っ た が 、HBGIIお よ びHBGIIIで は 培 養 液lLあ た り30お よ び13mgの 組 換 え 酵 素 の 生 産 に 成 功 し た 。 こ れ ら の 組 換え 酵素 を精 製し 、 諸性 質や 基質 特 異性 を調 べた とこ ろ 、糖 含量 を 除 い て ミ ツ バ チ 由 来 のHBGIIお よ びHBGIIIと そ れ ぞ れ 同 様 の 性 質 を 有 し て い た 。
(4) HBGIIIの触媒残基の確 認およびキメラ酵素の作製
HBGIIIの触媒残基を確認 するため、Bacillus cereus由来oligo−1,6−glucosidaseとの配列比 較 を 行 っ た 。D206お よ びD331の 他 に 、 プ ロ ト ン ド ナ ー と し て 作 用 す る グ ル タ ミ ン酸 に関 し てE259お よ びE269の2ケ 所 が 候 補 と な り 、 部 位 特 異 的 変 異 法 を 用 い て そ れ ら の 変 異 酵 素D206N,E259Q,E269Qお よ びD331N変 異 酵 素 を 作 製 し た 。 精 製 し たE259Q変 異 酵 素 は 野 生 型 の50ワ 。 の 比 活 性 を 保 持 し て い た の に 対 しD206N,E269Qお よ びD331N変 異 酵 素 の 比活 性は0.004.0.04およ びO.002ワ0に まで 減少 して お り、HBGIIIの 触媒残基はD206,E269 およびD331であることを確 認した。
ま た 、HBGIIIを3つ に 区 切 り 、 そ の 一 部 をHBGIあ る い はHBGIIの 相 当 す る 部 分 に 交
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換した キメラ酵素の作製を試みた。しかしながらキメラ酵素は生産されず、そのような交 換によ ってポリベプチド鎖合成あるいはタンバク質のフオールディングに障害が生じたも の と 考 え た 。HBGIIIのTyr58をHBGI型 のAsnに 置 換 し た 変 異 酵 素Y58Nおよ びHBGIII のGJn262とPr0263の間にHBGIIで存在する5アミノ酸残基を挿入した変異酵素Q262+5a.a. ではmaltoseに対するkO/Km値が減少していた。
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学 位 論 文 審 査 の 要 旨
学 位 論 文 題 名
ミツノヾチa ‑Glucosidase アイソザイムの 構 造 と 機 能 に 関 す る 研 究
本 論 文 は 、 和 文163頁 、 図77、 表17、6章 か ら な り 、 他 に 参 考 論 文2篇 が 付 さ れ て い る 。 Q一glucosidase (EC 3.2.1.20)は 、a― グ ル コ シド 結 合 をも つ 基 質の 非 還 元末 端 か ら 加 水 分 解 に よ っ てQ―glucoseを 遊 離 さ せ る 酵 素 で あ る が 、 そ の 基 質 特 異 性 と 一 次 構 造 か ら familyIお よ びIIの ニ つ の グ ル ー プ に 分 け ら れ る 。 ミ ツ パ チ(Ap fsmemぬ .aL. ) 成 虫 に は 三 種 のa― glucoSidasemoneybeea曙luCOsidaSe:HBGI,Hお よ びmと 略 称 ) が 存 在 す る 。 こ れ ら の 酵 素 は 、 基 質 特 異 性 を は じ め と す る 諸 性 質 、 発 現 の 時 期 や 部 位 が異 な っ て い る 。HBGIお よ び uは 、 基 質 の 種 類 に よ り 正 ま た は 負 の 協 同 性 を 示 す ア 口 ス テ リ ッ ク 酵 素 で あ り 、 前 者 は 中 腸 に 、 後 者 は 中 腸 と 血 リ ン パ に 存 在 し てkゝ る 。HBGmは 、 下 咽 頭 腺 に 存 在 す る 分 泌 酵 素 で あ り 、 集 め ら れ た 花 蜜 中 の シ ヨ 糖 を 分 解 す る こ と に よ って 蜂 蜜 の 生 成 に 関 与 し て い る 。
本 研 究 は 、 そ れ ら 三 種 のa―glucosidaseのcDNAク ロ ー ニ ン グ に よ る 一 次 構 造 の 解 析 、 二 次 お よ び 三 次 構 造 の 予 測 、 ゲ ノ ム 上 で の 遺 伝 子 構 造 の 解 析 を 意 図 し て な さ れ たも の で あ り 、 研 究 の 結 果 は 、 以 下 の よ う に 要 約 さ れ る 。
1) 精 製 酵 素 の 部 分 ア ミ ノ 酸 配 列 に 基 づ い た プ ラ イ マ ー を 合 成 し 、 ミ ツ バ チ 成 虫 か ら 調 製 し たcDNAラ イ ブ ラ リ ー か ら の ス ク リ ー ニ ン グ お よ び5.RACE法 を 用 い てcDNAの ク 口 ー こ ン グ を 行 っ た 。HBGI、uお よ びmのcDNA塩 基 配 列 か ら 推 定 さ れ た ア ミ ノ 酸 配 列 は 各 酵 素 間 で 約40% の 相 同 性 が 認 め ら れ 、 こ れ ら の 酵 素 は す べ てfamilyIに 属 し て い る こ と を 明 ら か に し た 。 シ ョ ウ ジ ョ ウ パ ェ や 蚊 あ る い はBaciltus cereusや 、Saccharomyces cerevisぬeのa―glucosidaSeの ア ミ ノ 酸 一 次 配 列 と は 約30% の 相 同 性 を 有 し て い た 。Q― gluCOSidaSeで は 唯 一 立 体 構 造 が 解 析 さ れ て い るB.CereuSa−glucoSidaSeと の 一 次 お よ