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博 士 ( 工 学 ) 大 家 学 位 論 文 題 名

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 工 学 ) 大 家 学 位 論 文 題 名

Mindlin 理論による多層フラットプレート構造物の

・スラブの鉛直自由振動解析に関する研究 学位論文内容の要旨

  フラットプレート構造は、空間の合理的な利用を可能にし、施工後の建築の用途変更に対す る適応性に優れているため、大型量販店や工場などに適している。また、梁型が表れないため、

視角が広くハイサッシュを採用することにより眺望を確保でき、間取りの変更も柔軟であるこ とから、マンションなど住宅への適用例も今後ますます増加するものと思われる。しかしなが ら、フラットプレート構造物は、このようなメリヅトがある反面、通常の柱梁構造物と比較す ると全体的に床スラブの剛性が低く、最近問題になっている床の振動被害が発生しやすい構造 と言える。床の振動被害は精密機器を扱う半導体工場などでは製品の歩留まりにかかわり、住 宅では健康被害など居住性に影響を与える。

  本研究は、このような床の振動被害をもたらすスラブの共振を未然に予測し、更にはこれを 防ぐための基礎研究として、多層フラットブレート構造物のスラブの鉛直自由振動解析を行い、

その固有振動数及びモード形状などを求め、どのような躯体形態がいかなる振動特性を有する かについて明らかにすることを目的としている。解析手法としては、Mindlin平板理論に基づ いた基礎微分方程式を、完全な連続体として扱うことができる解析手法である重ね合わせ法を 用いて解き、厳密解と称される級数解を求めるものである。また、平板の振動解析はその周辺 の支持条件に大きな影響を受けるが、本解析では従来から用いられている古典的な境界条件に 加え、それをさらに発展させた、より現実の支持条件に近い周辺が鉛直、回転及び捩り方向の いずれか、もしくは全てに対して弾性支持された場合の平板を対象として研究を行っている。

  本 論 文 は 9章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 各 章 の 概 要 は 以 下 の 通 り で あ る 。   第1章では、フラットプレート構造物の今後の可能性について示し、振動問題の現状につい て社会的背景を交えながら述べた後、現在の平板振動解析に関する研究を概観するために、既 往の平板理論、解析手法、適用される境界条件についてまとめ、さらに個々の研究について言 及 し た 。 最 後 に 以 上 を 受 け て 、 本 研 究 の 目 的 及 び 位 置 づ け を 明 確 に し て い る 。   第2章に おいては、本研究で用いる平板理論である、せ ん断変形と回転慣性を考慮した Mindlin平板理論の基礎微分方程式を運動方程式より誘導した後、実際に解を求めることがで きる形式である、自由振動時の斉次形基礎微分方程式をHelmholtzの定理を用いて誘導し、さ ら に 、 非 斉 次 形 基 礎 微 分 方 程 式 を 荷 重 項 を 考 慮 す る こ と に よ り 導 い た 。   第3章では、まず、多層フラットプレート構造物のモデル化を行うために、自由振動時の層 間の変形状態を想定し、最下層モデル、中間眉モデル及び最上眉モデルを定め、.各眉モデルに ついて柱の支持条件を規定した。さらに、柱とスラブの連続条件を定めるために必要となる各 層モデルにおける柱の回転角をTimoshenkoの梁理論を用いて求めている。また、平板の変位

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及び せん 断 変形 成分 の関 数形 を 定め るた めに 、振 動 時の 変形 状態 を 表す 振動 モー ドを 設定し、

それ を受 け て、 スラ ブに 対し て 外カ とな る柱 とス ラ ブの 間に 作用 す る相 互作 用カ を、 すべての 振動 モー ド につ いて 規定 した 。 この 相互 作用 カは 鉛 直荷 重及 び曲 げ モー メン トが 作用 すること にな るが 、 鉛直 荷重 は部 分分 布 荷重 とし て、 曲げ モ ーメ ント は偶 カ とし て扱 い、 平板 問題に適 用し やす い 形で あるFourier級数 展開 に より 表現 した 。

  第4章 で は 、 い わゆ る古 典 的な 境界 条件 であ る 周辺 が固 定さ れ た場 合の 平板 を対 象 とし てお り 、 ま ず 、 一 般 解 を 得る ため に必 要 とな る斉 次解 及び 非 斉次 解を 求め た。 斉 次解 は第2章 で誘 導し た斉 次 形基 礎微 分方 程式 に 、振 動モ ード に則 し た適 切な 関数 形 の変 位及 びせ ん断 変形成分 に 対 す るLevy解 を 代 入 す る こ と で 、 簡 単 な 常 微 分方 程式 の問 題 に帰 着す るこ とが で き、 この 常微 分方 程 式を 場合 分け に注 意 しな がら 解く こと に より 、斉 次解 が 得ら れる 。非 斉次 解は、第 3章 で 求 め た 柱 と スラ ブの 間 に作 用す る相 互作 用 カを 外カ とし た 非斉 次形 基礎 微分 方 程式 に、

振 動 モ ー ド に 適 合 し た 未 定 係 数 を 含 ん だ た わ み 及び 回転 角に 対 するNavier解 を適 用 し、 係数 比較 を行 う こと によ り求 めた 。 この よう にして得られた斉次解と非 斉次解の和が一般解であり、

この 一般 解 に対 して 未充 足境 界 条件 及び 連続 条件 を 適用 し、 固有 方 程式 を誘 導し た。 解析結果 とし て、 固 有方 程式 を解 くと 得 られ る固 有振 動数 の 一覧 表を 示し 、 最後 に、 解析 結果 の妥当性 を検 証す る ため に、 柱の よう な 断面 の大 きさ を持 た ない 点支 持の 場 合で はあ るが 、既 往の研究 との 比較 を 行な い、 これ によ り 平板 の周 辺の みな ら ず内 部に 柱な ど の支 持を 有す る場 合の本解 析手 法の 妥 当性 を確 認し た。

  第5章 で は 、 古 典 的 な 境 界 条 件 で あ る 周 辺 単純 支持 の 場合 につ いて 、第4章 と同 様 に、 式展 開を 行い 、 その 解析 結果 を示 し 、既 往の 研究との比較によりその妥 当性について検証を加えた。

こ れ ら 第4章 及 び 第5章 で 得 ら れ た 解 は 、 周 辺 弾 性支 持条 件が 周 辺単 純支 持と 周辺 固 定の 中間 的な 状態 で ある こと から 、周 辺 単純 支持 板の 解が 、 周辺 弾性 支持 板 の解 の下 限値 を与 え、周辺 固定 板の 解 が上 限値 を抑 える こ とに なる ので 、周 辺 弾性 支持 条件 下 にお ける 解析 の効 率化に役 立つ こと に なる 。

  第6章 で は 、 よ り現 実の 支 持条 件に 近い 、周 辺 が弾 性支 持さ れ た条 件の 中で も、 鉛 直方 向の み が 一 様 に 弾 性 支 持 され た境 界条 件 の場 合を 対象 とし 、 第4章 と 同様 の手 法で 、斉 次 解及 び非 斉次 解を 求 め、 これ より 一般 解 そし て固 有方 程式 を 誘導 し、 解析 結 果と して 固有 振動 数の一覧 表を 示し た 。

  第7章 で は 第6章 と 同 様 、 弾 性 支 持 条 件 を 扱 っ てい るが 、鉛 直 方向 に加 え、 回転 方 向に 対し て も 一 様 に 弾 性 支 持 され た境 界条 件 を考 え、 第6章と 同様 な手 順 によ り式 展開 を行 い 、解 析結 果を 示し た 。

  第8章 で は 、 鉛 直、 回転 及 び捩 り方 向の 全方 向 につ いて 一様 に 弾性 支持 され た場 合 の平 板を 対象 とし て 、固 有方 程式 を求 め る一 連の 式展 開と 、 固有 振動 数の 一 覧表 に加 え、 弾性 支持条件 で必 要と な る周 辺剛 性の 固有 振 動数 に与 える 影響 に 対す る考 察を 行 った 。周 辺剛 性は 、鉛直剛 性、 回転 剛 性及 び捩 り剛 性が あ るが 、こ れら をそ れ それ 個別 に変 化 させ た場 合の 固有 振動数の 変化 につ い て調 べた 結果 、剛 性 変化 に伴 う固 有振 動 数の 変化 は連 続 的で あり 、各 剛性 に適切な 値を 設定 す るこ とに より 、従 来 の古 典的 な境 界条 件 すべ ての 支持 条 件を 再現 する こと が可能で ある こと を 確認 した 。こ のこ と は、 鉛直 、回 転及 び 捩り 方向 に弾 性 支持 され た条 件は 、今まで の古 典的 な 境界 条件 問題 を全 て 内包 して いる こと を 意味 して おり 、 周辺 が古 典的 境界 条件で支 持さ れた 場 合の 既往 の平 板問 題 は、 この 境界 条件 に より 、す べて 対 応で きる こと を示 した。さ ら に 、 解 析 結 果 と し て 柱 数 や 平 板 形 状 を 変 化 さ せた 場合 の各 振 動モ ード にお ける1次 から5次 まで のモ ー ド形 状を 示し て振 動 特性 を明 らか にし 、 最後 に、 内部 に 支持 を有 しな い場 合ではあ るが 、周 辺 が弾 性支 持さ れた 平 板に 対す る既 往の 研 究と の比 較を 行 い、 本解 析手 法の 弾性支持 条件 への 適 合性 を確 認し た。

  最 後 に 、 第9章 では 、各 章 につ いて 結語 を述 ベ 、本 論文 の総 括 を行 い、 今後 の研 究 課題 と方 向 性について示した。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査   教授   上田正生 副査   教授   城   攻 副査   教授   石山祐二 副査   教授   三上   隆

副査   教授   内山武司(道都大学教授)

学 位 論 文 題 名

Mindlin 理 論 に よ る 多 層 フ ラ ッ ト プ レ ー ト 構 造 物 の ス ラ ブ の 鉛 直 自 由 振 動 解 析 に 関 する 研 究

  フラットプレート構造は、梁型が現れないことから空間の合理的な利用が可能であり、

.マンションや工場などでの適用例が今後ますます増加するものと思われる。しかしながら、

この種の構造物は、そのメリヅトの反面、通常の柱梁構造物と比較すると床スラブの剛性 が 全体 的に 低く 、最 近問題になっている床の振 動被害が発生しやすい構造と言える。

  本研究は、このような床の振動被害をもたらすスラプの共振を未然に予測し、更にはこ れを防ぐための基礎研究として、多層フラヅトプレート構造物のスラブの鉛直自由振動解 析を行い、その固有振動数及ぴモード形状などを求め、どのような躯体形態がいかなる振 動特性を有するかにつ いて明らかにすることを目的としている。解析手法は、Mindlin平 板理論に基づき、重ね合わせ法により級数解を求めるものである。また、平板周辺の支持 条件は、古典的な境界条件に加え、壁による外周架構の剛性を想定し、より現実の支持条 件に近い弾性支持された場合を扱い、内部に縦横の柱列が配置された平板を解析対象とし て研究を行っている。

  本 論 文 は9章 か ら 構 成 さ れ て お り 、 各 章 の 概 要 は 以 下 の 通 り で あ る 。   第1章では、フラットプレート構造物の現状について述ベ、現在の平板振動解析に関す る 研 究 を 概 観 し 、 最 後 に 本 研 究 の 目 的 及 ぴ 位 置 づ け を 明 確 に し て い る 。   第2章においては、本研究で用いる平板理論である、せん断変形と回転慣性を考慮した Mindlin平板理論の基礎微分方程式の誘導過程を示し、実際に解を求めるこ.とができる形 式に式展開を行っている。

  第3章では、多層フラットプレート構造物のモデル化を行うために、自由振動時の層間 の変形状態を想定し、最下層モデル、中間眉モデル及び最上層モデルを定め、各眉モデル について柱の支持条件を規定している。また、平板の変位及びせん断変形成分の関数形を 定めるために、振動時の変形状態を表す振動モードを設定し、それを受けて、スラブに対 して外カとなる柱とスラプの間に作用する相互作用カを、すべての振動モードについて規

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定している。

  第4章では、いわゆる 古典的な境界条件である周辺が固定された場合の平板を対象とし ており、まず、一般解を得るために必要となる斉次解及び非斉次解を求めている。斉次解 は、斉次形基礎微分方程式に、各振動モードに則し たLevy解を適用することにより得ら れ、非斉次解は、柱とスラブの間に作用する相互作用カを外カとした非斉次形基礎微分方 程式に、振動モードに適合した未定係数を含んだNavier解を適用することにより求めて いる。このようにして得られた斉次解と非斉次解の和が一般解であり、この一般解に対し て未充足境界条件及ぴ連続条件を適用し、固有方程式を誘導している。解析結果として、

固有振動数の一覧表を示し、最後に、既往の研究との比較を行ない、解析結果の妥当性を 検証している。

  第5章では、周辺単純 支持の場合について、第4章 と同様に、式展開を行い、その解析 結 果 を 示 し 、 既 往 の 研 究 と の 比 較 に よ り そ の 妥 当性 につ いて 検証 を加 えて いる 。

`第6章では、より現実 の支持条件に近い、周辺が弾性支持された条件の中でも、鉛直方 向のみカs一様に弾性支持された境界条件の場合を対象とし、第4章と同様の手法で、斉次 解及び非斉次解を求め、これより一般解そして固有方程式を誘導し、解析結果として固有 振動数の一覧表を示している。

  第7章では、第6章の鉛直方向に加え、回転方向に 対しても一様に弾性支持された境界 条 件 を 考 え 、 第6章 と 同 様 な 手 順 に よ り 式 展 開 を 行 い 、 解 析 結 果 を 示 し て いる 。   第8章では、鉛直、回 転及び捩り方向の全方向について一様に弾性支持された場合の平 板を対象として、固有方程式を求める一連の式展開と、固有振動数の一覧表に加え、弾性 支持条件で必要となる周辺剛性の固有振動数に与える影響に対する考察を行った。その結 果、剛性変化に伴う固有振動数の変化は連続的であり、各剛性に適切な値を設定すること により、従来の古典的な境界条件すべての支持条件を再現することが可能であることを確 認している。さらに解析結果として、各振動モードにおけるモード形状を示して振動特性 を明らかにし、最後に、周辺が弾性支持された平板に対する既往の研究との比較を行い、

本解析手法の弾性支持条件への適合性を確認してい る。

  第9章では、各章につ いて結語を述ベ、本論文の総括を行い、今後の研究課題と方向性 について示している。

  これを要するに、著者は多層フラットプレート構造物を、内部に断面を持つ柱を有し、

周辺が各種支持条件により支持された平板としてモデル化を行い、Mindlin平板理論に基 づき、厳密解と称される固有振動数を重ね合せ法を用いて求める自由振動解析手法を開発 したものである。工学において各分野共通の問題である平板の自由振動解析問題において、

このような内部に柱を有し、周辺が鉛直、回転及び捩り方向に弾性支持された場合を扱つ た研 究は 他に は行 われ てお らず 、こ の分 野 に貢 献す ると ころ は大 なる ものがある。

  よって著者は北海道大学博士(工学)の学位を 授与される資格があるものと認める。

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