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博士(農学)森本奈保喜 学位論文題名

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(1)

     博士(農学)森本奈保喜 学位論文題名

Arthrobacter めbifor7n ぬエ42 由来

グルコデキストラナーゼの構造と機能に関する研究 学位論文内容の要旨

  グノレコデキストラナーゼ(1,6‑a‑D‑Glucan glucohydrolase; EC 3.2.1.70)は、a‑l,6−グノレ コ シ ド 結 合 を 主 鎖 と しa‑l,2、a‑l,3お よ びa‑l,4な ど の 分 岐 を 有 す るa‑D‑グ ル カ ン で あ る デ キ ス ト ラ ン を 非 還 元 末 端 か ら 順 次 グ ル コ ー ス 単 位で 加 水 分 解し 、p−glucoseを 遊 離 す る エ キ ソ 型 の 酵 素 で あ る 。 本 酵 素 は 既 に 精 製 法 が 確 立 さ れ て お り 、 そ の 酵 素 学 的 性 質 が 報 告 さ れ て い る 。 本 酵 素 の 全 一 次 構 造 は 決 定 さ れ て い な い が 、 全 ア ミ ノ 酸 残 基 の 約18% に 相 当 す る 部 分 ア ミ ノ 酸 配 列 は 決 定 さ れ て い る 。 得 ら れ た 部 分 ア ミ ノ 酸 配 列 は 、 同 じ エ キ ソ 型 デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ で あ る イ ソ マ ル ト デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ お よ び イ ソ マ ル ト ト リ オ デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ と 相 同 性 は 認 め ら れ ず 、a‑l.4グ ル カ ンに エ キ ソ 型に 作 用 す る グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ と 類 似 す る こ と が 確 認 さ れ た 。 本 研 究 で は 、 グ ル コ デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ を コ ー ド す る 遺 伝 子 を 単 離 し 一 次 構 造 を 明 ら か に し た 後 、 グ ル コ ア ミ ラ ー ゼとの類似性を用い本酵素反応における触媒残基を推定した。

(1)Arthrobacter globiformis I42由来グルコデキストラナーゼ遺伝子の単離とアミノ酸配   列の推定

  グル コ デ キス卜 ラナーゼ の部分 アミノ酸 配列を 基に合成 したオリ ゴヌク レオチド を プ ロ ーブ と し て 用い 、A globiformis I42ゲノ ムDNAラ イ ブ ラリ ー よルグル コデキ ス ト ラ ナ ー ゼ 遺 伝 子 を 単 離 し た 。 得 ら れ た グ ル コ デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ 遺 伝 子のORFは 3,147 bpか ら な り、28アミ ノ 酸 残基 で 構成さ れるシグ ナルペプ チドを 含む1,048ア ミノ 酸をコ ードして いた。 推定分子 量は109,135、そのア ミノ酸 配列はA globiformis T−3044グ ルコデ キストラ ナーゼ と79%、Clostridium sp. G0005グ ルコアミ ラーゼ と 37%一 致 し 、グル コアミラ ーゼに おける保 存領域 を含む配 列が確認 され、 原核生物 由 来 の グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ と 一 次 構 造 上 類 似 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た 。

(2)Aglobiformis I42由 来 グ ル コ デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ 遺 伝 子 の 大 腸 菌 発 現   単 離 した グルコデ キストラ ナーゼ 遺伝子に おいて 、シグナ ルペプ チドを除 く成熟グ ル コデ キス トラナ ーゼをコ ードす る遺伝子 を発現 ベクターpET‑23a(+)に連結 し大腸 菌     ―1405―

(2)

を 形 質転換 した。大 腸菌を 用いた発 現酵素 は種々の 酵素精製 の実験 結果から 、活性 を 持 つ 状 態 で はC末 端 に 付 加 し た ヒ ス チ ジン タ グ が内 部 に 折り 込 ま れ た3次 元 構造 を と る と想 定 さ れ、 ヒ ス チジ ン タ グを利 用いた 精製は困 難であ った。2種のカ ラムク ロ マ ト グラ フ イ ーを 用 い て精 製 さ れた 発 現 酵素 は 、SDS‑PAGEにおけ る移動度 および 酵 素化 学的諸性 質にお いてA globiformis I42より精 製され たグルコデストラナーゼと同 一 で あるこ とが確認 され、 大腸菌を 用いた 発現によ ルグルコ デキス トラナー ゼを調 製 す る ことが 可能とな った。 以上の結 果から 、大腸菌 を用いた 変異体 酵素を作 製しそ れ らを 用いグル コデキ ストラナ ーゼの機 能解析 を可能と した。

(3) Clostridium thermoamylolyticum由 来 グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ の 解 析   C.thermoamylolyticumよルグ ルコアミ ラーゼ 遺伝子を 単離した 。得られたグルコア ミ ラ ー ゼ 遺 伝 子 のORFは2,133 bpか ら な り、710個 の ア ミ ノ酸 残 基 をコ ー ド して い た。 推 定 分子量は79,920と算出さ れ、そ のアミノ 酸配列はClostridium sp. G0005お よびThermoanaerobロcterthermosaccharolyticumグル コアミラ ーゼと それぞれ90%、

87%の相同性を示しゝ 84%、82%の一致を示した。また、イ.. め6め朋む142由来グル コデ キ ス トラ ナ ー ゼと59%の 相 同 性を 示 し 、39% の 一致 を 示 した。 大腸菌発 現によ る組換え グルコア ミラー ゼを精製 し、諸 性質を調 べた結 果、a甜ケ崩飢msp.G0005由来 グルコアミラーゼと同様の酵素化学的性質を示した。C.崩P朋〇ロけヅ´Dレfを駲由来グル コアミラ ーゼはAgめ6め ′ 竹お 由来グ ルコデキ ストラ ナーゼと 同様の酵素化学的性質 を示 す グ ルコアミ ラーゼ と特定さ れ、両酵 素を用 いた部位 特異的 変異体酵 素の解 析等 から 、 グ ルコデキ ストラ ナーゼの 反応機構 に関す る研究が 可能に なると考 えられ た。

(4)Aglobiformis I42由 来 グ ル コ デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ の 触 媒 残 基 の 推 定   グ ル コ デキ ストラ ナーゼ とグルコ アミラ ーゼの一 次構造に おける 類似性お よびグ ル コ アミ ラ ー ゼの 触 媒 残基 に 関 する 研 究 報告 か ら 本 酵素 の 触 媒残 基 の推定 を行っ た。

Asperg釘ぬ鉛 由来グ ルコアミ ラーゼ およびa甜ケ瀦 釘msp.G0005由 来グルコアミラーゼ に お い て 触 媒 残 基 と 推 測 さ れ て い るGlu179、Glu400お よ びGlu434、Glu632に 相 当 す るグ ル コ デキ ス ト ラナ ー ゼ のGlu458、Glu656に つ い て部 位 特 異的 変異導 入によル タ ン パ ク 質 中 の ア ミ ノ 酸 置 換 を 行 っ た 変 異体 酵 素E458Q、E656Qを 作 製し た 。 大腸 菌 を用 い て 発現し たこれ ら変異体 酵素の活 性はほ ば完全に 失われ 、両アミ ノ酸残 基が グ ルコ デ キ ストラ ナーゼ の活性に 重要な役 割を担 っている ことが 明らかと なった 。相 同 性検 索 の 結果、 グルコ アミラー ゼの触媒 残基と 推定され ている アミノ酸 残基に 相当 す るグ ル コ デキス トラナ ーゼのア ミノ酸残 基は酸 および塩 基触媒 として機 能して いる ことが 強く示唆 された 。

1406

(3)

学位論 文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

Arthrobacter glo ろヵcor7n ぬ142 由来

グルコ デキス トラナー ゼの構 造と機能に関する研究

  本 論 文 は 、 図36枚 、 表9枚 、 引 用 文 献81を 含 み 、6章 か ら な る 総 ペ ー ジ113の和 文論文である。別に参考論文4編が添えられている。

  グルコデキストラナーゼ(1,6‑a‑D‑Glucan glucohydrolase; EC 3.2.1.70)は、a‑l,6−グル コシ ド結合 を主鎖と しa‑l,2、a‑l,3およびa‑l,4などの分岐を有するa‑D‑グルカンの デキ ストラ ンを非還 元末端 から順次 グルコース単位で加水分解し、{3‑glucoseを遊離す る エ キソ 型の酵素 である。 本研究 では、グ ルコデ キストラ ナーゼ をコード する遺伝 子 を 単 離し 一次構造 を明らか にした 後、グル コアミ ラーゼと の類似 性を用い 本酵素反 応 における触媒残基を推定した。

(1) Arthrobロcter globiformis I42由来グルコデキストラナーゼ遺伝子の単離とアミノ酸配   列の推定

  A gl。6渺mむ142ゲ ノ ムDNAラ イプ ラ リ ーよ ル グ ルコ デキ ストラ ナーゼ遺 伝子を 単 離し た 。 得ら れ た グル コ デ キ ス卜 ラ ナ ーゼ 遺 伝 子のORFは3,147bpか ら な り 、28ア ミノ酸 残基で 構成され るシグ ナルベプ チドを合 む1,048ア ミノ酸 をコード していた 。 推定分子 量は109,135、そのアミノ酸配列はA如6ウr。′mむT‐3044グルコデキストラナ ーゼ と79% 、Cf甜 ケ めHmsp.G0005グルコ アミラ ーゼと37% 一致し 、グルコ アミラ ー ゼにお ける保 存領域を 含む配 列が確認 され、原 核生物 由来のグ ルコア ミラーゼ と一次 構造上類似していることが示唆された。

(2) Aめ ろ ウ む mむ 142由 来 グ ル コ デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ 遺 伝 子 の 大 腸 菌 発 現   シグナ ルベプ チドを除 く成熟 グルコデ キスト ラナーゼ をコード する遺 伝子を発 現ベ クターpET123a( 十)に連 結し大 腸菌を形 質転換 した。2種のカ ラムク ロマトグ ラフイ ーを 用 い て精 製 さ れた 発 現 酵素 は、SDS‐PAGEにお ける移動 度およ び酵素化 学的諸 性     ―1407―

和 蔵

之 大

授 授

授 授

   

   

(4)

質に おい てA globiformis I42より 精製されたグルコデストラナーゼと同一であること が確 認さ れ、 大腸 菌を 用い た発 現に よル グル コ デキストラナーゼを調製することが可 能と なっ た。 以上 の結 果か ら、 大腸 菌を 用い た 変異体酵素を作製しそれらを用いグル コデキストラナーゼの機能解析を可能とした。

(3) Clostridium thermoamylolyticum由 来 グ ル コ ア ミ ラ ー ゼ の 解 析   C. ther moamylolyticumよルグルコアミラーゼ遺伝子を単離した。得られたグルコア ミラ ーゼ 遺伝 子のORFは2,133 bpからなり、710個のアミノ酸残基をコードしていた。

推定 分子 量は79,920と 算出 され 、そ のア ミノ 酸配列はClostridium sp. G0005および Thermoanaer obacterthermosaccharolyticumグルコ アミラーゼとそれぞれ90%、87%の 相同 性を 示し 、84%、82% の一 致を 示し た。 ま た、A globif′mむ142由来グルコデキ スト ラナ ーゼ と59%の 相同 性を 示し 、39%の 一 致を示した。大腸菌発現による組換え グル コア ミラ ーゼ を精 製し 、諸 性質 を調 べた 結 果、a甜 ケdf msp.G0005由来グルコ アミラーゼと同様の酵素化学的性質を示した。Cl脇…Dロ′ び〇伽を甜m由来グルコアミ ラー ゼはAgめ6ウr。′mぬ由来グル コデキストラナーゼと同様の酵素化学的性質を示す グル コア ミラ ーゼ と特 定さ れ、 両酵 素を 用い た 部位特異的変異体酵素の解析等からグ ル コ デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ の 反 応 機 構 に 関 す る 研 究 が 可 能 に な る と 考 え ら れ た 。

(4) A如6ウ ヶ mむ 142由 来 グ ル コ デ キ ス ト ラ ナ ー ゼ の 触 媒 残 基 の 推 定   グ ルコ デキ スト ラナ ーゼ とグ ルコ アミ ラー ゼ の一次構造における類似性およびグル コ ア ミ ラ ー ゼ の 触 媒残 基に 関す る研 究報 告か ら本 酵素 の触 媒残 基 の推 定を 行っ た。

イ叩ゲガ〃船由来グルコアミラーゼおよびC´恥ケ崩 msp.G0005由来グルコアミラーゼ に お い て 触 媒 残 基 と推 測さ れて いるGlu179、Glu400お よびGlu434、Glu632に相 当す るグ ルコ デキ スト ラナ ーゼ のGlu458、Glu656に ついて部位特異的変異導入によりタン パ ク 質 中 の ア ミ ノ 酸置 換を 行っ た変 異体 酵素E458Q、E656Qを作 製 した 。大 腸菌 を用 いて 発現 した これ ら変 異体 酵素 の活 性は ほぽ 完 全に失われ、両アミノ酸残基がグルコ デキ スト ラナ ーゼ の活 性に 重要 な役 割を 担っ て いることが明らかとなった。相同性検 索の 結果 、グ ルコ アミ ラー ゼの 触媒 残基 と推 定 されているアミノ酸残基に相当するグ ルコ デキ スト ラナ ーゼ のア ミノ 酸残 基は 酸お よ び塩基触媒として機能していることが 強く示唆された。

  以上のように、本研究ではa‐グルカンの非還元末端のa―1.6結合を主として加水分 解し グル コー スを 生成 する酵素(グルコデキストラナーゼ)と 、a―1.4結合を主とし て加 水分 解し グル コー スを 生成 する 酵素 (グ ル コア ミラ ーゼ )の2種 類の 一次構造を 明ら かに し、 その 類似 性か ら前 者の 活性 発現 に 関わる部位を特定したものであり、酵 素化学的領域における学術的価値は大いにあると判 断される。

  よ って 審査 員一 同は 、森 本奈 保喜 が博 士( 農 学)の学位を受けるに十分な資格を有 すると認めた。

1408

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