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岡山醫學會第五十七回総會演説抄録

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22 岡山醫学會第57回總會演説〓

岡 山醫學 會第五十七 回総會演説 抄録

昭 和22年6月15日 岡山醫科大学生化學教室講堂

開 會 の 辭  緒 方 主 幹

1)岡 山 市 に 於 け る 昭 和19年 よ り昭 和21年 迄 の 蚊 の 消 長 に つ い て

細 菌  瀬 川 淨

著 者 が 昭 和19‑21年 迄 岡 山 市 室 内 で 得 た 蚊 は15種,野 外 の み で 得 た もの は1種,共 中 毎 年 得 られ た もの は 赤 家 蚊,コ ガ タ赤 家 蚊, カ ラ ツ家 蚊,東 郷 藪 蚊,オ ホ ク ロ藪 蚊,マ ナ ハ マ ダ ラ蚊 で あ る.

岡 山 市 都 心 部 で は 特 に 東 郷 藪 蚊,南 及 北 農 村 部 で は 赤 家 蚊,コ ガ タ赤 家 蚊,シ ナ ハ マ ダ ラ蚊,オ ホ ク ロ藪 蚊,又 東 墓 地 部 で は 東 郷 藪 蚊,ヒ トス ヂ 縞 蚊 に 富 み,季 節 と 共 に 分 布 地

域 を擴 め,周 邊地域 に も繁殖 す る.一 般 に北

部は南 部より蚊 の發産が逞れ るら しい.

赤 家蚊は6月 下旬‑8月 上旬に3出 を造

り,全 期 を通 じ常 に 總 採 集 蚊 消 長.(昭19)の 主 流 を な し,又 家 ぎ に 多 い コ ガ タ 赤 家 蚊 は 昭 19年 で は7月 に,昭21年 に は8月 に 最 も 發 生 が 盛 で あ つ た ・ シナ ハ マ ダ ラ蚊(昭21)は

7月 中 旬 に 多 く,ヒ ト ス ヂ 縞 蚊(昭19)は6 月 下 旬 に,又 セ スヂ 藪 蚊(昭19)は8月 中,下 旬 に 多 か つ た.

1日 の 活 動(昭20)を 見 る と,蚊 は 朝 晝, 特 に 夜 に 最 も多 い.赤 家 蚊,コ ガ タ赤 家 蚊,

「シ ナ ハ マ ダ ラ蚊,セ ス ヂ 藪 蚊,(夜 蚊)は 夜 及 朝 に 多 く,オ ホ ク ロ藪 蚊,東 郷 藪 蚊,(晝 蚊)は 朝,晝,夕 に 多 い.又 赤 家 蚊,コ ガ タ 赤 蚊,セ ス ヂ 藪 蚊,オ ホ ク ロ藪 蚊 は 季 節 に つ

れ 最盛時刻が敏感に移動したが,シナハマダ ラ 蚊は殆ど變らず一定してゐた.吸 血率(昭 21)は 東郷藪蚊,オ オクロ藪蚊,シナハマダ ラ 蚊極めて高く,赤家蚊は中等 度,コガタ赤

家蚊 は最低で あつた.

3年 間 の 蚊 發 生 は 特 に 家 蚊 の 活 動 状 態,蚊 帳 使 用 時 期 よ り,昭19年 最 少,昭20年 最 高, 昭21年 は 之 に次 ぐ發 生 を 示 した も の と考 へ

られ る.

2)  Pl. praecoxの 感 染 経 過 と「マ ラ リ ア 」治 療 剤 の 及 ぼ す 影 響 に 就 て

細菌  村 上 榮

長 尾 進(演)

谷 水 規 浩

富 士 川 龍 郎

Pl. praecox血 液 接 種 の 際 の 感 染 経 過 及 び

「マ 」劑 の 之 に 及 ぼ す 影 響 を親 察 し,次 の 結 果

を得た.雌 生殖體は雄生殖體に比較 し常に多

数 で あ り,繁 殖 膿 出 現 後 同 時 に,或 ひ は1日 遅 れ て 出 現 し,且 繁 殖 瞳 の 増 減 と平 行 して 増 減 し,雄 生 殖 髄 は 繁 殖 瞳 よ り2‑3日 遅 れ て 出 現 し且 其 の 増 減 と 略 々 一 致 ず るが,最 盛 期 の 初 め に 多 い傾 向 を 認 め た.兩 生 殖 髄 の 産 生 率 は 急 性 期 及 び 再 發 の 前 に 大 で,最 盛 期 に 小 で あ る の を 認 め た.再 發 は 分 利 期 の 後 間 も な く,少 数 の 原 虫 が 末 梢 血 中 に 見 られ る場 合 起 り,且 其 の 経 過 は 初 期 感 染 に 比 べ て 輕 微 で あ つ た.鹽 規,「プ ラ ス ヒ ン 」,「ア テ ブ リ ン 」の 著 明 な 原 虫 殺 滅 作 用 を 認 め,鹽 規 は 主 と しで 繁 殖 體 に,「 プ ラ ス モ ヒ ン」 は 主 と し七 生 殖 體 に 作 用 す る を 認 め た.  Brommethylenazur等 は 原 虫 殺 滅 作 用 な く反 つ て 生 殖 體 の 増 加 を起

さ しめ た.生 殖 體 は 原 虫 の 増 減 に 封 し鋭 敏 に 反 應 し且 之 は 繁 殖 體 が 發 育 に 不 適 當 な環 境 に な つ た が 爲 に 之 を 生 ぜ しめ る もり で は な い.

3)血 餅 凝 集 力 に 封 す る2, 3の 影 響 に 就 て

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岡山醫學會第57回 總會演説抄録   23

衛 生  即 〓 美(演)

小 松 邦 美 1)血 餅凝集の二作速度は1乃 至3時 間に 於 て最大であつて.主 として此の時間に於て 凝 集し,爾後は殆んど 凝集しない.

2)血 餅凝集力は容器の内面が大である程,

内 面が粗である程,又空 氣に觸れる面が大で

あ る程 大 で あ り,ス 内 面 が 球 に 近 い 程 小 で あ る.此 れ に は 矢 張 り1乃 至3時 間 が 大 い に 關 係 して 居 り,膠 質 化 學 的 に 毛 細 管 現 象 及び 膨 潤 壓 が 關 係 して 居 る と考 へ られ る.

3)加 血 小 極 血 液 は 一 般 に凝 集 カ が 大 で,加

へ と

へ た 血 小 板 が 異 種 で あ る 程 増 加 す る.

4)加 血 小 板 血 液 に て は 溶 血 現 象 が 認 や ら れ,加 へ た 血 小 板 が 異 種 で あ る程,そ の 溶 血 は 強 度 で あ るが,果 して これ が 」血小 板 の 溶 血 作 用 に よ る や 否 や の 確 言 は 次 報 に 譲 る.

4)補 體 非 働 化 に 關 す る 研 究

衛生  緒 方 益 雄(演)

大 川 富 雄

緒 方 正 名

海 〓 補 體 は50度1時 間, 56度15分 に して 完 全 に 非 働 化 せ ら る ゝも,こ れ に 蔗 糖 を 加 ふ る 事 に 依 つ て熱 に 依 る非 働 化 を 阻 止 し得 る事 を ,實驗 しsb度1時 間 に 於 て も,術 補 體 と して の 作 用 を 示 し, 62度15分 に 依 て 完全 に 非 働 化 せ ち る.此 の 作 用 は 葡 萄 糖 に も認 の られ 又 各 成 , 分 に 分 つ と,グ ロ ブ サ ン分 屑 早 く非 働 化 せ ら

る.次 に 各 糖 類 に 就 て 見 る に,二 糖 類,鞭 類 ・ ア ル コ ー ル,ア ミ ノ酸 を 加 ふ る 事 に 依 り

同 様 の 作 用 あ る こ と を 認 め,ガ ラ ク ト ー ゼ 最 強 に して ソ ル ビ ツ ト,マ ン ニ ツ ト等 の 順 位 に あ り・ 又 濃 厚 タ イ ロ ー ド氏 液 に も此 の 作 用 あ うて其 の 程 度 は 弱 き も 無 糖 に して も食 鹽 鹽 化 マ グ ネ シ ウ ム に 特 に 共 の 柳 あ り.尚 此 の加

熱補體 を以 て補體結合反應に應 用する ことを 得.興 味ある ことには所謂第3成 分の非働化 を振盪に依 り行ふ時には反對 に加 糖補體 は室 温15分 にて完全に非働化せ られ,普 通食 鹽水 の補體にあ りては加温1時 間振盪にて も共の

非働化不完全なるを認め,糖 類に依る血清 状 態保護作 用は複雑 なる事 を推 定せ られた り.

5)實 驗 的 「 ト リ ニ ト ロ ト ル オ ー ル 」, (T. N.

  T.)中 毒 の 際 の 蛙 血 液 に 於 け る 「ハ 化 ン ツ 」氏 の 小 體 に 就 て .

法醫 近 藤 叡 三 上 野 博(代 演)

種 々 の1血液 毒 に 因 る 中 毒 の 際,温 血 動 物 の 無 楼 赤 血 球 内 に ぼ 度 々「ハ 」氏 小 體 の 形 成 を 認 む る も,下 等 動 物 の 有 核 赤 血 球 に 就 て は,蛙 其 他 に 於 て 其 の 形 成 を認 め ず と唱 へ ら れ 來 れ

り.さ れ ど先 に 血 液 毒 の 一 な る こ と を 證 明 せ るT.  N. T.に 就 て は 如 何 と,實 驗 的T. N.  T.

中毒 研 究 の1部 と して 金 緑 蛙 を 用 ひ て 研 究 し た る も の に して,  T. N. T.の 場 合 に 於 て も赤 血 球 其 他 に 種 々 の 變 性 は 證 明 し た れ ど も,

「ハ 」氏 小 體 形 成 は 途 に 之 を 認 め ざ り しと 報 告 せ り.

6)「 メ タ ノ ー ル 」定 量 に 就 て の1經 驗

法 醫  上 野 博

米 軍 法 其 他 に 依 る 「メタ ノー ル 」,定量 に 際 して の 二 三 の 注 意,特 に 室 溜 の 關 係,定 量 限 界 等 に 就 て 述 べ た り.

7)  Phenothiazinの 驅 虫 作 用(第1報) 主 と し て 虫 體 に 對 す る 作 用 に 就 て

附.  Wexylresorcinの 殺 虫 力 藥 理  足 利 三 明 Phenbthiazin  (Thiodiphenilamin)は1934

Campbell等 に よ り殺孖 虫 藥 と し て 箸 効 を 認

め られ,爾 來此 目的及び果 樹 殺虫劑 として宏 ぐ應 用 されて來 た化合物で あるが,近 年 米國 で家畜の驅虫に効果 あ りとの報告 もある.併

し本 劑 が驅虫藥 と しての性格 を有 ずるや,又 木腸内寄生虫驅除の目的に利用 し得る實用性 の有 無等 に關 しては報告 に接 しな い.演 者ば ,目下此等 の諸點 を檢 索 中であ るが現 在迄 の知 見の2, 3を 報告する.

1)本 劑は液Bung液 中に飼育せる人 蛔 虫

そ1時興奮後漸次麻痺致死せし める.その

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 岡山 學會第57回 總會 演 説抄録

自發 運 動 停 止 迄 の 時 間 はSantonin及 びMae nineに 比 し著 し く短 か い.  2)孵 化 培 養 した

十 二 指 腸 虫 仔 虫 に 對 す る効 力 も之 等 の 藥 劑 よ り瞭 か に 強 い.  3)併 し ミ ミズ に 對 す る致 死 効 果 は 梢 劣 る.  4)ミ ミズ は 筋 を強 く緊 張 せ し

め次 で 麻 痺 す る.  5)家 兎 摘 出 腸 管 筋 は 直 ち に 麻 痺 さ れ る.  6)毒 性 は 甚 だ 微 弱 で 大 量 投 藥 の 可 能 性 が あ る.術 現 在 米 國 で 普 及 せ る驅 虫 藥Hexylresorcinに 就 で も同 様 の 實 験 を 行 ひ,強 烈 な 殺 虫 力 を有 す るが 毒 性 比 較 的 大 で, 胃 粘 膜 に も障 碍 をみ た 等 の 知 見 を 紹 介 す る.

8)驅 蛔 虫藥 と しての麥藁 エキ スに就 で (第1報)

藥理 足 利 三 明 演

谷 甚 作

近年小麥藁煎劑 に蛔虫駆除作用が あるとの

報 告 が あ るが,之 が 果 て 有 効 で あ れ ば 現 状 下 放 置 し難 い 生 藥 で あ る.演 者 等 は 諸 種 の 方 法 に よ り之 が 水 性 エ キ ス を調 製 し,人 蛔 虫,十 二 指 腸 虫 仔 虫,ミ ミズ,ミ ミズ 筋,摘 出 家 兎 腸 管 等 に 對 す る作 用 を觀 察 し,從 來 の 諸 驅 虫 藥 の 之 等 に 對 す る作 用 と比 較 檢 討 した 所,著 し

く強 力 と は 云 へ な い が,駆 虫 的 作 用 成 分 の 含 有 さ れ て ゐ る事 を推 定 し得 た.尚 此 の 成 分 は 多 くの 有 機 溶 媒 に 移 行 し難 いがAlkoholに は 1部 移 行 し,又1部 透 柝 され,熱 に は 比 較 的 安 定 で,毒 性 は 弱 い 等 の 知 見 を得 た.

9)「 ビタ ミン」B1の 生 體 内 に 於 け る 運 命 に つ い て

生化 水 原 舜 爾

曩に正常家兎の超生肝臓に就いて灌流實驗 を 行ひ,灌 流血 液に添加 したB1の1部 は 血

液い殘り1部 肝 臓 に 貯 へ ら れ,  1部 膽 汁 中 に

排 泄され,  1部 分解 され ることがわ かつた.

此 の 際 「デ ヒ ド ロ.ヒ ヨ ー ル 」 酸 を 加 へ る と,

その分解が犬きく 底つた.し かしなが ら此の 實 驗に於て灌流操作自體により約20%のB1

ガ消失するのでその原因を調べた所,これは

灌流中絶えす

送入される酸素によるものたる ことを知つ,そ こでB1を 「リンゲル」氏

液中に溶が,に に酸素を通ずると60‑70%

のB1が 分解 した.じ か るにこの溶 液にCys teinを かへる と分解 した物質の1部 が,文 も

とのB1に 還 へ つ た.此 の も と に 還 へる 物 質 がZimaの 所 謂Aneurindisulfidで あ るか 何

う か 只今研究中である.

10)蟇 膽 汁 の 新 成 分(第9報) Trioxysterocholan酸 に 就 て

生 化  早 川 昌 平 Sterin體 よ り炭 素 数24ケ の 普 通 の 膽 汁 酸 が 出 來 る な らば そ の 中 間 移 行 物 質が 自然 界 に 發 見 さ れ な け れ ば な ら な い.

今 迄 に 當 教 室 に 於 て 種 々 な 高 級 膽 汁 酸 及 び 中 性Steroide  (Carboxyl基 を持 た な い 中 性 體 で 然 も膽 汁 酸 のCholan核 を もつ もの)を 自 然 界 よ り分 離 した め で あ る が 蟇 膽 汁 中 よ り 未 だ 天 然 に は 發 見 さ れ て 高 級 飽 和 膽 汁 酸 を分

離 し得 た の で 報 告 す る.

本 膽 汁 酸 は1934年 清 水 ・ 小 田 に よ り蟇 膽 汁 中 よ り分 離 さ れ たTrioxybufosterocolen酸 の 側 鎖 の 二 重 結 合 が 水 素 に て 飽 和 さ れ たTri oxysterocholan酸 で あ る こ と が 分 つ た.

11)嗜 鹽 基 性 心 筋 變 性 に 就 い て(第1報)

病 理  那 須 毅

1910年Hewittが 心 筋 繊 維 の 嗜 鹽 基 性 變 性 と して 最 初 に 注 目 した 變 化 はHaurneder及 び Liebegobt等 の 追 試 が あ る が,其 の 原 因 的 要

因,發 生病理及び嗜鹽基性物質の性状等猶不 明 な 一 種奇妙 な變性であ る.演 者は最近 この 嗜鹽基性變性の成可 く著明 な3例 を見た.即 子宮癌屍,麻 痺狂屍・膵癌屍の 心臓で その何

れに於 て も左右兩 心室壁・ 隔壁 及び 左室乳嘴 筋 の標本 か ら之 を見出 し得 たが,唯 右室乳嘴 筋 か らは發見 困難で あつ た.こ の變 性部は筋 核 を中心 と し七初 腰 し.増 大 して紡錘形 を呈 .

し,變 性竈は諸所 に孤 立性 に散在 し,而 し周

圍 は筋原繊維縁 に より瞭 に境せ られ,そ の附

近 に何等 の組織 反應 を認め得 ない.

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岡 山 醫學會 第57回 總 會演 説抄録  25

こ のや うな點から見てこの變性は單一繊維 内の現象と考へられ,當該變性繊維核には變 位,核 破壊,核 潰瘍,核 質涌風等の像が認め

られる事や又嗜 鹽基性物質には染色化學的に 例 へば石炭酸「マク シン」沃度法に よ り 「ケ ト

ェ ノール」物質を證明 し得る事實等から,こ の 變性に核の關與が明かに想定せられ,目 下

核病理學的檢索を續行中である.

12)戰 時及び戰後 に於 ける急性黄色 肝萎縮剖檢例の統計的観察

病理  田 村 浩 通

昭 和16年1月 よ り 同21年3月 に 至 る本 多 主 な る醫 育 機 關 に 於 け る 總 解 體 数(6034)例 中本 症(27)例 に して,百 分 率 は0.45%に 相 當 す.平 時 に 於 け る 本 症 の 發 生 率 はMayer の 報 告 よ れ ば,  1907‑1917年(11年 間)の 百 分 率0.15%,本 邦 に 於 て は 東 大 病 理 學 教 室 比 企 の1901‑1930,家 で 石 川 の 發 表 せ る19 31‑1935年 の 間 に 剖 檢 さ れ た る 肝 硬 變 の 統 計 報 告 中現 れ た る 本 症 よ り其 の 百 分 率 を 算 出 す る に,約0.19%に 相 當 す.又 昭 和16年 以 來 の 本 症 剖 檢 率 は 東 大 病 理 學 教 室 の み に 就 て 観 る に892例 中 の10例(1,12%)な り.又 岡 大 病 理 學 教 室 に就 て 観 る に,大 正12年 よ り昭 和 15年 迄 の 剖 檢 数826體 中 本 症 は2例(0.24%), 同16年 よ り21年3月 迄 の 剖 檢 数160體 中本 症2例(1.13%)を 見 た り.樹 其 の 後 本 年3月

に 新 に1剖 檢 例 あ り)・以 上 の 統 計 を考 按 す る に,本 邦 に 於 て戰 争 の影 響 に よ り・生 活 條 件 の 著 し く不 良 と な れ り と推 定 さ る ゝ昭 和16年 以 來,本 症 の 剖 檢 数 が 著 し く増 加 せ る こ と は 否 む ベ く も非 ず.之 をMayerに よ る 前 大 戰 前 後 の 發 生 率(0・15%:  0.97%)に 比 す れ ば 全.

國 的 に は 左 程 著 明 な ち さ る も,局 部 的(東 京 ・ 岡 山)に は 之 を凌 駕 す る もの あ り.然 も前 大 戰 の 統 計 よ り觀 て,本 症 は 戰 後2‑3年 間 に 最 も頻 發 す る恐 れ あ る が 故 に,問 題 は 寧 ろ 今 後 に遺 さ れ た り と云 ふ ベ く,+分 に 警 戒 す ベ

き現 象 な り.

13)地 方 病 性 甲 状 腺 腫 の 研 究 (第1報)

病理 田 部 浩(演) 土 居 清 一 近 藤 慶 二 西 岡 司 郎 法醫 吉 井 清 水 愛媛縣下に蔓延す る地 方病性 甲 状 腺 腫 は 10‑15歳 に於 て最高罹患率(約80%)を 示 し,主 と して學童 に發生する思春期 甲状腺腫

で あ る が 成 人 に 見 ら る ゝ持 續 性 甲 状 腺 腫 も少 くな い.家 族 的 に3世 代 乃 至2世 代 罹 患 或 は 1世 代(子 供 の み)罹 患 の 諸 型 が あ る.女 は 男 よ り多 く且 強 度 に 罹 患 し,腫 大 の 形 は ○ 蔓 型,程 度 はDieterle氏1‑2度 が 多 く3度 も

少 数 認 め られ た.  Neisser氏 法 に よ るNaJ微 量 投 與 を學 童 に 試 み る に1週 日後 頸 圍1cm

内外 の縮小 を認 めた.こ の成 績は治療上1指 ,針 を與ふ る と共に又本 甲状腺腫の性 格が欧 洲

中部 に 見 ち る,甲 状 腺 腫 と略 同 一 で あ る こ と' を 示 す もの で あ る.猶,一 部 罹 患 者 の 飲 料 水 はCa量 少 く甚 だ 軟 水 で あ つ た.

14)後 量物質比重測定法に就 て

生理(學生) 岡 田 勝 喜(演) 大 和 浩 士

微 量 物 質 の 比 重 測 定 に 就 てLinderstrm等 の 行 つ た 石 油 と ク ロ ロ フ オ ル ム を用 ひ る 實 験

の代 りに石油と四鹽化炭幸を用ひて同様な實 験 を行 つた.

即 ち石油 と四鹽化炭素の混合液 を2〜 数種 の比重の ものに就 て作 り重 いの と輕 いの を圓 柱 に重ね る様に入れて静 かに撹 拌す る と圓柱 内の混合液は上か ら下へ次第 に比 重の増 した 混 合液 となる 故に この 中へ未知の比 重の液 滴 を滴 下する,と自己の比 重 と同一の比重 の液 の所で止 まるわけで その附近 の液 の比重 を豫 め標準液 で測 つて置 けば計算に よ り未知 の比 重 を求 められ る事になる.

今回の實験ば この比重 と液滴 の静止位(即

ち滴の止 まつた液 の高 さ)の 關係 及び混合液

柱の安定の度及び出て くる比重の確 ら しさ等

に就 て研究 した.

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 岡 山醫學會第57回 總會 演説抄録

質 問  眼科 筒 井 純

1回 液柱 を作 れば何回位の比重測 定に可能 な りや.

答  岡 田 勝 喜

實 際上圓柱内に液滴がた まると棒 の先に脱 脂綿 をつけて之に水 を浸 ませて液滴 を吸 ひと る余 り辭暴にす ると圓棒内の液の混合状態が 變 るか ら出來 るだけ靜かに行ふ と20‑30回 は 使 用出來 る.

15)蛙 心 臓 に 及 ぼ す 「ア ド レナ リ ン」 の 作 用

生 理  西 田 勇

蛙 の 心 臓 に 封 す る 「ア ド レ ナ リ ン 」は 適 當 な 濃 度 の 範 圍 で は 一 般 に 促 進 的 に 作 用 す る も, あ る 濃 度 以 土 で は,抑 制 的 に 作 用 す る.此 の 濃 度 の 差 違 に よ る 作 用 の 違 ひ が: PH,  Atropin,   Yohimbinと 如 何 な る 關 係 を有 す る か に つ き

述 ぶ.

16)鳥 類 の 眼 窩 筋 の 構 造

解剖  大 月 水 人

鳶,五 位 鷺,カ イ ツ ブ リ,燕 の 動 眼 筋 と瞬 膜 筋 の 筋 線 維 の 太 さ と弾 力 線 維 の 多 寡 を檢 査 した.  1)時 々大 き い食 物 を捕 へ る た め に 眼 球 を輻 湊 し,ま た 下 轉 す る鳶,五 位 鷺,カ イ ツ ブ リの 内 直 筋 と下 直 筋 の 筋 線 維 は,そ れ ら の 對 抗 筋 の もの に 比 ベ て 太 いが,小 食 物 を捕 食 す る た め に 絶 へ ず 眼 球 を輻 湊 し續 け る燕 に は,か ゝる 傾 向 が 認 め ら れ な い.  2)瞬 膜 を動 か す2筋 の う ち,方 形 筋 の 筋 線 維 は 太 く て 弾 力分 に 乏 じ く,錐 體 筋 の 筋 線 維 は 細 くて 弾 力分 に 富 む こ とか ら,錐 體 筋 が 持 續 的 に 保 持 して ゐ る 瞬 膜 腱 を,方 形 筋 が 時 々 大 き い 力

で 引 く こ とが 想 像 され る.

17)天 竺鼠 と狸 の鼓 室の形態

解剖  大 倉 卓 治

標 題 の 形 態 を7倍 の 復 構 模 型 を作 つ て 観 察 した.天 竺 鼠 で は 鼓 室 上 陥 凹 が 「よ く發 達 し, 外 耳 道 の 上 方 と そ の 前 と後 と に あ る 腔 よ りな る.第1腔 は 外 耳 道 の 前 上 部 に あ り,水 平 に

發達し,  3腔の中で最も大きい.内に鼓室 小 骨の1部を〓れ,周圍に對 し ては殆んど閉さ

れる.こ れはし〓 鼓室上陥凹にあたるもの と

考 え られ る.第2腔 は 最 も小 さ い.第3腔 は 最

後部 にあ り,長 軸は垂直で,下 方は固有鼓室 の後部 をなす.鼓 室下部,即 ち胞 は發育が惡 い.次 に狸 では,鼓 室上 陥凹の發育 は甚 だ悪 く,胞 は固有鼓室の下方に續 き,全 鼓室腔の 過半 を占 め,錐 體の長軸の方向によ く發達 し

てゐる.即ち天竺鼠と狸では,鼓室上陥凹上 胞の大さの關係が逆である.

18)四 エ チ ル 鉛 中 毒 の 眼 所 見

眼科  柴 原 壽 光(演)

筒 井 純

四 エ チ ル 鉛 中 毒 患 者3例 に つ き 眼 所 見 を檢 査 し次 の 結 果 を得 た り.

1全 身 の 中 毒 症 状 が 著 明 な 時 期 に あ りて は, 視 野 の 狭 容,光 神 の 減 退 を 認 め,眼 底 は 視 神, 經 乳 頭 が 僅 か に 蒼 白 を呈 す.之 等 の 變 化 は 中

毒 症 状 の 消 失 と ゝも に 正 常 に 復 せ り.

2死 亡せ る1例 の眼組織檢 査の結果 ば,網 乳 頭部の輕度 の浮腫 及浸 出物・視神経 細胞の破 壊消失室胞形成 等な り.

19)近 頃 逢 着 した1,  2の 中 毒 疾 患 に 就 て 精 神科  佐 々 木 高 光(演)

高 坂 睦 年

I.(1)終 戰 後 軍 放 出 の 四 エ チ ル 鉛 混 入 ガ ソ リ ン は,共 猛 毒 に 封 す る 無 警 告 と無 智 に 乗 じ,廉 價 な 入 手 と 優 秀 性 能 の 眩 惑 に 相 應 じ,恰 も米 國 に 於 て 最 初 製 造 使 用 さ れ 始 め た1923,   ‑4年 の 當 時 を偲 ば しむ る如 く,各断 に 中毒 者

を頻 發 せ し めた.其 の3家 族(塗 工 ・玩 具 製 造 業.印 刷 屋)6症 例 を報 告)る.

(2)10日 前 後 の 使 用 に 依 り發 病,  4名 の 初 老 者 中3名 な 約3週 後Existusに 終 つ た が,若 年 者 の2名 は 治 癒 した.

(3)  Nervose  Symptome,を 前 駆 症 状 と し,四 肢 等 に 手 指 の 著 明 な粗 大 振 顫.振 顫 言 語 歩 行 障 礙.貧 血.羸 痩.體 温 低 下.徐 脈.低 血 壓.下 肢 筋 痛 等 の 身 體 症 状,及 びepiso

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岡山醫學會 第57回總 會演説抄録  27

digchに 殊 に 夜 間 現 れ る 譫 妄 を 示 し,其 全 貌 は Delirium  tremens .に 髪 髴 し,其 幻 覺 は l'hallucinose  Pedonoulaireの 風 貌 を 呈 し た.

(4)本 症 例 に 見 ら れ た 特 色 、i青 色 鞏 膜ii口 唇 ・舌 等 の 蒼 白 蜂 を5%, た 一 種 特 有 の 色 調,之 は 剖 檢 例 諸 器 官 率 て も 明 瞭 な 賦 彩 と して 認 め ら れ た.  iii  1例 勧 於 てBleisum

を認 め た.  iv  Existus前 に 於 け る 一 種 特 有 なSensationsgefuhl.  v死 亡 第1例 で は 血 液 は 全 く凝 固 せ ず,第2例 で は 不 充 分(血 清Ca 量8.4mg%).

(5)鉛 が エ チ ル 基 と結 合 し て ゐ る 爲 迅 速 に 組 織 特 にLipoid含 有 量 の 多 い 神 経 系 統 ・ 肝 に 浸 透 す る 傾 向 強 く,且 揮 發 性 で 肺 胞 よ り 直 ち に 血 中 へ 吸 收 さ れ る 事 等 が,無 機 鉛 中 方 と 異 り,急 性,亜 急 性 に 護 病,精 神 症 状 を 發 す る 頻 度 の 高 き 所 以 な り と 考 へ る.

(6)大 量 の 重 曹 剤 及 び 牛 乳 が 最 も奏 功 す る.

II.  (1)23歳 の 男,  16歳 頃 か ら 月1‑2回 左 右 の 足 にSupihation運 動 の 發 作 が あ つ た が,配 給 酒5合(メ チ ー ル ア ル コ ー ル 含 有0.15

%)飲 用 の 翌 日 夕 刻 よ りHyper‑u.  Paraki nese),言 語 障 礙,酒 氣 を 帯 び た 精 神 の 調 子 を 示 し,急 性 に 發 病 せ るWilson病 の 如 き 状 態 像 を 呈 し た.

(2)發 病 後1月 の 檢 索 に 於 て 尿Urobi linogen陽 性,  Ammoniae  0.189瓦,腦 脊 髄 液

に メ チ ー ル ア ル コ ー ル 陽 性(Deniges法)で あ つ た.

(3)發 病 後50日 月,  2%重 曹 水20cc頸 動 脈 内 注 射 羅 日 か ら 症 状 忽 ち 拂 拭 し始 め,全

く輕 快 す る に 至 つ た.

質 問  梶 浦 睦 雄

「リ コ ー ル」中 の「メ チ ル ア ル コ ー ル」の 説 明 法 を 伺 ひ た し.

答  佐 々 木 高 光

Denigee法 に 依 り,エ チ ル ア ル コ ー ル を 對 照 と して2時 間 後 に 判 定 す る に,微 か で は あ る が,飲 酒1ケ 月 後 のLiquorに 拘 ら ず;陽 性 で あ つ た,メ チ ー ル ア ル コ ー ル は 腦 よ りLiquor

中に移行滞留 した ゆの と考へ る こ とが 出 來

る.

20)四 ェ チ ール 鉛 中 毒 症 の 病 理 解 剖 學

的變化に就 て

病理 木 本 哲 夫(演) 木 南 正 之 永 原 貞 郎 菊 池 雄 三 仲 原 靖 博 余等の剖檢せ る四エチル鉛 中毒屍2例 に加 ふ るに二十 日鼠使用の吸入吸牧實験 を併せ本 回は當鉛毒 に よる急性 中毒 に關 し病理學 的檢 索の結 果 を先 ず報 告獲表 す.

剖檢せ し2例 は罹患前再三之 を活字洗滌塗 装 に使用 し14病 日, 16病 日に急性死せ もの

な り.

先ず本中毒 の重要變 化 を概略せ ば 次 の 如

し.

1)中 樞 神 經 に 於 け る 神 經 細 胞 の 高 度 な る 變 性,  Glia‑Rosettenを 認 め 鉛 毒 の 殊 に 揮 發 性

本 剤 の 猛 毒 性 を確 認 す.

2)總 て 實 質 臓 器 の 變 性 萎 縮 著 明.

3)肺 臓 に 於 け る 著 明 な る鬱 血,出 血,術1例 は 鬱 血 性 硬 化,血 栓 形 成,他 例 は 浮 腫 肺 上 葉 肺 炎 並 びに 出 血 性 氣 管 肢 炎 を 認 め た.

4)間 葉 性 反 應 が 多 少 共 出 現 亢 進 す.

5)炎 症 性 反 應 は 余 りな いが 横 紋 筋 に 漿 液 性 化 膿 性 炎 を見 た.

6)1例 に 心 筋 の 嗜 鹽 基 性 變 性 あ り.

尚 四 チ ェ ル 鉛 中毒 に 於 て 一 應 神 經 症 状 を發 現 す る も し も治 癒 に 向 ふ もの 少 な か ら ざ れ ば 本 中 毒 豫 防 に 留 意 せ ば 急 性 死 は 冤 か れ る もの な

り.

21)新 産 見 副 腎 出 血 に 就 て

産 婦人 科  長 野 壽 江 産 婦 人 科 教 室 胎 兒 並 新 産 兒100例 に 就 き其 の 副 腎 出血 に 關 す る研 究 を 行 ふ.

1例 は 完 全 に 雨 例 副 腎 を 缺 く故 に99例198 ケ 副 腎 に 就 き 副 腎 出 血 の 検 索 を行 ふ.

1)副 腎 出 血 の 頻 度 は70.7%に して 胎 生7ケ 月 以 後 に 於 け る 頻 度 は78.65%な り.

(7)

28  岡 山醫學會第57回 總會説演抄録

而 して 副 腎 出 血 に よ る死 亡 は4例(4.04%) に して か く多 数 に 致 死 的 な ら ざ る 副 腎 出血 を 見 る は 其 の 總 て 病 的 と見 做 す を得 ず.

2)副 腎 出 血 像 並 鬱 血 と 副 腎 出 血 と の 關 係, 副 腎 出血 の 母 體 疾 患 と の 關 係,副 腎 出 血 と新 産 兒 疾 患 と の 關 係,副 腎 出 血 の 分 娩 介 助 との 關 係 に つ き 檢 索 を 行 へ り.

22)卵 管 通 水 法 と 開 腹 所 見

産婦人科 河 崎 泰

不 妊 症 診 療 に あ た り極 め て 重 要 な る 卵 管 疏 通 性 檢 査 法 と して,卵 管 通 水 法 は 優 秀 な る成 績 を收 め て 来 た が,更 に 左 右 の 卵 管 を各 々 別 箇 に 判 定 せ ん と す る 新 通 水 器 が 再 び 八 木 教 授 に よ り創 始 せ ら れ た.演 者 は こ の 新 通 水 法 の 適 中 率 を 求 め るべ く,最 近 迄 に 教 室 で 通 水 法 を施 した 不 姙患 者263名 の 中, 53名 に 後 に 何 等 か の 開 腹 手 術 を行 ひ,通 水 所 見 と開 腹 所 見 と

を比 較 對 照 す る と, 53名 中所 見 の 一 致 せ ざ り し者6例 で 適 中 率88.%と な つ て ゐ る.

之 を通 氣 法 の 高 々62%,造 影 法 の69乃 至80 96に 比 す れ ば.本 法 の 優 秀 な る 事 が 改 め て 認 識 し得 る.

23)淋 疾 に 對 す ろ「ペ ニ シ リ ン」の 治 驗 皮 膚科  森 岡 祐 治 余 は 米 軍 の「ペ ニ シ リ ン」を 男 女 淋 疾152 例 に 使 用 し次 の 治 験 を 得 た り.

A.注 射 量 と 注 射 方 法

20萬 單 位 を3時 間 を き1個 樽 筋 内 分 に 注96例 20萬,單 位 を3時 間 を き5回 樽 筋 内 に 分 注25例 20萬 單 位 を3時 間 を き4回 樽 筋 内 に 分 注22例 12萬 單 位 を2‑3時 間 を き6回 臀 筋 内 に 分 注4例 10萬 單 位 を3時 間 を き4回 樽 筋 内 に分 注2例 130萬 單 位 を2 ‑3時 間 を き6回 臀 筋 内 に分 注2例

B.男 子 淋 疾139例 に 就 て 1.淋 疾 の 病 型 別

急 性(亜 急 性)前 部 尿 道 炎 … …27例.

急 性(亜 急 性)全 部 尿 道 炎 … …83例

慢 性 尿 道 炎 … …29例

2.「ペ ニ シ リ ン」注 射 後 観 察 期 間

5日 迄 … …29例  6‑10日 … …29例

11‑20日 … …28例  41‑50日 … …8例.

21‑30日 … …18例  51‑100日 … …14例 31‑40日 … …10例  100日 以 上 … …3例 3.淋 菌 の 消 先 時 間

3時 間 以 内長 軸14例  18時 間 以 内 … …2例

6時間以 内 鼓 弱 例  24時 間以内 ……1例

9時 間 以 内 は …45例  3日 に て 尚 陽 性 …2例 12時 間 以 内 … …16例  消 失 時 間 不 明 …11例 15時 間 以 内 … …3例

4.排 尿 痛 の 消 失 時 間

3時 間 以 内 … …3例  24時 間 以 内 … …23例 9時 間 以 内 … …4例  30時 間 以 内 … …3例 12時 間 以 内 … …20例  48時 間 以 内 … …2例 15時 間 以 内 … …9例  5日 迄 … …1例 18時 間 以 内 … …1例 始 め よ り な き も の53例

5.排 膿 の 消 失 時 間

6時 間 以 内 … …2例  24時 間 以 内 … …30例 9時 間 以 内 … …1例  30時 間 以 内 … …25例 12時 間 以 内 … …7例  48時 間 以 内 … …15例 15時 間 以 内 … …2例  60時 間 以 内 … …2例 18時 間 以 内 … …2例  72時 間 以 内 … …2例 10日 以 内 … …1例  消 失 時 間 不 明 …17例 始 め よ りな き も の …33例

6.尿 所 見.

病 型 別  澄 明完 全 淋 糸混 人 不 明 急 性(亜 急 性)前 部 尿 道 炎19例8例0例

急 性(亜 急 性)全 部 尿 道 炎35例  43例  5例

慢 性 尿 道 炎  8例  19例  2例

7.「ペ ニ シ リ ン」注 射 後 の 治 癒 率

淋 菌 陰 性,自 覺 症 状 陰 性,尿 完 全 澄 明,若 くは 尿 中 淋 糸 に 白血 球 微 量 の も の を 治 癒 と

し,淋 菌 陰 性 な る も淋 糸 中 に 白 血 球 少 数 存 す る もの を 略 治,淋 菌 陽 性 或 は 淋 糸 中 に 白 血 球 多 数 存 す る もの を 不 治 とせ り.

1.全 膿 の 治 癒 率

治 癒  92例 … …69.69%

略 治  29例 … …21.97%

不 治  11例 … …8.34%

不 明7例

11.病 型 別 に 依 る 冶 癒 率

病 型 別  治 癒 略 治  不 治  不 明

(8)

岡 山醫學會第57回 總會演説抄録  29

急 性(亞 急 性) 前 部 尿 道 炎85 23例  2例  2例 .18%  7.41%  7.41%  0 急 性(亞 急 性) 全 部 尿 道 炎71 55例  16例  6例

.43%  20.78%  7.79%  6例

13例  12例  3例

慢 性 尿 道 炎  46.43%  42.86%  10.71%  1例

III.注 射 方 法 に 依 る 治 癒 率

注射方法  治癒  略治  不治 不明

20萬 單 位 を6回 60例  17例  6例 分 注 72.29%  20.48%  7.23%  4例

20萬 單 位  15例  6例  3例

を5回 分 注62.5%,  25.0%  12.5%  0

20萬 單 位  11例  3例  2例

を4回 会 注68.75%  18.75%  12.5%  3例 8.抗 ス ル フ ア ミ ン 性 の 例

病型別  治癒 略治 不治  不明

急 性 前 部 尿 道 炎 7例  5  1  0  1 急 性(亜 急 性)21例  13  7  1  0

全部尿道炎

慢 性 尿 道 炎  3例  2  1  0  0   合 計  31例  20例  9例  1例  1例

治 癒 率  66.67%  30.0%  3.33%

C.女 子 淋 疾13例 に 就 い て

治 験 例 少 きた め 不 明 な る も淋 菌 消 失 時 間, 排 膿,排 尿 痛 の 消 失6間 は 男 子 例 に 比 し長 時

間 を要 す る もの ゞ如 く又 治 癒 率 に 於 て も男 子 例 に 比 し悪 く治 癒60%略 治30%不 治1%

な り.

1).「ペ ニ シ リ ン」の 副 作 用

副 作 用 は 殆 ん ど 認 め ら れ ず 僅 か に 次 の 副 作 用 あ り.

輕 度 の 發 熱  14例  9.21%

頭 重 感  5例  3.29%

頭 痛  7例  4.61%

全 身 倦 怠 感  4例  2.63%

蕁 麻 疹 様 發 疹  1例  0.66%

E.結 語

1.前 部 尿道 炎 に 於 て 最 も効 果 良 く,尚6回 分注 法 最 も良 好 な り.

2.淋 菌 は 大 部 分9時 間 以 内 に て 消 失,排 尿 痛 は 排 膿 よ り前 に 消 失 即 ち24時 間 以 内 に 消 失

し,排 膿 は48時 間 以 内 に て 消 失 す.

3.副 睾 丸 炎,攝 護 腺 炎 等 の 合 併 症 に も有 効 な り.

4副 作 用 は 殆 ど認 め ら れ ず.

5尚 個 々の詳 細に渉つては皮膚科學會 にて

述 べ る 豫 定 な り.

24)  Mapharsen依 る 驅 徽 成 績

皮 膚科  小 林 雅 章(演)

八 束 敏 博

長 谷 川 宏 之 米 進 駐 軍 厚 意 に よ る 梯 下 げ 新 驅 黴 藥Ma pharsenを も つ て62例 の 各 期 黴 毒 患 者 に 治 療

を 行 ひ た る 所,同 藥 は 副 作 用 非 常 に 少 な く優 秀 な る こ と 勿 論 な り.然 れ ど もEhrlich及 び Hata創 作 な に るSalvarsanと の 優 劣 を 俄 に 断 定 す る こ とは 困 難 な り.今 後 の 多 数 症 例 の 追 跡 を 必 要 とす.詳 細 は 原 著 に 譲 る.

25)傳 音 障 碍 に 於 け る可 聽 閾 周 波 数 特 性 に 就 て

耳鼻科  橋 本 正 治

著 者 は2‑A「オ ーヂ オ メー ター」及 びst‑

6型「オ トア ウ デ オ ン」を 用 ひ て 傳 音 障 碍 例 に 就 て 可 聽 閾 の 移 動 を 観 察 し,傳 音 障 碍 と 言 つ て も下 音 界 上 昇 と言 ふ 一 つ の 型 を 有 す る もの で な く,寧 ろ對 高 音 聽 力 障 碍 を有 す る も の が 少 くな く,鼓 膜 離 断,小 聽 骨 連 鎖 の 離 断 鼓 膜 小 聽 骨 除 去,鐙 骨 癒 着 は 全 可 聽 周 波 に 亘 つ て 可 聽 閾 移 動 す る 事 多 く,鼓 室 内 壓 下 降, 漿 液 瀦 留,血 鼓 室 の 場 合 は 高 音 域 に 於 け る 移 動 著 明 な る事 多 き を 認 め た.傳 音 障 碍 に 於 け る 高 音 難 聽 が 中 耳 病 變 の 内 耳 に 對 す る 影 響 に 依 つ て 起 る もの で な い事 を 組 織 學 的 に 説 明 し,更 に 音 源 の 波 形 を 檢 討 し上 調 波 聴 取 に 依 つ て誤 ま ら れ た 物 で な い 事 を確 か め た.以 上 に 依 つ て「傳 音 障 碍 に 於 て は 下音 界 上 昇 す」

と言 ふ 從 來 の 學 説 の 誤 ま りな る 事 を 説 明 し た.尚 音 叉 は 測 定 周 波 数 をC6少 く と もC5迄 擴 げ な け れ ば 高 音 部 に 於 け る特 徴 を 捉 へ る事

は 出 來 な い.

26)電 氣的蝸 牛殻反應 に よる中耳内傳音 ,機 能 に關 する實験的研究

耳鼻科 浮 田 實 三

(9)

30  岡山醫學會第57回 總會演説抄 録

演 者 は ウ イ ー バ ー ・ブ レ イ 反 應 乃 至 電 氣 的 蝸 牛 殻 反 應 を 用 ひ,機 械 音 響 的 聯 成 系 と見 做 し得 る 中 耳 内 傳 音 系 の 各 器 官 に 人 工 的 諸 操 作 を加 え た る 際 の 反 應 化 を 實 驗 せ り.動 物 は 猫, 海 狽 で,之 に 用 ふ る装 置 並 び に 測 定 法 に 就 て は 圖 示 説 明 す.こ の 反 應 を 用 ひ下 記 諸 項 目に 就 き實 驗 せ る 結 果 を順 次 圖 示 説 明 せ ん と す.

1.猫,海 〓 に 於 け る正 常 耳 反 應 強 度 特 性 2.猫 の 聽 器 に 於 る 反 應 周 波 数 特 性

3.言 語 を 音 源 とせ る 際 の 反 應 に 於 ろ 明 瞭 度 4.鼓 膜 各 方 向 連 續 離 斷 時 反 應 變 化

5.鼓 膜 全 欠 損(槌 骨 も共 に 除 去)時 反 應 變 化 6.中 耳 腔 或 は 鼓 室 胞 水 銀 充 満 時 反 應 變 化 7.鼓 膜 張 筋 に 重 錘 負 荷 を與 え た る 際 の 反

8.鼓 膜 張 筋 切 断 時 反 應 變 化

質 問  西 田 勇

1.電 極 は ど こに 置 き ま す か.

2.得 られ た 電 壓 の 強 さ と感 畳 の 強 さ と の 間 に 何 か 關 係 あ りま す か.

答  浮 田 實 三

1.電 極 は 銀 箔 又 は 銀 線 と用 ひ,之 を 蝸 牛 殻 正 圓 窓 或 は 聽 神 經 に 置 き ま した.他 極 は 頸 筋 内 に お き ま した.

2.聽 覺 と 云 ふ 事 に な れ ば 臓 や 神 経 の 機 能 を 除 外 す る 事 は 出 來 な い.演 者 は こ の 現 象

が音響 刺戟 に對 して生體聽器 に現 はれ る客観 的 計測 可能 なる點 より,之 を機 械音響的聯成 系 と見做 し得 る中耳内傳音 系の機 能 を しらべ るのに用ひたの である,此 正圓窓 より檢 出 さ れ る電氣的變化が種 々の點 よ り見 て感畳 の強 さと平行性乃至 同義的の もの を有す るとは云 へ るが,こ の現象が直 ちに聽 覺 その物 であ る

とは考 えてゐ ない.

27)體 液表 面張 力の研 究(其 の1)

各種疾患に於け る血清 表面張 力に就 て 山岡内科 瀬 戸 桂 太 郎

體 液 表 面 張 力 の 臨 床 的 研 究 を 其 の 自 然 降 下 の 最 終 値 迄 系 統 的 に 廣 汎 な る 症 例 に 就 て 研 究 した の は 衣 川 氏 の み で あ る.氏 は30‑31度 の 恒 温 に て 測 定 した の で あ る が,私 は 之37度 を 及18度 の2つ の 温 度 の 下 に 測 定 し次 の 如 き 成 績 を 得 た の で 報 告 す る次 第 で あ ろ.

各 報 告 者 に 依 る 健 康 人 血 清 表 面 張 力値 は 第 1表 の 如 くで,私 の 場 合 は 第2表 の 如 くで あ る.肝 膽 道 膽 嚢 疾 患 中 肝 實 質 に 變 化 の あ る 場 合 は 第3.4表 の 如 く 著 明 に 低 下 し肝 實 質 以 外 の 變 化 の 場 合 は 第6.7表 の 如 く で あ り, 經 過 を追 つ て の 觀 察 は 第5.8表 の 如 く病 勢 の 輕 快 は 表 面 張 力 の 上 昇,悪 化 は 低 下 を 示 し

て ゐ る.

第1表  各報告者に依 る血清表面張 力(健 康人)の 絶對値

(10)

岡 山醫學會第57回 總會講演抄録  31

第2表  私の健 康者血清表面張 力の動揺範圍及 平均値

第3表  肝臓膽道膽嚢疾患 中肝實 質に變 化のあ る疾患

第4表  第3表 の動搖範圍及 平均値

第5表  肝實質に量 化のある疾患の經 過 を追つての觀察

(11)

32  岡 山腎學會第57回 總會講演抄録

第6表  肝膽道膽嚢疾患 中肝實 質以外 に變化のあ る疾患

第7表  第6表 の動揺範囲 及平均値

第8表  肝實質以外に變化 のある疾患 の經 過 を追 つての観察

質 問  西 田 勇

表 面 張 力 は ど の 位 の 精 確 度 で 表 は せ るか.

有 効 数 字 を4個 もか く こ とは 意 味 な い の で は な い か.

こ れ は 實 驗 成 績 の 内 容 を問 題 に す る の で は な く實 驗 成 績 の 表 は し方 が ど うか と 思 ふ.

答  瀬 戸 桂 太 郎

同1人 に 就 て の 測 定 の 結 果 共 の 動 揺 範 團 は 0.30ダ イ ン セ ン チ メ ー トル で あ り ま す.

實驗 成績の方は既報告者の それに從 つたの で あ ります.

答  山 岡 憲 二

第3位 の数値は判断の基礎 をなさぬか ら我

々の検 査成績 の判斷 に影響は無 いと思ふ,更

に第3数 値 を問題 にする必要が あれば更に今

後の報告で考慮 するであ らう.

参照

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