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マンションの生活を守る地震対策の考え方 マンションは耐火建築なので火災に強いのですが 高層のものが多く 集合住宅ゆえの問題点もあることを知っておくことが大切です 高層マンションでは上層階は低層階より揺れが激しく 家具の散乱により重傷者が出る率が飛躍的に大きくなります エレベーターは停止し 閉じ込め事

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日本列島は、環太平洋地震地帯の上にあり、いつどこに地震が来てもおかしくありません。 大きな地震が来ると、さまざまな被害がおきることは、1995年の阪神淡路大震災、そして 2011年の東日本大震災で経験しました。 マンション・集合住宅は、戸建て住宅と異なり規模が大きく、共同して生活が営まれています ので、そのことを意識して建物の構造的被害という課題だけではなく、けがを防ぎ、被災生活 の不自由さを取り除くなどの、生活を守る地震対策を進める必要があります。 このJASOの地震対策(マンション編)は、JASOが提唱する実効的な対策を示したものです。 地震に対する備えに一歩ふみだす手引きとしてお使いください。 地震対策の基本は、柱や壁などの構造体を強くすることです。既存の建物を強くする方法は、 耐震診断法・耐震補強法として整備されていますので、別途、ご相談ください。

2012年6月

特定非営利活動法人(NPO)

耐震総合安全機構

Japan Aseismic Safety Organization

自分たちで守る

地 震 対 策

マンション編

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・マンションは耐火建築なので火災に強いのですが、高層のものが多く、集合住宅ゆえの問題点もある ことを知っておくことが大切です。 ・高層マンションでは上層階は低層階より揺れが激しく、家具の散乱により重傷者が出る率が飛躍的 に大きくなります。 ・エレベーターは停止し、閉じ込め事故が起こる可能性も多くなります。 ・共用部の設備の耐震性を高めておかないと、居住できない期間が戸建て住宅に比べて長くなります。 ・管理を管理会社に任せっぱなしとせず、地震時は居住者が協力して対応できるように日頃から備えて おくことが大切です。 このような戸建て住宅と違う特徴を心得て、対策を講じておくことが、被害を少なくする上で必要です。

■ 高層階は揺れが大きい

・建物の揺れは上の階にゆくほど大きくなり、上層階の揺れは1階の2~3倍となります。これは、下 の階に比べて震度が1又は2階級 上になったことになります。 ・揺れが大きいと、家具の転倒・移動が激しくなり、時には死亡につながる負傷の原因となります。 ですから、上層階ほど家具を強固に固定する必要があります。 ・人の行動は、震度5強で難しくなるといわれていますが、高齢者では5強以下でも難しそうです。 このことも頭に入れておきましょう。 高層マンション 震度イメージ 地震による負傷の原因分析例

■ 外周りが被害を受ける

・建物はしっかりした杭に支えられていても、外周りは液状化したり、くずれたりするするおそれがあ ります。 ・建物周りの地面と建物との沈下の差が大きくなり、給排水管が破損する場合が多くみられます。 掘削・埋め戻し深さに応じた不同沈下量を推定して、対策を講じておきます。 ・屋外に設置された機器の基礎が浅いと、転倒や不同沈下による事故が発生しやすくなりますので、 対策を講じておきます。

マンションの生活を守る地震対策の考え方

ガラス 本人転倒 家具転倒 その他 落下物 高層階 震度 7 家具の散乱激しい 中層階 震度 6強 家具の散乱 低層階 震度 6弱 一部の家具転倒 地表震度 6弱と想定

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■ 地上への移動が困難

・エレベーターが止まり、通路や階段では、天井や壁が落下します。そして、避難が困難となります。 ・食料や水および排泄処理等に対する備えは、低層階は3日分以上、高層階では1週間分以上が必 要です。

■ 多所帯なので、被害が広がるおそれがあります

・上下水道などの施設は1戸の被災が元で、その系統の全所帯のサービスが停止することになります。 各戸の防災対策は必須です。 ・避難時には、各戸の水道の元栓を止め、電力のブレーカーを切っておきましょう。 ・出火に対しては、ご近所が協力して消火することが大事です。

■ 共用部の被害は全戸に影響します

・屋外・屋上に設置した機器、タンクと、外から建築物へ導入する配管の被害が多くなります。 ・玄関扉、通路、階段、エレベーター、出入口、塀など避難経路を守ることも重要です。 ・開かなくなった玄関扉を居住者が協力して開けるためのバールなどを準備しておきましょう。 ・塀の倒壊例が多く危険です。塀に取り付く出入り口が開閉不能となる怖れがあります。 ・出入口の大きなガラスの破損は重傷の元です。ガラスに飛散防止用フィルムを貼ると効果的です。 玄関の被害 建物周りの配管被害 屋外階段の被害

■ 助け合いができると安心

・家族全員が揃って家に居る時間は少なく、高齢者や子供のみの時間帯に残った家族を守ってくれ るのは隣人です。 ・大地震の時には管理会社や消防の助けを期待できませんので、エレベーターに閉じ込められた場 合の備えをしておきましょう。 ・建物にあった診断をして、皆で有効な対策をたてましょう。全員の協力によって安全なマンション とすることが出来ます。

— 戸建て住宅との違いを知って備えよう —

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 大地震に遭遇すると、建物が崩壊や倒壊しなかったとしても、怪我をしたり、エレベーターに閉じ込 められたり、火災が起きたり、避難しなければならなかったりと、さまざまな被害を受けることが考え られます。  地震に対して備える基本は個人です。しかし、個人では備えきれないこともあります。そこでお互いに 助け合うことが必要となります。  ① 自分で身を守ることができにくい人を助ける。  ② 被災生活を助けあう。  ③ 共用部分の対策をすすめる。  などです。  ①②をすすめるためには自治会を始めいろいろな組織が考えられますが、③は区分所有者の集まり である管理組合がやるしかありません。そして①②も③と関係がありますから、協力して地震対策をす すめる助け合いの中心は管理組合ということになります。  とくに大都市圏で大地震災害がおきると、避難所は家を失った人々を収容する必要があるため、建 物が健全な場合は、自宅で被災生活を送ることになります。マンションが倒壊しなければ、そこで生活 ができるように準備しておくことが、管理組合の重要な課題です。  こうした助け合いをうまく進めるためには、前もって準備しておくことが重要です。そのためには、 常日頃から、共同生活をうまくすすめるように、防災訓練などの行事を活発にすることが役に立つで しょう。 管理組合の位置づけ

管理組合の対策

管理会社 居住者 町内会など 自治体 (行政)

管理 組合

不 在 区 分 所 有 者 区 分 所 有 者 (賃借人等)

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準 備

次ページに大地震が来たらどうするかを示しています。そのために何を準備すべきか示します。

■「人」の準備

① 誰が住んでいるのか? 助けを必要とする人は? 助けることができる専門家は? 緊急時の連絡先は? ② 非常時の役割・体制(リーダー・救助・消火・外との連携・共用部被害の把握・生活支援・警備)は? ③ 防災訓練の実施

■「もの」の準備

① 共用部(玄関・廊下・階段・外構・電気設備・給水・排水)の耐震対策 ② 消防用設備などの点検整備 ③ 各住戸内の耐震対策(家具の転倒防止など)の支援 ④ 共用備蓄(道具・備品・非常食類)の点検・補充

■「情報の取得・発信」の準備

① 町の一員として、行政、町内会、自治会、消防団、防災組織との情報交換・連携 ② 各住戸の地震対策の周知(家具の転倒防止、水や食料の備蓄) ③ 避難時の行動指針(ブレーカーを落とす、蛇口を閉める、連絡先の表示など)の周知 ④ 非常時の情報収集と伝達のしくみ確認(掲示板、回覧板、放送設備など) ⑤ 警察・消防・エレベーター管理会社への要請 ⑥ 建築・電気・水道・ガス・通信などの補修依頼 ⑦ けが人の手当・移送 国土交通省は「マンション管理標準指針」の中で、管理組合の防災対策について、以下のような対応を 示しています。 標準的な対応 ① 防火管理者の選任 ② 消防計画の作成及び周知 ③ 消防用設備等の点検 ④ 災害時の避難場所の周知 ⑤ 災害対応マニュアルの作成・配付 ⑥ ハザードマップ等防災・災害対策に関する情報の収集・周知 ⑦ 年1回程度定期的な防災訓練の実施 望ましい対応 ① 災害時に必要となる道具・備品・非常食類の備蓄 ② 高齢者等が入居する住居を記した防災用名簿の作成 ③ 災害発生時における居住者の安否確認体制の整備 ④ 災害発生時における被害状況・復旧見通しに関する情報の収集・提供体制の整備

— 助け合いは管理組合が中心で —

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 事前の準備をするためには、いざ地震が来たときどうするかを想像することから始めましょう。 少し被害を大きめに考えます。管理組合がどこまでできるのか、住民が協力すべきことは何かをはっき りさせておくことが大事です。

1.安否確認と救助・救護

 居住者の安否を確認し、協力して救助活動を行います。住戸の中で家具の下敷きになっている人 がいる可能性もあります。道具類、災害用の居住者名簿等を活用して、各戸を見回りましょう。  万一、閉じ込められて救出が難しかったり、大けがをしていたら外部の助けを求めます。

2.消 火

 万一、火災が発生したら、消火栓・消火器などを使って消し、被害を最小に抑えます。

3.誘導避難

 必要に応じて避難場所へ誘導します。避難場所までのハザードマップがある場合は活用します。 その場合、戸締り、電気・ガスの遮断を確認し、連絡先などを明らかにしてもらいます。

4.建物の被害状況の確認と応急処置

 危険な個所(例えば鉄骨階段、エキスパンションジョイント部など)、エレベーターや自動ドア、 給水・排水、電気、ガス等の被害を調べます。建物や設備の図面が災害用に用意してあると便利で す。危険個所、ライフラインの使用禁止等を居住者に知らせ、二次災害を防ぎます。可能であれば、 工具類、清掃用具、ビニルひもやベニヤ板等を活用して応急復旧をします。非常用の給水装置、仮 設便所等がある場合は装置をセットします。点検・補修が必要なもの(建築、ガス、給排水、電気、 エレベーター、電話)は速やかに担当窓口に連絡します。

5.防災倉庫等の物資の活用

 防災倉庫の物資は、救助用具、非常食などマンションによってさまざまです。防災倉庫を管理す る者が適切なタイミングで開錠して使用します。日頃から、鍵のありか、使い方を把握していないと、 いざというとき使えません。訓練等で定期的に点検し、メンテナンスしておきましょう。  夏祭りのイベント用品(なべ、コンロなど)もこのようなときに役立ちます。

大地震が起きたら 管理組合がする事

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6.情報の収集、伝達、発信

 建物の被害と復旧の見通し、居住者の避難先、住戸内の立入り連絡等の情報を集めて、掲示板や 広報にて伝達します。避難した居住者にどうやって情報を伝えるのか、また居住者から寄せられる 情報提供にもどのように対応するか、あらかじめ考えておく必要があります。

7.被災生活を助け合う

 電気・水などが供給されない中での被災生活は大変です。特に、体の弱い方や、高層階に住ん  でいる方は大変です。ここを居住者で助け合えればよいでしょう。

8.水、電気、ガス等の復旧の立会

 ライフラインの停止後、復旧を行うには、漏水、漏電火災等の二次災害の予防が絶対条件です。 ブレーカーの確認などで住戸に立入りが必要な場合もあります。居住者との連携がうまくいくよう に、あらかじめ居住者に対して災害時の復旧方法を周知しておくことが重要です。

9.見回り等の防犯活動

 玄関扉やオートロックが破損したり、夜間の停電が続いたり、避難による留守が増えたりすると、 不審者がマンションに侵入する恐れがあります。見回りなどの防犯活動を行うとよいでしょう。

10.補修・復旧

 建物が被害を受けた場合、管理組合員(区分所有者)を集めて、補修・復旧について協議しなけ ればなりません。いざというときに管理規約、管理組合員名簿等、緊急時連絡先等を確認できるよ うに保管しておくことが必要です。

— 地震対策本部を —

地震直後のごみ置き場 エントランスの柱に地図を貼って伝えている

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地震火災の特徴として挙げられるのは  ① 地震直後の同時多発火災  ② 時間経過後に起こる通電出火  ③ 密集市街地での都市大火 大地震の当日には平常時の50倍もの 出火が予測され、公設消防の活動力を はるかに上回ってしまうことも考えら れます。また出火地点は揺れが大きい 地域に集中する傾向が見られます。 マンションの上層階は揺れが大きくな ることから、相対的に出火危険も大き いと考えられるので、公設消防に頼ら ず自衛するという心構えが欠かせません。 出火原因として挙げられる特徴は、停電が復旧した後に転倒・破損した電気器具類が発熱して周囲の 物に燃え移るという「通電出火」ですが、これは注意すれば防止が可能です。 さらに、建物が密集市街地に近接している場合には、市街地火災からの類焼にも気をつけなければな りません。類焼防止対策は個人では難しく、マンション全体として考える必要があります。

出火防止

■ 自分の家から火を出さない

まず「自分の家から火を出さない」ことが基本です。 出火防止のためには「直火」を出来るだけ減らすことです。その意味で「オール電化」タイプの住宅 ならまず安心と言えるでしょう。都市ガスについては、「マイコンメーター」などの緊急遮断装置が 備えてあれば、地震動を感知して自動的に遮断されるのでこれも心配は少ないと言えます。 また、石油ストーブ・電気ストーブなどの暖房器具は、感震遮断装置付きのものを使用するようにし ましょう。  停電後の復電に伴い、地震で転倒・破損した電気器具から発火する「通電火災」防止のために、 ・避難時にはブレーカーを切って退出する ・停電が復旧したときには電気器具類の安全を確認してからブレーカーをオンにする ・ブレーカーを「感震機能付住宅用分電盤」に変更する ・大型液晶テレビなどの電気器具類について転倒・破損の防止策を講じる

防火対策

関沢愛、座間信作:地震被害は何によって左右されるか、「SAISMO」平成15年2月号

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初期消火・延焼防止

■「地震だ、火を消せ!」より「まずは身の安全」

キッチンから少し離れた位置にいた場合など、ゆれて いる中であわてて火のそばに駈けつけようとするの は火傷や怪我の元、かえって危険です。強い地震動の ときにはまず身の安全確保が第一で、最初のゆれが止 まってから火を消しに行っても遅くはありません。 万一何か周囲の物が燃え出したとしても、2~3分の うちであれば、初期消火によって容易にボヤで消し止 められます。 ・各住戸で備える消火器は薬剤1.5kg以下の小型のものが扱いやすい ・三角の消火水バケツは、数回に分けて水をかけることが出来るスグレモノ ・風呂の水の汲み置きも有効 ・近隣との共同で消火器や防火用水を準備しておく

■ 窓とドアで延焼防止

マンションは一般的に各住戸が独立の「防火区画」を構成しています。弱点は「開口部」すなわち窓、 ドアなどの部分です。たとえば、火災時に玄関の扉が開放されたままだと、火や煙がそこから噴出し て他の部分にも被害をもたらしてしまいます。玄関の扉は自動閉鎖式にしておくのが原則です。 ・玄関扉が自動閉鎖式になっていない場合には、ドアクローザーを取り付ける もうひとつの問題は、バルコニー経由の延焼です。通常の形態と寸 法を持ったバルコニーがあれば、下の住戸が火災になっても上の階 には延焼しないと考えられていますが、それはバルコニーに何も物 が存在しない場合の話です。もし洗濯物が干してあれば容易に火 がついてしまいますし、木製やプラスチック製品が置かれていれば、 これも燃え出すでしょう。 ・バルコニーには大量の可燃物を置かない ・窓のカーテンは「防炎物品」を使用する バルコニーがなく、窓台の高さが低い大きな窓の場合、法令上の防 火区画の規定には適合していても、建物の状況によっては下階で火 災が発生したときに窓からの噴出火炎が上の階の窓まで届いてし まう可能性があります。スプリンクラーがある建物ならば一応安全 といえますが、そうでないときには、室内の家具配置に配慮するな ど特別な対応が必要です。 バルコニーからの延焼例  

— 公設消防に頼らず自衛で —

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避難対策

 火災発生時、または建物倒壊の恐れのある場合等は、揺れがおさまったあと速やかに避難しはけれ ばなりませんが、地域の避難施設はすべての住民を収容できるわけではありません。建物に倒壊のおそ れのない場合、避難するのか、留まるのか、事前に確認しているマンションの立地・耐震性能・周辺状況 等を踏まえ、いろいろなケースを想定し話し合っておく事が重要です。

部屋からの避難

■ 部屋から廊下へどうやって逃げる?(自助+共助)

 構造的にしっかりした建物なら、 大きな地震を受けてもすぐに屋外 に避難する必要はありません。しか し、火災になれば避難しなければな らないし、外へ出る通路を常に確保 しておく必要があることは当たり前 のことでしょう。  大地震時には、室内では玄関ま での通路に大きな家具が転倒して、 行く手をふさいでしまうような事態 が起こりえます。また、建物によって は、玄関扉が地震で変形して開かな くなるおそれもあります。 ・家具の配置を見直し、出口にいたる通路への転倒防止策を講じる ・玄関の扉を耐震性能のあるドアに交換するか、または被害軽減のため壁を改修する ・万一の「閉じ込め」対策として、バールなどの工具を用意しておく ・中から開かない場合には、外からこじ開けて助ける→ 事前の話し合いが大切 ・変形・破損したドアをこじ開けた後は閉まらなくなる→ 防犯対策を考えておきたい 万一玄関から避難できないときに、もうひとつ の手段として、バルコニーを経由して避難する 方法も考えておく必要があります。 ・バルコニー~隣戸経由の避難のため、仕切り 板付近には固定的な物品を設置しない ・バルコニー経由の避難について、お隣と事前 に話し合っておく 建物内避難ルート

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建物から外への避難

■ 建物出口から屋外〜道路までもどうやって逃げる?(共助)

 住戸の玄関から廊下、階段、建物出口、道路 にいたるまでの避難経路のすべての部分につ いて障害物を取り除き、各部分の耐震安全性 を確認して、破損・落下などのおそれがある場 合には改修・補強をしておくことが大切です。 ・避難障害となる放置物品の整理・撤去 耐震安全性を確認しておく必要があるのは、 ・避難経路の壁・天井や防火戸の状況 ・屋外階段の構造強度 ・出口自動扉の停電時の開放方法 ・敷地内の屋外構造物の状況 ・屋外避難経路への落下物危険の有無 ・避難通路脇の洗濯機や室外機の状況

■ 類焼防止対策(共助)

 地震といえば市街地火災が連想され ます。マンションの敷地が木造密集市街 地に近接している場合や、大規模な木造 建物に隣接して建てられているときには、 耐火建築であっても類焼する危険性に 考慮する必要があります。類焼は主に窓 への炎や放射熱によって生じますが、市 街地火災の巨大な炎や熱は建物の高い 部分にも達してしまいます。建築基準法 の規定には適合している構造であっても、 それだけでは必ずしも市街地火災から の類焼を防ぐには十分でない場合があり ます。  市街地火災からの類焼危険の判断はかなり難しく、防火の専門家に相談する必要があります、類 焼危険が高い状況の中で建物を守るには、窓の外側にシャッター等の防火設備を設置するといった 対策を講じることが有効ですが、緊急対策としては大きな地震後に近隣の市街地で火災が発生した ら、窓を閉めて窓の直近にある室内の可燃物をすべて一時撤去する、等も考えられます。

— どう避難するか考えておく —

阪神・淡路大震災で類焼した耐火建築物(神戸市内) 屋外への避難ルート

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津波対策

 阪神・淡路大震災では地震動そのもの、および火災 により大きな人的・物的被害が発生しましたが、東日 本大震災では地震後の巨大津波により大きな人的・ 物的被害を受けました。東北3県の死亡者の死因の 約9割が溺死と言われています。  東日本大震災後、これまで「想定外」として検討対 象から除外していたもの、さらに東日本大震災で得ら れた知見を含め国、及び各地方自治体により想定地 震規模・津波浸水予測等の見直しが行われています。 (神奈川県等は新たな津波浸水予測を公表済み)

■ マンション立地の確認

津波への対策としてまずはマンションの立地を認識、浸水時の状況を想定しておくことが必要です。 ・マンション敷地の地盤高さ(海抜)、津波浸水予測、浸水深さを確認 自治体のホームページから確認できる場合もありますが、ない場合は市役所・区役所等で確認し てください。海抜高さは一般的にT.P.:東京湾平均海面からの高さで表示されます。 東日本大震災の知見をもとに見直しされたもの(東京都などは検討中のため平成24年4月時点未 公表)を確認してください。 地震により地盤が沈下する場合もあり、また津波は水だけではなく漂流物による破壊力もあり、マ ンション敷地浸水時の想定は余裕を持って行う必要があります。東日本大震災においては、青森県 から千葉県の太平洋沿岸にかけて最大1m近い地盤沈下が観測されています。

■ 浸水時の影響

浸水深さが膝下(50㎝)程度にな ると避難の歩行速度が著しく低 下し、50㎝を超えると乗用車が浮 き、流され始めます。浸水深さ2 mを超えると木造住宅のほとん どが倒壊します。鉄筋コンクリー ト造建物は津波に対しては強い とされていますが、浸水深さより 3m(1フロア分)以上の高さが無 い場合は避難が必要と考えるべ きです。 東日本大震災 津波被害

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— まずは安全な場所へ避難 —

津波浸水の恐れのある地域に立地するマンションでは、その浸水予測深さに応じて津波時の状況・対 応策を事前に想定しておくことが大事です。

■ 浸水時の想定

 前述したように、建物高さが「浸水予測深さ+3m」より低い場合は建物内に留まらず速やかに高 台へ避難すべきです。  建物としては避難する必要が無いとしても、下層階の居 住者が上層階、若しくは屋上に避難しなければならない 場合があります。マンションにおける避難については火災 時の下階への避難を想定するのが一般的で、上層階への 避難は想定されていない場合がほとんどです。エレベー ターは利用できませんので階段にて上層階・屋上への避 難を想定し、そのルートを再確認してください。 上層階への避難確認 ・階段入口扉、屋上階段扉セキュリティロックの解除方法 ・屋上の設備機器転倒防止 ・上層階における避難スペースの確保 ・浸水の恐れの無い上層階での備蓄

■ インフラ施設への浸水 他

 津波浸水時、地域の電気・ガス・給排水等のインフラはその機能を失うことになります。さらに、 マンションのインフラ施設(電気室・機械室・受水槽等)は1階や地階に設置されている場合が多く、 諸室への浸水により機能を失います。  屋外に設置してある受水槽や受変電設備は浸水、又は漂流物により倒壊・流出する恐れが高く、 これを防ぐため屋外施設の固定を強化、周囲に防護壁設けるなどの対策を行っておけば地震後の復 旧を早めるために有効です。  駐車場については浸水は止むを得ないとしても、前述の通り浸水深さ50㎝を超えると乗用車の流 出が始まるため、流出した車が避難・救出路を遮断したり二次被害起こさないよう、屋外駐車場に強 固な防護壁を設けておく等の対策を講じておくことも有効です。

■ 津波避難ビル(地域との共助)

 津波時に周辺に短時間で避難できる高台が無い地域(避難困難地域)では、鉄筋コンクリート造 の高層建物等を津波避難ビルとして指定し、周辺の木造住宅等の居住者を収容することが計画され ています。  津波浸水の恐れのある場所で、木造住宅の多い地域に立地するマンションでは「津波避難ビル」 に指定されていなくとも津波時周辺居住者が避難してくる可能性があります。  万が一の場合に混乱をきたさないよう、このような場合にもどう対応するか管理組合として話し 合っておくべきです。 上層階、屋上への避難

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 電気、水道、ガスはマンションに引き込まれ、共用部を通って、各住戸に配られます。また、排水は、 各戸から共用部を通って集められて外へ出ていきます。これらの地震被害は、外との接続部の障害、共 用部での配線や配管の損傷、機器の損傷、機器設置部の障害、供給元の障害で起こります。ですから、 対策の基本は、 ① ルートにそって、弱いところを補強する          ② 供給が停止しても被災生活を維持する という2点になります。 水道のルート 電気のルート 下水のルート

■ 水道の引き込み部・受水槽と高置水槽の点検

 公共の給水が止まりマンションの水道も止まるでしょう。しかし、公共水道が復旧した後、建物へ の引き込み部・受水槽・高置水槽等の障害があると、マンションの水道の復旧が遅くなります。 これらの共用部の耐震対策が十分か点検し、必要な修繕と補強をしておきましょう。

■ 受水槽・高置水槽に緊急遮断弁をつける

 地震を感知して水の流れを遮断する緊急遮断弁 を受水槽・高置水槽に取り付けると、公共の水道 が止まっても水槽の水を確保して有効に使えます。  この場合、水槽自体の耐震性能が適切か、水槽 が倒れないようしっかり固定されているか、も重 要です。

■ ガス器具は自動消火付きに

 ガスはガス会社の方で止める他、各戸のメーターでも自動的に止めます。コンロなどのガス器具 自体が自動消火付きになっていればなお安心です。地震がおさまったら、復旧を待つ間、確実に元栓 を閉めておきましょう。

電気・水道・ガス・排水の対策

受水槽緊急遮断弁

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— 止まることを前提として備える —

■ 日常の維持点検が大事

 大地震時には、電気・水道・ガスは止まります。一刻も早く復旧してもらいたいものです。そのため には、マンション内外の被害をおこさないように、常日頃点検しておくこと、点検・補修の専門家との コンタクトが必要でしょう。

■ 設備器具などが加害者にならないように

 電気・水道・ガスなどの機器が加害者となって、けがをおこすようなことのないように点検して必要 な対策をとることも確認しておきましょう。天井から照明器具などが落ちてきたり、テレビが移動し たり、空調機が転倒したりすると、けがのもとになります。ガス器具からの火災にも注意が必要です。  貯湯型の電気温水器がある場合、きちんと固定されていないと傾斜・転倒し、お湯や水が大量に 漏れることがあります。事前に固定状況を点検しておくことも必要です。

■ 水の用意

 1日1人2〜3ℓ程度の飲料水が必要といわれています。自分が被災した時のイメージで必要量の 用意をしましょう。高層・超高層マンションなどの上層階の方は、エレベーター無しで水を自宅に運 ぶのは大変です。多くの備蓄があると安心です。  風呂の残り湯は、万一の場合の消火、トイレ等役に立ちます。  給水車が来てくれれば、水をもらえます。運びやすい入れ物を用意しましょう。

■ 排泄物の処理対策を忘れずに

 給水が止まると、トイレが使えなくなります。また、水が出るようであっても、排水経路が壊れて いるとトイレ・台所など水は全て流せません。非常用の排泄物処理キットが市販されています。マン ション全体で非常用トイレなどが用意できれば良いでしょう。  水を流すと壊れた場所から漏れて二次被害が発生する可能性があります。配管に問題の無いこと が確認されてから水を流すようにしましょう。

■ 電池、発電機などの用意

 大地震に見舞われれば、必ず停電するでしょう。停電したときに何が必要か。最低限、あかり、煮 炊き用の器具・燃料等でしょうか。ろうそく・マッチ・ライター・懐中電灯・電池・(手動)発電機・カ セットコンロ・ラジオ・テレビ・携帯電話・・・・  電気の復旧には、数日から1週間程度かかるでしょう。それまでの用意が必要です。住戸内の電気 配線に損傷があり電気復旧の時に漏電し火災になる怖れもあります。停電したら、電気のブレーカー を切っておくことも重要です。

■ 情報交換の方法

 電話やラジオ・テレビなどの情報交換は、すべて電気に頼っています。停電したときの情報交換の 方法を用意しておきましょう。  忘れてならないのは、各戸の内と外・管理組合との情報交換です。原始的な張り紙・回覧板・メガ ホンなどもあると良いでしょう。  家族の間でも、いざというときの連絡方法を決めておくとよいでしょう。

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エレベーターの対策

 エレベーターは、建物のシャフト内のレールに沿って人が乗る「かご」を上下させます。かごにつなが るロープを機械室におかれた巻き上げ機によって動かします。そういうしくみですから、地震が来て建 物が揺れると、障害が起きる可能性が大きいのです。障害が起きた結果、エレベーターが止まり、場合 によってはかご内に閉じ込められるおそれがあります。また、復旧に時間がかかり、エレベーターなしの 被災生活を余議なくさせられます。 閉じ込められないようにすること 閉じ込められたら救出されるまでの対策を準備しておくこと エレベータなしで被災生活を送るための準備をすること       がエレベーターの対策です。

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— 閉じ込めの防止と事前の準備 —

・非常用飲料水 ・非常用食料 ・簡易トイレ ・救急用品 ・ホイッスル ・懐中電灯 ・ラジオ   等 例)コーナー型 例)椅子型

■ 耐震性能の確認・補強と地震管制システムの確認が先

 エレベーターに必要とされる耐震性能、地震管制システムが十分かどうか、エレベーターを保守し ている会社に確認し、必要ならば、対策を進めましょう。

■ 地震を感じたら

 地震が発生したときに、最寄り階に停止させる地震管制システムがあれば一安心ですが、それで も、管制運転が間に合わない場合もあり、閉じ込められるおそれもあります。万一、エレベーターに 乗っていて地震を感じたら、行き先階のすべてのボタンを押していち早く止めましょう。  また、緊急地震速報を受信したら、エレベーターの利用は避けてください。

■ 閉じ込められた時のために

 閉じ込められたら、外からの救助を待つことになります。待つ間に必要な物資(懐中電灯、水、簡 易トイレ等)をかご内に用意してあれば役に立ちます。電気が止まると照明が消えるため、出来るだ け落ち着いて救助を待って下さい。  閉じ込めが発生したときの連絡・救出について、エレベーター管理会社と確認しておきましょう。

■ エレベーターなしの生活

 エレベーターの復旧は、電力の回復、点検・補修など専門家に委ねられます。 復旧までの間、エレベーターなしの生活となります。必要な水・食料等の用意、助ける・助けられる関 係の用意も必要です。

■ エレベーターも日常の維持点検が大事

 エレベーターは高度なシステムです。地震の時に不具合が出ないように維持し、万一不具合が出 たときの解決は専門家に委ねられます。常日頃の維持管理体制を確認し、非常時にも、適切な対応 が得られるような関係を構築しましょう。 エレベーターのかごの隅に防災キャビネットを用意する

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家具の地震対策

■ 負傷の原因は家具の転倒、移動、散乱による

負傷の原因は、家具の転倒などであることは容易に想像 されますし、過去の地震被害のデータにもあらわれてい ます。また、家具の転倒などを避けるために慌てて動き、 転んだりしてけがをしたことも報告されています。さら に、家具の散乱が地震後の避難などの活動に大きな障害 となることも想像できます。ですから、家具の被害を抑え ることはきわめて重要です。 家具散乱

具体的な対策

      (転 倒)     (扉の開き)       (上段のずれ)    (寝床にテレビの落下)   (壁に固定)   (天井に固定)    (床に固定)   (上下の連結)    (扉の開き防止)

(19)

— けがを防ぐ —

家具の転倒・移動危険性チェックポイント

 各自で、家具の転倒・移動危険性がチェックできるように、以下にチェック項目を示しました。当ては まらない項目がある場合には、家具の転倒・移動対策を見直すことが必要です。

家具の置き方について

□ 寝る場所には家具が倒れてこないような家具配置になっている

□ 各部屋の出入り口付近で、扉の開く方向には、家具が倒れてこないような配置になっている

□ 廊下や玄関に、転倒・落下する危険性の高いものを置いていない

□ 背の高い家具を間仕切り壁代わりに使っていない

固定対策の有無について

□ 背の高い家具(本棚・食器棚・タンスなど)には、転倒防止対策を施している

□ 背の高い家電機器(冷蔵庫など)には、転倒防止対策を施している

□ 台上におかれた家電機器(テレビなど)や重い置物には、台に固定するなどの落下防止対策を

施している

□ 二段重ねの家具(和ダンスなど)は、上段と下段を緊結している

□ キャスターのついた重い家具(ピアノなど)には、移動防止対策を施している

固定方法について

□ 壁にビス止めする場合、壁に十分な強度があるかを確認している

□ 家具の天板にビス止めする場合、天板に十分な強度があるかを確認している

□ 突っ張り棒を使用する場合、天井に十分な硬さと強度があるかを確認している

□ 突っ張り棒は壁側に取り付けている

□ 粘着マットを使用する場合、床面や家具底面によく接着することを確認している

その他

□ 重いものをなるべく下に収納している

□ 背の高い家具(タンスなど)の天板上に、重いものを載せていない

□ 食器棚には、耐震ラッチが付いている

□ ガラス扉には、飛散防止フィルムが貼ってある

■ 大地震時の家具の被害については、(独)防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター「E-ディフェンス」での 実験をごらんください。 (兵庫県のホームページ「平成20年度E-ディフェンスを活用した減災対策推進事業」で映像がごらんになれます) ■ 具体的な家具類の転倒・落下防止対策は東京消防庁の「家具類の転倒・落下防止対策ハンドブック」に詳しく説明 されています。(東京消防庁のホームページにも載っています)

(20)

緊急地震速報の利用

— わずか数秒でも身構えられる —

災害用伝言ダイヤル

— 効率的な安否確認システム —

■ 原理

 緊急地震速報は、震源に近い場所に配置された地震計によって地震の始まりをキャッチすると同時 に、その強さを予測し、本震が届く前に情報を伝えてくれるしくみです。わずか数秒の時間差かもしれ ませんが、身構えるのに役立つでしょう。

■ 利用方法

 一般向けの速報の利用としては、次のようなものがあります。    ① テレビ・ラジオ   NHKをはじめ民間放送が速報を流します。    ② 専用受信機    専用の受信端末を用意して受信します。    ③ 携帯電話 等   NTTドコモ、au、ソフトバンクなどで無償サービスを提供しています。

■ 何をする

 上から何か落ちてこないか、出口は、何処に身を置く、身を守るものを、火は、……

■ しくみ

 大規模な災害が発生した場合に、電話を用いて音声による伝言板の役割を果たすシステム。 電話がかかりにくい状態でも、安否確認などに使われます。

■ 利用

 被災地の方は、電話番号171に電話し、自宅の電話番号などをキーにしてメッセージを登録します。 被災地以外の関係者は、電話番号171に電話し、被災者の電話番号を入力してメッセージを再生でき ます。

(21)

備 蓄

— 何が起こるか想定して必要なものを —

 地震に対し必要なものとはなんでしょうか。何がおきるかを少し過大に考えると、何を備えたらよい かわかります。

■ 揺れ出したら

 揺れ出したら、すぐに身構えなければなりません。頭・体を守るものを用意しておきましょう。 ヘルメット・帽子・タオル・布団……

■ 揺れがおさまったら

 揺れがおさまったら、とにかく動き出すでしょう。火を消す。けがの処置 靴(サンダル・スリッパ)・手袋・懐中電灯・救急薬品・消火器・ろうそく・マッチ……

■ 避難が必要なら

 もし、避難が必要なら、避難場所まで行くための道具を使います。 家の鍵・小銭・タオル・帽子・ドアを開ける道具……

■ 外への連絡・情報収集

 安否確認など、外への連絡が必要です。また、外で何がおきているかの情報収集も必要です。 電話・携帯電話・テレビ・ラジオ・非常用電源・張り紙・セロテープ・筆記具……

■ 片付ける・応急補修

 家の中は、ものが散乱しています。片付けるとともに、簡単な修理ができればよいでしょう。 掃除道具・ビニール袋・ひも・ガムテープ・金槌・ドライバー・ペンチ・ナイフ……

■ 被災生活

 電気・水道・ガスというインフラが止まります。それらが無くても生活を維持する備え。最低3日分は 必要か。 水(1人1日2〜3ℓ)・食料・灯り・排泄物処理・毛布・風呂の残り湯…… ここまで考えてくると、       自分ではできないことがあること、つまり共助が必要であること       備蓄しなくても良い、つまり被害が出にくい建築・設備が望まれること があらためてわかるでしょう。

(22)

 東日本大震災では首都圏でも地盤液状化に より建物や給水・排水等のインフラに被害が 出ました。  液状化の対応として、まずはマンション立 地の地盤が液状化を起こすおそれがあるかの 確認が必要です。  地方自治体によっては防災ハザードマップ 等に液状化のおそれのある地域が表示されて おり、おおよその目安を付けることは出来ます。 詳細にはマンションの設計図書の地盤資料等 にて専門家に相談してください。 東京都液状化予想図:東京都土木技術支援・人材育成センターホームページより  鉄筋コンクリート造マンション等では強固な地盤に直接、または杭により支持されていますので地 盤液状化により建物本体が傾いたり倒壊することは稀です。(著しい液状化により杭が損壊する場合も あります。)  液状化の恐れのある地域では、付属建物(駐車場棟・駐輪場棟・機械室棟等)は簡易な基礎の場合も あり、液状化により損傷を受けるおそれがありますので、付属棟の基礎について設計図書により確認し ておく必要があります。  屋外のインフラ埋設配管(電気・ガス・給排水等)も液状化により損傷を受けるおそれがありますが、 配管は敷地内広範囲に存在し、地上部を駐車場等で使用しているケースもあるため、地盤改良などの 対策を講じる場合は、液状化の危険性・配管の重要度・対策工事費用等を含め専門家に相談の上検討 すべきです。  液状化により設備インフラが損傷を受けた場合、復旧に時間がかかるおそれもあり、食料・水などの 地盤液状化によるマンホールの浮き上がり

地盤液状化対策

— 設備インフラ損傷を考慮し備蓄準備を —

《凡例》 液状化が発生しやすい地域 液状化の発生が少ない地域 液状化がほとんど発生しない地域 「東京低地の液状化予測」による

(23)

下記のチェック項目について既に確認・もしくは行っている場合は

に「 」を付けてください。 「 」がつかない項目については、すみやかに対応を検討してください。

■ 建物対策

建設時期は昭和56年6月以降である   NO 

専門家による耐震診断を行い、改修不要とされた       NO 

耐震診断により問題があり、耐震補強工事を行った

屋外避難階段の構造強度を確認している

津波による浸水のおそれの無い地域である

地盤液状化のおそれの無い地域である

■ 設備対策

受水槽・高置水槽等の設備機器の耐震対策を確認している

□ ガスはマイコンメーターになっている

受水槽に地震感知緊急遮断弁を設置している

エレベーターには地震管制システムが設置されている

□ エレベーターに閉じ込め防止システムが設置されている

■ 避難対策

□ 避難通路となる廊下・階段・屋外通路に障害となるものが無いか確認している

避難通路となる廊下・階段・屋外通路に落下物の危険が無いか確認している

出口扉セキュリティロックの停電時開放方法を確認している

バルコニーに避難障害となるものを置かないよう周知徹底している

津波が来る場合の避難場所を確認している

■ 管理組合の対策

地震災害時の対応・組織・連絡体制等を管理組合にて作成している

居住者を含め、マンションの防災設備の点検・使用訓練を定期的に行っている

居住者を含め、災害時の防災訓練を定期的に行っている

地域の一員として町内会等の防災組織と情報交換・連携を行っている

消火器・バール・災害用仮設便所等 防災機器を準備している

■ 各戸の対策

最低3日分の水・食料等を備蓄している

家具転倒防止等地震対策を行っている

排泄物の処理対策を準備している

地震対策チェックリスト

(24)

最寄駅:護国寺駅(東京メトロ有楽町線) 便 神田川 新目白通り 目白通り 不忍通り 護国寺 日本大 豊山高・中 椿 セブンイレブン● ファミリーマート● ▼6番出口 JASO事務局 PAL音羽ビル7F 特定非営利活動法人(NPO)

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社    名 事 業 内 容 U R L 株式会社アイ・イー・エル 建物調査・診断 http://www.iel-jpn.co.jp 株式会社アイ・エス 玄関ドア・常閉非常階段ドアの対震改修工事業 http://www.is-door.com アクシス株式会社 鉄骨梁貫通部耐火被覆材パイロンバリアー http://www.axis-slit.com アサヒボンド工業株式会社 コンクリート構造物の補修・補強・保存用材料 http://www/asahibond.co.jp 株式会社アミック 建築物の耐震診断、補強・改修設計、建物調査 http://www.amic-pro.co.jp 株式会社E&CS トグル制震装置の製造と販売 http://www.kk-ecs.co.jp 建装工業株式会社 マンション大規模修繕工事の専門工事業 http://www.kenso.co.jp 斎久工業株式会社 マンション設備診断~施工の総合プランナー http://www.saikyu.co.jp 株式会社東京パイロン販売 耐震改修専用スリットメーカー http://www.pailon.co.jp 戸田建設株式会社 総合建設業 http://www.toda.co.jp 株式会社日東コンクリート技術事務所 建設材料試験と建物の鉄筋や強度等の調査 http://www.nittou-con.co.jp 株式会社ベン 自動弁の製造、販売 http://www.venn.co.jp/ 矢作建設工業株式会社 耐震補強相談・設計・施工、総合建設業 http://www.yahagi.co.jp 株式会社リニューアルウィングス ビル・マンションの総合改修業 http://www.renewalwings.co.jp

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参照

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