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「内科医が考えるバセドウ病の手術適応とそのタイミング」

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(1)

内科医が考える

内科医が考える

バセドウ病の手術適応と

バセドウ病の手術適応と

そのタイミング

そのタイミング

すみれ病院

すみれ病院

浜田

浜田

第39回 日本甲状腺外科学会 教育セミナー 東京、 平成18年10月27日

(2)

はじめに

はじめに

¾ ¾ 甲状腺専門の内科医として、甲状腺専門の内科医として、30年以上バセドウ病30年以上バセドウ病 患者を診療してきているが、その間に手術治療 患者を診療してきているが、その間に手術治療のの 適応とした患者は 適応とした患者は意外と少ない。意外と少ない。 その理由は、その理由は、 1. 1. 手術治療も病因から治す治療ではない手術治療も病因から治す治療ではない 2. 2. 抗甲状腺薬治療でも治る例がかなりある抗甲状腺薬治療でも治る例がかなりある 3. 3. 抗甲状腺薬治療が一番自然な形で治る抗甲状腺薬治療が一番自然な形で治る 4. 4. 頻度は低いが手術治療には合併症がある頻度は低いが手術治療には合併症がある 5. 5. 抗甲状腺薬で治らなくても機能正常が維持されて抗甲状腺薬で治らなくても機能正常が維持されて いれば満足している患者が多い いれば満足している患者が多い

(3)

未治療のバセドウ病患者を診たとき

未治療のバセドウ病患者を診たとき

アプローチ

アプローチ

¾ ¾ このようなことから、このようなことから、悪性腫瘍の合併悪性腫瘍の合併がない限りすがない限りす べての患者に抗甲状腺薬治療 べての患者に抗甲状腺薬治療((ATD)ATD)で治療を開始で治療を開始 し、少なくとも一年間は経過観察することにしている。 し、少なくとも一年間は経過観察することにしている。 ¾ ¾ しかし、しかし、ATDATDによるによる重篤な重篤な副作用副作用((無顆粒球症、重無顆粒球症、重 症の肝障害、多発性関節炎、

症の肝障害、多発性関節炎、MPOMPO--ANCA関連血ANCA関連血 管炎症候群 管炎症候群))が生じた場合が生じた場合や、や、メチマゾール、プロピメチマゾール、プロピ ル ルチオユチオユラシルのラシルの両方両方の薬の薬で発疹が出で発疹が出たた場合場合は手は手 術治療かアイソトープ治療( 術治療かアイソトープ治療(RI)RI)にに切り替えざるをえ切り替えざるをえ ない。 ない。 ¾ ¾ さらにさらにATDATDででなかなか寛解に持ち込めないときなかなか寛解に持ち込めないときこのこの まま ままATDATDを続けていて良いのか迷うを続けていて良いのか迷う

(4)

バセドウ病の手術治療適応

バセドウ病の手術治療適応

絶対 絶対適応適応 1.悪性腫瘍合併例 1.悪性腫瘍合併例 2. 2.抗甲状腺薬が使用できない場合で抗甲状腺薬が使用できない場合で ¾ ¾ 手術治療を選ばざるを得ない症例手術治療を選ばざるを得ない症例 相対的適応 相対的適応 1. 1.抗甲状腺薬が使用できない場合抗甲状腺薬が使用できない場合 ¾ ¾ RIRI治療よりも手術治療を選んだほうが良い症例治療よりも手術治療を選んだほうが良い症例 2.抗甲状腺薬で寛解が得られない場合、得られる見込みが低い 2.抗甲状腺薬で寛解が得られない場合、得られる見込みが低い 場合で 場合で ¾ ¾ RIRI治療よりも手術治療を選んだほうが良い症例治療よりも手術治療を選んだほうが良い症例 3. 3. 抗甲状腺薬治療から手術治療への変更が薦められる症例抗甲状腺薬治療から手術治療への変更が薦められる症例 A. どのような症例? その理由は? B. どういう条件で決めるのか? どのタイミングで決めるのか? 妊娠中の場合 放射性ヨード治療を拒否する場合

(5)

ATD

ATD

から

から

RI

RI

か手術に切り替えるべき状況で

か手術に切り替えるべき状況で

RI

RI

治療よりも手術治療を選んだほうが良い症例

治療よりも手術治療を選んだほうが良い症例

¾ ¾

バセドウ病眼症の合併例

バセドウ病眼症の合併例

¾ ¾

18

18

歳未満例

歳未満例

¾ ¾

将来妊娠を希望する

将来妊娠を希望する

TRA

TRA

b高値例

b高値例

¾ ¾

甲状腺腺腫が大きいもの

甲状腺腺腫が大きいもの

ATD

ATD

から手術治療への変更が薦められる症例

から手術治療への変更が薦められる症例

¾ ¾

将来妊娠を希望する患者で、甲状腺機能のコ

将来妊娠を希望する患者で、甲状腺機能のコ

ントロールに

ントロールに

MMI

MMI

が3

が3

T

T

以上必要な場合

以上必要な場合

A. どのような症例?その理由は?

(6)

バセドウ病眼症合併例

バセドウ病眼症合併例

RI RI治療は眼症を悪化させる可能性がある治療は眼症を悪化させる可能性がある 逆に、手術治療は眼症を改善させる? 逆に、手術治療は眼症を改善させる?

(7)

RI

RI

治療は眼症を悪化させるのか

治療は眼症を悪化させるのか

この問題を

この問題を

正確に検討するためには、

正確に検討するためには、

¾ ¾

患者をランダムに

患者をランダムに

RI

RI

治療、

治療、

ATD

ATD

治療、手術治

治療、手術治

療に割り付けて、治療前後の眼症の評価を正

療に割り付けて、治療前後の眼症の評価を正

確に行う必要がある。

確に行う必要がある。

二つの

二つの

RCT

RCT

が報告されている

が報告されている

¾

¾ TallstedtTallstedt L et al. N Engl J Med 1992 (Sweden)L et al. N Engl J Med 1992 (Sweden)

¾

(8)

Occurrence of Ophthalmopathy after treatment for

Occurrence of Ophthalmopathy after treatment for

Graves

Graves’ ’ hyperthyroidism hyperthyroidism Tallstedt Tallstedt L et al. N Engl J Med L et al. N Engl J Med 1992 1992 対象 対象 168 168人の甲状腺機能亢進バセドウ病人の甲状腺機能亢進バセドウ病、、年令で二つのグループに分年令で二つのグループに分 け け、それぞれの治療に患者を、それぞれの治療に患者を ランダムに割り付けた。ランダムに割り付けた。 Group

Group 11 ((2020--3434歳、歳、5454人)人) ATDATD治療治療、、手術治療手術治療 Group 2

Group 2 ((3535--5555歳、歳、114114人)人) ATDATD治療治療、、手術治療手術治療、、RIRI治療治療

方法 方法 ¾ ¾ RIRI投与量は、投与量は、120Gy120Gyを目標にを目標に ¾ ¾ T4T4投与により機能低下にならないようにしてある投与により機能低下にならないようにしてある ¾ ¾ 少なくとも少なくとも2424週は経過観察されている週は経過観察されている ¾ ¾ 眼症の評価は、眼症スコア(眼症の評価は、眼症スコア(ATAATA分類の改変)による分類の改変)による

(9)

Occurrence of Ophthalmopathy after treatment for

Occurrence of Ophthalmopathy after treatment for

Graves

Graves’ ’ hyperthyroidism hyperthyroidism Tallstedt Tallstedt L et al. N Engl J L et al. N Engl J Med 1992 Med 1992 結果 結果 ¾ ¾ 168人中168人中2222人(人(13%13%)に新しく眼症が出現、)に新しく眼症が出現、88人人 ( (5%)で眼症が悪化した。5%)で眼症が悪化した。 治療法 治療法 症例数症例数 眼症が眼症が出現出現、、悪化悪化したものしたもの Group1 Group1 20 20--3434歳歳 ATD 27 ATD 27例例 44例例 ((15%15%)) 手術 手術 2727例例 33例例 ((11%11%)) Group 2 Group 2 35 35--5555歳歳 ATD 38 ATD 38例例 44例例 ((10%10%)) 手術 手術 3737例例 66例例 ((16%)16%) RI 39 RI 39例例 1313例例 ((33%, P=0.0233%, P=0.02))

(10)

Relation between therapy for hyperthyroidism and the course

Relation between therapy for hyperthyroidism and the course

of Graves

of Graves’ ’ ophthalmopathy ophthalmopathy Bartalena Bartalena L et al. N Engl J Med L et al. N Engl J Med 1998 1998

対象

対象

443 443人の甲状腺機能亢進バセドウ病患者を人の甲状腺機能亢進バセドウ病患者を33--44ヶ月間ヶ月間ATD ATD 治療をした後、ランダムに以下の 治療をした後、ランダムに以下の33群に割り付けた群に割り付けた ¾ ¾ RIRI治療治療 ¾ ¾ RIRI治療治療+治療後+治療後33ヶ月間のプレドニゾン投与ヶ月間のプレドニゾン投与 ¾ ¾ ATD (ATD (メチマゾールメチマゾール)治療)治療

方法

方法

¾

¾ RIRI投与量(投与量(120120--150150μμCi/g of thyroid tissue)Ci/g of thyroid tissue)

¾

¾ 治療後治療後12ヶ月間、眼症の経過観察12ヶ月間、眼症の経過観察

¾

(11)

Relation between therapy for hyperthyroidism and the course

Relation between therapy for hyperthyroidism and the course

of Graves

of Graves’ ’ ophthalmopathy ophthalmopathy Bartalena Bartalena L et al. N L et al. N Engl Engl J Med J Med 1998. 1998. 眼症が 眼症が あった症例 あった症例 眼症が 眼症が なかった症例 なかった症例 症例数 症例数 眼症の眼症の 悪化 悪化 眼症の 眼症の 改善 改善 症例数 症例数 眼症の眼症の 出現 出現 RI RI 7272 17 (24%)17 (24%) 00 7878 6 (8%)6 (8%) RI+PDL RI+PDL 7575 0 0 50 (67%)50 (67%) 7070 0 0 ATD ATD 7474 3 (4%)3 (4%) 3 (2%)3 (2%) 7474 00 結果

(12)

RI

RI

治療は眼症を悪化させる可能性がある

治療は眼症を悪化させる可能性がある

では、手術治療は眼症を改善させる?

では、手術治療は眼症を改善させる?

¾ ¾ 手術治療で改善するとする論文は多いが、抗甲手術治療で改善するとする論文は多いが、抗甲 状腺薬治療と手術治療を 状腺薬治療と手術治療をRCTRCTで調べて改善しで調べて改善し たという論文はない。 たという論文はない。 ¾ ¾ この問題については、もう少し検討が必要この問題については、もう少し検討が必要 ¾ ¾ しかし、眼症のある症例は、しかし、眼症のある症例は、RIRI治療よりも手術治療よりも手術 治療のほうが良いとは言える 治療のほうが良いとは言える

(13)

18

18

歳未満例

歳未満例

RI

(14)

小児で、

小児で、

RI

RI

治療が

治療が

問題

問題

とされている

とされている

1.

1.

RI

RI

の効果

の効果

小児でも成人と同じ 小児でも成人と同じ効果が見られる効果が見られる

2.子孫への影響

2.子孫への影響

甲状腺癌の治療のために、小児期に 甲状腺癌の治療のために、小児期に8080--700 mCi700 mCiで治療をで治療を うけた うけた7777人の患者の子の奇形の発生率も高くない人の患者の子の奇形の発生率も高くない

3.甲状腺癌の発生

3.甲状腺癌の発生

4.甲状腺以外の悪性腫瘍の発生

4.甲状腺以外の悪性腫瘍の発生

5.社会経済的な問題

5.社会経済的な問題

(15)

チェルノブイリ惨事

チェルノブイリ惨事

¾ ¾ 甲状腺癌の発症は、甲状腺癌の発症は、0から3才0から3才に被爆したものにに被爆したものに最も最も 多い。 多い。 14才までは疫学的リスクが高いことが証明14才までは疫学的リスクが高いことが証明ささ れている。 れている。 ¾ ¾ 1818歳までは歳までは、リスクが高くなると言われている。、リスクが高くなると言われている。 ¾ ¾ しかし、これがしかし、これが131131IIによるものかどうかは分からない。によるものかどうかは分からない。 ¾ ¾ 癌の主な組織系は乳頭癌である。癌の主な組織系は乳頭癌である。 良性腫瘍 ↓ Nikiforov Y JCE&M 1996 左のsolid bar:癌 右のshaded bar;腺腫 悪性腫瘍(甲状腺) ↓ 被爆時年齢

(16)

小児の

小児の

131131

I

I

治療後

治療後

の悪性腫瘍

の悪性腫瘍

の発生

の発生

甲状腺癌 甲状腺癌 ¾ ¾ 小児小児バセドウ病に対するバセドウ病に対するRIRI治療は、治療は、合わせて合わせて約約10001000例の報告例の報告、、 経過観察期間は 経過観察期間は55--1515年であるが、甲状腺癌のリスクは上がって年であるが、甲状腺癌のリスクは上がって いない。 いない。 ¾ ¾ RIRI後に甲状腺癌が発症したという報告は少なく(後に甲状腺癌が発症したという報告は少なく(44人の患者)、し人の患者)、し かもそのうち かもそのうち33人は少量治療、人は少量治療、11人は中等量治療であった人は中等量治療であった。。 ¾ ¾ RIRI治療は甲状腺組織を破壊するので、腫瘍発生のリスクを下げ治療は甲状腺組織を破壊するので、腫瘍発生のリスクを下げ る可能性がある る可能性がある、という考えがある。、という考えがある。 甲状腺以外の癌 甲状腺以外の癌 ¾ ¾ 小児では小児では成人成人のような広範囲にわたる研究はないのような広範囲にわたる研究はない。。 ¾ ¾ しかし、しかし、131131II投与による全身の照射量は低投与による全身の照射量は低くく((0.45cGy/mCi0.45cGy/mCi、平、平 均的な小児では 均的な小児では4cGy)4cGy)、対象患者が増えても発癌率が高くなる、対象患者が増えても発癌率が高くなる というデータは出ないのではないか? というデータは出ないのではないか?

(17)

18

18

歳未満

歳未満

RI RI治療ガイドライン治療ガイドライン • • チェルノブイリ原発事故で,甲状腺癌の発症は0から3歳がチェルノブイリ原発事故で,甲状腺癌の発症は0から3歳が 最も多く 最も多く1414歳までは疫学的リスクが高かった。さらに歳までは疫学的リスクが高かった。さらに1818歳ま歳ま ではリスクが高くなるとも言われている。 ではリスクが高くなるとも言われている。 • • あきらかにリスクの高いあきらかにリスクの高い1414歳以下の症例は、やむをえない歳以下の症例は、やむをえない 場合以外は行わない。 場合以外は行わない。 ¾ ¾ 1414--1818歳の患者に対しても、原則は行わないが、歳の患者に対しても、原則は行わないが、RIRI治療の治療の メリットが大きい場合、治療することも考える。 メリットが大きい場合、治療することも考える。 コメント コメント ¾ ¾ 小児の小児のRIRI治療の適応は広がってきているが、今のところは治療の適応は広がってきているが、今のところは 手術の方が無難であろう 手術の方が無難であろう ¾ ¾ AblativeAblative治療の絶対適応でなければ、治療の絶対適応でなければ、1818歳まで待って、歳まで待って、RIRIとと いう考えもある いう考えもある

(18)

将来妊娠を希望する

将来妊娠を希望する

TRAb

TRAb

高値例

高値例

RI RI治療後は、治療後は、TRAbTRAbが高くなるので、が高くなるので、 新生児バセドウ病、胎児バセドウ病の心配がある? 新生児バセドウ病、胎児バセドウ病の心配がある?

(19)

TRAb

TRAb

高値のバセドウ病患者

高値のバセドウ病患者

ATD,OP,RI

ATD,OP,RI

後の

後の

TRAb

TRAb

値の変動

値の変動

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 0 120 240 360 480 600 720 治療開始後日数(日) T B II (%) 抗甲状腺薬治療(n = 174) アイソトープ治療(n = 47) 手術治療(n = 21) ※ ※ ※ ※

(20)

バセドウ病患者の

バセドウ病患者の

RI

RI

治療後の妊娠

治療後の妊娠

1999 1999年日本内分泌学会年日本内分泌学会 浜田ら浜田ら 対象 対象 ¾ ¾ 19891989年から年から19991999年までの年までの1010年間年間ののバセドウ病の妊娠合併例バセドウ病の妊娠合併例 約 約5,0005,000例例のうちのうちRIRI治療後の妊娠例治療後の妊娠例 46 46 例例(0.92(0.92%%)) 46例中25例が 46例中25例が術後再発例術後再発例 (伊藤病院)(伊藤病院) 妊娠の転帰と胎児の異常 妊娠の転帰と胎児の異常 • • 4646例で例で6363妊娠妊娠 人工中絶 人工中絶 11 11 例例 (17.6%)(17.6%) 早産なし、奇形なし 早産なし、奇形なし • • 人工中絶例を除いた人工中絶例を除いた4343例,例,5252妊娠中妊娠中 自然流産 自然流産 9 9 例例 (17.3%)(17.3%) 新生児バセドウ 新生児バセドウ 4 4 例例 (9.3%)(9.3%),,5 5 妊娠妊娠 (9.6%)(9.6%) 2005 2005 田尻田尻 淳一淳一 RI RI治療後、治療後、TRAbTRAbが高くても通常の症例では新生児バセドウは見られない。が高くても通常の症例では新生児バセドウは見られない。

(21)

新生児バセドウ病出産例は、

新生児バセドウ病出産例は、

RI

RI

治療前

治療前

TRAb

TRAb

高値であった

高値であった

0 20 40 60 80 % 正常 新生児 バセドウ病 RI RI治療前の治療前のTRAbTRAb値値 何故、こちらは 新生児バセドウ病を発症しない? TRAbの変動をみると→

(22)

RI

RI

治療前

治療前

TRAb

TRAb

高値例の

高値例の

TRAb

TRAb

の変動

の変動

新生児バセドウ病出産例と正常児出産例の比較 新生児バセドウ病出産例と正常児出産例の比較 0 10 20 30 40 50 60 70 80 RI治療前 妊娠時 出産時 新生児バセドウ 病出産例 (n=4) 正常児出産例 (n=4) 新生児バセドウ病の発症例は、 新生児バセドウ病の発症例は、 妊娠中に 妊娠中にTRAbTRAbが低下しない。が低下しない。 新生児バセドウ病の発症は 新生児バセドウ病の発症は RI RI治療そのものよりも、治療そのものよりも、 バセドウ病の病勢が関係する。 バセドウ病の病勢が関係する。 新生児バセドウ病 出産例 正常児出産例

(23)

RI RI治療後の妊娠で最も心配なことは治療後の妊娠で最も心配なことは 胎児甲状腺機能亢進症である 胎児甲状腺機能亢進症である RI RI治療後バセドウ病患者;妊娠中の母児の甲状腺機能治療後バセドウ病患者;妊娠中の母児の甲状腺機能 母甲状腺 TSH リセプター 児甲状腺 妊娠中TRAb高値が持続するのは非常に危険である RIで萎縮 児のみが 甲状腺機能亢進症 になる。

(24)

将来妊娠を希望するバセドウ病患者に対する

将来妊娠を希望するバセドウ病患者に対する

RI

RI

治療のガイドライン

治療のガイドライン

胎児バセドウ病、新生児バセドウ病について 胎児バセドウ病、新生児バセドウ病について TRAb TRAbが高値であっても、妊娠中に低下してくることがが高値であっても、妊娠中に低下してくることが 多いが、それを予測する方法がない現状では、 多いが、それを予測する方法がない現状では、 ¾ ¾ 将来妊娠を希望しているバセドウ病患者で、将来妊娠を希望しているバセドウ病患者で、TRAbTRAb が高値の場合、 が高値の場合、22年以内の妊娠を希望しているので年以内の妊娠を希望しているので あれば、 あれば、RIRI以外の治療法を選択したほうが無難で以外の治療法を選択したほうが無難で ある。 ある。 ¾ ¾ 特に特に、、TRAbTRAb値が治療によってもまったく低下する傾値が治療によってもまったく低下する傾 向が見られない難治性の症例の場合は、 向が見られない難治性の症例の場合は、RIRI治療は治療は 避けるべきである。 避けるべきである。 Ablativeな治療が必要な場合は、手術治療が良い

(25)

甲状腺機能のコントロールに

甲状腺機能のコントロールに

MMI

MMI

T

T

以上必要な症例が

以上必要な症例が

妊娠を希望する場合

妊娠を希望する場合

MMI MMI内服者に内服者に稀な先天奇形稀な先天奇形ががみられたとの症例報告があみられたとの症例報告があるる ので、妊娠初期は、できれば ので、妊娠初期は、できればMMIMMIの内服は止めておきたい。の内服は止めておきたい。 MMI

(26)

MMI

MMI

と稀な奇形との関係

と稀な奇形との関係

¾ ¾ MMI内服者MMI内服者のの子ども子どものなかに、のなかに、稀な先天奇形であ稀な先天奇形であ る る後鼻孔閉鎖症、食道閉鎖症後鼻孔閉鎖症、食道閉鎖症、、気管食道瘻、頭皮気管食道瘻、頭皮 欠損症 欠損症などが単独あるいは複数みられたとの報告などが単独あるいは複数みられたとの報告 がある。 がある。 ¾ ¾ 一方、一方、PTU内服者の子どもには後鼻孔閉鎖症例のPTU内服者の子どもには後鼻孔閉鎖症例の 報告が1例あるのみで、 報告が1例あるのみで、MMIMMIで報告されている他ので報告されている他の 奇形はこれまでのところ報告されてない。 奇形はこれまでのところ報告されてない。 ¾ ¾ MMI内服者に、本当に多いのか?頻度は?MMI内服者に、本当に多いのか?頻度は? ¾ ¾ これらの先天奇形とこれらの先天奇形とMMIMMIとの直接の因果関係はとの直接の因果関係は??

(27)

1 1.全口唇裂.全口唇裂 13.8713.87 2 2.全口蓋裂.全口蓋裂 12.8912.89 3 3.口唇・口蓋裂.口唇・口蓋裂 8.178.17 4 4.無脳症.無脳症 7.837.83 5 5.多肢症.多肢症 7.137.13 6 6.合趾症.合趾症 5.315.31 7 7.ダウン症候群.ダウン症候群 5.145.14 8 8..多趾症多趾症 4.144.14 9 9..水頭症水頭症 4.094.09 10 10..鎖肛鎖肛 3.793.79 11 11.耳介変形.耳介変形 2.942.94 12 12.合指症.合指症 2.782.78 13 13.耳介低位.耳介低位 2.672.67 14 14.二分脊椎.二分脊椎 2.432.43 15 15.尿道下裂.尿道下裂 2.132.13 16 16.臍帯ヘルニア.臍帯ヘルニア 1.841.84 17 17.外耳道閉鎖症.外耳道閉鎖症 1.751.75 18 18.欠指症.欠指症 1.741.74 19 19.下顎形成不全.下顎形成不全 1.591.59 20 20..短肢症短肢症 ((下肢症下肢症)) 1.501.50 21 21..短肢症短肢症((上肢症上肢症)) 1.481.48

主要先天奇形の発生頻度

主要先天奇形の発生頻度

(1972-1991, 出産1万対)

22 22.食道閉鎖.食道閉鎖 1.301.30 23 23.脳ヘルニア.脳ヘルニア 1.071.07 24 24.小頭症.小頭症 1.051.05 25 25.腹壁破裂.腹壁破裂 1.041.04 26 26.鼻の変形.鼻の変形 1.001.00 27 27.小耳症.小耳症 0.940.94 28 28.欠趾症.欠趾症 0.830.83 29 29.耳介欠損.耳介欠損 0.720.72 30 30.無眼球症.無眼球症 0.630.63 31 31.小眼球症.小眼球症 0.540.54 32 32.軟骨発育不全症.軟骨発育不全症 0.490.49 33 33.気管食道瘻.気管食道瘻 0.470.47 34 34.直腸閉鎖.直腸閉鎖 0.450.45 35 35.横隔膜ヘルニア.横隔膜ヘルニア 0.440.44 36 36.爪欠損.爪欠損 0.420.42 37 37.上肢欠損.上肢欠損 0.420.42 38 38.耳瘻孔.耳瘻孔 0.390.39 39 39.尿道閉鎖.尿道閉鎖 0.390.39 40 40..頭皮欠損頭皮欠損 0.390.39 41 41.その他.その他

(28)

妊娠合併例の治療について

妊娠合併例の治療について

バセドウ病薬物治療のガイドラインでは

バセドウ病薬物治療のガイドラインでは

¾ ¾ 現時点では、催奇性の観点から、妊娠を計画してい現時点では、催奇性の観点から、妊娠を計画してい る患者には る患者にはPTUPTUで開始するで開始することが勧められ、またことが勧められ、また MMI

MMI服用中の場合は、可能であれば服用中の場合は、可能であればPTUPTUに変更すに変更す ることが望ましい。 ることが望ましい。 ¾ ¾ MMI内服中に妊娠が判明し、上記の時期が過ぎてMMI内服中に妊娠が判明し、上記の時期が過ぎて いる場合は、 いる場合は、PTUPTUに変更する意味はない。に変更する意味はない。 ¾ ¾ 妊娠にあたってどちらの抗甲状腺薬も服用すること妊娠にあたってどちらの抗甲状腺薬も服用すること を望まない患者には、 を望まない患者には、薬物以外の治療薬物以外の治療(手術、アイ(手術、アイ ソトープ治療)でバセドウ病を確実に治してから妊娠 ソトープ治療)でバセドウ病を確実に治してから妊娠 する方法もあることを説明する。 する方法もあることを説明する。 ではMMI3T以上の場合は、なぜ手術か?

(29)

MMI

MMI

で治療継続で、妊娠希望の場合

で治療継続で、妊娠希望の場合

¾ ¾ MMIMMI少量であれば、少量であれば、妊娠4週からメルカゾールを中妊娠4週からメルカゾールを中 止してヨード剤で治療し、妊娠 止してヨード剤で治療し、妊娠88週目になればメルカ週目になればメルカ ゾール ゾールで治療を再開している。で治療を再開している。 ¾ ¾ しかし、しかし、MMIMMIが3が3TT以上必要な症例以上必要な症例を、この方法でを、この方法で 治療すると 治療すると著しい機能亢進になることがあり危険著しい機能亢進になることがあり危険でで ある。 ある。 ¾ ¾ このような症例は、このような症例は、TRAbTRAbが高値で活動性が高いこが高値で活動性が高いこ とが多く、 とが多く、RIRI治療は選びにくい。治療は選びにくい。 手術をしてから妊娠を考えたほうが良い 手術をしてから妊娠を考えたほうが良い

(30)

B.

B.

抗甲状腺薬で寛解が得られない

抗甲状腺薬で寛解が得られない

得られる見込みが低い

得られる見込みが低い

と判断する方法は?

と判断する方法は?

治りにくいバセドウ病は

治りにくいバセドウ病は

治りにくいと判断するタイミングは

治りにくいと判断するタイミングは

(31)

寛解しにくいと考えられている症例は

寛解しにくいと考えられている症例は

バセドウ病薬物治療ガイドライン バセドウ病薬物治療ガイドライン 予後因子 予後因子 ⅡⅡ.ステートメント.ステートメント ¾ ¾ 治療開始時に、血清治療開始時に、血清FT3、FT3、FT4が高値のもの、甲FT4が高値のもの、甲 状腺腫が大きいものは寛解に入りにくい 状腺腫が大きいものは寛解に入りにくい ¾ ¾ 治療中治療中T3/T4T3/T4比が高値を持続するもの、比が高値を持続するもの、TRAbTRAb値値 が低下してこないか、あるいは変動するものは が低下してこないか、あるいは変動するものは 寛解に入りにくい 寛解に入りにくい ¾ ¾ 若い患者のほうが寛解率は低い傾向にある若い患者のほうが寛解率は低い傾向にある ¾ ¾ 喫煙、精神的ストレスは寛解に入りにくくさせる喫煙、精神的ストレスは寛解に入りにくくさせる 因子である 因子である

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寛解が難しいと考える時点は

寛解が難しいと考える時点は

¾ ¾ このためには、投与期間と寛解率との関係を知るこのためには、投与期間と寛解率との関係を知る 必要がある 必要がある RCT RCTが必要が必要 ¾ ¾ 患者をあらかじめ決められた投与期間群にランダ患者をあらかじめ決められた投与期間群にランダ ムに割り付ける ムに割り付ける ¾ ¾ 決められた期間服薬した後に患者の状態にかかわ決められた期間服薬した後に患者の状態にかかわ らず、投薬を中止してその後の経過を観察する らず、投薬を中止してその後の経過を観察する 海外からの 海外からの44つのつのRCTRCTを紹介しますを紹介します

(33)

0 10 20 30 40 50 60 Allannic 1990 Garcia-Mayor 6 58 % M 18 M 38 % 再発率( %) ATD後 観察期間 2年

投与期間と再発率の関係

投与期間と再発率の関係

6

6

ヶ月から

ヶ月から

24

24

ヶ月まで

ヶ月まで

P<0.05 1992 12 M 41 % 24 M 35 % NS 2年 1994 6 M 46 % 12 M 54 % NS 1年 Weetman

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投与期間と再発率の関係

投与期間と再発率の関係

18

18

ヶ月と

ヶ月と

42

42

ヶ月

ヶ月

再発率( %) 0 10 20 30 40 50 60 Allannic 1990 P<0.05 38586 M 18 M NS 293618 M 42 M Maugendre et al 1999

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まとめ

まとめ

どの時点で抗甲状腺薬で どの時点で抗甲状腺薬でのの寛解は難しいと判断するか寛解は難しいと判断するか ¾ ¾ 実際には二年以上(長期間)実際には二年以上(長期間)ATDを続けて寛解に入るATDを続けて寛解に入る 例も多いが、 例も多いが、RCTRCTの結果からの結果からは、治療期間がは、治療期間が1.51.5年を年を 超えても寛解率が高まることを示すエビデンスはない。 超えても寛解率が高まることを示すエビデンスはない。 薬物治療ガイドラインでは 薬物治療ガイドラインでは ¾

¾ ATDATDをを1.51.5--22年間続けた時点で年間続けた時点でATD中止を検討するATD中止を検討する 段階にいたらないものについては、 段階にいたらないものについては、ATDを続けるのか、ATDを続けるのか、 それとも他の治療法に切り替えるのか患者にイン それとも他の治療法に切り替えるのか患者にイン フォームドコンセントを行うことが勧められる。 フォームドコンセントを行うことが勧められる。

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患者の選択は

患者の選択は

抗甲状腺薬

抗甲状腺薬ののメリットメリットを取る人が多いを取る人が多い

¾

¾ ATDATDを長期に服用し続けることによる副作用はを長期に服用し続けることによる副作用はないないので、ので、ATDATD

により甲状腺機能が安定していれば、 により甲状腺機能が安定していれば、薬を続けたい薬を続けたい ¾ ¾ 手術や手術やRIRI治療のように永続的な甲状腺機能低下症や合併症治療のように永続的な甲状腺機能低下症や合併症 をおこすことがない をおこすことがない ¾ ¾ 治療を続けていれば寛解する可能性がなくはない治療を続けていれば寛解する可能性がなくはない 手術治療を選ばない理由 手術治療を選ばない理由 ¾ ¾ 入院治療が必要、合併症が心配入院治療が必要、合併症が心配 薬で問題なく生活が出来ているので 薬で問題なく生活が出来ているので Ablative Ablativeな治療が必要なとき、な治療が必要なとき、RIRI治療が選択される理由治療が選択される理由 ¾ ¾ カプセルを飲むだけの簡単な治療法でカプセルを飲むだけの簡単な治療法であり、あり、外来でも出来外来でも出来るる ¾ ¾ 手術のように治療直後の合併症はな手術のように治療直後の合併症はないい安全な治療法で安全な治療法であるある ¾ ¾ 治療後も発癌性などの問題はなく、妊娠も可能治療後も発癌性などの問題はなく、妊娠も可能であるである

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内科医が考える

バセドウ病の手術適応と

そのタイミング

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バセドウ病の手術適応

絶対適応 1.悪性腫瘍合併例 2.抗甲状腺薬が使用できない場合で手術治療を選ばざるを得ない場合 „ 妊娠中の場合 „ 放射性ヨード治療を拒否する場合 相対的適応 1.抗甲状腺薬が使用できない場合 „ バセドウ病眼症の合併例 „ 18歳未満例 „ 将来妊娠を希望するTRAb高値例 2.抗甲状腺薬で寛解が得られない場合、得られる見込みが低い場合 „ バセドウ病眼症の合併例 „ 18歳未満例 „ 甲状腺腫の大きい例 3.抗甲状腺薬治療から手術治療への変更が薦められる場合 „ 将来妊娠を希望する患者で、甲状腺機能のコントロールにMMI3T以上必要な場合

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バセドウ病の手術適応のタイミング

„ 抗甲状腺薬を1.5-2年間続けた時点で抗甲状腺薬治療中止を検討 する段階にいたらないものについては、抗甲状腺薬を続けるのか、そ れとも他の治療法に切り替えるのか患者にインフォームドコンセントを 行い、その結果手術治療を希望するもの その際、下記のものは寛解に入りにくいということを説明する „ 治療開始時に、血清FT3、FT4が高値のもの、甲状腺腫が大きいもの は寛解に入りにくい „ 治療中T3/T4比が高値を持続するもの、TRAb値が低下してこないか、 あるいは変動するものは寛解に入りにくい „ 若い患者のほうが寛解率は低い傾向にある „ 喫煙、精神的ストレスは寛解に入りにくくさせる因子である

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ご清聴有難うございました

„ 最後に手術治療を考える上で我々内科医が一番ポ イントにおいていることは、薬の治療で寛解しない までも日常生活は快適に送れているのに、手術をう けることによって何らかの合併症が出ないかという ことです。 „ 合併症が絶対に起こらないと言うことであれば手術 適応はもっと増えると思われます。

参照

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