• 検索結果がありません。

Vol-17 バイオコントロール バインド

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "Vol-17 バイオコントロール バインド"

Copied!
100
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)
(2)
(3)

バイオコントロール 第17巻1号 目 次 微生物農薬の基本と効果を上げるための方策 ···1 静岡大学 農学部 西東 力 カキノヘタムシガの生態と合成性フェロモンによる交信攪乱について ··· 5 岐阜県農業技術センター 岐阜県営農経営課 杖田 浩二/鈴木 俊郎 青森県津軽地方におけるリンゴコカクモンハマキの多発要因と防除対策 ···11-1 地方独立行政法人 青森県産業技術センター りんご研究所 石栗 陽一 大葉、食用ぎくにおける天敵利用を柱とした害虫防除対策 ··· 12 愛知県東三河農林水産事務所 農業改良普及課 金子 良成 ガーベラ栽培における天敵利用 ···18 静岡県病害虫防除所 片山 晴喜/土井 誠/松野 和夫 カンキツにおける天敵利用を柱とした害虫防除 ···26 愛知県東三河農林水産事務所 農業改良普及課 坂野 満 いちご新規就農者研修所におけるIPMの取り組みについて ···31 全農岐阜県本部 営農対策課 加藤 正 土着天敵ヘヤカブリダニの保護利用技術 ···40 高知県農業振興部 環境農業推進課 古味 一洋 アジアでのIPM資材市場開拓における課題 ···44 信越化学工業株式会社 ファインケミカル部 本郷 智明

(4)

カブリダニの普及試験と普及方法 ···50 協友アグリ株式会社 技術顧問 厚井 隆志 進化する病害虫防除とIPM ···55 東京農大総合研究所 生物防除部会 和田 哲夫 ヨーロッパにおける捕食性カスミカメムシ類の利用の現状と問題···58 近畿大学 農学部 昆虫生態制御学研究室 矢野 栄二 ペンチオピラドの生物農薬への影響 ···63 三井化学アグロ株式会社 農業化学研究所 日本バイオロジカルコントロール協議会 研修会/講演会履歴···66 バイオコントロール誌バックナンバー目次···67 資料 天敵に関する農薬の影響表(第22版)···83 協 議 会 規 約 ··· 86 お 知 ら せ ··· 87 表 紙:白 白山一華(ハクサイチゲ)、黄 深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)、 左 御蓼(オンタデ 御岳に多い)の群落 乗鞍岳お花畑にて (和田哲夫撮影) 裏 表 紙:表4写真(厚井 原図)

(5)

静岡大学 農学部 西東 力 は じ め に 昆虫寄生菌( 糸状菌)を害虫 の防除 に利用する 研究は 100 年以上 の歴史をもち 、今 日 、微生物農薬 として 結実している 。近年は 害虫の化学合成農薬 に対する 抵抗性 の顕 在化 、化学合成農薬に 対する不安 な ど か ら、微生物農薬 に対する 期待はますます 高ま っ て い る。開 発 競 争も 激化し て お り、膨大な 数の生物種 や生理活性物質 などが商品化 されている 。しかし 、一般に 微生物農薬 は「効果が 安定しない 」、「効果の 発現が遅 い」、 「 使い勝手 が悪い」と いった課題 を抱え て お り、生 産 現 場に根付 いている とは言 い難 い 。こ こ で は昆虫寄生菌による 生物的防除法について 概観 したい。 1 .微生物 農薬の中 では糸状菌 が最多 世界 の 生 物 農 薬を 網羅した マ ニ ュ ア ルに よ る と 、微 生 物を 成分と す る 商品が 最 も多 く、その 中では糸状菌 が最多 である (表 1)。

表1 The Manual of Biocontrol Agents (4版) (Copping, 2009)

区分 掲載数 同左率 (%) 糸状菌 77 細菌 42 ウ イ ル ス 17 微 胞 子 虫 2 フ ァ ー ジ 2 微生物 センチュウ 9 149 33 抗生物質等 89 20 昆虫等 140 31 フェロモン 等 74 16 合計 452 100 掲載数: 1 版(1998 年): 175 、2 版(2001 年 ): 273、3 版(2004 年): 373 2 .いろいろな昆虫寄生菌がいる 糸状菌 は子 嚢 菌 類、担 子 菌 類、接 合 菌 類、不完全菌類などに 分類される 。このう ち、海外 を含めて 商品化されている菌種 の多くは 不 完 全 菌類に属 す。

(Beauveria、Isaria、Lecanicillium、Metarhiziumなど )(表2)。

接合菌 類に 属す疫病菌(Entomophthorales 目)は流行病 を引き起 こすことで有 名で 、古くから 注目 されてきたが、分生子の 寿命が極端 に短いうえ 、一部 を除いて

(6)

培養 が困難である 。 表2 国内 で生 物 農 薬として 登録されている 昆虫寄生菌 属 種 商品名 主な寄 主 範 囲と発 見 場 所 bassiana ボタニガード、 バ イ オ リ サ マ ダラ 広い、地上 ・土中 Beauveria brongniartii バ イ オ リ サ カ ミキリ 主にコウチュウ目 、地上・ 土中 fumosorosea プ リ フ ァード 広い、地上 ・土中 Isaria tenuipes ゴッツ A 主にチョウ 目、地上・土中 longisporum バータレック 主にカ メ ム シ目、 地上 Lecanicillium muscarium マイコタール 主にカ メ ム シ目、 地上 海外では Metarhizium anisopliaeやM. flavovirideなども 商品化 されている。 3 .皮膚から 感染する ウ イ ル スと細菌 は口から取 り込まれ て感染する のに対 し、昆虫寄生菌は皮膚 から 感染 する。分生子 は昆虫 の体に 付着すると 発芽し 、酵素の働 きと機械的圧力によっ て 皮膚を貫通 する。体 腔 内では 短菌糸が 形成され 、これが血流 に乗って 体 全 体に運 ばれ 、そこで 増殖する 。死体が 硬くなるのは、菌糸 が充満するためである 。やがて 死体 の表面 に菌糸が 出現し、そこに 多数 の分生子 が形成される 。この 分 生 子が 風雨 や 接触に よ っ て健全 な昆虫に 付着し、 新たな感染 を引き起 こす。 4 .感染を 左右する 環 境 要 因 (1) 温度 一般 に発育最適温度は25℃付近、上限温度は 35℃付近にある( 図 2)。冬期 や 夏期は感染 しにくくなるとされている。

(7)

(2) 湿度 分生子 の発芽・感染には 高湿度 条件が一定時間続 く必要がある(た と え ば、98% 以上で 10 時間程度 )(図 3)。このため 、感染 は夜 間に 起こると考 えられている。 寄生菌 の感染 の場となっている 植 物 体上の 温度と 湿度は部位 に よ っ て異なり 、 し か も風や太 陽 光の 当たり 具合な ど に よ っ て 瞬時に 変化する 。と く に、 ア ザ ミ ウ マ類や コナジラミ類 など微 小 昆 虫 の生 息 場 所 に お け る微 気 象は一 般 的な 温 湿 度 計 による数値 とかけ離 れ て い ることに注意 しなくてはならない。 (3) 紫外線 太陽光 に含まれる 紫外線 は昆虫寄生菌に有害 である 。4時間 ほどの UVB 照射 に よ っ て分 生 子の発 芽 率は半減 する と い う。各種 オ イ ルには 分 生 子を紫 外 線から 保 護する作用 がある( 表 3)。日陰 や葉裏など 紫外線 が当たりにくいところの分生子 ほど寿命は 長いことも 知られている。 表 3 UVB に対 するオイルの保護 効果(B. bassiana、4 時間照射後の 発芽率%) 菌株 無処理 灯油 ヒ マ ワ リ油 トウモロコシ油 ダイズ 油 Bb26 36.6 a 87.5 b 93.9 c 91.2 c 93.3 c Bb98 37.6 a 85 b 96.4 c 86 b 98.4 c Bb132 29.6 a 94.1 b 95.4 b 95.7 b 98,2 b

(Posadas Julieta et al., 2012)

5 .IPM に お け る昆虫寄生菌 (1) 化 学 合 成農薬 の影響を考慮 する

生 物 農 薬に対する 化学合成農薬の影響 は本誌 の末尾に掲載 されているが、その 根拠 となっているデータ の多 くは室 内 試 験で得 られたものであり、圃場に お け る

(8)

影響 と異なる ことも 考え ら れ る。また 、化学合成農薬 によっては、微生物農薬と の 処 理 間 隔を 1 週 間 以 上あ け れ ば、悪影響を 回避できる とも報告 されている。必 要 に応じて 化学合成農薬の影響 を圃場 レベルで 確かめる必要 がある 。 (2) 天敵 にも感染 する 昆虫寄生菌によっては天 敵 昆 虫にも 感染する 。天 敵 昆 虫に対する 影響に つ い て は 室 内 試 験と圃 場 試 験の両面 から注意深 く検討 する場合があ る。 (3) 感染 のメカニズムを処理法 の開発 に生かす 一般に昆虫寄生菌 の病原力 は分生子 の半数致死量(LD50)、半数致死濃度(LC50) あ る い は半数致死時間 (LT50)として 表示される が、この LD50値や LC50値は 自然 条件 ではありえないほどの高 い値を示 すことが 多い。野外の場合 、昆虫は少量 の 分生子 の被爆 を常に 受けており 、感染に 必要な条件 がそろったときにいっきに感 染 すると考 え ら れ る。少量の分生子 であっても劇的 な感染 が起こる メカニズムの 解明 は新たな 処理法 の開発につながるだろう。 6 .今後の 課題 (1) キー は簡便で 斬新な処理法 の開発 いかに 能力 の高い菌株 でも、標 的 害 虫に感染させることができなければ 宝の 持ち 腐れ で あ る。この 意味からも 、簡便 で斬新な 処理法の 開発が何 より重要 であ ろう 。 昆虫寄生菌の 中には土壌 中の昆虫 に感染 す る も のも多い。こ う し た菌種は 土壌 中の 有機物を 栄養源として 繁殖できる 。一方、土壌 中の昆虫 に感染 しにくい 菌種 であっても、土壌が昆虫寄生菌 の温床とな っ て い る可能性があり 、土壌の役割 は 想 像 以 上に大 きいかもしれない。新たな 処理法の 開発に当 た っ て は土壌の機能 や 役割 にも注目 したい。 (2) 育種 に よ っ て弱点を克服 する 昆虫寄生菌は 菌種ごとに 本来的な 弱点を抱 え て い る。そ れ ら の弱点 を育種 によ って克服 する研究 は古くから 行われている。た と え ば、病原力 が高 められた 変異 体や紫外線耐性 の変異体が 育種されている。演者 らは、量子ビーム(イオンビー ム、ガンマ 線)の照射に よ っ て、化 学 合 成殺菌剤耐性や 高 温 耐 性の 変異体を 創出 することに成功 し て い る。ただし 、変異体 に お け る副次的 な負の変異 も避けられ ないことから、 選抜された 変異体に つ い て十分 な特 性 調 査が欠 か せ な い。 (3) 疫病菌 の制 御 技 術の開発 に期待 特異 な生態 を 有する 疫 病 菌は 微 生 物農薬 開発の 面か ら も 魅力に 溢れ た素材 で ある 。疫病菌 の分生子 や休 眠 胞 子の発芽 を制御でき るようになれば、夢の微生物 農薬 が誕生するかもしれない。

(9)

葉裏で静止している成虫 被害果 (果梗部から虫糞が噴出している) 岐阜県農業技術センター 岐阜県農業経営課 杖田浩二・鈴木俊郎 は じ め に カ キ ノ ヘ タ ム シガ (別称 ;カ キ ミ ガ、 ヘ タ ム シ)は 、幼虫 がカキ の果実 に食入 し、 落果 させる 重 要 害 虫である。その脅威 は古くから 知られており、石原(1948)は、「 柿 害 蟲 中 最も 恐る べ き も の と謂う べ き で あ る。」 と指摘 し て い る。本稿 では 、カ キ ノ ヘ タ ム シ ガの 生態や被害 と と も に、近年明 らかになった 本虫の性 フェロモンを利用 した 交 信 攪 乱による 防除 に つ い て紹介 する。 1 生 態 お よ び 被 害 カ キ ノ ヘ タ ム シ ガは ニ セ マ イ コ ガ 科に 属 す る。成 虫 は全 体 的 に 黒 褐 色 ~ 紫 黒 色 で、 胸 部 背 面 に黄 色 斑 点 、前 翅に 黄 色 斑 紋 が あ る 。後 脚 脛 節に 特 徴 的 な 房 状の 長 毛が あ り 、静 止 時 は胸 部 側 面 か ら生 え て い る よ う に見 え る。開 翅 長 は 約15mm で あ る 。成 虫 は 5月 中 下 旬 ~6 月 上 旬( 越 冬 世 代 )と 7月 中 下 旬 ~8 月 上 旬( 第1 世 代)の年 2回 発 生 す る 。成 虫は 薄 明 時 に交 尾 し、夜 間に 産 卵す る。日 中は 葉 裏で 静 止し てお り、多 発 ほ 場 で は静 止し た成 虫 が容 易 に確 認 で き る 。 成 虫は 主 に結 果 枝 先 端 付 近 の芽 に 産 卵す る。ふ化 し た幼 虫 は、付 近の 芽に 食 入し 、 数 個 の芽 を加 害 し た後 、果 実に 食 入す る。被 害を 受 け た果 実は 、果 梗 付 近な ど か ら 虫 糞 が噴 出し て い る の で、容 易 に識 別 で き る。そ の後、被 害 果 は ヘ タを 残 し て落果 す る が 、幼 虫 は そ の 前に 別 の 果 実へ 移 動す る。 1 頭の 幼 虫が 数 個の 果 実 を加 害 す る の で、発 生 量が 少 な く て も被 害 は多 く な る 傾 向に あ る 。無 防 除 で 栽 培し た場 合、本 虫 の 被 害に よ り 収 穫 皆 無 に な る こ と も あ る 。落 果 前 の被 害 果 は 、 第1 世 代 幼 虫 で は 暗 緑 色 に変 色 ・軟 果 し、 第 2世 代 幼 虫 で は 早く 赤 熟す る 。幼 虫 は数 個 の 果 実を 食 害 し た 後 、繭 を 作り 蛹 に な る 。 繭は 落 果せ ず に 乾 固 し た果 実 や粗 皮 の下 に 作 ら れる 。 繭 の 中で 老 齢 幼 虫が 越 冬す る 。本 虫の 被 害は、甘ガ キ で多 く、渋 柿 で は少 な い傾 向 に あ る 。

カキノヘタムシガの生態と合成性フェロモンによる交信攪乱について

被害果内の幼虫

(10)

2 岐 阜 県 に お け る 問 題 点 カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ は 発 生 予 察 事 業 の指 定 害 虫 で あ り 、当 県 の病 害 虫 防 除 所 で は 成 虫 の 見 取り調 査 を毎 年 行 っ て い る 。そ の得 ら れ た デ ー タ を 他 県と比 較 す る と 、当 県 の 発 生 量 は他 県 よ り多 い こ と が特 徴 で あ る 。な お、平 成24 年 は発 生 予 察 注 意 報 が発 表 さ れ る ほ ど多 発 年 で あ っ た 。 ま たこ れ ま で 本 虫の 発 生は 、比 較 的 短 い 期 間に集 中 し て認 め ら れ る傾 向 に あ っ た。 し か し 、近 年 そ の発 生 期 間 が 長 期 化 す る傾 向に あ り 、1 ヶ月 近 く ダ ラダ ラと 発 生す る よ う に な っ た ( 図 1) 。こ の 発 生 期 間 の長 期 化 は、 本 虫の 防 除に 大 き な問 題 を も た ら し た 。本 虫の 防 除は 、殺 虫 剤 散 布に 強く 依 存し て い る。本 虫を殺 虫 剤 散 布 で防 除 す る場 合、若 齢 幼 虫が 芽を 転 食す る 時 期が 防 除 適 期と さ れ 、散 布 時 期 が 極め て重 要 で あ る こ と は よ く知 ら れ て い る。し か し な が ら、本 虫は 芽や 果 実に 潜 伏す る た め 、 散 布 し た薬 液が 直 接虫 体に 直 接か か る こ と は あ ま り 期 待で き な い。そ の た め 、①芽 を 転 食す る移 動 時 に 接 触す る 、②食 入 時 に 体 内に 取 り込 む 、③植 物 体 内 に 浸 透 移 行 し た 成 分が作 用 す る こ と で、殺 虫 効 果 を期 待 す る こ と に な る。そ の た め、接 触も し く は 体 内に取 り 込む 成 分 量 が 少な く な る こ と が 多 い と予 想さ れ る 。一 方、果 実を加 害 す る幼 虫は 齢 期が 進 ん で お り、薬 剤に 対す る 感 受 性 が低 下 す る た め高 い 防 除 効 果 が 期 待で き な い 。つ ま り 発 生 期 間の 長 期 化 は 、薬 剤の 残 効 期 間を 過 ぎ て か ら発 生す る 個 体や 、薬 剤の効 果 が期 待 で き な い齢 期ま で 成 長し た個 体 の生 存 に つ な が る と考 え ら れ る 。事 実、当 県で は 被 害が 目 立つ ほ場 が 増 加し、1 世 代に 対し て 1回 の殺 虫 剤 散 布 で は被 害を 抑 制で き て い な い 可 能 性 が 示さ れ た 。そ の た め 当 県で は、多 発ほ場 で は1 世 代に 対し 2回 の 薬 剤 散 布、も し く は長 期 残効 が 期 待で き る 薬 剤の 使 用を 指 導 し て い る 。 一 方、生 産 者 の 高 齢 化 に と も ない 、労 働 負 荷 の低 減 は重 要 な課 題 で あ る 。さ ら に 、 農 薬 の目 的 外 飛 散( ド リ フ ト)が、近 年大 き な問 題と な っ て い る。果 樹 園 で はス ピ ー ド ス プ レ イ ヤ ー(以 下 SS)に よ る 防 除 が一 般 的 で あ る が、SS に よ る 散 布は 地 上 防 除 の 中 でド リ フ ト が 最 も 多い 手 法 と さ れ て い る( 日 本 植 物 防 疫 協 会 , 2005 ) 。そ の た め 、 薬 剤 散 布 回 数 を増 加 さ せ る こ と は 、困 難 な状 況と な っ て い る 。 越冬世代成虫 第1 世代成虫 寄生頭数 (頭 / 樹 ) 図1 カキノヘタムシガ成虫発生期間の変化 (岐阜県病害虫防除所調査) 岐阜市の現地圃場にて固定した5 樹につき、ほぼ毎日見取り調査で確認。 各年次の調査日に確認した頭数を平均化した。

(11)

3 性 フ ェ ロ モ ン と 、 実 用 化 に 向 け た 取 り 組 み

カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ の性 フ ェ ロ モ ンは 、Naka et al.(2003) に よ り 同 定さ れ た 。 本 柱 の フ ェ ロ モ ンは 、 (4E,6Z)- 4,6- hexadecadienyl acetate ( 図 2、 以 下OAc) を 主 成 分 と し、 (4E,6Z)-4,6- hexadecadienal (以 下ALd) お よ び (4E,6Z)- 4,6- h exadecadienylol( 以 下OH )を 微 量 成 分 と す る 3成 分か ら構 成 さ れ る こ と が 明ら か と な っ た。 フ ェ ロ モ ンの発 見 に伴 い 、当 県 は 岐 阜 大 学、 東 京 農 工 大 学 、信 越 化 学 工 業株 式 会 社と 協 力し 、性 フ ェ ロ モ ン を 利 用 し た 発 生 予 察 用 誘 引 剤 お よ び 交 信 攪 乱 剤 の 開 発 を 目 標に 研 究に 取り 組 ん だ。 3 種の 成 分 の う ち 、 OAc とALd を 1 0:1で 組 み合 わ せ る と、処 女 雌 に 匹 敵 す る誘 引 効 果 が得 ら れ る こ と が 明 ら か と な っ た 。基 礎 的 に 交 信 攪 乱 効 果 を確 認 し た と こ ろ、 OAc単 体で も 高い 交 尾 阻 害 効 果 お よ び 防 除 効 果が 認 め ら れ る が、 OAcと ALdを10:1 で組 み 合わ せ た 場 合 さ ら に 効 果が 高ま る こ と が確 認 で き た 。こ れ ら の 結 果を 基 に、 誘 引 剤 お よ び 交 信 攪 乱 剤に お け る フ ェ ロ モ ン成 分の 混 合 比 率 が 決 定し、 実 用 性 の 確 認へ と研 究 を発 展 さ せ た 。 4 合 成 性 フ ェ ロ モ ン 剤 に よ る 交 信 攪 乱 効 果 (1) 交 信 攪 乱 に よ る 被 害 抑 制 効 果 実 用 化 に 向け た 研 究に は、 農 林 水 産 省 高 度 化 研 究 事 業 (後 の実 用 化 事 業 )を 活 用 し、(独 )果 樹 研 究 所 、島 根 県 、福 岡 県 と 協 力し て 取り 組ん だ 。OAcとALdを 1 0:1 で 配 合し た 合 成 性 フ ェ ロ モ ン 60 m gを ア ク リ ル チ ュ ー ブ に封 入 し た 交 信 攪 乱 剤 ( デ ィ ス ペ ン サ ー) を作 成 し、 試 験に 用 い た。 供 試ほ場 は 10aず つ2分 割 し、 デ ィ ス ペ ン サ ー を枝 に 設 置し たフ ェ ロ モ ン 区と 慣 行 防 除 区を 設 置し た。 理 区と デ ィ ス ペ ン サ ー の設 置 本 数 は 、90 本 /10aと し た 。 カ キ ノ ヘ タ ム シ ガは目 通 り の 高 さ よ り も低 い 位 置で 多く 認 め ら れ る と さ れ て い る こ とか ら 、デ ィ ス ペ ン サ ー は 目 通り の高 さ に設 置 し た。 そ の結 果、 交 信 攪 乱 剤を 設 置し たフ ェ ロ モ ン 区の 被 害 果 率 は、慣 行 防 除 区 よ り低 い~ 同 等と な っ た( 図3 )。同 様 の試 験 ほ場 を県 内 各 地 に 設 置し て効 果 を確 認 し た と こ ろ、 地 域 間 に お け るカ キ ノ ヘ タ ム シ ガの 発 生 状 況 や年 次 間 で 差 は あ る も の の 、こ の 傾 向に 変 化は な か っ た。 ま た他 機 関 に お け る 試 験で も、 同 様の 効 果が 示 さ れ た 。 交 信 攪 乱 剤の 被 害 抑 制 効 果 が認 め ら れ た こ と か ら、 各 県と 協 力し て本 剤 の新 規 農 薬 実 用 化 試 験に 取 り組 み 、農 薬 登 録 に 向け た 取り 組み を 開 始し た。 新 規 農 薬 試 験 に は、 和 歌 山 県 の協 力 も得 る こ と が で き 、 試 験 例 数を 確 保す る こ と が で き た 。な お、こ の カ キ ノ ヘ タ ム シ ガの 新 規 交 信 攪 乱 剤は 、「 ヘ タ ム シ コ ン (仮) 」 と い う 名 称が つ け ら れ た 。 図2 フェロモン主成分 (4E,6Z)-4,6-hexadecadienyl acetate

(12)

図 3 試験用カキノヘタムシガ交信攪乱剤 ヘタムシコン ハマキコンN スカシバコン 図 5 3 種の交信攪乱剤を同時設置した状況

(2) 交信攪乱剤の併用

カ キ で は ハ マ キ ム シ 類 を 対 象に し た ハ マ キ コ ン N と ス カ シ バ 類を 対 象 に し たス カ シ バ コ ン が 登 録さ れ て お り、 当 県 で は 多 く の カ キ園 で 使 用 さ れ て い た 。 カ キ ノ ヘ タ ム シ ガの 交 信 攪 乱 剤は 、こ れ ら 2 種の 先 行 剤 と同 時 に 設 置 す る こ と に な る(図 5)。そ の た め、そ れ ぞ れ の 効 果 に 影 響 し な い こ と を 確 認 す る 必 要 が あ っ た。 実 際 に 3 種 の 性 フ ェ ロ モ ン を 設 置 し て 試 験 を 行っ た と こ ろ 、 カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ お よ びハ マ キ ム シ 類 の 被 害 果 率は 、3種の 性 フ ェ ロ モ ン 第1 世代幼虫 第2 世代幼虫 図4 交信攪乱剤による防除効果(本巣市,H20) 慣行防除区におけるカキノヘタムシガ防除は、第1 世代がアセフェート水和剤を、 第 2 世代が MEP 水和剤を散布した。 フェロモン区ではカキノヘタムシガに対する薬剤散布は行わなかった。 各区5 樹の全果における被害果数を調査した。

(13)

を 併 用 し た 区 が 最 も 低 く な っ た 。 ハ マ キ コ ン N の み を 設 置 し た 区で は、ハ マ キ ム シ類 の 被 害 果 率は 低 い も の の、カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ の 被 害 果 率 は 慣 行 防 除 区 と 同 等 で あ っ た こ と か ら 、 3 種 の 交 信 攪 乱 剤 を 併 用 し て も 、 互 い に 干 渉 す る こ と な く 果 実 に 被 害 を 及 ぼ す 2 種 の 害 虫 に 対 す る 交 信 攪 乱 効 果 が 得 ら れ る と 考え ら れ た (図 6) 。 (3) 設 置 高に よ る 被 害 へ の影 響 こ れ ま で 、交 信 攪 乱 剤は 目 通り の高 さ( 約1. 5m )に 設 置し て 試 験を 行っ て き た が 、平 成22 年 に交 信 攪 乱 剤 を設 置 し た目 通り の 高さ よ り も 高い 位 置の 被 害 果 率 が 、低 い位 置 の被 害 果 率 よ り も 高く な る と い う 興 味 深 い 現 象が 確 認さ れ た( 表 1 )。こ れ は 、性 フ ェ ロ モ ンの 成 分が 空 気よ り重 い た め 、デ ィ ス ペ ン サ ーの 設 置 高 ま では 高 濃 度 でフ ェ ロ モ ン が充 満 し た も の の、 そ れ よ り上 で は交 信 攪 乱 に十 分 な 濃 度が充 満 し な か っ た可 能 性が 考え ら れ た 。 表 1 高 さ別 被 害 果 率の 比 較 (H22, 岐 阜 市 ) 区 制 果 実 位 置 反 復 調 査 果 実 数 (min. - max.) 被 害 果 率 (%) フ ェ ロ モ ン 区 上 部 8 40- 71 5.2 ± 1.8 * 下 部 8 43- 68 1.4 ± 0.5 慣 行 防 除 区 上 部 8 47- 89 14.7 ± 5.2 n s 下 部 8 46- 76 10.2 ± 3.6 被 害 果 率は平均 ±標 準 誤 差を示 す。 1 区 1 樹とし 、地 上 高 1.5m 以上を 上部、それ 以下を 下部 とし、そ れ ぞ れ の 全 着 果 数に お け る被 害 果 数を調査 した 。 * は 上部と 下部の 被 害 果 率の間に 有意な 差が あ る こ と を示す(P<0.05, χ2検定 )。 図6 3 種の交信攪乱剤を設置した場合のカキヘタムシガ およびハマキムシ類による被害果 の比較(岐阜市,H22) 3 種併用区には、ヘタムシコン 90 本/10a、ハマキコン N150 本/10a、スカシバコン 100 本 /10a を設置した。ハマキコン設置区にはハマキコン N のみを同数設置した。各区 5 樹の全 果につき両種の被害果数を調査した。

(14)

こ の対 策 と し て、設 置す るデ ィ ス ペ ン サ ー の2/3 本(60 本 )を 地 上 高3m の 高さ に 、 そ れ以 外を 目 通り の高 さ に設 置 す る方 法を 検 討し た。 し か し 、 こ の よ う に 設 置 し たフ ェ ロ モ ン区 で は慣 行 防 除 区よ り も 被 害 果 率 が高 く な っ た(デ ー タ 略 )。 こ れ は 、 現 状の 設 置 本 数で は 地 上 高 3mの 高 さ ま で 性フ ェ ロ モ ンを 充 満さ せ る こ と が 困 難で、 交 信 攪 乱 効 果 を 得る こ と が で き な か っ た と考 え ら れ た 。 た だ、こ の現 象が 認め ら れ た の は こ の1 回 限り で あ っ た。そ の た め、現 時 点で は デ ィ ス ペ ン サ ーは 目 通り の 高さ よ り も や や 高 め に設 置す る の が 最 適と 考 え て い る 。 5 今 後 の 展 望 ヘ タ ム シ コ ン の 農 薬 登 録 申 請 は 平 成 2 5 年 5月 に 受 理 さ れ 、 間 も な く 登 録 が 取 得 で き る 見 込 み で あ る 。現 在 岐 阜 県 で は 、農 薬 飛 散 を 抑 え た カ キ 病 害 虫 防 除 体 系 の 確 立 に 向 け 、研 究 に 取 り 組 ん で い る 。交 信 攪 乱 技 術 は そ の 根 幹 を な す 技 術 で あ り 、 ヘ タ ム シ コ ン の 製 品・市 販 化 は 、S Sに よ る 防 除 回 数 の 大 幅 な 削 減 が 期 待 で き る こ と か ら 、上 記 防 除 体 系 の 確 立 に 大 き く 寄 与 す る と 考 え て い る 。さ ら に 、デ ィ ス ペ ン サ ー の 設 置 に か か る 労 力 は 軽 微 で あ る こ と か ら 、大 幅 な 作 業 負 荷 の 軽 減 が 見 込 め 、生 産 者 が 高 齢 化 し た 産 地 で も 利 用 が 可 能 な だ け で な く 、規 模 拡 大 に も つ な が る と 考 え て い る 。さ ら に カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ は 、カ キ の 単 食 性 害 虫 で あ る こ と か ら 、 そ の 発 生 は カ キ 園 に 大 き く 依 存 し て い る と 考 え ら れ る 。そ の た め 、広 域 の カ キ 園 で 本 虫 の 交 信 攪 乱 に 取 り 組 め ば 、当 県 の 発 生 密 度 を 大 き く 低 下 さ せ る 可 能 性 を 秘 め て い る と も 考 え て い る 。 ヘ タ ム シ コ ン の 普 及 に よ り 、醜 く 変 色 し 落 下 す る 果 実 が 過 去 の も の と な り 、豊 か な 実 り に つ な が る こ と を 期 待 し て い る 。末 筆 な が ら 、カ キ ノ ヘ タ ム シ ガ の 性 フ ェ ロ モ ン に 関 わ る 研 究 開 発 や 、試 験 実 施 に 協 力 を い た だ い た 関 係 者 の 皆 様 に 、心 か ら 感 謝 申 し 上 げ る 。 1) 石 井 三 一 (1948) カキ の栽 培 技 術 205pp -2) 日本植物防疫協会 (2005) 地 上 防 除ド リ フ ト対策 マニュアル 31pp.

(15)

地方独立行政法人 青森県産業技術センター りんご研究所 石栗 陽一

1 .は じ め に

リンゴコカクモンハマキAdoxophyes orana fasciataWalsingham は リンゴにおけ る 主 要 害 虫の一種で ある。幼虫は新梢先端葉 などの展開 してまもない柔 らかい葉 を好 んで 巻いて 食害する 。新 梢 伸 長が 停止して 柔らかい 葉が得ら れ な い場合 は、成葉 を重 ねるようにつづり合 わせて内部 に潜み食害 する。また 、果実と 葉が接していると 隙間 に 潜り込み 、果 実 表 面にかじったような食害痕 を残 す。通常は 葉の被害 が中心である が 、発 生 密 度が高まると 果実に 深刻な被害 を与え 、実害を 生じる。 近年、青森県津軽地方 のリンゴ 園では本種 による 被害が問題 となっ て お り、生産者 を 悩ませている。図 1 は リンゴコカクモンハマキ発生程度別園地割合の 年次推移を示 しているが 、2002 年頃から 発生の 目立つ園地 が増加し 、2003 年をピーク として 2004 年 にはい っ た ん発生 が少なくなっている 。その後 、2007 年頃か ら発生園地の割合 が 再 び増加し 、広 い地域で 本種による 被害の目立 つ状況 が続い て い る。本稿では 、2 つ の 時期に お け る発生増加 の要因 に つ い て解説し、そ れ ら を踏まえた 防 除 対 策に つ い て 記 す。

青森県津軽地方におけるリンゴコカクモンハマキの多発要因と防除対策

図1 青森県 におけ るリンゴコカクモンハマキ の発生程度別園地割合の年 次 推 移 (JA 全農あ お も り・青森県 りんご 共同防除連絡協議会調べ )

(16)

0 20 40 60 1998 1999 2000 2001 2002 1998~2002年 5月 6月 7月 8月 9月 10月 0 20 40 60 80 1988 1989 1990 1991 1992 1988~1992年 5月 6月 7月 8月 9月 10月 0 50 100 150 1983 1984 1985 1986 1987 1983~1987年 5月 6月 7月 8月 9月 10月 0 50 100 150 1980 1981 1982 5月 6月 7月 8月 9月 10月 1980~1982年 0 20 40 60 80 1993 1994 1995 1996 1997 1993~1997年 5月 6月 7月 8月 9月 10月 U ^ シ { 2 .多 発 要 因 ① 化性の変化 による 防 除 適 期のずれ 2003 年 をピーク とした 多発の主 な要因は、 本種の化性 が変化 したことによる防除 適期 のずれであると 考え ら れ る。青森県 に お け るリ ン ゴ コ カ ク モ ン ハ マ キの 化性は 、 従来 、津 軽 地 方( 県の西側 )が 年3 化、南部地方( 県の東側 )が年 2 化とされてきた 。 ヤマセ と呼 ばれる冷涼 な北東風 が吹く南 部 地 方では 、津 軽 地 方に比べて 初夏から 夏季 にかけての 気温が低 く、青森県 の東西 で3 化型と 2 化 型の分布 の境界を 形成していた と 考え ら れ る。と こ ろ が、1990 年代 を境に津軽地方における本種 の化性 が年 3 化か ら 年2 化へと変化 した( 図 2)。 図2 青 森 県 津 軽 地 方( 青森市 )のリ ン ゴ園に お け るフェロモントラップ へ の リンゴコカクモンハマキ雄成虫 の誘 引 消 長( 石栗、2004 ) 誘 引 数 / 半 旬

(17)

この 化性の 変化は単純 に年間の 発 生 回 数が減少しただけではなく、発 生 時 期の変化 を 伴 って起こった 。す な わ ち、従来の 3 化型に お け る成虫発生盛期は 、越 冬 世 代が 6月 上旬頃 、第 1 世代 が7月 下 旬 頃、第 2 世代が9 月 中 旬 頃であったのに 対し、2化型 に おける 成虫発生盛期 は、越 冬 世 代が 6 月 下 旬 頃、第 1 世代 が 8 月 下 旬 頃と な っ た。本 種 の夏季に お け る防除 では、若 齢 幼 虫の 発 生 時 期に合 わ せ て殺 虫 剤を散布 す る た め 、 従来 の 3 化型個体群 に お け る第 1 世 代 幼 虫を対象 とした散 布 適 期は 6 月 下 旬 頃、第 2 世 代 幼 虫を 対象とした 散 布 適 期は 8 月 上 旬 頃で あ っ た(図 3)。 しかし、 こ れ ら の散 布適期 は 2 化型個体群に お け る若 齢 幼 虫の発 生 時 期には全 く合わず 、本種 の多発 の一 因 となったと考え ら れ る。 1~3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11~12月 休眠幼虫 幼虫 卵 成虫 蛹 幼虫 卵 成虫 蛹 卵 成虫 蛹 幼虫 幼虫 休眠幼虫 展葉1週間後頃 6月下旬 8月上旬 休眠幼虫 幼虫 幼虫 卵 成虫 蛹 卵 成虫 蛹 幼虫 休眠幼虫 落花直後 7月中旬 9月中旬 【3化型】 【2化型】 化性の変化 1~3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11~12月 図 3 化性の異 なるリンゴコカクモンハマキ の生活史 と防 除 適 期 注 1)矢印 は殺虫剤 の散 布 適 期を示す。

(18)

一方 、越冬世代幼虫 を対象 とした春季 の防 除 適 期は、樹上 で越冬し て い る幼虫 が越 冬巣 を脱出 して、芽や葉 などへ移動 する時期 である 。近年 の調査 に よ っ て、2 化型 と 3 化型 のリンゴコカクモンハマキで は、越 冬 幼 虫の 活動開始時期にも違 いがあること が 明らかになった( 石栗、未発表 )。従 来 発 生し て い た 3 化型 リンゴコカクモンハマ キ の越 冬 幼 虫は、展 葉 期 頃を盛期 として 活動を始 め る の で、「展葉 1 週 間 後 頃」 と呼 ばれる 4 月下旬 頃の 散布時期が 本種の防 除 適 期と さ れ ていた 。と こ ろ が、2 化型 リン ゴコカクモンハマキ の越 冬 幼 虫は 3 化型 の も の に比べて 2~3 週間も遅 い開花期 頃を 盛期 として 活動を開始 す る た め、防 除 適 期は 5 月中旬 頃の「落 花 直 後」と呼ばれる 時 期 で あ る と推定された 。春季の防除 も、従来 の 3 化型 個体群に 合わせて 殺虫剤を 散布 した 場合、2 化型 個体群 の越冬幼虫 の活動開始時期には 全く合 わないものと考えられ た 。 ② 殺虫剤に 対する感受性 の低下 化性の変化 による 防 除 適 期の ず れ が明 らかになった後、青森県 の「りんご 病 害 虫 防 除暦 」に お け るリ ン ゴ コ カ ク モ ン ハ マ キ対策も 2 化型 の発生時期に対応 した防除体系 に 変更され 、い っ た ん発 生 密 度が低下した(図 1)。しかし 、前述の通 り 2007 年頃 か ら 再び本種 の発生が 問題になる 園地が増加 した。多発 園から採集 した個体 を用いて 各 種 殺虫剤に 対する薬剤感受性を 調べたところ 、当時基幹防除剤 として使用 されていた 有機 リ ン剤 のク ロ ル ピ リ ホ ス や 合 成ピ レ ス ロ イ ド剤の シ ハ ロ ト リ ンな ど の効果 が 低 下 していることが明 らかになった(結果 の一例を 表 1 に示す)。 なお、同 じ有機 リン 剤 でもプロチオホス(現在 は り ん ごに対する 農 薬 登 録は削除されている )は 、幼虫 を 採集 したいずれの多発園 においても感受性 の低下 は認められなかった 。 リ ン ゴ コ カ ク モ ン ハ マ キは リ ン ゴの 害虫 の中 でも 薬 剤 抵 抗 性 の発 達し や す い種 で あり 、過去 にもたびたび 殺虫剤 の効 力 低 下に よ る多発 事例が 報告されている (白崎 、 1986;舟山・ 高橋、1995、村上 ・ 刀、 2005)。青森県における 2007 年以降の 多発 生 も、本種 に対する 基幹防除剤の効 力 低 下に起因 しているものと考 え ら れ た。 表 1 多発園から採集したリンゴコカクモンハマキ の薬剤感受性 農薬の種類(有効成分%) 希釈倍数 供試 幼虫数 生存 幼虫数 死亡 幼虫数 寄生 幼虫数 生存率 % シハロトリン水和剤(5%) 2,000 30 21 8 1 72.4 クロルピリホス水和剤(75%) 3,000 30 22 8 0 73.3 プロチオホス水和剤(32%) 800 30 0 30 0 0 展着剤のみ - 30 24 3 3 88.9 注1)展着剤(ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(27.0%)10,000 倍)を加用し た薬液に浸漬し、風乾したリンゴ葉をプラスチック容器に 5 枚ずつ入れ、現地リンゴ 園から採集した幼虫(3 齢幼虫主体)を 10 個体ずつ接種。接種 6 日後に幼虫の生死を 判定。寄生されていた個体は生存率の計算から除外。各区 3 反復。 注2)現在、プロチオホス水和剤のりんごに対する農薬登録は削除されている。

(19)

3 .防 除 対 策 ① 春季の防 除 対 策

化性の変化 に伴って 越 冬 幼 虫の活動開始時期が 変化したことで、春季 の防 除 時 期を 従来 の「展葉 1 週間後頃」から「落花直後 」に移行 した。青森県 のリンゴ 園では 個々 の 生産者が マメコバチOsmia cornifrons(Radoszkowski)を 管理し授粉 に利用 してい るが 、3 化型個体群 に対する 防除適期である「展葉 1 週間後頃」はマメコバチの 活動 期 より前で あ る ため、この 時期 の防 除 剤と し て有機リン 剤を 使用することができた 。 しかし 、2 化型 個体群の 防除適期である「落花直後」はマメコバチの活動期間中 に当 た る た め、 ハチに影響 のある殺虫剤 は散布 することができない。 そこで、ハチ に影響 が少ない殺虫剤 で、リンゴコカクモンハマキ に対 して効果 の高 い 剤の検索 を行った 結果、IGR 剤の フルフェノクスロンとクロルフルアズロンの 効果 が 高い こ と が明らかになり (図 4)、リンゴコカクモンハマキ越冬世代幼虫を対象 と した「落 花 直 後」の防除剤 として 採用した 。IGR 剤 の中でも テブフェノジドに関 して は 効果が劣 ったが、室 内 試 験でテブフェノジド を処理 した葉を 幼虫に与 えた場合 には 高 い効果が 認められることから、感受性の 低下による ものではないと 考え ら れ る(石 栗 、未 発 表)。また 、圃場条件下 でも 、新梢 伸長が停止 した 後の夏季 にテブフェノジ ド を散布した 場合には 、春季に比 べて高い 効果が認 め ら れ るこ と か ら( 石栗、未発表 )、 春季 の よ う に新梢が 旺盛に伸長 し、薬剤の付着 していない 新葉 が次々に 展開し て く る 条件下 では 効果が劣 るのではないかと思 われる。この 点については、こ れ ら の殺虫剤 の 作 用 機 構や幼虫の 行動と関連 して、さらに 詳細 な検討が 必要であろう 。 0 20 40 60 80 100 フルフェノクスロン 10%乳剤4,000倍 クロルフルアズロン 10%水和剤4,000倍 テブフェノジド 20%水和剤3,000倍 無散布 巻 葉 数 / 5 0 0 新 梢 散布前日(5月17日) 散布14日後(6月1日) 散布25日後(6月12日) 図 4 「落 花 直 後」 の IGR 剤散布 による リンゴコカクモンハマキに 対する効果 注1)1 区当 たり、20 ~21 年生のマルバカイドウ 台‘ ふじ’3 樹と‘ メロー’ 2 樹 を供試し 、展着剤 (ポリアルキレングリコールアルキルエーテル (27.0%) 10,000 倍を 加用した 薬液を 1 樹当たり 18ℓ 散布した。

(20)

② 夏季の防 除 対 策 夏季の防 除 対 策と し て は交信撹乱剤(トートリルア 剤または オリフルア・ト ー ト リ ルア・ピーチフルア剤)を基幹 とした 防除を行 うこととした。交信撹乱剤を利用 して リンゴコカクモンハマキ に対する 殺虫剤 の散布をできるだけ 減らす ことにより、今後 の 薬剤抵抗性発達を 回避または 遅延させることが 目的である 。また、殺虫剤 の散布 に よる 防除では 、防 除 適 期を逃すと 効果が劣 るのに対 し、交信撹乱剤は連続的 に成虫 の 配 偶 行 動を 撹乱する 特性を有することから 、発生時期 の変化した リンゴコカクモンハ マキ に対して も防 除 適 期の判断 を誤ることなく対応 できるものと考 え ら れ た。 まとまった面積が 確保で き な い場合など 、条件的に 交信撹乱剤の利用 が難しい 園地 では 、殺虫剤による 防除 を行う必要 がある。そのような園地 では、従来 のピレスロイ ド 剤や有機 リン剤に 代わって、ジ ア ミ ド剤( フルベンジアミドまたはクロラントラニ リプロール )を防除剤 として散布 することとした。殺虫剤 の散 布 適 期は フェロモント ラップ による 雄成虫 の誘 引 消 長を用いて 推定できる が(石栗 、2010)、 2 化型個体群 では 第 1 世代幼虫を対象 とした 散布が 7 月中旬頃、第 2 世代幼虫を対象 とした散布 が 9 月中旬頃となることが多 い(図 3)。通常 、リンゴにおける薬剤散布は 8 月末で 終了 す る た め、 第2 世代幼虫の防除 は発生が多 い場合の 特別散布となる。 4 .お わ り に 青森県に お け る近年 のリンゴコカクモンハマキ の多 発 要 因として 、化性 が変化 した こと による 防 除 適 期の ず れ と殺虫剤 に対 する感受性 の低下 に つ い て示した。気候 の温 暖化 が 進 行す る中で 化 性が発 生 回 数 の減 少す る方 向に 変 化した 理 由は明 ら か に な っ ていないが 、可能性の 一つとしては殺虫剤 による防除圧 の影響 が考え ら れ る。すなわ ち 、従来 は3 化個体群の発生時期に合 わせた防除 を行っていたために 、発生時期の異 なる 2 化個体群に対しての防除圧 が相対的 に低く、2 化型個体群が優占 したという仮 説 である。もしこの 仮説が 正しいとすると、現在 は2 化個体群の発生時期に合わせて 防 除 体 系を 再編し た た め、今後 、再び 3 化の 個体群が優占する 可能性 も考えられる。 本種 の発育 に要する 有効積算温度を考えると 、青 森 県 津 軽 地 方では現在 も 3 化の 生活 史 を完了するだけの 十分な温量 があるため、今後 の動向を 注視する 必要がある 。 また、薬剤抵抗性の 問題についても、リンゴコカクモンハマキ と同属 のチャノコカ クモンハマキAdoxophyes honmai Yasuda で IGR 剤や ジアミド剤に対する 抵抗性 の 発達 が報告 されており( 内山・小澤、2012;、内山 ら、2013)、リンゴコカクモンハ マキ においても新たな 薬剤抵抗性 の発達 に十 分 注 意する必要 がある 。今回 のリ ン ゴ コ カクモンハマキ の多発 をきっかけに、これまであまり 積極的に 利用されて こなかった 交信撹乱剤 が、被害を受 けた地域を 中心に比 較 的 広い 面積で使用 されるようになった ことは 幸いだが 、薬剤抵抗性の問題 を回避 するためにも、今後 も交信撹乱剤による 防 除 を基幹に 防除体系 を組み立てることが 重要である 。

(21)

引 用 文 献 舟山 健・ 高 橋 佑 治(1995) 応動昆 39: 81-83. 石 栗 陽 一(2004)北日本病虫研報 55:247-251. 石 栗 陽 一(2010)植物防疫 64: 266-268. 村 上 芳 照・ 刀幸博(2005)関東病虫研報 52:111-114. 白 崎 将 瑛(1986)東北農業研究 38:53-60. 内山徹 ・小 澤 朗 人(2012)第 17 回農林害虫防除研究会報告: 27. 内山徹 ・小 澤 朗 人・ 劉主(2013)応動昆 57:85-93.

(22)

愛知県東三河農林水産事務所 農業改良普及課 金子 良成 1 は じ め に 愛知県東三河地域は、全 国 有 数のつまもの野 菜 産 地(つ ま も の野菜とは 料理の 彩や 添 え物などとして使 われる野菜 の総称)で、多 種 多 様な品目 が生産 されている。その 中 で最も販売額 が多 い大葉は 92 億円(5生 産 組 織)で全国 シェア の 50 %強を占 めて おり 、また 、大葉に 次いで販売額 の多 い食用ぎく(つま 菊)は 15 億円( 3生 産 組 織) で 全国シェア の 90%以上 を占め て い る。 つ ま も の野菜は、す べ て の品目が 生産量の 少ないマ イ ナ ー作物 であり 登 録 農 薬は少 ない 。そ の た め、既登録 の化学合成農薬 だ け で はハダニ類 、アザミウマ類などの 微小 害虫 の被害 を抑えることができず、その防除 が栽培上 の大きな 課題となっている 。そ こで 、大葉 と食用ぎく 栽培に お い て農家 、農協と JA あいち 経済連、愛知県 (農業改 良 普 及 課、 農 業 総 合 試 験 場)、メ ー カ ー が協力 して化学合成農薬 だ け に頼 らない 害虫 防除 と し て 天 敵 及び 粘 着 板の 利 用を 進め る た め の 実証 ほ を設置 し て実 用 性の 確 認 及 び 効果的な 利 用 方 法の検討を重 ね て き た。今回は、これまでの 取り組みを 中心に 報告 する 。 2 取り組 みの概要 食用ぎくは 平成 20 年から、大葉 は平成 22 年から 、毎 年 複 数か所の農家 ほ場を 実証 ほ と し て害 虫 防 除の 実証を重ねた 。当初の実 証 内 容は 天 敵 利 用によるハダニ 類の 防除 に 重点を置 き、途中からは 天敵及び 粘着板利用による アザミウマ類の防除 にも取 り組 ん で き た。毎年 、それまでの 実 証 結 果を踏まえ 、少 しずつ取 り組み内容 を変え な が ら その 時点での 最良な 利 用 方 法を 模索し て き た。 3 食用ぎくの 取り 組み ( 1) ハダニ 類の 防除 取り組みを 始めた 平成 20 年頃は 、食用ぎくに 登録 のある化学合成農薬 の中で 、ハ ダニ 類に十分 な 効果が期待 で き る殺ダニ 剤は 1剤のみで 、防除 は、 ハ ダ ニ類の成虫 、 幼虫 に直接 かからないと効果がない 気門封鎖型農薬 の散布 が中心で あ っ た。そ の た め、 ハダニ 類が 発生し や す い5~9 月にかけては、ハダニ 類の被害 に困り 、激発した 場合 に 抑えることができず栽培を途中 であきらめる施設 も見られ 、新たな対策 が求められ ていた 。 そこで、 平成 20 年から ハダニ類 の天敵である ミヤコカブリダニのボトル 製剤 につ いて 検討を 開始した 。平成 20 年 、21 年 の実証ほでは 、ミヤコカブリダニを放飼 する ことで 生 育 後 半の開花期(収穫期 )ま で に は何とかハダニ 類を 抑えることできたもの

大葉、食用ぎくにおける 天敵利用を柱とした害虫防除対策

(23)

図1 食用ぎく天敵(パック製剤)の設置状況 の 、それまでに ハダニ類 が許容範囲以上に増 えすぎミヤコカブリダニ及 びチリカブリ ダニ の追 加 放 飼や気門封鎖型農薬 を従来 と同じ頻度 で散布 する必要 が あ っ た。しかし 、 取 り組 み を進め て い く う ち に 天 敵 放 飼か らハ ダ ニ 類の 密 度が低 下す る ま で に 最 低2 週 間 程 度か か る こ と や 天 敵 放 飼 のタ イ ミ ン グ や天 敵 放 飼 前 の害 虫の い な い環境 づ く り な ど が 重 要 で あ る こ と な ど が 分 かった 。 その後 、少 し ず つ改善 が図 られ 、 ミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニ の 1 回 の み の 放 飼 で も ハ ダ ニ 類 の 増 加 を 効 果 的 に 抑 制 し て そ の 後 も 長 期 間 に わ た り 抑 えた成 功 事 例も見 ら れ た が、ハダ ニ 類 の 増 加 の 抑 制 に 苦 労 し た 事 例 もあり 、天敵 に影響の 少ない殺 ダニ 剤 が ほ と ん ど な い 中 で 安 定 し た 効 果 を上げることができなかった 。 しかし、 愛知県を 中心に JA あい ち 経 済 連 な ど 関 係 機 関 が 連 携 し て マ イ ナ ー作物 の農薬適用拡大に 取り組み 、その 中で食用 ぎく生 産 組 織は 作物残留試験 の 試験ほ場 の提供などで 協力した 結果、食用 ぎくで ニッソラン水和剤 、カネマイトフ ロ ア ブ ル、スターマイトフロアブル 、ダニサラバフロアブルと い っ た天敵 に影響 の少 ない 殺ダニ 剤が平成 2 2~25 年に か け て相次 いで登録 となり 、ハダニ防除 に お い て天 敵 を利用し や す い環境 が整った 。 平成 24 年からは 、新 たに上市された ミヤコカブリダニのパック 製剤 の検討を 始め た 。 z 図2 実証ほでのカブリダニ及びハダニ類の発生消長(平成 25 年) スワルスキーカブリダニ(パック製剤) ミヤコカブリダニ(パック製剤) (天敵放飼:4/16 収穫期間:7/1~7/31) :殺ダニ剤の散布

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

4/16 4/22 5/ 1 5/9 5/14 5/21 5/28 6/4 6/11 6/20 6/25 7/2 7/11 7/25 8/7

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

カブリダニ頭数 ハダニ類頭数 図2 実証ほでのカブリダニ及びハダニ類の発生消長(平成 25 年) ハ ダ ニ 頭 数 ( 頭 / 1 0 葉 ) カ ブ リ ダ ニ 頭 数 ( 頭 / 1 0 葉 )

(24)

図3 実施施設での粘着板設置状況 パック 製剤 は徐放性 でボトル製剤 より天敵 が定着 しやすいと言われているが 、使用基 準 の 100 ハ ゚ック/10a でパック の設 置 間 隔は6 mとなるため、その 設 置 間 隔でボトル 製 剤 と同じ効果 が得ら れ る か確認 した。その 結果、パック 製剤の 防 除 効 果はボトル 製剤 と 同等であることが 確認でき、パック 製剤の 利用を進 めることとなった。また 、パッ ク 製剤の設置 は定植後 できるだけ早い方 が効果的 で あ る が、株 が小さいと 葉の重 なり が 少なく天敵 が移動 しにくいため、図1の よ う に倒 伏 防 止の た め のフラワーネット を 早 めに設置 し、フラワーネット にパック 製剤を設置 することにした 。 実証では 、天敵放飼前にハダニ 類の防除 を徹底し 、定植後2 ~4週間 を目安に ミヤ コカブリダニ のパック 製剤を 100 パック /10a 設置し、 その後は 追 加 放 飼を行わず 、状 況 に応じて 天敵に影響 の少ない 殺ダニ剤 を散布することで 、平成 25 年 に設置した 実 証 ほ4か所 とも図2 のように生 育 前 半に ハダニ類 の増加を 抑制でき 、その 後も収穫期 まで ハダニ 類の発生 を抑制できた 。ハダニ類 の防除については 天敵に影響 の少ない 殺 ダニ 剤 が増 え た こ と で天 敵と 化 学 合 成 農 薬の 組み 合わ せ に よ り 安 定 的に 防 除で き る ようになった 。 ( 2) アザミウマ 類の防除 アザミウマ類は5 ~9月に発生 が多く 、食用 ぎ く で は葉より 花への寄生 が問題 とな る 。花 にアザミウマ類が 寄生すると 花の中で 増殖し、激発 すると花弁 の変色 、出荷物 への アザミウマ類の 混入などで 収穫を打 ち切る場合 もある 。発生 するアザミウマ の種 類 と し て は花を好む ミカンキイロアザミウマ、ヒラ ズハナアザミウマが主である 。 当地域では 、平成 22 年頃から使 用 時 期が 収穫3日前 までで 防 除 効 果も高かった ス ピノエース 顆粒水和剤の薬効が 年々低下 し て き た。 そ の た め、アザミウマ 類侵入防止の た め の施設開口部の防虫 ネット(1㎜ 目合)と 既登録 の化学合成農薬 だ け で は防除が難 し く な り、新たな 対策が求 められていた。 そこで、 平成 22 年から スワルスキーカブリダニの ボトル製剤 の検討 を開始し 、平 成 24 年からは 、それに 代えて新たに 上市された スワルスキーカブリダニ のパック 製 剤 と粘着板 の併用を 検討した。ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニの パック製剤 は、200 パック /10a を ミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニ の パ ッ ク 製 剤 と 同 じ タ イ ミ ン グ で 設 置 す る よ う に し た 。粘着板 については、施設 の谷の 部 分 な ど に設 置する 農家 も 見ら れ た が 、 そ れ で は設 置 枚 数が 少なく、株からの 距 離 も 遠 い た め 誘 殺 効 果 が 低 い と 考 え 、図 3の よ う に畝の直上 に3mおき ( 200~300 枚/10a )に設置し、ハモグ リ バ エ 類 の 防 除 も 兼 ね て 青 色 粘 着 板 と 黄色粘着板の設 置 割 合を2:1とし た 。

(25)

さらに、誘 殺 効 果を 高める た め 粘 着 板 の 設 置 高 さ を 生 育 に応じて 調節し、開花期 ま で は ア ザ ミ ウ マ 類 に 効 果 の あ る 化 学 合 成 農 薬 の 散 布 も 定期的 に行 った。天敵 と粘着 板 を利用した 実証ほ( 実証施 設 )と、慣行 の隣 接 施 設(慣 行施設 )との 比較では 図4の よ う に 収 穫 期 の ア ザ ミ ウ マ 類 の 青 色 粘 着 板 へ の 誘 殺 数 は 実 証 施 設 の 方 が 明 ら か に 少 なく、他 の実証ほでも アザミウマ類の 多発を抑 え収穫への 影響も 少な か っ た。 天 敵 及び 粘 着 板の 利 用と化 学 合 成 農 薬の 散 布を組 み 合わ せ て もア ザ ミ ウ マ 類の 発 生 をゼロとすることは 難しいが 、アザミウマ 類の多発 を抑えることが確認 できたので、 今後 は、安定 して開花期 までにできる限り アザミウマ類の発生 を抑え 、そ の ま ま開花 期 (収穫期 )も多発 を抑えた状態 で収穫 を終了できるように 検討し て い く。 4 大葉での 取り組 み ( 1) ハダニ 類の 防除 大葉は、定植後 から 概ね1か月 で収穫を 開始し、その 後は概 ね3日間隔 で4~ 5か 月 間 収 穫が 続く。既登録 の殺ダニ剤 は7剤あるものの 通常の収穫 サ イ ク ルの中で 収穫 期間中 に使 える使 用 条 件が収穫 3日前までのものは 3剤し か な い。そ の た め、ハダニ 類防除 の実情 は、食用 ぎくと同様 にハダニ 類の被害 に困り、激発 した場合 に抑えるこ とができず 栽培を途中 であきらめる施設 も見られ 、新たな対策 が求められていた 。し かし 、大葉の天敵利 用は 食用ぎくに 比べて難 しい、その理由 と し て は、ハダニ類 が寄 生 す る 葉 が 収 穫 物 で あ る た め 食 害 に 対 する許 容 範 囲が非常 に狭く(葉に 1 頭 で も ハ ダ ニ が 寄 生 す る と 食 害 痕 に より 出 荷で き な く な る )、さ ら に せ っ か く 増 え た 天 敵 が 収 穫 葉 と 一 緒 に 持 ち 出 さ れ る 心 配 が あ る こ と な ど が あ げ ら れ る。 平成 22 年に ハダニに対 する捕食能 力 が 高 い と い う こ と で 連 続 放 飼 を 前 提 と し た チ リ カ ブ リ ダ ニ の 検 討 を 始 めたが 、チリカブリダニの 捕食がハダ ニ 類のみのため、ハダニ類 がいなくな 0 100 200 300 400 500 600 6/5~6/19 6/19~7/4 7/4~7/16 7/16~7/22 実証施設 慣行施設 捕 殺 頭 数 ( 片 面 あ た り ) 図4 粘着板のアザミウマ類捕殺頭数(平成 25 年) (天敵放飼:4/5 収穫期間:6/26~7/29) 図5 大葉のパック製剤設置状況

(26)

0 2 4 6 8 10 12 14 4/16 4/30 5/14 5/28 6/11 6/25 7/9 実証区 対照区 (天敵放飼:4/16、5/31 収穫期間:4/2~7/12) ると チリカブリダニ もいなくなり、その後の ハダニ類 の発生に 対して追 加 放 飼を 繰り 返 すものの 十分にハダニ 類を抑 えることができなかった。そこで 、広食性 のミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニを 検討することにし、平成 23 年に ミヤコカブリダニのボトル 製剤、平成 24 年 か ら は、 新に 上市 さ れ たミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニ のパ ッ ク 製 剤に代 え て検 討し た。平 成 25 年の実証 では 、パ ッ ク製剤の 設 置 前に化学合成農薬 で防除 し て お き、隣 の株と 葉 が 重なり始 める少し 前を目安に パック製剤 を 100 パック/10a を 図5の よ う に枝に 吊り 下 げ、その後 、天敵の頭数 を維持す る た め 1 か月半後 を目安に 同じ量をもう 一 度 設 置 した 。 定植後は 、ハダニ類 の発生があり 、防除が 必要と判断 した場合 は天敵 に影響の 少な い 殺ダニ剤 を散布して ハダニ類 の密度を 抑えるようにした 。 実証では 、面積あ た り の葉数が 非常に多 い た め か天敵を見 つけることが難しく 、よ ほど 増え な い と調査葉 でもほとんど確認 できず、ハダニ 類の増加 を抑制 する効果 は食 用 ぎ く よ り低いと 思わ れ た。 しかし 、ミヤコカブリダニの パック 製剤 を設置した 棟(実 証 区 ) と 設 置 し て い な い 棟 ( 対照区)との 比較が で き た 平成 25 年の 実証では 、図6 の よ う に 調 査 葉 で の ハ ダ ニ 類 の 寄 生 頭 数 は 実 証 区 の 方 が 対 照 区 に 比 べ て 少 な か っ た 。さらに両区 ともハダニ 類 の ス ポ ッ ト 発 生 が 見 ら れ た 中 で、対照区 ではハダニ 類の 被 害 が 広 が り 激 発 し た の に 対 して、実証区 ではス ポ ッ ト 発生 か所に 天敵 が確認され 、 その 後は化学合成農薬 の散布なしに ハダニ 類が減少 し被害 が拡大しなかった 。実証 か ら 、天敵 と天敵 に影響の 少ない化学合成農薬 を組み合 わせることでハダニ 類の増加 を 抑制 できることが確認 できた、今後 より早く 効果的に ハダニ類 を抑えられるように 検 討 し て い く。 ( 2) アザミウマ 類対策 アザミウマ類の発生 は5~9 月に多く 、アザミウマ の種類と し て はミナミキイロア ザ ミ ウ マと モトジロアザミウマが主で、アザミウマ類 が寄生して 食害痕 の で き た収穫 葉 は出荷できなくなる 。食用ぎくと 同様に使 用 時 期が 収穫3日前 までで 防 除 効 果も高 かった スピノエース 顆粒水和剤の薬効が 年々低下 し、施設開口部の防虫 ネット( 1㎜ 目合 い)と既登録 の化学合成農薬防除だ け で は防除 が難し く な り、新たな 対策が 求め ハ ダ ニ 類 の 頭 数 ( 頭 / 6 0 葉 ) 図6 ハダニ類の発生消長(平成 25 年) :殺ダニ剤散布

(27)

られるようになった 。 平成 22 年 にスワルスキーカブリ ダ ニ の ボ ト ル 製 剤 に つ い て 検 討 し たが 、防 除 効 果が分からなかったの と 当 時 は ハ ダ ニ 類 防 除 の 方 が 重 要 度 は 高 い と の 判 断 で 検 討 は 1 年 で 終了 した。 その後、アザミウマ 類の発生 が問 題 となる中 で平成 24 年から新 たに 上 市 さ れ た ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ の パ ッ ク 製 剤 と 粘 着 板 の 利 用 に ついて 検討 を始めた 。パック製剤 は 200 パ ック/10a を 図5の ミ ヤ コ カ ブ リダニ のパック 製剤 と同様に枝 に吊り下 げ、天敵の頭数 を維持 す る た め1か月半後 を 目安 に同じ 量をもう 一 度 設 置した 。粘着板 は、図7の よ う に畝の 直上に3 mおき( 250 ~ 350 枚/10a)に 設置し、コナジラミ類の防除 も兼ねて 青色粘着板と黄色粘着板を 2: 1 の割合とした 。また、捕 殺 効 果を 高め る た め設置する 高さを 生育に応 じて調節した 。 実証 では、化学合成農薬 の散 布 回 数が少ないにもかかわらず 、調査葉への アザミウマ 類 の寄 生 頭 数、粘着板への 誘 殺 頭 数も少なく 推移し た た め防 除 効 果は あ る と思われた 。 今後 、天敵及び 粘着板利用と天敵に 影響の少 ない化学合成農薬 を組み合 わせることで アザミウマ 類の発生 をより安定的 に抑えることができるように 検討 し て い く。 5 お わ り に ハダニ類 、ア ザミウマ 類が抵抗性発現などにより既登録 の化学合成農薬 だ け で は防 除 が難しい 状況の中 で、防 除 効 果がある 新たな 防 除 技 術として 天敵及び 粘着板の 利用 に つ い て実証 ほを設置 して検討 し て き た。天敵及び 粘着板の 利用は と も に、そ れ な り の 防 除 効 果は あ る が一 長 一 短がある 、それ を補うため 化学合成農薬の 散布も含 め、防 除技術 を効果的 に組 み合わせていくことが重要で あ る と感 じた。 実 証を行 う こ と で農 家の天 敵へ の理 解も 深ま り天 敵 及 び粘 着 板 を 利 用する 農 家も 徐 々に増え て き た。今後 も実証を 重ね、より 多くの農家 が失敗 なく導 入 効 果を実感 で きるように 、天 敵 利 用を 柱に化学合成農薬による 防除 や粘着板利用などを 組み合 わせ た 総合防除指針を作成 して生 産 安 定を進 めていきたい。 図7 実施施設での粘着板設置状況

(28)

静岡県病害虫防除所 片山 晴喜・土井 誠・松野 和夫 現:静岡県農林技術研究所 果 樹 研 究セ ン タ ー 静岡県農林技術研究所 静 岡 県 内では 、西部地区 および 志太榛原地区を中心 にガ ー ベ ラが約 26ha 栽培 さ れ、 生 産 額 は全 国 一 位を 占め 、本 県 に お け る主要 な花 き類 の一 つ で あ る。 ガ ー ベ ラ栽 培で はコ ナ ジ ラ ミ 類、 ア ザ ミ ウ マ類 、ハ ダ ニ 類、 チ ャ ノ ホ コ リ ダ ニ、 マ メ ハ モ グ リ バ エ 、 ハ ス モ ン ヨ ト ウお よ び オ オ タ バ コ ガと 多 種 類 の 害 虫 が 発 生 す る 。こ れ ら の害虫 は 薬 剤 感 受 性が 低 下し て い る種 類が 多いが 、 更に 最 近で は、 薬 剤 抵 抗 性 が発 達し たタ バ コ コ ナ ジ ラ ミ バ イ オ タ イ プ Q が 加わ り、 生 産 者は 頻 繁な 薬 剤 防除 を 強い ら れ て い る。 一 方で、 イ チ ゴ栽 培で は、 チ リ カ ブ リ ダ ニや ミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニの利 用 が普及 し つ つ あ る (藤 波, 2012)。 また 、ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ の登 場 に よ りピ ー マ ン等 の コ ナ ジ ラ ミ 類や ア ザ ミ ウ マ類 の 防除 へ の利用 が始 ま っ た( 山 中, 2010) 。こ の よ う に 市 販さ れ て い る天 敵 類 の充 実 、果 菜 類に お け る I P M技術 の 確 立とノ ウ ハ ウの 蓄 積 に よ り、 花き 栽 培でも 天 敵 利 用の可 能 性 が高 ま っ て い る。 特 に、 ガ ー ベ ラは 花 茎 を 出 荷する た め、葉 の被 害を あ る程 度 許 容し や す く、 天敵を 導入 し や す いと考 え ら れ る。 そ こ で、 現 地のガ ー ベ ラ栽 培 施 設に お い て 、天 敵カ ブ リ ダ ニ 類を 基 幹と し た I P M 体系 の実 証 試 験を 実施 し た。 試験 の実施 に 当 た っ て は、生 産 者 お よ び生 産 者 組 合 、JA ハ イ ナ ンお よ び JA と ぴ あ 浜 松、静 岡 県 志 太 榛 原 お よ び西 部 農 林 事 務 所 、ア リ ス タ ラ イ フ サ イ エ ン ス株 式 会 社 の関 係 各 位の 多大 な ご協力 を 頂戴 し た。こ の場 を借 り て深謝 申し 上げ る。 1.ガーベラにおける IPM体 系 第1 表 ガ ー ベ ラに お け る総 合 的 防 除 (I P M )の 体 系 対象害虫 生物的防除法 物理 的 防 除 法 化学的防除法 ハダニ 類 ミヤコカブリダニ チリカブリダニ - 選択性殺 ダニ剤* コ ナ ジ ラ ミ類 ( ア ザ ミ ウ マ類 ) スワルスキーカブリダニ 防虫ネット 粘着板 選択性殺虫剤 チョウ 目害虫 BT 剤 防虫ネット 選択性殺虫剤 マメハモグリバエ (土 着 寄 生 蜂) 防虫ネット 粘着板 選択性殺虫剤 * 選 択 性 殺ダ ニ剤 、選 択 性 殺 虫 剤 : カ ブ リ ダ ニ 類に影 響の 小 さ い殺ダ ニ、 殺 虫 剤

ガーベラ栽培における天敵利用

(29)

I P M防 除 体 系 の概 略は 第 1 表の 通り。 コ ナ ジ ラ ミ 類、ハ ダ ニ 類 お よ びア ザ ミ ウ マ 類に 対し て 3 種類 のカ ブ リ ダ ニ 製 剤( ア リ ス タ ラ イ フ サ イ エン ス社 製)を 用い 、 天 敵 類 に影 響の 小さ い薬 剤、 微 小 害 虫の成 虫 を捕 殺す る粘着 ト ラ ッ プ、 害 虫の 侵 入 を 抑 制する 防 虫ネ ッ トを 組み 合 わ せ た。 牧 之 原 市の JA ハ イ ナ ン管 内お よ び 浜 松 市 の JA と ぴ あ浜 松管内 の 各2 園 主の施 設に お い て I P M体系 ( 以 下、 I P M区と す る )を 実践 し、 同 一 園 主の慣 行 薬 剤 防 除 施 設( 以 下、慣 行 防 除 区 と す る) を対 照と して 、 害虫 の発 生 状 況お よ び 薬 剤 防 除 回 数を比 較 した 。なお 、慣 行 防 防 虫 区に お い ても 防 虫ネ ッ ト 、粘 着板 を使 用 した 。 ガ ー ベ ラ栽 培では 5~6 月に 株を 定 植し、 2~3 年 間 栽 培を 継 続する 。 そ こ でI P M 体 系では 、定 植時 に はネ オ ニ コ チ ノ イ ド系 粒 剤 の植 穴 処 理を 、定植 後 1~ 2 週間 は 天 敵 へ の 影 響 期 間 の 短 い薬 剤 を 散 布 し 、 天 敵 放 飼 前の 害 虫 初 期 密 度 を 極 力 抑 え た 。カ ブ リ ダ ニ 製剤 は、 定植 4 ~6 週 間 後に 放 飼した 。平 成 21~ 22 年 の 試験 で は 3 種類 の カ ブ リ ダ ニを 10 a 当り ボ ト ル 製 剤 各 3 本を 放飼 し、 秋お よ び 2 年 目の 春と 秋 に 同 量を追 加 放 飼し た( 第 2 表) 。平 成 23 ~ 24 年の 試 験で は 放 飼 量を 減らし 、 ス ワ ル ス キ ー カ ブ リ ダ ニ製 剤 2 本 とミ ヤ コ カ ブ リ ダ ニ製 剤 1 本の 放 飼と し、チ リ カ ブ リ ダ ニ はハ ダ ニ 増 加 時に ボ ト ル 製 剤 2 本の放 飼と し た 。 なお、 2 年 目の 6 月 放 飼 を 追 加し 、放 飼 回 数は 2 年 間に 5 回 と し た。 ま た、ス ワ ル ス キ ー お よ び ミ ヤ コ カ ブ リ ダニ の 製剤 は、 21~ 22 年の 試 験で はボ ト ル製 剤を 用い た が 、23 ~24 年 の試 験では 主 にパ ッ ク 製 剤を用 い た。 天 敵 放 飼 後の 薬 剤 防 除に つ い て は 、カ ブ リ ダ ニ 類に 影 響の小 さ い薬剤 を生 産 者 が 選定 し 、生 産 者 の判 断で 実施 さ れ た 。 第 2表 ガ ー ベ ラI P M 現 地 実 証 試 験 に お け る天 敵カ ブ リ ダ ニ 類の 放 飼 量 1 回当り放飼量(頭/10a)* 試験場所 栽培 方式 試験期間 放飼 回数 スワルスキー ミヤコ チリ 牧之原市 A 氏 高設 21 年 12 月~22 年 10 月 3 7 万 5 千(B) 1 万 5 千(B) 6 千(B) 23 年 6 月~24 年 10 月 5 5 万(P) 5 千(P) 4 千(B)* * 牧之原市 B 氏 高設 21 年 6 月~22 年 10 月 4 7 万 5 千(B) 1 万 5 千(B) 6 千(B) 23 年 3 月~24 年 10 月 5 5 万(P) 5 千(P) 4 千(B)* * 浜松市 C 氏 土耕 23 年 6 月~24 年 10 月 5 5 万(B) 5 千(B) 4 千(B)* * 浜松市 D 氏 土耕 23 年 6 月~24 年 10 月 5 5 万(P) 5 千(P) 4 千(B)* * * アリスタライフサイ エ ン ス社製剤 。( )内 の B はボトル 製剤、P は パック製剤を 使用 し た こ と を意味 する。 * * 平成 23~24 年の試験 ではチリカブリダニはハダニ 増加時に 放飼。 2. 天敵および 害虫 の発 生 状 況 カ ブ リ ダ ニ類 お よ び害 虫 の発 生 状 況を 把 握す る た め、放 飼 直 前か ら月 に 2 回、 各 施設 当 り 40~ 60 株の 葉を 見 取り調 査し た。 4 園 主の調 査結 果の う ち 、平 成 21~ 22

(30)

年 の B 氏の 結 果を第 1 、2 図 に示 した 。 B 氏 の試 験で は、 天 敵放 飼1週 間 後 に葉 上の カ ブ リ ダ ニ 類密 度は 増加 し たが、 そ の 後は 減少 し、 放飼 54 日後 に は確 認で きな くな か っ た(第 1 図) 。そ の後 の追 加 放飼 で は株 の生 育に よ り 葉数 が 増し た た め か 、放 飼1 ~2 週 間 後に 葉 上 密 度がわ ず かに 増 加す る程 度で 、そ れ以 降は 肉 眼で は確 認で き な か っ た 。 しか し、 ハ ダ ニ類 の 発生 は 試 験 期 間 中に 長 期 間 抑 制 さ れ た。ま た、 コ ナ ジ ラ ミ類 は 1 年目 の 夏 季に増 加 し た が 、選 択 性 殺 虫 剤に よ る 防 除の 後は 長 期 間に 渡り 低 密 度に 維 持で き、2 年目 の 初夏 に 若干 の発 生が 見ら れ た 程 度で あ っ た。 慣 行 防 除 区で は 夏か ら冬 まで ハ モ グ リ バ エ類の 被 害が増 減を 繰 返した 。し か し 、 I P M 区で は天 敵を 放 飼し た わ け で は な い が 、被 害の 増 加は 認 め ら れ ず、調 査 期 間 中 、被 害は わ ず か に発 生した 程 度で あ っ た( 第 2 図) 。 第 1 図 天敵カブリダニ類を活用した高設栽培ガーベラ(試験 B)におけ るカブリダニ類、ハダニおよびコナジラミ類の発生消長(平成 21 年 6 月~22 年 10 月). 生 息 数 ( 頭 / 葉 ) カブリダニ成虫 0 0 .1 0 .2 0 .3 0 .4 0 .5 ハダニ 類雌成虫 0 0 .2 0 .4 0 .6 0 .8 コナジラミ類成虫 0 0 .5 1 1 .5 6 /1 7 /3 1 9 /2 9 1 1/ 28 1 /2 7 3 /2 8 5 /2 7 7 /2 6 9 /2 4 1 1/ 23 IPM区 慣行防除区 天敵放 第2図 高設栽培ガーベラ(牧之原市B 氏)のIPM区と慣行防除 区におけるハモグリバエ類による被害の消長(平成 21 年 6 月~22 年 10 月). ハモグリバエ潜孔数 0 1 2 3 4 6/1 7/31 9/29 11/28 1/27 3/28 5/27 7/26 9/24 11/23 潜 孔 数 ( 本 / IPM区 慣行防除区

(31)

各 種 害 虫の密 度 ま た は被 害に つ い て、各 試 験 の 区 別に試 験 期 間 中 の推 移 範 囲を 箱 ひげ 図 に示 し た(第 3 図 )。 ハ ダ ニ類 雌 成 虫 の密 度 推 移は ほ場 ま た は年次 に よ っ て区 間の 傾 向が異 な り、21 - 22 年 の B 氏、 23- 24 年の C 氏 で はI P M区 が慣 行 防 除 区 よ り低い 傾 向、逆 に A 氏 お よ び D 氏 で はI P M区 が慣 行 防 除 区 よ り高 い傾 向で あ っ た。 コ ナ ジ ラ ミ類 成 虫の密 度 推 移 は、 A お よ び B 氏 は両区 で 同等 で あ っ た。な お、 両 ほ 場と も 21-22 年 よ り 23 -24 年の I P M区 の方 が密 度は 低く 推 移し た。 また 、C 氏 では I P M 区が 低く 、D 氏で はI P M 区が 慣 行 防 除 区よ りや や高 い傾 向で 推移 し た。 本 試 験 を開 始す る元 々の き っ か け は 、A お よ び B 氏の 地 区で は タ バ コ コ ナ ジ ラ ミ バ イ オ タ イ プ Q に 対す る薬 剤防 除 が困 難で あ っ た た め、 ス ワ ル ル キ ー カ ブ リ ダ ニの 効 果 検 証 が一 つ の目的 で あ っ た。 今回 の試 験で は薬 剤 防 除が 必 要で は あ る が、 2 ほ 場 とも I P M 区に お け る本 種の 発 生は 比 較 的 低 密 度に安 定し て い た。 チ ャ ノ ホ コ リ ダ ニ 被 害 株 率 は C 氏 で は I P M区 と 慣 行 防 除 区 が 同 等 で あ っ た が、 他 の 試 験 で は I P M 区 の 最 大 値が 慣 行 防 除 区よ り高 か っ た 。 ハ モ グ リ バ エ 類 幼 虫 に よ る 葉 の 潜 孔 数 は 、 全て の 試 験 で I P M 区 が 慣 行 防 除 区よ り 少 な い 傾 向 で 推 移 し た 。本 試 験 で は ハ モ グ リ バ エ 類 の 天 敵を 放 飼 し て い な い 。 し か し 、ハ モ グ リ バ エ 類 に は 多 数 の 土 着 寄 生 蜂の 存 在 が 知 ら れ る ( 小 西 , 1999) 。 福 岡 県 の ガ ー ベ ラ 施 設で は 、 マ メ ハ モ グ リ バ エ に 対す る 土 着 寄 生 蜂 の 寄 生 や 寄 主 体 液 摂 取が 報 告 さ れ て い る ( 大 野ら, 1999)。 浜 松 市 の I P Mほ 場 で も ハ モ グ リ バ エ 潜 孔 の あ る葉 か ら ヒ メ コ バ チ 類 が 羽 化 し た こ と か ら、 土 着 寄 生 蜂 の 活 動 に よ り 、マ メ ハ モ グ リ バ エ の 発 生が 抑 制さ れ た と 推 測 さ れ る 。 I P M 区で は 放 飼 し た カ ブ リ ダ ニ類 に 影 響の 強 い 薬 剤 の 使 用 を 控 え て も ら っ た 。 慣 行 防 除 区 で も 使 用 薬 剤の 第3図 各 試 験ほ場 に お け るハ ダ ニ類 雌 成 虫およ びコナジラミ類成虫密度、ホコリダニ被害株 率、ハモグリバエ潜孔数の箱ひげ図.横軸の 「1-IPM」および「1-慣行区 」は平成 21 -22 年、「2-IPM」および「2-慣行区」は 平成23-24 年の実施を意味する.

図 3 B. bassiana の感 染 率と湿度 の関係( Luz &amp; Fargues, 1999)
図 3 試験用カキノヘタムシガ交信攪乱剤 ヘタムシコンハマキコンN スカシバコン 図 5 3 種の交信攪乱剤を同時設置した状況(2) 交信攪乱剤の併用 カ キ で は ハ マ キ ム シ 類 を 対 象に し た ハ マ キ コ ン N と ス カ シ バ 類を対 象 に し たス カ シ バ コ ン が 登 録され て お り、 当 県 で は 多 く の カ キ園 で 使 用 さ れ て い た 。 カ キ ノ ヘ タ ムシ ガの 交 信 攪 乱 剤は 、こ れ ら 2 種の先 行 剤 と同 時 に 設
表 1 25 年度育ほ防除履歴 栽 培 様 式、破 覆 資 材、防風・害虫侵入防止資材等を総 合 的 に駆使 し、薬 剤 散 布 回 数・量 を段階的 に少なくすることであり、この 目的・考えを 研 修 開 始と同時 に研修生 に刷り 込みを徹底 。岐阜県は 農 薬 散 布の独 自 規 制として「ぎふ ク リ ー ン農業」の登 録 制 度がある 。イチゴ 養 液 栽 培は切り 離し後から 定植収穫期間に 19 回 の化学合成農薬( 成 分 回 数)が規定 されている。(そ れ よ り少 ないのはこの限り

参照

関連したドキュメント

計算で求めた理論値と比較検討した。その結果をFig・3‑12に示す。図中の実線は

電気集塵部は,図3‑4おに示すように円筒型の電気集塵装置であり,上部のフランジにより試

 TABLE I~Iv, Fig.2,3に今回検討した試料についての

以上の結果について、キーワード全体の関連 を図に示したのが図8および図9である。図8

で得られたものである。第5章の結果は E £vÞG+ÞH 、 第6章の結果は E £ÉH による。また、 ,7°²­›Ç›¦ には熱核の

Robertson-Seymour の結果により,左図のように disjoint

本アルゴリズムを、図 5.2.1 に示すメカニカルシールの各種故障モードを再現するために設 定した異常状態模擬試験に対して適用した結果、本書

図表 5-1-6 評価シート.. 検査方法基本設計 (奈留港に適合した寸法)工場試験結果追加試験結果対応内容