心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 1
心臓カテーテルマニュアル 応用編
埼玉医科大学国際医療センター 心臓内科 Saitama Medical University, International Medical Center, Department of Cardiology Conception and design: SN Drafting of the manuscript: NY, RM, TJ, KS Illustration: YS Critical revision: SN, TM Acknowledgement: YW, MN目次
<Chapter 1> 虚血性心疾患の更なる診断法 ... 5FFR(fractional flow reserve) ... 6
Chapter 1. 1 FFR の概念 ... 6 FFR の実際 ... 6 FFR の解釈 ... 7 冠攣縮誘発試験 ... 8 Chapter 1. 2 冠攣縮症の概念 ... 8 冠攣縮誘発試験の実際 ... 8 冠攣縮誘発試験の評価と治療方針 ... 9 <Chapter 2> 弁膜症のカテーテル検査 ... 10
大動脈弁狭窄(Aortic Stenosis: AS) ... 11
Chapter 2. 1 AS の評価項目 ... 11
AS のカテーテル検査の実際 ... 11
AS のカテーテル検査の評価と治療方針 ... 11
大動脈弁閉鎖不全(Aortic Regurgitation: AR) ... 13
Chapter 2. 2 AR の評価項目 ... 13 AR のカテーテル検査の実際 ... 13 AR のカテーテル検査の評価と治療方針 ... 14 僧帽弁狭窄 (Mitral Stenosis: MS) ... 15 Chapter 2. 3 MS の評価項目 ... 15 MS のカテーテル検査の実際 ... 15 MS のカテーテル検査の評価と治療方針 ... 15
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 2 僧帽弁閉鎖不全(Mitral Regurgitation: MR) ... 17 Chapter 2. 4 MR の評価項目 ... 17 MR のカテーテル検査の実際 ... 17 MR のカテーテル検査の評価と治療方針... 17 <Chapter 3> 先天性心疾患のカテーテル検査 ... 19
心室中隔欠損 (ventricular septal defect:VSD) ... 20
Chapter 3. 1 VSD の評価項目 ... 20
VSD のカテーテル検査の実際 ... 20
VSD のカテーテル検査の評価と治療方針 ... 20
心房中隔欠損 (atrial septal defect:ASD) ... 21
Chapter 3. 2 ASD の評価項目 ... 21
ASD のカテーテル検査の実際 ... 21
ASD のカテーテル検査の評価と治療方針 ... 21
<Chapter 4> 動脈管開存(patent ductus arteriosus:PDA) ... 22
PDA の評価項目 ... 22 PDA のカテーテル検査の実際 ... 22 PDA のカテーテル検査の評価と治療方針 ... 22 <Chapter 5> PCI ... 23 PCI の適応と準備 ... 24 Chapter 5. 1 PCI の適応の原則 ... 24 安定型狭心症におけるPCI の適応と準備 ... 24
急性冠症候群(acute coronary syndrome)における PCI の適応と準備 ... 26
ガイディングカテーテル ... 28
冠動脈用ガイドワイヤー ... 28
血管内超音波(Intravascular Ultrasound:IVUS) ... 28
OCT(optical coherence tomography) ... 29
血栓吸引カテーテル ... 29 バルーン ... 29 ステント ... 30 PCI で使用するデバイスの使用法 ... 31 Chapter 5. 2 PCI の大まかな手順 ... 31 アプローチとシースの選択 ... 31 ガイディングカテーテルの使用法 ... 32 冠動脈用ガイドワイヤーの使用法 ... 32 血栓吸引カテーテルの使用法 ... 32 IVUS の使用法 ... 32
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 3 バルーンの使用法 ... 33 ステントの使用法 ... 33 バルーン・ステントが通過しにくいときのコツ ... 35 PCI で使用する補助治療 ... 37 Chapter 5. 3 (経静脈的)一時的ペースメーカー ... 37
大動脈バルーンパンピング(IABP:intraaortic balloon pumping)... 37
経皮的心肺補助(percutaneous cardio-pulmonary support: PCPS ... 38
PCI の合併症 ... 40 Chapter 5. 4 ヘパリン起因性血小板減少;HIT ... 40 術中低血圧 ... 40 no/slow flow ... 40 冠動脈穿孔 ... 40 冠動脈解離 ... 41 ステント脱落 ... 41 ステント血栓症 ... 41 <Chapter 6> PTA ... 43 PTA の適応 ... 44 Chapter 6. 1 PTA の適応 ... 44 PTA の手順 ... 46 Chapter 6. 2 腸骨動脈領域のPTA の手順... 46 外腸骨動脈(EIA)遠位部や浅大腿動脈(SFA)から膝窩動脈領域(PopA)の PTA の手順 ... 46
膝窩動脈以下(below the knee: BK)の PTA の手順 ... 47
<Chapter 7> Appendix ... 48 AS に対する AVR の推奨 ... 48 Chapter 7. 1 AR に対する手術の推奨 ... 48 Chapter 7. 2 MS に対する PTMC の推奨 ... 49 Chapter 7. 3 Wilkins のエコースコア ... 49 Chapter 7. 4 MR に対する手術適応と手術法の推奨 ... 50 Chapter 7. 5 STEMI における Primary PCI の指針 ... 51
Chapter 7. 6 非 ST 上昇型急性冠症候群における冠動脈造影の指針 ... 51 Chapter 7. 7 間欠的跛行に対する血管内治療 ... 53 Chapter 7. 8 大腿腸骨動脈病変と大腿膝窩動脈病変の TASC 分類 ... 54 Chapter 7. 9 カテ室でよく使用される薬剤 ... 56 Chapter 7. 10 <Chapter 8> Reference ... 57
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 5
<Chapter 1>
虚血性心疾患の更なる診断法
基礎編で述べたように、冠動脈の狭窄度は、冠動脈造影写真を目視または QCA で評価される。 本チャプターでは、機能的狭窄を診断する方法を紹介する。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 6 FFR(fractional flow reserve)
Chapter 1. 1
FFR の概念 ・冠動脈造影における中等度狭窄(30-70%狭窄)は、目視や QCA ではその狭窄の臨床的、機能的重症度の評 価が困難であることが多い(1)。 ・FFR は ATP で薬剤的に最大充血を得た場合の、大動脈部と冠動脈狭窄遠位部の圧比を測定し、機能的虚血の有無 を得る方法である。 FFR の実際 Pressure wire本体を受けとり0.014インチワイヤーを取り出すまえに、プラスティック容器の 中を生食で満たす 5Fr以上のカテーテルにPCI用のYコネクターを接続し十分にair抜きを行うMEさんにpressure wireのケーブルを渡し、pressure wireのゼロ点とカテーテル先のゼロ点を合わせる。
ワイヤーを容器から取り出してpressure wireの不透過帯部分がカテーテルの外へ完全に出 るまで進める カテ内の造影剤を十分にフラッシュし圧波形がダンプしていないことを確認してMEさん にequalizeをお願いする。 ワイヤーを病変部の先まで(目安は大体不透過帯が病変部を超えて3cm以上)進める アデノシンの持続静注しhyperemiaを得る。 投与時間は2~3分前後、心拍数の増加を目安にする。 Pd/Pa(大動脈部と遠位部の圧比)最小値を得たらアデノシンを中止しpressure wireをゆっくりと引き抜く。 この際、Pd/Paが急激にjump upする部位を同定する。 記録をストップし、完全にワイヤーを抜いたら、最後に確認造影を行う
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 7 <操作中の注意>
・LAD 入口部に近い部分に狭窄があった場合、LCx の方向に wire を十分に進め equalize する。同様に LCx
入口部病変の場合はLAD に進める。RCA 入口部病変の場合は大動脈内で equalize する。
・Pressure wire は PCI の時に使用するワイヤーと異なり操作性が悪い。無理に押すと解離や穿孔の原因とな
るため注意。右手でワイヤーの方向を定めてから少しずつ左手で押していく。 また、ワイヤーが曲がってしまうと正確に圧測定ができなくなるため注意。 ・最終造影ではワイヤー操作による穿孔や解離がないかを注意深く確認する。
FFR の解釈
・FAME 2 study では、FFR<0.8 の安定狭心症患者の FFR-guided PCI+至適薬剤治療は、至適薬剤治療単独と比較し、 urgent revascularization の必要性を減少させた(2)。
・「虚血が document されずに」(冠動脈狭窄が見つかったため)PCI が予定されている場合は以下のデータで検討する。 FFR>0.75 で区切った場合、PCI 群(performance 群)としなかった群(deferral 群)を比べると、狭心症の発生を含めたイ ベントは2群で同等であった。すなわち、良くもしないが悪くもしない、という結果である。「有症状ならば」PCI を前向きに 検討しても良い。FFR<0.75 ならば PCI は狭心症の発症を減少させる(3)。
・AS や AR、頻脈性心房細動では正確な値が検出されない場合がある。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 8 冠攣縮誘発試験
Chapter 1. 2
冠攣縮症の概念 ・日本人では欧米人と比較し虚血性心疾患に冠攣縮がよリ多く関与していると考えられている。 ・冠攣縮の病態は、冠動脈内皮障害が関与している。冠攣縮では冠動脈血管内皮から産生される一酸化窒素(NO)を 経由した血管拡張作用が障害され、血管平滑筋収縮作用に伴い冠攣縮が惹起される。 ・過換気、寒冷、精神的ストレスが発症のきっかけになるためこれらの要因は誘発試験に用いられる。 ・古典的冠動脈リスクファクターの中でも、冠攣縮症においては喫煙が特にはっきりとした危険因子である(4)。 冠攣縮誘発試験の実際 ・当科ではアセチルコリンによる冠攣縮誘発試験(通称アセチルコリン負荷試験)を用いている ・冠攣縮が確定的な場合(ホルター心電図ですでに安静時や過換気時 ST 上昇が document されている場合など)は、 冠攣縮性狭心症の診断を目的とした誘発の必要はない(ただし重症度や culprit の判定には有用かもしれない)。 ・ST 変化を十分にきたしうる動脈硬化性の冠動脈有意(75%)狭窄がある場合は、誘発試験は行わない。 ・アセチルコリン負荷試験の手順 CAG、一時的ペースメーカ挿入 左右の冠動脈のコントロール撮影 左冠動脈内にアセチルコリン注入 20μg→50μg→100μgの各量を約20秒で注入。注入開始1分後に造影を行う 右冠動脈内にアセチルコリン注入 20μg→50μgの各量を約20秒で注入。注入開始1分後に造影を行う 左右ともに二トロールRを投与し冠動脈が拡張していることを確認心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 9 <アセチルコリン負荷試験の注意> *診断のために負荷試験を行う検査前 48 時間は冠拡張作用のある薬剤を中止する。頻回に攣縮が起こる場合は、ニ トログリセリンの点滴を行い、検査 6 時間前に中止する。 *アセチルコリン投与中にカテーテルが冠動脈から外れないように注意。緊急時にエンゲージできていないと、冠拡張 薬の冠注ができなくなる。したがって、冠動脈起始異常では相対禁忌。 *投与中の心電図変化や患者の症状の出現に注意。随時声掛けを行い、症状について適時聞く。 *左右ともに必ずしも極量までアセチルコリンを負荷する必要はない。20μgや 50μgまでの負荷で十分に冠攣縮が生 じたら更なる増量の必要はない。その時点で二トロール○Rを冠注する(ただし多枝病変の診断をしたい場合は療法の 冠動脈で負荷試験が終了するまでニトロール○R投与を控える)。
*冠攣縮によりカテーテルがwedgeし血圧が低下した場合、Nitroprusside(ニトプロ○R )やIsosorbide nitrate(ニトロ―
ル○R)を冠注。補液を最大にする。 冠攣縮誘発試験の評価と治療方針 ・心筋虚血の徴候(狭心痛および虚血性 ST 変化)を伴う一過性の冠動脈狭窄(>90%)があれば陽性とする(5)。 ・診断がついた場合、内服の冠血管拡張薬(亜硝酸剤、カルシウムチャンネル遮断薬(benidipine 等))投与が望まし い。 ・「冠攣縮」はあるが「狭心症の症状」がない症例はここで攣縮の心筋に対する意義を検討しなければならない。心筋 MRI が 解決 のヒン ト になるこ とが 多い( ischemic pattern の late gadolinium enhancement の 有無)。 Beta-methyl iodophenyl pentadecanoic acid (BMIPP)を用いた心筋シンチの ischemic memory 機能を利用してもよい(6)。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 10
<Chapter 2>
弁膜症のカテーテル検査
弁膜症診療の共通するコツ 手術のタイミングを見逃さない:左室に不可逆的障害が生じる前に判断する。 単に質的診断のみでなく重症度の判定をする:特にうっ血にともなう肺高血圧 冠動脈狭窄を評価する:弁膜症と冠動脈に対する同時手術の必要性を評価 機械弁にするか、生体弁にするかの判断は、年齢、基礎疾患等を考え天秤にかける。 (終生抗凝固療法の必要性 vs. 12~13 年ごとの再手術の必要性)心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 11 大動脈弁狭窄(Aortic Stenosis: AS)
Chapter 2. 1
AS の評価項目 ①症状 ・狭心症→失神→心不全の順で重症と判断。症状があれば自然予後が悪いので、手術を検討。 ・ただし LVEF 低下、過去の心臓手術歴、大動脈石灰化ではさらに手術リスクの詳細な評価が必要。 ②エコー ・ 弁 の形 態( 二尖 弁 、四尖 弁 、rheumatic valve など)と弁口面積(簡易ベルヌーイの法則、トレ ースによる実測 (planimetry))を確認。 ・大動脈基部の異常(post-stenotic dilatation など)も確認。 重症度判定 血流速度、収縮期平均圧較差、弁口面積で決定される。下記に一例を示す。 弁口面積はトレースによる実測または Gorlin の式から算出。 軽度 中等度 高度 最高血流速度(m/s) <3.0 3.0~4.0 ≧4.0 収縮期平均圧較差(mmHg) <25 25~40 ≧40 弁口面積 >1.5 1.0~1.5 ≦1.0 ・重症度を判定するためには大動脈弁口面積の測定が最も大事で、経胸壁エコーで判断できない時には経食道エコ ーを行う。 ・その他のエコーパラメーターに血流速度や心室サイズがある。拡張不全、small LV、DCM、冠動脈疾患などがある場 合、流速が上がらない重度 AS することに留意する(7)。特に日本人では small LV の AS が問題となる。 AS のカテーテル検査の実際 AS の心臓カテーテル検査のメニュー 1)右心カテーテル 2)冠動脈造影(原則硝酸薬投与は行わない。血圧低下の可能性あり。) AS のカテーテル検査の評価と治療方針 ・心臓カテーテル検査での最重要評価項目は、冠動脈病変の合併(約 40%)である。 ・CABG など他の心臓血管手術を行う場合にも注意して AS を診断し、中等度以上であれば手術(のちの再手術を避け たい)。 ・無症状もしくは症状が明らかではない高度 AS の場合は、さらに注意して手術リスク(全身動脈石灰化、肺疾患の合併 など)、年齢、運動耐容能、左室機能を評価するの精査をする。手術を行わない場合でも、症状出現に注意して、定期 的観察(3~6 か月おき)し、進行度が速い場合は手術を積極的に考慮する(Chapter 7. 1. AS に対する AVR の推奨)。心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 12 ・LVEF 低下例(low-gradient AS)では大動脈弁に対する手術をしても改善しない可能性がある。後負荷軽減に対する 反応性をみるにはドブタミン負荷エコーがひとつの方法である。
・透析症例では AS の進行が速いことを考慮し、早めの手術を検討する。
・transcatheter aortic valve implantation (TAVI)のSapien XT○Rが 2013 年 10 月に保険償還となった。今後のASの治療方
針に少なからず変化が出ると予測される。良い適応は、併存合併症などから外科手術(AVR)が不適な重度AS患者で、 一年以上の生存が見込まれる場合である(8)。
・心不全が遷延し、全身状態が悪く開胸手術が困難と予想される症例でも balloon aortic valvoplasty (BAV)で一時的に 心不全が改善する可能性がある。BAV で状況が好転すれば開胸手術が再度考慮されうる。BAV には脳梗塞や血管合 併症などの手技に伴う合併症が存在するため慎重に適応を検討する。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 13 大動脈弁閉鎖不全(Aortic Regurgitation: AR)
Chapter 2. 2
AR の評価項目 ①症状 ・肺うっ血(後方障害)と血圧低下・尿量低下(前方障害)。 ・一般に逆流性弁膜症は、逆流に伴う心室への容量負荷に対応できない急性期と、心室拡張により対応できる慢性期 (代償期)で心不全症状の進行速度や重症度が大きく異なる。 ・急性 AR は大動脈解離や感染性心内膜炎などで起こる。 ② エコー ・僧帽弁逆流の合併や肺高血圧をチェック。 ・左室の拡大、上行大動脈近位部の観察をする。 ・LVEF が低下していれば積極的に手術を検討。ただし LVEF 低下が弁膜症に起因するか判断する(大動脈弁の prolapse など。基礎疾患に心筋梗塞や拡張型心筋症などあれば二次性の弁膜症の可能性あり) AR のカテーテル検査の実際 AR の心臓カテーテル検査のメニュー ① 右心カテーテル ② 冠動脈造影 ③ 左室内圧測定、大動脈造影 大動脈造影では大動脈基部と左室全体が含まれるようにして撮影する。上行大動脈の拡大も一緒に観察してもよい (上行大動脈拡張が疑われたら心同期造影 CT で再評価すべき) 大動脈造影による AR の重症度判定 Sellers 分類 Ⅰ度 左室への逆流があるが左室全体が造影されない Ⅱ度 左室全体が造影されるが大動脈よりも淡い Ⅲ度 左室全体が造影され大動脈と同程度に造影される Ⅳ度 左室全体が大動脈より濃く造影される ※AR 評価のための大動脈造影のコツ Pig-tail カテーテルで大動脈造影を行う場合、先端を LCC に入れておくとカテが造影剤の反動で持ち上がらなくてよ い。Clockwise rotation し、正面から見て、カテーテルの先が数字の「6」の形になるようにするのがコツ。弁にあたると catheter-induced の弁逆流を生むので深すぎないように。大動脈弁の leflet から一椎体(約 3cm)くらい離しておくとちょ うどよい。心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 14 AR のカテーテル検査の評価と治療方針 ・うっ血に伴う肺高血圧と冠動脈疾患の評価が重要。 ・急性 AR(非代償性 AR)、心不全症状、LVEF 低下、左室拡大があれば積極的に手術検討。“心臓が悪くなる前”に手 術が原則。AS が比較的自覚症状を中心とした手術適応であるのに対し、AR は心臓への容量負荷が明らかであり、 他に容量負荷の原因がなければ積極的に手術になる(Chapter 7. 2. AR に対する手術の推奨)。
・原則 Aortic Valve Replacement (AVR)。近年は Aortic valve plasty(大動脈弁形成)も行われつつある。
・大動脈基部の拡張がある場合、同時手術を検討。AR が上行大動脈拡張に起因すると考えられる場合は 4.5~5cm で あっても上行大動脈置換術および基部再建術を考える(9)。Marfan 症候群および大動脈二尖弁の場合、進行が早 いため、4.0cm から 4.5cm であってもこれら大動脈の手術を進める(10)。 ・大動脈基部拡張が AR の原因であるが、比較的大動脈弁の形態は弁輪サイズが保たれている場合は Aortic valve sparing も検討する(11)。 ・LVEF が 30%未満に低下した場合、大動脈弁のみの手術では予後が改善しないどころか、術後人工心肺からの離脱 も困難となる可能性もある。個々の症例の罹病期間(EF が低下してから経過した期間)や年齢、併存合併症を考え、 チームで適応を検討する。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 15 僧帽弁狭窄 (Mitral Stenosis: MS)
Chapter 2. 3
MS の評価項目 ①症状 ・肺高血圧(運動耐容能低下など)、および右心不全症状(下腿浮腫など)。 ・左房拡大を伴う心房細動に起因する症状。 ②エコー・肺高血圧、左房内血栓、弁口面積(pressure half time から算出)の評価。
・PTMC(percutaneous transvenous mitral commisurotomy)に適した形態かどうか判断。 →Wilkins スコアで判定。 弁の可動性あり、弁下組織変化わずか、弁肥厚わずか、石灰化わずかなら PTMC に向いている。 MS のカテーテル検査の実際 MS の心臓カテーテルのメニュー ① 右心カテーテル(圧測定、心拍出量、心係数の測定) ② 左室―左房拡張末期圧の同時圧測定 ③ 左室造影 ④ 冠動脈造影 ・重要な工程は同時圧測定。ゼロ点調整を同じ高さで行う。 ・また弁口面積算出のために先に心拍出量の計測が必要。 MS のカテーテル検査の評価と治療方針 MS の重症度判定 軽度 中等度 高度 平均圧較差 <5mmHg 5~10mmHg >10mmHg 収縮期肺動脈圧 <30mmHg 30~50mmHg >50mmHg 弁口面積 >1.5cm² 1.0~1.5cm² <1.0cm² ・弁口面積<1.0cm²で肺高血圧があれば重症、と覚える。 ・Gorlin の式から算出(係数は異なる)。 ・心不全症状、心房細動の出現、塞栓症状があれば手術を積極的に検討。 ・手術適応には、必要に応じて運動負荷が判定材料に入る。例)トレッドミル、エルゴメータなど ・非薬物療法の選択肢はいくつかあるが大まかに以下のように考える
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 16 1)PTMC に適する場合は PTMC(おもに Wilkins スコアと心内血栓の有無で判定)。
2)PTMC に適さない形態、左房内血栓残存であり、かつ弁形成が可能そうならば OMC (open mitral commisurotomy)を検討。
3)それ以外は MVR(mitral valve replacement)。
・中等度以上の MR があれば PTMC は避ける。僧帽弁以外の弁膜症が高度であれば PTMC を避け、連合弁膜症の手 術を検討すべき(12)。これらの PTMC に不適な病態を除けば、PTMC は手術療法に劣らない成績である(13)。 ・OMC では直視下に僧帽弁を観察することにより単なる交連切開術に加え腱索切開術、乳頭筋切開術および石灰化 除去術が可能。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 17 僧帽弁閉鎖不全(Mitral Regurgitation: MR)
Chapter 2. 4
MR の評価項目 ①症状 ・AR と同様、急性と慢性で大きく経過が異なる(代償が効くか効かないか)。・急性 MR の代表は感染性心内膜炎である。他にも長年にわたる MVP(mitral valve prolapse)のため、腱索断裂が起こ っても急性の経過を呈しうる。その他に急性心筋後の乳頭筋(部分)断裂がある。
・通常の心不全症状以外に、急性心不全症例ではショックを呈することもある(突然血液の大部分が逆流してしまうため、 前方障害を生じる)。
②エコー
・LVEF と左室径の拡大が手術適応に重要。
・弁の形態をよく観察し、prolapse や vegetation など、心不全/心機能低下の primary な原因が僧帽弁にあるか判断する。 僧帽弁を治療すれば心臓が良くなるか??と自問自答してみるとよい。 MR のカテーテル検査の実際 ・右心カテーテルでの右房圧測定を行い肺高血圧を評価。また肺動脈楔入圧での v 波の高さは MR の重症度診断に 有用。 ・冠動脈疾患を否定。 ・左室造影では MR の程度を評価。 ・MR の心臓カテーテルのメニュー ① 右心カテーテル(圧測定、心拍出量、心係数の測定) ② 冠動脈造影 ③ 左室拡張末期圧の測定 ④ 左室造影 MR のカテーテル検査の評価と治療方針 左室造影による MR の重症度判定 Sellers 分類 Ⅰ度 逆流ジェットのみ認め、左房はわずかに造影されるが速やかに消失 Ⅱ度 逆流ジェットを認め左房は左室以下に造影されるが速やかに消失 Ⅲ度 左房が左室と同程度の濃度で造影され、造影剤は徐々に消失する Ⅳ度 左房が左室より濃く造影され、造影剤は長時間消失しない
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 18 ・手術適応の原則は、症状があり、それが MR によるものと考えらえる場合(Chapter 7. 5 MR に対する手術適応と手術 法の推奨)。進行した虚血性心疾患や拡張型心筋症では、僧帽弁の手術自体のみでは大きな予後の改善を期待で きず、他の治療と組み合わせて検討する。 ・心不全症状があるが MR のみがその単独の原因と考えらない場合の判定は難しい。連合弁膜症(例えば AR+MR な ど)では、どちらの病変が主病態か、主病態を治療すればもう一方は改善するか、を予測する。 ・急性(非代償性)MR なら積極的に手術。肺高血圧があれば積極的に手術。
・症状がなくても LVEF 低下、左室拡大があれば手術を検討(AR と同様)。MR では、初期には本来 LVESV が小さくな るため、LVESV が拡大し、EF が下がったときは中等症から重症と考える。
・弁の変形・破壊が強い場合は MVR(mitral valve replacement)、軽度の場合は MVP(mitral valve plasty)。 リウマチ性、強い石灰化、感染性心内膜炎などは前者を選択することが多い。
・虚血性心疾患に伴う二次性 MR の場合は手術の長期成績が落ちるため、より手術適応は慎重に行う(14)。この場合、 MVR ではなく、弁輪形成術や MVP などが良い場合もある(15)。
・慢性心房細動を伴う僧帽弁疾患への手術では左房径がきわめて拡大していない限りは Maze 手術を同時に行う。術 後洞調律を維持し脳梗塞の発症低下を期待する。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 19
<Chapter 3>
先天性心疾患のカテーテル検査
先天性心疾患のカテーテル検査のコツ ・エコーをじっくり見て、カテーテル検査の手順を綿密に練る。 ・シャント性疾患では熱希釈法による心拍出量の算出は当てにならず不要 ・通常 room air で基礎データをとる。・O2 step-up の部位が特定できないときは、一つの chamber 内で複数箇所のサンプリングしてもよい。 ・肺高血圧があれば酸素負荷などで肺血管抵抗の可逆性のチェックを検討。
・合併奇形の有無を念頭に置く。Persistent Left SVC の否定のため、大腿静脈アプローチの際には左内頸静脈にカ テーテルを入れて、無名静脈を介して右房に静脈血が還流しているか確認。
・カテーテルにおける圧測定や Oximetry-run(片っ端から血液ガスをとる)を続けて(serial に)行うこと。引きぬき圧較 差(特に右室流出路)に注意。条件を一定にする。
・右心カテーテルにはWedge Berman○R カテーテルのほうが、Swan-Ganz カテーテルよりハンドリングしやすい。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 20 心室中隔欠損 (ventricular septal defect:VSD)
Chapter 3. 1
VSD の評価項目 ・左心不全症状や肺高血圧の症状(運動耐容能低下)があるかみる。 ・エコーではまず、欠損孔のサイズと位置をみる。Qp/Qs も確認する。 ・欠損孔の部位(膜様部、漏斗部、筋性部)に注意。 ・円錐部の malalignment がある場合、右室流出路狭窄、左室流出路狭窄をみる。 ・AR の合併に注意。AR が合併した場合、RCC prolapse の有無をチェック。 ・長期の左右シャントに伴う左室壁運動や拡大などの異常をきたしていないか。 ・感染性心内膜炎を発症するリスクあり。 VSD のカテーテル検査の実際 VSD の心臓カテーテルのメニュー(基礎編参照) ① Oximetry-run ② 圧スタディ ③ 冠動脈造影 ④ 左室造影 ・LVG は欠損孔の位置により撮影方向が異なるが通常の膜様部欠損の場合には深い LAO+CR で造影を行い RV への シャント血流を確認する。 ・シャント率、肺血管抵抗を算出して、手術適応を検討する。 VSD のカテーテル検査の評価と治療方針 以下の場合は積極的に手術を検討する。 ・Qp/Qs≧1.5 で、左室拡大あり(16)。 ・大動脈弁逸脱をともなう AR(17)。RCC prolapse による AR では、欠損孔を RCC が一部塞ぐことがあり、Qp/Qs が小さく 算出される可能性がある。RCC prolaspse は進行する可能性が高く valsalva 拡大や AR の進行を想定し積極的に手術 を検討(courtesy of Manabu Nitta, Nagano Children’s Hospital)。・流出路狭窄(更に慎重に手術適応の検討が必要) ・再発性心内膜炎 一方で肺高血圧が進行した場合は議論が必要。 若年者場合は心肺同時移植も検討するべきである(18)。 肺高血圧があっても肺血管拡張薬による負荷試験や肺生検により肺血管病変が可逆性であると考えられた場合には 手術を検討すべき(19, 20)。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 21 心房中隔欠損 (atrial septal defect:ASD)
Chapter 3. 2
ASD の評価項目 ・1cm 以上の大きさならば、右心不全症状や肺血流増大に伴う運動耐容能低下などの症状がでることがある。 ・中年期以降になると、僧帽弁閉鎖不全、心房細動・粗動、および肺高血圧を合併していることが多い。またその他の 弁膜症、冠動脈疾患など、一般の加齢に伴う疾患が合併しているため、治療方針決定の際には総合判断が必要にな る。 ・欠損部位により二次中隔型、一次中隔型、静脈洞型、単心房型、冠静脈洞型に分類される。 ・特に、一次中隔欠損では心内膜症欠損症、静脈洞型では部分肺静脈還流異常症に注意する。 ・心臓と周囲の血管の関係性を描出するには CT や MRI が有用。カテーテル検査前に施行しておく。もしもこれらのモ ダリティーで判別不可能、またはこれらモダリティーを用いた画像検査ができなければ、カテーテルで解剖を確認するこ とも検討する(肺動脈造影や、選択的肺静脈造影など)。・Amplatzer Septal Occluder○Rによる経皮的デバイス閉鎖術を予定する場合は経食道エコーが必須。この治療では通
常は欠損孔 38mm未満で、前縁を除く欠損孔周囲のrimが 5mm以上必要である。 ASD のカテーテル検査の実際 ASD の心臓カテーテルのメニュー ① Oximetry-run ② 圧スタディ ③ 冠動脈造影 ④ 左室造影。造影剤に余裕があれば左房造影(LAG) ・ ・LAG は欠損孔の位置により撮影方向が異なるが通常の膜様部欠損の場合には深い LAO+CR で造影を行い RA へ のシャント血流を確認する(心エコーの four-chamber view に相当)。 ・ ASD のカテーテル検査の評価と治療方針 ・Qp/Qs>2 以上の場合は積極的に手術・経皮的デバイス閉鎖術を検討。 ・軽度の肺高血圧を伴う Qp/Qs 1.5~2.0 の症例は慎重に必要性を判断。 ・Qp/Qs が低く、肺高血圧がある場合は、肺血管抵抗の評価が必要。 肺血管抵抗値が 7 wood 以上の場合は酸素負荷等で肺血管反応性をみる(20)。
・Amplatzer Septal Occluder○Rによる経皮的デバイス閉鎖術、もしくは外科手術を選択するかは議論の余地がある。経
食道エコーでの情報が重要。また高度の三尖弁逆流、冠動脈病変など、その他の外科治療を必要とする病態があれ ば外科手術が良い。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 22
<Chapter 4>
動脈管開存(patent ductus arteriosus:PDA)
PDA の評価項目 ・PDA では長期間の左右シャントで左室容量負荷になる(21)。 ・また太い PDA では肺高血圧、Eisenmenger となり得る(21)。 ・エコーでは左室拡大、Qp/Qs、肺高血圧の有無を確認する。 ・PDA の形態そのものは心電図同期下造影 CT で描出できる。カテーテル検査前に行い情報を得る。石灰化など成人 特有の変化を観察する。 PDA のカテーテル検査の実際 ASD の心臓カテーテルのメニュー ① Oximetry-run ② 圧スタディ ③ 冠動脈造影 ④ 大動脈造影 ・大動脈造影では胸部下行大動脈で pigtail を用いて造影をする。
・経カテーテル的閉鎖術を予定している場合はRAO 30 度、Left lateralの2方向でとる。0.035 インチのインタースルーワ
イヤー○Rでcalibrationをしておくと計測が可能。
PDA のカテーテル検査の評価と治療方針
・左室容量負荷、肺高血圧があれば積極的に手術・経カテーテル的閉鎖術を検討。・
・感染性動脈内膜炎があれば小さな PDA でも治療を検討(21)。感染性動脈内膜炎の既往のない silent PDA の治療方 針には議論の余地あり。
・右左シャントがあれば原則として手術・経カテーテル的閉鎖術は考えにくいが、肺血管の反応性や肺生検をみて再考 してもよい。
・経カテーテル的閉鎖術、もしくは外科手術を選択するかは議論の余地がある。一般に成人で石灰化がある場合は組 織が脆弱であるため、ligation/resectionは困難、さらに人工心肺が必要となることも多い(22)。一方経カテーテル的閉鎖
術はPDAの形態がそれに適すればless invasiveであり、積極的に考慮すべきである。Amplatzer Duct Occluder○Rは径
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 23
<Chapter 5>
PCI
・PCI はとかくテクニックに走りがちだが、実際には患者の状態、適応、起こりうる最悪の合併症の把握の方がより大切 である。「PCI の勝負どころは offence ではなく defence」
・適応に関しては、緊急症例と待機症例で分けて考える。緊急症例は更に ST 上昇型急性心筋梗塞とその他に分かれ る。ST 上昇型心筋梗塞ならば可及的すみやかに再灌流療法を試みる。その他は詳細なリスクの評価と PCI のメリット・ デメリットを検討する。 ・常にバイタルサインと心電図所見を見ておくこと。実際のカテーテルの手技以上に、全身状態の管理が予後を決める ことが多い。また冠動脈内の圧を常に観察することでガイディングカテーテルの wedge position も防ぐことができる。 ・大動脈バルーンパンピング(IABP)、経皮的心肺補助(PCPS)、一時的ペースメーカーなどの使用の必要性がない かを常に念頭に起く。バイタルサインが増悪してからではこれらを導入しても間に合わないこともある。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 24 PCI の適応と準備
Chapter 5. 1
PCI の適応の原則
1) ST 上昇型急性心筋梗塞と急性冠症候群(acute coronary sndrome: ACS)では PCI のメリットがある。ただし、タイミ ング、リスク層別化が必要。
2) 安定型狭心症なら、まず狭心症薬を導入。その後、症状と狭窄度を再評価して血行再建を検討。
・慢性完全閉塞(chronic total obstruction: CTO)はさらにcontroversialである。Open artery theory (血管は詰まっている よりは開いている方がいいだろ)や灌流域にバイアビリティがある、心筋虚血のサインがあるなど、さまざまな理屈がある。 病変部位と病変形態、そして手技そのもの成功率や合併症をよく話したうえで、患者のpreferenceを総合してPCIの適応 を考慮する。
それぞれの虚血性心疾患に対するPCI
安定型狭心症における PCI の適応と準備
・安定型狭心症の重症度は CCS 分類(Canadian Cardiovascular Society grading of angina pectoris)がある(24)。心不全 における NYHA 分類の様。
I はかなり強い運動で胸痛。IV は安静時胸痛。
II と III はその間で、日常生活ならなんとかなるのが II、日常生活もままならないのが III。
Grade Despcription
I Ordinary physical activity does not cause angina, such as walking and climing stairs. Angina with strenuous or rapid or prolonged exertion at work or recreation.
II Slight limitation of ordinary activity.
Walking or climbing stairs rapidly, walking uphill, walking and climbing after meals, or in cold, or in wind, or under emotional stress, or only during the few hours after awakening.
Waking more thatn two blocks on the level and climbing more than one flight of ordinary stairs at a normal pace and in normal condtions.
III Marked limitation of ordinary physical activity.
Walking one or two blockes on the level and climbing one flight of stairs in normal condtions and at normal pace.
IV Inability to carry on any physical activity without discomfort, angina syndrome may be present at rest.
・症状、年齢、および性別から「虚血っぽいか」、すなわち Pre-test probablityが高いか考える(締め付けられるような胸痛、 男性、高齢ほど pre-test probablity が高い)(25)。
・症状、心電図(安静時、負荷時)、心筋シンチ(薬剤負荷もしくは運動負荷)、心エコー(薬剤負荷もしくは運動負荷)で 虚血の診断を確定する(26)。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 25 ・coronary CT や CAG で冠動脈の有意狭窄(75%以上)を確認する(26)。ただし LMT の病変ならば 50%以上で有意と 考える(27)。 ・虚血の確定診断がつかない場合には FFR で機能的虚血の有無を評価する。 ・狭心症のコントロールにβblocker を初期薬物加療として開始する(喘息、冠攣縮性狭心症に注意)。必要に応じて硝 酸薬を追加するが、長時間作用型の硝酸薬はインターバルを置かずに使い続けると耐性ができて効果がなくなる可能 性あり(28)。イベント抑制目的にアスピリンとスタチンを投与する(26)。 ・十分な薬物治療でも症状が改善しない場合、血行再建を考慮する。
・以下の場合は、Heart team discussionを通じて、特にCABGを優先すべき(26, 27)。 特にCABGを優先するケース ・3枝病であり Sytax score 22以上(複雑病変) 完全血行再建が一回の血行再建(PCI)では済まない 糖尿病 ・LMTを含む病変(特にSyntax score 33以上)
・LMT病変もしくは3枝病に対するCABG vs PCIの成績を評価したSYTAX studyでは、all cause deathには差がないが、 major adverse cardiac events (主にrevascularization)がPCI群で多く認められた。現段階では複雑病変でなければ、3 枝病やLMT病変でもPCIはCABGの代替として許容されると考えられている(29)。SyntaxのPCI群は第一世代ステントの
Taxus○Rを使用しており、Xience○Rを用いたLMT病変におけるPCIとCABGの比較研究であるEXCEL studyの結果が待
たれる。 ・個々の症例に合わせて治療戦略と成功の見込み、予後と合併症のリスク(薬剤治療vs PCI vs CABG)、および患 者のpreferenceに応じて調整し、チーム内で合議の上方針を決定する。 ・さまざまなガイドラインがあるが、安定型狭心症に対する血行再建のベネフィットの本当のところは未だ不明といってよ い。当院で参画を目指している他施設共同研究 ISCHEMIA の結果が待たれる。 特殊なケースの PCI 適応 ①「残枝の PCI」 ・いわゆる「急性心筋梗塞後、残枝の狭窄に PCI を予定しています」という状態は本当に PCI をするメリットがあるかどう か?ST 上昇型急性心筋梗塞の culprit 以外の noninfarct coronary arteries の明らかな狭窄に対する PCI は preventive PCI と呼ばれ、最近の randomized controled trial では adverse cardiovascular events (心臓死、非致死性心筋梗塞、難 治性狭心症)のリスクを下げたと報告された(30)。
②「recent MI で落ち着いたあとの PCI」
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 26 筋梗塞、もしくは revascularization)が減少したと報告されている(31, 32)。
急性冠症候群(acute coronary syndrome)における PCI の適応と準備 ・心筋梗塞や不安定狭心症などで、冠動脈内プラーク破綻に伴う病態の総称。
・心電図やバイオマーカーから、ST 上昇型急性心筋梗塞(STEMI)、非 ST 上昇型急性心筋梗塞(STEMI)、および不 安定狭心症に分類される。
☆STEMI ならば以下のように対処
・発症から 12 時間以内であれば可及的速やかに PCI(door to balloon time 90 分以内を目標)。 *ただし経静脈的血栓溶解療法も検討すべき ・12 時間以上経過していても、症状持続、心不全、ショックを呈していれば PCI を考慮。 ・以下の処置を行う。 ・MONA(鎮痛、酸素、硝酸薬、アスピリン)を開始。 *鎮痛薬(塩酸モルヒネ)や硝酸薬(舌下錠、スプレー、点滴)は血圧低下に注意。 *出血性疾患の既往、今後の外科的手術予定の有無を確認し、 ・バイアスピリン 200mg 咀嚼とクロピドグレル 300mg 内服する。 ・心電図、心エコーから責任病変を予測する。 ・以下の場合は緊急手術も検討 A 型急性大動脈解離(上行大動脈の flap や拡大、心嚢液、AR をチェック!) 心室自由壁破裂・中隔穿孔、僧帽弁乳頭筋断裂 ・右室梗塞の可能性があれば、右側胸部誘導を確認、急速補液で血圧を維持する。 ・Killip 分類でリスク層別化。ショックがあれば挿管、IABP を検討。 ☆NSTEMI および不安定狭心症なら、焦らず以下のように対処
・TIMI risk score でリスク層別化、点数が高いほど、イベント発生率が高い(33)。 点数の高い群では PCI のベネフィットが大きい。
→リスクが高いほど、「より高い安全性を得るために」PCI を考慮する、という判断になる。 TIMI risk score (7 点満点)
65 歳以上 1 冠動脈リスクファクター3 つ以上 1 過去の検査で 50%以上の冠動脈狭窄あり 1 0.5mm 以上の ST 変化 1 2 回/24 時間以上の胸痛発作 1 7 日以内のアスピリン使用 1 心筋バイオマーカーの上昇 1
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 27 入院後(正確には rondomized 後だが…)14 日以内にイベント*が起こる確率(34)
*イベント:全死亡、心筋梗塞、緊急血行再建が必要な再発性虚血 TIMI risk score 0 点・1点 →4.7%
2 点 →8.3% 3 点 →13.2% 4 点 →19.9% 5 点 →26.2% 6 点・7 点 →40.9% ・上記以外の危険因子の存在も積極的に PCI を検討 新規左脚ブロック 心室性不整脈 胸痛の持続 バイタルサインの異常 巻末のガイドラインを参照
Chapter 7. 6 STEMI における Primary PCI の指針 Chapter 7. 7 NSTEMI における冠動脈造影の指針
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 28 PCI で使用するデバイスの基礎知識 ガイディングカテーテル ① 冠動脈へのエンゲージしやすさ、②バックアップ力をみて選択する。 エンゲージしやすさ バックアップ力 左冠動脈 Judkins L ☆☆☆ ☆☆ Amplatz L ☆ ☆☆☆ SPB(EBU) ☆ ☆☆☆ 右冠動脈 Judkins R ☆☆☆ ☆☆ Amplatz L ☆☆ ☆☆☆ ・サイズは CAG で使用したサイズと同じか、ハーフサイズダウン(JL4.0→3.5 など)を選択。 ・エンゲージしやすさに関しては CAG 同様、大動脈の形体や冠動脈の位置や形体によって異なる。 ・冠動脈に屈曲や石灰化などがあり、デバイス通過が困難なことが予想される場合は、よりバックアップ力の強いガイデ ィングカテーテルを選択する(ただしカテーテル先端接触部により圧がかかるので、冠動脈入口部病変に注意)。 ・各メーカーで形態や先端チップの柔らかさの異なるカテーテルが出ている。
・冠動脈入口部に狭窄やプラークがある場合、side hole(SH)の必要性、short tip(ST)の有無も検討する。 ・特に、Amplatz や SBP タイプでは、入口部プラークが多い場合は解離のリスクが増えるためなるべく避ける。 冠動脈用ガイドワイヤー ・ガイドワイヤーには 0.009~0.014 インチの太さのものがあり、CTO 以外のほとんどの PCI は 0.014 インチが使用される。 ・先端がやわらかい順に floppy、intermediate、stiff タイプがある。 ・初心者は、まずやわらかいワイヤー(Route○R、Rinato○Rなど)を使い、それでは通過できない場合に状況に応じて先端 の硬さやコーティングの種類を変更していく。 血管内超音波(Intravascular Ultrasound:IVUS) ・使用目的 1) 治療前には、病変長、血管・プラーク面積/径、病変形態(プラーク性状、血栓、石灰化など)、側枝との位置関係、 プラークの偏在性を評価。 2)治療後には、バルーン拡張後の変化(石灰化プラークの亀裂など)、ステントの圧着や拡張、ステントエッジの解離を 評価。不十分拡張およびステント圧着不良は再狭窄およびステント血栓症のリスクとなり得る。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 29 ・待機的症例では IVUS を用いた場合、再狭窄率や再血行再建術の必要性が減少する(35)。
・Lipid core は attenuation plaque として認められることが多く、low echo area を伴うプラークが偏在性に観察される。更に 薄い繊維性皮膜(thin fibrous cap)がある場合、不安定で ACS を引き起こすリスクを増大させ、バルーン拡張やステント 留置した際に slow flow/no flow の可能性を予測できる(36)。
・また緊急症例では IVUS でプラーク破綻と血栓を観察し、急性期における治療対象部位を同定している。
OCT(optical coherence tomography)
・近赤外線を用いて血管内を観察。
・画像が鮮明でIVUSより分解能がよい。IVUSでは描出困難な不安定プラークの薄い線維性被膜やステント留置後遠 隔期の薄い新生内膜などを描出することが可能である(37)。
・当院では造影剤を用いてフラッシュしているため、腎機能障害や低左心機能の症例には注意が必要。 ・さらには strut の圧着、新生内膜増殖、新生動脈硬化、vaso vasorum の観察など、使用方法は発展途上(38)。 ・石灰化病変の評価は IVUS より劣る。 血栓吸引カテーテル ・通常ACS症例の際に用いる。ACSでなくても、血栓の存在が示唆されれば用いている。 ・造影上血栓を示唆する欠損陰影があれば、積極的に複数回施行する。 ・冠動脈末梢の血栓は深追いしすぎない(血管損傷の可能性あり)。 ・当院ではThrombusterⅢ®(GRとSL:GRは大量吸引性重視、SLは通過性重視)、Rebirth®、T-VAC®、Fetch2®など がある。術者の好みで使い分けている。 *ST上昇急性心筋梗塞においては、PCI単独か血栓吸引+PCIのどちらが有効かの結論は出ていない。ランダムにST 上昇急性心筋梗塞患者に血栓吸引を行った場合、死亡率を低下させる、死亡率を低下させない、あるいは脳梗塞のリ スクを上げるなど、様々な結果が出ているため、個別の対応が必要だろう(39-41)。冠動脈内に血栓の存在が示唆され れば吸引により冠動脈血流を改善させることは多くのコンセンサスが得られいる。 バルーン ・ステント留置前後のpre/post dilatation目的に使用される。 ・POBAのみでは再狭窄率は高い(約40%程度)らしいが、現在は再狭窄の可能性が高ければほとんどの場合ステント植 込みをしているので実際のところは不明。 ・現在主に使用されているのはmonorail型であり、先端から離れたところにワイヤー用の内腔出口がある。 ・compliant(加圧次第で大きくなる)、non-compliant(高圧でも外径が変化しない)、その中間のsemi-compliantがある。 ・Pre dilatationは通過性の良いsemi-compliantで、post dilatationはステント内に高圧をかけられるnon-compliantが用い られていることが多い。
・Indentation(不均一拡張、通称「くびれ」)がとれるまで徐々に加圧していくが、石灰化などの影響で正円性が得られず eccentricに拡張不十分になった場合は、さらなる拡張で冠動脈破裂のリスクあり、無理はしない。この場合、
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 30 non-compliant balloonかcutting balloonが望ましい(ScoreFlex○R、Lacrosse NSE○Rなど)。
ステント
・BMS(mare metal ステント;薬物コーティングなし)、DES(drug eluting ステント:薬剤溶出ステント)がある。 ・DESにはSES(sirolimus: Cypher○R)、PES( paclitaxel: TAXUS○R)、ZES(zotarolimus: Endeavor sprint○R/Resolute
Integrity○R)、EES(everolimus:Promus element○R/Xience prime○R)、BES(biolimus:Nobori○R)などがある。
・当院では、ACSはBMS/Endeavor○R、electiveはResolute○R/Promus○R/Xience○R/Nobori○Rなどが使用されている。
・ステント選択において最も重要な決定因子は、抗血小板薬をいつまで継続するである。抗血小板薬を継続投与でき ない状況(出血傾向、手術予定)があれば、1)medicationのみ、もしくはCABGなどで対応可能か考え、2)もしPCIを選択 するならば、BMSやZESなどを検討する。
*2013年9月の時点での当科のコンセンサスでは、すべてのステント植込み後、原則12ヶ月のDAPT投与を継続。ただ し、やむを得ず、DAPT早期中止が必要になる場合(premature discontinuation)でも、BMSでは最低1か月、ZESでは最 低3か月、他のDESでは最低12か月のdual-antiplatelet therapy :DAPT(アスピリンとチエノピリジン系の2剤)の継続を要 する(42, 43)。抗凝固薬とDAPTを含む3剤は悩みどころである。WOEST studyでは抗凝固薬が必要な患者のPCIにお いては、クロピドグレルがアスピリン+クロピドグレルと比較し、出血イベントを低下させ、かつ血栓性イベントの上昇をさ せなかった(44)。
・血管径による選択方法もある。BMSを留置する場合は径3mm未満では再狭窄のリスクが上昇するため、これらの血管 ではBMSよりはDESを選択している。DESは2.25~3.5mmのサイズがあり血管径の小さいsmall vesselsにはよい(45)。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 31 PCI で使用するデバイスの使用法
Chapter 5. 2
PCI の大まかな手順 PCIの手順:各論 アプローチとシースの選択 ・穿刺方法については基本編参照・radial approachと brachial approachは(7~8Frも不可能ではないが)原則6Frシースまで。
・緊急時は7Fr femoral approachが望ましい。大量血栓・複雑病変等、予期しがたい病変がある場合、7Frの方がデバイ 6~7Fr シースを挿入 ガイディングカテーテルをエンゲージ ガイドワイヤーで病変を通過 (ACSなら血栓吸引カテーテルでaspiration) IVUSで病変観察 (必要に応じてballoonでpre dilatation) ステント留置 IVUSでステント内確認 (必要に応じてballoonでpost dilatation) ワイヤー抜去し最終造影問題なければ終了
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 32 スや手技の選択肢が増えるため。高齢で術後安静の確保困難な患者さんの場合はradial approachも検討する。 ガイディングカテーテルの使用法 ・ガイディングカテーテル選択は前述Chapter 5. 2 ガイディングカテーテル参照。 ・エンゲージが困難な場合は、入口部の近くから造影(cusp shot)し、冠動脈用ガイドワイヤーで冠動脈内を通過してか らエンゲージする方法もある。 ・各冠動脈のエンゲージの方法は基本編参照。 冠動脈用ガイドワイヤーの使用法 ・目標血管径よりやや小径でカーブを作る(小さすぎると選択性大きな分岐の選択性が低下し、大きすぎると側枝に迷 入しやすい)。 ・大きな分岐の選択性を保ちつつ、側枝選択性や病変通過性を向上したい場合は、ダブルベントにshapingする(先端 から1~2mm部位の1st curveと5~30mm部位の2nd curve)。 ・インサーターに入れ、手元にトルカーをつけ操作性を向上させる。 ・トルカーを使用すると方向性がつけやすくなる。原則的にトルカーを使用する。 ・おもに左手指で前後方向、右手指で回転操作をする。実際の動きは両手同時の共同作業。 ・先進していくとき抵抗を感じるようであればそれ以上押さない(feather touch)。引いて方向を変えて再度進めてみる。 狭窄部はなるべくplaqueの中に突入するのを避けるように方向づける。 ・180度回しても先端が動かないときはもとに戻す。先端が固定された状態で回しすぎるとワイヤーが切れる可能性あり。 ・LMT,LAD,LCx,RCAの描出されやすい角度は基本編を参照。 ・ワイヤーで選択が困難である場合、microcatheterで方向付けをする。Corsair○RやFinecross○Rがよく用いられる。 急峻な角度で出ている側枝にはCrusade○Rが有効である。 血栓吸引カテーテルの使用法 手順 ① 内腔をフラッシュする。 ② 病変直前までdeliverし、内筒が入っているタイプのものであれば内筒を抜く。 ③ 吸引シリンジを接続しロックした状態で陰圧をかけ、少しづつ病変部へ進める。 ④ 血栓がありそうな前後でカテを動かす(冠動脈の壁を吸い続けない)。 ⑤ シリンジリンジが満たされたら、シリンジを交換する。 ⑥ 陰圧をかけたままデバイス全体を抜く。 ⑦ ガイディングカテーテル内の血液(血栓ごと引くイメージで)を十分に引く。 IVUS の使用法 手順 ① 清潔ビニール越しに本体を受け取る(本体は不潔)。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 33 ② 2.5cc シリンジで十分にフラッシュ。ME さんに一度画像を出してもらいエア抜きできていることを確認し準備終了(再 度フラッシュするときはガイディングカテーテルから出して状態で行う)。 ③ 病変もしくはステントの distal までデリバリー。 ④ pull back 開始。 ⑤ 終わったらプローブを元の位置にもどして速やかに抜去。 *IVUSの通過が困難なら無理して挿入しない。 バルーンの使用法 ・バルーンカテーテル先端孔をガイドワイヤーの末端に通し、ガイドワイヤーを固定しながらバルーンカテーテルをすす める。モノレールルーメンからガイドワイヤーが出たら、それを助手に保持してもらい、ガイドワイヤーの先端位置が動か ないことを画面で確認しながら病変部にすすめる。 ・拡張圧はrated pressureを超えないように狭窄部のくびれ(indendation)が消失するまで拡張する。ほとんどの場合はス テントを後で植え込む予定があれば、解離を起こさない程度にpre-dilatationし、ステントデリバリーの道を作ってあげれ ば十分。
・高度石灰化でステントの拡張困難が予想される場合はCutting balloon(Score flex○R/NSE○Rなど)であらかじめ石灰化
した内膜に亀裂をつくっておき、ステントが拡張しやすいようにする。 ステントの使用法 ・狭窄部位の通過性はバルーンカテーテルと比較すると悪いことを認識する。一度ステントのデリバリーを試み、不可で あった場合は、十分にpre-dilatationをすべき(無理な押し込みでステント脱落の可能性があることも念頭に置く)。 ・下記の「至適なステントの選択と植込み」を参照。 至適なステントの選択と植込み
GROSSMAN’S Cardiac Catheterization, Angiography, and Intervention SEVENTH EDITION
Guidelines for optimal stent selection and implantation 1. Choose the optimal stent length
A. Ensure adequate lesion coverage while avoiding excessively long stents, as stent length is a risk factor for periprocedural myonecrosis, stent thrombosis, and restenosis.
B. Implant the stent from normal reference to normal reference if possible (starting 2mm before and after the lesion shoulder), which will avoid edge dissections. An edge dissection, unless mild should be treated with an additional short (8-10) overlapping stent.
C. In diffusely diseased vessles, a normal reference segment often cannot be identified. The most severe atherosclerotic segments should be stented so there are no major inflow or outflow lesions to any stenosis. Spot stenting may be preferable to the “full metal jacket” with bare metal stents.
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 34 D. For long lesions, use one long stent if possible. If multiple stents are required, they should overlap by -3mm to ensure complete lesion coverage, a technique that does not increase restenosis.
E. Modification for drug-eluting stents: Stent and lesion length are not as critical for restenosis, so more liberal use of long stents is favored. Use 3-4mm edge margins.
2. Choose the optimal stent diameter
A. Size the stent diameter with a ratio of 1.0-1.1:1 to the distal reference vessel diameter.
B. If the vessel is tapering, a larger noncompliant balloon can be used to more fully expand the proximal stent segments. C. Be aware that within the same stent line, different-sized stents exist for different-diameter vessels. Oversizing stenst designed for small vessels will lead to inadequate scaffolding and possibly stent structure.
3. Predilatation vs. direct stenting
A. Direct stenting may be considered with bare metal or drug-eluting stens when guide catheter support is good to excellent. Lesions not generally amendable for direct stenting include those with excessive vessel or lesion tortuousity or calcification, diffuse disease or subtotal stenoses, bifurcations, acute myocardial infarction or chronic total occlusions. B. If direct stenting is not feasible, predilatation should be performed with balloons undersized to the reference diameter by 0.5 mm, and with length shorter than the lesion so as to not extend the length of stenosis requiring stenting. If this degree of predilatation does not allow stent passage, larger and/or higher pressure balloon inflations may be required. 4. Implant the stent at adequate pressure
A. Most stents should be implanted at ≥12 atm.
B. Higher routine implantation pressures (16-18 atm or greater) are preferred by many to optimize stent expansion and are required in fibrocalcific lesions.
C. In diffusely diseased vessels, consider implanting the stent at 12-14 atm to avoid edge dissections, and then postdilate the strut at higher pressures using a shord noncompliant balloon positioned withing the stent margins.
5. Strive for an optimal angiographic stent result, defined as: A. A residual stenosis < 10%
B. No edege dissection greater than NHLBI type A C. TIMI grade 3 flow
D. Patency of all side branched ≥2 mm
E. Absence of distal thromboemboli, perforation, or other angiographic complications with associated chest pain, electrocardiographic changes, hemodynamic instability
・PCI直後のminimal stent areaはBMSで6.5mm2を目指す(46)。
・DESの時代に入り、minimal stent areaでは再狭窄およびadverse cardiac events抑制には5.3-5.5mm2以上を目指す(47)。
ただし、LMTならば分岐部で7.2、分岐より近位部で8.2 mm2以上(48)。最近は2.25mmのsmall vesselsに対するステント
があり、再狭窄を防ぐためのminimal stent areaの統一見解はない(原理的には3.97 mm2になるので上記基準は使えな
い)。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 35
際に選択理由を説明できるようにする。DESにするかBMSにするかはChapter 5.2 ステント参照。
・適正なステントバルーンの拡張時間と回数は病変の性質により異なる。ステントエッジの解離に注意しながら、 indentationがなくなるまで圧を上げて拡張する。ステントのdistal edgeが過拡張になっているにもかかわらず、最狭窄部 位が拡張されない場合、一旦切り上げて短いnon-compliant balloonでステント内のみhigh pressureでpost-dilatationを行 う方がよい。
・分岐部病変には議論を要する。一本の本幹と側枝、とみなして、本幹にsingle stent、側枝はそのままか、wireかバル ーン拡張による側枝保護のみにとどめておく。欧米では分岐部病変ではsingle stentが推奨されている(49)。2stent strategyは側枝に長い病変があったり、冠動脈解離した場合に考慮すべきである。、LMTやtrue bifurcationなどではや むなくcullotte stenting、T-stentingやprovisional-T stenting(本幹にステント留置、側枝にギリギリ本幹に出ない程度でス テント留置)を選択することもある(50)。
・Kissing balloon technique (KBT)はイベント抑制効果がなく否定的であった。しかし、その後の側枝への治療が必要に なった時のアクセスが容易であること、側枝の狭窄による狭心症が低減される可能性があることがメリットであり、側枝の 血管径が2mm以上ならば適宜追加する。側枝のアプローチの前にステント近位部から、側枝の手前までをやや大きい バルーンでpost dilatationするproximal optimization technique (POT)を行うと良い(courtesy of Yusuke Watanabe, Institut Cardiovasculaire Paris Sud)。
・ACSやプラーク量が多いと考えられる場合は、複数回の拡張でslow flowの原因となる可能性があり、できる限り最小 の拡張回数に留める。 バルーン・ステントが通過しにくいときのコツ ①deeply seated法 ・同軸性を保ちガイディングを深くengage。 ・RCAではJRをclockwiseに回しながらdeep seatする。 ・LADはclockwiseでdeep seat(LCxは逆にやや浅めにした方が同軸性がよくなる)。 ②balloonをより小径のものに変える ・径1.0~1.5mmのバルーンに変え、順次サイズを上げていく。 ③ buddy wire technique
・二本のワイヤーを入れる。 ・石灰化病変やステント内通過困難に有効。血管との摩擦が減少。 ・血管伸展ができることもある(サポート力の高いGrandslam○Rを使用することもある)。 *ただしこの場合アコーディオン現象に注意 ④ 親子catheter ・ガイディングカテーテルに小径カテーテル(当院ではCokatte○R/Dio○R)を入れ、病変にすすめる。 ・石灰化を伴う病変に有効。蛇行の強い病変でも有用なことがある。 ・back upが強化される。 ・狭窄病変やすでに留置されているステントのdistalまで子カテーテルを進め、ステントdeliveryすることもある。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 36 進めていく方法(Tanno法)もある。 ・6Frガイディングカテーテルから逆止弁を外してそのままCokatte○Rを挿入する方法もある。デバイスの長さを気に せずに良く、簡便である。造影も通常のシステム通り可能だが、解離を起こす可能性があるので、造影前には圧が wedgeしていないか確認する。・ ⑤ 貫通用カテーテル ・Tornus○R/Corsair○Rで冠動脈の内腔を掘っていくようなイメージ。 ・Tornus○Rは小径バルーンの通過が困難な場合に用いる。進むときはcounterclockwiseに20回まわし、一度離す。 回し続けると断絶する可能性あり。 ・Corsair○RはTornusの様に用いる場合がある(回す方向はどちらでもよい)が、当施設ではむしろ通常の microcatheter と同様に用いられより汎用性が高い。 ⑥ バックアップカテーテル ・PCI中にガイディングカテーテルを変えることは避けたい。 しかし、バックアップが不良ならば、AmplatzやExtra-back upタイプに変更することも検討する。 ⑦ Rotablator○R
・Diamond Burr で rotablation する治療。
・重症石灰化病変でステント拡張不良やデリバリー困難が予想される場合は用いる。単独の治療もありうる。 ・手順は以下のとおり。
Femoral artery から 7Fr もしくは 8Fr(Burr size による)でアプローチ。一時的ペースメーカーでバックアップ。 通常のワイヤーで病変を通過、マイクロカテーテルでロータワイヤーに交換。
カテーテル内を特製のロータカクテルで常にフラッシュしておく。 Burr が wedge していないことを確認して pecking motion で進める。 その間は冠動脈内にへパリン生食をフラッシュする。