心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 40 PCIの合併症
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 41
*冠動脈造影で造影剤が穿孔部の周囲に溜まっている場合、血行動態の破綻が無いことが多い。以下の処置は血行 動態が安定している場合のみに適応される。
・Wire perforationはほとんどの場合問題が無いが、自然に止血が得られない場合は、患者の鼠径部の皮下か
ら自己脂肪組織をとり、穿孔部までdeliveryしたmicrocatheterの中に入れる。2.5mlシリンジに1/2希釈し た造影剤を押し込んでで止血。
・Ballooningやステント留置に伴うperforationならば、素早くバルーンを用いて1-3気圧くらいの低圧で拡張(20-30分くら いを目安に)。プロタミンを用いてACTを150未満に中和する(ヘパリン1000u対しプロタミン1mlをdiv)。5分に一回くら いへパリン生食で冠動脈内はフラッシュしておく。Ryusei○Rバルーンならば、末梢血流も確保できる。それでも止まらな ければカバードステント(Graftmaster○R )を留置。この処置を行う際は、バルーンで拡張している間に反対側の鼠径から もう一つのガイディングカテーテルを挿入しワイヤー、カバードステントを準備するという方法もある。
冠動脈解離
・ステントの過拡張などで生じることが多い
・絶対にwireは抜けないように注意する。もし抜けてしまい、もう一度ワイヤーを通過させた場合、IVUSで真腔かどうか 確認すべき。
・ほとんどはステントで解離腔を抑え込んでしまうことでbail-outできる。
・血流がなくなってしまった場合には、balloonで偽腔を抑えつけたり、Cutting balloonでre-entryを作ることもある。
・ステント留置できない末梢病変であれば、冠動脈血流とwash-outが良好なら経過観察とする。ヘパリンの継続を行い、
血栓形成を防ぐ。
ステント脱落
・冠動脈の屈曲、石灰化の多い症例で起こる。ステント挿入試みの際か、そのステントの回収時に起こりやすい。
・ステントが引っ掛かった感触があれば、ゆっくり回収し、ステントとバルーンが離れていきそうなら病変部の手前でも植 え込みを考慮(ただしLMTの場合は可及的に回収を優先する)。
・ガイドワイヤーにマウントしているならばガイドワイヤーは絶対に抜かない。
・グースネックスネアカテーテルの輪を手元のガイドワイヤーの末端に通して、脱落ステントまで到達させる。ステントをキ ャッチしたら、そのままシステムごと抜く。
・脳血管に迷入しないように、上行大動脈で出し入れはしない。処理をするなら冠動脈内か、下行大動脈より末梢。
・末梢動脈へ迷入した場合は虚血症状が起きない可能性が高く、注意深く経過観察。
・Wireが抜け、スネアでの回収が困難な場合は、バルーンを用いてFogarty法でガイディングカテーテル内に引き込ん だり、脱落ステントの脇でステントを拡張させ、脱落ステントを押しつぶす方法もある。
ステント血栓症
・ACS、長いステント、拡張不十分、早期の抗血小板薬中止(premature discontinuation)などがリスクになる。
・PCI後に心室性不整脈、胸痛、ST上昇などが再出現した場合、ステント血栓症を疑う。特に急性期、亜急性期で一層
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 42 の注意が必要である。
急性ステント血栓症(AST) ステント留置後0~24時間以内 亜急性ステント血栓症(SAT) ステント留置後24時間~30日以内 遅発性ステント血栓症(LST) ステント留置後30日~1年以内 超遅発性ステント血栓症(VLST) ステント留置後1年以後
・患者の抗血小板薬内服状況を調べる。また血小板凝集能を評価し、更なるステント治療の可否を検討す る。
・血栓症に新生内膜増殖の関与があったかどうかに関して、当科ではOCTを用いて評価している。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 43
<Chapter 6> PTA
・PTAの対象として扱う末梢閉塞性動脈疾患には閉塞性動脈硬化症、Buerger病、頸動脈・椎骨動脈狭窄症、腎動脈 狭窄症などがあるが、このチャプターでは当院で扱うことの多い閉塞性動脈硬化症(arterosclerosis obliterance: ASO)
を取り上げる。尚、重症下肢虚血(critical limb ischemia: CLI)も同疾患の延長上にある場合が多く、このチャプターで 触れておく。
・PCIと同様、症状の改善を一義的な目標とする。
心臓カテーテルマニュアル 応用編 Copyright 2013 Saitama Medical University All rights Reserved 44
PTAの適応