225 (84) 氏名(生年月日) 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題目
論文審査委員
トヨ シマ エイ トク豊島英徳(昭和19
医学博士 乙第1083号平成2年3月16日
学位規則第5条第2項該当(博士の学位論文提出者)Krabbe病モデルマウスTwitcherの骨髄移植後における末梢神経・筋での電
気生理学的並びに組織化学的変化に関する研究 (主査)教授 橋本 葉子 (副査)教授 小山 生子,丸山 勝一論 文 内 容 の 要 旨
目的 本研究は,Krabbe病モデルマウスTwitcherに骨髄 移植を施し延命させ,骨髄移植後継時的に坐骨一脛骨 運動神経の伝導速度を電気生理学的に計測し,同神経 支配下にあるヒラメ筋につき組織化学的検索による筋 萎縮度を求め,さらに等尺性収縮特性を計測し,骨髄 移植のこれら末梢神経・筋に及ぼす効果を検討するこ とを目的とした. 方法 Twitcher(C57BL/6J-twi)の遺伝子型の判定は,7 日齢のマウスの尾端小片ホモゲネートのgalactosyl・ ceramidase活性を測定することによって行った.骨髄移植は6~8週齢の同系雌成獣大腿骨骨髄細胞
(10~15×106個)および脾臓細胞(35~40×106個)混 合の単一浮遊液を9~10日齢のTwitcherの腹腔内に 注射することによって行った(骨髄移植Twitcher). 電気生理学的検索は,仙骨神経叢あるいは三関節に最 大上刺激強度の電気刺激を与え,足蹄筋群から誘発放 電を記録し,肇骨一脛骨運動神経の伝導速度を求め, またヒラメ筋の腱を足関節部で切断して自由端とし, in vivoで等尺性収縮特性(単収縮力,単収縮時間,強 縮力/単収縮力)を測定した.一方,後肢骨格筋を切除 し,筋原:線維のATPase(pH 4.35および9。4)および NADHジアフォラーゼ反応を観察し,ヒラメ筋の筋 線維型を同定し,それぞれの型で筋線維数の計測を 行った. 結果 骨髄移植Twitcher(35~108日齢)の坐骨一脛骨運 動神経の伝導速度は6.7±1.2m/s, n=12であった(対 照群は,34.5±3.9m/s, n;18).また,205日齢に測定 した1例では8.1m/sであった,骨髄移植Twitcher (12,16週齢)のヒラメ筋には筋線維の萎縮が認められ, 腓腹筋とヒラメ筋の平均重量はそれぞれ40mg;47mg (対照群は,112mg;119mg),全線維数二700本;652 本,1型筋線維:38.7%,;353%,IIA型筋線維: 51.3%;59.0%,IIC型筋線維:10.0%;5.7%(対照 群は,それぞれ631本;783本,39.3%;35.2%, 57.5%;63.5%,3.2%;1.3%)であり,筋線維型分 布異常は認められなかった.さらに,骨髄移植Twit- cher(113日齢)のヒラメ筋等尺性収縮特性は,単収縮 力:LOg重,単収縮時間:20.Qms,強縮力/単収縮 力:5。0であり,骨髄移植をしなかったTwitcher 20~25日齢の特性と同値であった.骨髄移植Twit- cherの末楕神経は観測期間を通じてニューロパチー を呈したが,大直径で薄い髄鞘を有する神経線維が多 数認められた. 考察および結語 Krabbe病モデルマウスTwitcherの骨髄移植後得 られた末梢運動神経伝導速度および骨格筋筋線維萎縮 度は,ニューロパチーおよび脱神経性筋萎縮を反映し たものと考えられるが,それらは末期段階のものと比 較すると明らかに軽快が認められた,200日以上に亘る 延命とこの間の末梢神経・筋の形態および機能の維持 は骨髄移植によって初めて実現したものと考えられ る. 一827一226
論 文 審 査 の 要 旨
Krabbe病は進行性神経変性疾患で常染色体性劣性遺伝形式を呈し,生後1~1歳半頃には死亡する疾患で あり,現在有効な治療法は確立されていない。本研究はKrabbe病の実験動物疾患モデルとしては非常に信頼 性の高いマウス“Twitcher”に骨髄移植を施し,その後継時的に末棺神経・筋の電気生理学的・組織化学的検索 を行い,骨髄移植による延命効果,末梢神経・筋の形態および機能の維持を明らかにしたもので,Krabbe病 進行に対する骨髄移植の遅延効果を示唆するものとして学術上価値ある論文である. 主論文公表誌Krabbe病モデルマウスTwitcherの骨髄移植
後における末梢神経・筋での電気生理学的並 びに組織化学的変化に関する研究 東京女子医科大学雑誌 第60巻 第1号 12-25頁(平成2年1月25日発行) 副論文公表誌1)Nerve conduction studies in the Twitcher mouse(murine globoid cell leukodys-
trophy)〔Twitcherマウス(グロボイド 細胞脳白質変性ジストロフィー症マウ ス)における神経伝導に関する研究〕 JNeurol Sci 74:307-318,1986
2)2,4-dichrophenoxyacetic acid (2,4-D) does not cause polyneuropathy in the rat 〔2,4・dichrophenoxyacetic acid (2,
4-D)はラットにおいては多発性ニュー ロパチーの原因とはならない〕
JNeurol Sci 70:225-229,1985
3)Effects of 2,4・dichrophenoxyacetic acid (2,4・D)on the contractile properties of reinnervated rat skeletal muscle〔2, 4-dichrophenoxyacetic acid(2,4-D)の 再神経支配を受けたラット骨格筋の収縮 特性に及ぼす影響〕 Exp Neurol 90:601-610,1985 4)運動失調症モデルマウスの歩行動態の自動 解析について 実験動物 30:129-135,1981 5)Duchenne型筋ジストロフィー症患者の歩 行分析 総合リハ 9:141-146,1981 一828一