Title
116 低アーキング条件下で製膜した多層DLC皮膜を有する
マグネシウム合金AZ80の疲労挙動( 本文(Fulltext) )
Author(s)
植松, 美彦; 柿内, 利文; 寺谷, 武馬; 原田, 良夫
Citation
[学術講演会講演論文集] vol.[60] p.[107]-[108]
Issue Date
2011-05-24
Rights
The Society of Materials Science, Japan (公益社団法人日本材
料学会)
Version
出版社版 (publisher version) postprint
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/49352
※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。
The Society of Materials Science, Japan
NII-Electronic Library Service
The Sooiety of Materials Soienoe
厂
Japan116
低
ア
ー
キ
ン
グ
条件
下 で
製
膜
し
た
多層
DLC
皮 膜 を有 す
る
マ
グネ
シ
ウ
ム
合 金
AZ80
の
疲 労挙 動
岐阜大 学
○植松美 彦 岐阜大学 柿
内利
文ト
ー
カ ロ寺
谷武
馬ト
ー
カ ロ原 田
良夫
Fatigue
Behavior
ofAZ80Wrought
Magnesium
Alloy
with
Multi
−
layered
DLC
Film
Deposited
underLow
Arcing
Condition
Yoshihiko
UEMATSU
,
ToshifUmi
KAKIUCHI
,Takema
TERATANI
andYoshio
HARADA
1 緒 言
マ グ ネシ ウム (Mg ) 合 金 は
,
軽 量 構 造 用 材 料 と し て期 待されてい る が
,
耐食性 に 問 題 が あ る.
そこ で著者ら は,
多層 DLC (Diamond−
like carbon ) 皮 膜を 用い,
Mg合 金の大 気 中お よ び腐 食環境 中での疲 労 強 度 向上 に成 功 すると と もに
,
単 層に 比べ て多層 DLC 皮 膜の方が強 度 向上 に有 効で あることを示し て い る〔1).
し か し,
DLC は 製 膜 過 程で処 理品と真空容 器壁面の間で発生する異 常 放 電,
すな わ ちアー
キング現象に よ り,
皮 膜 にピ ンホー
ル欠 陥が残る こと が多い,
その よ う な皮 膜欠陥は,
大 気中で の疲 労き裂発 生 起点と な り,
さら に腐 食環境下で は 腐食液 が 欠 陥 を 通 して基 材 に 到 達 し,
腐食疲労強度向 上 が 難 しい場合があ るこ と を 報告し て いる〔1).
そこ で本研究で は,
DLC 製 膜 過 程に お ける電源 装 置の 制 御に よ り,
アー
キング現 象が 生 じ に くい条 件 下で DLC 皮 膜 をMg 合金 上 に単層お よ び多 層で製膜 し て 大 気 中 お よ び純 水 中で 回転曲 げ疲 労試 験 を 行い, 疲労 挙動に 及 ぼ すアー
キング低 減制御と皮 膜 多 層化の影 響につ い て検 討 し た.
2 供 試 材 およ び試 験 方法 2.
1 供 試 材 供試材は,
市販の Mg 合 金 AZ80A 押出材 で あ る,
その化学組成と機 械 的 性 質 をそれ ぞれ Table l,
2 に 示す.
讖 片は平行 部 直径8,
平 行 部 長さ10 の回 転 曲 げ疲 労 試 験 片で あ る.
試 験 片軸 方向 は 供試材の 押 出方向と平 行と し た,
試 験 片 形 状に機 械 加工後,
平 行 部表 面 をエ メ リー
紙で 2000 番 まで順 次 研 磨した後,
パ フ研 磨 に よ り鏡面 に仕上げた.
2.
2 製 膜手法 DLC 皮膜は,
表 面 を鏡面 に 仕 上げた試 験 片に低温プ ラズマ CVD (PECVD )法 に よ り製膜 した.
DLC 製 膜 時の温 度 は 150°
C で あ る,
その 際,
電 源 装 置のTable l Chemical composition ofmaterial (wt
.
%).
制 御 に よ り
,
製 膜 過 程でアー
キン グ が 発 生 に 食い よ う に し た.
皮膜 厚 さ は 3pm とし,
単層 DLC 皮 膜では1回の 過 程で 3Luri製 膜した.一
方 多層 DLC 皮 膜では,
製 膜を 途 中で中 断し,
超 音 波 洗 浄した後に再び製 膜 するとい う 過 程 を 繰り返した.
正回の過 程で 1睥 の皮 膜を製 膜し,
これを 3層 製 膜 するこ とで,
1レmX3 層で多 層 3μuriDLC 皮膜 を有 する 試験片 を製作した.
ま た,
アー
キン グ 低減 制御を施さずに, 単層 35 お よ び多 層3
μ皿 の DLC 皮 膜 を被覆し た試 験 片ωとの比較も行っ た.
Fig.
1
に各 材の DLC 皮 膜 表面様 相 を示す.
いずれの場 合も皮 膜 表面 は平 滑 であるが,
アー
キングに よ ると思 われる皮 膜 欠 陥が認 め られた.
し か しその寸法は,
アー
キ ング低 減 制 御を行 わ ない場 合 (Fig,
1(a),
(b)),
単層と多 層でそ れ ぞ れ 直 径 35,
20y皿 程 度であ るのに 対 し,
アー
キン グ 低 減 制 御 を 行 うことで,
Fig.
1(c),
(d)に 示 す よ う に 10μ皿 以 下 に 小 さ く なっ て いるこ と が わ かる.
2.
3 試 験 方 法 疲 労 試 験に は小 野 式 回転曲 げ疲 労試験 機 を用い,
繰 返し速 度 声19Hz,
応 力UZ
R=
=
H1
の条 件で,
大 気中お よ び純水滴下環境中 に て 試 験 を 行っ た.
破面観 察 に は走査 型 電 子 顕 微鏡 (SEM
)を用いた.
3 実 験 結 果 3.
1 大 気 中にお け る疲 労 強 度 Fig.
2 に, 大 気 中 に お け る 試 験結果 を 示 す.
アー
キン グ低 減 制 御 を行っ てい ない 試 料につ いて は,
母 材の ロ ッ トが異 なり強 度レベ ル に若 Al Zn Mn Si CuNiFe Mg 8.
2 0.
59 0.
4 0.
035 0.
001 くO.
OOI O.
0035 BaLTable 2
Mechanical
properties ofmaterial.
0
.
2%proof Tensile streSS S位eng 山 σ02 (MPa) σB (MPa ) Elongation δ(%) ElasticmodulUSEGPa ) 270 355 16 39Fig
.
1 Appearance ofDLC film:Without low arcing control(a)single layer(SL)
,
(b)multi−
Iayer(ML):Low arcilg condition (c)SL,
(d)ML.
一 107 一
The Society of Materials Science, Japan
NII-Electronic Library Service
The Sooiety of Materials Soienoe
厂
Japan子相 違が あ る
,
そこでFig.
2で は,母 材の 107回疲 労強度 の値で 正規化 して 示 してい る.
アー
キング低 減制御下 で 製 膜したDLC 皮 膜 材の 107回疲 労 強 度の母材に対 する上 昇率 は,
単層 3μm 材で 30%,
多 層 3μm 材で 60% であ る.
一
方,
低 減制御を行わ ない 場合,
上 昇率は単 層3.
5μum 材 で ll%,
多層 3pm 材で 37% で あ る,
こ のよ う に,
単層 と多 層を 比較す れば,
多層 皮 膜 材の方 か 強 度 向 上 に 有効 である.
また アー
キ ング低 減制御に よっ て,
同一
膜 厚 で も 大 気中の疲 労 限 度は よ り向上するこ と がわかる.
破面 観 察の 結 果,
アー
キング 低減の有無や 皮 膜 厚さに よらず, き裂発 生 起 点 近傍に は皮 膜 欠 陥が認め られた.
なお,
本 材は時効 性 を有す るが,DLC 製膜 時間と 同 じ熱 履歴を 与 えても,
母材との疲 労 強 度は 同 程度で あ るこ と を確 認し て い る.
3.
2 純 水 中に おける腐 食 疲 労 強 度 純 水 中に お け る疲 労試 験 結 果 をFig.
3に示 す.
同図は Fig,
2 と 同様に,
母材 の大気 中に おける 107回 疲 労 強 度の値で正規化 し ている,
母材は純水中に お い て明 瞭 な 疲 労限度を 示 さず,
試 験 後 に は多数の腐 食ピ ッ トが確 認され た.
すなわち,
母材は 耐食性の低い Mg 合 金で あ り,
純 水滴下による腐 食ピッ ト の形 成によ り疲 労 強度が 著 し く 低 下 し た と 考 え られ る,
アー
キ ング低 減 制御を行わ ない場 合,
単層,
多 層に よ ら ず,
DLC 皮 膜 材の純 水 中にお け る疲労 強度は 母材と 同 程 度であ り,
腐 食 疲 労 強 度の向 上は 認 め られなかっ た.
DLC 皮 膜材のき裂発生起 点に も腐 食ピ ッ トが認 め られ たこと か ら, アー
キング現 象に よ る ピンホー
ル欠 陥 を通 し て腐 食 液が 母材に 到達した こ と を 示 唆 して いる,
これ に対して,
アー
キング低 減 制 御 を行っ た 場合,
単層 3μ皿 材の疲 労 強 度 は 母材と同様,
大気 中と 比較し て低下 し て い る が,
多層3pm
材で は 大 気 中 と 同程 度の疲 労 強 度が達 成されており,
腐 食 疲 労 強 度 が向 上 してい る.
す な わ ち,
アー
キング低 減 制御と皮 膜の多 層 化 を行 えば,
比較 的薄 い 多層 DLC 皮 膜で も,
ピ ン ホー
ル欠 陥の母 材へ の貫 通 を 防 ぐことが でき,
短い製膜時間で有 効な耐 食 性 皮 膜を 製 膜できる こ とを 示 し てい る.
4 考 察 3.
1 大 気中に お け る疲 労 強 度 DLC 皮 膜の被 覆に よっ て大 気中の疲労 強 度 は 向 上 し,
同一
膜 厚で は アー
キ ング 低 減 制 御を行っ た方が, 疲労 強 度 向 上の効 果が大 きい.
この理 由 とし て DLC 皮 膜にお け る欠 陥寸 法の減 少 が考 え られ る.
DLC 皮 膜 材の場 合,
疲 労試 験に お け る き裂発 生起 点に は製膜 欠 陥 が 認 め られ,
その寸 法はアー
キング 低 減 制 御の無い場 合, 単層材で 35,
多 層 材で 20ym 程 度 で あっ た.
これに対し て アー
キング低減制御を行っ た場 合,
Fig.
1に示した ように多 層 皮 膜の欠 陥 寸法 は10ym 以 下 で あ る.
すな わ ち,
欠 陥寸 法の減 少に よ り疲労強 度が よ り大 き く 向 上 し たもの と考え られ,
アー
キング低 減 制 御に よ る皮 膜欠陥のコ ン トロー
ル が,
強 度向 上の重要 な 因子で あることを示唆してい る.
3.
2 純 水 中における疲 労 強 度 アー
キン グ 低 減 制御を 行わない 場合,
単層,
多 層に よらず純 水 中の疲 労 強 度 は 向上 し な かっ た が,
多 層3ym 材で はアー
キ ン グ低 減 制 御 を 行 え ば 腐食 疲 労 強 度は向上 し,
腐 食ピッ トは観 察 され なかっ た,
す な わ ち,
アー
キング 低減 制 御に よっ て一
段 階目の製 膜 時に生 じ るピン ホー
ル欠 陥の 寸 法 が 小さく なり,
かつ 多 層 製 膜化 による後段の製 膜過 程 で 欠陥が有 効に埋 め ら れるため,
腐 食 疲 労 強 度が向上した と考 えら れ る.
5 結 言 本研 究 で は,
アー
キング低 減 制 御 を行っ て多 層 DLC 皮 膜を 展伸 Mg 合金 AZ80 に製膜 し,
大気 中と純 水 中で 疲 労試 験を行い , アー
キング 低減 制 御が疲 労 特 性へ 与 え る影 響につ いて検討した.
その結 果, 同一
膜厚 で 比較し た場 合,
アー
キング低 減 制 御 を行 うことで大 気 中,
純 水 中いずれの疲 労 強 度 も有 効に改 善で きるこ とを示 した.
参 考 文 献省 略(1)Improvement of corrosion fatigue strength of magnesiu 皿
alloy by multilayer diamond
−
1il(e carbon ceatings,
YUematsu
,
T.
Kakiuchi, T.
Teratani, Y Harada and K,
Tokaji
,
Surface and Coatings Technology,
205 (2005) 2778−
2784.
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