Title
炎症性骨吸収に関する研究(I) 第2報 : S. mitisによる顎骨骨髄
炎における抗炎症剤・抗菌剤の骨吸収抑制効果について( 内
容の要旨(Summary) )
Author(s)
中田, 隆明
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1011号
Issue Date
1995-11-15
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15261
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員
中
田隆
明(岐阜県)
博
士(医学)
乙第1011号 平成 7年11月15
日学位規則第4条第2項該当
炎症性骨吸収に関する研究(Ⅰ)
第2報:鼠miぬによる顎骨骨髄炎における抗炎症剤
・抗菌剤の骨吸収抑制効果について
(主査)教授 岡伸
光 (副査)教授 松 永 隆 信 教授 渡 連 邦 友 論 文内
容 の 要 旨 骨吸収は,骨改造現象として生理的に終生見られるものであるが,病的骨吸収は炎症,代謝性疾患,腫瘍等の 際に生じる。中でも炎症性骨吸収は,臨床上しばしば遭遇するが,その発症機序については,不明な点が多い。 炎症時には細胞膜にあるリン脂質からホスホリパーゼA2によりアラキドン酸が生じ,これがシクロオキンゲナー ゼによりプロスタグランディン(PG)が,リポキシゲナーゼによりロイコトルエン(LT)が産生され破骨細胞 を活性化し,骨吸収が促進すると考えられている。 本研究では骨髄炎患者から採取した,S打印加OCC比Smよぬはmよぬ)を用いて細菌感染による実験的顎骨骨 髄炎モデルを作成し,種々の抗炎症札抗菌剤投与後の骨吸収の変化を観察し,その効果を検討した。 実験材料と方法 予備実験として,兵東等の方法に従って,家兎下顎骨に且〃血痕を起炎菌とした骨髄炎を起し,同炎症部位か らPGEおよびLTBの定量を行い,健側の数倍から十数倍の産生があることを確認した。このデータをもとに抗 炎症剤としてIndomethacin(IND),Piroxicam(POC),Proglumetacin maleate(PGM),Zaltoprofen (ZP)を抗菌剤としてSparofloxacin(SPFX),Minocyclinehydrochroride(MINO)を選択し,本実験を行っ た。雄性家兎を7つのグループに分けた。全ての家兎の左右下顎骨隅角部に摩5mmの骨を打ち抜き,日本薬局方
ゼラチンカプセル5号にS.mitisを培養したプレインハートインフュージョン(BHI)100uml(S.Tnitis7× 106相当)を入れ同部に挿入留意した。右側にはゼラチンカプセルのみ挿入留置した。A群IND (4・2mg/kg/day),B群POC(3.3mg/kg/day),C群PGM(1.5mg/kg/day),D群ZP (13・3mg/kg/day),E群SPFX(33.3mg/kg/day),F群MINO(33.3mg/kg/day)G群コントロールと し,且mよぉ挿入留置翌日より一週間経口投与,さらに一週間後屠殺した。屠殺後左右下顎骨を摘出し,軟組織 除去乱軟Ⅹ線撮影を全ての試料に対して行い,得られたフィルムをCCDカメラにてMCID(Microcomputer-imagingdevice)システムに取込み,同時に撮影されたアルミニウムステップを基にアルミニウム当量の数値と して表示し,この数値を基に回帰直線を描き,その回帰係数によって骨吸収状態を評価した。 実験結果および考察 1・被験側の下顎部は,肉眼的には著しい発赤,腫脹と顎骨を中心に組織破壊と膿瘍の形成がみられ,病理組織 所見では,白血球,リンパ球,形質細胞等の炎症性細胞の浸潤と穿孔した周辺の骨組織には,破骨細胞による骨 吸収が随所にみられ,ハウシップ高が連続し波状を呈していた。 2・回帰係数による骨吸収状態の評価では,G群(コントロール群)に比較してA∼F群のいずれの群において も骨吸収抑制効果が有意差をもって認められた。(P<0.05) 1033.抗炎症剤問での比較では,B群>C群>D群>A群の順で,その効果がみられた。 4.抗菌間では,E群とF群とも同程度の効果を示し,有意差は認めなかった。 5.抗炎症剤と抗菌剤との比較ではt E群が有意に骨吸収抑制効果を示した。 以上の実験結果について考案すると,細菌感染による炎症性骨吸収の実験モデルとしては組織学的に著しい骨 吸収がみられるてと,またその炎症巣から多くのPGE2,LTB4が認められたことから有用であると考えられた。 骨吸収状態の評価法として用いた軟Ⅹ線フイルムをMCIDシステムにより得られた回帰直線から回帰係数と して表示する方法は,検体が比較的平坦でありフイルムとの平行関係がよく保たれることからdensityの誤差が 生じにくく適正であった。 抗炎症剤では,POCが最も効果があったが,これはシクロオキシゲナーゼ抑制作用の半減期が36時間と長時間 作用することからINDO,PGMおよびZPより有効であったものと考えられる。 抗菌剤については,SPFXがMINOより有効であったが,これは本実験前の感受性試験でMINOが2+で SPFXが3+であったことによると考えられる。 以上のことを総合的に考察すると,顎骨骨髄炎による骨吸収を効果的に抑制するには早期に持続性のある抗炎 症剤を長期に投与すること,抗菌剤についてはより感受性の高いものを炎症症状が完全に消失するまで投与する ことが重要であると考える。