質量保存に関する子供の誤ルールとその組み換え
著者
知久馬 義朗
雑誌名
東北教育心理学研究
巻
4
ページ
1-14
発行年
1991-03-25
URL
http://hdl.handle.net/10097/00121871
質量保存に関する子供の誤ルールとその組み換え
知 久 馬 義 朗
(熊本大学教育学部)問
題
重さは,物体に働く重力の大きさによって表わされる から,厳密にはその物体に固有の大きさを持つ量ではな いが,重力加速度が一定なら物体の質量に比例するし, 地球上の重力加速度の変化はそれほど大きくないので, 便宜的には,物体の質量を示すと考えておいてよい。「重 さ」を,物体に働く重力の大きさではなく,重力を引き 起す質量の大きさを表わす言葉として用いれば,r
物に はすべて重さがあり,物の重さは保存される」という法 則(質量保存則)が成立する?この法則に対する確信の 有無は,板倉・江沢(19
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)や高橋(1
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)が指摘して
いるように,科学の学習の成否を左右する重要なポイン 卜の一つであろう。しかし,質量保存則と一口に言って もそれが支配する現象は多様である。この多様な現象 に関する多様な問題(以後「質量保存課題」と記す)の すべてを確実に解決することは,子供たちにとって必ず しも容易でなく, しかも加齢しさえすれば解決可能にな るわけではないことが,新田・永野(19
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)
の調査によ って明らかにされている。 質量保存課題は,より具体的には,I
物が入ってくれ ば,重さは重くなるJ
(ルール 1,)I
物が出ていけば, 重さは軽くなるJ
(ルール2),I
物の出入りがなければ, 重さは変わらなし、J(ルール3
)と命題表現できる三つ のルール(以後「正ルール」と記す)に支配されている。 これらの正ルールが支配するすべての現象には,正ルー ルの前件を構成する 「物の出入りの有無」以外の様々な 属性が絡み込んでいる。質量保存課題の解決が困難な理 由は,子供たちの無知にあるというよりは,むしろ様々 な不適切属性と「重さの変化の有無」とを結び付けた様 々な誤ノレールを子供たちが自成的に創り上げており,そ れらに基づく誤れる(子供たちにしてみれば「正しいJ) 判断を行いうるようになってしまっていることにあると 考えられる。新田・永野の調査は,子供たちが,物体の 形,物体が粉かどうか,物体の相,物体の温度,物体の 積み重なり,物体の支持面積,力み感覚を伴うか否か, 物体の浮沈,物体の視認可能性といった属性の値の変動 に基づいて,重さの変化の有無を判断していることを示 唆する。 誤ルールは経験結果の一般化によって成立するが,経 験結果の一般化は通常当該個人の適応に役立つ形で為さ れるがゆえに,誤ルーノレは,その成立の場たる当該個人 の日常的世界に限れば,それなりに「適応的」な判断を 可能にし,当該個人にとってはあくまでも,日常的世界 への適応実現に裏打ちされた「正しし、」ルールとしての 位置づけを持つ(細谷,1
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)
。この点,授業者の提示 するルールは,子供たちにすれば,経験的事実の裏付け を持たない「よそごと」でしかない。質量保存課題を確 実に解決させようとするなら,三つの正ルールを子供た ちに獲得させなければならないが,彼らの内部を空白と 考え,正ルールをやみくもに教え込もうとしても,彼ら に正ルールを獲得させることはできなし、。ましてや, 前 件の不明確さのゆえに,そのままでは判断の基準として 使いにくい「物には重さがある」とか「物の重さは変わ らなし、」とかいった命題を教え込もうとするだけでは, なおさら困難となろう。子供たちが「正しし、」と信じて しまっている誤ノレールを判断基準とした場合には,いた る所で誤った問題解決に結果するが,三つの正ルールを 基準とし適切に使い分ければ,どのような場合でも正し 1) 質量保存則は,厳密には,化学反応の前後で反応物 と生成物の質量が等しいことを意味する法則であり, この法則が探究の有効な道具として機能するのも, 多くは化学変化の探究に際してである。しかし質 量の保存性・加法性の認識が近代力学の前提になっ ていることに象徴されるように,質量保存則は物理 変化の前後においても同様に成立し, しかも,上述 の狭い意味での質量保存則を理解するためには,そ れ以前に物理変化の際の質量保存を理解しておくこ とが必要になると考えられるので,この法則の適用 範囲を物理変化にまで広げておきたし、。 2) 新田・永野で調査されている運動物体の重さの保存 性は,本研究では扱わない。し、問題解決に帰着することを,授業の中で、子供たち自身 に確認させなければ,誤ルールからルールに乗り換えな ければならない必然、性を,子供たちに持たせることはで きない。 授業中この確認を確実にさせうるか否かは,問題の型 分けと発問系列をどうするかにかかっている(細谷,
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。まず,問題の型分けについて考えてみたい。問 題の型分けを行う目的は,誤ルールから正ルールへの組 み換えを効率的に行うことにあるから,型分けに当たっ ては,科学の論理を考慮することは無論のこと,子供た ちの既有する誤ルールの内容を考慮に入れる必要があ る。 子供たちの着目している不適切属性(上述)を考慮す れば,子供たちの既有する誤ルールとして,形が変われ ば重さも変わる,粉になれば重さも変わる,固体になれ ば重くなる,液体になれば重さも変わる,気体になれば 重さも変わる,温度が上がれば重くなる,高さが変われ ば重さも変わる,支持面積が変われば重さも変わる,力 を入れれば重くなる,浮けば軽くなる,底に沈めば重く なる,溶けて見えなくなれば軽くなる,を想定すること ができる。これらの誤ルールに対応させて,変形,粉砕, 固化,液化,気化,温度,積み重ね,支持面積,力み, 浮力,沈澱,溶解とし、う問題の型を設定する必要がある のだろうが,子供たちが形成している誤ルールはこれだ けではないと考えられるしその他にも幾つかの間題が この型分けには内包されている。 新田・永野の調査では,ルール1, 2の支配する現象, すなわち物の出入りによって惹き起される重さの変化に ついては,計算に重点を置いた問題化が為されており, 重さが変化するか否かを定性的に問う問題は,出題され ていない。これは,ルール1, 2の支配する現象は子供 たちにとっても余りに当り前であり,定性的問題の解決 の可否をわざわざ調べる必要はないと,判断されたため かもしれない。しかし出入りの量まで、考えた場合は, 話が変わってこよう。 板倉・江沢(19
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は,I
どんな小さな物にも重さが ある」という認識の獲得が,科学を理解する上で決定的 に重要な意味を持つと指摘している。立木(19
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)は
, 質量保存課題を直接扱っているわけではないが,実験の 過程や結果において大きな変化を伴う事例を提示すると 物理法則の学習が容易になると報告している。立木の報 告は,物理変化の規模の大小が学習者の推論の成否を左 右することを示唆しているが,そうだとすれば,物の出 入りがある場合について,単に出入りがあるかどうかだ けを問題にしていたのでは,不十分になってくる。「出 2 入りの量が多ければ重さは変わるが,出入りの量が少し だけなら重さは変わらなし、」と表現できる誤ルールを子 供たちが持っていることが想定され,物が多量に出入り する場合を扱う問題には正答できても,ほんの少ししか 出入りしない場合を扱う問題になると誤答してしまう状 況が,存在しうることになるからである。もしそうなら, 板倉・江沢の指摘からして,後者の場合を扱う問題の解 決の可否や,そこでの誤答の在り方を確認することが, 是非とも必要になってくる。物が多量に出入りする多量 付加型,多量除去型に加え,物がほんの少しだけ出入り する少量付加型,少量除去型を,独立した型として設定 しなければならない。 高橋(1974)は,質量保存則を物質探究の強力な武器 とするためには,重さが,第一に測定の仕方で変わらな いこと,第二に合併,分割しでも変わらないこと,第三 に水中に置いても変わらないこと,第四に水に溶かすよ うな変化によっても変わらないことを,実証的に確認す ることが必要だと指摘している。 第一の課題をより詳細に検討すれば,物体が置かれる 秤上の位置が変化しでも,秤からはみ出しても,力んで も,積み重ねても,重さは保存されることを確認しなけ ればならないだろう。これらのうち,秤上の位置の変化 と秤からはみ出した場合は新田・永野では扱われていな い。しかし物体が秤からはみ出した場合に,秤に載っ ていなし、から軽くなる,はみ出たところに力がかかって 重くなる,といった発言が子供によって為されたという 高橋(1972)や板倉・上廻(1974)の報告を考えれば, 「秤からはみ出せば重さも変わる」とし、う誤ルールの存 在が想定されるし,さらに,はみ出す場合と同系統の問 題事態である秤上の位置の変化に関しでも,I
置く位置 が秤の端によれば重さも変わる」という誤ノレールが存在 すると想定される。これら二つの誤ルールに対応する型 として,測定型を設定することが必要となろう。 また,新田・永野では別個に扱われている積み重なり (高さ)と支持面積の二属性は,物の出入りがない場合 は背反して変動することが多く,一人の人聞が誤ルール 「高さが高いほど重くなる」と「支持面積が大きいほど 重くなる」を同時に形成することは考えにくい。これら の属性を扱う問題の型としては,積み重ね型のみで十分 と考えられる。 高橋の指摘する第二の課題は,変形する場合,分割, 合併される場合,三態変化する場合に,大きく三分され る。単純な変形の場合の重さの保存だけではなく,分割, 合併が起る場合でも,重さが保存されることを確認しな ければならないし分割について言えば,二分割,三分割される場合でも,粉砕される場合でも,重さの保存を 確信できなければならなし、。たとえば大型機器類の重量 測定は,分割,合併の前後における質量保存を前提にし て成り立っているし,物質代謝や物質循環に関するすべ ての議論は,物質の相と無関係に質量が保存されること を前提にして初めて,その意味を持つのである。 変形,分割,合併ともに新田・永野で扱われているが, 彼らの分割,合併問題は,積み重ね型や計算問題として の性格を持つものが多く,実質的には粉砕型に限定され ている。しかし並んで体重を測定する事態や粘土を二 分割する事態を扱った計算問題の通過率は高くなく,二 分割や三分割についても,それによって重さが変わると いう誤ルールが形成されていると想定される。変形型, 粉砕型に加えて,分割型,そしてその逆方向への変化を 扱う合併型を,改めて設定することが必要であろう。 第二の課題に関するもう一つの問題は,新田・永野が 実質的に温度という型を設定し,その結果,子供たちが 「温度が上がれば重くなる」とし、う誤ルール(彼ら自身 はこの用語を使っているわけではなし、)を持っていると 推測していることである。しかし,温度という型の設定 は,次に述べる
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点により不適切かつ不必要だと考えら れる。第ーに,誤ルールは,子供たちの持つ不適切な考 えを仮言命題の形にすれば成立するとし、う消極的なもの ではなく,経験の結果が当該個人の環境への適応に有効 な形で一般化されることによって成立するものであるが ゆえに,当該個人の活動にとって積極的な役割を果たす ものである(知久馬, 1990)。だからこそ誤ルールは, 細谷(1983) の指摘するように,当該個人の信念にもな りうる。ところが,子供たちの生活の中で,温度変化と 重さの変化を結び付けるような事態は想定しにくく,従 って必然的に,I
温度が上がれば重くなる」とし、う仮言 命題にも,子供たちの活動に対する積極的な存在意義は 見い出しにくい。第二に,温度変化は三態変化に繋がり, 三態変化に際しての重さの保存性が理解されれば,自動 的に温度変化に伴う重さの保存性の不確信も解消される と考えられる。このことは,第一の問題点とも関連して, 温度変化にかかわって子供たちが持つかもしれない不適 切な考えが,子供たちにとって積極的な存在意義を持つ 誤ルールで、ない以上,それは正ルールの獲得に対する強 固な妨害因になるとは思えず,そうだとすれば,温度と し、う型は,三態変化に還元してよいように思われる。 高橋の指摘する第三の課題は,物体が水に浮く場合と, 底に沈んでしまう場合とに細分できょうが,これらの場 合については,新田・永野に対応する型が存在する。第 四の課題は,化学変化に際しての質量保存課題に該当し, より詳細には溶解,沈澱,燃焼,気体の出入りに分ける ことができるだろう。このうち沈澱は,第三の課題に所 属させることができるので,ここでは除外する。残り三 者のうち,新田・永野で扱われているのは溶解だけであ る。気体に関しては,三態変化の一部として,固体,液 体と一括して扱われており,その扱いに溶解との関連は 認められなし、。 しかし,重さの概念が物質の学習にとって重要な働き をするのは,重さが保存される場合以上に,保存されな し、場合に直面したときである。つまり,目に見えない物 の出入りや力の関与がある場合に,I
軽くなった。何が 出ていったのかj,I
重くなった。何が入ってきたのかj, 「何も出入りしていないとすれば,どうし、う力が作用し ているのか」といった判断を下せるようになることが重 要なのであって,こうした判断を下せるか否かは,結局 のところ,対象物における視認可能性の有無にかかわり なく,質量保存則を当該現象に適用できるか否かに規定 されている。 ところが,見える物に対してならば,質量保存則を適 用することは比較的容易でも,見えない物に対して質量 保存則を適用することは,はるかに困難となる。新田・ 永野の指摘する「生気論的混乱」も,生物が関与するこ とに起因するというよりは,視認不可能な現象への質量 保存則の適用失敗に起因すると考えられる。視認可能性 の有無を考慮に入れると,気体と固体・液体とは,全く 異なる性質を持っていると考えるべきであり,両者を一 括してしまうことには大きな問題がある。気体と固体・ 液体との共通性よりは,気体と溶解・燃焼との共通性の 方が大きく,これらを同ーの問題群に含める視点が必要 であろう。三態変化のー相としての気体だけを考えて, 「気体になれば重さも変わる」とし、う誤ルールを,I
溶 けて見えなくなれば軽くなる」という誤ルールと無関係 に想定するのではなく,両者を関連させて「気体が出入 りしても重さは変わらなし、j,I
見えなくなれば重さはな くなる」といった誤ノレールを想定するべきなのだと考え られる。 以上述べてきたことを整理すれば,質量保存課題に含 まれる問題事態は,表 1に示す型に分けることができょ う。これらの型は,物の出入りがある場合,形態の変化 がある場合,他の力学的要因が混入する場合,視覚困難 な物の出入りが関わる場合の四群に大別できる。 次いで,発問系列について考えたし、。発問の系列化に 当たっては,二つの観点からの検討が必要となる。既に 述べたように,子供たちに獲得させなければならない正 /レールは三つある。第一の観点は, どの正ルーノレから学表1 問 題 の 型 分 け 物の出入りがある場合 多量付加;多量除去;少量付加;少量除去 形態の変化がある場合 変形;分割;合併;粉砕;固化;液化 他の力学的要因が混入する場合 測定;力み;積み重ね;浮力;沈澱 知覚困難な物の出入りが関わる場合 気体;溶解;燃焼 習させるかである。三つの正ルールの学習の難易は,子 供たちにとって同じではない。細谷(1974)は,学習の 難易が異なる原因として,前件の操作可能性が命題間で 異なることを挙げる。そうだとすれば,命題の前件が操 作しやすいルールから,学習を始めなければならない。 三つの正ルールのうち,前件を操作しやすく, しかもそ の操作の結果生ずる後件の側の変化を確認しやすいの は,ルールlと2である。変化を伴う現象を支配するこ れらのルールの事例を扱う場合,子供たちは,
I
物の出 し入れ」と「重さの変化」を直接的に操作できる。しか し変化を伴わない現象を支配するルール3
の事例に対 して子供たちが直接操作で、きるのは,物体の形とか高さ のように「重さの変化」を規定しない属性であって,I
物 を出し入れしなし、」こと自体ではなし、。ルール lと 2を 学習させた上で,その理解を基にしてルール3
を学習さ せるとし、う手順を踏むことが,子供たちによる正ルール の獲得を確実にするだろう。 第二の観点は,問題の各型をどう系列化するかである。 法則は常に複数の事例を支配するが,同時に自然の事物 事象はすべて複数の法則の支配下にある。このことは必 然的に,特定法則の支配事例に,当該法則の支配が明確 な「理想事例」に近い事例と,当該法則の支配が不明確 な遠い事例とがあることをもたらす。特定科学法則の初 学者にとって,学習の当初から後者に当該法則を適用で きるものではなく,まず前者に適用し,そこでの適用結 果に基づいて法則の正しさを確かめ,その確かめを礎に して初めて,当該法則の後者への適用が可能になる(細 谷, 1970)。問題が,解決者の中で確かに解くべき「問 題」として位置づけられるためには,解決者の思考の枠 組みとの接点を持つことが必要であろう。そうだとすれ ば,二つのことを統ーして認識しうるためには,一方に ついての理解を基にして他方の理解を図る過程を踏むこ とが必要になろうし,学習の当初は,理想事例から遠い 事例は,学習者にとっての「問題」にもなりえない倶れ を多分に持つことにもなる。問題の各型を系列化する場 合,正ルールを適用しやすい型,言い換えれば,子供た ちが平行して処理しなければならない要因数が少なくて すむ,あるいは処理しやすい要因のみが関わっている「単 純」な型の学習を先行させることが,子供たちによる質 量保存則の広範な事例への適用を確かにする上で必要と なろう。 表lに掲げた型のなかで,固化型,溶解型,燃焼型は, 使用可能な時間の制約もあって授業では扱いえなかった が,扱うことにした型については,多量付加(+浮力・ 沈澱)→多量除去→少量除去 (+気体)→少量付加 (+ 気体)→変形(+粉砕)→分割→合併→液化(+浮力・ 気体)→積み重ね→測定→力み→少量除去・少量付加・ 沈澱(+台秤と天秤の使い分け)と系列化した。 付加型,除去型は,I
物の出入り」を直接操作しうる ノレール,1 2の支配下にあるので,最初に配置した。こ れらのうち,多量型は子供たちにとっても当たり前の問 題事態を扱っているが,少量型は既に述べたように必ず しもそうではないので,多量型を少量型に先行させた。 少量型に関しては,秤の感量との関係で天秤を扱う必要 が生じるので,一連の型を学習した後で,秤の使い分け にも焦点を当てる形で,再度扱うことにした。 変形,合併,分割,粉砕の各型で生じる変化は,程度 の差こそあれ,どれも形の変化にすぎない。しかし液 化型で生じる変化は,単なる形態上の変化ではなく,相 転移という見た目にも明瞭な物理的性質上の大変化(不 透明→透明,固い→さらさら等)を惹き起す変化であり, この見た目に鮮やかな性質上の変化の存在が,子供たち をより戸惑わせることになるだろう。 また,積み重ね,測定,力みの各型の場合は,物それ 自体の形や性質の変化だけではなく,状況や形の変化に 伴って力学上の変化(力の方向,作用線,加速度等の変 化)が生じる。この変化を子供たちが力学を学ぶ以前に 彼らなりに感じ取っていたり,実際にもこの変化が秤の 目盛りの変動を惹き起したりするがゆえに,この変化の 存在は,子供たちによる問題解決を他の型の場合以上に 困難にしよう。従って,これらの型に属する問題は,一 連の型の最後尾に配置することにした。 測定型,力み型が「単一物の重さの保存」を扱い,積 3) ここでの「理想事例」は,化学における理想気体, 理想溶液と同質の概念である。 ~IJ の言葉で置き換え れば,I
単純化を施されたモデ、ル」とでも表現できる (増田, 1973)。 4) この意味で今回の教材は,高橋の言う第四の課題と, 動力学場面での重さの保存をほとんどないし全く扱 っておらず,結果的には「重さの学習の第一歩」と でも表現すべきものとなっている。 4-み重ね型もほぼそれに準じているのに対し,浮力,沈澱 の両型は,力学的要因が混入する場合に含められるとい っても,I複数の物の重さの保存」を扱うことになる。 単一物に関する質量保存の認知は,複数の物に関するそ れを保証しないという竹内(1977)の報告を考慮すれば, 両者の扱いを異なったものにする必要が生じる。浮力型, 沈澱型については,物質系を閉じて他の型と独立に扱う ことができるが,系を聞いて付加型と組み合わせて扱う こともできる。本研究では,使用時間を短縮するためも あって,後者の形で扱うことにしてみた。 また気体型は,三態変化の場合を除けば,気体の出入 り、と係わってしまわざるを得ない側面を持つ。そこで本 研究では,場慣らし的意味を込めて,少量型および液化 型と組み合わせて扱うことにした。十分な時聞が確保さ れているならば,気体型は,既に述べた出入りする物が 見えないとしづ特徴のゆえに,今回の授業が終了した後 で,改めて扱われるべき型と見倣しえよう。 以上,本研究では,第一の課題として,表1の各問題 の型に対応して予想される誤ルールを,子供たちが実際 に既有しているか否かを確かめたし、。さらに第二の課題 として,誤ルールを正ルールに組み換える教材を構成・ 実践し, その教材の有効性の検討を通して,採用した発 問系列の適否,系列化のための原則「前件を操作可能な / レールから学習させる
J
,I理想事例に近い単純な型の学 習を先行させる」の適否を判断したい。子供たちが誤ルー ルを既有しているか否かの判断は,事前テストの正答率, 通過率がそれぞれ90%を超えるか否かの検討にくわえ, 事前テストにおける誤答の内容および授業中に為される 子供たちの発言の内容の吟味を通して行う。また,発問 系列の適否,系列化原則の適否の検討は,事後テストの 正答率,通過率が90%を超えるか否かで行うことにする。 方 法 学習者 熊本市近郊に位置するH小学校の4年生30名。 事前テスト 質量保存則に関連して子供たちが既有している誤ルー ルを明らかにするために,1986年10月16日に行った。 問 5) 正答率90%以上は仮説実験授業における学習完成 基準であり(板倉・上廻,1974),通過率90%以上 は完全習得学習における学習完成基準である(森川, 1979)。 題の概要は,次に示す通りである(問題の型と各発問の 対応については,付録1を参照のこと)。すべての問題 で,重さがどうなるかを問うている。なお,教材, 事前・事後テストを構成する個々の問題は,高橋(1972) を参考にして作成した。 Q 1 :ショー トケーキにいちごをのせる。 Q2 :パン をぺちゃんこにする。 Q3 :砂糖の山を崩す。 Q4 :積 木を3個横に並べたときと, 2個を横に並べ,その上に l個を載せたときと, 3個を積み重ねたとき。Q5 :ボー ル状の粘土に砂糖をまぶす。 Q6 :せんぺいを粉々にす る。 Q7 :水の入ったコ ップと木片を並べたときと,木 片を水に浮かべたとき。 Q8 :砂山に砂をふりかける。 Q 9 :泥団子をつぶす。 Q10:服を脱ぐ。 Q11:角砂糖 を積み重ねる。 Q12:コップのジュースを半分飲む。 Q 13:コ ップのカルピスに水 を 注ぐ (液量変化は1/5→ 5/5)0 Q 14:砂糖の山からスプーンで1杯砂糖を取る。 Q15 :コ ップの水を3個のコップに分ける。 Q16:コ ッ プの水を細長い容器に移す。 Q17:コ ップの水を幅広い 容器に移す。 Q18:水の入った3個のビニール袋を積み 重ねる。 Q19:泥水の泥が沈む。 教材・授業 子供たちの誤ルールを正ルールに組み換えるための教 材を,問題の項で述べた問題の型分けおよび発問系列に 従って構成した。既に述べたように,使用可能な時間が 限られていたので,表 l中の固化型,溶解型,燃焼型は, 教材では全く扱っていない。教材の概要と各発問の型は, 以下に示 す 通 り で あ る (問題の型と各発問の対応は,付 録2にも示す)。問16"-'18,20, 2,1 23,研究4を除く 全問題で重さがどうなるかを聞い,問16"-'18ではどれが 一番重し、かを問うた。問24"-'27は秤の使い分けに重点を 置いた問題で、ある。授業は, 1986年10月20日"-'11月 2日 に6
校時分を使って行った。授業では,研究問題を除く すべての問題で, 実験を子供たち自身に行わせた。 問1(多量付加):おはじきの山におはじきを10枚加え る。問2(多量付加):砂糖の山にスプーンで2杯砂糖を 加える。問3
(多量付加):コ ップの水にビーカーの水を 加える。問4(多量付加・浮力・沈澱):水の中に石をl個 入れるoきまり 1:物が入ってくると,重さは?問5(多量 除去):ボール状の粘土からスプーンでl杯粘土を取る。 問6(多量除去):おはじきの山からおはじきを6枚取る。 問7(多量除去):砂糖の山からスプーンでl杯砂糖を取 る。問8(少量除去):コ ップの水からスポイドで3回水 を取る。きまり 2:物が出ていくと,重さは? 研究1(少 量除去):小便をする。研究2
(少量除去・気体):おならを5
-する。研究3(少量付加):物を食べる。研究4(少量付加・ 少量除去・気体):体重が毎日それ程変化しないのは,どう してか。問
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(変形):せんべい状の粘土を丸める。間 lO(変形・粉砕):粘土をいろんな形にしてみよう。問 II(変形):片栗粉を山に盛り上げる。問l2(分割):片栗粉 の山を三分する。問13(変形):コ ップの水を別のコ ップ に移す。問14(合併):三つのビニール袋に入った水を,一 つの大きなビニール袋に移す。問15(液化・気体):湯に氷 を入れ,それが融ける。問16(積み重ね):並んで体重を量 ったときと,おんぶしたとき。問17(測定):上衣を着たと きと,手に持ったときと,下に置いたとき。問18(力み): 両足で立ったときと,片足で立ったときと,力を入れて踏 ん張ったとき。きまり3
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物が出ていったり,入ったりし なければ,重さは?問19(少量除去):砂糖の山から薬用匙 でl杯砂糖を取る。問20(秤の使い分け):台秤で問19は 確かめられるか。O
直 接 比 較 に よ る 天 秤 の 使 い 方 。 問 21 (少量除去・天秤の使い方):左の皿から薬用匙でl杯砂 糖を取ったら,天秤はどうなるか。問22(少量付加・沈澱・ 天秤の使い方):コ ップの水に薬用匙で l杯砂糖を加え る。O
極地方式研究会の指導法(高橋,1980)による分銅を 用いた天秤の使い方。問23:分銅を使って問19,22を確か めよう。問24(天秤の使い方・変形):アルミ箔を丸める。 問25(秤の使い分け・少量除去):おはじきの山からおはじ きをl枚取る。問26(秤の使い分け・分割):コ ップの水を 三つのコ ップに分ける。問27(秤の使い分け・少量付加): コップの水にスポイドで l滴水を加える。 事後テス卜 子供たちが正ル ルを獲得しえたか否かを判定するた めに, 1986年11月4日 (P 1 '"'-'P 18)と12月 5日 (P19 '"'-'P 37) の2回に分けて行った。問題の概要は,以下に 示す通りである(問題の型と各発問の対応については, 付録3を参照のこと)。すべての問題で重さがどうなる かを聞い,数値の入った問題で、は当該数値より重くなる か軽くなるかを問うた。 P 1 :大きく重い本の上に薄い紙を1枚乗せる。 P 2 :氷が融ける。 P3 : 103gの雪を丸める。 P4:コ ップの油を瓶に移す。 P5 : 1円玉の山から l円玉をl 枚取る。 P6:100gの角砂糖を粉々にする。 P7:団 子に砂糖をまぶす。 P8:こけしを横にする。 P9:コ ッフ。からスポイドで1滴水を取る。 P10 :ょうかんを四 つに切る。 P11:150gの砂を山に盛り上げる。 P12 : 瓶のジュースを3個のコ ップに移す。 P13 :積木を積み 重ねて家を造る。 P14:水の入ったビーカ-100gと生 きている魚60gを並べたときと,魚を水の中に入れたと き。 P15:かつらを取る。 P16 :スポンジに水を掛ける。 P 17: 130gの水の入ったコップを秤の右端に乗せる。 P 18: 3個のコ ップに入っている水を瓶に移す。 P19: 本に突を挟む。P20:瓶の醤油を 3個の醤油入れに移す。 P21 :みかんを四分する。 P22:おにぎりにふりかけを まぶす。 P23:砂山を四分する。 P24:四つの砂山を一 つの砂山にする。 P25:たくわんの両端が秤からはみ出 す。 P26 = P 4 0 P 27:髭を剃る。 P28 = P 9 0 P 29= P 30 P 30:粘土の塊を秤の左端に動かす。 P31: 3個 のコ ップに入っているジュースを瓶に移す。 P32:体重 30kgの太郎が小便をする。 P33= P 130 P 34 :水の入っ たコ ップと魚形の醤油入れを並べたときと,醤油入れを 水に浮かべたとき。 P35:風船を脹らませる。 P36:泥 水の泥が沈む。 P37=P 2。 結 果 事前テス卜の正答率・通過率 事前テストの結果を図1,表 2に示す。正答率90%を 超えた者は5名,通過率90%を超えた問題は 2問である。 事前テストの誤答 誤答の記述では,重くなるを「重J
,軽くなるを「軽J
, 変わらないを「不変」と表わす。また,変形型での誤答 の中には,積み重ね型での誤答と一貫するものがあるの で,誤答及び誤答者の扱いは以下による。 Q2・3で積み 重ね型と一貫した誤答を示し, Q16・17で正答した 3名 は,変形型での誤答者には含めなし、。 Q2・3か Q16・17の 一方で積み重ね型と一貫した誤答を示し,他方でも誤答 した4名は,変形型の誤答者に含める。ただしこの4 名の誤答のうち,積み重ね型と一貫する方の2聞は,変 形型では考慮に入れない。 事前テストにおいて,問題の型の範囲内で各型に属す る全聞を正答した者は,多量型で27名,少量型で14名, 変形型で15名,粉砕型で13名,積み重ね型で14名である。 型内の全聞を誤答した者は,多量型でl名,少量型で0, 変形型で4名,粉砕型で8名,積み重ね型で8名である。 少量型での誤答者14名のうち, 12名の誤答はすべて「不 変」であり, 1名の誤答も, Q 5で「軽」以外,すべて 「不変」である。残り l名の誤答は, 1"軽」と「不変」が 混在しさらに多量型でも,付加型で「軽」と誤答し, 除去型で無答している。 変形型で誤答した13名のうち, 1"重」とのみ誤答した 者が6
名, 1"軽」のみが6
名,両者の混在が 1名である。 分割型での誤答者9名のうち, 1"重」と誤答した者が5 6-名, 1"軽」が4名である。粉砕型では,誤答者15名のう ち, 1"軽」とのみ誤答した者が 11名, 1"重」のみが 2名, 両者の混在が2名である。 積み重ね型の誤答者14名のうち, 11名は「重」とのみ 誤答し,そのうち
5
名は,Q
2
,3
でも「軽」と,積み 重ね型の場合と一貫した誤答を示しさらに他のl名は, Q 16, 17でも「高さが高いと重く,低いと軽L、」という, これまた一貫性のある誤答を示している。誤答者14名の うちl名は逆に, 3問共に「軽」と誤答し, Q3でも「重」 と一貫性のある誤答をしている。残り2
名は, 1"重」と 「軽」が混在している。浮力型での誤答者15名のうち,1"軽」 と誤答した者は5名である。「重」と誤答した者が10名 いるが,このうち 6名は「物の出入りがある場合」の全 問 で 正 答 し そ の 他2名もQ
5 (典型的な少量型)を除 く全問で正答しでいる。沈殿型の誤答者は 11名だが,1"重」 事前テスト 事後テスト o O -49%E
翠翠50-79% ~80-89%E
コ
90-99鉱 区EJ 1005ぢ 図1 テストの正答率(%) 欄内の数値は人数を示す。事後テストのみ被験 した者の成績は,80%台,90%台が各々1名である。 と誤答した者が7
名, 1"軽」が4
名である。 授業中の子供たちの発言 授業は 6時間を通して円滑に進み,子供たち同土の討 論も活発に為されたが,ここでは,子供たちの発言のう ち,彼らの判断の根拠を推測するのに役立つ,典型的か っ必要最小限の発言のみに限って記載する。なお,ほと んどの子供が実験に積極的に取り組んだが, 1名だけ実 表3
事後テストの通過率(労) 少量付加 P 1 = 93; P 7 = 97; P 16= 97; P19= 97: P22=100 少量除去 P 5 = 97; P 9 = 97; P 15= 97; P27=100; P28= 93; P32= 97 変 形 P3 = 97; P 4 = 100; P 11= 100 ; P26= 93: P29=100 分 割 P10= 97; P 12= 100 ; P 20= 100; P 21= 100; P 23= 97 合 併 P18= 100 ; P 24= 97; P 31= 100 粉 砕 P6= 97 液 化 P2 = 93; P 37= 93 測 定 P17= 97; P 25= 90; P 30 = 97 積み重ね P 8 = 100; P 13= 97; P 33= 93 浮 力 P14= 97; P34= 83 沈 澱 P36=97 気 体 P35=80 表2 事 前 テ ス ト の 誤 答 と 通 過 率 ( % ) 学 習 者I
A
B C D E F G H 1
J
K L
M N
~P
QR S
T U V W X Y
ZαsI
労 多量付加1Q13 1軽 1 96 多量除去i
Q12 1 ? 1 96 Q 1 1軽 不 不 不 1 86 少量付加I
Q 51軽 軽 不 不 不 不 不 不 不 不 不 不I
57 Q 8 1 不 不 不 不 不 不 1 79 1 Q10 1 不 不 不 1 89 少量除去 1:~~ 1 ~ _ : _ ~ ~ │Q141不 不 不 不 1 86 Q 2 1 重 軽 軽 重 軽 重 軽 軽 軽 1 68Q
3
1軽 軽 軽 重 軽 軽 1 79 変 形 :_: 1 - : ~_ ~ : : T~ =---_ -: T~ =- T~ =-Q161軽 重 軽 重 重 軽 重 重 171 Q17 I軽 軽 軽 重 重 重 軽 軽 重 重 I 64 分 割I
Q15I
軽 重 重 軽 重 重 軽 軽 重I
68 1 Q 6 1軽 軽 重 軽 軽 軽 重 軽 軽 軽 1 64 粉 砕 :=
1 _:: ~_ _::=
:
:
_
,~ ~ ::=
~ ,~ :: :: ~ ~ │Q 9I
軽 重 軽 軽 軽 軽 軽 重 軽 軽 重 軽 軽I
54 1 Q 4 1皿 目 目 目 目 品 品 凹 品 目 目 目 1 57 積み重ね1Q11 1軽 重 重 重 重 重 重 重 軽 軽 重 1 61 Q181重 重 重 重 重 重 重 重 軽 重 重 重 1 57 浮 力1Q 7 1重 軽 重 軽 重 軽 重 重 重 重 軽 重 重 重 軽 1 46 沈 澱I
Q19I
重 軽 軽 軽 重 重 重 重 重 重 軽I
61 空欄:正答 軽:軽くなる 重:重くなる 不:変らない 田:横に3個並べる 目 : 縦 に3個積み重ねる 品:下に2個並べ,その上に 1個載せる?
:無答 7-験にあまり関心を示さない子供がし、た。 問1(多量付加):10個もあったから。問 4(多量付加・浮 力・沈澱):軽石かな?/人間みたし、に浮くもんね。/水に 入れたら,少し石は軽くなるから。/そのぐらいの石が入 ったら,30gはある。問5(多量除去):少しぐらい減って も,重さは変わらない。問6(多量除去): 6個も取るんだ から,軽くなる。研究
2
(少量除去・気体):絶対変わらんと 思った。問13(変形):わからんよ一。別のコ ップ重いかも しれん。問14(合併):袋ん重さは同じですね?問15(液化・ 気体):氷の融けた後を,氷を入れる前と比べるのか,入れ てしまった後と比べるのかということで,子供たちがも めた。問16(積み重ね):でも,体重がかかっとる!問17(測 定):上着,はみ出とっけん。/はみ出た分,軽くなると思 ¥'¥iす。問18(力み):力,もっと入れてみろ。問19・20(少量 除去): 1杯だからi変わらなし、。問22(少量付加・沈澱):混 ぜなかった。いいの?/沈まないってことある? 事後テス卜の正答率・通過率・誤答 事後テストの結果を図1,表3に示す。 30名中27名が 90%以上の正答率を示し, うち17名は100%正答してい る。残り 3名のうち 2名も, 80%台の正答率を示す。極 端に低い正答率を示した者は, 1名だけである。 90%以 上の通過率を示す問題も37問中35聞にのぼっており,他 の2問も 80%台の通過率を示している。通過率が80%台 に留まった2問の誤答については, P 34(浮力型)の誤 答者5名のうち, 4名は「重j,1名は「軽」であり, P 35(気体型)の誤答者6名のうち, 4名は「不変j, 2名は「軽」である。考
察
子供たちの既有する誤ルールについて 事前テストで,各々の問題の型内に限ってみた場合, 全問正答者数が最低の型でも13名いることは,授業前の 時点でも,子供たちの中に「物の出入りの有無」と「重 さの変化の有無」とを正しく結び、付けたルールが,存在 していることを意味する。しかし,事前テスト全体でみ た場合,正答率90%を超える子供,通過率90%を超える 問題がともに極めて少ないことは,子供たちの持つ正し いルールが,すべての問題の型に対し一貫して適用され うるほどに強固なものではないことを意味する。正答率 90%以上の5名を除けば,子供の中には,正しいルール とともに様々な誤ルールも同時に存在していることが, 誤答の様相と授業中の発言とから,かなり明確に推測さ れうる。一貫性のない誤答を示す子供もごく少数存在す るが,大部分の子供の場合,子供によって誤ルールの中 身や数に違いはあっても,問題の型に応じて,正しいルー ルが判断の基準として用いられたり,誤ルールが用いら れたりしているのだと考えられる。 また,すべての問題の型に関して個々の誤答者の誤答 の様相が一定のパターンを呈していることからすれば, 各問題の型内で一部の問題に正答した者が少なからずい ることも,誤ルールの存在自体を否定しえない。通常は その問題の型に対しては当該する誤ノレールに基づいて判 断が為されるが,問題によっては,正答が既知,物の量 感が明確(たとえば「砂は重いj) 等の他の条件の関与 によって,例外的に正しい解決に結果することがあると 考えるべきであろう。 少量型の誤答がほとんどすべて「不変」であり,しか もこの型での誤答者のうちl名を除く全員が多量型で全 問正答していることからすれば,誤答した子供の多くは, 予め推測していたように, 1"出入りの量が多ければ重さ は変わるが,出入りの量が少しだけなら重さは変わらな し、」と表現できる誤ルールを持っていると考えられる。 授業中の子供たちの発言も,この誤ルールの存在を裏付 ける。多量型の問1, 4, 6では,重さが変化する理由 として出入りする量の多さを挙げているのに対し,少量 型の問5や問19・20では,量の少なさを理由に重さは変 化しないと判断しているのである。 変形型についても, 1"重」のみ, 1"軽」のみの誤答者が 各々まとまった数存在していることを考えれば, 1"形が 変われば重くなる(or軽くなる)j という誤ルールの存 在が考えられる。粉砕型については,誤答者15名のうち 11名までが「軽」のみと誤答していることからすれば, 誤答者の多くが「粉になれば軽くなる」と表現できる誤 /レールを持っていると考えてよいであろう。分割型につ いては, 1問のみの出題なので確かなことは言いえない が,通過率の低さと, 1"重」と「軽」がほぼ半々に別れ ていることとを考えれば, 1"分割されれば重くなる(or 軽くなる)
j
という誤ルールは存在しそうに思われる。 積み重ね型の誤答者14名のうち11名までが,一貫して 6) 子供たちの内部で、ルールの組み換えが生じたことを 比較的よく推測できる発言については,その一部を 付録4に示すので,参照されたい。 7) 多量型に属する問題の正答は,少量型の誤ノレールか らもたらされる可能性も存在する。しかし特定の 型内の問題には全問正答していても,他の型の問題 では誤答してしまう子供が少なからずいること,な らびに多量型以外の型に属する問題の正答は誤ノレー ルからはもたらされえないことを考慮に入れれば, 誤ルールのみではなく正ルールも子供の内部に既存 していると考九ざるをえない。 - 8-「重」と誤答し,しかもその中の5名が変形型の Q 2,
3
でも「軽」と誤答し,さらに他のl名が同じく変形型 のQ16, 17でも「高→重,低→軽」と誤答していること, 授業中間16で「でも,体重がかかっとる !jと発言した 子供がし、たことからすれば,これらの子供たちは,I
高 さが高いほど重くなる」と表現できる誤ルールを持って いると考えられる。これとは逆に, 1名の誤答者は,一 貫して「軽」と誤答し, Q 3でも「重」と誤答している ことからすれば,I
支持面積が大きいほど重くなる」と 表現できる誤ルールを持っていると考えてよいだろう。 浮力型で「重」と誤答した10名のうち, 6名までが「物 の出入りがある場合」の全聞に正答し, 他の2名がQ5 を除く全問で正答していることからすれば,この誤答の 原因は,この子供たちがQ7の意味を付加型と取り違え たことにある(系の範囲の同定の失敗)と考えられる。 浮力型でのもう一つの誤答は,I
軽」である。日常用 語としての「重さ」は,通常「物自体の量」を表わす言 葉として使われており,I
重さは物本来の量を表わして いる」とし、う認識が子供の中に全く成立していないとは 考えがたいこと,しかし同時に日常用語としての「重さ」 は質量と重力の区別がついていない未分化な概念である こと,当該する子供たちが「浮力」概念の体系的学習を まだ行っていないこと,Q
7
が,木片だけの重きではな く ,I
コップ+水+木片」の重さを問題にしていること からすれば,この誤答の原因は,子供たちが「木片本来 の重さは変わっていないが,浮力のせいで見かけ上軽く なった」と考えた可能性よりは,I
木片が本来持ってい た重さ自体がなくなった」と考えた可能性の方が大きし、。 授業中間4で,重くならない理由として子供たちが挙げ ている 「人間みたいに浮くj,I水に入れたら,少し石は 軽くなる」にも,同じことが言えるだろう。「軽」とい う誤答や授業中の発言の背景に,I
水の中に入れれば, 物本来の重さ自体が(一部)なくなる」と表現できる誤 /レールが存在する,と推定してよい可能性が大である。 沈殿型の問題は l問だけだが,授業中,問22で「沈ま ないってことある?jと発言した子供がし、ることも考え れば,子供たちが「下に沈めば重さが変わる」と考えて いる可能性はある。 なお,授業中為されている,研究2での「絶対変わら んと思ったj,問17での 「上着,はみ出とっけんj,Iは み出た分,軽くなると思いますj,問18での「力,もっ と入れてみろj,問22での「混ぜ、なかった。いいの?j といった 子 供 た ち の 発 言 は , 既 に 一 部 言 及 し た 高 橋 (1972),板倉・上廻(1974),新田・永野(1966),さら には八巻(1978)の報告と一致する。このことは,事前 テストでは直接扱っていない気体型,測定型,力み型, 溶解型についても,それぞれ 「気体が出入りしても重さ は変わらないj,I
秤からはみ出せば軽くなる (or重く なる)j,I
力を入れれば重くなるj,I
溶けるのと溶けな いのとでは重さも変わってくる」といった誤ルールが存 在することの傍証になるであろう。 全く出題されなかった型や, 1問しか出題されなかっ た型が存在するといった研究計画上の不手際も与かつ て,表lに掲げたすべての型について誤ルールが存在す ることを確実に確認できたわけで、はないが,得られた'情 報に基づく限り,問題の項で予想した誤ルーノレは,その ほとんど、が子供たちに既有されていると考えておいてよ いだろう。ただし,各問題の型内の事例に対して誤ルー ルが一貫して適用されていること自体は否定されない が,次の2点が新たに指摘されるべきであろう。第一に, 様々な誤ルーノレのうち,ど‘の誤ルールが既有されている かは,子供によって異なり,多くの子供においては,正 しいルールと様々な誤ルーノレとが共存し,問題の型に応 じて, 一判断の基準が正しいルールになったり,誤ルール になったりしている。第二に,一つの型に属していても, 問題によっては,問題に固有の条件(子供にとって正答 が既知,子供にとって物の量感が明瞭等)によって,例 外的に正答が可能になることがある。 子供たちによる正ルールの獲得と教材の有効性について 事前テストの時点では,正答率90%を超える子供,通 過率90%を超える問題がともに極めて少ないが,授業後 は,ほとんどの子供が様々な問題事態で正しい解決を行 っている。「どんな小さな物にも重さがある」という重 要な認識も,I
どんなに少しでも物が出れば軽くなるし, 入ってくれば重くなる」という,判断に使用可能な形で 獲得されたと判断できる。既に述べたように,授業前に は「出入りの量が多ければ重さは変わるが,出入りの量 が少しだけなら重さは変わらなし、」という誤ルーノレが存 在し,事前テストで通過率90%に達した少量型の問題は l題もないし,授業中もこの誤ノレールに基づく発言がか なり後まで存在し続ける。しかし事後テストでは,少量 型に属するすべての問題が90%以上の通過率を示してい る。 事後テストの好成績からすれば,今回の教材における 発問系列「多量付加(十浮力・沈澱)→多量除去→少量 除去(+気体)→少量付加(+気体)→変形(+粉砕) →分割→合併→液化 (+浮力・気体)→積み重ね→測定 →力み→少量除去・少量付加・沈澱 (+台秤と天秤の使 し、分け )jは妥当だったと判断してよいだろうし,それゆえに,発問の系列化のための原則「前件を操作可能な ノレールから学習させるj,
I
理想事例に近い単純な型の学 習を先行させる」の妥当性も支持されたと,取り敢えず は考えておいてよいだろう。 しかし,今回の教材が完壁でないことは,正答率が9
0
%に達しなかった子供が3
名いること,通過率が90%
に 達しなかった問題が2問あることから,明らかである。 正答率90%
未満の3
名のうち,正答率が極端に低かった 子供はl名だけだが,この子供は班別に行った実験に加 わらなかったことが,授業中に観察されている。このこ とは,個々の実験を自分の手で行うことが,子供たちに よるルールの獲得にとって絶対に必要であることを示唆 しよう。しかしただ実験をさせさえすればよいわけで はない。適切な問題の型分けに基づく発問の作成を行い, 一連の問題を解決させる中で,様々な事実を子供たち自 身に経験させることが,誤ルールに対する子供たちの信 頼を消し,正しいルールに対する信頼を強化することに とって,重要な役割を果たす。このことは,P
3
4
(浮力 型),P
3
5
(気体型)の通過率が80%
台に留まったこと によっても,裏付けられる。 今回の教材では,浮力型,気体型を,少量型や液化型 と組み合わせて扱うとし、う措置を取ったが,この2問の 通過率が80%
台だったことは,この措置が,時間の節約 には通じても,浮力型,気体型への質量保存則の適用を 十分には保証しないことを意味する。P35
の誤答の内容は,誤答した子供たちが「気体には 重さはないj,I
気体には軽さがある」と考えているらし いことを示す。少量型の問題で高い通過率が達成されて し、ることからすれば,国体や液体に対してルールを適用 できるようになることは,気体にルールを適用できるよ うになることまでを無条件には保証しないし,その原因 は,I
気体も物である」という認識が欠落していること にあると考えられる。今回の授業で,気体型を他の型と 独立させて扱った上で,気体型についての実験を実際に させておけば,I
気体も物である」とし、う認識も,ある 程度獲得させえたのではないかと思われる。授業で独立 に扱いもし,実験もふんだんにさせた固体,液体につい ては,例えば問1
3
での「わからんよー。別のコップ重い かもしれん」とか,問1
4
での「袋ん重さは同じですね?j とかのように,自ら問題を創造するところまで、子供たち の理解が進んでいるのに対し,気体の除去も関わってく る問1
5
では,子供たちの方からはついに,I
湯気(厳密 には気体ではないが)の分だけ軽くなる」とし、う意見は 出てこなかったので、ある。 また,浮力型のP34
で誤答した5
名のうち4
名までが 「重」と反応した事実は,これらの子供たちが,系がど の範囲で閉じているかとしヴ問題を,充分に解決できる ようになってはし、ないことを意味する。筆者としては, 系の範囲を定める必要性を意識させるために,問1
3
-
-
-
-
-1
5
,1
7
を教材に用意していたが,結果的には,この必要性に ついての明確な問い掛けは,必ずしも為されなかったと いえる。このことが,授業中間1
5
で系の範囲に関する混 乱を惹き起すことに通じたとも考えられる。 系の範囲を定める必要性を意識させられなかった原因 は,これを意識させるための問題(問1
3
-
-
-
-
-
1
5
,1
7
)
と, 付加型と組み合わせて扱った浮力型,沈澱型の問題(問 4, 22)との繋がりを付けることが,欠落していたから だと思われる。系の範囲を定めることが必要となるのは, 「複数の物の重さの保存」を扱う浮力型,沈澱型に関し てこそだのに,これが別々に扱われてしまったで、ある。 そうだとすれば,子供たちに対して,系範囲同定の必要 性を明確に問い掛けるためには,浮力型,沈澱型の扱い において,系の閉じた状態で系の範囲を同定させる問題 をまず解決させた上で,系の聞いた問題を扱うという手 順が必要となろう。すなわち今回の教材では,事後テス トのP1
4
,3
4
のような系の閉じた問題を他の型と独立に 扱った後で,付加型と組み合わせた問題を扱うべきだっ たので、ある。 以上,第二の課題に関しては,事後テストの結果に基 づく限り,今回の教材で採用された発問系列は概ね妥当 だったと判断しうるし,発問の系列化のための二原則の 妥当性も取り敢えず支持されたと判断してよい。ただし ここでも,広範な事例に万遍なく質量保存則を適用でき るようにさせるためには,各問題の型に対応する様々な 事実を子供たち自身に体験させることと,物質系の範囲 の同定と浮力,沈澱型とを結び付ける措置を講ずること とが必要である旨,指摘されなければならない。文
献
知久馬義朗1
9
9
0
児童の角度概念 熊本大学教育学部 紀要(人文科学),3
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,3
3
5
-
3
5
1
細谷純1
9
6
8
理 科 教 材 の 構 造 と そ の 構 成 波 多 野 完 治 他 ( 編 ) 教 科 の 論 理 と 心 理 ・ 理 科 編 明 治 図 書p
p
.
5
2
-
9
6
細谷純1
9
7
0
教育目標の分析と評価 児童心理,2
4
,4
2
5
-
4
3
2
細谷純1
9
7
4
教授者の工作的課題としての「問題解決」 とストラテジー構成における心理学的要因 電気四学 会連合大会発表資料-
10-細谷純
1
9
7
6
課題解決のストラテジー 藤永保(編) 思 考 心 理 学 大 日 本 図書p
p
.
1
3
6
-
1
5
6
細谷純1
9
8
3
プログラミングのための諸条件 東洋他 (企 ) 学 習 と 環 境 小 学 館p
p
.
2
9
9
-
3
8
8
板倉聖宣・江沢洋1
9
6
4
物理学入門 国土社 板倉聖宣・上廻昭1
9
7
4
仮説実験授業入門 明治図書 増田幸夫1
9
7
3
理想ベんたとま(編)パンドラの箱・ 下 共 立 出 版p
p
.
1
3
3
-
1
4
6
森川久雄1
9
7
9
理科教育の理論と構造 学習研究社 新田倫義・永野重史1
9
6
6
児童・生徒における「重さ」 概念の実態 国立教育研究所紀要,第4
7
集 高橋金三郎1
9
7
2
理科わかる教え方4
年 国土社 高橋金三郎1
9
7
4
極地方式による授業の研究 評論社 高橋金三郎1
9
8
0
新版理科わかる教え方4
年 国土社 高橋金三郎1
9
8
8
I
もの」で自然を考える 理科教室,3
1
(
1
4
)
,1
6
-
2
3
竹 内 誠1
9
7
7 I
重さ」について 極地方式研究会誌,8
(
2
)
,7
-
1
0
立木徹1
9
8
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実験装置の大きさの違いが法則学習に及 ぼす効果 東北教育心理学研究,1,1
1
-
1
7
八巻克巳1
9
7
8
気体とその重さ 極地方式研究会誌,8
(
4
)
,4
0
-
4
1
付記:この研究で計画された授業の実施は,永江和代氏 (熊本県公立学校教諭)によった。この場を借りて, 謝意を表したい。 付 録 1 問題の型と発問との対応(事前テス卜) 多量付加Q13
:コ ップのカルピスに水を注ぐ (1/
5
→5
/
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)
。 多量除去 Q1
2
:コ ップのジュースを半分飲む。 少量付加 Q 1 :ショートケーキにいちごをのせる。 Q 5 :ボール状の粘土に砂糖をまぶす。 Q 8 :砂山に砂をふりかける。 少量除去Q10
:服を脱ぐ。Q14
:砂糖の山からスプーンでl杯砂糖を取る。 変形 Q 2 :パンをぺちゃんこにする。 Q 3 :砂糖の山を崩す。Q16
:コ ップの水を細長い容器に移す。Q17
:コ ップの水を幅広い容器に移す。 分割Q15
:コ ップの水を3
個のコップに分ける。 粉 砕 Q 6 :せんぺいを粉々にする。 Q 9 :泥団子をつぶす。 積み重ね Q 4 :積木を 3個横に並べるvs2個を横に並べ,その 上にl個を載せる vs3個を積み重ねる。 Qll:角砂糖を積み重ねる。Q18
:水の入った3
個のビニール袋を積み重ねる。 浮力Q7
:水の入ったコ ップと木片を並べるvs木片を水に 浮かべる。 沈澱Q19
:泥水の泥が沈む。 2 問題の型と発問の対応(教材) *印の付いた問題は,複数の型にまたがる問題である。 多量付加 問1
:おはじきの山におはじきを1
0
枚加える。 問2:砂糖の山にスプーンで2杯砂糖を加える。 問3:コップの水にビーカーの水を加える。 問4噂:水の中に石をl個入れる。 多量除去 問5:ポール状の粘土からスプーンでl杯粘土を取 る。 問6:おはじきの山からおはじきを6枚取る。 問7:砂糖の山からスプーンでl杯砂糖を取る。 少量付加 研究3:物を食べる。 研究4ホ:体重が毎日それ程変化しない理由。 問22場:コ ップの水に薬用匙で1杯砂糖を加える。 問2
7
事:コップの水にスポイドで l滴水を加える。 少量除去 問8 :コ ップの水からスポイドで3回水を取る。 研究1:小便をする。 研究2事:おならをする。 研究4
* 体重が毎日それ程変化しない理由。 問1
9
:砂糖の山から薬用匙で1
杯砂糖を取る。 問2
1
本:左の皿から薬用匙で1
杯砂糖を取ったら,天 秤はどうなるか。 問2
5
市:おはじきの山からおはじきをl枚取る。 変形 問9:せんぺい状の粘土を丸める。-11-問10* :粘土をいろんな形にしてみよう。 問11:片栗粉を山に盛り上げる。 問13:コ ップの水を別のコ ップに移す。 問24ホ:アルミ箔を丸める。 分 割 問12:片栗粉の山を三分する。 問26事:コップの水を三つのコップに分ける。 合 併 問14:三つのビニール袋に入った水を,一つの大きな ビニール袋に移す。 粉 砕 問10* :粘土をいろんな形にしてみよう。 液化 問15事:湯に氷を入れ,それが融ける。 測定 問17:上衣を着る
v
s
手に持つv
s
下 に 置く。 力み 問18:両足で、立つv
s
片足で、立つv
s
力 を 入 れ て 踏 ん 張 る。 積み重ね 問16:並んで、体重を量るv
s
おんぶする。 浮力 問4本:水の中に石をl個入れる。 沈 澱 問4* 水 の中に石をl個入れる。 問22本:コップの水に薬用匙で1杯砂糖を加える。 気体 研 究2市:おならをする。 研 究4事:体重が毎日それ程変化しない理由。 問15* :湯に氷を入れ,それが融ける。 3 問題の型と発問の対応(事後テス卜) 少量付加 P 1 :大きく重い本の上に薄い紙を1枚乗せる。 P7:団子に砂糖をまぶす。P
16:スポンジに水を掛ける。 P 19:本に突を挟む。 P22 :おにぎりにふりかけをまぶす。 少量除去 P 5 : 1円玉の山から l円玉をl枚取る。 P 9 = P28 :コ ップからスポイドでl滴水を取る。 P 15 :かつらを取る。 P27 :髭を剃る。 P32 :体重30kgの太郎が小便をする。 変 形 P 3 = P 29: 103gの雪を丸める。 P 4 = P26 :コップの油を瓶に移す。 P 11 : 150gの砂を山に盛り上げる。 分 割 P 10:ょうかんを四つに切る。 P 12:瓶のジュースを3個のコ ップに移す。 P20 :瓶の醤油を3個の醤油入れに移す。 P21 :みかんを四分する。 P23 :砂山を四分する。 合 併 P 18:3個のコップに入っている水を瓶に移す。 P24 :四つの砂山を一つの砂山にする。 P 31 : 3個 の コ ッ プ に 入 っ て い る ジ ュ ー ス を 瓶 に 移 す。 粉 砕 P 6 : 100gの角砂糖を粉々にする。 液化 P 2 = P37 :氷が融ける。 測 定 P17: 130gの水の入ったコップを秤の右端に乗せる。 P25 :たくわんの両端が秤からはみ出す。 P30 :粘土の塊を秤の左端に動かす。 積み重ね P8:こけしを横にする。 P 13= P33 :積木を積み重ねて家を造る。 浮力 P 14:水の入ったビーカー100gと生きている魚60g を並べるv
s
魚を水の中に入れる。 P34 :水の入ったコップと魚形の醤油入れを並べるv
s
醤油入れを水に浮かべる。 沈 澱 P36 :泥水の泥が沈む。 気体 P35 :風船を脹らませる。 4 授業中の子供たちの発言(補遺) 問4
:あ! 重くなった。 /初めて知った。 /ああ,間 違えとった。問5:ほんの少しでも取ったら,減ると思 し、ます。問8:あー,変わった,変わった !/軽くなっ た。研究1:だって,水分が出るから。研究2:じゃ, 息をはし、ても?/ゲップしでも?/なら,体重測定のと き,息をいっぱい吸っとこ。 /うんこしても,軽くなっ とかな?/軽くなったい。研究3:食べた分,増えるか ら。研究4 汗を出す。 /息も。 /うんこも。問9:一 番最初に,加えると重くなるって言ったから,それは加 -12-えていないし軽くなるのは,減らしたら軽くなると, 勉強してきたんだから,別に丸めただけじゃ,変わらな し、。問11:形を変えただけだん。問12:これは,せんち ゃ,わかる。 /出たり入ったりしないから。問13: 1滴 こぼした。 /変 わ る ね ? 問14:あっ,空気は重さがあ る。抜かんといかん。 /袋に水がついている。/だから, 減ったじゃないか。 /な,これもこれも一緒に量ってみ ろ。/同じ重さだ。 /やっぱりな。問15:入れた氷とお, 融けた氷のお,水の重さは一緒だから。問16:えっと, 物が入ったり,出たりしないから。 /ただ形が変わった だけだから。問17:何も出たり入ったりしていなし、から。 問18:やっぱり,さっきみたいに,物が出たり入ったり しないから,同じだと思います。問19
・
20:軽くなると きゃ,軽くなるんだ!/出ていったからね。間22:物が 入ってきたから。 間24:入ったり出たりしていないか ら。 /ただ丸めただけだから。問25:物が出ていったか らです。問26:その皿から物が出ていったり,入ったり しないから,変わらなし、。問27:入ってきたから。 -13-Children's False-rules about “Conservation of Weight" and Conversion of them into the Correct Rules
Y oshiro CHIKUMA In this research, the author constructed the teaching-learning materials to have children acquire the rules about“conservation of weight". Children's false-rules are expected to cause their failures in a rule learning. The teacher's attempt to input the rules to them regardless of their false-rules would, therefore, lead only to failure. When children acquire the rules, it is required that they are convinced of the infelicity of their false-rules. In con -structingthe materials, the author categorized the problems into some types corresponding to the different cases in which the children's false-rules are apt to be generated. As the result of classwork, almost all children colud solve thevariousproblems about “conservation of weight
ぺ
whereasthey had various false-rules at pre-test time. The results suggest the importance of children'sexperiencewith various facts, which the teachershouldselect from eachof the adequately categorized types of problems.Key-words: classwork study, false-rule, conservation ofweight