第3学年○組国語科学習指導案 1 単元 伝統文化に親しむ 『万葉・古今・新古今』 2 指導観 教材文「伝統文化に親しむ『万葉・古今・新古今』」では、三大和歌集の特徴や和歌の表現技法などを学び、 「秋の歌」「恋の歌」について読み取ること、百人一首のライブラリーナビを作るとことを通して、和歌の中の 言葉、表現の工夫、歴史的背景、作者の立場や自分の体験を挙げて、和歌を読み取り和歌に親しむことをねら いとしている。「万葉集」「古今和歌集」「新古今和歌集」という三大和歌集は、奈良・平安・鎌倉時代に詠まれ たものである。「万葉集」は、自然や人間に対する愛情を素直でおおらかに歌いあげ、「古今和歌集」は、四季 の風物や人間の愛情を機知に富んだ表現で優しく細やかに歌い、「新古今和歌集」は、華やかで技巧に優れたも のがある一方でしめやかで内省的なものである。同じ和歌という形式ではあるが、それぞれの時代を反映し特 徴が異なる。千年以上も前に詠まれた歌であるが今日まで親しまれているのは、現代にも通じる自然に感動す る心や人を愛する心など普遍的なものを表現しているからである。 和歌に込められた思いを読み取り、和歌に親しませるため「後輩におすすめの百人一首を紹介しよう~ライ ブラリーナビの作成~」という活動を設定している。ライブラリーナビは、1・2年生の後輩たちに百人一首 のよさを伝えるために作成するものである。ライブラリーナビには和歌の中の言葉、表現の工夫、歴史的背景、 作者の立場や生徒自身の体験を記述する。このようなことから本単元は、いかに時代が変化しようとも変わら ぬものもあるということを読み取らせ、我が国の伝統文化である和歌に親しませるために大変意義がある。 本校の生徒は、中学1年生では、「竹取物語」、中学2年生では、「平家物語」「枕草子」「徒然草」の学習を行 っており、歴史的仮名遣いや現代とは異なる意味を持つ言葉があること、登場人物や作者の思いなどを学んで いる。授業中の交流活動では、他者の意見を受け止めたり、意見を聞いて自分の考えを付け加えたりすること ができる。本校は3学期に『百人一首大会』を行っており、生徒たちは2回経験している。そのため、生徒は 百人一首大会に向けてお気に入りの和歌を見つけて覚えたり、和歌の意味に興味を持って本を読んだりしてい た。しかし、和歌の歴史的背景や作者の立場や置かれた状況などを知ることで、和歌の世界を深く知ろうとす るところまでは至っていない。これは、札を取るためのコツに終始し、歌を味わうということには興味をもて なかったからだと考える。また、全国学力・学習状況調査の短歌の問題では、文章に表れているものの見方や 考え方について自分の考えをもつことや伝えたい事柄について根拠を明確にして書くことについては、無回答 率が高く、記述を苦手としている生徒が多い実態がある。無回答率が高い原因として、何をどのように書けば よいのか分からない生徒や自分の考えに自信を持てない生徒がいるからだと考える。また誤答の原因としては、 具体的に根拠となる言葉に着目せず、自分の想像だけで歌の解釈をしているからだと考える。そこで、本単元 では和歌の表現や歴史的背景、作者の心情などに着目させ、意見交流の場を仕組むことで、和歌を読み取り和 歌に親しませたい。 本単元の指導にあたっては、和歌の中の言葉、表現の工夫、歴史的背景、作者の立場や自分の体験を挙げて、 和歌を読み取り和歌に親しむことをねらいとしている。そこで、「後輩におすすめの百人一首を紹介しよう~ラ イブラリーナビの作成~」という課題を設定し、季節を詠んだ和歌、作者の心情を詠んだ和歌について、和歌 の表現、歴史的背景、作者の置かれている立場などを意見交流しながら考えさせ、和歌に詠みこまれている思 いを読み取り、和歌の世界に親しませたいと考える。 そのためにまず、単元の見通しを持つ。ここでは、単元のゴールの具体的なイメージを持たせるために、教 師が作成したライブラリーナビを用いて単元の流れを説明する。次に、三大和歌集の特徴や和歌の表現技法を 知る。ここでは、三大和歌集の特徴や表現技法を理解しやすくするために、百人一首に使われている和歌を例 示し、比較させたり、漫画で百人一首を解説している資料を使ったりする。さらに、「万葉・古今・新古今」の 歌を使って、「秋の歌」や「両想いの歌」を見つける活動を行う。ここでは、和歌の言葉、歴史的背景、表現技 法などに着目させるために、意見交流を行う。また、根拠を明確に書くことが苦手な生徒には、「言葉に着目し た分析+自分の考え」など型を示す。最後に百人一首の中から一首選び、ライブラリーナビを作成する。ここ では、何をどのように書いていいのか分からない生徒のために、モデル文を提示しどのような書き方をすれば
後輩に歌のよさが伝わるかを考えさせる活動を仕組む。また、選んだ和歌について既習事項を使って分析でき るようにするために、参考文献などを準備する。出来上がったライブラリーナビは、文化合唱発表会で展示し、 その後図書館や1・2年生の教室に掲示することを伝え、生徒の作成意欲を高める。 3 目標 ○ 時代背景や言葉に着目して和歌を読み取ろうとしている。 【国語への関心・意欲・態度】 ○ 和歌が詠まれた歴史的背景や作者の心情を想像しながら、お勧めの和歌を選び、言葉に着目して和歌を読む ことができる。 【読むこと イ】 ○ 和歌に表れているものの見方や考え方について、知識と体験を関連付けて自分の考えを持つことができる。 【読むこと ウ】 ○ 和歌に表れた心情や情景を言葉に着目して紹介文を書くことができる。 【書くこと ウ】 ○ 歴史的な背景などに注意して和歌を読み、作者の思いなどを想像することができる。 【伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項】 4 単元指導計画(4/6) 次 時 数 学習活動 評価規準 評価方法 関・意・態 書く 読む 伝国 一 1 万葉・古今・新古今を音読 し、好きな和歌を選び理由 をまとめる。 単元目標を確認し、単元の 見通しを持つ。 《主体的な学び①》 歴史的背景な どに注意して 古典を読み、 その世界に親 しんでいる。 音読 1 万葉・古今・新古今の特徴 や和歌の表現技法を知る。 三大和歌集の 特徴や和歌の 表現技法を理 解している。 ワーク シート 1 和歌に詠まれている情景 や言葉に着目し、三首のう ちから秋の歌を読み取る。 《対話的な学び③》 秋の歌だと思う根 拠として、和歌の 中の言葉や表現の 工夫、歴史的背景、 作者の立場、自分 の体験を挙げて述 べている。 ワーク シート 1 和歌に詠まれた歴史的背 景や言葉に着目し、三首の うちから両想いの歌を読 み取る。 《対話的な 学び③》 両思いだと思う根 拠として、和歌の 中の言葉や表現の 工夫、歴史的背景、 作者の立場、自分 の体験を挙げて述 べている。 ワーク シート 二 1 百人一首から自分の一番 好きな歌を選び、紹介文を まとめる。 《深い学び⑥》 自分が選んだ 歌を進んでラ イブラリーナ ビにまとめよ う と し て い る。 ワーク シート 1 ライブラリーナビを完成 させる。 百人一首から和歌 を選び、前時までの 学習を参考に紹介 文を書くことがで きる。 ラ イ ブ ラ リーナビ
5 本時 令和元年○月○日○曜日 第○校時(第6 次の4) 3 年○組教室に於いて (1)主眼 両想いの歌はどれか分析することを通して、両想いの根拠を和歌の中の言葉や表現の工夫、歴史的背景、 作者の立場、自分の体験などを使って述べることができる。 (2)授業仮説 和歌の中の言葉や表現の工夫、歴史的背景、作者の立場に着目して三首の和歌を分析し、両想いの歌を選 ぶことによって、両想いの根拠を述べることができるだろう。 (3)準備 教科書・ノート・ファイル・プリント・模造紙・油性ペン (4)展開 学習活動・内容 指導上の留意点 ◇評価規準(方法) 1 前時の学習を想起し、本時の学 習課題を確認する。 2 本時の歌を確認する。 3 本時のめあてを確認する。 めあて 4 両想いの歌はどれか判断する。 (1)自分で判断する。 (2)交流する。 (3)根拠をまとめる。 (4)発表する。 5 まとめと振り返りをする。 〇前時の学習を振り返り和歌を読み取る視点を確認する。 ○和歌のリズムをつかむことができるようにするために何度も音読をさせる。 ○本時の課題意識を明確にするために、生徒の言葉でめあてづくりを行う。 《主体的な学び①見通しをもつ》 ○自分が両想いの歌だと思った和歌を分析する。 作者の背景、一つ一つの言葉に着目すること、表現技法などについて生徒が 分析できるようにヒントカードを準備する。 〇多様な考え方ができるようにするために、作者の性別や当時の恋愛の仕方な どについてまとめたヒントカードを準備し、必要な生徒には配付する。 〇分析が難しい生徒のために、前時の授業プリント・授業のまとめを参考にし、 どのような言葉に着目すればよいか指導する。 〇分析する時には、和歌の言葉と言葉を関連付けて線で結んだり、丸で囲んだ りして自分の考えを作るよう指導する。 〇1 首の分析が終わったら、他にも両想いの和歌がないか分析するよう指示す る。 ○考えを広げたり深めたりするために、それぞれの歌について得た知識や感じ たことについて交流する。その際、視覚的に分かるようにするために、模造 紙に書き込みを行う。 《対話的な学び③互いの考えを比較する》 〇交流の仕方を確認する。 ○自分の考えを再構成させるために、模造紙に書き込みをした分析を参考に根 拠をまとめるよう指示する。 《深い学び⑥自分の考えを形成する》 ◇両思いだと思う根拠として、和歌の中の言葉や表現の工夫、歴史的背景、作 者の立場、自分の体験を挙げて述べている。 ○生徒がまとめたものを価値づけるために、言葉に着目した分析や作者の背景 を参考にした分析や三首を比較した根拠などを述べている生徒を取り上げ る。 〇根拠としてどの言葉に着目したのか分かりやすくするために、生徒のまとめ た模造紙を黒板に掲示する 〇生徒の発表した内容を一般化し、まとめとする。 〇本時までの学習を踏まえて、ライブラリーナビを完成させることを伝える。 5 15 10 10 7 3 三首の歌を比較して、両想いの歌を選ぼう。 ① 君待つと 我が恋ひをれば 我がやどの 簾動かし 秋の風吹く 額田王 ② うたたねに 恋しき人を 見てしより 夢てふ物は 頼みそめてき 小野小町 ③ 忘れじの 行く末までは かたければ 今日を限りの 命ともがな 儀同三司母 和歌を分析する時には、・自分の体験や経験に重ねて作者の気持ちを想像する ・自分の恋しい思いを、直接的な「会いたい」「好き」などの表現していないので、心情を表す言葉に着目する。 ・「夢」に見るのは、相手が自分のことを思っている時に使う表現など特徴的な表現に注意すること。 ・当時の状況や当時の恋愛の仕方などにも着目すること。 額田王は、女性です。「君待つと 我が 恋ひをれば」という言葉から恋しい人 を待っていることが分かります。「簾動 かし」という表現から恋しい人が来た のではないかと期待したことが分かり ます。来るかもしれないということは、 来る可能性があると思うので、両想い だと判断しました。 小野小町は女性です。彼女がうたたね をしている時に恋しい人の夢を見てい ます。小野小町の強い恋心が感じられ ます。この時代は「夢」は、相手が思っ ていてくれている時に見ることができ るらしいので、両想いだと思います。 当時は通い婚でした。男性が女性を訪 ねていたので、「忘れないよ」と男性に 言われても女性は次いつ会えるか不安 だったと思います。だから一緒にいる 今が一番幸せで、この幸せな時に死ん でしまいたいと考えたのだと思いま す。この和歌は両想いの幸せな時に詠 んだ歌だと思います。「今、死ねたらい いのに」という気持ちは分かりません が、この幸せな瞬間が止まればいいと いう気持ちだったと思います。