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不登校に関わる保護者・教師への援助についての実践的研究 : グループセラピーとしての「不登校を考える会」

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(1)不登校に関わる保護者・教師への援助についての実践的研究 一 グループセラピーとしての「不登校を考える会」一 学校教育専攻 教育臨床コース 伊 藤. 丁1章問題の所在と研究目的. 隆. 不登校生に関わる保護者・教師が相互交流を通. 不登校に関わる保護者(主に母親)は焦りや不. して,お互いを理解し,支え合い,学び合うこと. 安,自責感,周囲からの被叱責感,家族の協力が. で,参加者の心理的成長につながると予想される。. 得られない孤独感などを持っており心理的にも非. また,それにともない不登校生に対する保護者・. 常に不安定な状態である。また立場は違えども,. 教師の対応の変化および教師の保護者への援助す. 不登校に関わる教師も,何とか登校させねばと苦. る力を強化できると考え,A府下の私立中・高等. 労する。しかし,それでもなお登校できない状態. 学校の保護者・教師対象に「不登校を考える会」. になると次第に焦りを強め,心の中に激しい葛藤. を発足させた。. が生じて不安が強まるというのが一般的である。. 2.「不登校を考える会」の運営. そういった不登校に関わる保護者・教師が一堂に. ほぼ月1回,2時間,参加者は輪状に座り,参. 会する『保護者・教師の会』についての実践的研. 加者の自己理解や他者理解が促進することを第一. 究は,いまだ十分なされていない。. の目標として,ベーシック・エンカウンターグル. 1.目的. ープを基本とし,会を実施している。また本会は. 筆者らが1995年に発足した「不登校を考える. 出席も中断も自由なオープンシステムを採用して. 会」を実践するなかで,以下のことを検討した。. いる。ファシリテーターは4雪おり,それぞれが. ①保護者と教師の参加姿勢の違いについて。. 参加者の自己理解・他者理解が促進するよう会を. ②「会報」のもつ意義について。. 進めている。会終了時には,終了時アンケートを. ③継続参加した保護者の心理的成長について。. 実施し,今後の会の運営に役だてている。. ④保護者・教師が本会に参加することの意義に. 3.会の実践経過. ついて。. (1)定例会:本会の設立前から現在に至るまで. 2.研究方法. を[設立準備期][創始期][模索期][安定期〕の. 筆者はファシリテーターの一人として会に参. 四期に分けた。[模索期]では,保護者の参加者数. 加し,参加壁間の力動性を観察し,終了時アンケ. が減った。その要因に教師の参加姿勢が大きく関. ートをもとにファシリテータ一間で検討会を実施. わっていることが推察できた。教師は保護者の話. した。また「不登校を考える会」や「会報」につ. を聴き,現場に活かそうという姿勢や保護者を叱. いてのアンケートを実施し,7年間のデーターを. 責する発言があり,本会の設立の主旨である「悩. もとに総合的に記述し考察する。. みを率直に出し合い,相互の交流を深めるなかで,. 子どもたちの自立への援助を目的とする」ことか. 第2章. 「不登校を考える会」での実践. 1.「不登校を考える会」設立の主旨と発足. らかけ離れた時期であった。試行錯誤を繰り返し,. 現在は,本会も成長し主旨に近づきつつあるよう.

(2) に終了時アンケートから感じられる。. (2)特別企画:不登校経験者,その保護者の体 験談を聴き,コメンテーターとのやり取りを聴く なかで,参加者が不登校の子どもと照らし合わせ,. 「量が少ない」いう結果に現れているのではない かと考えている。. 3.1不登校を考える会」に参加する保護者への 援助についての一事例. また自身と照らし合わせながら追体験して欲しい. 中学入学後,クラスメイトから嫌なことを言わ. と願っている。それが自己理解,他者理解につな. れたのをきっかけに登校しなくなった男子生徒の. がり,今までとは違った不登校生との関わりがで. 母親が本会に参加し,ファシリテ一領ーや参加者. きるものと考えている。. との関わりのなかで,また並行してカウンセリン. (3)会報:本会で出された「テーマ」,それに対. グを受けるなかで,母親がどのように心理的成長. する意見などをまとめた会報を発足すると同時に. を遂げ,家族力動がどう変容したかをグループ・. 発行している。会の内容はプライバシーに関わる. アプローチの観点から考察した。. ことが多く,その内容や雰囲気がそのまま表され ているわけではない。しかし,会報には参加者の. 第4章 総合考察. 会に対する思いがそのまま綴られており,これを. 1.保護者・教師が「不登校を考える会」に参加. 読むことで本会の主旨を理解できると考えている。. することの意義 立場の違う者が一堂に会することで,それぞれ. 第3章. 「不登校を考える会」に関する調査お. よび実践事例. 会に求めるものに違いがあるのは仕方がないこと. でる。しかし同じ悩みを持つ参加者のなかで,被. 1.保護者と教師の参加姿勢の違いについて. 傾聴体験は安心と気づきにつながり,またファシ. 保護者は教師よりも,本会を「学校現場に活か. リテータニの非指示的な傾聴姿勢から学ぶことは,. すための会」「再登校をさせる方法を知る会」と位. 親子の関係改善につながっていく。また学校現場. 置づけていることがわかった。また教師は保護者. でも,教師が生徒に寄り添って聴こうという姿勢. よりも,「お互いを支える会」と認識しているが,. .を通して,教師・生徒間,さらには教師・保護者. それは保護者には伝わっていない。そこには心理. 間の関係が改善されるものと思われる。. 的援助の切迫感の違いから,外からながめる教師. 2.今後の課題. の姿勢に保護者は「支えられている」という実感. 会や会報を通して会の主旨を参加者に理解して. が得にくいと考えられる。. もらう努力を続けていくことで,立場を越え参加. 2.会報についての印象. 者同士が分かり合えたと実感できたとき,この両. 保護者・教師から本会報は肯定的に受け入れら. 者の本会への参加姿勢の差は限りなく縮まると考. れていることがわかった。「読みやすい」「わかり. えている。そうするためには,その場を提供して. やすい」「質は良い」「心の支えとなる」と捉えて. いるファシリテーターの役割を今後一層,考えて. いる保護者は,教師よりも「量が少ない」と感じ. いく必要がある。また保護者が会の運営に参画す. ている。そこには,会報は「支え」にはなってい. ることにより,充実した会になると考えている。. るものの,子どもとの関係において,さらに安心. 主任指導教官 夏野良司. 感や気づきを得たいという思いから,教師よりも. 指導教官 夏野良司.

(3) 平成13年度. 不登校に関わる保護者・教師への援助1ごついでの実践的研究. 一グループセラピーとしてのr不登校を考える会」一. 兵庫教育大学大学院. 学校教育専攻 教育臨床コース. 伊 藤 隆.

(4) はじめに 筆者は勤務校において,生徒相談係として不登校や学校不適応の生徒の相談,およびそ の保護者からの相談を受けている。保護者は一日でも早く登校して欲しいという切実な願 いで筆者との面接を繰り返している。相談を受けるなかで,保護者の我が子の現在の姿か ら,将来に対する不安や焦りが生じ,特に母親は今までの子育てに問題があったのではな. いかという自責感や周囲からの被叱責感他の家族の協力・支持が得られないといった孤 独感などをもっており,心身ともに疲れている様子が伺える。また子どもが不登校である ことを周囲には知られたくないという強い気持ちも感じられる。. 不登校生に関わる教師も同様で,自分の学級から不登校生が出たことに何となく責任を 感じ,周りの目を気にしながら解決を焦るのが現状のようである。筆者自身,教師経験が 浅い頃,担任として不登校生を抱えた時に,八方塞の状態で何から手をつけていいのかわ からず,思い悩んだ経験を持つ。その当時の筆者は経験豊かな諸先輩のアドバイスを受け,. 登校することが何よりも大切と生徒に強い登校刺激を与え1また保護者に何とか学校に来 さすようにと強く迫ったものである。それがかえって生徒や保護者を追い詰めることにな っているとは思いもよらなかった。今思えば恥ずかしく,申し訳なく思う限りである。. 保護者・教師の立場は違えども,不登校あるいは不登校ぎみの子ども・生徒が自らの力 で歩みだして欲しい,そのための援助が少しでもできればと思うのは同じであろう。 筆者は,保護者には安心して子どもの今の状態を語り,他の保護者の考えを聴きながら,. 子どもへの援助を考える場として,また教師も保護者の話を聴き,他の教師の話しを聴き ながら,今関わっている生徒をどのように援助していけるかを考える場の必要性を感じ, 1995(平成7)年に「不登校を考える会」を発足させ,現在に至っている。本会は,「保護 者の会」でなく,「教師の会」でもない。立場の違う保護者・教師が一堂に会した「保護者・. 教師の会」である。そこには立場の違いから,いろいろな問題がある反面,「保護者の会」 「教師の会」では得がたい気づきも多くある。今回,「不登校を考える会」をテーマに論考. するが,このような立場の違う両者が集い,悩みを率直に出し合い相互の交流を深めるな かで,不登校生への理解や援助につながればという願いを持っている。. 1.

(5) はじめに______一___一__....__....一__一....____.__._.__一._,_._..一____. 1 目 次一___.一一_.一..._一一_一一__.._...._._..一一.___._...._。.___..__.._...._.__一.2. 第1章 問題の所在と研究目的. 第1節 不登校 第1項 不登校生の増加,.__._...一_._一._.._一._.__.._.一.____.._.__.4 第2項不登校の定義.__.__._,__一._...._.____,.._一一.___一....._.一..8 第3項 不登校の形成要因_._.._..,一_.._.一_.__.__.._一._..一_一一___._...一.12. 第2節 不登校に関わる保護者・教師へのグループ・アプローチ 第1項 不登校に関わる保護者・教師の心理__一_._...__.___._一._..一__.14 第2項グループ・アプローチ___一一_.._..一_一一,._一..__一_.一_一.,_一_.._._16. 第3項. 「不登校を考える会」でのファシリテーター. 20. 第3節 研究目的およびその方法 第1項研究目的.一,__.__._____.,.一____..____一_.__..__.21. 第2項 研究方法 第2章. 22. 「不登校を考える会」での実践. 第1節. 「不登校を考える会」設立の主旨と発足. 第1項 設立の主旨と発足 第2項 第2節. 23. 「不登校を考える会」の組織づくり. 23. 「不登校を考える会」の運営. 第1項 会の構造. 25. 第2項ファシリテーターの構成. 25. 第3項会の進行. 26. 第4項 会の記録. 28. 第5項 会終了後の検討.一...._.._...一,_____.___.一_一_一一一._一_一一一一._.__.28. 第6項 会計. 28. 第3節会の実践経過. 第1項参加人数の変遷. 29. 第2項 定例会への参加. 30. 第3項 特別企画への参加. 35. 第4節 会報の発行 第1項会報の発行..._一.___...._......一一._..._.一一._一.__一..._一.__,_一.._.一_._一_38. 第2項 会報の内容. 38. 2.

(6) 第3章. 「不登校を考える会」に関する調査および実践事例. 第1節保護者と教師の参加姿勢の違いについて 第1項 調査目的._一_.__....__一_...一.。一一____一_....___一__一__...一__.42 第2項方法_.....一一___._.__.....一,...._...一一___.._,____....一一一...一._,._..一_42. 第3項 結果および考察.__._._..._____.__.__一.一一_.._一_一_一__.43. 第2節 会報についての印象(その1) 第1項 調査目的_...._一..._.___.__....._.一一.___...__一.一_._.__._.__46 第2項方法一__一__....__..._.,..一._...__.__.__..._._._._._____,.._._46. 第3項 結果および考察.____..._....一一_.__.__.一___._一____..一_._47. 第3節 会報についての印象(その2). 第1項調査目的 第2項方法. 50 .._50. 第3項 結果および考察__.__..._一____._____._.____._._.51. 第4節. 「不登校を考える会」に参加する保護者への援助についての一事例. 第1項 目的. 55. 第2項 事例の概要. 55. 第3項 本会における経過. 56. 第4項 考察. 61. 第4章 総合考察と今後の課題. 第1節 総合考察. 第1項保護者・教師が「不登校を考える会」に参加することの意義. 65. 第2節 今後の課題. 第1項 「不登校を考える会」の今後の課題 第2項. 67. 「会報」の今後の課題______._____一、_一__一一.__一._一一__一一_68. 第3項 本会とベーシック・エンカウンターグループの比較から おわりに. 69. 70. 要糸勺_..一一........一,一._一一_..._....一一___.._._.._一__一、_..一一....。一一..._。一一一一....,一.一.___,._....___71. 引用文献. 74. Appendix 謝辞. 3.

(7) 第1章問題の所在と研究目的 第1節 不登校 第1項 不登校生の増加 不登校の児童・生徒数は年々増加しており,文部科学省も大きな教育課題として取り組 んできた。文部科学省(当時は,文部省)が1966(昭和41)年より毎年実施している「学 校基本調査」のなかで,国・公・私立学校における不登校児童生徒の状況を報告している が,文部科学省が2001(平成13)年8月に発表した「学校基本調査」の速報によると,「不. 登校」を理由とする児童生徒数は,小学校2万6千人(前年度間より3百人増加。対前年 度比1.2%増),中学校10万8千人(前年度間より4千人増加。対前年度比3.6%増)の合. 計13万4千人(前年度間より4千人増加。対前年度比3.1%増)と過去最多を更新した。 現在の形で調査を始めた1991(平成3)年度と比較して約2倍となっている(図1−1)。. 1・人・. 不登校懸生徒数の推移. 口ll:器1…. 闘. ’. i. ……. , 120Doo. l. 1搬一一」‡不登校児童生面狸} O. I. ・. I. 小学校. 1年間に30日以上休んだ児童・生徒数 中学校 、皿父ノL里 生徒数の合 生徒総数 不登校(N) 出現・‘(%). 調査年 児童総数 不登校(N) 出現率(%) 9,で57,429 12,645 0.1 平成3. 5」88,314. 54」72. tO. 66,817. 5,036,840. 58,421. 1.2. 72,131. 4. 8,947,226. 13,710. 5 6. 8,768β81. 14フ69. 8,582,871. 15,786. 7. 8,370,246. 8. 8,105,629. 19,498. 0.2. 4,527,400. 9. 7,855,387. 20,765. 0.3. 448t480. 0.2 0.2. 4,850,137. 0.2. 16,569. 4681」66. α2. 4,570,390. 10. 7,663,533. 26,017. 0.3. 4,380,604. 11. 7,500,317. 26,047. 0.4. 4243,762. 12. 26000 図1−1. 0.1. t2. 74,808. t4. 81,591. 60,039. 6t663. 77,449. t3. 65,022 74β53. 84,701. 1.7. 94β51. t9. 101,675. 104」80. 105,466 127,692 130,227. 2.3. 2.5. 108ρ00. 2.4. 不登校児童・生徒数の推移 文部科学省(200の「生徒指導上の諸問題の現状について」より. 4. 平成12年度は速報値. 134,000.

(8) また,高等学校では義務教育である小・中学校とは違い,不登校の結果,中途退学をせ. ざるを得ない者もいる。「学校基本調査」によると,1999(平成1D年度の公・私立高等 学校における中途退学者数は10万6578人であり,中途退学者数が年度当初の在籍者数(平. 成11年4月1日現在在籍者数4,194,747人)に占める割合(中途退学率)は2.5%となっ. ている(図1−2)。. 公私立高等学校中途退学者の推移. (%). 5.0 4.5. で40ρ00 120,000. 40. 1翻. 1:1 2.5 1:1. 灘 2q. 10 1::. w. 一もへも働心. v. 公立・私立高等学校中途退学者数 昭和57;. 58 ’. 59. 、、60. 中途退学者. 10ao41. 11t531. 109160. 114834. 中途退学率. 23. 24. 22. 2.2. 2. 3. 4. 5. 6. 123,529. 112,933. 101,194. 94,065. 22. 2.1. 1.9. t9. 』・. 63 平i成死’,. @61::、・ ・:・62. 11a617 21. 113,938 11a357. 22 71. 96,401 2.0. 21 8. 98,179. 112,150. 21. 2.5. ,9:. 111,491 2.6. 123,069 2.2. 10「. 11. 11t372. 106,578. 2.6. 2.5. 図1−2 公・私立高等学校中退者の推移. 文部科学省(20DO) 「生徒指導上の諸問題の現状について」より. 5.

(9) 各中途退学事由別ごとの中途退学者数全体に対する割合をみると, 「学校生活・学業不適 応」が37.1%で最も多く,次いで「進路変更」が36.8%, 「学業不振」が6.7%の順とな. っており, 「学校生活・学業不適応」が「進路変更」を抜いて中退事由で一番高い割合を. 占めている(表1−1)。筆者の勤務する高等学校では不登校で欠席日数超過のため中途 退学をする生徒に,担任の指導により通信制高校や単位制高校への転入学を勧めるケース も多くみられることから,他の学校でも「学校生活・学業不適応」に入れるべき生徒を「進 路変更」の形で処理していることもあるように考えられる。そうであるならば「学校生活・ 学業不適応」の実際の値はさらに高くなるものと考えておかねばならないであろう。. 表1−1事由別中途退学者数 事由. 人数(人). 学業不振 学校生活・学業不適応 もともと高校生活に熱意がない 授業に興味がわかない 人間関係がうまく保てない. 学校の雰囲気が合わない その他 進路変更 別の高校への入学希望 専修・各種学校への入学希望 就職を希望 大検を受験希望 その他 病気・けが・死亡. 経済的理由 家庭の事情 問題行動等 その他の理由. 韓成比(%). 7,133. 6.7. 39,495 17,240. 37」 16.2. 7」05. 6.7. 5,894. 5.5. 4,488. 4.2. 4,768. 4.5. 39262. 36.8. 8,429. 7.9. 3,311. 3.1. 2LO34 2402. 19.7 2.3. 4,086. 3.8. 3,705. 3.5. 3,395. 3.2. 4,684. 4.4. 5,231. 4.9. 3,673. 3.4. 文部科学省(2000) 「生徒指導上の諸問題の現状について」より. 6.

(10) また,図1−3から, 「学校生活・学業不適応」の占める割合は,1984(昭和59)年度か. ら1994(平成6)年度まで概ね26%で推移していたのが,1995(平成7)年度以降ほぼ2% ずつ増加していることが見てとれる。. 囲家庭の事情 圏経済的理由 囲病気・けが・死亡. ■進路変更 ロ学校生活・不適応. 厨学業不振. 避鱒曲鱒斜. も 腿 も も へ (b も. ぐ 」. L一______. 欝…i毒’ 護灘 ii:雛il動:等. 驚i. 、=、………学業1賑. 、そφ他1. 1;、il廷iiiiii:』. 昭和5フ、………;. 19.1. 19.2. 17.8. a2. 5.4. 9」. 12.4. 58ili・}ii. 14.8. 23.4. 21.8. 5.7. 5.2. 11.4. 10.6. i59…:iii……. 13.8. 26」. 24. 5.6. 5.1. 10.1. 9.1. 10.8. 7」 6.2. ;6α「i、i=…. 遷4.0. 26.6. 26.5. 5.3. 4.6. 9.8. 7.8. 5.4. i6:1ii・iili. 13.6. 268. 28.3. 5.2. 4」. 99. 7.2. 49. i6£i置. 12.4. 26.8. 30.7. 5.2. 3.6. 9.2. 7.0. 5」. i礁…;;…1;. 12.2. 26.9. 32.6. 5.1. 3.1. 8.3. 7.0. 4.7 4.5. 平・i’読、;.li. 12.4. 26.9. 35」. 4.5. 2.6. 7.4. 6.8. i2i、.:llli. 11.3. 26.6. 38.9. 42. t9. 6.5. 59. 4.6. 、3:il・ii,. 10.3. 27」. 40.9. 4」. 2.0. 5.8. 5.5. 4.2. :4iil∴i・. 9.9. 26.5. 43.3. 4.0. 2.1. 5.5. 4.7. 3.9. i5;;:……「i. 9.4. 26」. 43.8. 4.0. 2.3. 5.5. 4.5. 4.3. …6ill…1:5. 8.8. 26.9. 43.3. 3.9. 2.5. 5.6. 4.8. 4.2. …妻ii;:ll『. 7.9. 28.6. 43.3. 3.9. 2.2. 5.4. 4.7. 39. i8☆iili. 7.0. 31.4. 42.7. 3.7. 2.4. 4.7. 4.8. 3.4. 、9ii…iiii. 7.1. 33.4. 40.8. 3.7. 2.5. 4.5. 4.6. 3.4. 司i⇔:i:i…i…. 6.7. 35.8. 38.5. 3.5. 3.0. 4.3. 4.8. 3.4. 6.7. 37」. 136.8. 3.5. 3.2. 44. 49. 3.4. 図1−3 公・私立高等学校における事由別中途退学者数の構成比の推移(単位:%) 文部科学省(2000>「生徒指導上の諸問題の現状について」より. 7.

(11) 「学校生活・学業不適応」の内訳についてみると,「もともと高校生活に熱意がない」が「学 校生活・学業不適応」のうちの43.7%を占め,「授業に興味がわかない」が18.0%,「人間 関係がうまく保てない」が14。9%,「学校の雰囲気が合わない」が11.4%,「その他」が12。1% となっている。. 「進路変更」の内訳についてみると,「就職を希望」が「進路変更」のうち53.6%を占め,. 「別の高校への入学を希望」が21,5%,「専修・各種学校への入学を希望」が8.4%,「大 検を受検希望」が6.1%,「その他」が10.4%どなっている。. このように不登校の児童生徒は全体の生徒数の自然減が続いているのにもかかわらず, 増加の一途をたどっている。1990年に文部科学省(当時は,文部省)も,不登校について. は「どの子にも起こりうるもの」との報告を提出し,また森田(1991)は,中学2年生を 対象に不登校実態調査を実施し,「学校にいくのが嫌になったことがある」という中学生が. 約7割あることを示した。このような不登校気分や不登校気味のある児童生徒を含めれば, さらに多くの児童生徒が学校を拒否する傾向にあり,この不登校の問題が大きな社会問題 であるとことは否定できない。. 第2項 不登校の定義 文部科学省は1997年の「学校基本調査」において,長期欠席者の項目のなかで,これま での「学校ぎらい」を「不登校」と記述することに改めた。その際に従来の「心理的要因 から登校をきらって長期欠席した者」という表現から,「何らかの心理的,情緒的,身体的. あるいは社会的要因,背景により児童生徒が登校しないあるいはしたくても出来ない状況 にあることをいう(病気や経済的な理由によるものを除く)」と不登校を定義した。そこに は不登校が示す多様な状態があり,包括的な定義にせざるを得なかったと考えられる。. ここで「学校基本調査」による,不登校となった直接のきっかけ(表1−2)と不登校 状態が継続している理由(表1−3)を示す。. 表1−2 直接のきっかけ 友人関係をめぐる問題……いじめ,けんか等 教師との関係をめぐる問題…教師の強い叱責,注意等. 学業の不振…成績の不振,授業がわからない,試験が嫌い等 家庭の生活環境の急激な変化…親の単身赴任等. 親子関係をめぐる問題…親の叱責,親の言葉・態度への反発等 家庭内の不和…両親の不和,祖父母と父母との不和等本人に直接関わらないこと その他本人に関わる問題…極度の不安や緊張,無気力等で他に特に直接のきっかけになるような事. 柄がみあたらないも 文部科学省(2000>「生徒指導上の諸問題の現状について」より. 8.

(12) 表1−3 不登校状態が継続している理由 学校生活上の影響…いやがらせをする生徒の存在や,教師との人間関係等,明らかにそれと理解 できる学校生活上の影響から登校しない(できない)。. 遊び・非行…遊ぶためや非行グループに入ったりして登校しない。. 無気カ…無気力で何となく登校しない。登校しないことへの罪悪感が少なく,迎えにいったり強 く催促すると登校するが長続きしない。. 不安など情緒的混乱…登校の意志はあるが身体の不調を訴え登校できない,漠然とした不安を訴 え登校しない等,不安を中心とした情緒的な混乱によって登校しない(で きない)。. 意図的な拒否…学校にいく意義を認めず,自分の好きな方向を選んで登校しない。 複合…不登校状態が継続している理由が複合していずれが主であるかを決めがたい。 その他…上記のいずれにも該当しない。 文部科学省(2000)「生徒指導上の諸問題の現状について」より. この「直接のきっかけ」「不登校状態が継続している理由」の両者の関係は,小学校・中 学校のいずれも,「学校生活」「家庭生活」「本人の問題」のいずれに起因した場合も「不安. など情緒的混乱」により不登校状態が継続している場合が最も多いと指摘している。. 9.

(13) また,佐藤・黒田(1998)は,学校へ行っていない状態(non・at七endance)を表1−4 のように分類している。この分類において,「(4)心理的理由によるもの」を広義の登校 拒否,さらに「(4)①神経症的登校拒否」を狭義の登校拒否としている。. 本研究における「不登校」を上記の「神経症的登校拒否」とし,それは「人間関係の不 調による心理的な不安や葛藤のために,学校へ行きたいが,どうしても行けない状態」と する。、. 表1−4 学校へ行っていない状態 (1) 経済的または親の教育的関心の貧困によるもの ※教育に対する親の無理解や,家庭の経済的貧困のために学校に行けない場合。 (2) 心身の疾病によるもの ※ 身体的に虚弱であるとか,慢性の病気を持っていたり,また精神的な病気があるために学 校に行けない場合。. (3) 精神遅滞または重い学業不振によるもの ※ 知能の発育の遅れや学習障害などのために学習の課題についていけなかったり,学習に興 味がもてなくなって学校に行けなくなる場合。 (4) 心理理由によるもの ※ 主として,人間関係の不調による心理的な不安や葛藤のために学校に行けない場合。 ①「学校に行きたいが,どうしても行けない」状態にある場合,②「横着休み」や「非行」. に走り,学校に行かない場合,③学校へ行く意欲がなく「無気力」のために学校へ行かな い場合,④学校が子どものニーズに対応できないことから,学校を回避する場合。. ①神経症的登校拒否一分離不安型,自己喪失型,性格未熟型. ②非行,怠学的登校拒否 ③無気力的登校拒否 ④学校回避的登校拒否 (5)合理的・客観的事由によるもの ※ だれからみても学校へ行けない明らかな事由がある場合,たとえば,友だちに暴力を 振るわれているとか,ひどいいじめにあっていて学校に行けない場合。 (6)意識的意図によるもの ※ 学校に行く意義を認めず,自分の好きな方向を選んで学校へ行かない場合。 (7)一過性のもの ※ 転校などで学校になじめないために,一時的に学校へ行けない場合。. 10.

(14) さらに,児童生徒が登校拒否の状態になると図1−4に示すように学校の欠席という一 次的状態と,それに随伴する二次的状態(表1−5)が現われ,これらの状態は子どもの 年齢,性格または回復の過程によっても現われ方が違ってくると指摘している。. ・・学校欠席. 一次的状態・・. 一一 登校拒否 一般的行動化. 二次的状態. 行 動 化. 外向的行動化. 内向的行動化. 無状態・行動化. 図1−4 登校拒否にともなう状態 表1−5 登校拒否中の性格・行動の状態 性格・行動の状態 心身症的状態. 二次的状態 腹痛,頭痛,嘔吐,発熱,全身倦怠感,疲労感など いつも他人のことが気になり,他人の視線が気になる。学校へのこだわ. 強迫的状態. 閨C潔癖感,ダイエットや暗夜のスポーツへの過度な関心にみられる身 フへのとらわれ,時間や順序へのとらわれなど. 一般的行動化. 登校時間にみられる不安行動,登校刺激へのすくみ反応,午前中不安定. ナ午後安定傾向に向かう情緒水準の変動など. 外向的行動化. 登校刺激への反応として起きる乱暴,または自傷行動,家庭内暴力など. 内向的行動化. 無口,閉じこもり,昼夜の逆転,対人関係の回避傾向など. 無状態・行動化. 上記のような状態や行動化はあまり見られない. このように不登校になるきっかけや背景,また学校へ行っていない状態は個々人によっ てさまざまである。しかし実際に不登校の児童生徒と対応し,またその保護者や教師に対 して援助を図っていくためには,これらを分析していくだけでなく,彼らの現状を多角的 な面から十分検討し,その状態に即した援助を考えていく必要がある。. 11.

(15) 第3項 不登校の形成要因 児童生徒が不登校になれば保護者や教師はその原因を探り,何とか取り除き再登校させ るようにするのが一般的であろう。保護者は学校へ「行けない」あるいは「行かない」理 由を子どもに問いただし,その原因を取り除こうとするだろう。また学校へ「行けない」「行. かない」のだから,その原因を学校にあると考え「担任の関わり,教科担当者の関わりが まずかったのではないか」「クラスの中でいじめられているのではないか」「校則が厳しす. ぎるのではないか」など,自分以外のところに原因を求め,いろいろと思いを巡らし,学 校側を批難する保護者に出会うことも多々ある。また,教師も同様で「性格の弱さから」「あ. の親だから」と児童生徒,保護者に原因を見出そうとすることは少なくない。このように 自分以外のところに原因を見出そうとする傾向があると考えられる。しかし,保護者や教 師,また児童生徒本人が指摘する原因はきっかけにすぎず,また不登校になる原因は一つ とは限らない。その背景には,さまざまな要因が複雑に絡みあっていると考えるべきであ ろう。. この不登校の形成要因については,佐藤(1996)が清原の所論を要約したものによると,. !950年代後半からは,依存的・共存的な母子関係に,1960年代以降は,不登校児童生徒の もつ完全主義的傾向という神経症的性格とそれを形成した家庭の特有な人間関係に,また 1980年代以降は学校の要因が,そして1990年代には社会的背景に焦点が当てられ論じられ るようになってきた。つまり,不登校の臨床的研究の40年の間に,「個人病理」→「家族 病理」→「学校病理」→「社会病理」へと推移してきた。すなわち,不登校の形成要因を 考えていく場合にも,個人,家族,学校,社会の背景要因も加味しながら考えていく必要 があるといえる。. 倉本(2000)は,「思春期の問題行動の背景要因を考える際には,本人,家族,友人,学. 校,社会の,5つの領域を公平に評価すべきであろう」と述べている。また,富田・三島 (1992)は人間の見方とし,芯に素因,その周りに家庭環境そして社会環境があり,成長 するにつれ,家庭と社会環境の二層が芯にある素因をしっかりと包み込むとしている。佐 藤・黒田(1998)は登校拒否の形成の直接要因として「子ども(弱い自我,親に依存)」「家. 庭(成績重視,父親不在,過保護)」とし,それをとりまく背景要因に「学校(知的教育の 重視,進学競争,幅広く深い教科内容)」「日本(自由主義,高い経済・工業水準,学歴主 義,高い学校教育水準)」「世界(自由主義,高い経済・工業水準,高い学校教育水準,学 校教育への高い関心)」としている。これらの考えをもとに,筆者は不登校形成の背景要因. と時間軸との関係を図1−5に示した。ここでいう「素因」とは,富田・三島が「親から 受け継いだ遺伝的というべき素因(気質と体質)がある」というように,その子どもが本 来生得的に持ち合わせているものである。すなわち遺伝的要因のものであり,「自我」と合. わせ「個人要因」と筆者は考えている。それぞれの要因については倉本がいうように「個 人要因」には,性格や自我の成熟度,社会的スキルに代表される対人関係能力,学力・体. 12.

(16) 力などの諸能力,体型,容姿などが考えられる。加齢するにつれ,「家族要因」(親の過干 渉,過保護,両親の不和,同胞間葛藤,家族病理など),「友だち要因」(仲間はずれ,孤立, いじめ,勉強面での競争など),「学校要因」(勉強・校則面での管理,教師との関係,試験,. 受験など),「社会要因」(社会一般の価値観,マスメディア,社会病理など)が「個人要因」. を形作っていくものと考えている。上述したように,きっかけにより不登校をしても,そ の原因を複雑に絡み合った背景要因に求めることは困難であり,原因を追求することに躍 起になりエネルギーを消費するよりも,不登校に関わる保護者・教師がお互いに理解し, 協力し,支え合いながら,そのエネルギーを不登校の状態にある彼らに向けることの方が, より建設的であると筆者は考えている。. 團忌門困. 1 甥葦自我κ .!’. 党 ”’. 郵 冒’. P’. 1 ・ D・. P・. D・. f因・:. 不登校 年 齢 誕生. 就学. きっかけ. 図1−5 不登校とその背景要因. 13.

(17) 第2節 不登校に関わる保護者・教師へのグループ・アプローチ 第1項不登校に関わる保護者・教師の心理 (1) 保護者の心理 我が子が学校へ行きづらい,行けない状態になれば,多くの保護者はその理由を考え, また原因探しに奔走することが多い。しかし,仮に原因と考えたものを取り除いても学校 へ行けない状態は続く場合が多いようである。そうなれば,ますますどのように対応をし てよいのかわからず,ただ困惑するばかりで,不安が強まってくる。星野(1994)の報告から. は,不登校に関わる保護者(主に母親)は労うつ感,焦りや不安,今までの子どもの育て 方に問題があったのではないかという自責感,周囲からの被叱責感,他の家族の協力が得 られない孤独感などを持っており心理的にも非常にネ安定な状態であることが伺える。ま た,それらは一般的傾向と考えられる。(表1−6). 表1−6 母親の不安・悩みの実態 〔1)母親の悩み. ①子どものことが心配で,母親の気分が落ち込み,夜眠れず,食欲がなくなった。(94.3%) ②初め仮病だと思い,無理やり学校へ行かせようとして子どもの抵抗にあった.(88.6%). ③子どもの将来について不安に思う。また登校拒否の後遺症が将来残るのではないかと心配だ。 (88,2%) ④子どもの勉強の遅れが気になって仕方がない。(88.2%) ⑤親のしつけ方や育て方のせいで,子どもが登校拒否になったと思い,自信がなくなった.(88。2%). ⑥心配になって登校拒否に関する本を読みあさった。(85.7%) (2)夫婦関係の悩み. ①夫にもっと子育てを手伝ってほしいと言ったことがある。(81.8%) ②子どものしつけ方について夫婦が口論することが多くなった。(45.5%) ③母親のせいで子どもが登校拒否になったと夫から言われたことがある。(42,4%) (3)舅・姑との関係の悩み. ①子どものことで母親と舅・姑との問で衝突することが増えた。(39.1%)’ ②母親が甘やかすから子どもが登校拒否になったと舅・姑から言われた。(30.0%) (4)親戚との関係の悩み. ①親戚が子育てについて干渉してきた。(67.7%) ②親戚に子どもの登校拒否は親のしつけ方や育て方のせいだと言われて落ち込んだ。(43.8%). (筆者により,一部抜粋). このように,不登校の子どもを抱える保護者,特に母親は精神的に不安定なため,子ど ものもつ不安を受け止めることができなく,かえって母親の不安定が子どもを動揺させる 結果につながっていく。. 14.

(18) また小野(1985a)の提唱する「登校拒否児の親の変化段階」(表1−7)から,第1期 から第二期の母親は精神的に混乱しており,子どもへの有効な援助ができるような状態で ないと思われる。そのような状況の中では不登校の子どもの援助だけでなく,その保護者 への心理的援助が必要になってくるであろう。そうすることで心理的安定感を得るだけで なく彼らに接する態度に変化がみらる。さらには母親が自分自身に目を向け,より自分ら しく生きていけるようになると考えられる。またその母親の心理的成長に伴い家族力動が 変化し,「登校拒否児の親の変化段階」の第IV期以降の変化がみられるようになる。. 表1−7 登校拒否児の親の変化段階 第1期 不安・混乱期 原因の理解も対応策も全く持たない,不安と混乱のみ大きい段階で,本人の状態,問題の経過,生育歴 などの事実を,脈絡もなく羅列する。. 第脾期 責任回避期 原因を考え始めるが,それを,学校,先生,友人に求めたり,他の家族に責任を転嫁したり,子ども本 島の改心を強く要求し,自分に目を向けることは厳しく拒否する。. 三田期 非解決方法探索期 問題解決へと向かい始めるが,その方向は積極的でも,真の解決につながるものでもない。 児童に対しては,分離不安も含む過保護的思考をしながら,一方では否定的な面しか見られない。 登校については,根拠のない登校期待を続ける。依存的要求や質問をするが,助言には抵抗が強い。. 第IV期 解決方法探索期 児童の積極的な面が見え始めることなどから,児童の理解がすすむ。 親自身の方に目を向けることができ始める。 親子の具体的関係をはじめ,身近な体験から,学習できるようになる。. 第V期 解決方法の探索と実践期 前段階の児童への理解,反省,親子関係や体験から学習にもとづいて,児童の変化・成長のための具体 的方法を考え,実行していく。. 第V嘲 親の変化期 親自身の変化,それと児童の変化の連動性を,具体的に述べることができる。 さらに,親自身の課題を見つけ,それを解決・達成していく。 第Vll期 終結期. 親自身の変化の要因を説明できる。. 子どもが登校拒否になったことを,積極的に評価できるようになる。 児童の登校拒否の問題が,家族全体に与えた積極的意味を述べることができる。 第Vl闘期 親の問題解決. 児童の登校拒否の問題が一段落つくと,あるいはその問題解決の過程と併行して,親の関係の問題がは かられていく。. それは,夫婦関係を中心にした家族関係の問題解決と,親の人間としての成長と自立である。 必然的に,親の生き方の見直しが含まれてくる。. 15.

(19) (2) 教師の心理 立場は違えども教師も,児童生徒が学校に登校しなくなり,また登校渋りをすると,何 とか登校させねばと苦労するが,それでもなお登校できない状態になると次第に焦りを強 め,心の中に激しい葛藤が生じて不安が強まるというのが一般的である。向後(1994)は 教師の焦りが生じる要因を,「登校拒否を正しく理解していない」「自分の責任と思いこみ,. 問題を抱え込んでしまう」「親への対応の仕方がわからない」としている。また,その背景 には,「学校として,全体的な組織としての取り組み指導体制ができていない」「親に対す る援助についての研修がなされていない」「再登校を目標にするため焦り,無力感に陥る」 があると指摘している。. 第2項 グループ・アプローチ (1) 定義. 野島(1982)はグループ・アプローチを「個人の心理的治療・教育・成長,個人間のコ ミュニケーションと対人関係の発展と改善,および組織の開発と変革などを目的として,. 小集団の機能・過程・ダイナミックス・特性を用いる各種技法の総称」としている。また これには,グループ・サイコセラピー(集団心理療法、集団精神療法),心理劇(サイコド ラマ),グループ・カウンセリング,グループ・ワーク,集団指導,集中的グループ経験な どが含まれる。筆者は本研究の「不登校を考える会」での実践をグループ・(サイコ)セラ ピーと位置づけ,「参加者自身の自己成長を目指し,また不登校の問題やそれに派生する悩. みをもつ保護者・教師に対して,複数のスタッフが,言語的コミュニケーション,人間関 係,集団内相互作用を介して心理的に援助していく営みであり,それが子ども・生徒への 自立への援助につながるもの」と定義している。. (2) グループ・アプローチの治療的要因 グループ・アプローチは個人面接のような個人アプローチと共通の治療的要因とともに,. グループ・アプローチ特有の治療要因がある。野島(1999)は共通な要因(表1−8)と 特有な要因(表1−9)を次のように示している。. 表1−8個人アプローチ,グループ・アプローチに共通な要因 ①受容:他者に温かく受け入れられることにより,自信や安定感が生まれる。 ②支持:他者からのいたわりや励ましによって,その人の自我が支えられ強められる。 ③感情転移:他者に対し,その人にとって重要な人との関係が再現される。 ④知性化:知的に理解したり,解釈をして不安を減少させる。 ⑤カタルシス:自分の中の抑えていた感情を表出することで緊張解消が起こる。 ⑥自己理解:自分自身の自己概念・行動・動機などについて前よりも理解が深まる。 ⑦ガイダンス:他者から,その人に役立つ助言や情報が得られる。. 16.

(20) 表1−9 グループ・アプローチに特有な要因 ①. 愛他的:自己中心的傾向を抑えて,他者を温かく慰めたり親切な助言をすることで,他者を助ける ことができる喜びによって安定感,生活意欲が高まる。. ②. 観察効果;他者の言動を見聞きするなかで,自分のことを振り返ったり,見習ったりする。. ③. 普遍化=他者も自分と同じような問題や悩みを持っているということを知り,自分だけが特異でな いことを自覚し,気が楽になる。. ④. 現実吟味:家族関係,人間関係の問題をグループのなかで再現し,その解決法を試行錯誤しつつ学 ぶことで自信を持ち,適応能力が高まる。. ⑤. 希望:他者の成長や変化を目の前にすることによって,将来に向けて希望が持てるようになる。. ⑥. 対人関係学習:話したり聞いたりすることを通して,自己表現能力や感受性が高まる。. ⑦. 相互作用:グループ担当者とメンバー,メンバー同士でお互いに作用しあう。. ⑧. グループ凝集性:グループとしてのまとまりが相互の援助能力を高める。. また,小野(1999)は,「親への援助で子どもの問題形成における親の影響力を転換すれ. ば,子どもの問題を軽減できる」との方針で,不登校児の「親のグループ」を実践し,そ. こから親への援助要因を4つ挙げ,さらに下位分類として13の援助要因を提唱している。. (表1−10). 表1−10 親への援助要因(その1) 1.心理的安定のための援助要因 ①孤立的不幸感からの開放:子どもの不登校で陥った絶望感孤立的不幸感から参加者達を解放する要 因である。. ②自由で安全な雰囲気:最初はFaによって,そのうち全参加者によってかもしだされるグループの雰囲 気であり,参加二二に様々な模索を保証する要因である。参加二二が感じとるのは,参加の自由,発言 しない自由,発言強制からの自由,話す内容の自由,話す脅威からの自由と安全感である。参加者達は, メンバーの同質性への親近感からこれらの自由を感じ,大きな心理的安定を得る。. ③受容:傾聴と尊重を中心とした情緒的支持を参加者達に与える要因である。親達は仲間からの受容を 体験でき,自己開示やカタルシスにつながる。被受容体験は,「気分よく話し,聴ける被傾聴体験,自分. の問題を共に大切に考えてくれ,愛情すらも感じられる被尊重体験,相互受容体験である。この被受容 体験によって親達は子どもを受容できるように変化する。. ④共感と理解:肯定的な情緒を伴う全参加メンバー問の正確なコミュニケーションである。子どもの将 来の不安,親の責任を追及,非難される辛さ,養育失敗という自責感協力の得られない孤独感などは, このグループでやっと理解してもらえる。この要因が働くには先述の被傾聴体験と同じ悩みをもっとい うメンバーの同質性が重要である。. ⑤カタルシス:参加メンバーの閉じ込められている情緒に風穴を開ける要因である.ここでは安心して 泣き,他のメンバーの発言に揺さぶられて涙する。. 17.

(21) 表1−10 親への援助要因(その2) ⑥将来の希望:絶望のどん底に落ちた参加者達が,将来の展望と希望を抱く要因である。親と子どもへ の変化への希望が生じるには,まず,親達の心理的安定と『本当に変われるんだ』と思える親自身につ いての希望が必要である。. 2.変化に向けての援助要因 ⑦対人関係の学習:この要因は,参加者達がグループ内の人間関係の中から,親子関係に有効なものを 選びとる可能性である。まず,Faと自分や他のメンバーとの関係の自分にとっての意味の理解から,参. 三者達は自分と子どもとの関係の見本としてFaの非支持的,傾聴的態度を学習することが多い。この 学習は,他の人間関係にも拡大する。この援助要因の有効化には,Faが権威の座から降りる一層の努力 が必要であろう。. ⑧他のメンバーを通しての自己理解:この要因は,他のメンバーの姿の中に自分の姿を見ての,自己客 観視と新しい自己理解を可能にする。. ⑨他のメンバーの洞察などからの学習:参加者達が生活経験のなかで学習と洞察を,親子関係を中心に 報告しあう中から,自分に有用なものを学び取れる要因である。参加者達は強い衝撃を受けながら受入 れ,学習していく。. 3.変化のための要因 ⑩理解の変化への刺激:参加メンバーの,子どもとその問題についての認知と理解変化を促す要因であ る。親達が刺激を受け,変化するには,(a)親子関係,(b)学歴志向緩和,(c)価値観,(d)子ど もの問題の積極的受容,(e)問題長期化受容,(f)これらの刺激からのエネルギーの獲得,である。. ⑪行動の変化への刺激:参加者達の行動に変化を生じさせるような,メンバーとFaの行動やグループ の雰囲気を含む全刺激である。それらの刺激から,(a)助言を受け入れる,(b)助言受容による子ど もの不登校問題への対応変換,(c)他メンバーの体験談取り入れ,(d)参加四達の真剣な姿勢による 変化への意欲鼓舞・支持,変化の相互刺激(e)学習会出席による様々な変化を語れる,を得る。. ⑫価値観転換の見本;主に先輩メンバーに見出す自分の望む価値観への転換の見本である。この要因が 促進的役割を果たし,援助要因⑩と⑪が効果的に働く。その転換には強い心理的支持,代替価値観,そ の安全性例示が必要である。. 4.その他の要因 ⑬情報・ガイダンス:この要因は,Faとほかの参加者達が提供する不登校に関する情報とガイダンスで ある。参加者が求めさえずれば必要な様々な情報が提供される。. この13の援助要因は,①から⑬と進んでいくなかで,グループの持つ援助機能の深ま りや,参加者の心理的成長の過程をも表している。すなわち,先述したように,不登校に 関わる保護者は抑うつ感,焦りや不安,自責感,被叱責感,孤独感などを持ち,心理的に も非常に不安定な状態である。しかし,同じような悩みを抱えた他の保護者と同じ場所・ 時間を共有することは,「我が子だけではない」「苦しみ悩んでいるのは私だけではない」. 18.

(22) といった孤独感からの解放につながっていく。また,グループで,自らの焦り・いらだち・. 苦しみを同質の参加者の中で吐露することで,他者から受容され,共感される体験を通し て,精神的な安定を取り戻していくのである。また,他の参加者の体験談を聴くことは, 我が子と照らし合わせ,また自身と照らし合わせながら,我が子のこれからの見通しを持 ち,今までの子どもへの関わりを考え,自己理解・子ども理解へとつながっていくのであ る。さらに,グループ内での他の参加者やファシリテーターとの交流から得られる被受容 体験被傾聴体験は,今までにない人間関係行動の理解につながっていくだろう。それが, 不登校をしている我が子への関わり,また家族への関わりの変化となり,家族力動に変化 がみられるようになる。. しかしこのようなグループにもマイナス要因が内包しており,メンバーの参加中断は避 けられないと小野(2000a)は指摘している。そのマイナス要因とは,①ファシリテーター. の問題②「グループ」運営上の問題③参加者の期待④参加初期の劣等感⑤自分自 身と向き合うことからの逃避,⑥子どもの変化遅延による親の不安の高まり,⑦他のメン バーから学べない,⑧子どものプライバシー侵害への罪悪感,⑨先輩メンバーたちの経験 年数:,としている。さらに,小野は①∼⑨のマイナス要因を次の3つに分類している。. (1)ファシリテーターの課題であるもの…①,② (2)主として参加者の内部での解消が必要なもの…④∼⑦ (3)ほとんど不可避的なもの…③,⑧,⑨ 小野のこれらのマイナス要因の指摘から,それらを軽減し,また中断防止にはファシリ テーターの役割が重要になってくると筆者は考えている。そのためには,参加初期にその 場の雰囲気に馴染めない参加者に対して,特に支持的な関わりが重要である。また,参加 者の発言に対して共感的な応答が必要になってくるのはいうまでもない。特に,ファシリ テーターは参加者に対して,継続的に参加することに意味があり,また常に門戸を開けて いることを伝えていく必要があると考えている。. 19.

(23) 第3項. 「不登校を考える会」でのファシリテーター. ファシリテーター(以下,Fa)は,グループの中で参加者たちの防衛を少しでも取り 除き,その場が参加者にとって心理的に安心感を得て,自由な表現ができるように,また お互いに信頼し合える人間関係を促進し,それを通して各人の自己理解が進むように援助 する役割を持つ。そのFaの役割を小野(2000b)は,(1)参加者の助言を促す,(2)コミ ュニケーションの軌道を守る,(3)子どもの言動の理解を助ける,(4)体験談を引き出 す,(5)親子関係の理解を助ける,(6)関連する情報を提供する,(7)自分も関わって いく,(8)親子関係における「親のモデル」になっていく,(9)メンバーの動揺を静め る,(10)「親のグループ」の目的,意味を確認する,(11)メンバーの知恵を集配する,と している。. 前述したように,子どもが不登校の状態になれば,保護者は動揺し,不安な状態になる。. その不安さゆえ,子どもへの登校に関する働きかけが強まり,結果的に子ども自身も混乱 し,不安定な状態に陥ってしまう。またそれが保護者へのさらなる動揺,不安定につなが り,その状態が子どもへと返っていく。まさしく共ぶれの状態である。また,動揺し,不 安定な状態にいる保護者に対して,教師や親戚,知人・友人の常識的な助言指導が加わり, それが子ども,保護者をかえって苦しめる結果にもなっている。. 本会のFaは,会に参加する不登校に関わる保護者,すなわち同質性の集団の中で,ま た「経験者」からの関わりの中で,そのような悪循環を断ち切り,好ましい循環が生じる よう支援するように心がけている。 また,参加する教師においても,「不登校理解」につながると同時に,「自己への気づき」. が起こり,また保護者とFaのやり取りから「保護者への対応の仕方」が理解できる場を 提供し,教師は保護者をよりょく支援できるものと筆者は考えている。. 20.

(24) 第3節研究目的およびその方法 第1項研究目的 不登校に関わる「保護者の会」や「教師の会」は多く報告されているが,不登校に関わ る保護者・教師が一堂に会する「保護者・教師の会」についての実践的研究はいまだ十分 なされていないようである。. 子どもが学校へ行きづらくなり,また学校へ行かなくなると保護者は,まず教師に子ど もの現状を報告し,初期の段階では,どのようにすれば学校に登校できるかという方法を 仰ぐことが多いようである。しかし,保護者は教師から常識的な対応をされることが多く あり,かえって保護者の被叱責感,自責感をつのらせ,保護者自身を苦しめることになる 場合が多い。そのような保護者と教師の関係から,両者が協力し合いお互いを支え合いな がら,子ども・生徒を援助していくという本来の姿からかけ離れていく傾向にあるように 思われる。. 筆者らは1995(平成7)年にA府私立中・高等学校カウンセリング研究会の一部会とし て「不登校を考える会」を発足した。筆者は,保護者の焦りや不安,いらだちといったも のを同席する教師が聴き,また教師自身も焦りや不安を保護者に吐露することで,両者の 立場の違いを越え,お互いを理解し合い,支え合うことが,今不登校をしている子ども・ 生徒の援助につながると考えている。. 心理的に成長するためには,保護者は参加者との関わりの中で,大丈夫,やっていける と希望や自信を回復し,また自身に目を向け自己洞察を深めていく必要があるだろう。教 師も同様で,保護者の焦りや不安を感じ,どうすることが保護者の支援につなげられるか を考え,さらに自己洞察を深めていくことが必要であると考えている。. 保護者と教師といった立場の違いを越え,参加者がこの会を通して「出会える」ことを 真の目的と筆者は考えている。しかし,会を運営していくなかで「保護者の会」「教師の会」. といった単独の会でない「保護者・教師の会」のもつ問題点も表出している。本研究は,. 本会に参加する保護者・教師の関係を明らかにし,今後の会の運営に役立てたいと思って いる。また,後発するであろう「保護者・教師の会」の持ち方の指針になればと願ってい る。よって本研究は,参加者を調査対象とし,以下に示す目的に基づいて実践研究する。. ① 保護者・教師は共に不登校の子ども・生徒の自立を援助することを目的にもち,お互. いに理解し支え合い,学び合い,協力し合いながら彼らに接することが理想であるとい う信念を持ち,筆者は会を運営している。しかし一堂に会したとき保護者と教師の参加 姿勢には違いがある。本会での,その違いを明らかにする。. ②本会発足当時から発行している「会報」が読者にどのように受け入れられているか。 また,どのような形で役立っているかを調べ,「会報」のもつ意義を検討する。. ③本会に継続して参加する保護者が,自らを語り,参加者の話を聴くことでどのように 心理的成長を遂げたか。それにともない子ども,家族がどのように変容したかをグルー. 21.

(25) プ・アプローチの観点から考察する。. ④保護者・教師が本会に参加することの意義を検討する。. 第2項 研究方法 筆者は「不登校を考える会」の設立に大きく関わり,他のスタッフと協力し合いながら 会の運営,会報の発行を現在まで続けている。. 筆者は裏方として,またファシリテーターの一人として本会に参加し,会の展開や保護 者・教師といった参加者間の力動性を観察している。また,参加者には終了時アンケート を実施し,それをもとにスタッフ間で毎回,検討会を実施し,次回の会に活かせるよう,. また会報の掲載記事についても方針を立てている。さらに,会員や各学校への「不登校を 考える会」についてのアンケートを実施し,参加者のニーズを知り,それに応えるために は何が必要か,また参加者の心理的成長につなげるにはどうすればよいかを考察してきた。 今回は,この7年間のデーターをもとに総合的に記述し,考察する方法で研究を行った。. 22.

(26) 第2章 「不登校を考える会」での実践 第1節 「不登校を考える会」設立の主旨と発足 第1項 設立の主旨と発足 不登校に関わる保護者の多くは,子どもへの対応の仕方が全くわからないという困惑と,. 将来への不安から精神的な疲労を訴える。また教師も同様であり,自分の学級から不登校 生が出たことに何となく責任を感じ,周りの目を気にしながら解決を焦るのが現状のよう である。そういった不登校の子ども・生徒に関わる保護者・教師が相互交流を通して,お 互いを理解し,支え合い,学び合うことで,参加者の心理的成長につながると予想される。. また,それにともない不登校の子ども・生徒に対する保護者・教師の対応の変化および教 師の保護者への援助する力を強化できると考えている。. 保護者・教師といった立場の違う者同士が一堂に会して,グループで率直に話し合い,. 支え合い,学び合う場を作りたいという筆者の思いで,A府私立中・高等学校カウンセリ ング研究会の一部会として,1995年(平成7年)9月に,「不登校を考える会」(以下,本 会)を発足させ,現在に至っている。. 第2項 「不登校を考える会」の組織づくり (1)参加の呼びかけ・案内 本会発足の約3ヶ月前から,上記のカウンセリング研究会を通じて,「不登校に関心のあ. る保護者・教師」に本会を紹介して欲しい旨の案内をA府下の私立中・高等学校へ送付し た。また,それと同時に筆者が勤務校で相談に関わっている,また以前に関わった保護者. に理解を求め,参加の依頼をした。第1回目の会に参加した保護者は筆者が関わった方ば かりであったが,徐々にでも各学校を通して本会が保護者・教師に広まっていくことを期 待しての門出であった。. 現在は,発行している会報に開催日時,場所を明記し,・会員(本会に参加した経験をも. ち,会報を希望する者)やA府下の私立中・高等学校全校に案内をしており,教職員から 該当生徒の保護者への案内を願っている。また,年2回実施している特別企画については, 新聞掲載や民間のカウンセリングセンター受講生への案内も行っている。. (2)対象地域および参加者構成. A府下の私立中・高等学校に勤務する教職員およびそこに在籍する生徒の保護者を対象 として「不登校を考える会」を発足した。A府下の私立中・高等学校は約100校存在し, 府下の申・高等学校の生徒数のうち私立中学校生徒数および高等学校生徒数の占める割合. はそれぞれ約6%,約30%となっている。発足当初は,A府下の私立中・高等学校に関わ る参加者のみであったが,徐々にその輪が広がっていき,発足7年目を迎えた現在は,A 府に隣接した他府県の公立・私立の小・中・高等学校の不登校に関わる保護者・教師の参. 23.

(27) 加,またカウンセラー,学生などの参加も受け入れている。. 筆者は「不登校」の本態を表1−4に示した「神経症的登校拒否」と位置づけている。 これは「人間関係の不調により,学校へ行きたくても行けない状態にあって,学校に強い 不安や葛藤をもっていること」と定義している。しかし,筆者の思いとは違う「不登校」,. 例えば表1−4で示した「非行・怠学的登校拒否」「無気力的登校拒否」に関わる保護者も 少数ではあるが参加している。ただ,そのような状態の子どもの保護者が本会に継続的に 参加することで,子ども・保護者の関係改善がなされ,それまでの問題が軽減されること があることもっけ加えておく。. (3)会則および基本理念 本会発足に際して,スタッフで話し合い,以下の会則および基本理念を設定した。 (会 則). 1.名称:この会の名称は「不登校を考える会」とする。. 2.所属:この会はA府私立中・高等学校カウンセリング研究会の事業の一環として行う。 3.目的:この会は不登校に関わる保護者や教師の悩みを率直に出し合い,相互の交流を 深めるなかで,子どもたちの自立への援助を目的としている。. 4.会員:不登校で悩む保護者や教師,あるいはこの会が認めるものは会員となることが できる。. 5.例会:原則として本会は毎月1回以上開催することとする。. 6.会費:この会の運営費(通信費,資料代など)として会費500円(会費は参加した ときに納める)を徴収する (基本理念). 1.本会は,不登校に関わる人たちが率直に話し合い,支え合う場とする。 「学校へ行きづらい」「学校へ行けない」子どもの周りにいる大人は,彼らと同じように. やりきれない思いや苦しい思いを持ちながら日々生活をしていることが多く,それを誰に も言えず,思い悩み,焦り,考え続けることが多いようである。本会はそのような思いを. 語り,その思いを参加している者が聴く6それぞれが自由に発言した内容が,それを聴い ている者の心に響く。話が自然に流れ,参加している保護者・教師という立場を越えて, お互いが一人の人間として,その場にいることを実感し,悩みを共有できたと感じたとき,. 参加者の心理的な負担の軽減が図られると考えている。また,それが直接的あるいは間接 的に「学校へ行きづらい」「学校へ行けない」彼らへの援助にも通じるものと思われる。 2.本会は,不登校に関する学びの場を提供する。. 時には,会に講師を招き,不登校に関わる学びの場を持ち,また,不登校を経験された 方やその保護者の話を聴く場を多く持ちたいと思っている。知識・理論に立脚し,体験談 を聴くことにより調和のとれた会になると考えている。. 24.

(28) 第2節 「不登校を考える会」の運営 第1項 会の構造 ほぼ月1回(年間約7回)木曜日の午後2時から2時間,A府私学教育文化会館の一室 (20畳ほどの洋室)を借りて実施している。この会場は,JR,地下鉄,私鉄の沿線に あり,他府県の参加者にとっても立地条件がいい場所である。また,時間の設定について は保護者(特に母親)が外出しやすい時間帯を考えた。部屋の使用料については,A府私立. 中・高等学校カウンセリング研究会の上部団体であるA府私学教育研究所から支払われて おり,「不登校を考える会」からの支払いは一切していない。定例の会では,机を取り払っ. た会場で,保護者・教師が輪になって椅子に座り進行していく。あらかじめ与えられてい る「議題」や「テーマ」は何もなく,ただ「不登校について一緒に考えていきましょう」 ということが決められているだけである。また本会は,参加者がどのセッションからでも 参加でき,また区切りを設けず,出席も中断も自由なオープンシステムを採用している。 本会は,参加者の自己理解や他者理解が促進することを第一の目標として,ベーシック・ エンカウンターグループを基本として発足した。しかし現在では,グループ・セラピーの. 色彩が強くなってきている。これについては,第4章第2節で記す。 年2回の特別企画(パネルディスカッションや講演)は約100名を収容できる会場で, 講義形式で実施している。. 第2項 ファシリテ川留ーの構成 本会は4人のファシリテーターで会を進めている。、ファシリテ一遇ー1(以後Fa1)は. 高校教諭,臨床心理士,男性50代前半。ファシリテーター2(以後Fa2)は大学講師, 臨床心理士,男性40代前半。ファシリテ一下ー3(以後Fa3)は高校教諭,学校カウン セラー,男性40代前半。ファシリテーター(以後Fa4)は高校教諭,学校カウンセラー, 男性40代前半。. この4人のファシリテー喪心が参加者の自己理解や他者理解が促進するように本会を進 めている。また4人の役割は,暗黙のうちに大まかにではあるが決まっている。個人カウ. ンセリング的関わりを持つFa1,参加者の発言をまとめ,全体ヘフィードバックしてい. くFa2,事務的な運営を兼ね,より自己一致した関わりを持つFa3,そして,会全体 を進行していくFa4である。それぞれが本会の雰囲気を作り出しているが,それぞれが 統合された「場」作りこそがファシリテーターの最も大切な役割である。. 本会で話された内容は決して外部に漏れることなくプライバシーが守られていること, またそれぞれの意見や考えが尊重され,発言したくないときにはしなくてもいい雰囲気作 りをファシリテーターが心がけていることも強調しておきたい。. 25.

(29) 第3項 会の進行 現在,定例会の進行は概ね次のようになっている。. ①開会の挨拶。 ②初めての参加者のために,会則・基本理念を簡単に紹介。 ③「前回から今回の問で,何か気づかれたことや経験されたことなど,話をしていた だけることがありましたら,お話ください」と提案する。順番に話をするのではな く,話をしたい人から自由に話し始める。. ④話が出にくいときには,Fa4から一教師としてのつらさや迷い,また親として子 育てに対する不安な思いを開示することもある。しかし基本的には参加者から発言 してもらい,それを聴き,お互いに支え合うことに重きを置いている。. ⑤Faは,会がスムーズに進行するために,話をしている人の感情に沿って聴き,ま た,その人の思いが深まるような言葉がけを常に行っている。. ⑥閉会にあたって,終了時アンケート(図2−1)を実施する。 ⑦閉会の挨拶,次回の案内。. 26.

(30) よろしければお答えください 会を終えて,どのような感想をお持ちでしょうか。今後の会の運営に役立てたいと思いますの で,よろしければご協力をお願いします。 1 今,. どのような感じでおられますか。○をしてください。. 言いたいことは 5. 言える. 会の中で私は. 5 大切にされる. 会は私にとって. 4. 4. どちらでもない. 5. 4 かなり役立つ. 5 非常に満足. 4 かなり満足. どちらでもない. 3. 少し大切にされる. とても役立っ. 会に. 2 少し言いにくい. 3. かなり言える. 2 少し大切にされない. 1. 言えない. 1. 大切にされない. 2 少し役立たない. 3 まずまず. 1. 役に立たない. 2. 3. 1. 非常に不満. 少し不満. まずまず. (コメント). 1. この会についての提案・感想・質問などがあれば何でもお書きください。. (よろしければ)○をつけてください 保護者 ・ 教師 ・ その他. (. ). 図2−1 終了時アンケート 会を終了した後も,参加者の一部は残り,ファシリテーターに歩み寄り,会では話せな かったことを個人的に聴いて欲しいという申し出がある場合が多い。もちろん,時間の許 す限り聴き,そこから個人カウンセリングに発展することもある。. また,顔なじみになっている保護者同士は「二次会」と称し,連れ立って行かれる姿を 見かけることがある。小野(2000c)は,この「二次会」の意義について,「セルフ・ヘル プグループの機能」「グループの補助的意味」があると指摘するように,場所をかえ,会で. は話せないことでも保護者同士のなかで,会とはまた違った会話が進み,お互いの情報を 交換し,勇気づけ合っているのではないかと想像する。学校や地域を越え,不登校に関わ る保護者同士の「出会える場」として,会の果たす役割の大事なひとつであろうと考えて いる。. 27.

参照

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