配偶者間介護と家族ダイナミックス : 介護者の語りをとおして
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(2) 甲南女 大学研究紀要第 39け F。. 人間科学編 (2003イ 113月. ). 族 ライフスタイル」 の一つ として,「 介護 ライフス タ 1。. イル」 として認識 される兆 しが生 まれつつ ある. は じめ に. 日. (春. 井 ,1999)。 老親介護 にお い ては制度面 での強制力 は 超 高齢 化 社 会 へ の 道 を驀進 して い る わが 国 にお い. もはや強 くな く,老 親 とその子 ども. (特. に既婚子 )は. て ,2000年 4月 介護 保 険制 度 が 導 入 され た こ と もあ. 境界の明確な一つの家族集団 に属す る存在 とい うよ り. り,高 齢者 介護 にた いす る関心 は研究者 のみ な らず 一. も,よ り包括的な親族 ネ ッ トワー クや地域社会 の なか. 般 の 人 々 にお い て も高 まってい る。 この ような趨勢 の. に位置付け られ,個 人の主体的選択性 の もとに,多 様. 中で ,介 護 に対す る人 々の選好 に目を向ける と,介 護. な「介護 ライフスタイル」 が模索 されてい る。. の 担 い 手 と して最 も期待 して い る相 手 は,男 女 と も 「配偶 者」 で あ る とい う (例 えば ,2001年 「 国民 生 活 選好 度調査」 に よる と,「 配偶 者」が 66%と 3分 の 2. 今 日,自 らの心 身 も衰えつつ あ る高齢者が,極 めて 過酷 な労働 で ある介護 にかかわる とい う「老老介護」 は,高 齢者夫婦 のみ世帯 の増加傾向に裏打 ちされて. ,. しか し,有. 高齢者 介護 をめ ぐる重大 な トピックスの一つ となって. 配偶男性 の 8割 強が妻 に よって看取 られて い るの に対. きて い る。本稿 で は,今 後 主要 な介護類型 となる と予. し,有 配偶女性 の半数弱 しか夫が主 たる介護者 にな っ. 測 されて い る配偶 者 間介護 が ,な ぜ この よ うに規範拘. て い な い と い う現 実 が あ る ((財 )日 本 女 性 学 習 財. 束的 で あるのか ,老 親介護 の よ うに介護 の ライフス タ. 団 , 2002: 28)。. イ ル化 が進 行 しな いの か とい う問題 意 識 に立 って い. を占め て い る 三内 閣府 ,2002:36-38)。. 家族 介護 が ジ ェ ン ダ ー の 視 点 か ら取 り上 げ られ るの. る。 これは戦前 に生 まれ親世代 とのかかわ りにお い て. は ,家 族 の 中 で 介護 者 と して位 置 づ け られ て きた の は. は直系家族制規範 を引 きず り,子 世代 との 関係 にお い. 女性 で あ り,中 高 年 期 に親 や 配偶 者 の 親 の 介護 に携 わ. ては夫婦 家族制規範 に先 導 され た,家 族規範過渡期 の. るの み な らず ,平 均 寿 命 の 男 女 差 ,夫 婦 の 年 齢 差 か ら. サ ン ドイッチ世代 の 問題 で あ るのか ,そ れ とも近 代家. して ,高 齢 期 にお い て も女性 は 夫 の 介護 者 と して の 重. 族 にお ける夫婦 関係 それ 自体が もつ 特 質 の ゆえなのか. 責 を担 わ されて い るか らである。そ して「女性 と介. を,介 護 をめ ぐる高齢者夫婦 の力動 的 な関係調整過程. 護」 についての問題視角のなかで も,従 来 は直系家族. を描 き出す こ とで検討す る こ とと した い。. 制の なご りとしての「嫁 による介護」 に焦点が当てら れることが常 であ った。 しか し夫婦家族制規範 の浸透. 2。. 分析 の方法. とともに,今 日女性 を介護 に縛 り付 けている第一の規 範 は,「 嫁 として舅や姑 の介護 をす るべ き」 とい うも ヽ のではな く,「 夫婦 は一′ 亡 同体」「夫 の世話 を妻がする のが 当然」 とい った近代 家族 の もつ「夫婦 愛 原理」 「性別分業原理」lに 基づ く規範 で あ る。 た とえ子 ども 2し てぃ て も,高 齢者夫婦 と子 ども家族 は 家族 と合居 別 々の単位 として認識 される傾向がある。そ して高齢 者夫婦 の どちらか一方が要介護状態 に陥った場合,ま ず第一責任 は配偶者 に帰せ られることは,法 律 の定 め. 本稿 で は,家 族 システム論 を援用 して ,高 齢期 の夫 婦 に展 開す る ダ イナ ミックス を検 討 す る にあ た り 1998年 2月 ∼3月 に阪神地区 でお こな った介護家族 ヘ ,. の イ ンタビュー調査 4の 事例 の うち,夫 婦 の一 方 が要 介護状態 にあ り (一 例 は過去 にあ った)他 方 が 存命 で あ る家族 の事例 を用 い た。 家族 システ ムは互 い に相互作用 して い る下位 システ ム か らなって い る とされ る. (カ. ン ター とレア ー (野 々. 山訳 ),1975:58)。 こ こで は,(1)介 護 者個 人 の シ. 3。. るところで もある. つ ま り現代 の配偶者 間介護 は,「 配偶者扶養原 理」 とい う制度次元 での拘束力 を有 して い るばか りか. ,. ス テ ム (2)夫 婦 関係 システム (3)介 護 をめ ぐる家族 ・親族 システ ム とい う下位 システム に,(4)外 部 シス テ ム (介 護 サ ー ビス,医 療 ,情 報 な どを提供す る地域. 「結婚 して独立 した子 どもは 自らの生殖家族 での生活 を第一 に考 えるべ き」 とい う「核家族 の 自律性原理」. 社会 ・友 人 ネ ッ トワー クな ど)を 加 えた 4シ ス テ ム を. によつて集団 の次元 での孤立化 を余儀 な くされ てお. 検討 す る。そ して 各 システムお よび各 システム 間 の 関. り,個 人の次元 において も「夫婦愛原理」 によつてが. 係 は,「 空 間」「時 間」「コ ミッ トメ ン ト」 お よび 「感. ん じが らめにされてい る。 このように現代 の高齢者介. 情」「勢 力」「意 味」 とい う 6次 元'に お い て検 討 され. 護 において,配 偶者間介護 こそが最 も規範拘束的な介. る。. 護類型 である とい うことがで きる。 他方 ,子 ども世代 にとっての老親介護 は,今 や 「家. ここでの「空間」 とは,単 なる介護 の場 をさすにと どまらず ,シ ステム間の閉鎖性 ―開放性 を提 える指標.
(3) 春 日井典 了^:配 偶者間介護 と家族 ダイナ ミックス. とな る。す なわ ち要 介護 者 と介護 者 か らな る 夫 婦 関. ニ ズム を分析 す る。. 係 ,家 族 関係 ,親 族 ネ ッ トワー ク,近 隣 ・友人 ネ ッ ト. 第 6の 「意味」 の次元 は,家 族行動 ,家 族 関係 につ. ワー クお よび よ り広範 なサ ポ ー トネ ッ トワー クにお け. い ての 家族 メ ンバ ー それぞれ の意味 づ けにかかわる次. る境 界性 が問題 となる。. 元 で あ る。 ここで は介護 の方 向づ けについ て家族 メ ン. 第 2の 「時 間」 の次元 で は,要 介護者 の 介護 ・健康. バ ー 間 で統 一 された感 覚 を共 有 す るにい た ってい るの. 歴 ,職 業歴 ,ま た要介護者 と介護者 の夫婦 関係歴 ,介. か ,あ る い は個 別 的 な意 味 づ けが行 なわ れ て い るの. 護 関与者 の ライフス テ ー ジゃ子育 て歴 ・職業歴 と介護. か ,ま た介護 を とお して家族 メ ンバ ー 間 の 関係 の再構. との調整が検討 され る。. 築 が 行 なわれ るのか ,ま た介護 が 肯定 的 に意 味 づ け ら. 第 3の 「 コ ミッ トメ ン ト」 とい う本稿 で新 た に取 り 上 げる分析概念 につい ては,詳 細 な説明 を加 えてお き. れ る こ とに よ り介護 者 が 「介護 者 ア イデ ンテ ィテ ィ」 を獲得 す るに至 るのか ど うかが分 析 される。. た い。「 コ ミッ トメ ン ト」 とは,家 族 ダイナ ミックス にお け るエ ネル ギ ー の指標 で ある。家族 メ ンバ ー や家. 3。. りをさす のみ な らず ,抽 象的 な思想 や観念 (例 えば母 性 イデオ ロギ ーや性 別分業意識 な ど)に 対 して も発達 す る ものであ る。. 分析 結 果 :配 偶 者 間介護 にお け る 家族 ダイナ ミックスの 6次 元. 族集 団 にた いす るぷ 晴的 かかわ りお よび契約 的かか わ. 事例分析から得 られた考察結果 を次元 ごとにまとめ ると次 のようになる。. そ こで 「 コ ミッ トメ ン ト」 を次 の よ う に類 型 化 し. 第一の「空間」次元は,配 偶者間介護 における家族. た。A「 関係性 コ ミッ トメ ン ト」 とは ,家 族 メ ンバ ー. ダイナ ミックスの分析 において注 目すべ き次元であ っ. との結 びつ きを保持す る こ とで得 られ るエ ネル ギ ー で. た。配偶者間介護 の第一の特徴 として,介 護が夫婦 と. あ り,特 定 の家族 メ ンバ ー に対 してのみ な らず ,家 族. い うダイア ド関係 において閉鎖的 に行 われる傾向があ. い って も主 観 的 な家族 )に 対 して も発 達 させ. り,特 に「妻 による夫 の介護」 においてその傾向が顕. 集団. (と. る。. 著 に認 め られた。 この「夫婦関係 システムの 閉鎖性」. B「 役 割 コ ミッ トメ ン ト」 とは,家 族 内役 割. ・. のゆえに家族 ・親族 システムお よび外部 システムヘ の. 夫 ・父 ・母 な ど)お よび家族外役割 (世 帯主 ・主婦 な. 開放性が低 くなっているのだが,他 方 の「夫 による妻. ど)へ の 同一 化 か ら得 られ るエ ネ ル ギ ー をさす 。 また. の介護」 においては,両 システムに対す る開放1生 が相. 本稿 で は,介 護役割 へ かか わ りか ら,「 介護 者役 割 コ. 対的 に高 い傾向が示唆 された。. (妻. ミッ トメ ン ト」 も射程 にい れて い る。. 第二の「時間」次元 については,長 期 にわたる夫婦. C「 契約 コ ミッ トメ ン ト」 とは,3類 型 の 中 で 最 も. 歴 の最終段階での「介護 とい うライ フイベ ン ト」 (春. 合理的 に説 明 で きるエ ネ ル ギ ーで あ り,互 酎‖ 性 の原理. 日井 ,1998)は , どの夫婦 にとって も調整にかな りの. によ り得 られ るエ ネル ギ ー で ある。 ただ し,財 産相続. 時間 を要することが示 された。配偶者間介護 は一般的. にかか わ る権利 義務 関係 に基 づ くもの か ら,「 昔受 け. には規範拘束的 な介護類型ではあるが,介 護歴 が 10. ヾ た恩 に報 い る」 とい った主観 的 ・′ 亡 1青 的 エ ネ ル ギ ー ま. 年近 くに及ぶ事例 では,夫 婦双方 の合意に基づ く「介. で広範 な もの を含 む。. 護 ライフス タイル」 に到達 してい る場合 もあ った。. 第 4の 「感情」 の次元 は,家 族 ダイナ ミックス にお ける結合 と分離 を指 し示す指標 で あ り,愛 情― 1曽 悪. ,. 第 三の「 コ ミッ トメ ン ト」 の次元 は,第 四 の「感 情」次元 と深 くかかわっていた。すなわち,夫 婦 はも. 尊敬― 軽蔑 ,喜 び― 悲 しみ とい った家族 メ ンバ ーお よ. とよ り「契約 コ ミッ トメン ト」 において相互扶養 の権. こでは介護行為 )に 対 して抱 く肯定 的. 利義務 を有 してお り,「 役割 コ ミッ トメ ン ト」 に重 き. び家族行動. (こ. をおいた夫婦関係 を築いてきた夫婦 は,一 方 の身体的. ― 否定 的感情 を扱 う次元 で あ る。 第 5の 「勢 力」 の次元 は,家 族 メ ンバ ー 間 の選好が. ・人格的損傷 に対 してある程度の感情的距離 をもって. 実際 に どの よ うに競合 し,交 渉 され ,合 意 にい たるの. 対処 で きるのだが,「 関係性 コ ミッ トメ ン ト」 を重視. か ,あ るい は合意 に至 らず決裂す るのか を,彼 らの勢. して きた夫婦 においては,配 偶者 との関係性 が 自らの. 力 関係 か ら観察す る次元 で あ る。本稿 で は,以 前 の夫. アイデンティテ ィの一部 となってい るがゆえに,介 護. 婦 の勢力 関係 か ら,一 方 が他 方 に圧 倒 的 に依 存す る よ. 者 は配偶者である要介護者お よび介護行為 にたい して. うになる,介 護者 ―要介護者 関係 に変化 した場合 の. 深亥Jな 「情緒的相克性」 を経験 す るこ とになって い. ,. 依存 と独立 の適切 なバ ラ ンス を維 持 しよ う とす るメカ. た。.
(4) 甲南 女千大学研究紀要第 39け. 42. 人間科学編 (2003年 3月. ). 第五の 「勢力」 の次元 も「感情」 の次元 と強 く結 び ついていた。夫婦家族制 において理想 とされる「平等. マ ル な援助 ネ ッ トワー クが 育 まれ る場合や ,外 部 か ら. 的」関係 を築いて きた夫婦ほど,介 護者 は要介護者 と. 合が多 い 。. の社会的 サ ー ビスの導 入が スムーズにお こ なわれ る場. なった配偶者 に対す る「情緒的相克性」 に苦悩 し,介 護者 ―要介護者 としての夫婦関係 の再構築が困難 とな. (事 例. 1)上 野 さん夫婦. 6. 上野 か な さんは 84歳 の 女性 で ,83歳 の 夫芳蔵 さん. っていた。一方 ,も ともと「家父長的」「夫優位」 と いった不平等な勢力関係 にあった夫婦 の場合,勢 力 の. と長男夫婦. 逆転あ るいは極端 な不平等関係 に陥 ることで夫婦双方. い る。5年 前 よ り脳梗塞 の後遺症 と して痴 呆 が進行 し. の否定的感情が噴出す る危険性 が示 された。. てお り,排 泄 ,衣 服 の着脱 ,入 浴 な どの 介助 が必 要 な. 第六の 「意味」 の次元 は夫婦あ るいは家族 ・親族が 共同的な「介護 ライフスタイル」 を築 き上げるにおい. 状態 である。 か な さん の 介護 は極 めて理 想 的 な親族 ネ. て極 めて重要な次元 である。 しか し,配 偶者間介護 に おいては,長 い夫婦歴 をとお して持続 して抱 いて きた. 助 は基本 的 には長 男 の妻 が 担 当 して い るが , 日常 的 に. イメージが最終段階 において壊 される こととな り,新. 男 の妻 が 長年続 けて い る週 3日 の非常勤勤務 時 には. たな夫婦関係 の 「意味づ け」が求め られることか ら. 近 くに住 むか な さん の 長 女 が食 事 の 用 意 を して訪 問. どの夫婦 にとって も過酷 な試練 を要する作業 となって. し,洗 濯 も して い る。 また県内 に住 む次女 や市 内 に住. いた。. む三女 も しょっ ち ゅう訪 問 して くる。 デ イサ ー ビス も. 以上の分析結果から,配 偶者間介護 においてライフ スタイル化が進行 しないのは,「 夫婦関係 システムの. 週 に 3回 利用 して い る。. 閉鎖性」および「配偶者間介護 における情緒的相克 性」 に起因しているとい う解釈を行 った。以下の節に. の 介護態勢 が整 ってい るのだろ うか 。確 か に恵 まれた 経 済力 に よ り,き ょうだ い が 気兼 ねな く出入 りで きる. おいて,こ の二つの問題点を事例 をもとに説明する。. 二 世帯住宅 とい う住環境 が あ り, しか も複数 の女性親. ,. (と. もに 54歳 )と 二 世帯住 宅 で生 活 して. ッ トワー ク型 介護 の典型 で あ る。 食事 の用意 と排泄介 は夫が見守 り,気 づ けば排 泄介助 も行 な ってい る。長 ,. か な さん の 介護 の場 合 ,な ぜ 傍 目 には羨 ま しい ほ ど. 族 が近 隣 に居住 して い る とい う,申 し分 の ない資源 を 4。. 有 して い る。 しか し面接調査 の過程 で ,か な さん の介. 夫婦 関係 システムの 閉鎖性. 護 にかかわ る子 どもたちの間 に,上 野 さん夫婦 に対す 住 み慣 れた 自宅 で行 なわれる こ とが 多 い 。 またわが国. る共通 の「意味づ け」が介護 を契機 にして生 まれてい ることが伺 い しれた。「父 は若 い ころ,今 の よ うに母. で は高齢者 の半数 が子 どもあ るいは子 ども家族 と共 に. の面伊1を みるタイプではなかったんです。で も今で は. 27),同 居 あ る. 父 は,母 が少 しで も長 く寝込 まないでそばで暮 して く. いは合居 の子 ども家族 か らの支援 を期 待 す る意識 が根. れるだけでいい と口に出 して言 うんです。 」 と長男 の. 強 くあ る。住 み慣 れた家で配偶者 に介護 され ,子 ども. 妻 は語 つた。「散 々母 に苦労 をかけて きた父が,介 護. 家族 か らも支援 を受 けて の介護 は,援 助資源 に恵 まれ. が必要 となった母 を優 しく世話 をして くれてい る」 と. たケ ース だ と一 般 には解釈 されて い る。. い う,子 どもたちによる「父母 の夫婦関係 の再構築」. 夫婦 は通常 同居 して い るこ とか ら,配 偶者 間介護 は. 住 んで い る ことか ら (内 閣府 ,2001:. ところが 実際 には ,今 日の高齢者 の 多 くは 「夫婦家 族制規範」 の一 つ であ る「核家族 の 自律性規範」 を内. が,彼 らが協 同的な「介護 ライフスタイル」 を築 く基 盤 となってい るのである。. 在化 してお り,た とえ子 世代 と居 を共 に して い て も. ,. は子 どもたちの生 活 が あ る」 と して ,高 齢者夫婦 が家. 介護 には「労働 としてのケア」 すなわち「ケア・フ ォー」 と「愛情 としてのケア」す なわち「ケア・アバ. 族 ・親族 内 で孤 立 して い る場 合 も少 な くな い。特 に. ウ ト」 とい う二 つ の側面が あ る とい われて い る. 「子 ども家族 には面倒 をかけ られ な い」「子 どもたちに. (笹. るのが当 然」 とい う 「性 別分業原 理」 力功日わ つて ,夫. 谷,2000: 11-12)。 前者 は食事 ,排 泄 ,入 浴 な ど要 介護者 の身の回 りの世話 をする ことであるが,後 者 は. 婦 関係 システムに介護 が 閉鎖 的 に封 じ込 め られ る傾 向. 直接手 を下 さず とも要介護者 を元気づ け,励 まし,配. が あ る。 一 方 「夫 に よる妻 の 介護」 は,反 対 に他 の家. 慮す るといった情緒面 でのケアをさす。理想的な介護 とはこの二つの側面が組み合 わさったもの とされてい. 「妻 に よる夫 の 介護」 は ,そ こに「夫 の 世話 は 妻 が す. 族 メ ンバ ー や親族 の支援 を受 け易 く,親 族 に よる援助 資源 が乏 しい場合 には ,友 人 ・近 隣 に よる イ ンフ ォー. る。.
(5) 春 日井典子 :配 偶者間介護 と家族 ダイナ ミックス. 夫 が妻 の介護 を直接担当す るに際 して,障 害 となる. 43. は,持 続 して妻や家族たちに共有 されていた。. のは「介護 は女性が行なうものだ」 といった性別分業. 林 さん夫婦 の場合 ,同 居 の次女夫婦 ,隣 居 の長女 と. 意識ではな く,こ れまでの固定的役割分業 の結果培 わ. 手助 けを頼 める親族 がそばにい るが,千 代 さんはで き. れてこなかった夫 のケア能力,家 事遂行能力の欠如 で. るだけ迷惑 をかけない よ うに気 を使 う とい う。「居候. ある。だか らこそ為すすべ の ない夫 に代 わって,回 り の家族 ・親族 メンバーあ るいは友人 たちが手 を差 し伸. 扱 い される こともあ ります。震災後立 て直 した家は若. べ ることになる。つ まり「ケア・アバ ウ ト」 はで きる. な こと言 うな と思 うこともあ りますけ ど,言 うたら喧. のだが「ケア・フォー」 がで きないのである。夫たち. 嘩 になるか ら。 これか ら世話 になるばか りやか ら,若. は妻 の介護 を忌避 してい るわ けで はない。そ の証拠. い人 の気持 ちを損 なわない ように してい ます。 」震災. に,か えって夫 で あ る介護者 の方 が,「 夫婦 だ もの当. を受 けて もび くともしなかった檜 の大黒柱 を もつ 築. 然 の こと」「夫婦 の責任 ,義 務」 として,強 い「夫婦. 100年 以上の屋 敷 を壊 した ことは,林 さん夫婦 にとっ. 一体規範」 か ら妻 に対す る介護 の動機 を語 ってい ると. ては「象徴財 産 の喪失」 (池 田,1997: 169)に よる. いう. 親子 の勢力関係 の逆転 を意味 していた。千代 さんは夫. (笹 谷 ,1999)。. い人名義ですけど,土 地 は私 らの ものなのに,お か し. そ こで次 に上野 さん夫婦同様 ,極 めて恵 まれた家族 ・親族資源 を有 してい る林 さん夫婦の事例 をみること. の介護 をほとんど一手 に引 き受けてい るだけでな く 子 ども家族 へ の「ケア・アバ ウ ト」 に も携 わる とい. で,「 夫 による妻 の介護」 と「妻 による夫 の介護」 の. う,過 酷な二重労働 に追 い込 まれていた。. ,. 比較 を試み よう。 (事 例 (事 例 2)林 さん夫婦. 3)東 郷 さん夫婦. 子 ども家族へ の過度な「ケア・アバ ウ ト」 までする. 林松蔵 さん (87歳 )は かつ て大企業 の経理 の職 に つ い て い た なか なか の 資 産 家 で,妻 千代 さん (82. 必要がないこ とを考 えれば,子 ども家族 とは独立 して ヽ 亡 理的負担 は軽 居 を構 えたうえで,援 助 を受ける方が′. 歳),次 女 (56歳 )と 婿 養子 (58歳 )と 同居 して い. いか もしれない。2年 ほど前 か らアルツハ イマー性痴. る。敷地続 きには長女一家 も住 んでい る。4年 前 に脳. 呆が進行 してい る東郷 一郎 さん (83歳 )の 介護 を し. 梗塞 で倒 れて左 半身不随 となった。当初 は凶暴 で,大. ている妻松子 さん (74歳 )は ,結 婚以来 「夫唱婦随」. 声 を出 した り,物 を投げた り,妻 をたたいた りして大. をとお して きた賢夫人で,見 るか らに上品で快活な奥. 変 だったとい う。排泄介助 など日常的な身の回 りの世 話 はすべ て千代 さんが担当 してお り,同 居 してい る次. 様 だ。近年開発 された都市型 コ ミュニテ ィの高層 マ ン. 女には昼 と夜 の食事 の用意 と千代 さんの肌着 の洗濯だ. 夫 の 日常 の世話 を一人で行なっている。県内に住 んで. け頼 んでい るとい う。. い る二人の虐、 子 の どちらかが,毎 週土曜 日か 日曜 日に. シ ョンの一室 で,週 1回 のデイケアを利用 しなが ら ,. 介護者 である千代 さんは松蔵 さんが週 2回 デイケア. 訪ねてきて,髭 をそった りお風 呂 に入れた り,買 い物. を受けてい るとき以外 は,ほ とんど一 日中 8畳 和室 の. や ドライブに連 れ出 して くれた りしてい る。「 (子 育 て. 夫婦 の部屋 で夫 に付 き添 っている。食事 もこの部屋 で. 期 にある)お 嫁 さんには向 こうの生活があるんで,こ. 夫婦二人で とる。千代 さんは「私 は翼 の とれた鳥みた. ちらか らは頼 め ません。 」 と言 う よ うに,息 子 には仕. いですわ。 どこへ も出かけられず,こ の辺でバ タバ タ してい る しかない。 」 と語 る。気難 しい松蔵 さんを疎. 子 の妻 事 の負担 にならない程度 の援助 を頼めるが,虐、 たちや孫 にまで迷惑 をかけた くない とい う。 デイサ ー. ましがって他 の家族 は減多 にこの部屋 にやってこない. ビス を利用す るようになるまでは,虐、 子 たちが来 て く. とい う。「夫 は 明治 の 人やか ら暴 君 で,す ぐに怒 る. れるのが土 日なので官公庁 ・銀行 などへ用事 で出かけ. し,ち っとも思 いや って くれないので腹 のたつ ことも. られな くて困 っていた とい う。. あ ります。 」千代 さんは この 部屋 の 隅 で読書 を した り,習 字 をした りして,黙 って耐えて,心 を落ち着 か せているとい う。. 一方「夫 による妻 の介護」 は,た とえ家族 ・親族資. 千代 さんにとって夫 の介護 は,妻 として当然為すべ. 源 に恵 まれてい ない としても,非 血縁の援助 ネッ トワ ー クを形成する可能性があ り,社 会的サ ー ビス利用ヘ. き義務 であ り,彼 女 の生活 をギリギ リまで拘束 してい. の垣根 も高 くない。同 じく高齢者ふた り世帯 であ った. るにもかかわ らず,仕 方 の無 いこ ととして受け入 れ ら. 岡田さん夫婦 と山崎 さん夫婦 の事例 を比 較 してみ よ. れていた。 また「明治生 まれの暴君」 とい うイメージ. う。.
(6) 人間科学編 (2003413月. 44. (事 例. ビス にた い して ,例 え │ゴ 「訪 問看護婦 さん の 世話 なん. 4)岡 田 さん夫婦 時 70歳 ). て ,私 の足元 に も及 ばない 。 この 人 の世話 は私 に しか. 時 73歳 )と ともに移 り住 ん だ 仮 設住. で きな い。 」 と辛 らつ な否定 的評価 を下 して い る点 は. 震災 に よ り自宅 を失 った 岡田弥 生 さん は夫 隆 さん. (当. ). (当. 宅 で転倒 し,頸 椎骨折 で病 院 に入院 し,ま った くの寝. 注意 を要す る ところであった。. た き りで全 面介助 が必 要 な状態 になった。震災直後 で 病 院 での 配食 サ ー ビスが な く,県 内 に住 む次男 一 家 も. 既存研 究 で も指摘 されて い る よ うに,「 夫 の 世話 を. 被 災 してお り,隆 さん も仮設住宅 か ら病 院 まで の通 い. す る こ とが 妻 と して の夫 へ の愛情 の証 だ」 と信 じて き. 介護 は容 易 ではな く,ま った く困 り果 てた状態 に陥 っ. た高齢女性 に とつて ,外 部 か らの 介護 サ ー ビスの導入. た とい う。当時 ,被 災者 同士 のボ ラ ンテ イア活動 が盛. は「妻 アイデ ンテ イテ イ」 を脅 かす もの と意識 され. ん に行 なわれ て い た こ ともあ り,弥 生 さんの昔 の部下. 拒 否 され る傾 向が あ る (春 日,1994)。. の知 人が 中心 とな り,岡 田 さん夫妻 の友 人 ネ ッ トワー. に よる夫 の 介護」 は家族外 システム を排 除 した介護 に. クに加 えて ,岡 田 さん夫妻 に とつては見ず知 らず の人. なる傾 向 があ る。 また ,援 助 を期待 で きる家族 ・親族. び とか ら編 成 され た,「 非 血 縁 の 援 助 ネ ッ トワ ー ク」. 資源 を有 して い て も,「 子 ども中心 主義」 を内在化 し. が 組織化 された とい う。食事 の 全面介助 が必 要 な弥生. た世 代 の 「妻 に よる夫 の 介護」 は ,家 族 ・親族 システ. さんが 45度 ほ ど起 き上 が れ る よ うにな る まで の 約. ムの なかで孤立す る傾 向が あ る。 こ う した こ とか ら. 3. ,. そ の 結 果 「妻. ,. ケ月間 ,月 曜 の朝食 か ら日曜 の 夕食 まで ,誰 が食事 を. 今後 主要 な介護類型 となる と予測 されて い る「妻 によ. 用意 して介助す るか とい つた ロー テ ー シ ョンが 組 まれ. る夫 の 介護」 は,固 定 的 な性別分業 を再生産 し,ま た. て 介護 が 行 なわれた とい う。. 介護 の社会化 の流 れ に竿 をさす類型 で あ る こ とに注意 す る必 要があ る。. (事 例. 一 方 「夫 に よる妻 の 介護」 は美談 と して取 り上 げ ら. 5)山 崎 さん夫婦. 子 どもの な い 山崎 定 吉 ・ カ ツ さん夫 婦 (夫 90歳. ,. れ ,夫 の ケア能 力 ・家事遂行能力 の 欠如 か ら家族 ・親. 妻 74歳 )に は,近 くに住 む 親族 もな く,ま た下 町 で. 族 お よび外部 か らの援助が スムーズ に導 入 され る。そ. 比 較 的近 所 づ きあ い の 盛 ん な地 域 に住 んで い るの だ. の結果 ,介 護態勢 は 開放 的 な もの とな り,介 護 の社会. が ,親 しか った 隣人 も震災で亡 くな った り,転 居 した. 化 も促進 され る。男性 介護者 は まだ少数 で あ るが ゆえ. 人が多 い とい う こ とで ,親 族 ・近隣か らの援助 を得 ら. に,そ の存在 自体 が介護 をめ ぐる ジェ ンダー規範 を揺. れ る環境 にはない 。 もと職業軍 人 の定吉 さん は恰 幅 の. り動 か す 可 能 性 が あ る と期 待 され て い る (笹 谷. いい体格 であるが ,脳 梗塞 によ り 9年 前 か ら歩行が困. 1999)。. ,. 難 とな り,現 在 で は寝返 りも自力でで きな く,痴 呆症. しか し配偶者 間介護 にお い て介護者 の役 につい て い. 状 も進 んで きて い る。聴力 も弱 ってお り,補 聴器 を使. るの は大多数 が女 性 である。 彼女 たちは,中 年期 には. って も他 人 とは意思疎通 で きな い が ,カ ツさんは夫 の. 残存す る 「 イエ 的直系制原理」 に基 づい て嫁 として舅. 目を見 た り,態 度 か ら夫 の意思 をほ とん ど理 解 で きて. ・姑 を介護 し,高 齢 期 には 「夫 婦 愛 原理」「性 別分 業. い る とい う。小柄 なカツさん も喘虐、 の持病 があ り,傍. 原理」 に基 づ い て夫 を介護 し,将 来 の 自 らの 介護 は子. か ら見 て到底妻 一 人で は 介護 で きない状態 にあ る。市. ども世代 には期 待 して い な い。家族意識 の過渡期 に生. の福祉課 の職員か ら何 度 も特別養護老 人ホ ームヘ の入. きて きた彼女 たちの立 場 の理不尽 さを痛感せ ざるを得. 所 を薦 め られて い るが ,山 崎 さん夫婦 二 人 の 強 い意思. な い。. で ,社 会的介護 サ ー ビス を導入 しなが らなん とか ,自 宅 で 介護 が続 け られて い る。面接 を行 な った配偶者 間. 5.配 偶 者 間 介 護 にお け る情 緒 的 相 克性. 介護事例 の なかで ,夫 婦双方 の 「主体的選択性」 が明 確 に示 され ,介 護者 と要介護者 の 共 同選択 に よる「夫. 「夫 による妻の介護」であれ,「 妻 による夫 の介護」. 近 い 介護 歴. であれ,配 偶者が要介護者 の第一の責任主体であるこ. を とお して形成 された こ とが確認 で きた唯 一の事例 で. とは明確 であ り,そ の責任 か ら逃れる ことは難 しい。. あ った。 ところで ,外 部 システ ムか らの資源 の導入 な くして. 配偶者 の介護 は長年 にわたる夫婦関係 の軌跡 の最終段 階に起 こるライフイベ ン トであるがゆえに,累 積す る. は成 り立 たない 山崎 さん夫婦 の ケ ースで さえ も,介 護. コ ミッ トメ ン トか ら生 じる責任の重 さは並大抵 の もの. 者 であ る妻 の カツさんが ,妻 役割 と競 合す る外部 サ ー. ではない (Finch&Mason,1993)。 この配偶者 を介護. 婦 に よる 介護 ラ イ フス タイ ル」 が ,10年.
(7) 春 日井典子 :配 偶 者 間介護 と家族 ダイナ ミックス. 45. す るこ とへ の重圧 を,介 護者 が 要介護者 や介護 行為 に. い た」 と綴 り,「 (病 院や老 人保健施設 で は)完 全介護. 対 して感 じる両面 感情す なわち 「情緒 的相 克性」 の な. とい って ,私 が 充分 に看護 してや らなか ったのが 今 の. か に見 出す こ とが で きる。 なか で も配偶 者 に対 す る. 私 の 大 きな悔 い で す」 と語 った。妻 に対 して 緊密 な. 「関係 性 コ ミッ トメ ン ト」 が 緊密 で あ る人 ほ ど,つ ま. 「関係性 コ ミッ トメ ン ト」 を抱 い て い る こ とか ら,衰. ヽ 亡 り「夫婦 は一 ノ 同体」意識 を抱 い て い る人 ほ ど,配 偶. えて い く妻 をケアす る責任 を一 身 に感 じなが ら,変 わ. 者 の 身体 的 ・精神 的衰 弱 の 現 実 を見据 え る こ とが 辛. り果 て て い く妻 と対 峙 す る こ とが で きず ,実 際 に は. く,彼 ら夫婦が築 き上 げて きた持続す るイメー ジを打. 「ケ ア ・ フ ォー」 どころか「ケ ア ・ ア バ ウ ト」 さえ も. ち壊 す こ とへ の抵抗 を示す。配偶 者 との 関係性 が 自ら. で きなか った とい う無力感 に打 ちひ しが れて い た。. の アイデ ンテ ィテ ィの一 部 となって い るが ゆえに,介. 弥生 さんは定年 まで幼稚 園 の 園長 を歴 任 し,退 職後. 護者 と要介護者 とい う新 たな関係性 を構築す る こ とが. は児童館 の館長 まで務 めた仕事 と家庭 とを両立 させ た. 難 しい 。. キ ャ リア ・ ウーマ ンで あ った。貿易商社 を経営 して い. 配偶者 間介護 にお い ては ,「 労働 と してのケア」 (ケ. た とい う隆 さんは,弥 生 さんが倒 れ る まで まった く家. ア ・ フ ォー)だ け で な く「愛情 と しての ケ ア」 (ケ ア. 事 に携 わ った こ とが なか った とい う。彼女 は フル タイ. ・ アバ ウ ト)が ことのほ か 強調 され理想化 され る傾 向. ムの仕事 を続 けなが ら二 人 の子 どもを育 て , しか も結. があ る。 ところが ,長 期 にわた り関係性 を育 んで きた. 婚 当初 か ら同居 して い た夫 の両親 を最 後 まで看取 って. 夫婦 の一 方 が痴 呆症 の よ うな人格 的損傷 を こ うむ った. い た。隆 さんに とつて妻 は,終 生聡 明 で働 き者 で あ る. 場合 ,介 護者 が 「ケア ・ アバ ウ ト」 を行 な うた め には. 理想 的 な妻 のはず であ った。妻 が 自分 よ りも先 に介護. ヽ 「感情規則 が 命 じて い る感情 を′ か ら感 じる よ う努 力 亡. が必 要 な状態 になる,ま してや痴呆症状 を呈す る よ う. す る」 と い う「感 情 ワ ー ク」 (山 田,1997:70-90). になる とい う こ とは ,震 災 に よる 自宅崩壊 と前後 して. に携 わ らなければな らない 。 これ まで長 年 にわた り配. 彼 を襲 った全 く予期 せ ぬ 出来事 であ った。震災 は家族. 偶 者 に対 し親密 で友愛 に満 ちた感情 を抱 い て きた人 に. の 人生 史 を含 み こんだ家 を奪 っただ け な く,「 家族 間. とって ,配 偶 者 の 人格 的損 傷 は 過 去 の イ メ ー ジ を壊. で 育 まれ た 自我 の 神 話」 を揺 るが した と指 摘 され る. し,配 偶 者 で あ る要介護者 に対す る嫌悪 ,忌 避感 ,恐. (池 田,1997)。. れ とい った否定 的感情 が 呼 び起 こ されて しま う。近代. し,家 族 ・親族結合 の 中心 的存在 で もあ った弥生 さん. の夫婦家族規範 に もとづ く感情規則 にお い て ,配 偶者. を失 った こ とは,残 された隆 さんに とっては家族 の 象. に対 して親密感 ,愛 情 ,信 頼感 な ど肯定 的感情 を抱 く. 徴 的 な崩壊 を意味 して い る よ うに受 け取 られて い た。. 子 どもたちが生 まれ育 った 自宅が崩壊. べ きだ とい う規範 を内在化 させ て い れば い るほ ど,感 じて い る もの と感 じなければな らな い もの間のギ ャ ッ. (事 例. 6)松 下 さん夫婦. プが極 めて大 き くな り,そ の結果 「感情 ワー ク」 す な. 岡田 さん夫 婦 の場合 と同様 ,い わゆる「夫婦愛」 を. わち感情規則 が 命 じて い る感情 を感 じる よ うに努力す. 育 んで きた夫 婦 にお ける配偶者 間介護 の悲惨 さを教 え. る ことが 過酷 に要請 され る。. て くれ たのは松 下 さん の妻節子 さんであ る。か つ て商. そ こで次 にこう した介護者 の抱 く情緒 的相克性 を事 例 を もとに検討 してみ よ う。. 社 の 管 理 職 に つ い て い た 松 下修 さん (調 査 時 72歳 ) は震災 の一 年程前脳梗塞 で倒 れ ,右 半 身麻痺 とな り介 護 が必 要 な 身 となった。妻 の節子 さん (調 査 時 65歳 ). (事 例. 4)岡 田 さん夫婦. は 10年 程前 か ら透析 を受 け る腎臓 病患 者 で あ り,震. 先 に紹 介 した,「 非 血縁 の援 助 ネ ッ トワ ー ク」 の 形. 災後 一 人娘 (調 査 時 30歳 )は 両 親 の 世話 の ため に フ. 成 によ り急場 の介護態勢 を乗 り切 つた 岡田 さん夫婦 の. ル タイムの仕事 をやめ ざるを得 な くな った。不幸 な こ. 場合 ,そ の後妻 の弥生 さんは病 院か ら老 人保健施設 ヘ. とは重 な り,被 災 の 際 の傷 が もとで節 子 さんは片足 を. と 4回 の 転 院 を く り返 し,そ れ に伴 い 彼 女 の 痴 呆 症. 膝 下 10セ ンチ程切 断 し車椅子 生 活 とな って しま う。. 状 ,身 体 的障害度が進行 した結果 ,わ ず か 2年 足 らず. 一 人娘 も介護 ス トレスか ら卵 巣 が よ じれて手術 をす る. の 介護期 間 を経 て彼 女 は亡 くな った。隆 さんに面 接 を. まで追 い込 まれ た。節子 さんは 「娘 には これ 以上面倒. 行 なったのは ,妻 の死後 一 年近 くた っての ことで あ っ. をか け られ な い 。 あ の 子 にはあ の 子 の 人生 が あ るか. たが ,彼 は い まだ 介護 者 と して の 苦 悩 の どん底 に い. ら」 と決意 し,現 在 で は娘 を近 くのマ ンシ ョンに独立. た。彼 は当時 の介護 の重圧 を 「妻 の生 殺与奪 の権 を私. させ て ,ア ルバ イ トの仕事 を しなが ら自立 した生活 を. が握 ってい る感 か ら くる不安 と恐 れ と苦痛 に苛 まれて. 営 ませ て い る。娘 は一 日お きに両親 の様子 をみ に訪 れ.
(8) 甲南女 子大学研 究紀 要第 39号. 46. 人間科学編 (2003年 3月. ). るが, 日常的な家事 は週 2回 来訪す るホームヘルパー. 割 コ ミッ トメ ン ト」 か ら介護 に携 わる よ うに,千 代 さ. に買い物 と洗濯 の援助 を受けなが ら,料 理や夫 の身の. ん も「妻役割 コ ミッ トメ ン ト」 を とお して ,要 介護者. 回 りの世話な どは節子 さんが車椅子 を使用 して行 なっ. で ある夫 との 間 に感情次元 での一 定 の距離 を保 ちなが. てい る。 また彼女の学生時代 の友人たちが来訪 して. ら介護 に当 たるこ とで ,介 護 に よる情緒 的消耗 を幾分. ,. ちよっとした用事. (例. えば銀行へ の代行な ど)を 引 き. 軽減す るこ とになって い た。. 受けている。 なにより節子 さんは介護責任 は妻 である自分 にある. (事 例. 3)東 郷 さん夫婦. とい う意識が強 く,彼 女 の卓越 した管理能力 によつて. 林 さん夫婦 の勢力関係が 「家父長 的」 関係 だ とす る. 介護態勢が運営 されてい る。その節子 さんがで きない. と,事 例 3の 東郷 さん夫 婦 は「夫優位」 の勢力 関係 を. と涙なが らに訴えるのは,自 らの身体的障害 をかかえ. 築 い て きた夫婦 だ とい え よ う。「夫 唱婦 随 の 妻」 で あ. ての「労働 としてのケア」 の大変 さではな く,「 夫 と. った東郷松子 さんは,「 夫 を看取 った後 ,自 分 の した. 思 うと辛 いから,思 わないでおこうと決意す るんです. い こ とを した い と思 う。 」 と将 来 の 抱 負 を語 つ て い. が,や っぱ り夫 は夫 であ り辛 い んです。 」 と語 るよう. る。 これ まで夫 の仕事 を内助 と して手伝 い ,趣 味 も夫. に,尊 敬 し信頼 し愛 して きた夫 に対 して「愛情 として. に 合 わ せ て (好 きで もな い ゴ ル フ も無 理 に して い. のケア」 を行なえない 自分に対する苛立 た しさ,罪 悪. た),何 で も夫 に従 って きた とい う。「 自分 の好 き勝手. 感 である。配偶者 との「関係性 コ ミッ トメン ト」 を重. を した人で した。家 を買 った り,住 居 を移 動 した り. 視 し,親 密 で対等 な関係性 を築 く努力 を積み重ねて き. いつ で も決定権 は主 人 にあ りま した。 」 と松 子 さん は. た夫婦 ほ ど,そ の配偶者 間介護 にお ける「感情 ワー. 語 る。介護 は 身体 的 に も精 神 的 に も過酷 な労働 だが. ク」 の負担が大 きい とい うのはなん と皮肉な ことだろ. それ をや り遂 げ るこ とで これ までが ん じが らめ に縛 り. う。. つ け られて きた妻役割 か ら開放 され る とい う希望 が. しか し今現在配偶者間介護 に携 わってい る世代 にお. ,. ,. ,. 松子 さんには残 されて い る よ うだ った。. いては,岡 田さん夫婦や松下 さん夫婦 のように,親 密. 現 在 では松子 さん の方 が 指 図す る ことが 多 いので. で対等 な「関係性 コ ミッ トメ ン ト」 に基づいた夫婦関. 一 郎 さんは 「 え らそ うに言 う」 と言 って怒 る こ とも多. 係 を築いて きた夫婦が多数派である とはい えない。 日. く,ま た一 郎 さんは 自分 の失敗 を認 めた くない とい う. 本 の家族関係 の特徴 として,夫 婦関係 よ り親子関係 と. 意識が強 い ため ,失 禁時 の着替 えな どで抵抗 す るのが. くに母子関係 の親密性が指摘 されるように, とくに妻. 困 る とい う。機嫌 が悪 い ときは手 が 出るので ,松 子 さ. たちは夫 に対 して同様 ,他 の家族成員 ,娘 ,虐、 子, き. んの皮膚 は紫色 になって い る ところが あ る とい う。介. ょうだい などに対 して も緊密な「関係性 コ ミッ トメ ン. 護 にお い て夫婦 の勢力 関係が逆転 した とき,こ う した. ト」 を抱 いてい る。 しか も,夫 との関係 においては. 一 種 の ドメス テ イック・バ イオ レンス あ るい は虐待 が. 「関係性 コ ミッ トメ ン ト」 よ りも「 (妻 )役 割 コ ミッ ト. 引 き起 こる可能性 が ある こ とを留意 してお く必 要 があ. ,. メン ト」 をとお して結びついてい る場合 も多 い。 (事 例. 2)林 さん夫婦. ,. るだろ う。. 配偶者 間介護 にお ける 「感情」次元 での調整 の難 し. 先 に紹介 した林 さん夫婦 の場 合,妻 の千代 さんは. さは,夫 婦 の それ までの勢 力 関係 に も関連 して い る よ. 「明治生 まれの暴君」 で ある夫 に対 して よ りも,ど ち. うだ。介護者 と要 介護者 とい う関係 は もともと,両 者. らか とい うと子 どもたちに対 して両面感情 を抱 いてい. の個 人的選好 を調整 して対等 な関係性 を築 き上 げる こ. た。その千代 さんに介護 をするようになってか らの夫. とが 難 しい 関係 で あ る。 ともす れば介護者 一優位 ,要. 婦 関係 の 変化 を尋 ね た。「以 前 と全 然変 わ らな い で. 介護者 一劣位 とい う不平等 な勢 力 関係 に陥 る危 険性 が. す。夫婦生活 は伊lれ てか らないので助 かった とい う気. あ る。特 に これ までの夫 婦歴 にお い て平等 的 な勢力 関. 持 ちです。 」 と答えたのが,松 下 さんの妻 の節子 さん. 係 を築 きあげて きた夫婦 に とっては,介 護者 と要介護. とは対照的であ った。彼女の夫 に対す る「関係性 コ ミ. 者 と して の夫 と妻 が ,依 存 と独立 のバ ラ ンス をめ ぐっ. ッ トメ ン ト」 は「暴君 にか しず く従順 な妻」 とい う形. て力動 的 な関係調整 を行 な う必 要 が生 じる。 ところが. で持続 してい るものの,「 夫 の介護 は妻 がす るのが当 然」 とい う「妻役割 コ ミッ トメ ン ト」 に重 きをおいて. 松 下 さん夫婦 の事例 の よ うに,要 介護者 となった配偶. 介護 が行 われてい るようだった。専門家が「介護者役. 護者 となった他方 は情緒 的相克性 に苦 しみ なが ら,相. 者 の一 方が 自らの選好 を主 張 で きない状 況 の場合 ,介.
(9) 47. 春 日井典子 :配 偶 者 間介護 と家族 ダイナ ミックス. 手 の選好 に配慮 した新たな夫婦関係 の構築 を一人で模 索 しなければな らない (春 日井 ・片 岡,2001)。 一方. り方 を模索す ることが期待 される。 そうしたなか,夫 婦関係 の共同性 を維持 したかたち. 「家父長的」あ るいは「夫優位」「妻優位」 といった不. での夫婦 の個別化 ,す なわち夫婦 で あ って も「私 は. 平等な勢力関係 にあった夫婦 においては,勢 力の逆転. 私」 とい う志向が出現 してい ることが指摘 されてい る (儀 田,2000)。 この夫婦 における「私 は私」 とい う志. あ るい は極端 に不平等 な関係 に陥 ることで生 じる否定 的感情 によつて 「介護忌避」「虐待」「家庭内暴力」 と いつた問題行動が引 き起 こることもあろう。. 向 とは,夫 と妻それぞれの個人的選好 の尊重 を意味 し てお り,決 して夫婦関係 の崩壊 を意味 してい ない。そ. 現在配偶者間介護 に携 わってい る世代 においては. こでは夫婦 の絶 え間ない交渉 と駆け引 きの努力 の もと. たてまえでは夫婦間の平等 を掲げてい たとして も,い わゆる「家父長的」 あるいは「夫優位」 の勢力関係 を. に「夫婦 ライフス タイル」が共同選択 される ことが促 され る とい う任 意 制 家 族り ヾ生 成 す る (野 々 山. 築 いて きた夫婦が多 いか もしれない。夫婦歴 において. 1999)。. この任意制家族 にお ける夫婦 関係 にお い て. 互 いの選好 を交渉 をとお して調整 しあ い,「 夫婦 ライ. は,夫 婦 の共同性 と個別性 を共存 させるために,適 度. フスタイル」 を形成 して きた夫婦は少数派であるとい. な距離 をおいた「関係性 コ ミッ トメン ト」が夫婦間 に. えるだろう。 しか しどの ようなパ ター ンの夫婦関係 を. 求め られるようになるだろう。ギデ ンズのい う「互い に取 り決 めた 自己投入」 により形成 される「純粋 な関. ,. 築いて きたとして も,こ れまで持続 して きた夫婦 のイ メージが壊 された時,夫 婦 はともに,介 護者 として も. ,. 要介護者 として も,極 めて深刻 な心理的ダメージをこ. 係性」 とは,必 ず しも「緊密な一体化 した関係性」 と は限 らない ことに注意すべ きであろ う (Giddens,松. うむる。 これ まで 「夫婦愛原理」 に基づ く背後仮説 の. 尾 ・松川訳 ,1995)。. もとに,配 偶者間介護 を理想化 して きた研究姿勢 を問 い直す必要があるだろ う。. 適度 に距離 をおいた夫婦間の「関係性 コ ミッ トメ ン ト」 は,夫 婦関係 システムの開放性 を促進 し,排 他的 夫婦関係 の特徴 としての「情緒的相克性」が生起する. 6.お わ りに. 危険性 を減 じる。それゆえ近い将来 における,任 意制 家族 における配偶者間介護 は,夫 婦二人の選好 を尊重. 本稿 では,介 護が夫婦関係 に及 ぼす影響 を,事 例調. した「高齢期夫婦 ライフスタイル」 としての「介護 ラ. 査 における介護者 の語 りをもとに して検討 して きた。. イフスタイル」 とい うよ りも,介 護 にかかわる人びと. 「空間」「時間」「コ ミッ トメン ト」「感情」「勢力」「意. を巻 きこんだ, よ り包括的で開放的 な「介護 ライフス タイル」 が形成 される ことが期待 される ことになる。. 味」 とい う 6次 元か ら介護夫婦 に展開す るダイナ ミッ クス を観察す ることで,現 代 の配偶者間介護 の問題点 を浮 き彫 りに したとい えよう。. 注. ここで取 り上げた,介 護 をめ ぐる「夫婦関係 システ. 1)介 護 にかかわる ものの介護 の選択基準 と して,規 範. ムの閉鎖性」お よび夫婦間の 「情緒的相克性」 といっ. 的原則基準 であ る「イエ 的直系制原理」「老親扶 養 原 理」「配偶者扶養原理」「核家族 の 自律性原理」「性別分 業原理」,任 意的原則基準 であ る「介護者 の意思」「要. た問題 は,「 夫婦関係 は最 も親密で排他的 な関係 で あ り,夫 婦 は健 やかな ときも病 める ときも愛 し助 け合 う」 とい う「夫婦愛原理」や,「 男 は仕事 ,女 は家事 ・育児 ・介護」 とい う固定的な「性別分業原理」 か ら なる近代的な夫婦観 に基づいてい る。 しか し,そ もそ もこうした原理 に基づ く夫婦制家族 とは,子 育 て期 の 家族 に適合的な家族 のあ り方 であ り,「 核家族 の 自律 性原理」 のような高齢者 を家族か ら排除す る原理 を併 せ もっていた。それゆえ高齢期 を迎 えた夫婦が,近 代 的な家族規範 を持ち続けて長寿社会に生 きること自体 に無理があるのか もしれない。今や高齢期 は子育 て期. 介護者 の意思」,共 感基準 で あ る「夫婦愛原理」「親子 ・ きょうだい愛原理」「 コンボイ原理」「相性原理」,有 用基準 である「資源交換原理」「専 門能力原理」「社 会 的評価原理」 を設定 している (春 日井,1999:87-88)。 2)従 来家族社会学 で は「別居」 お よび「同居」 とい う 分類 が 踏襲 されて きたが,こ れは一人の既婚子 と同居 す ることを原 則 とす る「直系家族制規範」 を前提 と し た用語であ り,専 門用語 としては,む しろ よ り中立 的 な「定居」 お よび「合居」 とい う分類 が適切 であ る と 主張 されてい る (野 々 山,2001:63-64)。 本稿 では 同居規範 によって居 を共 に して いる と解釈 した場合 に ,. 「同居」 と分類 してい る。. の後 の付け足 しのライフステージではな く,人 生終盤. 3)わ が 国の現行 の法律 で規定 されてい る老親扶養 とは. のライフステ ー ジ として確 固 たる地位 を獲得 して い. 経済的 な扶養 に限定 されてお り,配 偶者 と未成熟子 に 対す る「生活保持 の義務」 (自 分 と同等 の生 活保障 の義. る。人生 80年 時代 にお いて,新 たな高齢期夫婦 の あ.
(10) 甲南女子大学研究紀要第 39号. 48. 務 )に た い して,老 親 に対 して はそ れ よ り責 任 の 軽 い. 人間科学編 (2003年 3月. ). 条 )(ネ 由井 ,1999: 161)。 したが って,高 齢 者 の 身 の 回 りの 世 話 とい っ たサ ー ビス給 付 で あ る 介護 の 義 務 は. いの社会学』,岩 波書店,161-178。 磯田朋子,2000,「 私事化 。個別化 の中の夫婦関係」,善 積京子編,『 結婚 とパー トナー関係 ―問い直される夫婦 一』, ミネルヴァ書房,147-167.. 法律 上 は配偶者 に課せ られて い るにす ぎない 。. Kantor,Do and Wo Lchr, 1975,ル. 「生 活 扶 助 の 義 務」 しか 規 定 され て い な い (民 法 730. ,. 4)調 査対象 は,K tt H区. にあ る A病 院 の デ イケ ア を利. 用 す る 介護 家 族 と,同 市 同 区 にあ る 高齢 者 介護 に関 す る情 報提 供 サ ー ビス をお こ な って い るボ ラ ンテ ィア組 織 Bセ. ンター紹介 の 23家 族 であ る。 要介護 者 の 心 身 の. 障害 程 度 にば らつ きが あ るが ,対 象 要 介護 者 全 員 が 痴 呆 症 状 を呈 して い た。地域 的特 性 と して ,ほ とん どの 事 例 で 震 災 に よ り何 らか の 影 響 を受 け て い た。調 査 方 法 は 聞 き取 り面 接 調 査 で ,聞 き取 りに要 した時 間 は ケ ー ス に つ き約 1時 間半。 回答 者 は 介護 の 主 担 当者 お 1. よび副担 当者 合計 25人 であ る。. 「. /7`θ. 2∫. jグ. 力 ι′ ν′ ♭″αrグ α `Fα “ 『 Bass.野 々 山久也訳 j′. ′ り'げ 乃 ′ )'Prθ ε `ss,Jossey― “. 1988,『 家族 の内側』 ,垣 内出版. ,. .. 春 ロキ ス ヨ,1994,シ リーズ生 きる『家族 の 条件 ―豊 か さの 中の孤独 ―』,岩 波書店 .. 春 目井典 子 ,1998,「 ラ イ フ コー ス にお け る 高 齢 者 介 護」,『 社会学 。社会福祉学 フ ォー ラム』,第 8号 ,神 戸 女学院大学大学院文学研究科社会学専攻院生会,1-16。 春 日井 典 子 ,1999,「 家族 ラ イ フス タ イル と高 齢 者 介 護」,『 研究年報』,第 4巻 ,兵 庫県長寿社会研究機構. ,. 105-116。. 5)カ ン ター と レア ー に よ る 家 族 シ ス テ ム 論 に お い て は,家 族 ダイナ ミックス を分析 す る 際 ,接 近 次 元 と し. 春 日井典子 ・片岡佳美 ,2001,「 家族 ライフスタイル論的 アプ ロー チ」,野 々 山久也 ・清水浩昭編 ,『 家族社 会学. て 「空 間」「時 間」 な らび に「 エ ネ ル ギ ー」,目 標 次 元. の分析視角 ―社会学的 アプ ローチの応 用 と課題 一』, ミ ネル ヴァ書房,303-323.. と して「感 情」「勢 力」「意 味」 とい う次 元 を設 定 して い るが. (Kantor and Lchr,1975:82-134),本 研 究 で. は,ダ イナ ミックス にお け る個 人 の 主体性 を強 調 す る ため に,「 エ ネ ルギー」 を「 コ ミッ トメ ン ト」 へ と名称 を変 更 した。 またそ れ ぞ れ の 次 元 に つ い て の 解 釈 は. ,. カ ン ター と レア ー の そ れ とは 異 な る独 自 な もの で あ る。. 6)事 例 に登場 す る人 び との名前 はすべ て仮名 であ る。 7)わ が 国 の 戦 前 か ら高 度 成 長期 に か け て の 家 族 変 動 は,直 系 家族 制 か ら夫 婦 家 族 制 へ とい う図式 で 説 明 さ れ て きたが ,さ らに現代 で は 家族 の 形 態 に しろ構 造 に しろ機 能 に しろ,家 族 ラ イフ ス タ イ ル と して家族 成 員 た ち に よって 任 意 に選 択 され る「任 意 制 家 族」 の生 成 が開始 されて い る と論 じられて い る (野 々 山 ,1999:176 -184)。. 内閣府 ,2002,『 国民生活 白書 (平 成 13年 度)』 (財. .. )日 本女性学習財 団,2002,『 図説 女性 と高齢社会. ―あなたのライフプラ ンニ ングのために』 .. 野 々山久也 ,1999,「 現代家族 の変動過程 と家族 ライフス タイルの多様化 ―任意制家族 の生成 に向か って」,日 黒 依子 。渡辺秀樹編 ,講 座社 会学 2『 家族』,東 京大学 出 版会,153-190。 野 々山久也 ,2001,「 家族 ライフス タイルの重層化 に関す る仮説構築 一NFR 98デ ー タの分析 をとお して 一」,『 甲 南大学紀要文学編』,H7:62-83. 笹谷春美 ,1999,「 家族 ケアリングをめ ぐるジ ェンダー 関 係 一夫婦間ケアリングを中心 として一」,講 座社会学 14 『ジェンダー』,東 京大学出版会,213-248。 笹谷春美 ,2000,『 家族 ケア リングの構造分析 一家族変動 論 の 視点 か ら一』,平 成 9・ 10年 度科学研 究 費補 助 金 (基 盤研究. 引用 文 献. (C))研 究成果報告書. .. Giddens,A.,松 尾精文 ・松川昭子訳 ,1995,『 親密性 の 変. 袖井孝子 ,1999,「 高齢者 ケアと家族 一ケアはなぜ女性 の 役割 なのか 一」,『 変動す る家族 ―子 ども 0ジ ェ ンダー ・高齢者 ―』,建 吊社 。. 容 ―近代社会 におけるセ クシ ュ ア リテ イ,愛 情 ,エ ロ テ ィシズム』. 山田昌弘 ,1997,「 感情 による社 会的 コン トロールー感情 とい う権 カ ー」,岡 原 。山 田 0安 川 ・石 川,『 感情 の社. jα Finch,J.&Mason,J。 ,1993,Ⅳ ι gθ ′ ri′ g. fr7“ jヶ. R`ψθ′ 15'bj′. j―. ′ ′. `s, Tavistock/Routledgc.. ,. 池田啓子 ,1997,「 老 いの危機管理 一生 きられた経験 と し ての阪神 大震災 ―」,岩 波講座 現代社会学 『成熟 と老. 会学 ―エモーシ ョン・コ ンシ ャスな時代 ―』,世 界思想 土, 本. 70-90。.
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