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正 誤 表 箇 所 誤 正 P3 下 から 行 目 陸 生 3 哺 乳 類 p9 下 から4 行 目 図 0 陸 生 の 哺 乳 類 図 3 p29, 下 から8 行 目 図 58 図 59 p32 下 から9 行 目 銅 骨 鎖 骨

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(1)

【農学部】

【Faculty of Agriculture】

Title

マッコウクジラの骨計測

Author(s)

嘉陽, 稔; 川島, 由次; 小倉, 剛; 真喜志, 修

Citation

あじまあ : 名護博物館紀要(9): 1-48

Issue Date

1999-03

URL

http://ir.lib.u-ryukyu.ac.jp/handle/123456789/1730

Rights

(2)

正誤表

箇所

陸生の哺乳類

図13

図59

鎖骨

P3、下から11行目

陸生3哺乳類

p9、下から4行目

図10

p29,下から8行目

p32、下から9行目

図58

銅骨

(3)

名護博物館紀要「あじまあ」.,

マッコウクジラの骨計測

琉球大学農学部亜熱帯動物学教室

嘉陽稔(:i鰯ilI騨類)

川島由次(教授)

小倉岡リ(助手)

吉壹士

修(研究員)

==-JCJ、 ロ ワ 回 写真1マッコウクジラの全身骨格標本(名護博物館蔵) 。 もくじ I緒論 Ⅱ材料及び方法 Ⅲ結果及び考察 Ⅳ要約 V謝辞 Ⅵ参考文献 1

(4)

I緒論

クジラはヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目に大別され、マッコウクジラ(学名Physeter

macroccphalus)はハクジラ亜目のマッコウクジラ科(3種)に分類されている。マッコウクジ

ラの英名であるSpermwbaIeはこのクジラの頭部にある乳状の脳油が精液(sperm)に似て

いるところにその意味の由来がある。 マッコウクジラは、赤道から極海まで世界中のすべての海洋に広く分布している。雄は熱 帯から極海まで広い範囲の水温に耐えられるが、雌と未成熟個体は表面水温が15度以上の 海域にとどまっている。 本種の形態的な特色は、ハクジラ亜目では最も体格が大きく、雌雄の体格の差が最も顕著 な点である。雄の体長は平均15mであるが、それに対して雌は13mになるのはまれで、平均 は11mしかない。体重の差はもっと大きく、成熟した雄で平均約45トンなのに対し、雌は 20トンしかない。最大の記録は181mの雄で57トンである。 本種の習性は、生息海域のほとんどで頭足類(イカ・タコ)を採食することである。普通 は約400m以深の中層で採食するが、深海でダイオウイカという巨大イカも採食する。マッ コウクジラは一年中、昼も夜も採食し一日に体重の30~3.5%に相当する量の餌を食べると 推測されている。 また、本種の特徴は、長寿で繁殖率が低く、子供の養育期間が長いことである。雌は3~ 15年ごと、普通は4~6年に一頭の子供を産む、14~15カ月の妊娠期間を経て体長約4mの 子供が-頭産まれる。雌は約10歳、体長8~9mで性成熟し繁殖できるようになる。雄は7 ~11歳で春機発動期を迎え、18~21歳、体長11~12mで完全に性的に成熟する。しかしな がら、雄が妊娠可能な雌を獲得できるほどの力を身につけるには、20~25歳になるまで待た なければならない。この様に雄の社会的成熟が遅れる現象は、一夫多妻性の一つの特徴であ る。 現在、マッコウクジラは、IWC(国際捕鯨委員会)の管理下におかれており、捕獲する ことは禁止されているため、マッコウクジラの骨標本は貴重な物になると予想される。 マッコウクジラの骨計測についての記録は木村(1983)、大村・西脇・市原・糟谷(1962) らの記録がある。両記録とも頚椎7個、胸椎11個、腰椎8個、尾椎24個の計50個の椎骨があ ったと報告されている。また、両記録ともマッコウクジラの骨計測しかされておらず、陸上 の他の哺乳類との比較検討は行っていない。 今回、名護博物館の依頼により、同館所蔵のマッコウクジラ骨格標本の骨計測と、もっと ばん・りう もクジラ類と蛋白質構造が類似していて、近縁と思われている反翻類(主'二ウシ)との比較 検討を行った。 ■も q 回 $ 。 -2-

(5)

名護博物館紀要「あじまあ小9

Ⅱ材料及び方法

材料は1985年11月に和歌山県太地町沖で捕獲されたマッコウクジラで、性が雄で、年齢・

体重不詳・体長13mの個体である。本材料は太地町で解体後、骨格のみが陸路輸送された 後、名護市屋我地済井出海岸に2年間埋没され、さらし骨標本とされたものである。

計測方法は基本的な哺乳類の計測方法が記載されているDriesch(1976)、そして木村

(1983)のマッコウクジラ骨格の記録を参考として計測を行った。 計測器具は牛体測定器の体高器(200cm用)、カリパー(90cm用)、マルチンの計測器(人 体用)のキヤリパー(30cm、25cm用)、触角計(45cm、30cm用)、巻き尺、水平器、などを 主に使用して計測を行った。 ロ ロ

Ⅲ結果ならびに考察

1.全身骨格 シロナガスクジラとマッコウクジラ及びウシの全身骨格を図]、2に示した。図からもわか る様に、クジラ類の骨格はウシに比べて、頭蓋が非常に大きくて、頚椎が短縮している。ま た、体が大きい割には肋骨が小さく、数も少ない。しかしウシでは、腰椎以下はあまり発達 していないが、クジラ類では、腰椎以下、特に尾椎において顕著であり、さらにV字骨の発 達も非常に良い。この様にクジラ類で頭蓋、腰椎以下が発達しているのは、水中で生活する ことにより、浮力により頭蓋を支える必要がなくなったことと、推進力が尾びれに移動した ことなどが大きく関係している。 2.頭蓋 クジラ類の頭蓋の様子及び鼻孔の位置の変化を、図3に示した。陸生3哺乳類(ウマ)で は、鼻孔は前方に位置しているが、クジラ類(マイルカ、ナガスクジラ)では鼻孔は後方に 移動していることがわかる。一般にクジラ類では、鼻孔は後方に移動し前頭骨と頭頂骨が極 端に短縮することにより、上顎骨と前上顎骨が極端に発達する。これらの現象は「テレスコ ーピング」と呼ばれクジラ類の特徴である。 マッコウクジラとウシの頭蓋垂直面と側面ならびに後面を図4~9に示した。 垂直面においては、図4と図5からもわかるように、マッコウクジラでは、鼻孔は後方に移 動し、前頭骨と頭頂骨が極端に短縮し、それにともない前上顎骨と上顎骨が極端に発達して テレスコーピングが顕著に出現していることがわかる。それに対し、クジラ類と近縁である と思われる偶蹄類のウシでは、対称的に前頭骨が極端に発達して、切歯骨(クジラの前上顎 骨に相当)、上顎骨はそれほど発達せず、鼻孔は前方に位置している。 回 ■ -3-

(6)

シ□ナガスクジラ 脊椎骨 背びれ (ヒゲクブラ) 〉

Uガミ藝幽M1

iIq1l

I ( ~~~‐ ( ( 退化骨盤 クブラヒゲ ~1 マッコウク (歯クジラ) 色 P 図1シロナガスクジラとマッコウクジラの全身骨格 」 Ⅱ島

1,頭蓋2,下顎骨31頚椎4,第一胸椎5,胸椎6,最後位胸椎 7,腰椎8,最後位腰椎9,仙骨10,第一尾椎11,尾椎12,第一肋骨 13,最後位肋骨14,肋軟骨15,胸骨16,剣状軟骨17,肩甲骨 18,上腕骨19,榛骨20,尺骨21,手根骨22,中手骨23,第五中手骨 24,指の基節骨25,同、中節骨26,同、末節骨27,基節骨種子骨 28,末節骨種子骨29,腸骨30,坐骨31,大腿骨32,脛骨33,膝蓋骨 34,足根骨35,中足骨36,37,38,趾の基節、中節、末節骨 図2ウシの全身骨格 -4-

(7)

名護博物館紀要「あじまあ」., ウマ バジロサウルス

-二言三蕊!i’

↓ ■ つ (↓は鼻孔の位置)

図:前上顎骨■:鼻骨鱸:前頭骨□:上顎骨■:頭頂骨鱸:後頭骨

図3頭蓋の様子及び鼻孔の位置の変化 後頭骨 甸 U 眼 ジ 図4マッコウクジラの頭蓋垂直面 図5ウシの頭書幸直面 -5-

(8)

このようにウシと違いクジラ類の前上顎骨、上顎骨が発達したのはクジラ類が陸上から水

中に生息場所を変えたことによって、体が大型化したために多量の餌を必要としたためであ

ろう。また、鼻孔が前方から後方に移動したことは、おそらく体重の配分の結果クジラが水

面にとる体位に関係があると思われる。これは鼻孔が水面より上にあると困難なく呼吸がで

きるためであると思われる。マッコウクジラでは鼻骨はなく鼻孔が左側に一個だけあるが、

これはおそらくマッコウクジラの頭蓋には多量の脳油があるためと思われる。また、ハクジ

ラ類特有の非対称性も顕著に現れていたが、なぜハクジラ類に非対称性が見られるのか良く

わかってはいない。

側面においては、図6、図7からもわかる様に、普通の陸生哺乳類動物の眼窩は、涙骨、頬

骨、前頭骨で囲まれているが、マッコウクジラの場合には、涙骨、頬骨、側頭骨で囲まれて

おり、前頭骨は眼窩形成には参加していない。

これはウシでは、頭蓋骨を形成する前頭骨が発達して眼窩形成に参加しているのに対し、

マッコウクジラではテレスコーピングによって、前頭骨が後方に移動したために眼窩形成に

参加できなかったと思われるが、クジラの祖先がまだ、陸上を歩いていた太古においては前

頭骨も眼窩形成に参加していたと思われる。

また、マッコウクジラの場合、頭蓋の体長に占める割合は30%に達するにもかかわらず眼

窩の占める割合は非常に小さい。これは水中ではほとんど視力が使えないために、眼窩が退

化していったものと思われる。頭蓋の計測部位は図12~14に、計測値は表1に記載してあ

る。 、■ 戸 ℃ $  ̄ 骨 図6マッコウクジラの頭蓋側面 -6-

(9)

名護博物館紀要「あじまあ」., 戸 図7ウシの頭蓋側面 罰 後頭

Ⅲ星 図8マッコウクジラの頭蓋後面 図9ウシの頭蓋後面

⑦⑧|

||⑨

。 曽 51 ⑥ ③②① 15 P 図10頭蓋垂直面の計測部位 -7-

(10)

⑪ 図11頭蓋側面の計測部位 ● P

幸凰⑯

7-、

ト⑬-H ⑫ 図12頭蓋後面の計測部位 表1頭蓋の計測値 単位:nm 「の *P:Pmsthion歯槽点 A:Antorbilalnotch眼窩前切痕 -8- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 全長 前上顎骨最大長 P A 上顎骨先端1A Pl上顎骨先端 上顎骨最大長 頭蓋最大幅 上顎骨最大幅 前上顎骨最大幅 眼窩前切痕間幅 頭蓋最大高 後頭骨最大幅 後頭穎最大幅 後頭穎最大高 大孔の高さ 大孔最大幅 3,120 2,933 2,160 1,791 369 2,612 1,590 1,531 499 Ll45 1,213 1,402 455 341 115 138

(11)

名護博物館紀要「あじまあ」・9 3.下顎骨 マッコウクジラとウシの下顎骨を図13,図14に示した。ウシの場合には、下顎体、下顎 枝、関節突起、筋突起の発達が良いのに対しマッコウクジラの下顎骨は下顎体が大部分を占 め、筋突起、関節突起がなく頭蓋との結合が単純だったことを示している。これはマッコウ クジラが餌を丸呑みにすることと関係がある。 また、下顎間軟骨結合は豚では生後約一年で完全に骨化して両側の下顎骨が一個の骨に結 合するが、反劉類(ウシ)では骨化せず、左右の下顎骨は交互に可動的である。図10よりも わかる様に、マッコウクジラの両下顎骨も結合していないため、反劉類に近縁であることが わかる。 下顎骨の計測部位は図15に、計測値は表Zに記載した。 ア 内側 起 I

下顎体 図14ウシの下顎骨 図13マッコウクジラの下顎骨 旬  ̄ ①

ヒミミニニ亀

図15下顎骨の計測部位 -9-

(12)

表2下顎骨の計測値 単位:mIn 4.歯 マッコウクジラと陸生哺乳類の歯を図16~17に 示した。マッコウクジラの歯は左右ともに20~26 本から構成されているが、名護博物館標本は左右

ともに24本であMの形態は写真2,3より同形豊

歯型の頬歯で、一生の間成長を続けるイノシシ・質

雄の犬歯、ゾウの牙と同じタイプ(無根歯)であ ることがわかる。図16よりマッコウクジラの歯は 内部に象牙質、先端にはエナメル質が、その周り をセメント質が囲んでいた。 象牙質は歯の大部分を占め、この部分に年輪が 見られ、ここでクジラの年齢を鑑定することがで 凸 ~ ウ セメント質 うしワノnし、 ̄--~/-/v/~ユ1-.1コ1J色ゴ9m、久uニフヮQJL-L-ノリ、 図16マッコウクジラの歯の断面 きる。 一般的に哺乳類の歯数の基本数は上顎・下顎ともに切歯3,犬歯l、前臼歯4、後臼歯5で あるが、マッコウクジラではすべて同形歯型の頬歯で、切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯の区別 がない。陸生哺乳動物では、歯は食物を噛み切ったり、砕いたりするのに用いるが、マッコ ウクジラでは餌を丸呑みにするために、切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯などの歯は必要なかっ たと思われる。歯の計測部位は図18に、計測値は表3~4に記載した。 象牙質 □ 写 セメント質 輻寓 歯冠 ル質

i薑fiii篝I

′7s)クエ)

0m

歯 歯根 豚の下顎後臼歯 図17左から馬の切歯、牛の上顎第二後臼歯、 10-① 全長 ② 最大高 ③ 歯列長 ④ 下顎間軟骨結合長 ⑤ 下顎孔最大長 R 2,718 420 1,600 1,373 972 L 2,720 430 1,620 1,373 999

(13)

名護博物館紀要「あじまあ」., ワ 写真2マッコウクジラの第八・九頬歯 ヨ 写真3マッコウクジラの歯の腹側 旬 T‐②‐上

八剛nV

弓 図18マッコウクジラの歯の計測部位 -11

(14)

表3歯の計測値 単位:、 107 ろ 100 、し 101 ▲ 108 100 、、  ̄ 戸 12- ① ② ③ ② ③ R-1 85 17 17 L-1 80 17 14 2 95 26 23 2 94 26 23 3 103 28 26 3 97 27 25 4 31 27 4 107 31 27 5 100 31 26 5 106 32 26 6 95 31 27 6 101 34 27 7 100 36 26 7 103 36 27 8 102 38 27 8 106 38 26 9 104 38 27 9 108 37 26 10 102 35 26 10 103 38 30 11 104 38 26 11 101 37 26 12 100 35 27 12 98 33 26 13 99 34 26 13 102 34 25 14 102 32 27 14 101 31 26 15 95 21 24 15 93 28 24 16 95 30 23 16 93 26 22 17 95 26 21 17 90 23 19 18 90 24 19 18 85 23 19 19 82 21 16 19 83 21 16 20 83 20 16 20 16 13 21 71 14 11 21 71 14 12 22 64 13 11 22 62 11 , 23 54 11 10 23 54 9 , 24 52 , 7 24 48 7 5

(15)

名護博物館紀要「あじまあ小9 表4歯の重量値 ? ア  ̄ 13-

重量(9)

重量(8)

R_1 40 L-1 40 2 85 2 80 3 105 3 105 4 100 4 115 5 110 5 120 6 115 6 120 7 120 7 130 8 130 8 135 9 140 9 135 10 135 10 145 11 145 11 135 12 130 12 120 13 120 13 120 14 120 14 110 15 100 15 95 16 95 16 80 17 85 17 70 18 75 18 80 19 65 19 60 20 70 20 40 21 45 21 40 22 35 22 30 23 30 23 30 24 20 24 15

(16)

5.頚椎

マッコウクジラとヒトの頚椎を図19~24に示した。第一頚椎前端においては、図19,20

よりわかる様にマッコウクジラの頚椎は、うすく偏平で、横突孔がなく、椎孔が逆三角形で

あった。また、ヒトの場合には、上関節窩が発達して頭蓋の後頭骨の後頭穎と関節している

が、マッコウクジラでは、上関節窩が発達しておらず単純であった。これは頚椎全般にいえ

ることで図23,24よりもわかるように、第二頚椎以下でも同じく単純な構造であった。

側面においては、図23,24より一般に哺乳類では少数の例外を除き7個の頚椎より構成さ

れているのが、マッコウクジラでも同様であった。しかし、マッコウクジラでは第一頚椎(環

椎)は分離しているが、第二~第七までは融合して融合頚椎を構成していた。

以上の様にマッコウクジラの頚椎が単純で短縮している点は、おそらくクジラ類が動きの

少ないイカ類をもっぱら採食するために首が退化していったものと思われる。また、短くて

硬い首は、クジラの推進力を高めるのに役立っている。これはクジラの動力は尻尾にあるの

で、もし首が短くないと、頭がふらつき身体の前進の妨げとなるからである。類推の計測部

位は図25~29に、計測値は表5に記載した。

弓 qひ 後結節 己 前結節 図2oヒトの第一頚椎前端 図19マッコウクジラの第一頚椎前端 14-

(17)

名護博物館紀要「あじまあ」., 背結節 椎孔 横 起 9  ̄ 図21マッコウクジラの融合頚椎前端 図22上卜の第二頚椎前端 ア 第 ( ~第七頚椎 頚椎 第 '

V<フ

、 □

f三つ

図23マッコウクジラの頚椎側面 図24上卜の頚椎側面 ① 図25第一頚椎前端の計測部位 図26第一頚椎側面の計測部位 15-

(18)

面  ̄ 図27融合頚椎前端の計測部位 ① 合頚椎側面の計測部位 ⑦ ⑥ 図29融合頚椎後面の計測部位 ワ 表5頚椎の計測値 、の 単位:1,m 16- No. ① 椎体 最大長 ② 最大幅 ③ 最大高 ④ 椎孔幅 ⑤ 椎孔高 ⑥ 椎窩幅 ⑦ 椎窩高 頚椎C 154 672 413 226 242 CZ ~Cフ 160 624 431 208 132 275 189

(19)

名護博物館紀要「あじまあ」・9 6.胸椎 マッコウクジラ、ブタ、ウシの胸椎を図30~33に示した。前端においては図30,31より マッコウクジラ、ブタともに疎突起、横突起、椎孔、椎体などがあり、ほぼ一致していると

いえる。側面においては、胸椎は11個の椎骨より構成され、図32,33より陸生哺乳類と海

生哺乳類の違いが顕著に現れている。 一般に陸生哺乳類では、胸椎の椎頭、椎窩の側縁に前または後肋骨嵩があり、各々隣接す る椎骨の前、後肋骨商が合して一つの嵩を造って肋骨頭と関節し、横突肋骨嵩が横突起の基 部にあって肋骨結節と関節するが、マッコウクジラでは、前肋骨窩、後肋骨窩が見られず、 横突肋骨嵩のみが発達しており単純な構造であった。 また、ウシの鰊突起は前方が発達しているのに対し、マッコウクジラでは前方から後方に 行くにしたがって次第に発達する傾向を示した。これは陸生哺乳類では、前位胸椎の鰊突起 が発達することにより、これに強靭な項靭帯を付着させて重い頭を支えるのに対し、クジラ 類では、大きい頭を持ってはいるが水中にいるために浮力が生じ、頭を支えているので、前 位胸椎の疎突起が発達する必要はなかったものと思われる。 胸椎の計測部位は図34~36に、計測値は表6に記載した。 ‐

クリI

横 図30マッコウクジラの第二胸椎前端 図31ブタの第一胸椎前端 17-

(20)

ヨⅡ刀曰漁 第 横突起 図32マッコウクジラの胸椎側面 ユ し ̄ 図33ウシの胸椎側面 ④ 図34胸椎側面の計測部位 図35胸椎前端の計測部位 18-

(21)

名護博物館紀要「あじまあ」., 餌 ⑥ 図36胸椎後面の計測部位 表6胸椎の計測値 単位:mIn 19- ① 椎体 最大長 ② 最大幅 ③ 最大高 ④ 椎頭幅 ⑤ 椎頭高 ⑥ 椎窩幅 ⑦ 椎嵩高 ③ 椎孔幅 ⑨ 椎孔高 12345678901 11 椎 胸 102 111 112 123 120 122 134 125 147 154 163 497 471 460 417 399 369 319 342 387 460 391 419 432 446 450 466 468 459 485 490 500 226 243 236 227 222 220 213 214 217 221 237 174 178 182 179 177 183 186 182 195 201 206 268 244 229 223 218 218 214 210 209 239 243 181 171 177 179 185 183 19] 190 193 204 209 220 202 185 165 149 129 120 136 103 76 61 150 145 154 M4 139 142 119 124 124 125 128

(22)

7.腰椎 マッコウクジラとウシの腰椎を図37~40に示した。 一般に腰椎の特徴として、横突起が翼状に著しくよく発達し、椎骨中で最も長いこの横突 起は頚椎の場合と同じ〈に肋骨突起で、肋骨の遺残が参加しているために発達している。こ のため肋骨突起とも呼ばれる。 前端においては、マッコウクジラの腰椎は椎対、鰊突起の発達がよいが体の割には横突起

があまり発達していない点がウシと異なっていた。側面においては、マッコウクジラの腰椎

は8個の椎骨から構成されており、図39,40よりもわかる様に、ウシより2個多かったが、一

般哺乳類の腰椎の数(2~9個)とは一致していた。

また、乳頭突起の位置が後方ほど高くなっていた。一般に陸生哺乳類では、背線の負重の

平均化を計るために胸椎に対傾椎骨が見られるが、マッコウクジラでは、第八腰椎で対傾椎

骨が見られた。これはクジラ類では、水中で生息するため重い頭を支える必要がないために、

対傾椎骨が後方に移動したものであろう。 今回、計測を行ったマッコウクジラの腰椎は破損がひどく計測が十分に行えなかったのが 的 ご← 残念であった。 腰椎の計測部位は図41~43に、計測値は表7に記載してある。 突起 こ ̄ 図37マッコウクジラの第八腰椎前端 図38ウシの第五腰椎前端 -20-

(23)

名護博物館紀要「あじまあ」., 椎 横突起 図39マッコウクジラの腰椎側面 戦 図40ウシの腰椎側面 ③

/④

~ ̄(

① 図42腰椎前端の計測部位 図41腰椎側面の計測部位 -21

(24)

巳 砂 図43腰椎後面の計測部位 表7腰椎の計測値 単位:IIun わ ̄ -22- ① 椎体 最大長 ② 最大幅 ③ 最大高 ④ 椎頭幅 ⑤ 椎頭高 ⑥ 椎窩幅 ⑦ 椎窩高 ⑧ 椎孔幅 ⑨ 椎孔高 12345678 椎 胸 175 190 181 202 206 210 216 231 507 526 544 548 531 536 523 240 251 247 251 243 251 212 228 214 223 226 226 236 255 53 50 59 43 46 46 51 44 118 115 106 103 84 75 69 246 244 246 248 243 269 215 237 228 235 230 237 254 256

(25)

名護博物館紀要「あじまあI・9 8尾椎 マッコウクジラとウシの尾椎を図44~47に示した。マッコウクジラの尾椎は22個の椎骨

から構成されており、尾椎はウシと同様に後位のものほど鰊突起、横突起が退化して単純な

構造となっていた。西脇(1962)、木村(1983)らは尾椎は24個、加藤(]995)は22~26個

と報告しているが、今回の個体では22個しか確認できなかった。 尾椎の計測部位は図48~50に、計測値は表8に記赦してある。 起 、 椎 Ⅲ 椎体 図44マッコウクジラの第十尾椎前端 第一尾椎 図45ウシの第一尾椎前端 椎

eQCCCD,

[DOooodL

図46マッコウクジラの尾椎側面 第一尾椎 つ

1州

? 図47 ウシの尾 図48 尾椎測面の計測部位 23

(26)

⑤ の 綴 図49尾椎前端計測部位 図50尾椎後面の計測部位 単位:'1m 表7腰椎の計測値

■■ ̄■ⅢⅣ ̄■ ̄■

囮P■ ̄■ ̄■■囮 ̄=旧

囚■Ⅳ■囚■呵皿囚■田■田

囮ⅣF ̄ ̄回田■■■泗

印■研一

55925116272m251 6614125125011221コ242 241112四2691821521 21427021]212815]97216 2696201184192 、 ロ戸 わ  ̄■■■■■■■■E■■円

四四mⅢ■■「 ̄四

mmⅣm■■■■四m

m四F ̄可■■■■--

四mⅣ ̄■■■■■■■■囮

四四P田Ⅷ■■■~-

mm■■■■-

回■■■■■■「

回Ⅳ可■■■■■

-24- ① 椎体 最大長 ② 最大幅 ③ 最大高 ④ 椎頭幅 ⑤ 椎頭高 ⑥ 椎窩幅 ⑦ 椎窩高 ⑧ 椎孔幅 ⑨ 椎孔高 -2345678901 1l 椎 旬 I 2 1 3 4 1 5 1 6 1 78 1I 9012 1222 225 230 235 228 231 228 219 208 196 180 167 127 91 75 69 69 63 59 50 50 48 34 531 523 520 502 448 398 340 303 266 241 214 206 ]81 154 142 133 129 ]12 99 81 63 50 540 544 523 508 473 438 387 359 341 312 270 226 176 141 123 113 103 86 82 68 51 43 243 256 266 274 273 266 261 259 251 231 211 196 173 142 117 95 83 78 66 52 37 246 249 254 258 255 257 259 253 250 246 232 201 164 129 99 88 79 64 57 41 34 51 37 32 29 26 23 21 16 13 , 8 72 65 55 58 53 54 36 27 21 18 15 261 275 285 288 279 271 268 25] 233 215 197 184 134 122 97 85 80 57 44 33 255 280 269 251 258 258 257 251 242 237 216 192 140 120 92 78 68 56 44 36 26

(27)

名護博物館紀要「あじまあ」9 9.舌骨 マッコウクジラとウシの舌骨を図51,52に示した。

一般に哺乳類の舌骨は、両側下顎枝間の顎間隙に位置し、舌、咽頭および喉頭基部の基礎

を造り、舌骨体、甲状舌骨、茎状舌骨、鼓室舌骨、角舌骨、上下骨に分かれる。反劉類(ウ

シ)では、これらの部位が発達しているが、マッコウクジラの舌骨は角舌骨、舌骨翼、舌骨

枝の3つに分かれ、鼓室舌骨、舌骨体、上舌骨、甲状舌骨を欠く、また、角舌骨、舌骨翼、

舌骨枝、甲状舌骨ともにうすく扁平で関節面がしっかりしておらず、単純であった。

これはクジラ類では、両側下顎枝、特に舌、咽頭が退化しており、それにともない舌骨も

単純化した。 舌骨の計測部位は図53~55に、計測値は表9~11に示してある。 典 証毫古骨○V峯派古檮 舌骨枝 雪栓 図51マッコウクジラの舌骨

】Ei三I

⑨ 図53角舌骨の言十BHll -25-

(28)

Ⅱ-L

翠色

団筌

m-L

夢 図55舌骨翼の計測部位 表9角舌骨の計測値 単位:、、 表10舌骨枝の計測値 単位:nm 、 、〆 表11舌骨翼の計測値 単位:、 -26- ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ③ ⑨ 舌骨体 351 374 123 34 259 238 111 204 242 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ R 474 66 87 80 108 96 L 466 60 88 75 108 95 ① ② ③ ④ R 396 222 219 62 L 387 209 207 642

(29)

名護博物館紀要「あじまあ」., 10.肋骨 マッコウクジラとウシの肋骨を図56,57に示した。

一般に肋骨は体節ごとに各筋板間にできた有対の軟骨性骨で、椎骨の横突起に関節する。

本来、すべての椎骨と結合するが、頚椎では横突起の一部として僅かに認められるだけで、

腰椎では横突起と合体して肋骨突起となり、仙椎以下ではほとんど消失する。

また、肋骨は前位を占め直接胸骨にとどく真肋と真肋の後位に見られる仮肋に分けられ、

馬で真肋8+仮肋10,反劉類8+5,豚7~8、犬9+4,兎7+5になっている。

肋骨の幅は反劉類家畜で最も広く、前、中位の肋骨で顕著で、板状となり後縁が鋭い。

馬や豚ではやや扁平だがこれよりも細く、犬・兎では円形状で最も細い。 これに対しマッコウクジラの肋骨は左右ともに11本から構成されており、肋骨の幅は前、

中位の肋骨で顕著で、板状となっていた。最後位の肋骨は他の肋骨に比べ著しく小さく、胸

骨に連絡しない遊離肋骨と考えられる。また、関節面は発達しておらず単純な構造となって

いた。

この様にマッコウクジラの肋骨の関節面が単純な構造をしているのは、本種が深く潜るた

めに肺をペシヤンコにし肋骨を折り曲げ水圧に耐える必要があった。そのために肋骨の可動

制を良くする必要があったからである。 肋骨の計測部位は図58に、計測値は表12に記減してある。 ブ や 。 ’ 又IRf の第四肋信 ご主 図58肋骨の計測部位 -27-

(30)

表12肋骨の計測値 単位:m、 豆 ⑨少 廃 、 唾2房『 -28- ① ② ③ ④ ⑤ R第一肋骨 第二 第三 第四 第五 第六 第七 第八 第九 第十 第十一 859 Ll27 1,320 1,293 1,281 1,243 1,214 Ll75 1,090 246 65 38 37 33 40 43 42 40 45 53 13 95 55 42 40 57 70 65 53 89 77 23 100 82 85 83 69 58 61 42 29 22 24 216 140 100 120 94 74 71 73 76 68 46 一二三四五六七八九十十 第第第第第第第第第第第 L 852 l」26 1,312 1,310 1,322 1,280 1,249 1,216 1,091 965 271 74 35 36 44 44 42 43 46 48 15 97 50 43 52 63 76 50 84 74 25 94 78 95 77 70 55 52 39 32 26 25 214 135 89 113 96 76 65 73 73 61 45

(31)

名護博物館紀要「あじまあL9 11.胸骨 マッコウクジラとウシの胸骨を図59~61に示した。

一般に胸骨は数個の胸骨片からなっており、各片は軟骨板で結合され、板は徐々に骨化す

るが完全には骨化せず、胸骨柄、胸骨体、剣状突起の3つに分かれ、馬・反鶏類の胸骨は7

個、豚6個、犬8個、兎は6個の胸骨で構成される。

胸骨体は馬では縦に、反弼類・豚・兎では上下に扁平で、犬では円筒状となる。

牛と豚では柄と体が関節で結合するが、他の家畜では軟骨結合による。

また、馬や反翻類家畜では、図59より、剣状軟骨が大きく発達して上下に平たいシャベル

形で、豚・犬ではこれが狭く短い。兎では先端に太くなった円錐形となる。 マッコウクジラの胸骨は図58に示したように、左右の胸骨体からなっていたが、剣状突起 などが見られなかった。これはおそらく掘り出す際に取り忘れたものと思われる。 マッコウクジラの胸骨体はうすく扁平で、肋骨切痕などが発達しておらず単純な構造であ った。 胸骨は地上歩行の習性に応じて両生類以上で発達したもので、肋骨や前肢体の諸骨と関節 する。この意味からも爬虫類蛇目のもの、哺乳類でもクジラや海牛の様に肢がないか、甚だ ゴ めい し<退化してしまった動物では胸骨の発達は不良である。 胸骨の計測部位は図61に、計測値は表13に記載してある。 a 上裁 図59マッコウクジラの胸骨 -29-

(32)

剣状軟骨 胸骨 突起

爲.!=、冒壹

叉16【 戸 甸邑 一

胸骨柄 剣状突起 =エニー邑 図61ウシの胸骨側面 b ごユ 図62胸骨体の計測部位  ̄ 表13胸骨の計測値 単位:、 -30- ① ② ③ ④ R 580 365 535 558 L 567 352 526 544

(33)

名護博物館紀要「あじまあ」・9 12.V字骨 マッコウクジラのV字骨とイヌの血管弓を図63,64に示した。 ウシでは、血管弓は普通は第二と第三尾椎の左右の血管突起の融合によって形成される。 食肉類の血管弓骨は、第三から第八尾椎までの-個以上の尾椎の血管突起に付着する分離し た一対の骨であり、左右の骨は一個のV型の骨を形成するように融合しているcしかし陸生 哺乳類の血管弓は発達しておらず小さい。 それに比べクジラ類のV字骨(血管弓に相当)は大きく血管突起、血管孔の発達が良い。 これはクジラ類の後肢が退化したために、後肢の部位にあった動脈が尾部に移動したことと、 尾びれを上下に動かすために椎骨の周りに無数の靭帯が付着したことによってV字骨が陸生 哺乳類よりも発達したものである。 V字骨の計測部位は図67~68に、計測値は表14に記載してある。 = 孔 突起 図63マッコウクジラの第三V字骨前端 図64イヌの尾椎と血管弓の前端 ③ ▲ ④ HAきり I ② 図65V字骨前端の計測部位 図66V字骨側面の計測部位 -31

(34)

表14血管弓(V字骨)の計測値 単位:lIHn P ニ ト 13.肩甲骨 マッコウクジラとウシの肩甲骨を図67,68に示した。

一般に哺乳類の有胎盤類では前肢帯として僅かに、肩甲骨と鎖骨だけが見られる。

鎖骨は哺乳類でも前肢を自在に動かせるもの〈モグラ、コウモリ、サル、ヒト)にだけ発

達し、これに反して家畜の前肢帯は鎖骨が甚だし<退化するか、または消失するのでただ-

つ残された肩甲骨は銅骨と連絡を失って、これから分離して筋肉によってのみ結ばれ、下に

向けた三角形の扁平骨で、胸郭の側壁に接してならぶ。 図68よりもわかる様に、陸生哺乳類の肩甲骨は縦長で肩甲鰊、肩甲軟骨が発達している

が、クジラ類では、一般に横長で哺乳類に特徴的な肩甲鰊がなく、肩甲軟骨も発達していな

い、これは陸生哺乳類は体重を支えるために肩甲骨が縦長になり、肩甲軟骨で支える必要が

あったが、クジラ類では、水中で生活するため、体重を支える必要がなくなり、肩甲軟骨は

退化したが、そのかわり流線型とひれを大きくするために肩甲練が消失し横長になったと思

われる。 肩甲骨の計測部位は図69に、計測値は表15に記載してある。 a 唾二 程 -32- ① 最大 高 ② 遠位前後長 ③ 近位前後長 ④ V字骨最大幅 1 349 83 71 163 2 395 156 127 131 3 401 200 145 131 4 385 189 156 ]22 5 346 176 ]57 114 6 309 189 165 115 7 263 158 160 ll2 8 196 156 149 103 9 157 169 136 106 10 120 125 123 111 11 80 75 103 108 12 59 65 69

(35)

名護博物館紀要「あじまあ」., 軟骨 窩  ̄ 名I ~ rNF 図67マッコウクジラの左肩甲骨 図68ウシの左肩甲骨

① ③ ② ④ ⑥

§Z〃

▲ 小。 図69肩甲骨の計測部位 表15肩甲骨の計測値 単位:1,m -33- ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ R 566 434 654 294 193 138 364 183 146 L 555 424 630 282 193 125 355 187 140

(36)

14.上腕骨 マッコウクジラとウシの上腕骨を図70,71に示した。 一般に、大型の動物では上腕骨は太く長くい前腕骨と造る関節角は鈍角となるが、小型で

すばやい動物では角度を減じる。上腕骨は一般に、骨軸が外側に捻じれ上腕筋溝が造られ、

神経、脈管、筋もこれに従って曲がる。この捻じれはさらに前腕骨に波及する。

しかし、図70よりもわかる様に、マッコウクジラの上腕骨は太く短く、形状が非常に単純

で骨軸の捻じれも顕著でなかった。上腕骨が太く短いのは、前肢を支えるために太くなり、

流線型を保つためである。

また、近位端で大部分を占める上腕骨頭は化骨化が不十分であったために上腕骨体と結合

していなかった。化骨化が不十分だったことからも本種が若い個体であることがうかがえる。

上腕骨の計測部位は図72に、計測値は表16に記載してある。 > ロ‐ 結節 上 頭 角筋組面 榛 図70マッコウクジラの左上腕肩 図71ウシの左上腕肩 左から側面と前面 塗』 ま.

Tlll③111土

(Ⅵ

トー-①- ̄-1

図72上腕骨の計測部位 -34-

(37)

名護博物館紀要「あじまあ」・9 表16上腕骨の計測値 単位:m、 15.前腕骨 マッコウクジラとウシの前腕骨を図73,74に示した。 一般に前腕骨は、僥骨と尺骨よりなり、原則的に母指列に続く榛骨が内側を占め、小指列 に続く尺骨が外側に位置するが、家畜では、大体において榛骨が前内位、尺骨が後外位を占 める。両骨はその両端で関節によって結合される。 しかし有蹄類の多くのものでは両骨は骨結合して不動のものとなり、尺骨の近位端が肘頭 としてよく発達しており家畜では馬で生後約一年、牛・豚で生後3~4年で榛骨と尺骨が不 動結合する。 図よりウシの前腕骨は、僥骨より尺骨の方が大きかったが、マッコウクジラでは、ほぼ同

じ大きさであった。また、マッコウクジラでは、滑車切痕、肘突起などがなかったが、肘頭

は発達していた。前腕骨も上腕骨と同様に、太く短く関節面の化骨化が不十分で単純な構造 となっていた。前腕骨も上腕骨と同じ様に、水の抵抗をなくすために太く短くなったもので あろう。 前腕骨の計測部位は図75~76に、計測値は表17,18に記載してある。 ? へ 。 僥骨頭 。 ■ 肘頭 橇 体 図73マッコウクジラの左前腕骨 図74ウシの左前腕骨 -35- ① ② ③ ④ ⑤ R 379 122 213 113 154 L 380 120 213 112 155

(38)

T‐11②lllL

① 図75榛骨の計測部位 ① 夕

Tlll⑤111‐上

昼 岸

,⑭

図76尺骨の計測部位 表17棒骨の計測値 表18尺骨の計測値 単位:、 単位:m、 心鍾」』 16.指骨 マッコウクジラとヒトの指骨を図77,78に示した。 哺乳類では指の基本数は5列であるが、適応によって中手骨と共に多少とも少ない場合が 多く、常にその列の中手骨に先立って指が退化し、消失する。 各指は通常3個の指骨が一列に上下に並び、中手骨に近い方から第一、二、三指骨と呼ぶ。 しかし、母指では第一指骨がその列の中手骨と融合するため見かけ上から2個に減少してい る。 習性上、物を握ることのできる動物では母指がよく発達するが、一般には他の指よりも短 小で退化しているのが普通である。 図77,78よりもわかる様に、マッコウクジラの指骨もヒトと同様に、5本の指を持つとい -36- ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ R 294 166 68 142 103 133 L 29] 165 67 137 105 138 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ R 258 168 51 196 215 94 154 78 L 263 173 52 196 216 100 155 78

(39)

名護博物館紀要|あじまあ」。

う点では哺乳類の基本数を示していた。しかし通常の哺乳動物では、指骨は3個の指骨(基

節・中節・末節)からなっているが、マッコウクジラは第二~第四指までは多数の指骨を持

ち、最も多かったのは第二指で6個の指骨が観察された。この指節過多の現象は一般に、ク

ジラ類全般にいえることでゴンドウクジラで著しく、第二指および第三指はそれぞれ14個と

11個の指骨からなる。

このようにクジラ類が多数の指骨を持ちひれが大きいのは、大きな体の舵とりと体を水平

に保つための安定装置として働いて発達したものと思われる。

また、マッコウクジラでは第一指よりも第五指が発達しており、海生哺乳類の特徴を示し

ていた。この様に海生哺乳類で第五指が発達するのは、ひれを動かす際に第一指よりも第五

指のほうが水の抵抗を受けるためである。

指骨の計測部位は図79に、計測値は表19に記載してある。

P 、 手根骨 第五中手指 末 骨

耀当ロ!

▲ 図77マッコウクジラの左指骨 図78上卜の左指骨 □ i1 。

Tllll④lllll上

① 図79指骨の計測部位 -37-

(40)

表19-1指骨(R)の計測値 単位:Inm ② 夕〒 ▲ ● 芯 -38- ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 中手骨 第一中手骨 第二中手骨 第三中手骨 第四中手骨 第五中手骨 57 118 114 98 95 37 77 70 64 46 29 40 35 37 27 27 75 63 63 43 24 40 30 29 20 33 53 42 39 34 23 28 23 22 15 指骨 第一指 第二指 第三指 第四指 第五指 ① ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ① ② ③ ④ ⑤ ① ② ③ ④ ① ② 88 95 82 58 41 29 15 94 84 53 45 55 83 69 49 41 65 45 30 70 50 35 24 17 10 60 43 35 26 19 58 38 26 16 43 27 23 39 29 20 13 7 5 32 24 23 16 9 26 20 12 8 18 10 12 58 40 26 19 14 4 5() 41 26 20 10 47 33 20 , 36 18 8 30 21 14 8 5 3 20 24 17 10 7 21 12 7 5 14 7 23 51 38 27 21 14 7 39 34 31 23 15 35 27 20 12 32 18 15 25 19 14 9 6 5 23 19 17 11 7 18 14 7 6 13 7

(41)

名護博物館紀要「あじまあ」・9 表19-2指骨(L)の計測値 単位:1,m P ● 色」 ② 弓 -39- ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ 中手骨 第一中手骨 第二中手骨 第三中手骨 第四中手骨 第五中手骨 54 122 113 100 94 42 73 63 63 48 31 41 34 37 29 28 77 66 64 44 25 40 30 30 23 37 52 42 38 36 24 28 21 22 17

指骨

第一指 第二指 第三指 第四指 第五指 ① ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ① ② ③ ④ ⑤ ① ② ③ ④ ① ② 81 99 80 62 41 32 23 93 77 53 35 43 82 67 48 37 67 46 29 70 53 37 25 18 14 6] 44 30 24 17 57 37 25 15 42 25 24 41 30 21 13 9 7 29 25 17 10 9 26 19 11 7 18 11 11 58 41 28 19 15 5 50 37 25 18 8 45 32 19 8 35 15 7 31 20 15 9 8 3 24 18 12 8 5 20 11 7 5 13 7 23 52 38 28 21 14 8 40 34 27 23 16 35 28 19 11 33 16 17 28 18 18 , 7 5 20 16 12 7 8 15 11 8 5 12 7

(42)

17.腰部痕跡骨 マッコウクジラの腰部痕跡骨とウシの寛骨を図80,81に示した。

一般に寛骨は後肢帯で腸骨、恥骨、坐骨で構成され、3骨は寛骨臼で会合して、ここで大腿

骨頭と関節する。骨は最初に軟骨で結合され、後にそれが骨化して境界不明となり、遂に1個

の寛骨となる。図80,81より、ウシでは後肢が発達しているため寛骨もともに発達している。

一方、マッコウクジラの腰部痕跡骨はほとんど退化しており、わずかに寛骨を痕痕的に残

しているだけであった。

また、腰部痕跡骨は寛骨の恥骨、坐骨が退化し腸骨だけが痕跡的に残っているものと思わ

れる。このようにクジラ類では後肢が退化して寛骨の腸骨だけが残っているのは、おそらく

クジラ類が水中で生活するようになって、後肢をほとんど使わなかったことと、泳ぎやすく

するために体を流線型にする必要があったからである。

腰部痕跡骨の計測部位は図82に、計測値は表20に記載してある。

、〆 。 寛骨臼

図80マッコウクジラの腰部痕跡骨

飴「

C凸》 ④ ① 図81ウシの寛骨腹側面 図82腰部痕跡骨の計測部位 -40-

(43)

名護博物館紀要「あじまあ」・9 表20腰部痕跡骨の計測値 単位:nm

Ⅳ要約

① ロ 名護博物館の依頼により、同館所蔵のマッコウクジラ骨格標本の骨計測と主に偶蹄類(ウ シ)との比較検討を行った。 材料は性が雄で、年齢・体重不詳・体長13mで1985年に和歌山県太地町沖で捕獲された もので、約2年間名護市屋我地海岸に埋没され、さらし骨標本とされたものであるゴ 計測方法は木村(1983)、DrieSch(1976)の記載を参考とし、計測器具は牛体測定器、 マルチンの計測器具、巻き尺などを使用して計測をおこなった。 1)頭蓋:マッコウクジラの頭蓋は、クジラ類に特有のテレスコーピングが顕著に現れてお り、鼻骨はなく鼻孔が左側に1個だけあった。 2)下顎:マッコウクジラの下顎は、下顎体が大部分を占め単純な構造となっていた。 3)歯:マッコウクジラの歯は、左右ともに24本から構成されており寸歯はすべて同形歯型 の頬歯で無根歯であった。 4)椎骨:マッコウクジラの椎骨は頚椎7,胸椎11、腰椎8,尾椎22個から構成されており、 頚椎では第二~第七までは融合して、融合頚椎を構成していた。 5)舌骨:マッコウクジラの舌骨は舌骨肢、角舌骨、舌骨翼の3つに分かれており、どれもう すく扁平で単純であった。 6)肋骨:マッコウクジラの肋骨は、左右ともに11本から構成されており、肋骨の幅は前方 ほど発達していたが、関節面は単純な構造であった。 7)胸骨:マッコウクジラの胸骨は、左右の胸骨体よりなっていたが、うすく扁平で、肋骨 切痕などがなく単純な構造であった。 8)血管弓;マッコウクジラの血管弓は12個より構成されており、クジラ類では、管弓はv 字骨(シェブロン)とよばれ、最後位腰椎と第一尾椎の間より始まり第十二尾椎まで認め られた。 9)肩甲骨:マッコウクジラの肩甲骨は、肩峰と鳥口突起の発達がよく平行して発達してい た。 ● 」 8▲ 。 -41 ① ② ③ ④ R 187 45 16 54 L 172 46 17 61

(44)

10)上腕骨:マッコウクジラの上腕骨は、太く短く形状が単純で、上腕骨頭は化骨化が不十 分であったために上腕骨体と結合していなかった。 11)前腕骨:マッコウクジラの前腕骨は、榛骨と尺骨よりなり、母指列に続く榛骨が内側を 占め、小指列に続く尺骨が外側に位置していた。また、榛骨、尺骨ともに太く短く、形状 が単純であった。 12)指骨:マッコウクジラの指骨は、5本の指を持っているという点では、哺乳類の基本数 を示していたが、第二指~第四指までは多数の指骨を持ち、最も多かったのは第二指で6 個の指骨が観察された。また、親指よりも小指が発達している点は海生lIiji乳類の特徴と一 致していた。 13)腰部痕跡骨:マッコウクジラの腰部痕跡骨は、寛骨の恥骨、坐骨が退化して腸骨のみが 残ったものであった。 14)計測した今回の標本の脊椎の構成は、頚椎:7、胸椎:11、腰椎:8、尾椎:22で計48 個であり、マッコウクジラは50±2個とされているので、この標本の脊椎骨数は少ないレ ベルであることがわかった。 15)マッコウクジラの全長に関して、平均16m(351)とされており、最大のクラスでは18.6 mの記載もある。今回の標本の体長は13mであったこと、全身骨格の調査の結果として数 個所において、骨の石灰沈着(化骨化)が不充分なことが指摘できたので、本標本の個体 は成獣直前の若雄であり、繁殖活動には参加していなかったと判断された。 画戸 乙 ニ ム、 写真4頭蓋前面 -42-

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名護博物館紀要「あじまあルリ 夕 ■ 写真6頭蓋後面 写真5頭蓋側面 午

〃)j))が

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写真8歯の全体像(左が前方) 写真7下顎骨 己 ■ ⑭ 写真10第一頚椎前面 写真9第八・第九頬歯 -43-

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坤 か》ト 写真11融合頚椎前面 写真12第二胸椎前面 写真13胸椎側面 ③ ●}』.へ。 写真14腰椎側面 写真15尾椎側面とV字骨 -44-

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名護博物館紀要「あじまあ」., ブ で 写真16舌骨腹側面 写真17胸骨腹側面 aI 写真18右肋骨 写真19左肋骨 且 廻『 写真20右肩甲骨外側面 写真21左肩甲骨外側面 -45-

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写真22 側面 写真23左前肢骨背側面

写真24腰部痕跡骨後面

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名護博物館紀要「あじまあ」.,

Ⅵ参考文献

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》『・謡

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参照

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