博士(農学)伊勢島エリザ美智子 学位論文題名
Physiological and enzymological studies on sucrose : sucrose lF fructosyltransferase (SST) in the tubers of Helianthus と Mberos ひ s L.
( キ ク イ モ に お け る ス ク 口 ― ス : ス ク 口 ― ス 1F フルク卜シルトランスフェラーゼ(SST)の生理学的及び酵素学的研究)
学位論文内容の要旨
フ 少 ク タ ン 生 合 成 代 謝 の 鍵 酵 素 で あ る 、 ス ク ロ ー ス : ス ク ロ ー ス1F フ レ ク ト シ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ ( 以 下SSTと 略 す ) の 活 性 変 動 を キ ク イ モ (Helianめus tuberosusL. 野 生 種 及 び 品 種 都 城 ) の 生 育 期 、 開 花 期 、 結 実 期 及 び 枯 草 期 に つ い て 季 節 学 的 、 酵 素 学 的 に 検 討 し た 。 フ ル ク タ ン 代 謝 に お い てSST は2分 子 の ス ク ロ ー ス よ ル イ ソ ケ ス ト ー ス を 合 成 す る 酵 素 で あ り 、2分 子 の イ ソ ケ ス ト ー ス は フ ル ク タ ン : フ ル ク タ ン フ ル ク ト シ ル ト ラ ン ス フ ェ ラ ー ゼ (FFT)に よ ル ニ ス ト ー ス を 合 成 す る 。 こ の よ う に し て フ ル ク タ ン の 長 鎖 、 例 えばイヌリンカミ合成される。またイソケストースはオリニニ蹴唐゛甘.1米ネ斗として栄養 的に重要な資源である。
キ ク イ モ の 花 芽 形 成 初 期 に は 塊 茎 中 のSSTの 活 性 及 び 塊 茎 の 肥 大 は ー ・ 時 的 に 抑 え ら れ る が 、 塊 茎 形 成 の 初 期 、 即 ち 開 花 期 に はSST活 性 は 最 大 で あ っ た 。 塊 茎 の 生 育 肥 大 は 開 花 後 期 に は 最 大 に 到 達 し 、 そ の 後SST活 性tよ 急 激 に 低 下 し 、 休 眠 塊 茎のSST活性は認められなかった。
ま た 、 休 眠 中 の キ ク イ モ 塊 茎 組 織 を 無 菌 組 織 培 養 し 、SSTの 活 性 誘 導 を 試 み た 。 培 養 組 織 を0.3Mス ク ロ ー ス 中 で 培 養 す る と 、SSTの 活 性 が 増 加 し60時 間 後 最 大 に 到 達 す る が 、0.3Mマ ニ ト ー ル で 培 養 し た 組 織 で はSSTの 活 性 誘 導 は 認 め ら れ なかった。
こ れ ら の 結 果 は キ ク イ モ に お け るSSTの 活 性 を フ ル ク タ ン 代 謝 活 性 と し て 表 わ す な ら ば フ レ ク タ ン 代 謝 は 塊 茎 発 育 と 著 し い 関 連 を 持 っ こ と に な る 。 キ ク イ モ の 開 花 初 期 に お け る 塊 茎 中 のSSTの 活 性 が 最 も 高 い こ と か ら こ の 期 の 塊 茎 を 用 い てSSTの 抽 出 精 製 純 化 を 試 み た 。 精 製 は 粗 抽 出 液 の 硫 安 塩 析 、 ゲ ル ろ
過、疎水逆相カラム、高速液体クロマトグラフイ及び二次元電気泳動法を用い た。 高速液 体ク ロマ トクラフイによる溶出液のSSTのKmは127 mMで、比活性 は97.4 nKat/mg Proteinであった。
等電点電気泳動法によるSSTの分離ではpIは5.0でその分子量は65,000であっ た。二次元電気泳動によるSDS‑PAGEでの分子量は46,700と21,300のニつのベ プチドj二分かれた。このことはSST酵素蛋白質が二本がヘテロダイマーから成り 立っことを示唆している。
また、46.7 kDaベプチドのN.末端アミノ酸配列はジャガイモ及ぴトマトの 70 kDaのインベルターゼと61%の相同性を示した。一方、21.3 kDaベプチドの N.末端はトウモロコシのインベルターゼ(55%相同性)及び63 kDaのニンジン のインベルターゼ(51%相同性)と類似性が高く、トマト及びジャガイモのイ ンベルターゼとの類似性の低いことを明らかとした。46.7 kDaベプチドはトマ ト及ぴジャガイモのインベルターゼのN.末端アミノ酸配列と、また21.3 kDaの べプチドはトウモロコシ、ニンジンのインベルターゼのC末端近傍のアミノ酸配 列と類似しており、一本のべプチドからヘテロダイマーが生成することを示唆 した。また、無変性二次元電気泳動によるウエスタンブロッテイングでは、
46.7 kDa及び21.3 kDaに対する抗体は一箇所に反応した。さらに等電点電気泳 動とSDSによる二次元電気泳動後のSSTとの抗体反応では46.7 kDa及び21.3 kDa にのみ免疫反応が認められたが、抽出液に直接SDSを加えて変性した蛋白質溶液 のSDSPAGEによるウエスタンブロッテイングの免疫学的検出によって70 kDaヽ 46.7 kDa及び21.3 kDaに免疫反応が認められ、モノマーのSSTペプチドの存在が 確認された。
これらの実験結果から70 kDaの不活性型のモノマーSSTが生成し、これが2本 のヘテロダイマーに分かれ再構築されて活性型SSTを形成すると結論できる。
スクロースを加水分解する酵素インベルターゼはすべての植物に分布してい るが、フルクタンを貯蔵する植物には分類学的にキク目、キキョウ目、イネ科 及ぴユリ目など特異的に限られた種類が含まれており、両者のアミノ酸配列の 類似性は興味ある結果である。
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学位論文審査の要旨 主 査 教 授 喜 久田 嘉郎 副 査 教 授 生 越 明 副 査 教 授 上 田 一 郎 学 位 論 文 題 名
Physiological and enzymological studies on sucrose : sucrose lF fructosyltransferase (SST) in the tubers of He2ianthus t ひ berosMs L.
( キ ク イ モ に お け る ス ク 口 一 ス : ス ク 口 一 ス 1F フ ルクト シル トラ ンス フェラ ーゼ(SST)の生理学的及び酵素学的研究)
本論文は、図24、表7、引用文献81編、総ベージ数96頁からなり、4章をもっ て構成される。その他7編の参考論文を添えている。
フ ル ク タ ン 生 合 成 代 謝 の 鍵 酵 素 で あ る 、 ス ク ロ ー ス : ス クロ ー ス1F フ ルク トシル トラ ンス フェ ラーゼ (以下SSTと略す)の活性変動をキクイモ (Helian曲us tuberos usL.野生種及び品種都城)の生育期、開花期、結実期及 び枯草期について季節学的、酵素学的に検討した。フルクタン代謝においてSST は2分子のスクロースよルイソケストースを合成する酵素であり、2分子のイソ ケ ス ト ー ス は フ ル ク タン : フ ル ク タ ン フ ル ク ト シ ルト ラ ンス フェ ラーゼ (FFT)によ ルニ スト ースを 合成 する。このようにしてフルクタンの長鎖、例 えばイヌリンが合成される。またイソケストース|まオリゴ糖甘味料として栄養 的に重要な資源である。
キクイモの花芽形成初期には塊茎中のSSTの活性及び塊茎の肥大は一時的に抑 えられるが、塊茎形成の初期、即ち開花期にはSST活性は最大であった。塊茎の 生育肥大は開花後期には最大に到達し、その後SST活性は急激に低下し、休眠塊 茎のSST活性は認められなかった。
また、休眠中のキクイぞ塊茎組織を無菌組織培養し、SSTの活性誘導を試みた。
培養組織を0.3Mスク‐ロース中で培養すると、SSTの活性が増加し60時間後最大 に到達するが、0.3Mマニトー少で培養した組織ではSSTの活性誘導は認められ なかった。
これらの結果はキクイモにおけるSSTの活性をフ渺クタン代謝活性として表わ す な ら ば フ ル ク タ ン 代 謝 は 塊 茎 発 育 と 著 しい 関 連 を 持 つ こ と に な る 。 キクイモの開花初期における塊茎中のSSTの活性が最も高いことからこの期の 塊茎を用いてSSTの抽出精製純化を試みた。精製は粗抽出液p硫安塩析、ゲルろ 過、疎水逆相カラム、高速液体クロマトグラフイ及び二次元電気泳動法を用い た 。高速 液体クロマトクラフイによる溶出液のSSTのKmは127 mMで、比活性 は97.4 nKat/mg Proteinであった。
等電点電気泳動法によるSSTの分離ではpIは5.0でその分子量は65.000であっ た。二次元電気泳動によるSDS‑PAGEでの分子量は46,700と21.300のニつのベ プチドに分かれた。このことはSST酵素蛋白質が二本のへテロダイマーから成り 立っことを示唆している。
また、46.7 kDaベプチドのN.末端アミノ酸配列はジャガイモ及ぴトマトの 70 kDaのインベ少ターゼと61%の相同性を示した。一方、21.3 kDaベプチドの N.末端はトウモロコシのインベルターゼ(55%相同性)及び63 kDaのニンジン のインベ,レターゼ(51%相同性)と類似性が高く、トマト及びジャガイモのイ ンベルターゼとの類似性の低いことを明らかとした。46.7 kDaベプチドはトマ ト及びジャガイモのインベルターゼのN.末端アミノ酸配列と、また21.3 kDaの べプチドはトウモロコシ、ニンジンのインベルターゼのC末端近傍のアミノ酸配 列と類似しており、一本のべプチドからヘテロダイマーが生成することを示唆 した。
これらの実験結果から70 kDaの不活性型のモノマーSSTが生成し、これが2本 のヘテロダイマーに分かれ再構築されて活性型SSTを形成すると結論できる。
スクロースを加水分解する酵素インベルターゼはすべての植物に分布してい るが、フJレクタンを貯蔵する植物には分類学的にキク目、キキョウ目、イネ科 及びュリ目など特異的に限られた種類が含まれており、両者のアミノ酸配列の 類似性は興味ある結果である。
よっ て、審査員一同tま、最終試験の結果と合わせて、本論文の提出者 伊勢島エリザ美智子は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格があるもの と認定した。