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土井浩二 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成20年 2月

土井浩二 学位論文審査要旨

主 査 大 浜 栄 作 副主査 中 島 健 二 同 井 上 貴 央

主論文

Mitochondrial changes in motor neurons of homozygotes of leucine 126 TT deletion SOD1 transgenic mice

(ロイシン126二塩基欠失SOD1遺伝子ホモ接合体導入マウスの運動ニューロンにおけるミト コンドリアの変化)

(著者:土井浩二、中野俊也、北山通朗、渡邉保裕、安井建一、深田育代、森野慎一、

海藤俊之、中島健二、井上貴央) 平成20年 Neuropathology 28巻 掲載予定

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学 位 論 文 要 旨

Mitochondrial changes in motor neurons of homozygotes of leucine 126 TT deletion SOD1 transgenic mice

(ロイシン126二塩基欠失SOD1遺伝子ホモ接合体導入マウスの運動ニューロンにおけ るミトコンドリアの変化)

筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis: ALS)は、進行性の筋力低下及び 筋萎縮により呼吸筋麻痺を引き起こして死亡する、進行性の神経変性疾患である。ALSの一 部は家族性で、その10~20%にCu/Zn superoxide dismutase (SOD1)遺伝子の変異が存在す る。筆者らは以前に家族性ALSと同様の臨床症状と病理所見を呈する、新たなモデルマウス であるロイシン126二塩基欠失SOD1遺伝子ホモ接合体(DF-homo)の導入マウスを作製した。

本研究の目的は、この新規モデルマウスにおける脊髄前角運動ニューロンの微細構造を検 討し、その初期病理変化を明らかにすることである。

方 法

実験には発症前(14、35、56、77日齢)、発症直前(平均98日齢)、発症早期(平均126日齢) 及び発症末期(平均145日齢)のDF-homoマウスおよび日齢を合わせた正常マウスを用いた。

また、発症末期および老年モデルの対照としてヒト正常SOD1遺伝子導入マウス(W)およびフ ラグ導入ヒト正常SOD1遺伝子導入マウス(WF)を用いた。定法により電顕および免疫電顕試 料を作製し、ミトコンドリアの変化を含む脊髄前角運動ニューロンの微細構造変化を検討 した。

結 果

14日齢のDF-homoマウスにおいては明らかなミトコンドリアの構造変化を認めなかった。

35日齢においてミトコンドリア基質の電子密度低下とクリステの層状構造の乱れを認めた。

これらのミトコンドリアの微細構造の変化は、程度、数ともに日齢を経るに従って強くな った。発症早期には脊髄前角運動ニューロン数の減少を認め、残存運動ニューロンにおい て膨化およびクリステ内腔の開大したミトコンドリアや二重膜を持つ空胞を認めた。また、

線維性封入体を認め、その中心には顆粒を伴う線維構造を認めた。層板構造の乱れたゴル

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ジ装置、変性した軸索も認められた。発症末期では運動ニューロンの減少およびミトコン ドリアの変化はさらに強くなり、大きく膨大し、クリステ末端の棍棒状変化を伴うミトコ ンドリアが見られた。全経過を通じてミトコンドリア膜間隙の開大は見られなかった。対 照正常マウスの脊髄ではこれらの変化は認めなかった。WおよびWFマウスにおいては老年期 に於いてクリステの層板構造の増加及び膜間隙の膨化を伴うミトコンドリアを認めた。

免疫電顕では金コロイドでラベルしたSOD1の沈着を認めたが、その程度はミトコンドリア とその周囲との間で明らかな差異を認めなかった。線維性封入体では有意に金コロイドの 沈着を認めた。封入体中心部では金コロイドでラベルしたユビキチンの沈着を認めたがミ トコンドリアには明らかな沈着を認めなかった。WおよびWFマウスにおいてもSOD1金コロイ ドの沈着を認めたが、その程度はDF-homoマウスと比べ明らかな有意差を認めなかった。正 常マウスに於いては明らかな金コロイドの沈着を認めなかった。

考 察

既報の他のヒト変異SOD1遺伝子導入マウスの脊髄運動ニューロンの微細構造変化として ゴルジ装置の断片化、軸索変性、線維性封入体などと共に、初期病理変化としてミトコン ドリアの膨化・空胞化と、豊富な変異SOD1の沈着を伴うミトコンドリアの膜間隙の開大が 報告されている。今回の検討においても、発症前よりの初期病理変化としてミトコンドリ アの変化が認められ、発症後これらの変化はさらに強くなった。しかし、これらのミトコ ンドリアの変化はミトコンドリア基質の開大・膨化であり、末期までミトコンドリアの膜 間隙は保たれていた。さらに、免疫電顕においてはミトコンドリアに有意なSOD1金コロイ ドの沈着は認めなかった。この結果は、これまで報告されている、他のヒト変異SOD1遺伝 子導入マウスでのミトコンドリア膜間隙の膨化や空胞化を特徴とする変化とは異なってい た。また、ALS症状を呈さないヒト正常SOD1遺伝子導入マウスにおいて、膜間隙の膨化や空 胞化したミトコンドリアが見られた。

結 論

ロイシン126二塩基欠失SOD1遺伝子ホモ接合体導入マウスの脊髄運動ニューロンの初期 病理変化としてミトコンドリア基質の開大・膨化が認められた。これらの変化は既報の他 のヒト変異SOD1遺伝子導入マウスにおける変化とは異なっており、本モデルの特徴と考え られた。

参照

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