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桑本 裕二 * 秋田工業高等専門学校

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秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 第

2 7

2 0 0 5

双方向型異文化理解の試みとしての 「日本事情 」I

桑本 裕二 * 秋田工業高等専門学校

宮本 律子

**

秋田大学教育文化学部

本論 は ,2 0 0 3 年度か ら 2 0 0 4 年度 にかけて秋田大学教育文化学部で実施 した日本事情の講 義 の実践報告である.当大学で実施 している日本事情の講義 はその性格上 2 種類 に分 けら れているが,本論 はその うちの, 日本文化 に関す る知識の授与を目的 とす る 「日本事情 Ⅲ, I V 」 について扱 っている.授業 は受講者の口頭発表形式を基本 に進行 し,テーマは自由と

した.授業実施 に際 しては, 日本文化の表面的な知識の授与 よりは, 日常生活 に根 ざ した 様々なカルチ ャーショックとも言えるス トレスか ら生 じる問題点 に着 目し,受講者の興味 を引き出すよう努めた. 日本文化の知識の会得には, まず留学生の出身国の文化的項 目を 手始めに し,それを基 に して 日本文化の同等物 に対 して思考を巡 らすのが効果的であると 考え, さらにそ うして得 た知識を自国の文化や他の国への文化 に対 してフィー ドバ ックす

るという,双方向的な文化理解を到達 目標 とした.

キーワー ド:日本事情,双方向型異文化理解,口頭発表, 日本文化,心理的背景

1 . は じめに

秋 田大学 の教養教育科 目として,「日本事情 Ⅰ〜

Ⅳ」 が設 けられている. これ らの授業 は本来的には 外国人留学生対象の授業であるが,宮本担当の 「日 本事情 Ⅰ, Ⅱ 」では ,1 9 9 3 年度以来,外国人留学生,

日本人学生 の区別 な しに履修 で きるよ うに変 えた ( 宮本 1 9 9 5 : 1 ). その後,様 々な社会問題 を扱 った テ レビの報道番組や新聞記事 などの紹介を もとに し た討論主体 の授業 ( 宮本 1 9 9 5 ) ,複数の人文科学系 教員の リレー形式 による授業 ( 宮本他 1 9 9 8 ) 1 ) ,地

域を紹介す るホームページの作成の実践 ( 宮本 ・松 岡 1 9 9 9 ) など,様 々な方法で授業が行われ,教育 効果が高 め られて きた.「日本事情 Ⅲ, Ⅳ」 は,従

2 0 0 5

1

2 4

日受理

千" Ni h o n j i j o ′ ' a saGo a lt oaTwo ‑ wa yl nt e r c ul t ur a l Co mpr e he ns i o n

* Yuj i KuwAMOTO , Aki t aNa t i o na lCo l l e geo fTe c hno 1 ‑ o gy,Aki t a

*

*Ri t s uko M I YAMOTO ,Fa c ul t yo fEduc a t i o na nd Huma nSt ud i e s ,Aki t aUni v e r s i t y,Aki t a

莱, 日本文化 に関する知識の授与 とい う内容を求め るものであるが,桑本が 2 0 0 3 年度以降, この授業を 担当 している.本論 は ,2 0 0 3 年度か ら 2 0 0 4 年度前期 にかけて行 った 「日本事情Ⅲ, Ⅳ 」の実践報告であ る.筆者 らは,外国人留学生のいわゆる 「日本文化 理解」 には,まず,外国人留学生の出身国文化の認 識が必要で, これ と日本の 2 国間の文化の異同を理 解す ることが何 より大切であると考え,留学生の自 国の文化 と,外国である日本の文化 の相互理解を授 業 に求めた.授業 は,受講者 による日本文化 に関わ るテーマでの口頭発表を もとに,受講者全員 による 討論 によってその話題を深めた.若干名の参加をみ た日本人学生 に対 しては,主 に外国人の視線で 日本 文化を眺めるというテーマを考えさせ, 日本人 とし ての異文化理解を求めた.

2 . 日本事情の捉え万

一双方向的な異文化理解をめざ して‑

「日本事情」 という授業科 目名 は昭和 3 5 年の留学

(2)

生教育制度の改正の時に初めて用 い られ,以後,大 学 にお ける留学生教育 の 1 科 目と して発展 して き た2 )( 宮本 1 9 9 5 : p. 1 f . ). それ以降,大学 ごと,担 当教員 ごとにそれぞれの解釈があ り,様々な試行錯 誤を経て現在に至 っている.大 まかには, 日本史や, 正統的な 「日本文化」 についての講義主体か ら,よ

り生活 に密着 した, 日常生活のなかでの文化的背景, 意識,反応などに注 目した知識の教授へ とい うふ う

に変遷 してきている.かっては軽視 されがちであっ た 「 背景知識」が,実際には留学生たちが留学中に かな り興味を持 って知 りたが る,あるいは知 ってい なければ困 るという種類の事柄であることに気付か されることも多 く, これを中心 に教える意義 は大 き いといえる.

宮本 ( 1 9 9 5 ) は, 「日本事情」 について, 2 通 り の教え方を示 した.一つは日本語の学習を補 う背景 知識 とみな し,言語教育の一環 として教授するもの,

もう一つは日本その ものの知識 として従来の一般教 育 の‑科 目と しての講義 をす るとい うもので ある ( 宮本 1 9 9 5 : 3 ) . 秋田大学 における留学生教育では,

「日本事情」 を, Ⅰ, ⅡとⅢ,Ⅳ に分 け, Ⅰ , Ⅱに 対 して前者の, Ⅲ,Ⅳに対 して後者の理念を当ては めるものとして授業を実践 してきた.

本論 は,後者Ⅲ,Ⅳに関 しての実践報告であるが, こち らの授業では 「 知識の授与」が授業 目的の主体 となる3 ) .本来的には日本文化 に関す る知識 の授与 が本授業 に求 め られ る.「 正練的である」 と思われ るそのような知識 とは,具体的には能や歌舞伎,坐 け花や茶道など, いわゆる日本の伝統文化であ り, さらには建築や料理,年中行事など,古 くか ら継承 されてきた事柄 にまつわることである. これ ら種々 雑多な知識 に関 して,包括的に豊富な知識を兼ね備 えている一個人教員 は, 日本の民俗学研究者 などを 除けば,皆無 に等 しく,適切 に知識の教授を行 うの は極めて困難であるといっていい. また,現状の留 学生の 日本語教育の一環 としての位置づけか ら考え て,それ相応の専門教員を配置す ることには積極的 な意味あいは薄い. また,外国人留学生 は,必ず し ももっぱ ら日本文化を学ぶのが 目的ではな く, ま し てや将来その専門家になるわけで もな く,工学や教 育学を学ぶかたわ らに語学教育の一部,あるいは周 辺的知識 として 日本文化を身 につ けよ うとしている とい うのが実際の状況である 4 ) . したが って, いわ ゆる 「 正統的な 日本文化」の教授 という点で考える

8 8

な らば,留学生の教育 においてはさほど重 きを置 く 必要 はないと考える.そ ういった知識の多 くは,過 常の生活を している日本人 にとってでさえ,む しろ 無知,無関心であることが多いというのが実状で, 留学生 たちの本当に身 につけたい,あるいは教員が 身 につけさせたいと思 うこととはあまりにもかけ離 れす ぎているように思われる.

そ うはいって もやはり, 日本文化 に対す る知識の 教授 は必要な ことである.「日本事情 Ⅰ, Ⅱ」 で理 念 としてかかげる,「 背景知識の教授」 とい う項 目 を,「日本事情 Ⅲ,Ⅳ」 において も盛 り込み,文化 その ものへの知識の教授 と,それにまつわる背景知 識の教授 とをお互 いに有機的に関連 させ る形で授業 を展開 してはどうか と考えた. もちろん,授業の根 幹をなすのは,なにか特定の 日本文化の項 目に関す る調査 ・研究 ・考察であり,また,それへの知識を 深 め ることであ るが, それ に もま して注 目 したい (または,学生 に注 目させたい) ことは, それ らの 個別の知識が,現代の日本の社会の中でどのように とらえ られているのか, 日本の人々がそれをどう意 識 しているのか,そ してなによ り外国人の目か ら見 てどのように感 じられるのか,などについて考える ことである.多 くの外国人留学生 たちは,留学中の 日常生活の中で様々な日本の文化的側面に遭遇 して, そのたびに驚 き,不思議が り,不満を もち,あるい は楽 しんでいる. これ らの感情的側面 は,いわゆる 文化 に対す る 「 背景知識」,すなわち日本 の風俗習 慣や文化的背景 に関わる意識や言語的,行動的反応 などに対応 した ものであると思われるが, これ らに ついて分か りやす くひも解 くということは,文化理 解 にとって極めて重要 なことであり, これ らの こと を具体的な文化的項 目に対する疑問 として対応 させ, 様々に考察を加えることは実に意義深いことである.

さ らに,留学生 たちが感 じる日本文化 に対す る

「ス トレス」 は,元 々は留学生 たちの出身国の文化 に根ざ していることが予想できるが,留学生 自らが, 自国の文化を しっか りと理解 し, またそれ らの知識 を他国の人 に明瞭に説明で きるだけの能力を持ち合 わせ ることは,ひいては,外国文化である日本文化 を正確 に理解 し,知識を深めることにつなが ると思 われる. このように考えて くると,留学生 にとって の日本文化理解 は, まず出身国の文化理解を手始 め にするべきで,それ らの異文化間の異同について しっ か りと考察することで高めることができる.さらに,

秋 田大学教育文化学部教育実践研究紀要

(3)

そのように して身 につけた日本文化 に関す る様々な 知識を留学後の自国に持ち帰 り,その後の生活 に生 かす ことができれば,それは大学 における留学生教 育の主要 な効果の一つ といっていい.

2 0 0 3 年度か ら 2 0 0 4 年度にかけて桑本が担当 して行 っ た 「日本事情 Ⅲ, Ⅳ」 には, 日本人学生の受講者

5)

もいた.本授業 は,本来的には留学生対象の授業で あ り,外国人向けの日本文化理解を基本 に据えてい る. このような方針の授業の中での, 日本人の学生 に対 しての 「日本事情」の意義 は, 自国の文化を客 観的に,外的な視野で眺めてはしいということであっ た.講義中には,当然,普段の講義ではあり得ない ような比率で外国人がいたわけだが,そのような非 日常的な環境の中であれば,普段す っか り浸 ってい て意識す ることす ら稀有である 「日本文化」 とい う ものをあ らためて意識 し,それに対 して偏 りのない 考えを もて るようにな り,客観的かっ新鮮な気持 ち で様々な考察をす ることが可能であるという期待 も あった. このように, 日本人学生 に対 しては, 日本 文化を外国へ向けて紹介することと,あえて 日本の 外 に身を置いたと仮定 した場合の 「日本観」 という

ものについて考えてほ しいと思 った.

外国人留学生 にとっては自国の文化 と日本文化の 相互比較を基準 とす ることで, 日本人学生にとって は,外国人へ向けて, またあえて国の外 に身を置 く ことでその視点で 日本を振 り返 るという意味で,い ずれの場合 も,双方向的な文化理解を目指す ことが で きると考え,本授業での基本的な方針 として据え ることとした.t 留学生 たちにとって,出身国は多様 であり, 自国以外の外国の事情を も理解す ることは 自国の文化, 日本の文化を相互 に理解する上で も少 なか らぬ重要性を もつ ものであった. また,受講 し ている日本人学生 にとって も,異なる文化の複数の 国を意識で きる環境 は, 日本文化 に対す る見方の客 観性をさらに強めるのに一役買 っていたと思 う.

3 . 授業の方法

実践報告 をす るのは ,2 0 0 3 年度か ら 2 0 0 4 年度前期 にかけて行 った 「日本事情Ⅲ,Ⅳ」である.前期開 講が 「日本事情 Ⅲ 」であ り,後期開講が 「日本事情

Ⅳ」であるが,留学 プログラムの開始 ・終了が通常

9 〜1 0 月である学生が多いこともあ り, ほとん ど の場合,同一年度 に連続 してⅢとⅣを受講す る学生

がほとんどいなか ったことなどか ら実質的には同 じ 内容の授業を行 った.

授業 は,受講者の任意選択 によるテーマでの口頭 発表を行 い,それ に即 して,教員か ら, また他の受 講者か らの質疑応答,そ してそれに基づ く討論を行 っ て全体的に内容を深めることで 1 回の授業 としてま とめた. テーマを学生の自由に任せたのは,興味 ・ 目的など,様々な事情が考え られるか らである. ま た,留学生 には ,1 年 の留学期間のプログラムであ る者,工学資源学部 ・教育文化学部の在籍学生であ る者,大学院進学をめざす研究生 など,留学の目的 によ り様々なタイプがあり,留学年数 も様々である ことか ら, 日本語運用能力に個人差が大 きく, 自分 で こなせ る内容,長 さ,質などを自分な りに考慮 し て発表 に臨んでほしいという理由 もある.実際,発 表のために用意 した,書かれた日本語を音読す るだ けでや っとというレベルか ら,図や表を示 しなが ら その場で話 した り,合間に質問に答えなが ら発表で きるという学生 まで様々であった. このように日本 語力の様々な学生 たちに対 し,それぞれに即 した評 価を与えるためには自由テーマが適 していると思わ れた.

日本人学生には, 日本文化を外国人 に紹介 し, そ れを面 白いと思 って もらう工夫や,あえて客観視す るというコンセプ トでテーマを選んで もらうよう指 示 した.

発表 は,その時の受講人数 にもよったが, 1 回 9 0

分 の講義で 2 人か ら 3 人を割 り当てた. 1 人分 の持 ち時間は約 3 0 分 ということに し,その間で発表 ・ま たは自らが司会進行役 となって受講者 に問題提起を した り,質問を促 した りと, 自由に時間を使 うよう に指示 した.発表形式 も自由とした.実際には,パ ソコンでパ ワーポイ ン トなどのプ レゼ ンテーション 用 ソフ トを利用 し,明瞭 ・的確 にプ レゼ ンテーショ ンを行 った学生がかな り多 くいた. また,紙 に印刷 した図表を全員 に配 って説明 した者 もいて,その形 式 は様 々であった.音源や ビデオ ・DVD などの映 像 を使 うことも可能性 として示 したが ,1 年半の開 講期間で これ らの方法を使 う者 は現れなか った.

発表のテーマ選びは,特 に来 日間 もない留学生 に

は,いきな り自由に選ぶのはかなり難 しいと思われ

たので,初回ガイダンスのあと ,2回 目の授業で発

表の順番を決めつつ, とりあえず発表予定のテーマ

を公表 して もらい,そのテーマ発表を授業中に参考

(4)

に しなが ら予定 しているテーマを別 の ものに変更 し た り, テーマを決 めかねている学生 にはテーマ選定 の参考 に した りとい う余地 を与 えた. このよ うに, テーマ発表 を受講者全員で公表 し合 うための授業 を

1

回分設 けたの は,選んだテーマにつ いて調べ るの にはどうした らいいのか,何 を用 いて調べ るべ きか, また,調べて面 白い結果が出そ うか,期間内に調べ ることが可能か, などにつ いての助言 を与 え るため で もあ る. また, ほとん ど同 じテーマの ものはなる べ く避 けるよ うに し, また,関連 した内容 の ものは 同 じ日に発表 で きるよ う配慮 した.

発表 を終えた学生 に対 して は,発表, その ときの 質疑応答 の内容,教員か らの コメ ン トなどを もとに, 論文 の形 で レポー トの提 出を もとめた. その際,特 に 日本語運用能力 の低 い学生 は, 口頭発表 の発表原 稿 をそのままの体裁 で,つ ま り話 し言葉 のまま書 こ

うとす る傾向が強 いので, そのよ うな場合 には書 き 言葉 の文章 と して まとめるよ う指示 し, 口頭発表 と 論文形式 の文体 の違 いにつ いて明確 に指示す るよ う につ とめた. そ してその レポー トを評価 の対象 と し た. レポー トは評価 とコメ ン トを付 した後,受講者 に返却 した.

4 .

授業 の実践

4. 0 .

以下 で は

2 0 0 3

年度前期か ら

2 0 0 4

年度前期 にか けて の

3

期 にわた る授業 の実際 につ いて述べ る.

4 . 1 .

受講者数 と受講者 の国籍 の内訳

3

期 の受講者数, および受講者 の国籍 の内訳 は以 下 の とお りであ る.

2 0 0 3

年度前期 「日本事情

Ⅲ」

受講者数 韓国 中国 マ レー シア オース トラ リア イ ラン

日本

2 0 0 3

年度後期 「日本事情

Ⅳ」

受講者数

9 0

名 名 名

1 9 5 4 1 1 1 2

2 7

韓国 中国 マ レー シア オース トラ リア イ ラン

日本

2 0 0 4

年度前期 「日本事情

Ⅲ」

受講者数 韓国 中国 マ レー シア アメ リカ合衆国 ブラジル 日本

名名名

名 名

6 7 4 1 1 8

名名名名

名 名

1 0 6 1 1 1 2 2 1

受講者数 はいずれ も

2 0

人台で一定 していた. 出身 国 は,韓国, 中国が合 わせて常 に半数近 く, または それ以上 で, それ につ いでマ レー シア, オース トラ リア, アメ リカ合衆国などとな った. オース トラ リ ア ・アメ リカ合衆 国などは,秋 田大学 と姉妹関係 に あ る大学6)か ら定期 的 に留学生 を受 け入 れて いるた め必 ず 1

,2

人 は留学生が いて, ほ とん どの場合 は 本授業 を受講す ることになる. これ ら

3

期 の間で特 徴的だ ったのは, イ ラン, ブラジルか らの留学生が いた ことで,大勢 いる東 ア ジア人や馴染 みのある国 か らの欧米人 とは異 な る感覚 を もっていて, ことあ るごとにその違 いに気付か されて, そのたび新鮮 な 気持 ちにさせ られた.

4. 2 .

授業 の展開 一発表 のテーマー

口頭発表 のテーマは, およそ次 の

3

種類 に分類 で きる.

A.

日本文化 その ものを中心 に した もの

B.

出身国の文化 を中心 に した もの

C.

日本人 の心理的背景 を中心 に した もの

A

は, いわ ば伝統 的 な 日本文化 に関す る 「知識 授与」 に結 びっ くものであ る.多 くの留学生 に とっ て は,初期段階で興味 を もっ もので もあ り, この種 の発表 を通 して正統的な 日本文化知識授与が達成 で きた とい う感 を もった

.B

は, まず,発表者 の視点 を 自国の文化 に据 え るところか ら始 め, その当該 国

秋 田大学教育文化学部教育実践研究紀要

(5)

の文化 に関する項 目を,他文化である日本において, あるいはその他の国か らの留学生 に対 して,明快 に, 興味深 く紹介す ることを求めた.そ して,そのよう

な文化的項 目に関 して, どのような点が 日本文化の 中で理解 して もらえるのか, ということに着 目し, 発展的には日本文化の中の等価な もの との比較を行 い,それ らについての考察, 自分な りの分析 を求め た. C に関 しては, この授業で最 も注 目していたこ とであるが,留学生たちが留学中の日常生活のなか で体験す る様々な言語的 ・行動 的反応 に対す る不満 や疑問などを出発点 に考 えた ものである

7)

.平 た く いえば 「カルチ ャーショック」 ということになろう が, このカルチ ャーショックの根本原因について, なにか具体的なテーマに即 して熟考 し,分析す るこ とで異文化である日本文化の理解へつながるとの期 待感 もあった.

受講者 に対 して全般的には, 自らの口頭発表 に関 す る研究を もとに し,また,他の受講者の ( 特 に他 国か らの留学生である場合には)発表を聞 くことで,

日本文化だけではない異文化間の相互理解を到達 目 標 とした.

実際に 2 0 0 3 年度前期か ら 2 0 0 4 年度前期にかけて行 っ た口頭発表のテーマを上の A〜Cに分類す ると,吹 のようになる.発表 は全部で 6 9 件である.それぞれ の発表項 目の ( )内には,発表者の国籍,性別を 示す.

A. 日本文化その ものを中心 に したもの ( 2 4 件)

・桜 と日本の伝統 ( マ レーシア ・女)

・通 り魔事件 と日本の社会 ( 韓国 ・女)

・納豆 と日本の食文化 ( 韓国 ・女)

・日本の女子高生 と風俗文化 ( 韓国 ・女)

・日本の着物について ( マ レーシア ・男)

・神奈川県を外国人留学生に知 って もらおう ( 日本 ・ 男)

・なまはげと日本の伝統芸能 ( 中国 ・男)

・侍 と日本人 ( マ レーシア ・女)

・歌舞伎 について ( 中国 ・女)

・日本 におけるスポーツの進歩 ( 中国 ・男)

・観光地京都の魅力 ( オース トラリア ・男)

・日本の地震 ( 中国 ・男)

・自衛隊 ( 韓国 ・男)

・日本の正月の過 ごし方 (日本 ・男)

・日本人のノーベル賞受賞 ( マ レーシア ・男)

・日本 におけるキ リス ト教の普及 ( 韓国 ・女)

・和食 と食文化 ( 中国 ・男)

・秋 田の常識 ・非常識 (日本 ・女)

・バ レンタイ ンデーと日本人 (日本 ・女)

・日本の国技,相撲 について ( 中国 ・男)

・日本のマ ンガ文化 ( 中国 ・女)

・茶道 について ( 韓国 ・女)

・ 『 千 と千尋の神隠 し』 と日本文化 ( 中国 ・女)

・日本の電化製品の今昔 (日本 ・男)

B. 出身国の文化を中心 に した もの, 日本文化 と比 較 したものなど ( 2 9 件)

・韓国 と日本のお正月 ( 韓国 ・女)

・韓国の伝統衣装 ( 韓国 ・女)

・潰 けものの日韓比較 ( 韓国 ・女)

・餅 と トック (日韓比較) ( 韓国 ・女)

・日本 とマ レーシアの結婚式 ( マ レーシア ・女)

・外国人の知 らない韓国の穴場観光地 ( 韓国 ・女)

・四季の移 り変わり 一日本 とマレーシア‑ ( マレー シア ・女)

・イスラム教 ‑その宗教性 とテロ リズムー ( イラ ン ・女)

・日本 と他国の文化比較 ‑2 , 3 の点 に焦点 をあ てて‑ (日本 ・男)

・日本 と韓国の温泉文化 ( 韓国 ・女)

・中国の方言 ( 中国 ・男)

・中国の観光地の紹介 ( 中国 ・女)

・マレーシアと日本の文化 一服装 と遊び‑ ( マレー シア ・女)

・日本 と海外の正月の過 ごし方 (日本 ・男)

・日韓の交通事情 ( 韓国 ・女)

・札幌 とハル ビンの比較 ( 中国 ・女)

・日本 と韓国の家屋 ( 韓国 ・女)

・日韓の文化比較 ( 韓国 ・男)

・マ レーシアのお祭 り ( マ レーシア ・女)

・マ レー シアと日本 における CM 産業 (マ レー シ ア ・男)

・日本 と韓国のラーメ ン文化 ( 韓国 ・女)

・日本 と韓国の年中行事 ( 韓国 ・女)

・日本 と中国の神社仏閣のあ りかた ( 中国 ・男)

・韓国 と日本の ドラマ ( 韓国 ・男)

・プロサ ッカーの韓 日の違 い ( 韓国 ・男)

(6)

・韓国 と日本の結婚の しきた り ( 韓国 ・女)

・日本のキムチ産業 ( 韓国 ・女)

・韓国のハ ンボク ( 韓服) と日本の着物 ( 韓国 ・女)

・日本 とブラジルの観光地 (ブラジル ・男)

C. 日本人の心理的背景を中心 に したもの ( 1 6 件)

・日本の外国人差別 について ( イラン ・女)

・日本人の外国人観 ( 中国 ・男)

・日本 と他国の宗教観の違 い (日本 ・男)

・誕生 日とそのお祝 い (日本 ・男)

・日本の少年犯罪 について (日本 ・女)

・外国人か ら見た日本の若者 ( 韓国 ・男)

・中国 と日本の恋愛観 について ( 中国 ・女)

・日本文化に関す る私感 ( 中国 ・女)

・オース トラリア人の日本観 ( オース トラリア ・男)

・日本の不思議なことの発見 ( 中国 ・男)

・日韓の性意識の違 い ( 韓国 ・男)

・日本 と韓国のアルバイ ト事情 ( 韓国 ・女)

・中国 と日本の食文化 における味付 け ( 中国 ・男)

・日本のお笑 い文化 (アメ リカ合衆国 ・男)

・自殺 について ( 中国 ・男)

・外国人がイメージす る日本 (日本 ・男)

5 . 実践例に基づ く考察

5 . 0 .

実際の発表例をい くっか取 りあげて,前節の分類 A〜C のそれぞれの成果について述べ る.

5. 1 . 分類 A の発表 について

基本的には伝統的な日本文化の知識や分析の紹介 となった.その典型的だったのは 「日本の着物 につ いて」「 茶道 について」「 歌舞伎 について」 などであ る. このような話題 は多 くの留学生が興味をいだ く 項 目で もあり,そのような知識が増えるのは喜ば し いことで もあったが,ある伝統芸能 の技術 ・形式 に 関す るだけの報告 もあって,文化 とそれの周辺 にあ る背景, 日本人の精神的関わ りなどに関 して感 じら れることのない発表がめだ った.後述するが,情報 収集 にイ ンターネ ッ トを利用する場合,調査の段階 で ウェブページの情報 に翻弄 されす ぎ,本人の理解 の量を超える情報を集 めて,何 とな くつなぎ合わせ ているという発表 もあった.集めた情報を自分の力

9 2

量 に合わせて分析 ・処理す るということも大切な技 術であ り,今後 にわたって学生 には身につけては し

いことのひとっである.

伝統的な日本文化 に対す るテーマがみ られる一方 で,「日本のマ ンガ文化」「日本 におけるスポーツの 進歩」など,最近のメディアに関す るものへの憧れ や興味が感 じられた. また,「自衛隊」や 「 通 り魔 事件 と日本の社会」など,外国文化か らは不可解な 社会制度,社会現象 に対す る鋭 い指摘などは斬新で

あった.

印象的な発表例 としては以下の ものを挙 げること がで きる.

発表例 1 .「日本 におけるキ リス ト教の普及」

日本人の宗教観全体 に関す る意見をまとめたもの であるが,西洋文化の一つであるキ リス ト教が,韓 国ではかなり普及 した一方で 日本ではそれほど普及 していない.その理由を日本人の宗教観のなさ,無 宗教主義的であ りす ぎるという指摘 とともに問題視 した.他の受講者か らは, はた して 日本人 は本当に 無宗教なのか, という問いかけもあって本質的なと

ころを深 く考えさせ られる機会 となった.

発表例 2 . 「 『 千 と千尋の神隠 し』 と日本文化」

日本か ら世界的に脚光を浴び始めたアニメーショ ンの代表的な表題作を外国人の視点で分析,作品の 中にある日本の文化的側面を様々に論 じた発表であっ た.子供の娯楽 という立場か ら脱却 し,国際的にア ニメの芸術性が認め られる昨今, 日本文化 にふれる 可能性 も兄いだされた.

発表例 3 . 「日本の女子高生 と風俗文化」

批評的に扱われることの多い現代 日本の代表的な 風俗現象である.高校生の制服など,若者の服装 に 関す る乱れを指摘 し,そのおか しさや,背景 に考え られ る文化的側面 について外国人の視点で様々に分 析 していた.

5 . 2 . 分類 B の発表 について

この分類の発表 は,本授業の基本的方針 としてか かげる 「 双方向型異文化理解」の一環 として, 自国 の文化の探求か ら考察を深め,異文化である日本で 適切 に紹介 し理解 して もらう, また日本文化の同等 もしくは等価の ものと比較 して考察を深めるという

秋 田大学教育文化学部教育実践研究紀要

(7)

ことをね らった ものであ った. 「 潰 け ものの 日韓比 較 」 「日本 とマ レー シアの結婚式 」 「日本 と韓国の年 中行事」 などは,写真や図表 を用 いた非常 にわか り やす い文化比較 だ った と思 うが, 「マ レー シアのお 祭 り 」 「中国の方言 」 「中国の観光地 の紹介」 などの よ うに,単 に自国文化 に関す る項 目の考察 に終始 し ているものの場合,やは り 「日本事情」 とい う授業 の名称か ら考えて もかな りのずれがあるよ うに感 じ

られた. このよ うな発表 を行 った (このよ うなテー マを選ぶ しかなか った)学生 は,大抵 日本語 の能力 が初級段階であることが多か ったので, このよ うな 学生 に対 しては,せめて正 しく日本語が話せ るよ う に, レポー トに日本文が正確 に書 けるように, とい う視点で評価を行 うことに した.同 じ自国文化 に関 す るものであ って も,「 外国人 の知 らない韓国の穴 場観光地 」 「イスラム教 ‑その宗教性 とテロリズム‑」

などは, 日本での観光地 のあ り方や,宗教観 に関 し て, ひるがえ って考察が及ぶ ものであ ったので十分 に異文化理解, ひいては日本文化 に対 して十分 に働 きか けるものであ った.

その他,印象 に残 った発表 として次 の ものを挙 げ ることがで きる.

発表例 4 . 「日本 と韓国の ラーメ ン文化」

日本 と韓国のイ ンスタン トラーメ ンについて,歴 史的な考察か ら入 り, 日本ではカ ップ ラーメ ン中心 であるのに対 して韓国で は袋入 りイ ンスタン トメ ン である場合が多 いのはなぜかについて分析 し, さ ら に通常の ラーメ ンの, しょうゆ,みそ,塩,豚骨味 にそれぞれが韓国人 の味覚 に合 うか どうか とい うこ とと, ラーメン店が韓国において普及 しないことに は相関があると指摘 した. 日本の 「キムチラーメン」

などに対す る韓国人 としての違和感 などは外国人 な らではの感性であると感 じられた.

発表例 5 . 「日本 と韓国の温泉文化」

単 なる温泉紹介 にととま らず,温泉療法や歓楽 な ど, 目的別の楽 しみ方 についての 日韓比較が紹介 し てあ った.特 に自国の韓国の ものに対す るよ りは,

日本の伝統的な温泉旅館 に対 して,建物や部屋の構 造 のみな らず,料理 のふ るまいかた,仲居の存在, また,混浴風 呂に関す る意識など, あ らゆる方面か

らの考察があった.

発表例 6 . 「 韓国 と日本 の ドラマ」

当年 ( 2 0 0 4 年) ブームとな った韓国 ドラマや,韓 国で最近解禁 された 日本映画, ドラマについて, 冒 韓双方 の立場の違 いか らせま り,特 にどのよ うな内 容がそれぞれの国で受 け入れ られ, それによって人 気が出るのかに関す る考察がなされていた. ち ょう

ど日本で も 「 冬 のソナタ」 など韓国 ドラマが流行 っ ていた時期で もあ り,話題性 もあ って分か りやす い 文化比較であった.

5 . 3 . 分類 C の発表 について

この分類 に属す るテーマについては,当初 よ り授 業担当者側が最 も興味を もって臨んだ ことの一つで あ る.宮本 ( 1 9 9 5 ) で も指摘 した, 「 背景知識 の教 授」 に関す ることだか らである.各授業 において, 初回のガイダンスの時には,何か困 った こと, いや な思 いを したこと,不思議 に思 っていることなどな いか, また,そ う言 う事柄を是非扱 って発表 テーマ に選んで ほ しい, とい うことを奨励 していた.実際 には 4節 の一覧表 の通 りであ るが , 「日本人 の外国 人観 」 「日本文化 に関す る私感 」 「オース トラ リア人 の 日本観」 など,視点 こそ違え,包括的な 日本文化 私感 を展開 させ た ものが あ り, また一方, 「日本 と 他国の宗教観 の違 い 」 「日本 の少年犯罪 につ いて」

など具体的な項 目に関す る考察 もあ った.全体的に みて,実際の留学中の経験 に基づいているため,罪 常 に主張が鮮明であるとい う印象 を受 けた.発表 に よって は質の高 い ものが数多 く見 られた.

印象 に残 った発表 を挙 げる.

発表例 7 . 「日本 の外国人差別 について」

発表者 は小学校高学年より日本に住み,日本の小 ・ 中 ・高校へ も通 った経験 を もち,外国人 としての差 別 に苦 しんで きたが,そのなかで,宗教的な偏見や, 人種 の違 い,服装や習慣 の違 いに関 して 日本人, ま たは日本文化が極端 にそれ らを受 け入れがたい環境 であるとい う分析を した.結論 としては,理解 のあ る日本人 に恵 まれ, 自分か らも日本文化を受 け入れ るよ うにな ったとい う内容だ ったが,す こし感情的 かっ悲観的な色合 いが濃す ぎたようだ った.

発表例 8 . 「日韓の性意識の違 い」

発表の主題 にな ったのは, テ レビや週刊誌 におけ

る, 日本での性描写の反乱 に対す る警鐘であるが,

(8)

テ レビで若年層が視聴す る時間帯であって も猿嚢 と 感 じられ る表現があ った り,書籍物 において も同様 の無配慮が横行 していることに対 して考察 をめ ぐら

した後, 日本人 と外国人の間での性交渉や公共での 性描写,性的な言動 に関す る意識調査を行 って, 日 本人 と外国人の性意識の差異 を明示 した.

発表例 9 . 「日本 と韓国のアルバイ ト事情」

発表者 の留学中におけるアルバイ トで経験 した出 身国の韓国 との違 いに言及 し,それぞれの立場の違 いを明 らかに分析 した. 日韓間では物価 に対す る時 給 の多寡があることや,本来勉学 をす る大学生が金 銭 を稼 ぐことに対す る意識 の違 い,雇 う側 にとって のアルバイターに任せ る責任 の重 さの違 いなど,輿 味深 い指摘があ った.店がアルバイターを雇 うとい うことに対す る社会的 ・経済的構造上の言及か ら,

‑ アルバイターとしての意識の違 いなど,異 なる視 点か らの様々な考察 は興味を引いた.

5 . 4 . 発表全体 を通 して言え ること

発表形式,発表内容 は発表者 によ り様 々であ った が,一貫 してイ ンターネ ッ トのウェブペー ジか らの 参照が多 く, ひどい場合 には資料 その ものの コピー の寄せ集 めと思 われ る発表原稿 もあ り,あま りに安 易であると感 じられた.参考資料 としては,イ ンター ネ ッ トの利用 は大 いに推奨 され るべ きであるが,必 要 な ものを適宜利用 し, 自分で考察 してまとめると いう作業をおろそかに してほ しくないと思わされた.

さ らにいえば, イ ンターネ ッ トの利用 に比 して書籍 資料の参照,閲覧,引用などがほとんど見 られなか っ

た ことは残念で, もっと基本的な資料収集 とい うこ とを指導 していかなければな らないと思 った.

評価 の対象 と して レポー トの提 出を要求 したが, 基本的な レポー トの書 き方 について随分不備が感 じ

られた.段落 の書 き方,句読点 の統一 ([ 、 。] か [ ,. ]かの選択) など,初歩的 と思われる作文法 に ついて も未熟 さが感 じられ, このよ うな レポー ト作 成 の指導 に関 しては基本か ら見直す必要があると思 われ る.

また,本授業 においては, 口頭発表 を主体 に した が, 口頭発表 の仕方 については,話題 の力点 の置 き 方 に強弱 をっ けて中心的な話題 を強調す ることや, 話す 目線や姿勢,話す早 さなど,書 く表現 にはない 注意点がある.本学 において,話す言語運用能力 を

9 4

高 める目的の授業があまり多 く開設 されていないの で,本授業 は日本語学習者 にとって は話す能力を高 める役割 もあ った. また, 日本人学生 にとって もプ レゼ ンテーションの方法 について学ぶ機会 を提供す ることにな り,彼 らに対 しては,卒業論文の口頭発 表会 などを中心 とす る将来 の口頭発表の場で方法論 が生かせ ることが期待で きるもの となった.

6 . おわ りに‑今後の展望 一

以上述べて きたよ うに ,1 年半 にわた って行 って きた 「日本事情」 は,主 に双方向的異文化理解 とい うことを主眼に据えて実践 して きた.授業では,調 査 した内容 についてテーマ発表 を実際に行 った り, 他 の発表者の口頭発表を聞いた りす ることで, 自国 の文化, 日本 の文化, さらには第 3 の外国の文化 に ついて双方向的, あるいは多方向的に思考 を巡 らす 機会 を,学生 たちに与えることがで きたと思 う.大 切 な ことは, この授業 を通 して考えたことが,大学 で本来学んでいることへ何 らかの形で有効利用 され ることである.本授業 を受講 した学生が,考えた内 容 を留学後の生活 に効果的に生か してい くことを強

く望んでいる.

授業担当者 としては, 自由で多様 なテーマに対応 す るために,一応 の基礎的な文化的知識を準備 して お くことはきわめて困難 な ことであ ったが,や りが いのあることで もあ った.特 に時代 とともに急速 に 変動す る文化事情 に対 して も,柔軟 に敏速 に対応 し てい くことが今後求 め られてい くと思 う.

1 ) 複数教員 による リレー式 の講義 の実践例 と して は,佐 々木 ( 1 9 9 0 ) ,細川 ( 1 9 9 0 ) などが具体的 である.

2 ) 留学生教育制度 の歴史 と現状 につ いて は水谷 ( 1 9 9 0 ) を参照.

3 ) 秋 田大学 における 「日本事情 Ⅲ,Ⅳ」 の過去 の 実践例 として宮本 ・松岡 ( 1 9 9 9: 6 6 f f . ) で報告 し ている.

4 ) 宮本 ・松岡 ( 1 9 9 9: 6 6 ) 参照.

5 ) 2 0 0 3 年度前期受講者 2 1 名中 1 名,同後期 2 7 名車 8 名 ,2 0 0 4 年度前期 21 名中 2 名.

6 ) 秋 田大学では大学間の国際交流協定校 として, オース トラ リアのグ リフィス大学, アメ リカ合衆

秋 田大学教育文化学部教育実践研究紀要

(9)

国のセ ン ト・クラウ ド州立大学,韓国の‑ ンバ ッ ト大学, 中国の黒龍江大学 などと協定を結んでお り, これ らの諸国か らの留学生 を積極的に受 け入 れている.留学生 の出身国にお ける割合が これ ら の国で高 いのはこのためである.

7 ) 奥西 ( 1 9 9 0: 4 3 f . ) は 日本事 情 で取 り扱 うべ き 内容 と して,

( 1 ) 日本人 との意思疎通 の円滑化 に必要 と思 われ る 知識

( 2 ) 学習者 の好奇心 ・疑問 に対す る応答

(3)

言語 の背景 と しての文化 の理解

の 3 項 目を掲 げて い る. 筆者 が分類 C で扱 いたい と思 ったの はこれ らの項 目にほぼ合致す る.

参考文献

奥西俊介 ( 1 9 9 0 ) 「日本事情 の授業 ・3 ‑日本事情 か ら日本文化へ, そ して ‑ 」 『 言語』第 1 9 巻第 1 0 号, 4 2 ‑ 4 7 .

佐 々木瑞枝 ( 1 9 9 0 ) 「日本事情 の授業 ・ 1‑日本人学 生 を交 えて 」 『 言語』第 1 9 巻第 1 0 号 ,2 8 ‑ 3 4.

細川英雄 ( 1 9 9 0 ) 「日本事情の授業 ・2‑ 教養部 スタッ フと協力 して 」 『 言語』第1 9巻第 1 0 号 ,3 5 ‑ 3 9 . 水谷修 ( 1 9 9 0 ) 「日本事情 とは何か 」 『 言語』第 1 9巻

第 1 0 号 ,2 2 ‑ 2 7 .

宮本律子 ( 1 9 9 5 ) 「 「日本事情」 を どう教え るか 一秋 田大学 における実践報告 ( 1 ト 」 『 秋 田大学教育学 部教育工学研究報告』第 1 7 号 ,1 ‑ l l .

宮本律子 ・村上東 ・日高水穂 ・中村裕 ・本間恵美子 ・ 小林緩枝 ( 1 9 9 8 ) 「 「日本事情」 を ど う教 え るか 秋

田大学 にお ける実践報告

(2)

‑ リレー式 によ る日 本事情講義 の試 み ‑ 」 『 秋 田大学総合基礎教育研 究紀要』第 5 集 ,7 3 ‑ 8 6 .

宮本律子 ・松岡洋子 ( 1 9 9 9 ) 「 「日本事情」 のオ リエ ンテー ション教育 と しての意義 一複数 の授業形態 の実践 を通 じて ‑ 」 『秋 田大学教育文化学部教育 実践研究紀要』第 2 1 号 ,6 3 ‑ 7 1 .

Summar y

Thi si sac a s es t udyo fJa pa ne s eAf f a i r sc o ur s e s he l da tAki t aUni v e r s i t yi n2 0 0 3a nd2 0 0 4.The c o ur s e s a r e di v i de d i nt o t wo par t s :o ne i s Ja pa ne s eAf f a i r sIa ndⅡa i mi nga tgi v i ngs t u‑

de nt ss ki l l sf o ri nt e r c ul t ur a lc o mmuni c a t i o n, a nd t heo t he ri sJa pane s eAf f a i r sⅢ a ndⅣ f o r' ba s i c ‑ kno wl e dgeo fJa pa ne s ec ul t ur e . Thel a t t e ri s d e a l twi t hi nt hi spa pe r .Thi sc l a s sma i nl yc o n‑

s i s t so fo r a lpr e s e nt a t i o nso nJa pa ne s ec ul t ur e . Wedi dn' tf o c uso ns upe r f i c i a lc ul t ur a lphe no m‑

e nabuto ns o‑ c a l l e d' c ul t ur es ho c ks ■whi c hmo s t f o r e i gn s t ude nt se xpe r i e nc e .Thr o ugh ■ c ul t ur e s ho c ks , I t he yar ea bl et of i ndv a r i o uski ndso fc ul ‑ t ur a l ,a nde s pe c i a l l yps yc ho l ogi c a lb a c kgr o und o nJa pa n.Fur t he r mo r e ,Wet hi nkt ha tt hemo s t e f f e c t i v eme t ho di st os t a r tf r o mc o ns i d e r a t i o no f c ul t ur ali t e mso ft he i rho me l a ndi t s e

l

f ,a ndt he n

,

t hec o unt e r pa r t so fJa pa n.Ourul t i ma t ea i m i s t wo ‑ wa y i nt e r c ul t ur a lc o mpr e he ns i o n be t we e n s t ude nt s ‑ o wnc o unt r ya ndJa pa n.

Ke yWor ds: Ja pa ne s eAf f a i r s ,Two ‑ wa y

l nt e r c ul t ur a lCo mpr e he ns i o n,Or a lpr e s e nt a t i o n

,

Ja pa ne s eCul t ur e ,Ps yc ho l o gi c a lBa c kgr o und

( Re c e i v e dJa nua r y2 4,2 0 0 4 )

参照

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