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現代青年の友人関係の特徴について : 性差, 建前 友人, 異性友人の有無に着目して

著者 本田 周二

雑誌名 人間関係学研究 : 社会学社会心理学人間福祉学 :  大妻女子大学人間関係学部紀要

巻 21

ページ 111‑118

発行年 2019

URL http://id.nii.ac.jp/1114/00006825/

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

本田 周二 * Shuji HONDA

<キーワード>

友人関係,性差,建前友人,異性友人,大学生

<要   約>

 本研究は,友人関係の量的側面に焦点を当て,友人の数と友人関係満足感との関連につい て検討することを目的とする。なお,その際に,性別による違い,そこまで親しくないけれ ども付き合っている友人がいる人といない人の違い,異性の友人がいる人といない人との違 いに焦点を当てて検討を行った。東京都内および神奈川県内の大学生247名(男性97名,女 147名,不明3名)を対象に調査を行った。調査内容は,友だちの数や友人関係満足感な どであった。分析の結果,友人の数や満足感といった従来の友人関係研究において見いださ れてきた性差はみられず,男女で違いがないことが明らかとなった。一方,男性では,建前 友人のいる割合と友人関係満足感に関連は見られなかったが,女性では負の関連が見られる など,性別によって変数間の関連が異なることが明らかとなった。また,仲良くないけれど も付き合っている友人がいる人といない人,異性友人のいる人といない人によって友人の数 や友人関係満足感などに違いが見られることが明らかとなった。問題点と今後の展望として,

1)友人の数にばらつきが大きかったことから,別の測定方法について検討すること,(2 友人に対する考え方や友人と付き合い動機についても検討する必要があること,(3)大学生 だけでなく,成人も対象とした友人関係研究を蓄積する必要があることが挙げられた。

*大妻女子大学 人間関係学部 人間関係学科 社会・臨床心理学専攻

現代青年の友人関係の特徴について

―性差,建前友人,異性友人の有無に着目して―

A study of friendship in adolescence

Focus on gender, existence of polite friends and heterosexual friends

(3)

112 大 妻 女 子 大 学

人間関係学部紀要 人間関係学研究 21 2019

1.問題と目的

(1)問題

 本研究は,友人関係の量的側面に焦点を当て,

友人の数と友人関係満足感との関連について検討 することを目的とする。なお,その際に,性別に よる違い,そこまで親しくないけれども付き合っ ている友人(以下,建前友人)がいる人といない 人の違い,異性の友人がいる人といない人との違 いに焦点を当てて検討を行う。友人関係は,個人 の身体的・精神的健康や成長にとって重要な対人 関係の一様式である。内閣府が実施している世界 青年意識調査によると,日本の青年は「悩みや心 配事を相談する相手」に近所や学校の友だちを挙 げる割合が多く,学校に通うことの意義として「友 だちとの友情を育むこと」を挙げる割合が多い1) 友人関係といえば,同性友人関係を指すことが多 2,様々な研究から同性の友人関係が個人にとっ て大きな支えになることが示されている3)。論文 検索サイトCiNiiで友人関係に関する心理学的研 究を検索すると201910月時点で281件の論文 がヒットし,小学生~大学生を主な対象とした研 究が数多く蓄積されている。これらの研究を概観 すると,①友人関係の機能に焦点を当てた研究,

②友人関係の発達に焦点を当てた研究,③友人関 係の性差に焦点を当てた研究,④友人関係の特徴

(多様性)に焦点を当てた研究が主に行われてい る。

 友人関係の機能に焦点を当てた研究としては,

松井(19904が「安定化機能」「社会的スキルの 学習機能」「モデル機能」の3つについて述べて いる。また,丹野・松井(20065)は,「相談・自 己開示」「相互理解」「娯楽性」「支援性」「類似性」「安 心」「尊敬・信頼」「気楽さ」「重要性」「家族性」「関 係継続展望」「情緒的結びつき」「ライバル性」と いう13の機能が,接触頻度の高い親密な友人関係 と接触頻度は低い親密な友人関係によって異なる のかについて検討している。ほかにも,友人関係 をソーシャルサポートの一つとしてとらえ,知覚 されたサポートが精神的健康を促進すること6) 学習場面での相互学習を促進すること7),個人の

内的適応を促進すること8)などが明らかとなって いる。

 友人関係の発達に焦点を当てた研究としては,

落合・佐藤(19969)が児童期から青年期にかけて,

遊び仲間から本音を言い合う深い関係へ進展に言 及している。また,榎本(1999)10)は,青年期の 友人関係を友人との活動的側面と友人に対する感 情的側面の2側面からとらえ,友人関係の発達的 変化について検討している。その結果,活動的側 面としては年齢とともに「相互理解活動」へと変 化していくこと,一方,感情的側面は発達的変化 が少ないことを明らかにしている。

 友人関係の性差に焦点を当てた研究としては,

和田(1993)2)が,大学生において友人関係に望む ものや自己開示量について検討しており,男性よ り女性の方が恐怖や抑鬱,不安といったネガティ ブな情動に関して自己開示を行うことや,女性よ りも男性の方が共行動を友人関係に望み,男性よ りも女性の方が自己開示や相互依存を望んでいる ことを明らかにしている。また,小塩(201211)は,

女性の方が男性よりも友人と会うために公共交通 機関を利用する割合が多く,友人と会うまでの時 間も長く,PC等を介したコミュニケーションの 頻度が多いことを明らかにしている。

 友人関係の特徴(多様性)に焦点を当てた研究 としては,現代青年の友人関係を内面的関係から 表面的関係への変化として捉えることを試みた研 究が該当する。岡田(199912)は,傷つくのを恐 れて友人との関係が深まることを拒絶する表面的 な友人関係を持つ青年の存在を指摘している。ま た,大谷(200713)は,従来の友人関係の深さ,

広さとは独立した,状況に応じて自己や付き合う 相手を切り替える傾向を現代の青年は有している ことを指摘している。そして,永井(201814)は,

友人関係で傷つくことを回避しようとするか否か という態度と,ソーシャルスキルによって友人関 係を分類し,傷つきを避けるような気遣いをして しまう大学生の中にもソーシャルスキルが高く,

受容される関係を形成・維持している大学生が存 在していることを明らかにしている。ほかにも,

友人関係が外的な報酬や罰,他者からの働きかけ

(4)

によっても維持されることを示した研究15)や,友 人間に見られるいじめの研究16)もおこなわれる ようになってきており,親密で深い関係とは異な る友人の存在が示唆されている。

 以上のように友人関係に関する研究はいくつも 行われているが,その多くは,より良い友人関係 の形成・維持を目指した,主に友人の質に関する 議論に焦点が当てられてきたといえる。しかしな がら,宮本(2009)17)は,社会的自尊心と友人ネッ トワークサイズに関連があることを明らかにして いる。また,安藤・坂元・鈴木・小林・橿淵・木 村(200418)はインターネット使用が人生満足感 と社会的効力感に及ぼす影響についてパネル調査 を行い,ネット上の異性友人数が人生満足度に正 の影響を与えていること,一方,ネット上の同性 友人数が増えることは人生満足度に影響を与えな いことを明らかにしている。なお,ネット上の同 性友人数が人生満足度に影響を与えなかった点に ついて,安藤ら(200418)は,調査対象者が情報 系専門学校に通う男子学生であったため,環境的 にもともと異性よりも同性友人に恵まれている可 能性が高いことが原因ではないかと考察してい る。ほかにも,村田(201819)は,他者との接触 や友人数が多いほど,生活満足度が高いことを明 らかにしている。これらは,友人関係においては,

質だけではなく量も当人に影響を与えている可能 性を示唆している。

(2)目的

 そこで,本研究では,友人関係の量的側面に着 目することとする。具体的には,友人の数と友人 関係満足感との関連について検討することを目的 とする。なお,その際にいくつか焦点を当てて検 討を行う。まずは,性差についてである。これま での友人関係に関する研究ではいくつも性差に関 する報告がなされている。そこで本研究において も性別による違いに着目する。次に,建前友人の 有無による違いについてである。上述したように,

いくつかの研究において親密で深い関係とは異な る友人の存在が示唆されている。本田(2018)20)は,

世代間比較による友人関係の特徴について20

60代を対象に検討し,建前友人の割合が平均 3割であったことを明らかにしている。そこで 本研究では建前友人がいる人といない人による違 いに着目する。最後に,異性友人の有無による違 いについてである。友人関係に関する研究の多く は同性の友人関係を対象としているが,安藤ら

200418)など異性友人関係について検討してい る研究も行われつつある。高坂(201221)は,大 学生の異性友人関係に関する研究を行い,異性親 友がいない者が調査対象者の半数程度であるこ と,同性友人と異性友人とでは関わり方が違うと 回答した者が変わらないと回答した者よりも多 かったことを明らかにしている。そこで本研究で は異性友人がいる人といない人による違いに着目 する。

2.方法

 調査対象者:東京都内および神奈川県内の大学 247名( 男 性97名, 女 性147名, 不 明3名 ) を対象に調査を行った。平均年齢は18.98歳(SD

= 1.03)であった。なお,分析に際しては,回答 に不備のあったものを除いた226名(男性88名,

女性137名,不明1名,平均年齢18.97歳,SD = 1.04 のデータを用いた。

 調査時期:20179月~201911月の間に,

webにより依頼を行い,回答を求めた。

 調査内容:

 (1)フェイスシート:年齢,性別についてたず ねた。

 (2)友人の数について:「友だちだと思う人の 数(以下,友だちの数)」「友だちだと思う人の中で,

異性の友だちの数(以下,異性の友だちの数)」「友 だちだと思う人の中で,そこまで仲が良くないけ れども,つき合っている人の割合(以下,建前友 人割合)」「携帯電話に登録している友人の数(以 下,携帯電話の友人数)」についてそれぞれ人数 および割合について回答を求めた。

 (3)友人の数の多さについて:「友だちの数は 多い方が良いと思いますか?」(以下,数への志向)

という問いに対して5件法(1:そう思わない~5 そう思う)で回答を求めた。また,「あなたにとっ

(5)

114 大 妻 女 子 大 学

人間関係学部紀要 人間関係学研究 21 2019

て,友だちの数が多いと感じるのは何人くらいで すか?」(以下,友だちの数の多い基準)という 問いに対して人数について回答を求めた。

 (4)友人関係満足感:鈴木(200222)の主観的 ウェルビーイングの下位尺度である友人関係満足 感(6項目,5件法)を用いた。「それぞれの項目 についてあてはまる数字に1つ○をつけてくださ い」と教示を行い,「1. 全くあてはまらない」か ら「5. 非常に良くあてはまる」までの5件法で回 答を求めた。

3.結果と考察

(1)記述統計

 まずは,記述統計の結果を示す。「友だちの数」

「異性の友だちの数」「建前友人割合」「携帯電話 の友人数」「友人関係満足感」「異性友人比率」に

ついてTable 1に示す。「友人関係満足感」につい

ては,6項目の信頼性係数はα = .74であった。平 均点を分析に用いることとした。また,「異性友 人比率」に関しては,「異性の友だちの数」を「友 だちの数」で除して算出した。どの変数に関して も,標準偏差が大きく,個々人のバラツキが大き いことがわかる。建前友人割合に関して,度数分 布を確認したところ,0割の人が59名であった。

そこで,建前友人がいない群といる群の2群(以下,

建前友人割合group)に分けて以下の分析で用い ることとした。また,異性友人比率に関しても,

度数分布を確認したところ0%の人が64名であっ た。そこで,異性友人がいない群といる群の2群(以 下,異性友人の有無group)に分けて以下の分析 で用いることとした。

平均値 標準偏差 友だちの数 52.44 84.93 異性の友だちの数 13.08 35.88 建前友人割合 2.82 2.79 携帯電話の友人数 64.84 83.86

友人関係満足感 3.80 0.56 異性友人比率 16.00 17.58 Table 1 各変数の平均値および標準偏差

 次に,性別,建前友人割合group,異性友人の

有無groupに偏りが見られるかどうかを検討する

ために,それぞれχ2検定を行った。性別×建前

友人割合groupのχ2検定の結果,有意な偏りは見

られなかった(χ21 = 2.79, n.s.)。性別×異性 友人の有無groupのχ2検定の結果,こちらも有意 な偏りは見られなかった(χ21 = 0.81, n.s.)。

建前友人割合group×異性友人の有無groupのχ2 検定の結果,有意な偏りが見られた(χ21 = 6.54, p < .01)。残差分析の結果,建前友人がいない群の 人は異性友人もおらず,建前友人がいる群の人は 異性友人がいることが明らかとなった。

(2)性別と群による友人の数や友人関係満足感 の違い

  性 別 と 建 前 友 人 割 合group, 異 性 友 人 の 有 無

groupで友人の数や友人関係満足感に違いが見ら

れるかどうかを検討するために2要因分散分析を 行った。まずは,性別(男性・女性)と建前友人

割合group(建前友人がいない群・建前友人がい

る群)を独立変数,「友だちの数」「携帯電話の友 人数」「数への志向」「友だちの数の多い基準」「友 人関係満足感」を従属変数とした2要因分散分析 を行った。分析の結果,建前友人割合groupの主 効果のみ有意であった。「友だちの数(F(1,185)

= 11.00, p < .01)」「携帯電話の友人数(F(1,185)

= 2.75, p < .10)」「数への志向(F1,185 = 3.08, p

< .10)」「友だちの数の多い基準(F1,185 = 9.19,

p < .01)」に関して,建前友人がいない群よりも建 前友人がいる群の方が高かった。一方,「友人関 係満足感(F1,185 = 3.08, p < .10)」に関しては,

有意傾向ではあるが,建前友人がいない群の方が 建前友人がいる群よりも高かった(Table 2)。

 次に,性別(男性・女性)と異性友人の有無

group(異性友人がいない群・異性友人がいる群)

を独立変数,「友だちの数」「携帯電話の友人数」「数 への志向」「友だちの数が多い基準」「友人関係満 足感」を従属変数とした2要因分散分析を行った。

分析の結果,異性友人の有無groupの主効果のみ 有意であった。「友だちの数(F(1,187) = 14.34, p

< .01)」「携帯電話の友人数(F(1,187) = 12.35, p

(6)

< .01)」「数への志向(F1,187= 5.40, p < .05)」「友 だちの数の多い基準(F1,187= 10.35, p < .01)」

「友人関係満足感(F(1,187) = 2.94, p < .10)」に 関して,すべて異性友人がいない群よりも異性友 人がいる群の方が高かった(Table 3)。

(3)各変数間の関連

 各変数間の関連を検討するために,相関分析を 行った。なお,分析にあたり,3つの視点(性差,

建前友人の有無,異性友人の有無)ごとに分析を 行った。まず,男女別による結果をTable 4に示す。

男性において,「友だちの数」と「建前友人割合(r

= .25 , p <. 05)」「携帯電話の友人数(r = .55 , p <.

01)」「数への志向(r = .48 , p <. 01)」「友だちの数 の多い基準(r = .42 , p <. 01)」「異性友人比率(r

= .37 , p <. 01)」の間に正の相関が見られた。「携

帯電話の友人数」と「友だちの数の多い基準(r

= .34 , p <. 01)」「異性友人比率(r = .22 , p <. 01)」

の間に正の相関が見られた。「友だちの数の多い 基準」と「異性友人比率(r = .27 , p <. 01)」の間 に正の相関が見られた。それ以外の関連は見られ なかった。女性について,「友だちの数」と「建 前友人割合(r = .42 , p <. 01)」「携帯電話の友人数

r = .23 , p <. 05)」「友だちの数の多い基準(r =

.68 , p <. 01)」「異性友人比率(r = .30 , p <. 01)」

の間に正の相関が見られた。「建前友人割合」と「数 への志向(r = .18 , p <. 05)」「友だちの数の多い基 準(r = .38 , p <. 01)」「異性友人比率(r = .21 , p <.

05)」の間に正の相関が,「友人関係満足感(r = -.20

, p <. 05)」の間に負の相関が見られた。「携帯電話

の友人数」と「数への志向(r = .22 , p <. 05)」「異 性友人比率(r = .18 , p <. 05)」の間に正の相関が Table 2 性別と建前友人割合 group による各得点と分散分析結果

Table 3 性別と異性友人比率 group による各得点と分散分析結果

性別

偏イータ2乗 偏イータ2乗 偏イータ2乗

16.19 60.21 17.92 18.32

(22.67) (78.61) (70.08) (111.46)

38.13 66.05 49.21 66.03

(60.32) (106.95) (49.90) (67.44)

2.38 2.53 1.95 2.49

(1.31) (1.36) (0.97) (1.02)

29.75 131.61 50.38 147.49

(29.66) (205.27) (42.63) (237.11)

3.95 3.70 3.88 3.79

(0.54) (0.59) (0.53) (0.56) 男性

友だちの数 携帯電話の友人数

数への志向 友だちの数の多い基準

友人関係満足感

建前友人割合group いない群 (n = 16)

いる群 (n = 57)

0.16 0.17 1.34 0.31 0.01

性別 建前友人割合group いない群

(n = 39) いる群

(n = 77) F F

**

**

0.08 0.17 0.99 0.01 0.63 0.02

3.08 9.19 3.07

交互作用

上段:平均値、下段:標準偏差

**p < .01 , p < .10

0.00 0.00 0.01 0.00 0.00 0.01

0.00 0.00

0.06 0.02 0.02 0.05

F 0.00

0.00

11.03 2.75

性別

偏イータ2乗 偏イータ2乗 偏イータ2乗

10.91 66.38 21.33 67.54

(4.97) (80.72) (35.15) (109.73)

16.36 77.60 44.72 70.12

(40.74) (109.54) (41.87) (70.84)

2.05 2.71 2.18 2.37

(1.13) (1.39) (1.07) (1.01)

28.00 141.60 60.26 142.59

(25.64) (212.39) (79.95) (232.66)

3.64 3.80 3.71 3.86

(0.55) (0.59) (0.44) (0.60)

異性友人比率group いない群

(n = 22) いる群 (n = 52)

いない群 (n = 39)

いる群 (n = 78)

性別 異性友人比率group

F F F

友だちの数 0.19 0.00 14.34** 0.08 0.12 0.00 携帯電話の友人数 0.72 0.00 12.35** 0.07 2.11 0.01

* 0.03 1.64 0.01

数への志向 0.31 0.00 5.34

** 0.06 0.26 0.00

友だちの数の多い基準 0.30 0.00 10.35

上段:平均値、下段:標準偏差

**p < .01 , *p < .05 , p < .10

0.02 0.01 0.00

友人関係満足感 0.61 0.00 2.94

(7)

116 大 妻 女 子 大 学

人間関係学部紀要 人間関係学研究 21 2019

見られた。「友だちの数の多い基準」と「異性友 人比率(r = .27 , p <. 01)」の間に正の相関が見ら れた。それ以外の関連は見られなかった。以上の ように,男女で関連の仕方が異なっていた。特に,

男性では建前友人割合と他の変数との関連が見ら れなかったのに対して,女性では友人の数が多い ほど,数への志向が強いほど,友だちの数が多い 基準が多いほど,異性友人比率が高いほど建前友 人割合が高いが,友人関係満足感は低いことが明 らかとなった。

 次に,建前友人の有無別による結果をTable 5 に示す。建前友人いない群において,「友だちの数」

と「友だちの数の多い基準(r = .42 , p <. 01)」「友 人関係満足感(r = .39 , p <. 01)」との間に正の相 関が見られた。それ以外の関連は見られなかった。

建前友人いる群において,「友だちの数」と「携 帯電話の友人数(r = .37 , p <. 01)」「友だちの数が 多い基準(r = .57 , p <. 01)」「異性友人比率(r = .32 , p <. 01)」との間に正の相関が見られた。「携 帯電話の友人数」と「数への志向(r = .25 , p <.

01)」「友だちの数が多い基準(r = .22 , p <. 01)」

との間に正の相関が見られた。「数への志向」と「友 人関係満足感(r = .19 , p <. 05)」との間に正の相 関が見られた。「友だちの数が多い基準」と「友 人関係満足感(r = .17 , p <. 05)」「異性友人比率(r

= .27 , p <. 01)」との間に正の相関が見られた。そ

の他との関連はみられなかった。建前友人がいな い群においては,友だちの数と友人関係満足感の 間に正の相関が見られたが,建前友人がいる群に おいては,関連が見られなかったことを考えると,

そんなに仲良くないけれども付き合っている友人 はその数が多かったとしても,満足感にはつなが らないのかもしれない。

 最後に,異性友人の有無別による結果をTable 6 に示す。異性友人いない群において,「友だちの数」

と「建前友人割合(r = .43 , p <. 01)」「友だちの数 の多い基準(r = .68 , p <. 01)」との間に正の相関 が見られた。「数への志向」と「友だちの数の多 い基準(r = .26 , p <. 05)」との間に正の相関が見 られた。それ以外の関連は見られなかった。異性 Table 4 男女別の変数間の関連

Table 5 建前友人割合別の各変数の関連

友だちの数 .25* .55** .48** .42** .16 .37**

建前友人割合 .42** .15 .05 .16 -.19 .08

携帯電話の友人数 .23* .05 .18 .34** .17 .22*

数への志向 -.02 .18* .22* .09 .11 .06

友だちの数が多い基準 .68** .38** .15 .08 .16 .27* 友人関係満足感 .08 -.20* .09 .07 .09 .02

異性友人比率 .30** .21* .18* .03 .27** -.02 携帯電話の

友人数

友人関係 満足感

**p < , 01 , *p < . 05

※右上が男性、左下が女性

- -

-

-

-

異性友人比率 数への志向 友だちの数が

多い基準 -

- 友だちの数 建前友人割合

友だちの数 .13 .22 .42** .39** .17

携帯電話の友人数 .37** -.01 .12 .05 .11

数への志向 .13 .25** .05 -.14 -.04

友だちの数が多い基準 .57** .22** .05 .11 .09

友人関係満足感 .13 .14 .19* .17* .26

異性友人比率 .32** .16 .02 .27** -.07

**p < , 01 , *p < . 05

※右上が建前友人いない群、左下が建前友人いる群

-

- 異性友人比率 -

-

-

- 友だちの数 携帯電話の

友人数 数への志向 友だちの数が 多い基準

友人関係 満足感

(8)

友人いる群において,「友だちの数」と「建前友 人割合(r = .35 , p <. 01)」「携帯電話の友人数(r

= .33 , p <. 01)」「友だちの数が多い基準(r = .57 ,

p <. 01)」との間に正の相関が見られた。「建前友 人割合」と「友だちの数が多い基準(r = .28 , p <.

01)」との間に正の相関が,「友人関係満足感(r = -.29 , p <. 01)」との間に負の相関が見られた。「携 帯電話の友人数」と「数への志向(r = .18 , p <.

05)」「友だちの数が多い基準(r = .20 , p <. 05)」

との間に正の相関が見られた。それ以外の関連は 見られなかった。異性友人がいる群においての,

そんなに仲良くないけれども付き合っている友人 の割合が多いほど,友人関係満足感が低いことが 明らかとなった。同性のみの友人関係を有してい る人とそうでない人では友人に対する考え方など に違いが見られるのかもしれない。

(4)研究の限界と今後の課題

 本研究は,友人関係の量的側面に着目し,友人 の数と友人関係満足感との関連について,性差,

建前友人の有無別,異性友人の有無別という三つ の視点により検討を行った。分析の結果,友人の 数や満足感といった従来の友人関係研究において 見いだされてきた性差はみられず,男女で違いが ないことが明らかとなった。一方,男性では,建 前友人のいる割合と友人関係満足感に関連は見ら れなかったが,女性では負の関連が見られるなど,

性別によって変数間の関連が異なることが明らか となった。また,仲良くないけれども付き合って いる友人がいる人といない人,異性友人のいる人 といない人という従来の研究ではあまり扱われる

ことのなかった視点での知見を得ることができた ことは,一定の意義があったと考えられる。

 しかし,改善すべき課題がいくつか残されてい る。第一に,友人の数のばらつきが大きかった点 である。標準偏差が大きく分布に偏りが見られた ことが本研究の結果に影響を与えていることは十 分に考えられるため,別の測定方法を考える必要 があるだろう。第二に,友人に対する考え方や友 人と付き合う動機などについて明らかにできてい ない点である。たとえば,建前友人のいる人とい ない人では,そもそもどのような人を友人として 定義するのかという友人概念が異なっている可能 性,また,どのような理由で友人とつきあってい るのかが異なっている可能性が十分考えられる。

第三に,大学生のみを対象にしているため他の年 代でも同様の結果が見られるかどうか判断できな い点である。友人関係に関する研究の多くは,小 学生~大学生に偏っている。しかしながら,友人 関係はどの年代においても重要な対人関係の一様 式であると考えられ,様々な年代を対象とした データの蓄積が重要であろう。今後はこれらの点 について検討を進めていくことが必要だと考えら れる。

引用文献

1 内閣府政策統括官(2004).第7回世界青年 意識調査, 内閣府.

2 和田実1993).同性友人関係:その性およ び性役割タイプによる差異, 社会心理学研 , 8, 67-75.

Table 6 異性友人の有無別の各変数の関連

友だちの数 .43** -.00 .17 .68** .22

建前友人割合 .35** -.17 .05 .23 -.07

携帯電話の友人数 .33** .09 .-06 .14 .17

数への志向 .13 .13 .18* .26* .08

友だちの数が多い基準 .57** .28** .20* .03 .07 友人関係満足感 .06 -.29** .11 .04 .10

友人関係 満足感

**p < , 01 , *p < . 05

※右上が異性友人がいない群、左下が異性友人がいる群

友だちの数 建前友人割合 携帯電話の

友人数 数への志向 友だちの数が 多い基準

- -

-

-

-

-

(9)

118 大 妻 女 子 大 学

人間関係学部紀要 人間関係学研究 21 2019

3 本田周二(2009).日本における友人関係研 究の動向, 東洋大学21世紀ヒューマン・イ ンタラクション・リサーチ・センター研究

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4 松井豊(1990).友人関係の機能 斉藤耕二・

菊池章夫(編著)社会化の心理学ハンドブッ ク  人 間 形 成 と 社 会 と 文 化, 川 島 書 店, pp.283-296.

5 丹野宏昭・松井豊(2006).大学生における 友人関係機能の探索的検討, 筑波大学心理学

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11 小塩真司(2012).大学生における想起され た友人の特徴と友人関係機能との関連, 早稲 田大学大学院文学研究科紀要, 58, 5-19.

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参照

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