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やわらかい講座制を 東京女子医科大学・学長

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Academic year: 2021

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一 127 一

東医大誌 48(2):127,1990

やわらかい講座制を

 東京女子医科大学・学長

吉  岡  守  正

 今から30年も前の話しで恐縮するが,私が3年間過ごしたアメリカのミシガン大学で,興味 深いと思ったことの一つに,微生物学教室が,一つしかないことであった.同教室が医学部に属 していながら,歯学系,工学系などの徴生物学のスタッフも同居して,大規模な教室を形成して いた.主任教授はM.D.であったが,多くの教授,助教授を擁していて,ミーティングには各系 の大学院学生も集って壮観を呈した.

 現在も,この組織を続けているかどうかは知らないが,わが国では中々やり難い合理性を持っ ているように思う.同教室が医学部に所属しているのは,微生物の発展の歴史から見て,自然な 成行きであろうと推測されるが,縄張り意識がないとは思われないのに,それを超えて,機器や 情報を共有することのメリットを採ったものと考えられる.

 わが国では,学部が違うと,一つの大学に同名の教室が在っても不思議に思わないし,一つの 大学の中にも同名の教室が幾らでもあり,それを区別するのに1,2などの番号をつける.これ はドイツ医学を重んじたことの影響であろう.

 私は,うまく機能するならば,どちらでもいいと思う.第1〜第5内科学がそれぞれのレバー トリイを存分に生かして,互いに競い合うことは,活性化の上から好ましい.学問の細分化に伴 って,専門家を多く備えることは必要なことである.問題は協調の方法である.夫々牙城を作 り,診療,研究,教育の上で壁を作ってしまう話しは,よく耳にすることである.そうしたくな くても,致し方なく壁みたいなものができてくる仕組みが講座制にあるのではないかと考えてし まう.人材の確保,研究業績,診療実績,教育への貢献がスムースに行われ,しかもそれが単科 の域だけでなく,全学的に進行することが最も望ましいことは誰でも分っている.

 センター制は確かに系統疾患については,ベターである.患者にとってもより好ましいことで ある.教育に反映されれぽ一層望ましい.一教室多講座制は,人の和が保たれれぽこれまた悪く ない.東京女子医大の内科教授は連絡会を持っていて,意見の交換や教育の調整機能を果してい

る.

 医を巡る環境はどんどん変わっている.これは医学,医療はもとより,教育についても同様で ある.これら変化に対しては,科ごとの対応では間に合わず,全学的な対応をしてゆかなければ ならない。その為には,連綿として続いた講座制(またはその運営)を見直して,弾力性ある形 にする必要に迫られるのではないかと思う近頃である.

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