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エポキシドの反応

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Academic year: 2021

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6・1 アルコールからハロゲン化アルキルへの変換

ハロゲン化アルキルは、アルカン、アルケンから様々な方法で得ること ができる (第 2 章)。本節では、最も一般的な方法であるアルコールからの 変換について学ぶ。

tert-ブタノールに臭化水素酸を作用させて臭化tert-ブチルに変換する

反応をすでに示した (5・1 節)。第三級アルコールの場合には、中間体のカ ルボカチオンが安定なので、この反応は容易に進行する。

一方、第一級アルコールや第二級アルコールの場合は、塩化チオニル (SOCl2) や三臭化リン (PBr3) を作用させてハロゲン化アルキルに変換す る方法が一般的である。

塩化チオニルの場合は、アルコールと塩化チオニルから生じる塩化スル ホン酸エステル中間体に Clが SN2 的に攻撃して塩化アルキルになる。副

アルコールは、置換、脱離、酸化など様々な反応の出発物質として利用され、以下の各章で取り上げるアルデヒ ド・ケトン、カルボン酸誘導体などとともに、酸素原子を含む最も一般的で重要な化合物である。本章では、アル コールからハロゲン化アルキルへの置換反応、アルコールの脱離反応 (脱水反応)、酸化反応について学ぶ。

また、アルコールのヒドロキシ基をアルキル化して得られるエーテルの合成と反応について学ぶ。特に 3 員環 エーテルのエポキシドは、高い歪みのため通常のエーテルと異なり、反応性の高い合成中間体として有用である。

最も代表的なエポキシドの開環反応についても学ぶ。

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アルコール

エポキシドの反応

アルコール alcohol

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生物の HCl と SO2は気体なので単離操作が簡便である。

三臭化リンによる臭素化も同様で、活性化された中間体に Brが SN2 的に攻撃して臭化アルキルを与える。この反応で副生する HOPBr2 類似の機構でアルコールを臭素化できるので、1 モルの三臭化リンで 3 モ ルのアルコールを臭素化できる。

塩化アルキルや臭化アルキルに NaI を反応させると、より反応性の高い ヨウ化アルキルに変換することができる。

塩素化の立体化学について、光学活性なアルコールを例に説明する。

(S)-2-ブタノールにピリジン中で塩化チオニルを作用させると、中間体の 塩化スルホン酸エステルに Clが立体反転を伴って求核置換する。その結 果、(R)-2-クロロブタンが生成する。

エーテル中、塩基を加えずに塩化チオニルを作用させた場合の反応を次 ページ上の図に示す。極性の低いエーテル中では、HCl は解離しないので Clは存在しない。その結果、ピリジン中で進行した SN2 反応は起こりに くい。そのため、塩化スルホン酸エステルはイオン対に開裂する。エーテ ル中なのでイオン対は安定でなく、充分に離れることなく、Clはそのま まカルボカチオンを攻撃する。同じ側から攻撃するので、立体保持した (S)-2-クロロブタンを与える。イオン対のまま分子内 (internal) で求核置 換するので、SNi 反応と呼ばれる。

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このように、同じ出発原料と試薬を用いても、反応条件の違い (塩基の 有無、溶媒) によって異なる結果を与えることがある。

アルコールに塩化-トルエンスルホニル (TsCl) を塩基の存在下に反応 させると、-トルエンスルホン酸エステルが得られる。-トルエンスルホ ン酸も良い脱離基なので、-トルエンスルホン酸エステルもハロゲン化ア ルキルと同様に求核置換反応、脱離反応でよく用いられる。

アルコールと TsCl の反応では、ヒドロキシ基の付け根の炭素が立体保 持で進行する。三臭化リン (PBr3) による臭素化では立体反転したハロゲ ン化アルキルが得られるのと相補的で、目的に応じて使い分けることがで きる。

6・2 脱 水 反 応

第三級アルコールの脱水は、酸性条件下で進行する。この脱離反応は E1 反応 (5・2 節) で、重要なポイントは、① ヒドロキシ基がプロトン化され ることによって OH が H2O として脱離する、② 中間体のカルボカチオン からプロトンが脱離してアルケンを与える。この際、③ HBr や HCl のよ うに求核性のある酸を用いると SN1 反応が進行するので、求核性のない酸 (たとえば硫酸) などが用いられ、④ より置換基の多いアルケンが生成す る (ザイツェフ則;5・2・2 項)*1

6・2 脱 水 反 応 61

脱水反応dehydration reaction

*1 脱水反応といっても、ア ルコールからヒドロキシ基とプ ロトンがそのまま脱離するわけ ではない。SN1 反応のところで 述べたように (5・1・2 項)、水 の pKaは 15.7 なので脱離基と しては弱い。これに対して、プ ロトン化されて生じるオキソニ ウ ム 塩 の pKa1.7 と 酸 性 が強くなり、優れた脱離基とな る。酸性条件では、このように プロトン化から反応が進行する が、塩基性条件下ではプロトン 化は起こらない。

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第一級アルコールや第二級アルコールの場合は、カルボカチオンが不安 定なので、プロトン化されたオキソニウム中間体から E2 脱離によってア ルケンが生成する。

特に第一級アルコール、第二級アルコールの脱水は強酸性条件下で進行 する。そこで、より穏和な条件下で行うため、アルコールをハロゲン化ア ルキルなどに変換した後、塩基を作用させる二段階の反応で行うことが多 い。

以上の例は、E1 反応、あるいは E2 反応によってアルケンを得る方法で ある。その他に、Ei 反応 (分子内脱離反応:5・2・5 項) を利用する方法も ある。バージェス試薬を用いる脱水反応を以下に示す。アルコールとバー ジェス試薬が反応して、中間体のスルファミン酸エステルから分子内脱離 (Ei 反応) が進行してアルケンを与える。この脱水反応では、次ページ上の 図に示すように 6 員環の遷移状態を経由するので、開裂する二つの結合 (C

H 結合と CO 結合) がantiの関係をとることは立体的に無理でsyn 離が進行する。

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バージェス試薬 Burgess reagent

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3-メチル-2-ペンタノールの 2 種類の異性体 (2S, 3R体と 2S, 3S体) の、バージェス試薬による脱水反応の結果を示す。2S, 3R体からはE ル ケ ン ( (E)-3-メ チ ル-2-ペ ン テ ン ) が、2S, 3S体 か ら は Zア ル ケ ン ((Z)-3-メチル-2-ペンテン) がそれぞれ選択的に得られる*2。この実験結 果は、脱離がシン脱離で進行していることを示している。もし、E2 反応 (アンチ脱離) で進行するなら、2S, 3R体からはZアルケンが生成するは ずである。また、E1 反応で進行すると、同じ結果 (生成物の構造、比率な ど) を与えるはずである。

6・3 酸 化 反 応

6・3・1 アルコールの種類と酸化反応

第一級アルコールを酸化するとアルデヒドになる。アルデヒドをさらに 酸化するとカルボン酸になる。酸化剤や反応条件を選ぶと、アルコールの 酸化をアルデヒドの段階で止めることができる (後述)。第二級アルコール を酸化するとケトンが得られる。ケトンに同様の酸化剤を作用させても、

これ以上の酸化は起こらない。第三級アルコールは酸化されない。

6・3 酸 化 反 応 63

酸化反応oxidation reaction

*2 E、Z表示法

二重結合の幾何異性体はcis、

transがよく用いられてきた。

しかし、1,2-二置換アルケンな ら問題はないが、置換基が 3 個 以上になると使えない。そこで、

どのようなアルケンにも対応で きるE、Z表示法が使われるよ うになった。

まず、アルケンの炭素原子の 置換基 A と B、および X と Y について優先順位を決定する。

優先順位の高い置換基 (例えば A と X) が同じ側にあるとき、

Z体 (zusammen:ドイツ語の

「一緒に」 の意味) とする。優先 順 位 の 高 い 置 換 基 ( 例 え ば A と Y) が反対側にあるとき、E 体 (entgegen:ドイツ語の 「反 対の」 の意味) とする。

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アルコールの酸化には、クロム酸 (6 価) 由来の酸化剤がよく用いられ る。代表的な酸化剤を以下に示す。クロム酸 (H2CrO4) は無水クロム酸 (CrO3) に水が付加した化合物、重クロム酸ナトリウム (Na2Cr2O7) はクロ ム酸の無水物のナトリウム塩、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC) は無水 クロム酸に Clが付加したピリジニウム塩とみなすことができる。

本節では、クロム酸を用いる最も古典的なジョーンズ酸化について反応 機構も含めて説明し、次に PCC を用いる第一級アルコールからアルデヒ ドへの酸化について説明する。

6・3・2 ジ ョ ー ン ズ 酸 化

無水クロム酸の硫酸溶液 (ジョーンズ試薬と呼ばれる) をアセトン中で アルコール (第一級および第二級アルコール) と反応させる酸化をジョー ンズ酸化と呼ぶ。

第二級アルコールとクロム酸が反応すると、クロム酸エステルが生成す *3。次に、水が塩基としてクロム酸エステルに作用してプロトンを引き 抜き、炭素酸素二重結合が形成されるとともに酸素クロム結合が開裂 する (E2 反応)。この過程で、アルコールは 2 電子酸化されてケトンとな り、クロム酸は 6 価から 2 電子還元されて 4 価となる。実際には 4 価クロ ムも酸化反応に関与するので反応の経路は複雑であるが、酸化の段階は E2 反応である。

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クロロクロム酸ピリジニウム pyridinium chlorochromate (PCC)

ジョーンズ試薬 Jones reagent

ジョーンズ酸化 Jones oxidation

エステル ester

*3 エ ス テ ル

エステルとは、酸とアルコール から水がとれた化合物の総称で ある。一般にエステルというと カルボン酸エステルのことを指 すが、略してエステルと呼んで いるだけである。クロム酸エス テルは、クロム酸とアルコール から水が取れているので、クロ ム酸エステルと呼ばれる。他に も、リン酸とアルコールから水 が取れるとリン酸エステルとな り、核酸ユニットが重合する基 本骨格となる。核酸の場合、糖 の 3'位 と 5'位 の 二 つ の ア ル コールから水が取れているの で、リン酸ジエステルと呼ばれ る。

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第一級アルコールの場合も同様に、クロム酸エステルを経由する機構で アルデヒドに酸化される。酸化反応はアルデヒドの段階で止まらず、カル ボン酸にまで酸化される。

アルデヒドがさらに酸化されるのは、水と反応して水和物を形成するか らである。水和物はクロム酸と反応して新たなクロム酸エステルとなり、

クロム酸エステルからプロトンが引き抜かれてカルボン酸となる。水和物 になることによって、プロトンの引き抜きができるようになる。

6・3・3 PCC酸 化

第一級アルコールを酸化してアルデヒドを得る方法の一つがPCC酸化 である。第一級アルコールをジョーンズ酸化するとカルボン酸にまで酸化 されるのは、アルデヒドが水和物を形成するからである。したがって、ア ルデヒドの段階で反応を止めるためには、「水」 がない条件下で反応させれ ばよい。すなわち、有機溶媒中で無水の酸化剤を用いればよく、そのため の酸化剤が PCC である。

アルコールからアルデヒド・ケトンへの酸化反応に共通する反応機構は、

① ヒドロキシ基に脱離基 E を導入し、② E2 反応によって炭素酸素二重 結合とする機構である。脱離基 E は、Eとして導入され、Eとして脱離 する。この過程でアルコールは 2 電子酸化され、Eは Eへと 2 電子還元

6・3 酸 化 反 応 65

PCC酸化 PCC oxidation

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されている。クロム酸系の酸化反応では、Eが 6 価のクロムで、2 電子を 受け取って 4 価 (E) に還元されている。これらのクロム酸系の酸化剤は 発がん性が強く、廃棄物の処理なども注意が必要である。そのため、現在 では E が非金属で、穏和で取り扱いの容易な酸化剤が多数開発されてい *4

6・4 エ ー テ ル の 合 成

アルコールを Na アルコキシドとしてからハロゲン化アルキルと反応さ せると、SN2 反応が進行してエーテルを得ることができる。この反応はウィ リアムソンのエーテル合成として知られている。

アルコキシドイオンは求核性が強いが、同時に塩基性も強い。したがっ て、SN2 反応だけでなく、E2 反応が競争的に起こる可能性がある (5・2・

4 項)。特に、第三級アルコールのアルコキシドイオンは、求核剤としてよ り塩基として作用するので、エーテル合成はむずかしい。

第一級ハロゲン化アルキルは E2 反応より SN2 反応が有利であるが、第 三級ハロゲン化アルキルは脱離反応が優先して起こる。

ベンジルエーテル (Bn エーテル)、メトキシメチルエーテル (MOM エー テル)、t-ブチルエーテル (t-Bu エーテル) などが、ヒドロキシ基の保護基 (13・4 節参照) としてよく利用される。臭化ベンジル (BnBr)、塩化メトキ シメチル (MOMCl) は脱離反応の可能性がなく、反応性も高いので、エー テル化は高収率で進行する。t-Bu エーテルは、メチルプロペン (イソブテ ン) に対するアルコールの付加反応で合成できる。

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ウィリアムソンのエーテル合成 Williamson ether synthesis

*4 有機化合物による酸化 アルコールにジメチルスルホキ シドと塩化オキサリルを作用さ せると、S(CH3)2が一般式の E となる中間体が生じる。次いで、

トリエチルアミンが塩基として 作用しアルデヒド・ケトンを与 える。金属を使わない酸化法で、

スワーン酸化として知られる。

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6・5 エポキシドの開環反応

エーテルは通常の反応条件下では安定である。したがって、ジエチルエー テルやテトラヒドロフラン (THF) が有機溶媒としてよく用いられる。通 常のエーテルと異なり、3 員環エーテルのエポキシド*5は環の歪みが大き いので極めて反応性に富んでいる。求核剤の攻撃を受け容易に 3 員環が開 環する。

置換基のないエチレンオキシドや対称なエポキシドの場合は、求核剤が どちらの炭素を攻撃しても同じ生成物を与える。しかし、非対称なエポキ シドの場合は攻撃する炭素によって異なる生成物を与える。エポキシドの 開環反応は複雑で、置換パターンと反応条件 (酸性条件あるいは塩基性条 件) によって異なる反応機構で進行する。

3 員環の炭素が�第一級�と�第三級�のエポキシドAをメタノールで開 環するとき、塩基性条件下と酸性条件下で異なる選択性を示す。CH3ONa を作用させる塩基性条件下では、CH3Oは置換基の少ない�第一級�の炭 素を攻撃して開環体Bを与える。これに対し、酸性条件下では置換基の多 い方の炭素を攻撃して開環体Cを与える。

このような違いが出てくるのは何故だろうか。エポキシドは歪みが大き

6・5 エポキシドの開環反応 67

エポキシド epoxide

*5 エポキシド

オキシラン (酸素を含む 3 員環 のこと) とも呼ばれる。IUPAC 命名法ではエポキシアルカンと なる。エチレンオキシドはエポ キシエタン、プロピレンオキシ ドは 1,2-エポキシプロパンと なる。

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いので、エポキシドの酸素原子も脱離基となり開環しやすい。すなわち、

SN2 反応と同様な機構で求核剤の攻撃を受け、CO 結合が開裂する。SN2 反応と同じように考えると、第一級炭素を優先して攻撃することが理解で きる。一方、酸性条件下ではエポキシド酸素原子にプロトン化が起こる。

プロトン化されたエポキシドでは、二つの炭素酸素結合の分極の度合い が異なってくる。カルボカチオンの安定性と同様に、第三級炭素の方がよ り正に分極している。その結果、CH3OH は置換基の多い炭素を攻撃して開 環体Cを与える。この反応でカルボカチオン中間体を考えないのは、第三 級炭素であっても CH3OH の攻撃は CO 結合の反対側から起こり、中心 炭素の反転を伴うからである。

�第一級�と�第三級�のエポキシドの場合は、どちらの炭素を攻撃する かを明快に説明できる。しかし、他の組合せの場合には、基質の構造、反 応条件、求核剤などの違いによって大きく影響を受ける。

6・6 チオールのアルキル化反応

硫黄は酸素と同族元素なので、チオール*6(RSH) はアルコールと似たよ うな性質を示す。チオールの pKaは 10 前後と、アルコールに比べると酸 性が強く、プロトンを放出してチオラートイオン (RS) になりやすい。

RSの塩基性はアルコキシドイオン (RO) よりも弱く、さらに、チオー ルの求核性は非常に高いので、チオールのアルキル化反応 (置換反応) は 容易に進行し、脱離反応を伴うことなくスルフィドを収率よく与える。

スルフィドも求核性が高く、ハロゲン化アルキルを攻撃してスルホニウ ム塩を与える。チオールとアルコールの反応で最も異なるのは、酸化還元 反応の容易さである。チオールは酸化されてジスルフィドになり、ジスル フィドは還元されてチオールになる。アミノ酸のシステインとシスチンの 相互変換が代表的な例である。

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チオール thiol

*6 チオール

メルカプタンとも呼ばれ、炭素 数が小さい誘導体は特異的な悪 臭をもつ。低濃度で臭うので、

ガス漏れにすぐ気づくように都 市ガスに微量混ぜられている。

チオラートイオンのアニオン は、軌道が大きい S の 3 p 軌道 に残るので安定化される。その ため、アルコールに比べて酸性 度 が 高 く ( pKa値 が 小 さ く ) な る。

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演 習 問 題

6・1 以下のアルケンをアルコールの酸触媒下での脱水で合成したい。最も適切なアルコールの構造を示せ。

6・2 立体異性体の関係にある以下の二つのアルコールにバージェス試薬を作用させた。それぞれの生成物の構 造を示せ。

6・3 (S)-2-オクタノールから置換反応によって (S)-2-シアノオクタン (a) と (R)-2-シアノオクタン (b) を、

それぞれ選択的に合成したい。試薬、合成経路を示せ。

6・4 2-フェニルエタノールからフェニルアセトアルデヒドとフェニル酢酸に酸化したい。最も適切な試薬、反 応条件 (溶媒など) を示せ。

6・5 ウィリアムソンのエーテル合成に関する以下の質問に答えよ。

(a) シクロヘキシルメチルエーテル (i)、シクロヘキシルエチルエーテル (ii) を合成する最も適切な方法を示 せ。

(b) 1-メチルシクロヘキシルエチルエーテル (iii) をウィリアムソンのエーテル合成で選択的に得ることは困 難である。その理由を説明せよ。

演 習 問 題 69

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6・6 シクロヘキセンからcis-1,2-シクロヘキサンジオール (a)、trans-1,2-シクロヘキサンジオール (b) に変換 する方法を示せ。

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硫黄は酸素と同じ 16 族元素なので、アルコール とチオールのように似た性質を示す。アルコールの 酸化物としては、t-ブチルヒドロペルオキシド (t- BuOOH) や、アセトンとフェノール合成の中間体 となっているクメンヒドロペルオキシドが知られて いる。硫黄は、酸素原子にはない 3 d 軌道をもつた め、スルフェン酸、スルフィン酸、スルホン酸、硫 酸など、様々な酸化状態の化合物が存在する。

ヒドロペルオキシドに対応する化合物はスルフェ ン酸と呼ばれる。

スルフィン酸はスルフェン酸より安定であるが、

不均化を起こしてスルフェン酸とスルホン酸に変化

する。

スルホン酸は安定な物質で、本書でも何度かでて きた-トルエンスルホン酸、塩化-トルエンスル ホニルなどがある。また、メタンスルホン酸のメチ ル基の水素をフッ素原子で置き換えたトリフルオロ メタンスルホン酸は、超強酸としてよく用いられる。

エーテルに対応するスルフィドの酸化物として は、スルホキシドとスルホンがある。ジメチルスル ホキシドは有機化合物だけでなく無機塩も溶解する ので、非プロトン性の極性溶媒としてよく用いられ る。

酸 素 と 硫 黄

COLUMN

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