• 検索結果がありません。

九州大学学術情報リポジトリ

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "九州大学学術情報リポジトリ"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

空気循環式全館空調システムによる太陽熱利用に関 する研究 : その2 実験結果と負荷削減効果

隈, 裕子

湘南工科大学工学部情報工学科

尾崎, 明仁

九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門 : 教授

住吉, 大輔

九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門 : 准教授

中池, 和輝

九州大学大学院人間環境学府空間システム専攻 : 修士課程

https://doi.org/10.15017/1812448

出版情報:都市・建築学研究. 31, pp.29-36, 2017-01-15. Faculty of Human-Environment Studies, Kyushu University

バージョン:

権利関係:

(2)

都市・建築学研究九州大学大学院人間環境学研究院紀要第31 20171 ].  of Architecture and Urban Design, Kyushu University, No.31, pp.2936, January. 2017 

空気循環式全館空調システムによる太陽熱利用に関する研究 ーその 2 実測結果と負荷削減効果−

Study on U t i l i z a t i o n  o f  S o l a r  Heat Energy i n  Detached House with  C e n t r a l  Air C o n d i t i o n i n g  and C i r c u l a t i o n  System 

‑Part 2  Measurement R e s u l t s  and Energy Load R e d u c t i o n  Effects‑

隈 裕 子 *l,尾崎明仁*2,住吉大輔*2,中池和輝*3,原口紘一*3, 李 明 香 *2

Yuko KUMA, A k i h i t o  OZAKI, Daisuke SUMIYOSHI, Kazuki NAKAIKE,  K o i c h i  HARAGUCHI and Myonghyang LEE 

In order to reduce the energy consumption of houses, it  is essential to reduce heating and hot water supply energy, which  accounts for about 60% of energy consumption. Therefore we propose a new air conditioning and solar heat collection  system to supplement 50% or more of the heating and hot water supply energy. We constructed 6 test houses in 6 regions  of different climate characteristics and measured temperature, humidity and energy consumption. Based on these studies  it  was concluded that an indoor temperature and humidity environment variation is constantly affected by air circulation  system. The measured energy conservation effectiveness of solar heat utilization for reduction of heat load requirements  are over 50% at 5 locations in winter. The effects of using passive method in summertime is studied. Two types of analysis  evaluated as  an external air load reduction rate of the total heat exchanger exceeds 60% in each area,  and the air  conditioner operates with low load and high efficiency in the system. The measurement and numerical simulation were  shown the accuracy of the numerical simulation was confirmed with the observation results. 

Keywords: Solar Heαt Utilizαtion, Air Circulαtion,  Central Ai:γConditioning System, Pαssive Method, Heαt Loαd  太陽熱利用,空気循環,全館空調システム,パッシブ手法,熱負荷

1.  はじめに

本研究では,太陽熱を利用し暖房・給湯消費エネ ルギーの 50%以上を補う太陽熱利用型住宅の開発 を目的とし,新たな空気循環式全館空調システムの 開発とパッシブ・アクティブ手法の組み合わせ,そ れらの効果的な運用方法の提案を行う。地域を問わ ず導入可能なシステム構築のため,平成 25年に公 布された住宅・建築物の省エネルギー基準で、定めら れた地域区分から気候特性の異なる 6地域(北海道 旭川市,北海道札幌市,岩手県花巻市,福井県坂井 市,愛知県春日井市,宮崎県宮崎市)を対象として 実証住宅を建設し実証実験を行っている。2014年7 月から 2015年 1月にかけては,システムの開発,

パッシブ・アクティブ手法の検討,実証住宅の計画

*l湘南工科大学工学部情報工学科

*2都市・建築学部門

*3空間システム専攻修士課程

と建設を行い, 2015年2月からは,各種データ(外 気温湿度,日射量,室内温湿度,消費電流など)の 測定を開始している。実験ケースとして,空調条件 3ケース(空調なし,暖房,冷房か除湿),空気循環 2ケース(あり,なし),またそれぞれにパッシブ,

アクティブ手法の組合せを設け,得られるデータお よび数値シミュレーションによる解析を基に,実証 住宅の性能や暖房・給湯消費エネルギー削減の効果 を明らかにすることで,本システムが6地域全てで 有効に機能するか検証する。既報1)では,太陽熱利 用型住宅および空気循環式全館空調システムの概 要,地域別の建物の計画・性能,採用したパッシブ・

アクティブ手法,数値シミュレーションによる暖 房・給湯負荷削減効果の検討結果を報告した。本報 告では,冬期,夏期,中間期の実測結果ならびに冬 期,年間の熱負荷削減効果について報告する。加え て,数値シミュレーションによるパッシブ手法の冷 房負荷削減効果の検討,全熱交換器の外気負荷削減 効果の検証,空調機の機器特性解析結果を述べる。

(3)

2 太陽熱利用型住宅および空気循環式全館空調シ ステムの概要

本研究で提案する太陽熱利用型住宅は,空調機と 空気循環システムを併用する空気循環式全館空調シ ステム住宅に太陽熱の集熱部位を付加している。図 1に空気循環システムのイメージを示す。小屋裏や 居室の一部に空調室を設け,家庭用のヒートポンプ エアコン 1台を設置する。空調室は建物外皮とは別 に断熱されており,全熱交換器とエアフィルターを 介して外気と建物内空気の導出入を行う。空調室の 空気は, DCモーターファンと断熱ダクトを通して,

床下を含む各室へ送られ成り行きで空調室に戻る。

太陽熱の集熱部位として,ダイレクトゲイン(DG), ダブルスキン(DS), トロンブウオール(T W)の3つの パッシブ手法を導入しており,ダブルスキンおよび トロンブウオール内の空気は,任意の設定温度で建 物内に取り込む制御を可能としている。また屋根や 庇には太陽熱集熱パネルを設置し,貯湯タンクとの 間で熱媒を循環させる温水システムを設けている。

温水は,ファンコイルユニットの熱源として暖房に 使用することもできる。

3 冬期における実測結果と数値シミュレーション の精度検証

3.  1 実測結果と数値シミュレーションの精度検証 3.  1.  1 計算概要

本実証住宅は,設計段階において,数値シミュレ ーションソフト熱・水分・空気連成を考慮、した建築 全体の温湿度予測ツールTHERBfor HAM2), 3),  4),  5)を 使用し,熱性能や集熱面積の検討を行った 1)ため,実 測結果に基づきその精度を検証する。計算の入力値 には,外気温湿度, 日射量含め実測値を用いるが,

図1 空気循環式全館空調システムのイメージ

その際の空調設定温度は20°C,内部発熱,発湿はな しである。また,計算時間間隔は 10分とした。全

6地域を対象とし,主要居室の温度,集熱空間の空 気温度ならびに空調消費電力を算出した。

3.  1.  2 実測および計算結果

図2に,主要居室,集熱空間および空調消費電力 の実測結果と数値シミュレーションの計算結果(代 表として旭川|)から2日分(3月67日)の経時変 化を示す。グラフは上から,主要居室温度,集熱空 間温度,空調消費電力である。主要居室の温度が空 気循環により一日を通して安定していること,集熱 空間の温度が昼間に大きく上昇していることが分 かる。主要居室および集熱空間の温度について,実 測値(実線)と数値シミュレーションの計算結果(点 線)を比較すると誤差3℃以内で実測値を捕捉して いる。また,空調消費電力についても,計算結果(細 実線)は実測値(太塗線)の平均を捉えている。こ れらは他の5地域でも同様の結果であった。

一一一外気 ………LDK(実測) …….. LDK(計算)

一一四寝室(実測L,……一寝室仁計算〕,

40  30  ρ 2 0   10 

10 

40  30 

20 10

10 

一一一外気

一一一空調室 …山…−DS ,o,,o,,,  ,, TW  40 

30  ρ 2 0   10

10

機線機嫌消費電力(実測)

R脚楓摂

n u 

1 8 6 4 2 0   一一一消費電力(計算)

12  18  12  18 

3/6  3/7  図2 実測および数値シミュレーション結果 上から主要居室温度,集熱空間温度,消費電力

(4)

鶴醐卜口ンブウオール ー・一日別平均外気温 議機謹ダブルスキン

磁輯暖房負荷 4一日積算日射量

︵ ﹀ 吾 − NE

3 0

nununununununU  nununununununu  H ×

7 6 5 4 3 2 1 0  

機 鱗FCU放熱量

絞 殺3ダイレクトゲイン ート目別平均LDK室 温

so 

40 

‑ 30 

(.) 

20 10 

10

20

500 

400 ミ~

:0  300雪言

λ 

200

E

高 層 100:; 

1/26 

12/9  12/10  12/11  12/12  12/13  12/14 

(b)北海道札幌市

12/8 

太陽熱利用による熱負荷削減効果 負荷および集熱量の計算概要

2015年 11月1日〜2016年5月31日のうち暖房 負荷が生じている日の実測結果を基に,太陽熱集熱 システムによる集熱量を算出し,日積算負荷の補填 割合とすることで負荷削減率を示す。ダブルスキ ン・トロンブウオーノレの集熱量はそれぞ、れの空間の 入口と出口の空気温度差から,ファンコイルユニッ ト放熱量と空調機の暖房負荷はそれぞれの吸込み 口と吹き出口の温度差から算出する(式1)。また,

ダイレクトゲインによる熱取得量の算出には,建築 外皮の非定常伝熱解析ツールHygre2), 3),  4),  s)を用 いる。その他条件として,データ解析の時間間隔は 10分,集熱時の空気循環量は,ダブルスキン600m3/h,

トロンブウオール300m3/h,ファンコイルユニット の風量は366m3/hである。

3.2  3.  2.  1 

(a)北海道旭川市

1/20 

40  30 

20 10

10 

500 

  ? '

400ξ

〈 ・5

点、、

300

三 塁

2oo

m

高 属 100

制 :

40 

30  ε 2 0   10

10 

500

400主否

〈 可3

声、、

300 

口 三

200I宗属

E

100!; 

500 {g 

」 (

400 ~

R、、、τ3 

300 

200m

剛 塩

基 属 100

制 :

500 

  ? '

400ξ

〈 ・0 F、、、、

300 

200

唖 富

長 属 100: 

i H  

12/6  12/7  12/8  12/9  12/10  12/11 

(e)愛知県春日井市

12/24  12/25  12/26  12/27  12/28  12/29  12/30 

(f)宮崎県宮崎市

空調負荷と集熱量の日積算 図3

1/26 

12/7  12/8  12/9  12/10  12/11  12/12 

(d)福井県坂井市

12/5 

40  30  ε 2 0   10

10 

q=Cα・ Ya • Q(8i ‑8。)…式1

q:集放熱量[MJ], Cα Yα : 空 気 の 容 積 比 熱 (=0.00173[MJ/nf ・ KJ),  Q:風量[nf/h],。i,。:入口温 度,出口温度[K]

3.2.2  空調負荷および集熱量の日積算

図3に7日分の集熱量および空調機による暖房 負荷の日別積算を示す。グラフの積上げは下から FCU放熱量(給湯の余剰熱をFCUの熱源として使 用),ダブルスキン集熱量, トロンブウオール集熱 量(トロンブウオールを有するのは旭川,岩手,福 井の 3地域のみ),ダイレクトゲイン集熱量,空調 機の負荷である。全ての地域において,日射が得ら れる日は,ファンコイルユニットの放熱量,ダブル スキン,トロンブウオール,ダイレクトゲインの集 熱量の積算は, 日積算熱負荷の 50%以上を補って いることが分かる。なお,札幌は,実測期間中の空 調設定温度が他の5地域より低いことと,断熱性能 が高い(UA値0.21)ことから負荷の絶対量が少な

3.2.3  給湯負荷および集熱量の日積算

図4に, 14日分の太陽熱集熱ノミネルによる集熱 量(蓄熱量)の日積算(代表として旭川|)を示す。

貯湯タンクの容量は,旭川,札幌が 460リットル,

岩手,福井,宮崎が370リットル2本,愛知が 300 リットル 2本である。図 4から,寒冷地である旭川 でも,日積算日射量が十分に得られた日は,日射に よる熱取得で 1世帯あたりの標準給湯負荷(点線)

を賄うことができる。これらは他の5地域でも同様 の結果であった。

1/21  1/22  1/23  1/24  1/25 

(c)岩手県花巻市

ν20 

40  30  ε 2 0   10

10 

12/6 

40  30  ε 2 0   10 

10 

(5)

8・︵ ﹀

NE

EOHX

E

u鳴一日積算日射量

‑‑‑1世帯あたりの標準給湯負荷 盤機タンクA

200  '>150 

f

、 き100 

ml mso 

4/11  4/10  3/31  4/1  4/2  4/3  4/4  4/5  4/6  4/7  4/8  4/9 

図4 太陽熱集熱パネルによる集熱量の日積算

3/30  3/29 

一一一温度{計算)一……温度(実現0

ーーー湿度{計算)向山由湿度(実現I]) 100 

6 4  

A

80 

20 

100  80  60  40  20  18  一一一・外気温

時相時田辺外気湿度

so 

40  ε 3 0  

20

10 

12 

8/3 

18 

12 

8/2 

。 。

n u n u n u n u n U  

5 4 3 2 1

0

0 ﹈ 側 一 同

18 

8/11  8/12 

実測および数値シミュレーション結果

(上から旭川,宮崎)

域(福井県坂井市,愛知県春日井市,宮崎県宮崎市),

計算期間は5月1日〜9月30日とした。表2に計 算モデ、ルとパラメータを示す。パラメータはダブル スキン空間の有無,開口面積,庇の有無とし,これ らの有無や仕様の変更が冷房負荷におよぼす影響 を検討する。計算用のモデルIは,標準的な開口率 (25%程度)かっダブルスキンと日射遮蔽を有しな い仕様である。モデルEはモデルIから開口率のみ を実証住宅の水準まで上げたもの,モデルNはモデ ルEと同仕様で、ダフ、ルスキンを外気に開放した現 状の仕様相当のものである。また,表3には,対象 とした 3地域の実証住宅における開口率を示す。本 検証における開口率とは,建物南側の壁面の見付け 面積に対する開口面積の割合を意味する 6。)

12 

18  12 

図5 4.  夏期における実測結果と負荷削減効果検討

4.  1 実測結果と数値シミュレーションの精度検証 4.  1.  1 計算概要

本節では,夏期の実測結果を示すと共に,次節の 数値シミュレーションの前提となる精度検証を行 う。計算の入力値には外気温湿度,日射量含め実測 値を用い,空調設定温度は27℃,内部発熱,発湿は なし,計算時間間隔は 10分とした。また,空調室 からの送風量は, LDK400nt/h,主寝室・子供部屋 などの居室300nt/h,床下・ホールなどは 150nt/h  で,いずれも終日一定である。全6地域を対象とし,

主要居室の温湿度,集熱空間の空気温度ならびに空 調消費電力を算出した。

4.  1.  2 実測および計算結果

図5に, l階LDKの温湿度測定結果と数値シミ ュレーションの計算結果として,旭川と宮崎の2日 分の経時変化を示す。 LDKの温湿度推移はおおむ ね一定かつ終日安定しており,空気循環を行うこと で建物全体の温湿度環境が均一に保たれているこ とが分かる。また,図 5の温度の実測値(薄色太線)

と計算値(濃色点線)を比較すると若干の位相のず れはあるものの誤差 3℃以内,相対湿度の実測値(薄 色点線)と計算値(濃色点線)の比較では誤差

4%

以内であり,いずれの地域でも計算値は実測値をお およそ捕捉できている。これらは,他の4地域でも 同様の結果であった。

4.2  パッシブ手法による冷房負荷削減効果の検討 4.2. 1 計算概要

実証住宅は,冬季の日射熱取得を期待し,建物南 面に集熱部位が設けられているが,これらパッシブ 手法が夏期の冷房負荷におよぼす影響を定量的に 把握するため,数値シミュレーションによる検討を 行う。表1に計算条件を示す。対象はダブルスキン 空間を構成する 2重の外皮(外気側と室内側)のう ち,外気側を開放しベランダとして使用できる 3

(6)

表 1 計算条件

項目 援 要

計算対象 実証住宅3棟(福井,愛知,宮崎)

塁走走期需 308 

計算ヨ 51呂〜2308

計算聞編 10

気象データ 実漂jデータ(外気渥.l i墨震.B射量〉

室内発熱ー在室者 なし

空語室設定温度

2 r c  

福井票 350 

議気量ml 愛知票 250 

宮縄票 240 

表2 計算モデル

モデル ダブルスキン 関口率 日射遮葱

なし 標準的な環口率 I なし

I  

Ill  実際の寵口率

あり あり

IV 

表3 南面開口率 福 井 関口率:標準

| 

2

寵口率:実藍住宅 1 37% 

郡一抗一蹴

4.2.2  計算結果

図6,表4にモデル毎の期間冷房負荷積算と負荷 の削減率を示す。モデルIとモデルEを比較すると

(開口率を標準的な比率から実証住宅の比率に変 更する),福井で13.3%,愛知で5.8%,宮崎で 15.4%

負荷の増加となる。しかし,モデ、ルEとモデ、ノレEを 比較すると(ダブルスキンと日射遮蔽を設置する),

福井で9.2%,愛知で 14.8%,宮崎で7.8%の負荷減 少となる。また,モデル HとモデルIVを比較すると

(ダブルスキンを外気に開放する),福井で 11.9%, 愛知で 57.1%,宮崎で 8.9%の負荷削減となる。建 物形状や気象条件は異なるが, 3地域いずれでも,

ダブルスキンと日射遮蔽の活用が負荷削減に繋が る結果となった。

4.  3 熱交換器の外気負荷削減効果と空調機の機器 負荷特性解析

4.  3.  1 解析概要

本システムでは,局所換気を除き,空調室のみに て外気と建物内空気の導出入を行っており,外気導 入の制御や空気質のコントロールを一括かっ容易 にできるというメリットがある。外気と空調室の間

モ ヂ んE 襲撃モヂん霊 雛 モ ヂ ん 議 覇躍モテ:jレ狩 12 

8 6 8

2

︷ 翠 E a N

撞持獲薮券市 愛知努雲寺祭器井市 重宝縛空襲3重品穫期

図6 期間冷房負荷積算

表4 期間冷房負荷の削減率 福井 愛知 bi モデル j→モデル!I .13,3 ・・5.8 154 モデルi→モデルI Ill 2 14S 7S モデルIii→モデルIV 3.0%  49.6 1.2 モデルII→モデルIV 11.9 57.1 8.9

には全熱交換器を設置しているため熱負荷の評価 を行うにはその外気負荷の低減効果を明らかにし ておく必要がある。また,空調機1台での 24時間 全館空調を前提としていることから,その運転効率

と機器負荷特性を把握する必要がある。

熱交換器の効果検証は,外気,全熱交換器を通り 空調室内側に送り込まれた空気,室内空気の温湿度 の実測値を使用し,全熱交換器を使用した場合の負 荷と使用していない場合の負荷の比較により行う。

また,これらの検証は,外気温が室温よりも高い時 間帯に限定して行う。空調機の機器負荷特性解析は,

実測値と中央電力研究所の算定プログラム 7),8)を用 いて算出する。

4.  3.2  解析結果

表5に,全熱交換器の外気負荷削減効果と削減率 を示す。 7日間の平均の外気負荷削減率は,旭川で 68.1%,札幌で60.8%,岩手で86.2%,福井で66.7%, 愛知で63.3%,宮崎で76.9%となり,全熱交換器を 導入することで,すべての地域で約 60〜80%の削 減になることを確認した。

7に空調機の COPと部分負荷曲線(代表とし て宮崎),表6に図7中の実線とプロット色の条件 を示す。図 7の実線は算定フ。ログラムを用いて算出 したもの,プロットは実測値にもとづいた部分負荷 とCOPの関係を示したものである。実線で示した 値の計算条件は,外気温25°C, 30°C,  35°C,外気相 対湿度40.5%一定,室内温度27℃とし,風量,消費

(7)

電力,冷房能力は空調機のカタログ値を用いた。実 線とプロットの分布のばらつきは室内温度他の与 条件のずれ(表6)によるが,図7の実測値にもと づくプロットはおおむね部分負荷曲線(実線)のピ ーク近傍で推移しており,機器が定格値よりも小さ い部分負荷で稼働していることが分かる。このこと から,本システムでは,空調機がその機器特性を十 分に活かし低負荷かっ高効率で、運転していること が確認できた。また,全ての地域において同様の結 果となった。

5.  中間期における温湿度環境の実測結果

図8に中間期の3日間の実測結果のうち旭川,宮 崎の 2地域分を示す。グラフは上が外界気象条件,

下が主要居室他の温度・相対湿度である。この期間 は,空調なしの自然状態,パッシブ・アクティブ暖 房もなしとし,空気循環システムのみを稼働させた 状態である。いずれの地域でも,空気循環を行うこ とで建物南側に位置する LDKと,北側に位置する

表5 全熱交換器による外気負荷の削減率

714%

67.4% 

67.2% 

66

I

55.4% 1730%

75.6% 

68.1 %  65.3% 1 

86晶説s10% 186.2187.3% 186.2  12.s% 165.3% 1 607% 15臼 %166.7  60.5% 

66.6% 

64.4% 

622% 

633%

ss.4% 74.4% 29.2% so.4% 769%

16 

14 

~i-f-/

12  10 

2  0 

一一外気30°C 一一外気35°C

0 0.5  1 1.5  2 2.5  3 3.5  4 4.5  冷房負荷[kW]

図7COPと部分負荷曲線 表6 図7中の温度条件

洗面脱衣所で終日温度差がないこと,温度の日較差 が最大でも5℃程度と小さく,安定した環境である ことが分かる。他の4地域に関しても同様の結果で あった。

50  100 

40  80 

ρ 3 0   印主〆ち言

友 お 20 

[Il 

10  20 

M '"  3滋 恐 怖 側 主 判 /:;::":; ~:;";:.;':'"'.<?;!:'"!,'.':':引開弘

温度一一一一 fきー ーゼ缶ー ーモ子ー

外気 LOK  空調ユニット 洗面脱衣所

相対湿度一…… …@ー …&ーー

100  50 

40 

30  20 

10 

6/16 

80 

60 40

20 

6/17  旭川

6/18 

− 温 度 一 湿 度 日射量

50  100 

NE

OH

×

n u n u n u n U   O O F b A

40 

ρ 3 0  

20 

10 

紙 略 戦 蝉 融 抑 制 制 ぬ 問d附 孔 ,̲::'.:ffi'.'.<i:f.:;:¥:ji(ifow.i:締本

温度一一一一 f与一 i̲詮ー ーモユー

外気 LOK  空調ユニット 洗面脱衣所

相対湿度一−−−−−− 一@一 ー−&−

50  ,  , 100 

40  80 

30  60 

20 

10  20 

。 。

6/1  6/2  6/3  宮崎

図8 中間期の実測結果

(上が外界気象条件,下が主要居室の温湿度)

(8)

7.  まとめ

本報告では,冬期,夏期,中間期の実測結果なら びに冬期,年間の負荷削減効果,加えて,数値シミ ュレーションによるパッシブ手法の冷房負荷削減 効果の検討と夏期における全熱交換器の外気負荷 削減効果の検証,空調機の機器特性解析結果につい て述べた。主な結果を以下に示す。

建物内の温湿度環境は,空気循環を行うことで 均一に保たれる。

太陽熱集熱により,日射量が十分に得られた日 には暖房負荷の 50%以上を賄うことができる。

夏期の冷房負荷は,ダブルスキンや日射遮蔽を 活用することで,地域によっては最大で約60%

の削減が可能となる。

全熱交換器の外気負荷削減効率は,全ての地域 で約 60%以上になる。また,本システムでは,

空調機は,低負荷かっ高効率で、運転している。

数値シミュレーションの結果は,実測値を正確 に捕捉している。

謝 辞

本研究の一部は,独立行政法人新エネルギー・産 業技術総合開発機構 NEDO 「太陽熱エネルギー活 用型住宅の技術開発」によるものである。ご協力い ただきました FH−アライアンス様に感謝し1たしま す。

6.  年間負荷削減効果

図9に2015年4月1日〜2016年3月31日の年 間熱負荷積算,表7に各実証住宅の負荷削減効果の 技術要素別内訳を示す。図9における「標準」とは,

空気循環システムのみ使用(太陽熱は利用しない)

した場合の負荷を意味し,「目標」とは,計画段階1)

で算定した空気循環システムと太陽熱の両方を利 用した場合の負荷の目標値を意味する。図 9より,

給湯負荷については,すべての地域で目標値を超え たものの,暖房負荷については,目標値を超えたの は愛知と宮崎の 2地域のみであり,総合負荷では,

旭川,岩手,福井の 3地域で目標値を下回る結果と なった。建物計画時の数値シミュレーションに用い た拡張アメダス気象データの標準年日射量と比較 して,冬期の日射量が,旭川(78%),福井(74%) と少なかったことも一因と考えられる。

負荷削減効果の技術別内訳(単位:GJ)

給 湯 負 荷 暖 房 負 荷

削 減 量 太 陽 光 ダイレクト ダァヲレ トロンプ

FCU 

パ ネ ル ゲイン スキン ウオール

旭 川 19.4  6.8(45%)  7.4(49%)  0.3(2%)  0.5(3%)  札 幌 18.2  8.0(47%)  9.0(53%)  0.0(0%)  岩 手 18.4  5.3(47%)  2.7(24%)  2.7(24%)  0.7(6%)  撞 井 15.5  2.5(19%)  6.1(48%)  2.7(21%)  1.5(12%)  愛知 14.3  5.3(36%)  5.1(35%)  4.2(29%)  宮i 13.3  7.1(41%)  9.1(52%)  1.4(8%) 

表7

※暖房負荷削減に関しては削減量合計に対する割 合を示している。

給 湯 負 詩

宮詩

実沼H 72.5% 

24.7% 

65.6% 

626%

塁 揮 値

71.0% 

246%

50.4% 

54.2% 

tl1 69.9% 

48.9% 

63.3% 

6356 愛知

呂標鐘

69.6% 

19.3% 

53.7 54.1% 

実 測 檀

言 標f

鱗冷房免蒜

実jJj{j

74.0 126.2%

38.2% 

478% 

灘暖房免荷

岩手 呂標f

§1%

‑114.3% 

55.1% 

52.7% 

実 瀦 穫

U VA

一清一%一%

n u

t

O

o o

a

7

一 ぺ 一

34

i 毘標{産

笠間一同一向

実混ぜ値

;l@J!! 

呂謹値

年間負荷積算(※削減率は目標,実測値ともに標準値に対する割合を示している)

図9

(9)

参考文献

1)  隈裕子,尾崎明仁ほか:空気循環式全館空調シ ステムによる太陽熱利用に関する研究その L 九州大学大学院人間環境学研究院紀要都市・建 築学研究,第29号, pp.65‑72, 2016  2)  尾崎明仁,他:水分ポテンシャルによる湿気移

動解析,日本建築学会計画系論文集第488号, pp.1724, 1996 

3)  尾崎明仁,他:熱・水分・空気連成を考慮した 建築の温湿度・熱負荷計算, TechnicalPapers  of Annual Meeting of IBPSA‑Japan,  pp.19 26,  2005 

4)  Ozaki A., et al., : Prediction of Hygrothermal  Environment  of  Buildings  Based  upon  Combined Simulation of Heat and Moisture  Tran sf er  and  Airflow,  Journal  of  the  International  Building  Performance 

Simulation Association, Vol.16, No.2, pp.30

37,2006 

5)  尾崎明仁,他:多孔質材料の熱・物質移動の駆 動力と拡散係数の関係について, Technical Papers of Annual Meeting of IBPSA‑J a pan,  International  Building  Performance  SimulationAssociation,  pp.10‑16,  2007  6)  洪悦郎:北方系住宅の窓に関する研究−2.5階

数別床面積に対する開口面積率,財団法人新住 宅普及会住宅建築研究所, 1979

7)  上野剛ほか:家庭用空調機の熱源特性モデ、ノレの 開発(その 1)冷房時モデ、ル,電力中央研究所,

2010 

8)  上野剛ほか:家庭用空調機の熱源特性モデ、ノレの 開発(その2)暖房時モデル,電力中央研究所,

2010 

(受理:平成28

11月10日)

参照

関連したドキュメント

農業者年金の政策支援について 特例保険料と保険料補助 要 件 ① 60歳までに保険料納付済期間等が20年以上となると見込ま

1-1-2 1.1.3 1.1.3 1.1.3 1.1.3 積算 積算データ 積算 積算 データ データ作成 データ 作成 作成 作成 Excel

た。また、インターネットを使った情報発信が比較的身近になったのもこの

6-2 参宮橋地区での実道実験の内容 (2003年10~11月実施) 情報提供③ 「速度落とせ」 情報提供② 「左急カーブ

その他ご不明な点に付きましてはお問合せください。 合同会社エレックスシステム 監視防犯カメラ事業部

Apache の設 定 ファイルが、LifeKeeper の保 護 下 に設 定 されていない IP アド レスまたはド メイン名 を参 照 してい ます。これらの

比較の前提③ 端末費用の考え方が各国毎に異なり、通信料金のみの切り出しが困難。 端末費用を含めた一定期間における利用者の総支払い費用を比較 7 通話料金

[r]