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アナリシス るものであり 同政権の 石油中毒症状を克服するために 中東石油の 3/4 の削減を目指す *2 政策と呼 応していた オバマ政権下では産業界の努力と関連政策の後押しによるシェール開発が進展した結果 2016 年の 純石油輸入依存度は 24.8% に低下 天然ガスはほぼ自給状態になった 図

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シェア "アナリシス るものであり 同政権の 石油中毒症状を克服するために 中東石油の 3/4 の削減を目指す *2 政策と呼 応していた オバマ政権下では産業界の努力と関連政策の後押しによるシェール開発が進展した結果 2016 年の 純石油輸入依存度は 24.8% に低下 天然ガスはほぼ自給状態になった 図"

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(1)

アナリシス

 オバマ前政権発足の米大統領選挙が行われた2008年は、シェール開発が本格化する直前で、原油価 格もバレルあたり100 ~ 110ドルもしくはそれ以上と高く、石油輸入依存度を低下させることが課題だっ た。また、同年の純石油輸入依存度は 57%で、一層の上昇が懸念され、節約や輸入依存度低下の政策 順位が高い状況にあった。  以下は、2009年1月20日の就任演説*1の冒頭部分である。  「これまで、44人の米国人が大統領就任の宣誓を行った。その言葉は繁栄の高まりのとき、平和で平 穏のときに語られてきた。だが、多くの場合、誓いは立ち込める暗雲や猛威を振るう嵐のなかで行わ れた。こうしたとき、われわれは先達の理想に忠実で建国の文言に従ってきたからこそ、米国はこれ までやって来られた。われわれはそう歩んできたし、今の世代の米国人も同様でなければならない。   われわれはいま危機のただなかにある。果てしない暴力と憎しみに対し戦争を続けている。一部の 強欲で無責任な人々のためだけでなく、皆が困難な道を選び次の世代に備えることができなかった結 果、経済は脆ぜいじゃく弱化した。家を失い、仕事は減り、商売は行き詰まった。医療費は高過ぎ、学校制度は 失敗している。われわれのエネルギーの使い方が敵を強化し、われわれを脅かしているということが 日々明らかになるばかりだ」(後略)  就任演説で、大統領が、「われわれのエネルギーの使い方がわれわれの敵を強化し、われわれを脅か している以上、われわれはエネルギーの使い方を改めよう」というメッセージを送ったことを筆者は今 でも明確に覚えている。これは、前ブッシュ(GeorgeW.Bush)政権の石油輸入依存度低減策を継承す

じめに

米国の原油生産増と石油インフラ

の再整備

~オバマ政権時代の石油産業動向の回顧と今後の展望~

図1 米国の純石油輸入量と原油生産量および石油輸入依存度の推移 0 10 20 30 40 50 60 70 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 2001 2000      200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016 純石油輸入量 原油生産量 石油輸入依存度(右軸) 万b/d 年 出所:DOE/EIA(米国エネルギー省エネルギー情報局)“MonthlyEnergyReview”各号

(2)

るものであり、同政権の「石油中毒症状を克服するために、中東石油の3/4の削減を目指す」*2政策と呼 応していた。  オバマ政権下では産業界の努力と関連政策の後押しによるシェール開発が進展した結果、2016年の 純石油輸入依存度は24.8%に低下、天然ガスはほぼ自給状態になった。図1のとおり、オバマ政権の登 場に合わせるように米国原油生産量は 2008 年に 500 万 b/dで底を打ち、その後シェール開発に伴い、 2015年には942万b/dまで生産量は伸びた後、2016年は原油価格の下落の影響で888万b/dに減少した。  また、将来見通しに関しては、2017年の米国エネルギー省(DOE)の見通し(基準ケース)によると、 原油価格が2040年に向かってなだらかに上昇するという前提の下で、原油生産量も徐々に増加すると 見られている。とりわけ、シェールオイル生産量は 2040 年まで増加し続けると見られている。今日、 米国にとって、エネルギー自給が絵空事でなくなったとされる所ゆ え ん以である。  輸入依存度の低下等を課題として政権をスタートさせたオバマ政権は、シェール革命の後押しを受け て、その目標を達成した。しかし、再生可能エネルギーの大幅導入、温室効果ガス対策に関しては道半 ばの状態で政権交代したが、温室効果ガス対策はトランプ政権には継承されていない。  本稿においては、2009 ~ 2016 年のオバマ政権下における石油産業動向を振り返るなかで、同政権 が達成したものとやり残したものを確認し、併せてトランプ政権の課題を明らかにすることを目的とする。

1.

石油産業上流部門におけるシェール開発の進展

 シェール開発に関しては、シェールガス革命が先行し た。大きな流れで見れば、まず東テキサスからルイジア ナ州境に賦存するヘインズビル・シェール開発が先行し、 次いでテキサス中央部に位置するバーネット・シェール で技術的な蓄積が進み、シェール開発は徐々に全土に広 がった。  その順序を示せば、まずシェールガス開発が始まり、 シェールオイル開発は 2008 年の原油価格の下落以後に 進められた。その理由は、以下のようである。すなわち 同年に起きた金融危機(リーマンショック)によって原油 価格、ガス価格が下落した際に、シェールガスによって ガスの供給が増加して、ガス価格は危機以前の水準に戻 らなかった。しかし、原油価格は、2009 年以後、資金 の過剰流動性により再度上昇に転じたため、操業会社が シェールオイル開発にシフトしたという事情が挙げられ る。従前のように、シェールガスを開発していた事業者 出所:DOE/EIA“AnnualEnergyOutlook-2017”(2017 年 1 月) -1,000 -500 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 2015 2020 2030 2040 2050 その他供給 純石油製品輸入 NGL 純原油輸入量 国内原油生産(本土48州) 国内原油生産(アラスカ) 万b/d 年 図2 米国の石油供給見通し

(3)

がシェールオイル地域に掘削機を移動し、開発を始めた。  図式的に言えば、2008 ~ 2009 年、ノースダコタ州 のバッケン・シェールで技術が確立し、それがその後、 テキサス南部のイーグルフォード・シェールやテキサス 西部のパーミアン・シェールに適用されるようになった。 その他の主要シェールプレイには、ペンシルベニア州か らウェストバージニア州にかけてのマーセラス・シェー ルやコロラド州からワイオミング州に広がるナイオブラ ラ・シェールがある。  2014 年に原油価格が下落して以後は、一層の技術革 新に基づくコスト削減が追求された。従前、シェールオ イル開発コストはバレルあたり70 ~ 80ドルが必要とい われていたが、今日、最先端技術が適用されているパー ミアンでは同30ドル程度でも開発可能と見られている。 さまざまな技術的工夫、効率性の改善が図られた結果で ある。  ちなみに、2017年1月6日、中部電力の上越火力発電 所に第 1 船が陸揚げされた米国産シェールガス由来の LNG7 万トンは、イーグルフォードなどで生産された シェールガスが、北米ガス市場を通じて原料調達された サビンパスLNGである。  近年、シェール開発の中心地の一つになっているパー ミアンに関しては、国際経済紙* 3がその卓越性を、要 旨以下のとおりまとめている。  「パーミアン堆積盆地では、今日、石油開発業界の開発・ 生産活動、および活発な M&A取引が行われている。1 月中旬の 1 週間で 100 億ドルに上る M&A取引が成立し た。パーミアンの資産は、今日、米国で石油生産量を増 加したい会社にとって最優良案件となっている。  パーミアン地域は2014年以後の油価下落を克服した。 DOE/EIAによれば、シェールオイル生産がピークを記 録した 2015 年 4 月に比べ、ノースダコタ州のバッケン 地域では 19%、テキサス州のイーグル・フォード地域 では33%の減産となったが、パーミアンでは逆に14%の 増産を記録した。その点からは、米国シェールオイル生 産地のうち、油価下落に対する耐性が最も強いのがパー ミアンであるといえよう。  EIAはまた、パーミアン地域の新規 1 油井あたりの シェールオイル生産量は 2011 年末の 101b/dから 2017 年 2 月には 660b/dと 6 倍以上になる見込みであると報 じている。  操業会社の多くが最近の原油価格水準(総じてバレル あたり50ドル水準)でもパーミアンを中心にシェールオ イル開発は商業的に成り立つと見ている。」 図3 米国の主なシェールプレイと原油パイプライン 主要シェールプレイ 主要パイプライン(既存) その他パイプライン(既存) パイプライン(計画) バッケン ナイオブララ パーミアン イーグルフォード ヘインズビル マーセラス ウチカ バーネット スピアーヘッドサウス ガルフコースト・パイプライン キーストンXL・パイプライン(計画) ダコタアクセス(計画) エンブリッジ・ゲートウェー(計画) キーストン・パイプライン キンダーモーガンTM サザンアクセス・パイプライン トランスカナダエナジー・イースト(計画) キーストン・パイプライン 出所:諸情報から JOGMEC 作成

(4)

(1)原油輸送インフラの整備  2016 年の大統領選挙においては、一般に民主党は地 球温暖化防止や環境保護を重視していたのに対して、共 和党はアメリカ経済の回復に力点を置くという産業界寄 りの政策を打ち出すと見られていた。オバマ政権の8年 間では、原油輸送に関して鉄道輸送が急激な増加を見せ たことが注目される。こうした輸送パターンの変化も、 シェールオイル開発がもたらした産業動向の変化に起因 している。原油の生産地が変わったことにより、原油輸 送インフラの整備が求められたのは必然的帰結であった。  この点は、石油産業の特徴を示している。1 次エネル ギー供給としての石油(原油)を最終エネルギー消費に供 するには、エネルギー変換過程を経る必要がある。石油 産業上、その機能を果たしているのが製油所であるが、 その点から石油産業は典型的な装置産業である。  製油所が建設され、稼働を開始すると長期にわたりそ の地で操業が行われることになり、原油は製油所に供給 され、精製製品は消費地に向けて出荷される。  一大原油生産国であり世界最大の石油消費国である米 国は、原油輸入地点もさることながら、国内の原油生産 地が変われば、世界最大の製油センターへの原油輸送イ ンフラを再整備する必要に迫られる。オバマ政権の8年 間は石油産業史的にはこうした原油輸送インフラの整備 が図られた時期である。  まず、カナダからの原油輸入が増加した。カナダの原 油輸出量は1980年の20万b/dから1990年に64万b/d、 2000 年に 135 万 b/dに増加した後、2010 年代には 200 万b/d以上と大幅に増加した(図6)。カナダからの輸入 増は米国内原油パイプラインの増強が前提であった。次 に、国内シェールオイル生産増に伴う原油供給地の変化 により、パイプラインの増強、鉄道輸送インフラの増強 が行われた。 (2)原油輸送フローの変化  米国内の原油の流れは 1980 年代まで大きくはメキシ コ湾岸から北東部への流れが中心だったが、シェール革 命とカナダからの原油輸入の増加に伴い、中西部から PADD(PetroleumAdministrationDefenseDistrict:石 油行政区画)Ⅱ(五大湖周辺地域)経由PADDⅠ(東海岸 地域)およびPADDⅢ(メキシコ湾岸地域)へと、これま でとは逆走、あるいは方向転換が見られるようになった。  米国の原油フロー(PADD間移動量)の変化に関する、 オバマ政権発足時(2008年)と2016年の比較は、図4の とおりである。また、同図のバックデータは表1である。  ここで、➡は 2008 年から 2016 年の間に起きた新し い鉄道輸送の流れであり、➡の太さは同期間に達成され た原油パイプライン輸送能力の増強に対応している。  具体的には、PADDⅡからPADDⅠおよびPADDⅢ、 並びに PADDⅣから PADDⅢへの鉄道輸送はシェール 革命後に起きた新たな輸送方法であり、また、PADD Ⅱから PADDⅢと PADDⅣから PADDⅡへの流れはパ イプライン輸送量の増大が顕著である。  既述のように原油輸送に関しては、オバマ政権時代に 鉄道輸送が急激な増加を見せた。こうした輸送インフラ の変化も、一つにはシェールオイル開発がもたらした産 業動向の変化の1例であり、原油の生産地が変わったこと

2.

石油輸送インフラの拡充・整備

図4 米国原油フロー(PADD(※図8参照)間移動量)の変化 2008 年 2016 年 出所:DOE/EIA“MovementsbetweenDistricts” 数値は千 b/d 換算 数値は千 b/d 換算

(5)

で、輸送インフラの整備が必須になったという面がある。  しかし、鉄道輸送の増加に伴い、必然的に脱線事故の 増加や、火災事故が起きていることもあり、運輸当局は 原油貨車輸送の規制を検討している。規制案は、耐熱ジャ ケット、耐熱システムがない旧車両は2018年1月までに、 耐熱ジャケットがある旧車両は 2018 年 3 月までに新規 格に適合するように車体の改造、新型化が求められた。 また、耐熱ジャケットのない旧車両の一部は 2020 年ま でに新規格への適合が求められており、着実な規制案が 整備され、既に着手されている。

3.

原油輸出解禁

 米国の原油生産量は、1970 年には 964 万 b/dを記録 した。その後、本土 48 州の生産減により 2008 年には 500 万 b/dまで減少した。こうした減産基調のなかで、 米国政府は、第1次石油危機直後の1975年以来40年間、 原油輸出を禁止してきた。  この間、原油生産量は大幅に減少したものの、今世紀 に入ってからはシェール革命により、2008 年以後原油 生産は急増し、2015年には942万b/dと1970年代の水 準に回復した。 (1)経緯  米国は第 1 次石油危機後の 1975 年、エネルギー供給 対策の一環として米国産原油輸出を原則禁止し、カナダ 向けの軽質油などに限って例外的に輸出を承認してき た。米国の原油輸出は、表2に見るとおり、ほとんどが カナダ向けであった。  今世紀に入りシェールオイル増産を基軸とする原油増 産のなかで、原油輸出の解禁が議論されることになり、 そのための最終局面の議論が、2015年12月に行われた。  解禁に先立ち発表されたEIAの9月報告書の分析によ ると、米国が原油輸出を解禁した場合、エネルギー価格 の動向によっては 2025 年時点の米国内の原油生産が解 禁しない場合に比べて価格は 3.5%押し上げられ、原油 輸出も促進される。また米国の業界関係者は買い手の需 要に応じて生産量は増えると分析した。さらに、原油輸 入を増やしている中国は米国企業にとって有力な市場に なるが、中国輸入原油の 60%を供給する OPEC加盟国 との取引は長期契約が中心であり、OPEC各国はそう簡 単に中国市場を米国企業に譲らない以上、競争の激化が 予想されるとの分析も見られた。  しかし、一方では米国企業にとっては足元の原油価格 の水準では輸送費をかけて輸出しても採算割れになる可 能性があるとの見方もあった。  日本としては、2014 年 11 月に 5 万 kℓ、2015 年 9 月 に 4 万 7,000kℓと単発的な輸入実績があったとはいえ、 性状的に日本の石油製品需要構成には軽過ぎるため、そ れ程多くは輸入されないと見る専門家が多かった。 表1 米国原油フロー(PADD 間移動量)の変化 出所:DOE/EIA“MovementsbetweenDistricts” From to 2 0 0 8 年(千 b/d) 2 0 1 6 年(千 b/d)

PADD I PADD Ⅱ PADD Ⅲ PADD Ⅳ PADD Ⅴ PADD I PADD Ⅱ PADD Ⅲ PADD Ⅳ PADD Ⅴ PADDI パイプライン 13 4 2 タンカー 27 1 2 PADDⅡ パイプライン 7 0 54 45 7 949 236 タンカー 9 0 11 11 23 鉄道 158 42 133 PADDⅢ パイプライン 9 1,479 7 793 タンカー 12 29 2 鉄道 0 2 PADDⅣ パイプライン 165 7 0 549 13 鉄道 2 37 1

(6)

(2)2015年12月の議論  こうしたなかで、2016 会計年度(2015 年 10 月~ 16 年9月)の暫定予算が2015年12月16日に期限を迎える ことを受け、与野党が予算協議を続ける途中で、共和党 は、予算法案とセットで原油輸出解禁法案を審議するよ う民主党に要求した。  解禁法案に対して民主党は原油輸出を認めれば石油の 増産につながり、地球温暖化対策に逆行するとして反対 してきた。しかし、太陽光・風力発電の税額控除の5年 間延長措置など、オバマ政権が進める環境対策を予算案 に盛り込むことを条件に、原油輸出解禁を認めることで 折り合うこととした、と報じられた。  原油輸出解禁措置の短期的影響に関しては、国内の シェールオイル増産で積み上がった在庫が輸出に回ると 見られるため、当時下落基調にあったブレント原油相場 を一層弱含みに導くことが懸念された。解禁により、米 国はカナダ以外にも原油を輸出できるようになり、主要 産油国との販売競争が一層激しくなる。日本の関係者の 間では、調達先の多様化を歓迎し、原油価格の一層の低 下への期待が大きかった。  原油輸出解禁後、輸出は徐々に増加した。既述のとお り、カナダへの輸出は例外的に認められてきたため、統 計上はこれまでカナダへの輸出がほとんどであった。 2016 年の米国の原油輸出量はカナダを除くと 21 万 9,000b/dを記録した。輸出先は、欧州向けと南米向け が中心である。欧州向けは、価格差を目的にしたトレー ディングで欧州に買われるパターンが多く、国別にはオ ランダ、イタリア、イギリスへの輸出が恒常化しつつあ る。アジアでは中国、シンガポール、韓国、日本への輸 出実績が見られた。  2016 年の原油輸出実績を月別に見ると、5 月にはカ ナダ以外の国への輸出がカナダへの輸出を上回る展開を 見せた。カナダへの輸出は 30 万 b/d水準をほぼ維持し ているが、5 月に続き、9 月、12 月にカナダ以外への輸 出がカナダ向け輸出を上回ったことが注目された。  2017年に入ると、2月の米国の原油輸出量はトレーダー 推計で 70 万~ 90 万 b/dになる見通しであると報じられ た* 4。また、EIAは、原油輸出の増加は、過去 2 年にわ たり相場を圧迫してきた国内原油在庫の削減に役立つと 予想した。その際、トレーダーは輸出カーゴの大半はア ジア向けで、中国や日本、シンガポールに輸出される他、 欧州や中南米にも振り向けられると見ている。米国産原 油に対する北海ブレント原油のプレミアムが約1年ぶり の高水準となっており、米国産原油の価格面での優位性 が高まっている。アジア市場の指標となる中東産ドバイ 原油との価格差も広がり、東アジアで裁定取引の機会が 原油 輸出量 カナダうち、 カナダ以外 カナダ以外の国の内訳 オランダ キュラソー イタリア 中国 イギリス シンガポール 韓国 コロンビア 日本 ペルー その他 2011年 47 46 1 1 2012年 67 67 0 0 2013年 134 133 1 1 0 2014年 351 331 20 3 1 2 2 12 2015年 465 427 38 5 4 1 3 25 2016年 520 301 219 38 30 21 23 16 11 11 10 8 7 51 2016年1月 364 326 38 18 20 2月 374 275 99 36 17 18 17 11 0 3月 508 249 259 20 75 33 44 87 4月 591 324 267 29 90 17 18 113 5月 662 308 354 110 67 23 16 36 16 29 11 46 6月 383 280 103 17 37 13 36 7月 474 415 59 32  27 8月 657 329 328 101 17 37 32 22 21  33 65 9月 692 243 449 46 17 81 23 99 59 33 13 78 10月 491 313 178 47 22 17 28 16 10 13 25 11月 597 351 246 32 22 76 16 8 42 17 12 21 12月 442 196 246 35 36 21 63 40  26 25 表2 米国の国別原油輸出量の推移(千 b/d) 出所:DOE/EIA“U.S.ExportsofCrudeOil”各号より作成

(7)

生まれている*5

4.

シェール革命の原油輸入への影響

(1)シェール革命以前の米国の国別原油輸入パターン  米国の原油はどこから供給されてきたか、振り返って みる。シェール革命以前の国別原油輸入パターンを見る と、2005 年ではカナダが最大の供給国で、以下、メキ シコ、サウジアラビア、ベネズエラの順で、その上位 4 カ国からの輸入が6割を占めていた。  原油輸入総量に占める上位4カ国の輸入シェアの推移 は、以下のとおりである。 上位4カ国シェア 2000年 2005年 2010年 2015年 2016年 59.6% 58.0% 55.5% 77.2% 72.1% 図5 米国の原油国別輸入量と構成比の推移 出所:DOE/EIA“U.S.ImportsbyCountryofOrigin”各号より作成 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 1 9 7 3 1 9 7 5 1 9 7 7 1 9 7 9 1 9 8 1 1 9 8 3 1 9 8 5 1 9 8 7 1 9 8 9 1 9 9 1 1 9 9 3 1 9 9 5 1 9 9 7 1 9 9 9 2 0 0 1 2 0 0 3 2 0 0 5 2 0 0 7 2 0 0 9 2 0 1 1 2 0 1 3 2 0 1 5 千b/d 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1 9 7 3 1 9 7 5 1 9 7 7 1 9 7 9 1 9 8 1 1 9 8 3 1 9 8 5 1 9 8 7 1 9 8 9 1 9 9 1 1 9 9 3 1 9 9 5 1 9 9 7 1 9 9 9 2 0 0 1 2 0 0 3 2 0 0 5 2 0 0 7 2 0 0 9 2 0 1 1 2 0 1 3 2 0 1 5 % 非OPEC その他OPEC その他ペルシャ湾岸諸国 からの輸入量 イラクからの輸入量 イランからの輸入量 サウジからの輸入量 年 年 非OPEC その他OPEC その他ペルシャ湾岸諸国 からの輸入量 イラクからの輸入量 イランからの輸入量 サウジからの輸入量 輸入量 構成比

(8)

(2)シェール革命の原油輸入パターンへの影響  シェール革命の進行当初は、産油国のなかにはシェー ル革命に警戒感を示す国がある一方、限定的な影響しか 受けていないため、石油供給増を石油時代の延長の文脈 で歓迎する国があった。前者にはナイジェリアやアル ジェリア等が該当し、後者にはサウジアラビアやク ウェート等が該当した。  実際には、こうしたスタンスの違いには米国への輸出 量の増減が背景にあった。シェール開発で新たに市場に 供給され出したのは西アフリカ原油と競合する低硫黄軽 質原油(タイトオイル)であり、重質油生産国とは直接的 な競合は生じていなかったからである。  2009 ~ 2016 年の米国の石油輸入量の増減を米国の 主要輸入国に関して見ると、サウジアラビアの対米輸出 量はむしろ増えているのに対し、ナイジェリアからの輸 出量は激減した。2012 年に関しては、米国全体の石油 輸入量が減少するなかで、サウジアラビアやクウェート からの輸入量は逆に増加した。実際の原油取引では、ナ イジェリアはインドなどのアジア諸国へ輸出先をシフト した。その結果、同国のインドへの原油輸出量は 2013 年5月、対米原油輸出量を上回ることになった。軽質原 油生産国が従来とは異なる販売促進努力を求められるよ うになったのも、シェール革命のもたらした副次的効果 である。  原油性状の点からは、カナダの重質油の輸入が増えた ことは、タイトオイルの増産と競合しなかった点が重要 である。  その結果、米国ではカナダ原油受け入れのため、製油 所能力の増強が図られた。特に PADDⅡ、PADDⅢの 製油所では常圧蒸留装置の増強と2次装置の建て替えが 進行した。 0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 その他 ベネズエラ カナダ メキシコ サウジアラビア 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 1980 1990 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 198019902000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 千b/d % その他 ベネズエラ カナダ メキシコ サウジアラビア 年 年 図6 米国の原油輸入先上位4カ国からの輸入の推移 出所:DOE/EIA“U.S.ImportsbyCountryofOrigin”各号より作成 上位 4 カ国からの原油輸入量の推移 上位 4 カ国からの原油輸入割合の推移

(9)

5.

精製部門におけるダイナミズムの進展

(1)精製能力の増強  米国の石油産業は、オバマ政権時代、上流部門のみな らず、精製部門を中心に下流部門でもダイナミックな動 きを見せた。シェール革命の結果、上流部門の動きが活 発になったことに加え、下流部門では精製設備の増強が 図られた。表3のとおり、米国全体で精製能力(稼働中) は、2000年平均の1,625万BPSDから2016年平均には1,814 万BPSDに、189万BPSD増加した。  地域別には石油行政区画(PADD)別に、PADDⅢだ けで2000年以後200万BPSD以上増加し、PADDⅡで も25万BPSD増加した。このPADDⅡの製油所の増強は、 カナダからの原油輸入増が背景にある。PADD別には、 PADDⅠおよびPADDⅤ(西海岸地域)の製油所能力は 縮小均衡で推移している。また、PADD Ⅳは、シェー ルオイルの生産を背景に 2000 年以後、製油所能力は増 加した。  2010 年以降、米国の製油所の稼働率は、季節変動は あるものの80 ~ 90%と常時高稼働率を維持した。なお、 米国のPADD区分は、図8のとおりである。  0 50 100 150 200 250 300 350 カナダ サウジアラビア ベネズエラ ナイジェリア アンゴラ 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 (40) (30) (20) (10) 0 10 20 30 40 カナダ サウジアラビア ベネズエラ ナイジェリア アンゴラ 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 年 万b/d 万b/d 年 図7 主要国からの原油輸入量(2009 ~ 2016 年) 出所:DOE/EIA“U.S.ImportsbyCountryofOrigin”各号より作成 原油輸入量の推移 前年比増減量の推移

(10)

PADD

Ⅰ PADDⅡ PADDⅢ PADDⅣ PADDⅤ 米国計 2000年 (平均) 1,608 3,620 7,476 533 3,014 16,251 2005年 (平均) 1,672 3,563 7,822 589 3,118 16,764 2010年 (平均) 1,266 3,653 8,425 619 2,948 16,911 2015年 (平均) 1,250 3,820 9,272 644 2,838 17,824 2016年 (平均) 1,254 3,873 9,543 672 2,795 18,137 2000年か らの増減 -354 253 2,067 139 -219 1,886 2010 年か らの増減 -12 220 1,118 53 -153 1,226 表3 米国のPADD別精製能力(稼働中)の推移 出所:DOE/EIA“RefineryUtilizationandCapacity”各号より作成 図8 米国の石油行政区画(PADD) 出所:DOE/EIA“PADDMap” 千BPSD 223 141 0 50 100 150 200 250 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 1985198719891991199319951997199920012003200520072009201120132015 精製能力 製油所数 製油所数(箇所) 精製能力(百万b/d) 年 図9 米国の精製能力と製油所数の推移 出所:DOE/EIA“RefineryUtilizationandCapacity”“RefineryCapacityReport”より作成 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 100 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 19 85 19 86 19 87 19 88 19 89 19 90 19 91 19 92 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 20 04 20 05 20 06 20 07 20 08 20 09 20 10 20 11 20 12 20 13 20 14 20 15 20 16 精製能力(百万b/d) 精製能力 稼働率(%) 稼働率(%) 年 図10 米国の精製能力と稼働率の推移 出所:DOE/EIA“RefineryUtilizationandCapacity”“RefineryCapacityReport”より作成

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 2016 年 6 月 22 日の DOE資料* 7によれば、2016 年初 現在、米国では 139 の製油所が稼働している。2015 年 には、Petromaxのヒューストン製油所(能力25万b/d) とBuckeyePartnersLPのコーパスクリスティー製油所 の2製油所が運転を開始した。  同資料は、製油所群のなかで、最も重要な装置を保有 する最新鋭の製油所は、1977年に操業を開始したガリー ビル製油所(ルイジアナ州)であるとしている。同製油所 の当初の能力は 20 万 BPCDであったが、2016 年には 57万4,000BPSD(53万9,000BPCD)の能力を持つに至っ た。  同製油所に限らず、米国の製油所はこの間、常圧蒸留 装置の増強や2次装置の拡張・アップグレーディングに よって対応能力を高めてきた。  DOEレポートは、その一例として2012年からアップ グレーディングに取り組んだ Motiva社のポートアー サー製油所を紹介している。同製油所は、能力は 2016 年初に63万5,000BPSDに増強された。  両製油所の装置構成は右表のとおりである。  2016 年 6 月 22 日の DOEレポートによれば、主な製 油所のアップグレード状況は表4のとおりである。これ によれば、2 次装置の増強・アップグレードの流れとと もに、シェール革命に対応した新規立地の流れも跡付け られる。同表中、2015年に稼働したディクソン製油所は、 バッケン・シェールによる新規原油生産増に対応してい る。  表 5 は、オバマ政権時代における PADD別の製油所 能力の比較である。製油所数は150から休止中の2製油 所を含め 141 に減少した。なかでも、PADDⅠの閉鎖 製油所数は6カ所、PADDⅤは同3カ所が閉鎖されたが、 PADDⅡ、PADDⅢ、PADDⅣでは製油所の総数に変 化はなかった。しかし、精製能力は PADDⅡで 7%、 PADDⅢで14%、PADDⅣ(ロッキー山脈地域)で9%増 強されたことに加え、2 次装置の装備率も PADDⅡで 50.7%が 53.4%、PADDⅣで 47.2%が 50.0%にそれぞれ 上昇した(PADDⅢは60.3%を維持)。  このことは、米国の製油所の操業上の弾力性がさらに ガリービル製油所 ポートアーサー製油所 操業会社 Marathon Motiva 常圧蒸留装置 (539,000BPCD)574,000BPSD (603,000BPCD)635,000BPSD 減圧蒸留装置 297,000BPSD 331,800BPSD ディレードコーカー 93,500BPSD 164,500BPSD 接触分解装置 138,000BPSD 90,000BPSD 水素化分解装置 117,000BPSD 82,000BPSD 接触改質装置 128,000BPSD 129,500BPSD 溶剤脱瀝装置 38,000BPSD ― (注)両製油所ともに、上記の他に、ナフサ用、ケロシン用、ガスオイ ル用、重質ガスオイル用水素化脱硫装置を保有している。 稼働開始 時期年 製油所名 所在州 当初所有者 当初能力BPCD* 6 現行所有者 現行能力BPCD 拡張率(倍) 1975 コーパスクリスティー テキサス Saber 15,000 Valero 293,000 19.5 1977 クロッツ・スプリング ルイジアナ GoldKing 5,000 Alon 80,000 16.0 1977 ガリービル ルイジアナ Marathon 200,000 Marathon 539,000 2.7 1978 レイクチャールズ ルイジアナ Calcasieu 6,500 Calcasieu 89,000 13.7 1979 ノーススロープ アラスカ ARCO 13,000 BPExploration 10,500 0.8 1979 ビックスバーグ ミズーリ Ergon 10,000 Ergon 23,000 2.3 1980 ウィルミントン カリフォルニア Huntway 5,400 Valero 6,300 1.2 1986 プルドーベイ アラスカ ARCO 12,000 ConocoPhillips 15,000 1.3 1987 ノースポール アラスカ PetroStar 6,700 PetroStar 19,700 2.9 1992 エリー ネバダ PetroSource 7,000 Foreland 2,000 0.3 1993 バルデス アラスカ PetroStar 26,300 PetroStar 55,000 2.1 1998 ガグラス アラバマ GoodWay 4,100 GoodWay 4,100 1.0 2008 ダグラス ワイオミング InterlineResources 3,000 AntelopeRefining 3,800 1.3 2015 ガレナパーク テキサス KinderMorgan 42,000 KinderMorgan 84,000 2.0 2015 ディクソン ノースダコタ DakotaPrairieRefining 19,000 DakotaPrairieRefining 19,500 1.0 2015 ヒューストン テキサス PetromaxRefining 25,000 PetromaxRefining 25,000 1.0 2015 コーパスクリスティー テキサス BuckeyePartners 46,500 BuckeyePartners 46,250 1.0 表4 米国主要製油所のアップグレーディング状況 (注)拡張率は、当初能力に対する倍率。 出所:DOE/EIA“WhenwasthelastrefinerybuiltintheUnitedStates?”

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改善されたことを示している。表6は、2009年と2016 年のPADD別製油所数と精製能力、2次装置装備率の比 較である。また、図 11 は、2016 年初現在の製油所の 所在地と同地域から消費地までを結ぶ石油製品パイプラ イン網である。 (2)品質問題への対応  本項では、オバマ政権時代に取り上げられた石油製品 の品質関連問題のうち、再生可能燃料基準と自動車燃費 規制を取り上げる。   オ バ マ 政 権 時 代 の 再 生 可 能 燃 料 基 準(RFS: RenewableFuelStandard)と再生可能燃料使用義務量 (RVO:RenewableVolumeObligation)の推移は、表7 に示すとおりである。  RFSは、2007 年に制定されたエネルギー独立安全保 障法(EISA:EnergyIndependenceandSecurityAct)*8 で導入された。その当初目標は、2008年に90億ガロン (1米ガロン=0.024bbl換算で2億1,600万bbl)に置かれ、 地域 区分 製油所所在州 製油所数 常圧蒸留装置 2 次装置 稼働中 休止中 合計 稼働中 休止中 稼働能力 熱分解 FCC 水素化分解 2 次装置計 装備率 箇所 箇所 箇所 BPSD BPSD BPSD BPSD BPSD BPSD BPSD % PADD Ⅰ デラウエア 1 0 1 190,200 0 190,200   ニュージャージー 3 0 3 460,000 35,000 495,000 ペンシルベニア 4 0 4 644,800 - 644,800 ウエストヴァージニア 1 0 1 23,000 - 23,000 小計 9 0 9 1,318,000 35,000 1,353,000 81,500 503,500 45,300 630,300 46.6 PADD Ⅱ イリノイ 4 0 4 1,000,200 23,000 1,023,200     インディアナ 2 0 2 458,800 - 458,800     カンザス 3 0 3 355,000 355,000     ケンタッキー 2 0 2 298,300 298,300     ミシガン 1 0 1 144,000 144,000      ミネソタ 2 0 2 436,800 436,800      ノースダコタ 2 0 2 94,600 94,600     オハイオ 4 0 4 618,000 618,000     オクラホマ 5 0 5 547,247 547,247     テネシー 1 0 1 195,000 195,000     ウィスコンシン 1 0 1 50,000 50,000     小計 27 0 27 4,197,947 23,000 4,220,947 577,185 1,354,913 322,200 2,254,298 53.4 PADD Ⅲ アラバマ 3 0 3 140,500 0 140,500           アーカンソー 2 0 2 92,700 0 92,700           ルイジアナ 18 0 18 3,504,355 0 3,504,355           ミシシッピ 3 0 3 397,500 0 397,500           ニューメキシコ 2 0 2 141,000 0 141,000           テキサス 29 0 29 5,841,700 0 5,841,700           小計 57 0 57 10,117,755 0 10,117,755 1,636,180 3,151,350 1,309,400 6,096,930 60.3 PADD Ⅳ コロラド 2 0 2 110,500 0 110,500     モンタナ 4 0 4 212,400 10,000 222,400     ユタ 5 0 5 193,100 - 193,100     ワイオミング 5 1 6 189,400 4,500 193,900     小計 16 1 17 705,400 14,500 719,900 89,800 215,010 54,800 359,610 50.0 PADD Ⅴ アラスカ 5 0 5 183,500 - 183,500     カリフォルニア 17 1 18 2,006,000 90,000 2,096,000     ハワイ 2 0 2 152,000 - 152,000     ネバダ 1 0 1 5,000 - 5,000     ワシントン 5 0 5 659,500 - 659,500     小計 30 1 31 3,006,000 90,000 3,096,000 598,600 903,100 585,900 2,087,600 67.4 米国合計 139 2 141 19,345,102 162,500 19,507,602 2,983,265 6,127,873 2,317,600 11,428,738 58.6 表5 PADD 別・州別製油所数と主要装置設備能力 出所:DOE/EIA“RefineryCapacityreport”(2016 年 6 月)

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順次、引き上げられ、2013 年 165 億 5,000 万ガロン、 2022年360億ガロンに置かれた。  しかし、オバマ政権時代においては、バイオ燃料の混 合義務量が法律で制定され、混合義務量に続き、自動車 燃費の基準が引き上げられた。燃費基準が改善すること によってガソリンの販売量全体が減り、バイオ燃料の混 比率が高まるものの、技術的な問題や安全面の理由で、 混合可能な比率には上限がある。したがって、石油会社 としては混合義務が課されても、技術上、安全上履行で きないという問題が惹じゃっき起された。   こ う し た 問 題 を 踏 ま え、2013 年 11 月 15 日、EPA (EnvironmentalProtectionAgency:米環境保護庁)は 2014 年に適用される RFS義務量を発表した(表 7 修正 基準を参照)。EPAは大気浄化法に基づき、毎年 RVO 実行数量を決定するが、2014年修正案では、2007年に 制定された基準を総量では下回る内容となった。従前、 地域区分 製油所数 稼働能力(BPSD)* 9 2009 年初比 2 次装置計(BPSD) 2009 年初比 装備率(%) 2016年初 PADD Ⅰ 9 1,353,000 △ 26% 630,300 △ 31% 46.6 PADD Ⅱ 27 4,220,947 7% 2,254,298 12% 53.4 PADD Ⅲ 57 10,117,755 14% 6,096,930 14% 60.3 PADD Ⅳ 17 719,900 9% 359,610 15% 50.0 PADD Ⅴ 31 3,096,000 △ 8% 2,087,600 △ 4% 67.4 米国計 141 19,507,602 4% 11,428,738 6% 58.6 2009年初 PADD Ⅰ 15 1,817,700 - 916,500 - 50.4 PADD Ⅱ 27 3,953,246 - 2,004,350 - 50.7 PADD Ⅲ 57 8,881,962 - 5,355,405 - 60.3 PADD Ⅳ 17 660,700 - 311,946 - 47.2 PADD Ⅴ 34 3,367,700 - 2,164,800 - 64.3 米国計 150 18,681,308 - 10,753,001 - 57.6 表6 PADD別製油所数と精製能力、2次装置装備率の比較 出所:DOE/EIA“RefineryCapacityreport”(2016 年 6 月)他 サンフラン シスコ ロサンゼルス デンバー シアトル エドモントン カルガリー ヒューストン オタワ シ カ ゴ ボストン ニューヨーク フィラデルフィア 製油所 石油製品パイプライン 図11 製油所所在地と石油製品パイプライン 出所:DOE/EIA“U.S.EnergyMappingSystem”より作成

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セルロース系バイオ燃料で 2010 年義務量が設定されな かったことなど、RVOが当初目標値を下回ることはあっ たが、2014 年修正基準では総量が前年の 165 億 5,000 万ガロンから162億8,000万ガロンに下方修正された。  2016 年大統領選挙後、トランプ次期大統領に対し、 自動車産業は自動車燃費基準の緩和を申し入れる一方、 石油産業はバイオ燃料の混合義務量の引き下げを申し入 れており、本件に関するトランプ政権の対応が注目される。 (3)燃費規制(CAFE)の推移  1975 年 に エ ネ ル ギ ー 政 策 法 が 制 定 さ れ、 1978 年から企業別平均燃費規制(Corporate AverageFuelEconomy:CAFE)が導入された。 その後の展開としては、1980 年代半ばから 2000 年代半ばまでは乗用車と小型トラックの 燃費の目標値は27.5マイル/ガロン(11.7km/ℓ) 程であった。  米国における燃費規制は、EPAの国家道路 交 通 安 全 局(NHTSA:NationalHighway TransportationSafetyAdministration)で実施 されている。2012年10月に成立した法案では、 2017 ~ 2025 年型車に関し、最終年度である 2025年までに乗用車と小型車について第3段階 の乗用車燃費規制が適用され、本規制によって 2015 年には乗用車の平均燃費で少なくとも 14.5km/ℓ (34.1 マイル /ガロン)に改善すると見込まれている。 2016 ~ 2020 年にかけては 30 %程度厳しい 20km/ℓを 目標とする第4段階の規制導入が提案されている。  米国ではカリフォルニア州におけるZEV*11規制への 対応が注目されることが多いが、全米規模で見ればこう した車両の販売台数は1 %にも満たず、CAFE方式にお ける全体の平均燃費への寄与は大きくない。その結果、 DOEによれば、燃費規制は以下のとおり改善は遅れて いる。 図12 乗用車の平均燃費の推移 出所:DOE/EIA“MonthlyEnergyreview” 0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 1970 1980 1990 1995 2000 2005 2010 2015 マイル/ガロン 年 年 再生可能燃料 (10億ガロン) 先進型バイオ燃料(10億ガロン) 在来型バイオ燃料 (10億ガロン) 合計 うち、セルロースベース うち、 バイオディーゼル

EISA2007 修正 EISA2007 修正 EISA2007 修正 EISA2007 修正 EISA2007 修正 2008 9.00 9.00     9.00 2009 11.10 10.50 0.50 10.50 2010 12.95   12.00   0.10 0.0000 0.65 12.00 2011 13.95   12.60   0.25 0.0000 0.80 12.60 2012 15.20   13.20   0.50 0.0000 1.00 13.20 2013 16.55   13.80   1.00 0.0000 1.28 13.80 2014 18.15 16.28 14.40 13.61 1.75 0.0330 1.63 14.40 13.61 2015 20.50 16.93 15.00 14.05 3.00 0.1230 1.73 15.00 14.05 2016 22.25 18.11 15.00 14.50 4.25 0.2300 1.90 15.00 14.50 2017 24.00 19.28 15.00 14.80 5.50 0.3110 2.00 15.00 14.80 2018 26.00 15.00 7.00 2.10 15.00 2019 28.00 15.00 8.50 15.00 2020 30.00 15.00 10.50 15.00 2021 33.00 18.00 13.50 15.00 2022 36.00 21.00 16.00 15.00 表7 再生可能燃料基準(RFS)と再生可能燃料使用義務量(RVO)*10の推移(実績と見込み) (注)EISA2007 は、エネルギー独立安全保障法(EISA2007)で規定された再生可能燃料基準(RFS)。2014 年、2015 年、2016 年基準は、2013 年 5 月 29 日に最終修正。2018 年基準は、2016 年 11 月 23 日に最終修正。 出所:EPA 資料より作成

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6.

新政権の課題

 2017 年 1 月 20 日、米国トランプ政権が始動した。新 大統領は選挙期間中石油・ガス開発のための連邦保有地 や沖合鉱区の開放を含む資源確保策を訴え、また、革新 的な開発技術に不要な規制の取り消しを主張したため、 米国石油・ガス産業界は新大統領の登場を歓迎している。  そのトランプ大統領は、1月20日就任後1週間のうち に14本の大統領令(8本の大統領覚書を含む)に署名した。  大統領令とは、大統領が議会の承認を得ることなく連 邦政府や軍に直接発令することができる権限のことであ る。厳密には「大統領令(ExecutiveOrder)」の他に、「大 統領覚書(PresidentialMemorandum:大統領によって 行 わ れ る 執 行 行 為 の 一 形 態 )」 と「 大 統 領 告 示 (PresidentialProclamation:大統領によって発せられる 布告)」があるが、本稿では「大統領令」として括くくることと した。合衆国憲法は、権限の範囲を明確に規定していな いが、議会を通さずに政策を実現する有力な手段である。  一方、議会はこれに反対する法律をつくることで大統 領令に対抗できるほか、最高裁判所は違憲判断を示すこ とができ、立法、司法、行政三権のバランスが図られる。 オバマ政権時代は議会の過半数を野党の共和党が占める ねじれ状態にあったため、オバマ大統領はさまざまな大 統領令を発して議会に対抗した。ちなみにオバマ大統領 が任期中に出した大統領令は277本に上った。  トランプ大統領が就任後、1 週間で署名した大統領令 6 本と大統領覚書 8 本を順不同で列挙すれば、以下のと おりである。  〇メキシコ国境に通過不可能な壁の建設  〇医療保険制度改革(オバマケア)の見直し  〇TPPからの離脱  〇インフラ整備のための環境再評価  〇米国内の治安強化  〇政府職員の雇用凍結  〇難民・移民の受け入れ停止  〇米軍再編  〇人工妊娠中絶支援団体への助成禁止  〇国内製造業の許認可の簡素化  〇閣僚の連絡の徹底管理  〇原油パイプライン建設推進(キーストーンXL)  〇原油パイプライン建設推進(ダコタアクセス)  〇原油パイプライン建設推進(その他)  就任後1週間で14本出された大統領令のうち3本は原 油パイプライン建設計画に関するものであった。オバマ 政権時代には、キーストーンパイプラインの短縮(キー ストーン XLパイプライン計画)が検討されてきたが、 環境問題を考慮してオバマ大統領は最後まで許可を与え なかった。原油パイプラインでは、ノースダコタ州とイ リノイ州を結ぶ総延長 1,886kmのダコタ・アクセス・ パイプライン計画もオバマ政権にルートの見直しが求め られた。  これらの計画をめぐる争点は、同計画の環境への影響 である。まず直接的には油流出の可能性が指摘された。 特に、キーストーン XLはアメリカ最大級の湿地、ネブ ラスカ州のサンドヒルズを含むオガララ帯水層の中心部 を横切ることが重視された。一方、ダコタアクセスは建 設予定地の一部に住む先住民グループが水資源への影響 から反対運動を続けてきた。ダコタアクセスは、米国の パイプライン事業者である EnergyTransferPartners が計画したノースダコタ州バッケン鉱床からサウスダコ タ、アイオワ州を経由してイリノイ州を結ぶ、全長 1,886kmの原油パイプラインである。  同計画に対しては州政府の建設許可取得後も原油流出 による環境汚染の懸念から農民のみならず多くの先住部 族が反対し工事の差し止め請求が行われた。連邦控訴裁 判所は、2016 年 9 月に、建設許可の過程で先住部族の 意見が十分に考慮されたか否か精査するため、着工を見 パトカ スティール シティ ハーディスティ × ヒューストン ネダーランド ス︵ 計画 XL︵計画 スタンレー (オマヘ湖) 既存 図13(1月24日大統領令で計画承認)オバマ大統領が却下した原油パイプライン計画 出所:諸情報から JOGMEC 作成

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合わすよう指示していた。  もう一つの争点は、地球温暖化対策の観点からの化石 燃料の使用抑制である。その点に関しては、石炭火力発 電所の建設阻止のほうが、同パイプラインの建設阻止に 比べてはるかに大きな効果をもたらすとの議論もあっ た。さらに、安全性の問題が提起され、鉄道輸送のほう がパイプライン輸送よりもはるかに危険であるという議 論も行われた。  結局のところ、オバマ政権下ではキーストーン XLの 建設許可は得られず、ダコタアクセスは一部ルートの見 直しが決められた(図13)。  そのようなパイプライン計画に関し、新大統領は、就 任直後の 1 月 24 日、両計画を当初計画どおり実施する とする大統領令に署名した訳である。今後、米国のエネ ルギーインフラは一層変わることが予想されるが、さま ざまな行政レベルにおける個別政策の継続性の要否が議 論の対象となることは避けられない。  要は、オバマ政権下では共和党が多数派を占めた議会 がことごとくオバマ政権の政策を通さなかったために、 同大統領は大統領権限で環境政策やエネルギー政策を進 めざるを得なかったという面がある。しかし、先般、政 権が変わり、新政権が行おうとしているのは、オバマ政 権に対する巻き返し以外の何物でもない。行政レベルに おける政策の継続性がいかに担保されるのか、日本とし ても対岸の火事で済ますことができない問題は多い。

わりに

 本稿では、米国新政権のエネルギー政策・石油政策の 方向、同時に新大統領の大統領令連発の背景を考えるた め、オバマ政権時代の石油産業動向を回顧した。本稿を とりまとめて改めて思うのは、大国の指導者の影響力の 大きさであり、何より指導者の人となり、品格の重要性 である。オバマ前大統領のスピーチには党派を超え、人 をして聞かせるものがあり、われわれのような米国人以 外の聞き手が聞いても心地よい説得力があった。主権国 家の国民が民主的な選挙でリーダーとして選んだ大統領 がどれ程品格を欠いていても、部外者の非米国人が米国 有権者の判断の良否を評価することは越権行為以外の何 物でもないことは承知している。  しかし、大統領本人に品格を求めることができないと しても、グローバル化した世界経済のなかで、超大国米 国の石油産業動向が国際情勢に大きな影響を与えるとす るならば、石油業界の巨大企業の前 CEOの経歴を持つ 新国務長官を含め、筆者は米国石油産業人に対してこそ、 高い志と品格を求めたいと思う。  トランプ大統領は、3月28日、米国産エネルギー生産 に対する制限を撤廃する大統領令に署名した。記者会見 における本人のコメントによれば、政府の介入を転換し 雇用機会を奪う機会を取り消す歴史的な一歩を踏み出す とした。石炭火力発電所から排出されるCO2の排出制限 の見直しや国有地における新たな採掘権の付与検討な ど、オバマ政権の政策をここでも覆す内容となっている。  ここで、考えるべきは大統領令の権限の根拠、同様に 国民の信託を受けた前政権の政策との継続性の要否であ る。大統領権限の源泉が、大統領が国民から直接選ばれ たことにあるのならば、支持率が低迷している大統領の 大統領令の正統性が問われる。支持率が 40 %に満たな い大統領の大統領令が、国内のみならず国際的にも大き な影響を及ぼすことに果たして民主的な正当性は存在す るか、政治学者には格好の研究テーマが提示されたとい うことだろうか。 <注・解説> *1:http://www.nikkei.co.jp/senkyo/us2008/news/20090121u0c1l000_21.html *2:2006年1月ブッシュ大統領一般教書演説 *3:“ShalegroupspinhopesonPermaniaoilrush” FinancialTimes2017年1月20日 *4:2017年2月3日付ロイター電 *5:2017年3月28日 DOE/EIA“UScrudeoilexportswentmoredestinationsin2016”  https://www.eia.gov/todayinenergy/detail.php?id=30532

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執筆者紹介 須藤 繁(すどう しげる) 東京都出身。中央大学法学部卒業。 1973年石油連盟に入局。1982~1985年在サウジアラビア日本国大使館二等書記官。1991~1996年ジェトロ・ロ ンドンセンター石油資源部長。1999年石油連盟退職。(株)三菱総合研究所、(一財)国際開発センターを経て、 2011年より現職。 主な著書:『日本の石油は大丈夫なのか?石油サプライチェーンの再検証』同友館2014年11月      『21世紀のサウジアラビア』明石書店(共訳)2012年7月 趣味は読書。最近、「化石燃料の座礁資産(ストランデッドアセット)化をめぐる議論、より具体的には産油 国による石油資源の座礁資産化回避戦略」に関心を持っています。 Global Disclaimer(免責事項) 本稿は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下「機構」)調査部が信頼できると判断した各種資料に基づいて作成されていますが、機構は 本稿に含まれるデータおよび情報の正確性又は完全性を保証するものではありません。また、本稿は読者への一般的な情報提供を目的と したものであり、何らかの投資等に関する特定のアドバイスの提供を目的としたものではありません。したがって、機構は本稿に依拠し て行われた投資等の結果については一切責任を負いません。なお、本稿の図表類等を引用等する場合には、機構資料からの引用である旨 を明示してくださいますようお願い申し上げます。 *6:製油所の精製能力は、1 日あたりの原油処理能力により表示するのが一般的であるが、表示方法の内 BPCD (barrelpercalendarday)は年間通油量を365日で割った値で表され、装置が定期修理などの理由により稼働 できない期間も考慮に入れた平均通油量を示す。BPCDは年間生産量を問題にするとき等に用いる。 *7:2016年6月22日“WhenwasthelastrefinerybuiltintheUnitedStates?”https://www.eia.gov/tools/faqs/ faq.php?id=29&t=6 *8:2007年12月19日制定。自動車燃費基準の強化、バイオ燃料の生産増を目指す再生可能燃料基準などを導入。 *9:製油所の精製能力表示に関し、BPSD(barrelperstreamday)は1年間の通油量を稼働日数で割った値で表さ れ、運転期間中の平均通油量を示す。BPSDは設備の設計能力を意味する。 *10:EPAPressRelease“EPAFinalizesIncreaseinRenewableFuelVolumes”2016年11月23日  https://www.epa.gov/newsreleases/epa-finalizes-increase-renewable-fuel-volumes *11:ZeroEmissionVehicle。電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の三つを指 す。

参照

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