• 検索結果がありません。

坂 崎 崇 正

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "坂 崎 崇 正"

Copied!
2
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

心理臨床家のアイデンティティ形成過程における一考察 一臨床心理学に対する戸惑いについて‑

人 間 教 育 専 攻 臨 床 心 理 士 養 成 コ ー ス 坂 崎 崇 正

1.問題と目的

近年

r

心Jに 関 す る 関 心 が 高 ま り 心 のケア」や「心の教育」としづ言葉が世に 広がっている。実際に心理学やカウンセリ

ングを学び,カウンセラーを目指す者も増 えている。臨床心理士指定大学院は, 2009  年7月 1日現在,全国で 157校となってお

り,臨床心理士資格試験の近年の受験者数 は,毎年 2000人以上にも上る。

一方,

r

jが強調される社会風潮に対し ての疑問もあり,小沢(2002,2004)は臨床 心理学に対しての疑問と批判を投げかけて いる。前堂 (2005)は,

r

大学で初めて心理 学を学ぶ学生たちは,最初は心理学に対し て実像とは異なるイメージを持っていると 述べ, (中略)中には心理学を学ぶに従い,

イメージのギャップに落胆し,心理学に対 する学問的興味を徐々に失ってし、く場合や,

自分自身の進路選択に対しでも迷いを感じ ている場合もあるj と指摘する。

初心の心理臨床家のアイデンティティ形 成に関する研究は多くあるが,クライエン トやスーパーパイザーとの関係性,心理臨 床家の内的要因に関するものであり,臨床 心理学自体に焦点を当てた研究はない。本 研究では,臨床心理学を学んで、いる大学院 生が,どのように臨床心理学をとらえてい

指導教員 粟飯原良造

るのかという意識の部分を,インタピ、ュー を通して調査し,そのことについて,臨床 心理学の批判的意見を交えて考察を深めて 行くO

2.方法

A大学大学院の臨床心理士養成コースに 所属する修士1年生3名(女性3名),修士 2年生(男性 3名,女性 2名)の計 8名に インタビュー調査を実施した。

質問項目は筆者が独自に作成したもので あり,項目内容は,いずれも臨床心理学を 学ぶ大学院生の意識を調査することを目的 に作成されている。また,補助的な調査と

して,臨床心理学の批判的意見についてど う考えるかということを目的に,インタビ ュー調査協力者全員に,課題レポートを依 頼した。

3.結果と考察

インタビ、ュー調査と課題レポートで得ら れた結果から,臨床心理学を学ぶ大学院生 の意識を,臨床心理学の批判的意見を交え て考察する。ここでは,調査で得た主たる 結 果 と 考 察 を 記 載 す る [ ]はカテゴリー

を表している。

(1)臨床心理学の道を志した理由では,【自

tハU

1E

(2)

己の問題]と【人間関係}が多く,本来の 心理臨床家の目的である, [対人援助】につ いて語られたことは,少なかった口また,

【その他】として,明確な目的を持ってい ない者も見られた。【人間関係】については,

【対人援助}と関わる部分も大きいと考え られるが, [人間関係】では

r

友人を助け たい」というような,自分の身近な人を援 助したいという意見が多かった。

個々の個人的動機は,きっかけとしては 重要であるが,その個人的動機を,心理臨 床家としてクライエントを援助するという 動機に組み替えていく作業が大切である。

(2)臨床心理学に対するイメージでは,イ メージの差はなかったと答えたものはほと んどいなかった。しかも,そのイメージの 変化の多くは, [否定的変化]で、あった。多 くの者が,臨床心理学や心理臨床家に対し て,【万能的】や[良し寸イメージを抱いて おり,その多くのイメージが【否定的変化】

として覆される。これは,過大評価してい た状態から,正当な状態に近付いたと言え るかもしれない

少なくとも,臨床心理学やカウンセリン グは,【万能的}ではないし,そういった過 大評価されたイメージを払拭し,臨床心理 学の実際をクライエント もしくはクライ エントと成り得る人達に伝えていくことは,

心理臨床家や臨床心理学界全体の責任とい える。

(3)臨床心理学に対する思いでは,

心理臨床家を目指す者にとっては,知識 や技法,経験だけでなく,常識,態度,姿 勢といった人間性までが重要となってくる。

つまり,臨床心理学を学ぶと,自然と日常 にも影響がでてくる。【自分自身に関して}

で は 服 装 」 や 「 行 動Jのみならず,内面 である「考え方Jや「悩みの解消」にまで 影響が見られた。また,【人間関係に関して}

では,

r

人に対する接し方」や「人間関係上 での考え方J,また「傾聴や共感といった臨 床心理学の技法の影響Jが見られた。これ らの結果を見ると,臨床心理学,また心理 臨床家としての職業的アイデンティティや 倫理観の影響力の大きさがわかる。

(4)  臨床心理学に対する批判

臨床心理学に対する批判を知っているか という項目では,【知っている】という回答 は多かった。しかし,実際に,臨床心理学 を批判している著書や 文献に触れたこと があるというものはいなかった。その意見 は,臨床心理学を学んでいる上で,自分自 身が抱いていた問題点や,どこかで耳にし たものを,質問を受け,考え,回答したと いう内容のもので、あった。調査結果では,

ほとんどが臨床心理学に対する批判的な考 えについて実際に知ろうとしている者はい なかった。中には【避けている】者もいた。

4.今後の課題

医学や看護学,教育学や福祉学,また,

臨床心理学を批判する声には,共通したも のがあり,それは,

r

人を支えたしリという ものであると筆者は考えた。臨床心理学の 批判的意見もまた,根本にそういった,

r

を支えたしリという思いがある人々からの,

主張であろうO そのことをふまえ考えると,

今後の課題としては,隣接した対人援助関 係の学問領域が,切瑳琢磨,互いに刺激し 合う関係、で,研究や実践を進めていくこと が何より大切ではないだろうか。

‑108 ‑

参照

関連したドキュメント

3 心理社会的支援研究の発刊にあたって

これは次に挙げる2つの理由から分割しないで,連続した学習をさせた方が良いのではな

医師の卒後臨床研修が努力義務に過ぎなかっ た従来の医師養成の過程では,臨床現場の医師 の大多数は,

腹部CT:腹部CTでは、腹部臓器と骨が同時に

 しかしながら,「地域経済の不均等発展」とはいったい何であろうか。そしてまた,これ

(すずき・ちょんじゃ)(たかいし・きょうこ)(たにぐち・ふみあき)(つねい・ちえこ)(ともひさ・しげこ)(ないとう・あかね)(なかざと・ひでき)

間先に述べたさまざまな困難はあったとは言え,本

 ご存じの通り,本年度から歯科医師法が一部 改正され,卒業後1年以上の臨床研修が努力目