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教師特有のピリーフと生徒との心理的距離の関連性

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Academic year: 2021

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教師特有のピリーフと生徒との心理的距離の関連性

中学生の質問紙調査を通して

学 校 教 育 専 攻

生 徒 指 導 コ ー ス 栗 原 正 行

1 ,研究の背景と目的

近年の教育現場を振り返ってみると、様々な 教育問題が生じ、社会的な関心を高めている。

そうした教育の病理現象を考えると、大きく 2 つに分けることができると思う。一つは、学校 教育のシステムやカリキュラムなどの学校の制 度的な問題、つまり学校教育のハード面である。

もう一つは、直接教育を行う教師の生徒に対す る指導行動や態度の問題、つまり学校教育のソ フト面である。これらに関しては、文部省を始 め、中央教育審議会 (1996)や臨時教育審議会 (1985)から様々な答申が出され、こうした歪 んだ教育の病理現象にメスを入れ、各学校にお いて解決の緒を模索する試みが求められている。

そんな中、学校教育の充実を考えると、やはり 学校教育のソフト面の改善が必要ではないかと 着目した。そこでまず、教師特有のビリーフが 生徒にどのような形で表出し、影響を及ぼして いるのかを分析・考察すると共に、それが生徒 と教師との心理的距離とどのような関連性があ るのかを、 2つの立場から考察し明らかにする ことを目的とした。そして、この研究を通して これからの生徒理解と今後の生活指導の在り方 の一助になればと思い、本研究に取り組んだ。

1 ,対象と方法

教師側の対象は、 S県 I市の小・中・高等学校 の教師154名と大学院生の現職97名に48項目 からなる質問紙を用いて2001年 1月から 6月 にかけて調査を実施した。尚、回答の妥当性を検

指 導 教 官 葛 西 真 記 子

討するために、 MMPIの中からK尺度とL尺 度を6項目ずつ本質問紙に加えた。生徒側の対 象は、 S県I市のK中学校新2,3年生 (2年 男子:77名,女子52名, 3年男子:57名,女 子61名)の合計247名を選び、 2001年6月下 旬に質問紙調査を実施した。尚、生徒への質問紙 調査は、オリジナルの質問紙を作成したため、

まずS県 I市のK中学校3年生に予備調査を実 施した。

調査結果の分析は、 ( 1 )教師と生徒との心 理的距離を分析し、 「信頼・親密J因子、 「威 圧・緊張」因子の 2つの下位尺度を得た。それ ぞれの因子に対し、男女差・学年別に t検定を用 いて検討した。 (II)教師特有のビリーフを因 子分析し、 「生徒への教師の管理・生活指導に 関する」因子、 「教師の熱意・使命感および望 ましい生徒の行動・態度に関する」因子、 「教 師と生徒の望ましい関係に関する」因子の3つ の下位尺度を得た。それぞれの因子に対し、現 職と大学院生・男女差に t検定を用いて検討し た。また、校種別・年齢別・教職経験年数別に は分散分析、多重比較

( LS  D)

を行い検討した。

(ill)教師のビリーフが生徒の心理的距離に及 ぼす影響を分析するために、

SD

法による分析 と分散分析、多重比較

( LS  D)

を行い検討し た。

2

,結果と考察

( 1 )生徒の男女別では、男子よりも女子の 方が、教師との関係において信頼や親密の感情

(2)

を高く望んでいた。また、女子は教師に対して 威圧や緊張、不安などの感情も高く抱いている ことがわかった。学年別では、 3年生よりも 2 年生の方が、教師との関係において信頼や親密、

威圧や緊張、不安などの感情を高く抱いている ことがわかった。

( n )

現職と大学院生の現職では、前者の方 が生徒に対する生活指導や望ましい関係づくり、

職務に対する使命感や熱意などの気持ちを、強 く抱いていることがわかった。男女差では、女 性よりも男'性の方が生徒への生活指導や望まし い関係づくり、職務に対する使命感や熱意など の気持ちを、強く抱いていることがわかった。

校種別では、生徒への生活指導や熱意や職務に 対する使命感に関しては、小・中・高等学校と もに差は見られなかったが、生徒への望ましい 関係づくりに関しては、高等学校の教師よりも 小・中学校の教師の方が強く意識していること がわかった。年齢別と教職経験年数別では、生 徒との関わりに対して大きな違いを見ることは で、きなかったが、その時の状況において指導方 法や対応などのテクニックに違いがあると感じ た。

( m )

教師と生徒との心理的距離においては、

学校生活全般を通して、どれだけの熱意や職務 に対する使命感を持って、生徒と望ましい関係 を築こうとすることが重要なポイントを握って いることがわかった。生徒との望ましい関係だ けを強く望んでも、生徒は信頼感や親密感など の感情を抱いておらず、逆にマイナスのイメー ジを感じやすくなってしまうことである。

4

,全体的考察と今後の課題

今回の研究から、生徒が教師に対して感じる 信頼感や親密感、威圧感や緊張感は、教師のビ リーフの持ち方によって大きく左右されること

がわかった。生徒の前で、望ましい関係だけを 強く抱いて指導行動や態度に出しても、生徒と 教師との関係に親しみや信頼は生まれず、逆に 疎遠的になってしまう。また、生徒とあまり近 すぎる友達感覚で接しても、生徒は怖いなどの 緊張感は抱かないどころか親しみや信頼も抱い ておらず、教師としての威厳は少しも感じてい ない。まさに、友達感覚でしか思っていないの である。厳しいだけでもダメであり、優しいだ けでもダメなのである。つまり、形や対面だけ を取り繕っても生徒への影響力はないというこ とである。それよりも、生徒から厳しく恐いと 思われでも熱意や思いやりを大切にし、一本の 筋が通った指導行動・態度を示している方が、

生徒に教師の熱意や思いが伝わり、自然と望ま し い 関 係 が 築 か れ て い く も の で あ る 。 山 下 (1999)や河合 (1992)も述べているように、

教師は生徒に対して依存させたり自立を促した りという両側面、父性と母性という両側面を柔 軟に使い分け、指導や対応をしていくことが必 要であることがわかる。さらに、生徒との望ま しい関係づくりを築いていくなかで、教師自身 が自分を見つめ直し、謙虚さを持ち、常に前向 きに自己改革していく必要性があると考える。

今後の課題として、教師自身の自己改革をす る必要性は当然のように感じている。本研究を 進めてみて感じたことは、新しい心理的距離の 測定尺度の作成、細かなフログラムや資料の提 示が必要不可欠であると感じた。また、教師特 有のビリーフを既存の質問紙を用いて測定した が、ビリーフを静的なものでなく、動的なもの としてとらえると、質問紙以外の使い方や手だ てなど分析方法の工夫も必要であると強く思っ た。

参照

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