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ハット形鋼矢板地下合成壁の頭付きスタッド溶接性確認試験

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Academic year: 2022

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ハット形鋼矢板地下合成壁の頭付きスタッド溶接性確認試験

JFE技研  正会員 ○岡 由剛  JFE技研  正会員  恩田 邦彦 JFEスチール     森 省吾 

1.背景と目的  

 土留壁のハット形鋼矢板と後打ち鉄筋コンクリート造壁を相互に頭付きスタッドで接合することにより一 体となって曲げに抵抗する地下壁構造(以下,ハット合成壁)1)の施工において,スタッド溶接は必然的に横 向溶接となる.横向溶接では溶接中溶融金属が下降し,短絡ある

いは不均一な溶融が起こり,押込み不良,フラッシュの不整,ア ンダーカット等の溶接不良が発生しやすい.この傾向はスタッド 径が太くなるほど溶融金属量が増えるため顕著に現れる.一般に 横向溶接ではスタッド径を 16mm 以下とすることが望ましいとさ れている。しかしハット合成壁では,スタッドを溶接するハット 形鋼矢板のウェブまたはアームの面積が限られており,太径のス タッドを用いないと必要本数の配置が不可能になる場合がある.

またフランジに近接した位置に溶接した場合,磁気吹きが発生す るおそれがある.横向溶接で 16mm を超える太径スタッドの溶接 は溶接機器やアークシールド形状などスタッド溶接メーカーご とのノウハウがあるが,その中の一つである NSW 方式を用いて施 工試験を行い,19mm および 22mm のスタッド径で問題なく横向溶 接が可能であるかを確認した. 

2.試験方法および試験ケース 

  試験は JIS B 1198「頭付きスタッド 附属書 頭付きスタッド の溶接部の試験及び検査」および JASS6「付則 4.スタッド溶接工 技術検定試験」に準じるものとし,ハット形鋼矢板の型式,スタ ッド径,溶接姿勢,フェルールの種類をパラメータとした.試験 ケースおよび試験結果一覧を表 1 に示す.試験体は,図 2 に示す ようにハット形鋼矢板ウェブおよびアームにそれぞれ一列につ き 6 本の頭付きスタッドを溶接し,外観・寸法検査後,半数を曲 げ試験に,残りを切出して引張試験に用いた.曲げ試験はスタッ ド頭部を打撃し 30°まで曲げ,溶接部に割れ,その他の欠陥が 発生しない場合合格とする.引張試験は溶接部以外で破断し,そ の引張荷重が表 2 に示す値である場合合格とした.なおハット形 鋼矢板は,表面状態を実際の状況に近づけるため,一度地盤中に 打設し引き抜いたものを使用した. 

 スタッド溶接に先立ち,各ケースごとに所定の溶接条件においてスタッド 3 本を試験溶接し,外観検査およ び曲げ試験に合格することを確認した.例として D19 および D22 の横向溶接時の溶接条件を表 3 に示す.また 溶接時はスタッド全数について,専用モニタリング装置により表 3 の各項目の値を計測した. 

 キーワード 鋼矢板,合成壁,頭付きスタッド,横向溶接 

 連絡先   〒210‑0855 神奈川県川崎市川崎区南渡田町1番1号 JFE技研株式会社 TEL044‑322‑6592  ハット形鋼矢板

頭付きスタッド 鉄筋

後打ちコンクリート

図1 ハット合成壁の概要

200 250 

1200 

60 40  350  350  40 60 

350  100 100  350  900 

80  80 

150 150 150 150 150 

230 

ハット形鋼矢板10H  頭付きスタッドφ16 L=120mm またはφ19 L=150mm 

80 

80 

引張試験用 曲げ試験用 

図2 試験体(ハット形鋼矢板10Hの場合)

ウェブ

アーム フランジ

3-418 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-835-

(2)

表1 試験ケースおよび試験結果一覧  ケース 鋼矢板

型式

スタッ ド径

溶接 姿勢

フェルール 外観 検査

曲げ 試験

引張 試験

備 考

#1 φ16 標準 N.G. O.K. O.K. 外観検査で1/12中フラッシュ欠け

#2 φ22 横向き用 O.K. O.K. O.K.

#3 標準 N.G. O.K. O.K. 外観検査で2本/12中フラッシュ欠け

#4

φ19

横向き

横向き用 O.K. O.K. O.K.

#5 φ19 標準 O.K. O.K. O.K.

#6

10H

φ22

下向き

横向き用 O.K. O.K. O.K.

#7 φ16 標準 O.K. O.K. O.K.

#8 φ22 横向き用 O.K. O.K. O.K.

#9 標準 N.G. O.K. O.K. 外観検査で5本/12中フラッシュ欠け

#10

φ19

横向き

横向き用 O.K. O.K. O.K.

#11 φ19 標準 O.K. O.K. O.K.

#12

25H

φ22

下向き

横向き用 O.K. O.K. O.K.

 

スタッド径 引張荷重の範囲(kN)  φ16 80.4〜111  φ19 113〜156  φ22 152〜209   

3.試験結果  

 ケース 8 の 1 箇所でスタッドガンの作動不良により打ち直しになっ た以外は、全ての試験体において所定の溶接条件を満足した.また曲 げ試験および引張試験も全ての試験体が合格と判定された.しかし外 観検査では,下向き溶接のすべてのケースと,横向溶接で横向溶接用 フェルールを使用したケースでは全数合格したものの,横向溶接で標 準フェルールを使用したケースでは,一部の試験体において上部にフ ラッシュ欠けが生じ,要補修と判定された.要補修とされた割合は,

スタッド径 16mm のケースで 24 試験体中 1 体,スタッド径 19mm のケー スで 24 試験体中 7 体だった. 

 以上の結果よりハット形鋼矢板 10H および 25H のウェブ部またはア ーム部に頭付きスタッドを溶接する場合,スタッド径は最大 22mm まで 適用可能であることが判った.また横向溶接ではスタッド径が 19mm 以 上の場合,横向溶接用のフェルールを用い適切な施工管理を行うこと で問題なく溶接できることが確認された. 

4.おわりに  

 ハット合成壁において,頭付きスタッドがスタッド径 22mm まで適用 可能なことを施工試験により確認した. 

なお岡山県倉敷市にある製鉄所内のピット工事でハット合成壁が採 用され,スタッド径 16mm の頭付きスタッド約 4800 本を横向溶接し,

補修率は 0.2%だった. 

  参考文献 

  ・恩田邦彦,岡由剛,森省吾:ハット形鋼矢板本体利用合成壁の構 造性能検討,平成 20 年度全国大会第 63 回年次学術講演会投稿中 

表2 引張荷重の範囲

スタッド径 溶接電流 (A)

溶接時間 (sec)

引上げ量 (mm)

溶け込み量 (mm)

短絡時間 (sec) φ19 1400〜1800 0.7〜1.1 2〜4 3〜7 0.1以下 φ22 1600〜2000 0.8〜1.2 2〜5 3〜7 0.1以下

表3 横向溶接時の溶接条件

図3 横向溶接フェルール(NSW方式)

図4 横向溶接

図5 スタッド溶接後の状況

3-418 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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参照

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