メ ジ ャ ー 製 品 」 を 消 費 者 は 好 ん で 選 ぶ 傾 向 に あ る と さ れ る
全文
(2) <目次> 1.. はじめに……………………………………………………………… 3. 2.. 既存研究のレビュー 2.1 制 御 焦 点 理 論 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 2.2 需 要 要 因 の 希 少 性 に よ る 効 果 … … … … … … … … … … … … … 2.3 知 覚 リ ス ク … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 2.4 精 緻 化 見 込 み モ デ ル … … … … … … … … … … … … … … … … … 2.5 予 防 焦 点 的 側 面 の 強 い 製 品 … … … … … … … … … … … … … …. 3 4 5 5 6. 仮説 3.1 仮 説 設 定 の 背 景 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 3.2 仮 説 の 設 定 と 各 構 成 概 念 の 定 義 … … … … … … … … … … … …. 7 8. 調査結果 4.1 ス ク リ ー ニ ン グ 条 件 … … … … … … … … … … … … … … … … … 4.2 質 問 票 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 4.3 サ ン プ リ ン グ … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 4.4 結 果 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … …. 15 15 19 20. 分析と仮説検証の結果 5.1 分 析 時 に お け る 妥 当 性 の 検 討 … … … … … … … … … … … … … 5.2 構 成 概 念 の 測 定 妥 当 性 の 検 討 … … … … … … … … … … … … … 5.3 調 整 変 数 の 測 定 妥 当 性 の 検 討 … … … … … … … … … … … … … 5.4 調 整 変 数 に よ る 分 類 … … … … … … … … … … … … … … … … … 5.5 母 集 団 間 に お け る 構 成 概 念 の 比 較 … … … … … … … … … … … 5.6 多 母 集 団 分 析 ~ 中 心 経 路 お よ び 周 辺 経 路 の 比 較 ~ … … … … 5.7 仮 説 の 検 証 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 5.8 具 体 的 な 製 品 の 選 択 結 果 ( 参 考 情 報 ) … … … … … … … … …. 20 22 35 39 39 43 48 49. 結論 6.1 考 察 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 6.2 意 義 と 今 後 の 課 題 … … … … … … … … … … … … … … … … … …. 51 53. 3.. 4.. 5.. 6.. 謝 辞 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 54 参 考 文 献 … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 55 Appendix… … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … … 57 2.
(3) 1. は じ め に ネガティブな結果を避けるための製品・サービスを購入する場合、多くの消費 者は、有名な製品を選ぶ傾向にある。一例として医療サービス、自動車保険、日 焼 け 止 め ク リ ー ム な ど が あ げ ら れ る 。誤 っ た 製 品 選 択 を す る リ ス ク を 避 け る た め 、 有名な製品がもつ信頼性や実績を重視することがその背景として考えられる。し かし、どの製品市場においても「ニッチ製品」を選択する消費者は存在する。本 論文では、「ニッチ製品」を選択する消費者の購買行動を、制御焦点理論、購入 時の知覚リスク、精緻化見込みモデルの観点から研究を行った。. 2. 既 存 研 究 の レ ビ ュ ー 2.1. 制御焦点理論. Higgins( 1997) が 提 唱 し た 制 御 焦 点 理 論 ( Regulatory focus) に お い て 、 消 費 者 の 目 標 に 対 す る 焦 点 状 態 ( focus) が 、 消 費 者 行 動 に 影 響 を 与 え る と い う 理 論 が 概念化された。制御焦点理論では、消費者が持つ焦点状態には、促進焦点 ( promotion focus)と 予 防 焦 点( prevention focus)の 二 つ が あ る と 提 唱 さ れ た 。 促進焦点では一つの製品の購入に対して、ポジティブな思考における結果に注目 し、反対に予防焦点では、製品を購入する際に、ネガティブな思考における結果 に注目をする。健康食品を例とすると、促進焦点の強い消費者は「健康になるた めの食品」というポジティブな結果との一致を求め、その結果の有無に焦点をあ てる。予防焦点の強い消費者は「病気にならないための食品」という部分に焦点 をあて、「病気になるかもしれない」といったネガティブな結果の有無に焦点を あてる。 促進焦点の強い消費者は、達成したいポジティブな結果を得るために行動する 傾 向 が あ る 。 こ の よ う な 行 動 を 熱 望 戦 略 ( eager strategy) と よ ぶ 。 ま た 、 予 防 焦点の強い消費者は、回避したいネガティブな結果に対して、可能な限りリスク を 避 け る 行 動 を 行 う 。 こ れ を 警 戒 戦 略 ( vigilant strategy) と よ ぶ 。 健 康 食 品 を 例とすると、促進焦点の強い消費者では「健康になる」というポジティブな結果 に対して一致をするような行動をとり、「毎朝、ウォーキングをする」といった 熱望戦略をとる。リスクが発生する可能性は過少に評価し、前向きに行動をする 傾向にある。一方、予防焦点の強い消費者は、「病気になる」というネガティブ な 結 果 を 避 け る 行 動 を と り 、可 能 な 限 り リ ス ク を 避 け る よ う な 回 避 的 手 段 を と る 。 ネガティブな結果である「病気になる」という状態をさけるため、「脂の多い食 事を避ける」、「夜更かしをしない」などの回避的行動である警戒戦略をとりや すい。ネガティブな結果を避けるため、それを達成できないと予想されるような リスクを、可能な限り避ける行動をとる。 Higgins( 1997) が 提 唱 し た 制 御 焦 点 理 論 を も と に 、 Hsuan( 2012) は 促 進 焦 点および予防焦点それぞれの実験協力者において、購買時における行動特性に関 す る 研 究 を 行 っ た 。 Hsuan( 2012) の 実 験 で は 、 予 防 焦 点 の 強 い 消 費 者 は 、 「 需 要 要因の希少性」が購買行動に結びつき、促進焦点の強い消費者は、「供給要因の 希少性」が購買行動に結びつくという結果を示している。「需要要因の希少性」 3.
(4) とは、購入予定製品の供給状態を表す言葉であり、需要要因が希少とは、多くの 人が利用している状態であることを表す。一般には「メジャー製品」、「多くの 人が利用している製品」、「在庫が豊富ですぐに手に入る」といった特長のある 製品が該当する。反対に供給要因が希少である状態は、在庫が希少であり、限ら れた一部の人が利用しており、希少性の高い購入状態であることを表す。一般的 に は ニ ッ チ 製 品 が 該 当 す る 。 Hsuan( 2012) に よ れ ば 、 予 防 焦 点 の 強 い 消 費 者 は 、 リスクを可能な限り避けるという警戒戦略をとるために、多くの人が利用してい る 製 品 を 選 ぶ 傾 向 が あ る と 結 論 づ け て い る 。限 ら れ た 供 給 状 況 に お か れ た 製 品 は 、 予防焦点の強い人にとっては「極端な選択」であり、他の消費者の使用後の感想 や評価といった手かがりが少ない状態である。それゆえに、他の消費者からの評 価を頼りに失敗のリスクを避ける事が難しい。他の多くの消費者が利用していな いという「極端な選択」は、予防焦点の強い消費者が求める警戒戦略とは一致し ない。そのため、多くの人が利用しており、大きなリスクをとらなくても良い、 「需要要因の希少性」の側面が強い製品を選ぶ傾向にある。 促進焦点の強い消費者は、目標を達成するための手段として製品選択を行って いるため、リスクの有無については、予防焦点の消費者と比較し過少に認知する 傾向にある。限定された供給体制である製品を好み、「自分だけのものである」 製品を求める傾向にある。ブランド品を例にあげるとすれば、促進焦点の強い消 費者は、「綺麗になるためのもの」、「ラグジュアリーなイメージを演出する」 といったポジティブな感情をもとに、限定品のブランドバックや、皆が容易に購 入 で き な い 様 な 高 価 な 製 品 を 選 択 す る 。 「 自 分 だ け の も の /自 分 の あ っ た も の 」 と いった「供給要因の希少性」から生まれる効用を前向きに捉える傾向にある。 2.2 需 要 要 因 の 希 少 性 に よ る 効 果 消費者が認知する「需要要因の希少性」の特徴として、マーケット・シェアを 獲得している製品や、実績の多い製品であることがあげられる。マーケット・シ ェアの向上や実績による効果として、ポジティブな知覚効果とネガティブな知覚 効 果 の 両 方 が 存 在 す る 。 恩 蔵 ( 2007) で は ポ ジ テ ィ ブ な 効 果 と し て 、 ラ ー メ ン 屋 台を一例として説明を行っている。混雑しているラーメン屋台と閑散としている ラーメン屋台において、事前に情報を与えられていない消費者を対象とした場合 では、混雑しているラーメン屋台の方がおいしいと認識する傾向にあるとしてい る。これは、混雑状況がおいしさのシグナルとして認識されるためである。実績 が多く、マーケット・シェアが高いことは多くの人が利用している事を表し、そ れがその製品・サービス自体のポジティブなイメージを形成する事につながる。 反面、ネガティブな効果もあり、広く普及をすることで「希少性」、「貴重で ある」といったイメージを低下させる側面もある。高級ブランド品を例にあげる と、供給要因が希少である状況では、「自分にあった唯一のもの」というブラン ド・イメージが形成されやすいが、多くの人が利用している状況では、ブランド の「高品質」、「ラグジュアリー」といったイメージは損なわれる事が多い。そ のため、消費者が「需要要因の希少性」、「供給要因の希少性」のどちらを求め 4.
(5) るかは、製品やサービスの特性、また消費者の特性によって変化することが予想 される。 2.3 知 覚 リ ス ク 消 費 者 が 感 じ る リ ス ク に 関 し て 、Bauer( 1960)が 知 覚 リ ス ク( perceived risk) という概念を提唱した。どのような消費者行動においても、消費者が確実にその 結果を予想することが難しく、またその結果のうちのいくつかは消費者側にとっ て不愉快である場合があり、その観点からはいかなる消費者行動もリスクを含ん で い る と 言 え る ( Bauer 1960)。 消 費 者 が 商 品 を 購 入 す る 際 に は 、 購 入 前 に は 「 期 待する結果が得られるかどうかわからない」といった不確実な部分が少なからず 存在するため、それを購入前のリスクとして消費者が認知する。それを「知覚リ スク」として定義している。 また、知覚リスクは、不確実性と結果の重大性の 2 次元から構成される ( Cuningham 1967)。 不 確 実 性 と は 消 費 者 が 主 観 的 に 感 じ る 、 期 待 さ れ た 結 果 が 得 られないかもしれないという確信の度合いである。結果の重大性とは望ましくな い結果が起こった際に、失われるものである。 消費者が知覚リスクを感じた際には、購買行動を行う・行わないといった判断 を下し、また購買することを決定した際にも、知覚リスクを緩和するための行動 を と る( 藤 村 1991)。田 中( 2012)で は 、旅 行 商 品 の 購 買 時 に お い て 、知 覚 リ ス ク を高く感じる消費者ほど、旅行会社の情報源を参照し、知覚リスクの緩和策をと る傾向にある事が示されている。消費者側に許容できない知覚リスクがある場合 は、リスク緩和策をとり、許容範囲にまでさがった際には、購買行動を行い、許 容できない場合には購買行動を避ける傾向にある。 ま た 、 Schiffman & Kanuk ( 1991) は 、 消 費 者 が 認 識 す る 知 覚 リ ス ク に つ い て 8つに分類している。機能的リスク、物理的リスク、家計的リスク、社会的リス ク、心理的リスク、時間的リスク、機会損失リスク、帰結リスクである。 2.4 精 緻 化 見 込 み モ デ ル 消費者それぞれがもつ特性により異なった知覚リスクを感じるように、受け取 る広告メッセージの認知の仕方や、その後の態度変容も消費者特性により異なる 事 が 示 さ れ て い る 。 代 表 的 な も の に Petty & Cacioppo. ( 1983) が 提 唱 し た 精 緻. 化見込みモデルがある。広告などのメッセージに消費者が触れた際に、どのよう に態度を形成するかについて、消費者側の思考方法の経路を、中心経路と周辺経 路の二つに分類している。 中心経路で態度を決める消費者は、より具体的で専門的な情報を提示された広 告 メ ッ セ ー ジ の 方 が 購 買 行 動 に 結 び や す く 、精 緻 化 さ れ た 解 釈 に よ り 行 動 を 行 う 。 情報の受け手がメッセージの中心部分の内容に対して熟考を行うとする処理経路 である。 反対に、周辺経路を通る消費者は、その広告メッセージのもつ印象やイメージ などの周辺情報が購買行動に結びつく傾向があり、感情的な解釈による行動を行 5.
(6) う。受け手側はメッセージ内容において、本質的ではないイメージや周辺情報を 読み取る傾向にあり、精緻化処理をされていない経路をたどる。 中心経路と周辺経路どちらの経路を通るのかは、消費者側の「関与」の有無と 「 情 報 処 理 能 力 」 の 有 無 が 関 連 し て い る 。「 関 与 」 と は 、 消 費 者 が 与 え ら れ た 情 報 を処理したいという動機の度合いであある。その製品の購入や広告に興味がある 際 に は 関 与 が あ る と い え る 。「 情 報 処 理 能 力 」 と は 、 消 費 者 が 広 告 メ ッ セ ー ジ に 対 して、その内容や用語を理解するための能力をさす。知識が豊富にあり、広告に 記載されている専門用語についても理解が可能な場合には、情報処理能力がある といえる。 パーソナル・コンピュータの購入を例としてあげれば、関与については、対象 機器の購入を具体的に予定している消費者、また日頃から興味があり、対象製品 の 情 報 収 集 を 行 っ て い る 消 費 者 の 場 合 に は 、 関 与 が あ る と 判 断 で き る 。 ま た 、「 パ ー ソ ナ ル ・ コ ン ピ ュ ー タ の 搭 載 機 能 に 関 す る 知 識 」、「 IT に 関 す る 全 般 知 識 」 が 情 報処理の代表例としてあげられ、これらの能力が高い場合には情報処理能力があ ると判断できる。関与があり情報処理能力がある場合に、消費者は中心経路をた どる。反対に、情報処理もしくは関与が低い場合には、周辺経路をたどり、非精 緻化処理による情報の認知と態度変容を行う。傾向として、中心経路を通る消費 者 は 、 広 告 メ ッ セ ー ジ に 対 し て 、「 具 体 的 な 機 能 の 情 報 」、「 搭 載 さ れ て い る 機 能 の 利 便 性 」な ど の 具 体 的 な 情 報 を 受 け 取 る こ と に よ り 購 入 動 機 を 高 め る の に 対 し て 、 周 辺 経 路 を 通 る 消 費 者 は 「 広 告 全 体 の 雰 囲 気 」、「 製 品 の イ メ ー ジ 」 な ど の 具 体 性 のない周辺情報から購入動機を高める可能性が高い。 2.5 予 防 焦 点 的 側 面 の 強 い 製 品 市場に存在する製品には、製品自体の特性により、促進焦点の側面が強いもの と、予防焦点の側面が強いものが存在する。ネガティブな結果を避けるための製 品が予防焦点的側面の強い製品として考えられる。一例として、自動車保険、日 焼け止めクリーム、健康診断等の医療サービスがあげられる。 パーソナル・コンピュータ向けのセキュリティ対策として利用されるセキュリ ティ・ソフトウェアも予防焦点の側面が強い製品の一つである。セキュリティ・ ソフトウェアとは、ウイルス対策機能、ファイアー・ウォール機能、暗号化機能 などを搭載したソフトウェア製品であり、インターネットを経由した脅威を防ぐ 目的で利用される。 セキュリティ・ソフトウェアは、成熟した市場のため、多くのセキュリティ・ ソ フ ト ウ ェ ア が 存 在 す る 。 2013 年 時 点 で 国 内 シ ェ ア 1 位 の ト レ ン ド マ イ ク ロ 社 が 提供する「ウイルスバスター」が代表的な製品であるが、その他にはシマンテッ ク社が提供する「ノートンインターネットセキュリティ」がある。また、一部の ユーザに愛好されるカスペルスキー社など、シェアの高い製品とニッチ向け商材 の両方が存在する市場となっている。. 6.
(7) 3 仮説の設定 3.1 仮 説 設 定 の 背 景 予 防 焦 点 が 強 い 消 費 者 は 、「 需 要 要 因 の 希 少 性 」 を 求 め 、 多 く の 人 が 利 用 す る 製 品 を 購 入 す る 傾 向 に あ る こ と が 、 Hsuan( 2012) に よ り 示 さ れ て い る 。 ま た 、 田 中 ( 2012) で は 知 覚 リ ス ク が 高 い 消 費 者 ほ ど 情 報 探 索 を 行 い 、 知 覚 リ ス ク の 緩 和 策 をとることが示されている。また、予防焦点的側面の強い製品においては、促進 焦点の消費者においても、予防焦点に基づく訴求により、製品選考が行われ、予 防焦点の消費者に見られる様な警戒戦略をとる傾向があることが示されている ( Florack and Scarabis 2006 )。 予 防 焦 点 的 側 面 の 強 い 製 品 は 、 ネ ガ テ ィ ブ な 結 果を緩和する以外の役割を持たないことから、消費者はそのリスクを可能な限り 避けようとする傾向があることは先行研究からも予想できる。そして、リスクの 緩和策として「メジャー製品」を選択する傾向にあると結論づけられる。仮にこ の行動特性がすべての消費者にあてはまる場合、予防焦点的側面が強い製品市場 においては、マーケット・シェアの高い製品の存在感が圧倒的に強くなり、他の 製品が選ばれない状況となる。長期的にはメジャー製品しか残らない状況になる はずである。 しかし、実際の市場ではマーケット・シェアが高い製品以外にも、ニッチな商 材 を 好 ん で 選 択 す る 消 費 者 層 も 一 定 数 存 在 す る 。 そ の た め 、「 メ ジ ャ ー 製 品 」 を 選 択する消費者と、一定数存在する「ニッチ製品」を選択する消費者の行動は異な っているように見える。 このような背景から、予防焦点的側面の強い製品の市場においても、促進焦点 の消費者に見受けられるような「供給要因の希少性」を求める消費者層が一定数 存在しており、その購買判断基準に影響を与えている要素があるという仮説設定 を行った。 消費者が「需要要因の希少性」を求める理由は、先行研究から知覚リスクの緩 和のためであると予想される。実績が多くあり、多数の人が利用している製品を 購入することは、消費者側で認知されるリスクを一定の許容水準まで下げる効果 があり、自分の身にふりかかるリスクを低減させる効果があると予想されるため である。 知覚リスクは、消費者により認知の仕方が大きく変わってくる。海外旅行者の 例をとってみれば、初めて海外旅行をする初心者と、年に数回同じ土地を訪れて いる熟達者とでは、海外旅行会社の選択に対する知覚リスクの認知の仕方が異な る 。 海 外 旅 行 経 験 が 豊 富 な 熟 達 者 は 、「 海 外 旅 行 へ の 慣 れ 」 か ら 初 心 者 が 感 じ 取 る 様なリスクは低減する可能性が高い。初心者が認知しやすい知覚リスクとして、 例 え ば 「 そ の 旅 行 会 社 が 信 頼 の お け る 会 社 な の か ど う か ? 」 と い っ た 不 安 や 、「 ツ ア ー・パ ッ ク の 搭 乗 員 の サ ー ビ ス 品 質 が 気 に な る 」と い っ た 不 安 が 考 え ら れ る が 、 旅行慣れしている熟達者は既に豊富な経験があるため、そういったリスクを低く 認知する可能性がある。海外旅行の初心者と熟達者では知覚されるリスクが違う ため、その後の旅行会社の選択にも影響を与える可能性が高いと予想できる。そ のため今回の調査では、精緻化見込みモデルの処理経路を決めるとされる、情報 7.
(8) 処理能力と関与が、知覚リスクに影響を与えると予想し、精緻化見込みモデルと 知覚リスクの関連性を検討した。 また、本調査に用いる対象製品については、予想焦点的側面の強い製品である 「パーソナル・コンピュータ向けセキュリティ・ソフトウェア」を題材として用 いた。セキュリティ・ソフトウェアはウイルス感染をはじめとした、インターネ ット上におけるリスクを低減させるための製品であるため、予防焦点的側面が強 い製品として位置づけられる。. 3.2 仮 説 の 設 定 と 各 構 成 概 念 の 定 義 3.2.1 各 構 成 概 念 の 定 義 仮説の設定にあたり、本論文で使用する構成概念を下記の通り定義した、 1) 購 買 判 断 基 準 消費者が「メジャー製品」もしくは「ニッチ製品」どちらを選ぶかについての 判 断 基 準 を 「 購 買 判 断 基 準 」 と 呼 ぶ 。「 購 買 判 断 基 準 」 は 「 需 要 要 因 の 希 少 性 」 と「供給要因の希少性」の二つに分類される。 「需要要因の希少性」は多くの人が利用しており、マーケット・シェアが高い メ ジ ャ ー 製 品 を 好 ん で 選 択 す る 判 断 基 準 を 指 す 。ま た 、 「 供 給 要 因 の 希 少 性 」は 一 部 の ユ ー ザ に の み 愛 好 さ れ る 、ニ ッ チ 製 品 を 好 ん で 選 択 す る 判 断 基 準 を 指 す 。 購買判断基準を評価する項目として、本調査では 8 つの設問を用意した。 2) 情 報 処 理 能 力 情報処理能力とは購入対象の製品に対して、その製品の詳細を理解するため の 能 力 で あ る 。 今 回 の 調 査 で は 、 小 松 他 ( 2012) の メ デ ィ ア ・ ス キ ル に 関 す る 項 目 を も と に 修 正 し 、パ ー ソ ナ ル・コ ン ピ ュ ー タ を は じ め と し た IT ス キ ル 全 般 の情報処理能力に関する設問を用意した。先行研究における情報処理能力の定 義では、製品単体に関する情報処理能力を問う設問にする事が多い。例えば自 動車の購入を想定した場合、そのメーカーの販売する車種に関する知識や、燃 費や性能といった基本的な情報を理解する能力があるかどうかが、情報処理能 力に該当する。しかし、今回調査のテーマとした「セキュリティ・ソフトウェ ア 製 品 」に 関 し て は 、IT セ キ ュ リ テ ィ 分 野 に お け る 専 門 的 な 知 識 を 習 得 し て い る消費者はごく少数である。そのため広義としての情報処理能力である、パー ソ ナ ル・コ ン ピ ュ ー タ を は じ め と し た 、IT ス キ ル 全 般 の 処 理 能 力 を 測 定 の 基 準 として定義した。 また本設問は、精緻化見込みモデルにおける思考経路を分類するための調整 変数として利用した。 3) 関 与 関与とは購入予定の製品に対して、具体的な動機の有無を表す言葉である。今 回の調査では、 「 多 少 手 間 を か け て も 品 質 の よ い も の を 購 入 し た い 」と い っ た 製 8.
(9) 品選定の動機があるかどうかを関与の定義とした。今回の調査では、青木他 ( 1988) の 購 買 意 思 決 定 関 与 の 項 目 を も と に 、 加 筆 ・ 修 正 を 行 い 、 セ キ ュ リ テ ィ・ソフトウェアの購入時における設問として、7 つの設問を用いた。 また、本設問は情報処理能力の設問と同様に、精緻化見込みモデルにおける 思 考 経 路 を 分 類 す る た め の 調 整 変 数 と し て 利 用 し た 。上 記 の 2)情 報 処 理 能 力 、 3) 関 与 を 用 い て 、 中 心 経 路 と 周 辺 経 路 に 分 類 を 行 っ た 。 情 報 処 理 能 力 が 高 く 、 関与が高い消費者が通る思考経路を「中心経路」と定義し、その他の思考経路 を「周辺経路」と定義した。 4) 知 覚 リ ス ク 知 覚 リ ス ク と は 、製 品 の 購 入 時 に お い て 、消 費 者 が 感 じ る リ ス ク の こ と を 指 す 。 健康食品の購入を例としてあげれば、 「この食品で本当に健康になれるのか懐疑 的である」といったことが知覚リスクの一つとしてあげられる。 今 回 の 調 査 で は 、原 田( 2003)が 網 羅 的 に 定 義 し た 知 覚 リ ス ク の 項 目 の う ち 、 「 機 能 的 リ ス ク 」、「 製 品 リ ス ク 」、「 機 関 リ ス ク 」、「 心 理 的 リ ス ク 」 の 4 分 類 の 概念を選択した。それぞれの知覚リスクについて、セキュリティ・ソフトウェ ア購買時に認識するリスクについて、設問を用意した。 「機能的リスク」に関しては、製品そのものの機能に関する不安である「パ フォーマンス・リスク」と、セキュリティ・ソフトウェア製品を操作する上で 感じるリスクとしての「操作リスク」の二つに細分化した。知覚リスクの一覧 を ま と め た も の が 表 3.1 で あ る 。. 9.
(10) 表 3.1 本 調 査 に お け る 知 覚 リ ス ク の 項 目 一 覧 原 田( 2003)に お け. 本調査における知覚. る知覚リスク項目. リ ス ク 項 目( 筆 者 に よ. 定義. る定義) 機能的リスク. パフォーマンス・リス. 製品の機能に関する不安. ク. 例 :「 ウ イ ル ス 対 策 機 能 が 正 常 に 動作するかどうか不安である」. 操作リスク. 製品の操作に関する不安 例 :「 セ キ ュ リ テ ィ ・ ソ フ ト ウ ェ アの設定が適切にできるか分か らず不安である」. 製品リスク. 製品リスク. 製品そのものの選択に関する不 安 例 :「 評 判 の 悪 い 製 品 を 購 入 す る かもしれないという不安」. 機関リスク. 機関リスク. 製品提供元の企業に対する不安 例 :「 製 品 の 提 供 元 が 評 判 の 悪 い 会社なのではないかと不安であ る」. 心理的リスク. 心理的リスク. 友 人・知 人 か ら の 批 判 に よ る 不 安 例 :「 誤 っ た 製 品 選 択 を し て し ま い 、友 人・知 人 か ら 指 摘 を う け る のではないかと不安である」. 3.2.2 購 買 判 断 基 準 に 関 す る 仮 説 設 定 「購買判断基準」に関する仮説を以下の通り設定した。 ・ 仮 説 1-1 需 要 要 因 の 希 少 性 は 、 供 給 要 因 の 希 少 性 と は 負 の 相 関 が あ る 1 つ の 評 価軸である ・ 仮 説 1-2 需 要 要 因 の 希 少 性 と 供 給 要 因 の 希 少 性 は 、 別 の 評 価 軸 で あ る 仮 説 1-1 で は 、 需 要 要 因 の 希 少 性 を 求 め る 消 費 者 に お い て 、 反 対 に 位 置 す る 判 断軸は、供給要因の希少性を求める評価軸であると仮定しており、その評価軸は 一 つ の 軸 に 集 約 さ れ て い る と 仮 定 し た 。 つ ま り 、「 メ ジ ャ ー 製 品 」 を 求 め る 消 費 者 は「ニッチ製品」を求めないという購買判断基準を想定した。 反 対 に 、 仮 説 1-2 で は 、 需 要 要 因 の 希 少 性 と 供 給 要 因 の 希 少 性 は 別 の 評 価 軸 で あ る と 仮 定 し た 。「 メ ジ ャ ー 製 品 」 と 「 ニ ッ チ 製 品 」 を 求 め る 判 断 基 準 は 、 消 費 者 の中で共存をすることを想定した。. 10.
(11) 3.2.3 知 覚 リ ス ク と 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に 関 す る 仮 説 設 定 ・ 仮 説 2-1 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 、 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 パ フ ォ ー マ ンス・リスクを除いて知覚リスクが小さい ・ 仮 説 2-2 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 周 辺 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 パ フ ォ ー マ ン ス・リスクを除く全項目において知覚リスクが大きい ・ 仮 説 2-3 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 、 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は パ フ ォ ー マ ン ス・リスクが高い 仮 説 2-1 で は 、 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 情 報 処 理 能 力 が 高 く 購 買 動 機 も 強 い ため、不安を減少させ、結果として知覚リスクを小さく認知すると仮定した。 仮 説 2-2 で は 、 情 報 処 理 能 力 も し く は 関 与 が 低 い 消 費 者 は 、 漠 然 と し た 不 安 を 感じると予想し、知覚リスクを大きく認知すると仮定した。 仮 説 2-3 で は 、 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 判 断 す る 能 力 が 高 い た め 、 パ フ ォ ー マ ンス・リスクについては、周辺経路の消費者よりも過敏に反応し、知覚リスクを 高く認知すると仮定した。 3.2.4 精 緻 化 見 込 み モ デ ル と 需 要 要 因 の 希 少 性 に 関 す る 仮 説 設 定 ・ 仮 説 3-1 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 需 要 要 因 の 希 少性を求めない。 ・ 仮 説 3-2 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 供 給 要 因 の 希 少 性 を 求 め る ( 仮 説 1-2 が 正 し い 場 合 ) ・ 仮 説 3-3 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 周 辺 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 需 要 要 因 の 希 少性を求める ・ 仮 説 3-4 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 周 辺 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 供 給 要 因 の 希 少 性 を 求 め な い ( 仮 説 1-2 が 正 し い 場 合 ) 仮 説 3-1 で は 、 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 自 身 の 知 識 と 関 与 に よ る 判 断 を 下 し たうえで、製品を選択する可能性高いため、需要要因の希少性をもとめないと仮 定 し た 。 反 対 に 仮 説 3-2 で は 、 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 特 定 の 製 品 を 求 め る 傾 向があると予想し、供給要因の希少性を求めると仮定した。 仮 説 3-3 で は 、 周 辺 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 製 品 選 択 に 関 す る 知 識 も 動 機 も 低 い ため、他の人が利用している製品である「需要要因の希少性」を求める可能性が 高 い と 仮 定 し た 。ま た 、仮 説 3-4 で は 、特 定 の 製 品 を 選 ぶ 動 機 自 体 も 低 い た め 、 「供 給要因の希少性」を求めないと仮定した。 3.2.5 構 造 方 程 式 モ デ ル に お け る 仮 説 ・ 仮 説 4-1 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 の み 、 パ フ ォ ー マ ン ス ・ リ ス ク を 高 め 、 供 給 要 因 の 希 少 性 を 求 め る ( 仮 説 1-2 が 正 し い 場 合 ) ・ 仮 説 4-2 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 周 辺 経 路 を 通 る 消 費 者 の み 、 パ フ ォ ー マ ン ス・リ ス ク を 除 く す べ て の 知 覚 リ ス ク を 増 加 さ せ 、需 要 要 因 の 希 少 性 を 求 め る 。 11.
(12) ・ 仮 説 4-3 精 緻 化 見 込 み モ デ ル に お い て 周 辺 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 知 覚 リ ス ク の うち、操作リスクの影響を強くうけ、需要要因の希少性を求める。 仮 説 4-1 で は 、 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 熟 達 し た 知 識 か ら う ま れ る 「 こ だ わ り」からパフォーマンス・リスクを高め、それにより特定の製品を選ぶ傾向にあ ると仮定した。 仮 説 4-2 で は 、 周 辺 経 路 を 通 る 回 答 者 ほ ど 知 覚 リ ス ク が 高 く 、 そ の リ ス ク を 緩 和 す る た め に 、多 数 派 の 製 品 で あ る メ ジ ャ ー 製 品 を 求 め る 傾 向 が あ る と 仮 定 し た 。 仮 説 4-3 で は 、 知 覚 リ ス ク の う ち 、 パ ー ソ ナ ル ・ コ ン ピ ュ ー タ 操 作 の 不 慣 れ か ら起因する操作リスクにより、多数派の製品を求める可能性が高いと予想した。 以 上 の 仮 説 か ら 、仮 説 1-1 の 前 提 に よ る 仮 説 を 図 式 化 し た の が 、図 3-2 で あ る 。 仮 説 1-2 の 前 提 に よ る 仮 説 を 図 式 化 し た も の が 、 図 3-3 で あ る 。 知 覚 リ ス ク か ら のパスの太さは、最も影響があると仮定したパスの経路である。. 12.
(13) 図 3-2 仮説 1-1 による 1 因子モデル. 図 3-3 仮 説 1-2 に よ る 2 因 子 モ デ ル. 13.
(14) 仮 説 を 一 覧 に し た も の が 表 3-4 で あ る 。 表 3-4 本 調 査 に お け る 仮 説 一 覧 仮説 仮 説 1-1. 需要要因の希少性は供給要因の希少性とは負の相関がある 1 つの評価軸 である. 仮 説 1-2 需 要 要 因 の 希 少 性 と 供 給 要 因 の 希 少 性 は 、 別 の 評 価 軸 で あ る. 仮 説 2-1. 仮 説 2-2. 中心経路を通る消費者は、パフォーマンス・リスクを除いて知覚リスク が小さい 周辺経路を通る消費者は、パフォーマンス・リスクを除く全項目におい て知覚リスクが大きい. 仮 説 2-3 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は パ フ ォ ー マ ン ス ・ リ ス ク が 高 い. 仮 説 3-1 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 需 要 要 因 の 希 少 性 を 求 め な い. 仮 説 3-2 中 心 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 供 給 要 因 の 希 少 性 を 求 め る. 仮 説 3-3 周 辺 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 需 要 要 因 の 希 少 性 を 求 め る. 仮 説 3-4 周 辺 経 路 を 通 る 消 費 者 は 、 供 給 要 因 の 希 少 性 を 求 め な い. 仮 説 4-1. 仮 説 4-2. 仮 説 4-3. 中心経路を通る消費者は、パフォーマンス・リスクを高め、供給要因の 希少性を求める 周辺経路を通る消費者は、パフォーマンス・リスク以外の、すべての知 覚リスクを増加させ、需要要因の希少性を求める。 周辺経路を通る消費者は、すべての知覚リスクのうち、操作リスクによ り需要要因の希少性を求める。. 14.
(15) 4 調査概要 4.1 ス ク リ ー ニ ン グ 条 件 回答対象者の選定において、2 つの条件を設定した。1 つ目は「1 年以内におけ る パ ー ソ ナ ル ・ コ ン ピ ュ ー タ の 購 入 を 想 定 し て い る こ と 」、 2 つ 目 は 「 IT 技 術 の 熟 達度が高い回答者を一定数割り付けること」である。 1 つ目の「1 年以内におけるパーソナル・コンピュータの購入を想定しているこ と」を設定した理由は、パーソナル・コンピュータの購入時におけるセキュリテ ィ・ソフトウェアの購買判断について回答してもらうためである。回答対象者の 条件を統一するために、 「 1 年 以 内 に お け る パ ー ソ ナ ル・コ ン ピ ュ ー タ 購 入 の 有 無 」 を 設 問 と し て 設 け た 。「 SQ1: あ な た は パ ー ソ ナ ル ・ コ ン ピ ュ ー タ の 購 入 を 検 討 し ていますか?検討している場合は購入時期についてもお答えください」という設 問 に 対 し て 、「 検 討 し て い な い 」、「 1 年 以 内 の 購 入 を 予 定 」 ~ 「 直 近 1 カ 月 以 内 の 購 入 予 定 」な ど の 選 択 肢 を 設 け た 。そ の う え で 、1 年 以 内 の 期 間 に パ ー ソ ナ ル・コ ン ピ ュ ー タ を 購 入 予 定 と 答 え た 回 答 者 の み を 対 象 と し 、「 パ ー ソ ナ ル ・ コ ン ピ ュ ー タ購入時に、セキュリティ・ソフトウェアも同時に購入すると仮定したうえで、 設問に回答ください」という案内を行った。 2 つ 目 の 「 IT 技 術 の 熟 達 度 が 高 い 回 答 者 を 一 定 数 割 り 付 け る こ と 」 を 設 定 し た 理由は、精緻化見込みモデルにおける情報処理能力が高い回答者から低い回答者 までを、幅広く収集するためである。本調査のサンプルサイズの半分に対して、 情 報 処 理 能 力 が 高 い 回 答 者 を 割 り あ て る た め 、「 SQ2: あ な た の パ ソ コ ン に 関 す る スキルやパソコンに対する意識について、あてはまるものを全てお答えくださ い 。」 と い う 設 問 に 対 し て 、「 パ ソ コ ン の ト ラ ブ ル は 自 分 で 解 決 で き る 」、「 パ ソ コ ン の 設 定 が 自 分 で で き る 」 な ど 22 個 の 選 択 肢 を 設 け た 。 選 択 肢 の う ち 、「 自 作 パ ソ コ ン の 組 み 立 て が で き る 」、 「 社 内 L A N な ど の ネ ッ ト ワ ー ク 構 築 が で き る 」、 「自 分 で プ ロ グ ラ ミ ン グ で き る 」、「 パ ソ コ ン 雑 誌 を 定 期 的 に 読 む 」 を 選 択 し た 回 答 者 を 、 本 調 査 の 対 象 者 と し て サ ン プ ル サ イ ズ の 半 分 の 数 ( N=309) を 割 り つ け た 。 実 際 に 使 用 し た Web 調 査 画 面 に つ い て は Appendix 資 料 4-1 に 掲 載 し た 。 4.2 質 問 票 測 定 項 目 と し て 後 述 の 1) ~ 4) の 設 問 を 設 け た 。 1) ~ 4) の 設 問 に 対 し て 、「 1. 大 変 あ て は ま る 」、「 2.あ て は ま る 」、「 3.や や あ て は ま る 」、「 4. ど ち ら で も な い 」、 「 5.や や あ て は ま ら な い 」、「 6.あ て は ま ら な い 」、「 7.ま っ た く あ て は ま ら な い 」 という 7 件法で調査を行った。 ま た 、 実 際 に 調 査 で 使 用 し た ウ ェ ブ 画 面 に つ い て は 、 Appendix 資 料 4-2 に 記 載 し た。. 15.
(16) 1)情 報 処 理 能 力 以 下 11 設 問 ( 表 4.1) を 情 報 処 理 能 力 の 設 問 と し て 用 意 し た 。 表 4.1 情 報 処 理 能 力 評 価 項 目 設問. 設問内容. 1. ワ ー プ ロ ソ フ ト ( Word な ど ) で 文 章 を 作 る. 2. パソコンでメールのやりとりをする. 3. Yahoo!や Google な ど の 検 索 サ イ ト で 必 要 な 情 報 を 見 つ け る. 4. 写真やビデオをパソコンに取りこんだり、文章にはりつけたりする. 5. Facebook や mixi と い っ た 、 ソ ー シ ャ ル ネ ッ ト ワ ー キ ン グ サ ー ビ ス ( SNS) の閲覧や書き込み. 6. 自分でパソコンを組み立てる事ができる. 7. パソコンに関するトラブルが起きても自分で解決できる. 8. 自 分 で 、必 要 な ソ フ ト ウ ェ ア を イ ン ス ト ー ル し て 使 っ た り 、パ ソ コ ン の 設 定を変えて使うことができる. 9. ソフトウェアやシステムに関するプログラムを書くことができる. 10. パソコンのトラブルや操作について、友達を手助けすることができる. 11. 自分でサーバを立てて、システムを構築することができる. 2)関 与 以 下 7 設 問 ( 表 4.2) を 関 与 の 評 価 項 目 と し て 用 意 し た 。 表 4.2 関 与 評 価 項 目 設問. 設問内容. 1. 購 入 前 に 、セ キ ュ リ テ ィ・ソ フ ト ウ ェ ア 製 品 に 関 す る 情 報 を 多 く 集 め た い. 2. 複数メーカーの製品間でいろいろな特徴を比較してから購入したい. 3. 多少手間をかけても品質のよいものを買いたい. 4. 普 段 と 利 用 し て い る も の と 違 う 製 品 を 購 入 す る 時 、期 待 通 り で あ る か 心 配 である. 5. できる限り時間をかけて、慎重にどの製品を買うかを選ぶ. 6. 多少手間をかけても、機能が充実しているものを買いたい. 7. セ キ ュ リ テ ィ・ソ フ ト ウ ェ ア 製 品 に つ い て 、対 策 機 能 の 詳 細 を 把 握 し た い. 16.
(17) 3)知 覚 リ ス ク 以 下 7 設 問 ( 表 4.3) を 「 パ フ ォ ー マ ン ス ・ リ ス ク 」 の 評 価 項 目 と し て 用 意 し た 。 表 4.3 パ フ ォ ー マ ン ス ・ リ ス ク 評 価 項 目 設問 1. 設問内容 セ キ ュ リ テ ィ・ソ フ ト ウ ェ ア の ウ イ ル ス 対 策 機 能 が き ち ん と 動 作 す る か ど うか不安. 2. 必要な機能が備わっていないのではないかと不安. 3. 搭載機能がウイルスを確実に防いでくれるかどうか不安. 4. 安定して動作するかどうか不安. 5. パーソナル・コンピュータの動作が遅くなるのではないかと不安. 6. ウイルスの検知率が低いのではないかと不安. 7. 購入製品のサポートサービスが充実してないのではないかと不安. 以 下 6 設 問 ( 表 4.4) を 「 操 作 リ ス ク 」 の 評 価 項 目 と し て 用 意 し た 。 表 4.4 操 作 リ ス ク 評 価 項 目 設問. 設問内容. 1. セキュリティ・ソフトウェアをうまく使いこなせられるか不安. 2. インストール作業が難しいのではないかと不安. 3. ウイルスを検知した時に、どう操作すればよいか分からず不安. 4. 設定がうまくできないのではないかと不安. 5. どのように操作してよいかわからず不安. 6. 対策機能の技術的な内容がわからず不安. 以 下 6 設 問 ( 表 4.5) を 「 製 品 リ ス ク 」 の 評 価 項 目 と し て 用 意 し た 。 表 4.5 製 品 リ ス ク 評 価 項 目 設問. 設問内容. 1. ど の 製 品 を 選 べ ば よ い か わ か ら ず 、最 適 な 製 品 選 定 が で き る か ど う か 不 安. 2. 品質の悪い製品を購入してしまうのではないかと不安. 3. 信頼性の低い製品を購入してしまうのではないかと不安. 4. 評判の悪い製品を購入してしまうかもしれないと不安. 5. 悪い評価の製品を購入してしまうかもしれないと不安. 6. どの製品を選んでよいかわからず不安. 17.
(18) 以 下 5 設 問 ( 表 4.6) を 「 機 関 リ ス ク 」 の 評 価 項 目 と し て 用 意 し た 。 表 4.6 機 関 リ ス ク 評 価 項 目 設問. 設問内容. 1. ソフトの製造メーカーが信頼できるところかどうか分からず不安. 2. 評判の悪い製造メーカーの製品を購入してしまうのではないかと不安. 3. 購入後のサポートが充実していない製造メーカーなのではないかと不安. 4. 製造メーカーがどんな会社かわからず不安. 5. 信頼性の低い製造メーカーの製品を購入してしまうのではないかと不安. 以 下 7 設 問 ( 表 4.7) を 「 心 理 的 リ ス ク 」 の 評 価 項 目 と し て 用 意 し た 。 表 4.7 心 理 的 リ ス ク 評 価 項 目 設問. 設問内容. 1. 友人・知人が勧めていない製品ではないか不安. 2. 自分だけがマイナーな製品を購入してしまうかもしれないと不安. 3. 評 判 の 悪 い 製 品 を 購 入 し 、友 人 ・ 知 人 か ら 指 摘 を う け る の で は な い か と 不 安. 4. マ イ ナ ー な 製 品 を 購 入 し 、友 人 ・ 知 人 か ら 指 摘 を う け る の で は な い か と 不 安. 5. 品 質 の 悪 い 製 品 を 購 入 し 、友 人 ・ 知 人 か ら 指 摘 を う け る の で は な い か と 不 安. 6 7. 誤 っ た 製 品 選 択 を し て し ま い 、周 り の 人 か ら 指 摘 を う け る の で は な い か と 不 安 多くの人が薦めてない製品を購入してしまうのではないと不安. 4)購 買 判 断 基 準 以 下 9 設 問( 表 4.8)を 購 買 判 断 基 準 の 評 価 項 目 と し て 用 意 し た 。本 設 問 は 内 生 変 数 と し て 利 用 さ れ る 項 目 で あ る 。ま た 、設 問 5、6、7、8、9 は 逆 転 項 目 で あ る 。 設問. 設問内容. 1. 知 人 /友 人 が 利 用 し て い る 製 品 で あ る. 2. セキュリティソフトとして、多くの人が利用している製品である. 3. セキュリティソフトとして、一番売れている製品である. 4. 皆が知っている有名な製品である. 5. 知る人ぞ知る製品である. 6. 一部の人が利用しているマニアックな製品である. 7. 一部の人に評価の高い、高性能な製品である. 8. マイナーな製品ではあるが、先進的な機能を有している製品である. 9. マイナーな製品ではあるが、自分にあった製品である. 18.
(19) 5)製 品 選 択 に 関 す る 設 問 最後の設問として、実際に販売されているセキュリティ・ソフトウェア製品の うち、どの製品を選択するかについて設問を設けた。本設問は調査結果には直接 利用される項目ではないが、結果の内容を読み取ることで新たな示唆を得るため に 用 意 を し た 項 目 で あ る 。 今 回 の 調 査 で は 、 実 際 に 市 場 に 存 在 す る 製 品 ( 2013 年 11 月 時 点 ) を 選 択 さ せ る 設 問 を 、 最 後 の 回 答 項 目 と し て 設 け た 。 こ の よ う な 設 問 を用意した場合、頭の中で具体的な製品名を想定したうえで回答を行う可能性が 高い。その際の判断基準は、調査時点での広告露出の状況、製品品質、利用の有 無などの影響を受ける可能性が高いと予想した。そのため、回答者には「情報処 理 能 力 」、「 関 与 」、「 知 覚 リ ス ク 」 お よ び 「 購 買 判 断 基 準 」 の 全 て に 回 答 し て も ら った後で、最後に参考情報として具体的な製品選択の回答を求めた。 以 上 の 設 問 項 目 を も と に フ ロ ー 図 を 作 成 し た ( 図 4-1)。 図 4-1 設 問 フ ロ ー. 4.3 サ ン プ リ ン グ 株 式 会 社 マ ク ロ ミ ル に よ る Web ア ン ケ ー ト 調 査 を 2013 年 11 月 7 日 ~ 11 月 8 日 の期間に実施した。マクロミルサービスにモニター会員として登録をしている約 115 万 人 ( 2013 年 11 月 時 点 ) の う ち 、 ス ク リ ー ニ ン グ 条 件 に よ っ て 選 定 さ れ た 20,000 人 を 対 象 に 調 査 行 っ た 。 本 調 査 は 合 計 618 サ ン プ ル を 回 収 し た 時 点 で 終 了 した。スクリーニング条件は前述の 2 設問のみであり、年齢、性別、職種などに よる選別は行わなかった。 19.
(20) 4.4 結 果 調 査 の 結 果 、 回 答 者 の 内 訳 は 、 男 性 n=467( 75.6% )、 女 性 n=151( 24.4% ) で あ っ た 。 回 答 者 の 概 要 に つ い て は Appendix 資 料 4-3 に 記 載 し た 。. 5 分析と仮説検証の結果 5.1 分 析 時 に お け る 妥 当 性 の 検 討 分析時に使用した統計ソフトを明記する。因子分析、信頼性分析、クラスタリ ン グ 、 平 均 値 の 差 の 検 定 に つ い て は IBM 製 SPSS Statistics version 22 を 使 用 し た 。 構 造 方 程 式 モ デ ル の 分 析 に つ い て は IBM 製 SPSS Amos 21.00 を 使 用 し た 。 ま た 、 ク ロ ス 集 計 、 グ ラ フ 集 計 に つ い て は 、 Tableau ソ フ ト ウ ェ ア 社 製 Tableau8.0 を使用した。 分 析 の 手 順 に つ い て は 、川 上( 2005)に お け る 分 析 手 法 を も と に 検 討 を 行 っ た 。 分析の流れとして、全ての構成概念において、測定した変数をもとに、探索的因 子分析を行い、各構成概念において因子負荷の低い項目を除外した。次に、各構 成概念の単一次元性、内的整合性、収束妥当性、弁別妥当性、基準関連妥当性を 検 討 し た 。 各 妥 当 性 の 詳 細 に つ い て は 阿 部 ( 2013) に よ る 妥 当 性 に 関 す る 項 目 を 参考にした。 検討時における各妥当性の詳細については下記の通りである。 1)単 一 次 元 性 各構成概念における因子の軸が一つに集約されているかどうかの妥当性を検討 する項目である。仮に 1 つの構成概念において、二つの因子軸が抽出された場合 は、異なる評価軸である可能性が高いため、単一の次元として扱うことは不適切 で あ る 。 本 調 査 で は 、 SPSS を 用 い て 探 索 的 因 子 分 析 を 行 い 、 1 因 子 に 集 約 さ れ る かについての検討を行った。因子分析は最尤法にて行い、プロマックス回転によ って因子抽出を行った。プロマックス回転は、因子が 2 つ以上抽出された場合に のみ実行されるため、1 因子に集約できた場合は、回転後の情報は省略をした。 2)内 的 整 合 性 ( 信 頼 性 ) 各変数を用いた構成概念において、複数回実施した際にも同じ結果になるかど うかの妥当性を検討する。そのためには、構成概念を構成する変数間において高 い 相 関 が な け れ ば な ら な い 。内 的 整 合 性 の 検 討 に は Cronbach の α 係 数 を 評 価 数 値 と し て 利 用 し た 。Cronbach の α 係 数 は 一 般 的 に は 0.8 以 上 が 望 ま し い 数 値 と さ れ 、 0.9 以 上 で 高 い 信 頼 性 が あ る と さ れ る 。 3)収 束 妥 当 性 各構成概念を構成するために、各変数を用いた場合、変数が構成概念を適切に 表しているかを検討する必要性がある。本論文では、各因子に対して変数の因子 負 荷 が 1%水 準 に お い て 有 意 に 影 響 を 与 え て い る か ど う か を 指 標 と し て 利 用 し た 。 20.
(21) 4)弁 別 妥 当 性 異なる複数の構成概念間には有意な差がなければならないため、因子間の相関 が著しく高い場合は、別の因子ではなく同一の因子として扱う必要がある。その ため、構成概念間における相関係数が著しく高いものは、モデルの変更を検討し た。変更前と変更後のモデルにしかるべき改善の差があるかを検討し、検討の際 にはカイ二乗検定による有意差の確認を行った。 5) 基 準 関 連 妥 当 性 構成概念において明確な傾向が予想される場合、そこにあるべき傾向が存在す るかどうかの検討が必要である。本研究では、知覚リスクはその他のリスクと有 意な相関があることを基準関連妥当性とおいた。不安な感情はすべての知覚リス ク項目間で正の関係があるという前提をおいた。 以上を分析時に検討する妥当性の項目として用いた。 また、共分散構造分析を行う際には、構造方程式モデルの全体において、適合 をしているかどうかを検討する必要がある。今回の分析では、構造方程式モデル に お け る 適 合 度 の 指 標 と し て 、 複 数 の 指 標 を 用 い た 。 豊 田 ( 2007) を 参 考 に 、 各 指標の推奨値を明記する。 CMIN( カ イ 二 乗 値 ) 帰無仮説として「構成されたモデルは正しい」という検定を行うために利用す る 指 標 で あ る 。 一 定 の 有 意 水 準 の 値 よ り も 小 さ け れ ば 、「 構 成 さ れ た モ デ ル は 正 し い」という仮説が棄却されずに採択されるため、一般的には棄却されないほうが 良 い 指 標 と な る 。 し か し 豊 田 ( 2007) に よ れ ば 、 サ ン プ ル サ イ ズ が 多 い 場 合 は 棄 却される可能性が高まるとされるため、本論文で使用したサンプルサイズでは、 棄 却 さ れ る 可 能 性 が 高 い 。そ の た め 、あ く ま で 参 考 の た め の 値 と し て 利 用 を し た 。 GFI( Goodness of Fit Index:適 合 度 指 標 )、AGFI( Adjusted Goodness of Fit Index: 修 正 適 合 度 指 標 )、 お よ び CFI( Comparative Fit Index:比 較 適 合 度 指 標 ) 一 般 的 に は 、 0.9 以 上 の 値 を と れ ば 説 明 力 の あ る モ デ ル で あ る と 判 断 が で き る 。 推 定 す る パ ラ メ ー タ の 数 が 増 加 し た 場 合 は GFI の 値 は 大 き く な る 。 ま た モ デ ル に 組 み 込 ま れ て い る 変 数 の 数 が 多 い 場 合 は 、 GFI の 値 は 小 さ く な る 。 ま た 、 CFI は 高 い 値 が 表 示 さ れ る 可 能 性 が あ る た め 、 0.95 以 上 が 最 も 望 ま し い 値 だ と 言 わ れ て い る。 RMSEA( Root Mean Square Error of Approximation:平 均 2 乗 誤 差 平 方 ) 0.05 以 下 で あ れ ば 当 て は ま り が 良 い と さ れ る 。ま た 、0.05 か ら 0.1 未 満 の 値 は 、 場 合 に よ り 許 容 で き る 範 囲 で あ る 。0.1 以 上 の 値 を と る 場 合 は 、モ デ ル の 適 合 度 が 悪いため、モデルの改善が求められる。 21.
(22) AIC ( Akaike’ s Information Criterion) AIC が 最 も 低 い も の が 当 て は ま り の よ い モ デ ル と 判 断 さ れ る 。絶 対 値 の 差 の み を 参照するため、特定の値以下が望ましいといった判断基準はなく、あくまで複数 モデル間での相対的な差のみで判断を行う。. 5.2 構 成 概 念 の 測 定 妥 当 性 の 検 討 5.2.1「 需 要 要 因 の 希 少 性 」 の 測 定 妥 当 性 の 検 討 今 回 の 調 査 に お い て 、「 知 覚 リ ス ク 」 か ら 影 響 を 与 え ら れ る 内 生 変 数 と し て 「 需 要 要 因 の 希 少 性 」 を 設 け た 。 設 問 Q8S1 か ら Q8S9 ま で の 9 項 目 に つ い て 、 構 成 概 念 に お け る 測 定 妥 当 性 を 検 討 し た 。 ま た 、 Q8S5、 Q8S6、 Q8S7、 Q8S8、 Q8S9 は 逆 転 項 目 の た め 、 数 値 を す べ て 反 転 し 、 Q8S5_R、 Q8S6_R、 Q8S7_R、 Q8S8_R、 Q8S9_R と いう新たな項目に編集したうえで妥当性の検討を実施した。はじめに信頼性の検 定 を 行 っ た 。 そ の 結 果 が 、 表 5-1 で あ る 。 表 5-1 「 需 要 要 因 の 希 少 性 」 の Cronbach の α 信頼性統計量 n. Cronbach の α .70. 項目の数 618. 9. 信 頼 性 係 数 は Cronbach の α が .70 と 低 い 数 値 が 確 認 さ れ 、 信 頼 性 が 低 い こ と が 示 された。 次 に 、「 需 要 要 因 の 希 少 性 」 の 9 つ の 質 問 項 目 に つ い て 、 因 子 分 析 を 行 っ た 。 そ の 結 果 が 表 5-2 で あ る 。 表 5-2 「 需 要 要 因 の 希 少 性 」 の 探 索 的 因 子 分 析 共通性. Q8S1 Q8S2 Q8S3 Q8S4 Q8S5_R Q8S6_R Q8S7_R Q8S8_R Q8S9_R. 初期 .372 .648 .720 .750 .432 .636 .588 .774 .742. 因子抽出後 .363 .701 .798 .846 .364 .464 .468 .883 .799. 22.
(23) 説明された分散の合計. 因子 1 2 3 4 5 6 7 8 9. 初期の固有値 合計 分散の % 累積 % 3.590 39.890 39.890 2.814 31.272 71.161 .697 7.744 78.906 .607 6.739 85.645 .495 5.497 91.142 .257 2.854 93.996 .237 2.637 96.633 .170 1.884 98.518 .133 1.482 100.000. 抽出後の負荷量平方和 合計 分散の % 累積 % 2.765 30.719 30.719 2.921 32.454 63.172. 因子パターン. Q8S1 Q8S2 Q8S3 Q8S4 Q8S5_R Q8S6_R Q8S7_R Q8S8_R Q8S9_R. 因子 1 -.105 .021 .042 .094 .433 .658 .665 .939 .893. 因子 2 .593 .837 .892 .915 -.421 -.177 -.158 -.024 .042. 因 子 分 析 を 行 っ た と こ ろ 2 つ の 因 子 が 抽 出 さ れ 、 分 散 の 累 積 に て 71.16%を 説 明 した。 因 子 1 で は 、 Q8S6_R、 Q8S7_R、 Q8S8_R、 Q8S9_R に お い て 0.6 以 上 の 因 子 パ タ ー ン が 見 ら れ た 。 因 子 2 で は Q8S2、 Q8S3、 Q8S4 に お い て 0.6 以 上 の 因 子 パ タ ー ン が 確 認 さ れ た 。因 子 分 析 の 結 果 か ら 、単 一 次 元 性 は 妥 当 で は な い こ と が 読 み 取 れ る 。 そ の た め 、 購 買 判 断 基 準 は 2 因 子 に よ る モ デ ル で あ る と い う 仮 説 ( 仮 説 1-2 に 該 当 ) を も と に 、 1 因 子 モ デ ル と 2 因 子 モ デ ル の 比 較 を 行 っ た 。 AMOS を 用 い て 、 確 認 的 因 子 分 析 を 行 い 、1 因 子 モ デ ル と 2 因 子 モ デ ル に よ る 適 合 度 を 分 析 し た 。そ の 結 果 が 図 5-3 で あ る 。. 23.
(24) 図 5-3「 需 要 要 因 の 希 少 性 」 の 確 認 的 因 子 分 析 ( 1 因 子 モ デ ル ). CMIN = 1798.123 GFI=.570 AGFI=.226 CFI=.459 RMSEA=.380 AIC=1830.123 d.f.=20 1 因 子 モ デ ル の 分 析 結 果 で は 、各 指 標 の 当 て は ま り が 悪 く 、モ デ ル と し て の 適 合 度が低い結果となった。 次 に 2 因 子 モ デ ル を よ る 適 合 度 を 分 析 し た 。 そ の 結 果 が 図 5-4 で あ る 。. 24.
(25) 図 5-4「 需 要 要 因 の 希 少 性 」 の 確 認 的 因 子 分 析 ( 2 因 子 モ デ ル ). CMIN=486.080 GFI=.825 AGFI=.668 CFI=.858 RMSEA=.200 AIC=486.080 d.f.=19 2 因 子 モ デ ル で は 各 因 子 を F1、 F2 と 記 載 し た 。 分 析 の 結 果 、 適 合 度 が 改 善 さ れ た 。 ま た 、 CMIN 値 お よ び 自 由 度 の 差 分 を 1 因 子 モ デ ル お よ び 2 因 子 モ デ ル か ら 計 算 し た と こ ろ 、 Δ CMIN=1312.403、 Δ 自 由 度 =1 と な っ た 。 カ イ 二 乗 検 定 に お い て 、 自 由 度 1 に お け る 1%有 意 水 準 の カ イ 二 乗 値 の 臨 界 点 は 、 6.635 で あ る た め 、 1%水 準で二つのモデル間で有意な差が認められた。そのため、本調査では、単一次元 性の観点から 2 因子モデルを採用することとした。 2 因 子 モ デ ル の 適 合 度 は 改 善 さ れ た が 、各 指 標 が 基 準 内 に お さ ま っ て い な い た め 、 さらにモデルの改善を検討した。改善の手法として、因子抽出の際に因子負荷量 の 低 い 項 目 を 削 除 し 、 改 め て 2 因 子 モ デ ル を 分 析 し た 。 ま た F2 を 構 成 す る 変 数 で あ る Q8S5~ Q8S9 に つ い て は 逆 転 項 目 に な る た め 。 2 因 子 モ デ ル に つ い て は 、 逆 転 項 目 で は な い 、 Q8S5~ Q8S9 を 利 用 し た 。 分 析 の 結 果 が 図 5-5 で あ る 。分 析 の 結 果 、RMSEA は 許 容 範 囲 の 0.1 未 満 に お さ ま 25.
(26) り 、 そ の 他 の 適 合 度 指 標 も 許 容 さ れ る 値 と な っ た 。 Q8S7、 Q8S8、 Q8S9 の 三 つ の 設 問 に よ り 、 F2 で 説 明 す べ き 供 給 要 因 の 希 少 性 は 網 羅 さ れ て い る た め 、 こ の モ デ ル を 内 生 変 数 側 の 構 成 概 念 モ デ ル と し て 採 用 し た 。 そ の 結 果 が 図 5-5 で あ る 。 ま た 、 以 降 の 分 析 で は 、 F1 を 「 需 要 要 因 の 希 少 性 」、 F2 を 「 供 給 要 因 の 希 少 性 」 と定義した。 図 5-5 確 認 的 因 子 分 析 ( 2 因 子 モ デ ル ) の 再 検 討. CMIN=36.833 GFI=.981 AGFI=.949 CFI=.988 RMSEA=.076AIC=62.833. 5.2.2「 知 覚 リ ス ク 」 の 測 定 妥 当 性 の 検 討 次 に 、 知 覚 リ ス ク の 各 構 成 概 念 の 妥 当 性 を 検 討 し た 。 妥 当 性 の 検 討 に は 「 5.1 分 析時における妥当性の検討」で記載した、複数の妥当性の項目をもとに検討を行 った。 はじめに「機関リスク」について、前述の妥当性の観点から、最適な観測変数を 選 択 し モ デ ル を 作 成 し た 。 そ の 結 果 が 図 5-6 で あ る 。 各 指 標 と も 基 準 値 内 の 値 で あ り 、AMOS の 分 析 結 果 に お い て も エ ラ ー 等 の 表 示 は 記 載 さ れ な か っ た 。そ の た め 、 本モデルを「機関リスク」のモデルとして採用した。. 26.
(27) 図 5-6「 機 関 リ ス ク 」 の 確 認 的 因 子 分 析 に よ る 測 定 妥 当 性 の 検 討. CMIN=.201 GFI=1.000 AGFI=.999 CFI=1.000 RMSEA=.000 AIC=16.201 そ の 他 の 構 成 概 念 で あ る 、「 パ フ ォ ー マ ン ス ・ リ ス ク 」、「 操 作 リ ス ク 」、「 製 品 リ ス ク 」、「 心 理 的 リ ス ク 」 に お い て も 、 同 様 の 分 析 作 業 を 実 施 し 、 各 構 成 概 念 を 構 成 す る 変 数 を 選 択 し た 。各 モ デ ル に お け る 信 頼 性 の 詳 細 は Appendix 資 料 5-2 に 記 載した。 次 に 「 知 覚 リ ス ク 」 の 各 構 成 概 念 間 に お け る モ デ ル の 妥 当 性 を 検 討 し た 。「 知 覚 リスク」の 5 つの構成概念を用いて、5 因子でのモデルを作成した。その結果が、 図 5-7-1、 表 5-7-2、 表 5-7-3 で あ る 。 表 記 の 簡 略 化 の た め パ フ ォ ー マ ン ス ・ リ ス ク 等 は パ フ ォ ー マ ン ス と 記 載 し 、「 リ ス ク 」 の 表 記 を 省 略 し た 。. 27.
(28) 図 5-7-1「 知 覚 リ ス ク 」 の 確 認 的 因 子 分 析 ( 5 因 子 モ デ ル ). CMIN=394.929 GFI=.940 AGFI=.922 CFI=.986 RMSEA=.049 AIC=494.929 d.f.=160 28.
(29) 表 5-7-2 各 構 成 概 念 と 観 察 変 数 と の 因 子 負 荷 量 ( 5 因 子 モ デ ル ) 非標準化係数. 標準化係数. SD. n=618. 検定統計量. 確率. パフォーマンス. -> Q3S6. 1.00. .87. パフォーマンス. -> Q3S3. 1.00. .89 .03. 30.53. **. パフォーマンス. -> Q3S2. .97. .87 .03. 29.38. **. パフォーマンス. -> Q3S1. 1.04. .91 .03. 31.97. **. 操作. -> Q4S4. 1.00. .93. 操作. -> Q4S2. .97. .90 .03. 37.64. **. 操作. -> Q4S1. .97. .91 .03. 38.58. **. 製品. -> Q5S5. 1.00. .94. 製品. -> Q5S4. 1.00. .93 .02. 46.49. **. 製品. -> Q5S3. .99. .93 .02. 46.05. **. 製品. -> Q5S2. 1.06. .96 .02. 51.42. **. 機関. -> Q6S5. 1.00. .96. 機関. -> Q6S4. .92. .89 .02. 42.55. **. 機関. -> Q6S3. .94. .91 .02. 44.79. **. 機関. -> Q6S2. 1.00. .96 .02. 59.86. **. 操作. -> Q4S5. .95. .94 .02. 42.43. **. 心理的. -> Q7S6. 1.00. 心理的. -> Q7S5. .99. .95 .02. 54.34. **. 心理的. -> Q7S4. .97. .95 .02. 54.10. **. 心理的. -> Q7S3. .99. .96 .02. 55.70. **. .95. 注 : *p<0.05、 **p<0.01. 表 5-7-3 各 構 成 概 念 間 に お け る 相 関 係 数 ( 5 因 子 モ デ ル ) 非標準化係数. 標準化係数. n=618 SD. 検定統計量. 確率. パフォーマンス. <->. 操作. .81. .41 .09. 8.69. **. 操作. <->. 製品. 1.60. .69 .12. 13.22. **. 製品. <->. 機関. 2.04. .91 .13. 15.96. **. 機関. <->. 心理的. 1.56. .72 .11. 13.90. **. 製品. <->. 心理的. 1.48. .68 .11. 13.40. **. パフォーマンス. <->. 製品. 1.10. .58 .10. 11.52. **. 操作. <->. 機関. 1.66. .70 .12. 13.55. **. パフォーマンス. <->. 心理的. .74. .40 .09. 8.63. **. パフォーマンス. <->. 機関. 1.07. .56 .10. 11.30. **. 操作. <->. 心理的. 1.49. .65 .12. 12.88. **. 注 : *p<0.05、 **p<0.01. 29.
(30) 検 討 の 結 果 、 各 指 標 は 許 容 の 範 囲 で は あ る が 、「 製 品 リ ス ク 」 お よ び 「 機 関 リ ス ク 」間 の 相 関 係 数 が .91 と 高 い 結 果 と な っ た 。こ の 2 つ の 構 成 概 念 間 に お い て 相 関 が 高 い た め 、弁 別 妥 当 性 の 観 点 か ら は 、2 つ の 構 成 概 念 を 同 時 に モ デ ル に 組 み 込 む こ と が 妥 当 で は な い 可 能 性 が あ る 。 そ の た め 、「 製 品 リ ス ク 」、「 機 関 リ ス ク 」 の 二 つ を 合 成 し た 4 因 子 モ デ ル で の 比 較 検 討 を 行 っ た 。そ の 結 果 が 図 5-8-1、表 5-8-2、 表 5-8-3 で あ る 。. 30.
(31) 図 5-8-1「 知 覚 リ ス ク 」 4 因 子 モ デ ル に よ る 検 討. CMIN=1016.760 GFI=.817 AGFI=.765 CFI=.950 RMSEA=.092 AIC=1108.760 d.f.=164 31.
(32) 表 5-8-2 各 構 成 概 念 と 観 察 変 数 と の 因 子 負 荷 量 ( 4 因 子 モ デ ル ) 非標準化係数. 標準化係数. n=618. SD. 検定統計量. 確率. パフォーマンス. ->. Q3S6. 1.00. .87. パフォーマンス. ->. Q3S3. 1.00. .89. .03. 30.54. **. パフォーマンス. ->. Q3S2. .97. .87. .03. 29.40. **. パフォーマンス. ->. Q3S1. 1.04. .91. .03. 31.97. **. 操作. ->. Q4S4. 1.00. .93. 操作. ->. Q4S2. .97. .90. .03. 37.65. **. 操作. ->. Q4S1. .97. .91. .03. 38.59. **. 製品・機関. ->. Q6S5. 1.00. .94. 製品・機関. ->. Q6S4. .92. .87. .03. 36.05. **. 製品・機関. ->. Q6S3. .95. .89. .03. 38.14. **. 製品・機関. ->. Q6S2. 1.00. .94. .02. 45.94. **. 操作. ->. Q4S5. .95. .94. .02. 42.45. **. 心理的. ->. Q7S6. 1.00. .95. 心理的. ->. Q7S5. .99. .95. .02. 54.35. **. 心理的. ->. Q7S4. .97. .95. .02. 54.08. **. 心理的. ->. Q7S3. .99. .96. .02. 55.71. **. 製品・機関. ->. Q5S2. 1.04. .93. .02. 44.69. **. 製品・機関. ->. Q5S3. .98. .90. .02. 40.68. **. 製品・機関. ->. Q5S4. 1.00. .91. .02. 41.87. **. 製品・機関. ->. Q5S5. 1.00. .92. .02. 43.77. **. 注 : *p<0.05、 **p<0.01. 表 5-8-3 各 構 成 概 念 間 に お け る 相 関 係 数 ( 4 因 子 モ デ ル ). n=618 検定統. 非標準化係数. 標準化係数. SD. .81. .41. .09. 8.69. **. 計量. 確率. パフォーマンス. <->. 操作. 製品・機関. <->. 心理的. 1.52. .72. .11. 13.81. **. 操作. <->. 製 品・機 関. 1.64. .71. .12. 13.56. **. パフォーマンス. <->. 心理的. .74. .40. .09. 8.63. **. パフォーマンス. <->. 製 品・機 関. 1.09. .59. .09. 11.61. **. 操作. <->. 心理的. 1.49. .65. .12. 12.88. **. 注 : *p<0.05、 **p<0.01. 5 因子モデルと比較して 4 因子モデルでは、適合度が悪化した。また、5 因子モ デ ル お よ び 4 因 子 モ デ ル 間 に お い て 、CMIN 値 お よ び 自 由 度 の 差 を 計 算 し た と こ ろ 、 そ れ ぞ れ の CMIN の 差 分 と 自 由 度 の 差 分 は 、Δ CMIN=621.831 Δ 自 由 度 =4 と な っ た 。 カ イ 二 乗 検 定 に お い て 、 1%有 意 水 準 の 臨 界 値 を 超 え て い る た め 、 二 つ の モ デ ル 間 32.
(33) に は 、1%水 準 で 有 意 な 差 が 認 め ら れ た 。4 因 子 モ デ ル で は 適 合 度 が 悪 く 、ま た 有 意 な 差 が 5 因 子 モ デ ル と 比 較 し て あ っ た 。5 因 子 モ デ ル で は 、製 品 リ ス ク と 機 関 リ ス クの相関は高い結果となったが、同一の因子として扱うほどの一致はしていない と判断できるため、弁別妥当性は確保できたと判断した。そのため、適合度の良 い 図 5-7-1 の 5 因 子 モ デ ル を 知 覚 リ ス ク 側 の モ デ ル と し て 採 用 し た 。 5.2.3 構 造 方 程 式 モ デ ル の 検 討 内生変数側は 2 因子モデルを採用し、また外生変数としての知覚リスク側は、5 因 子 に よ る 構 造 方 程 式 モ デ ル を 作 成 し た 。 そ の 結 果 が 図 5-9 で あ る 。. 33.
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