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論文審査結果の要旨

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Academic year: 2022

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氏 名 授 与 し た 学 位 専攻分野の名称 学 位 授 与 番 号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文の題目

論 文 審 査 委 員

赤星 彰也 博 士 工 学

博甲第5356号 平成28年 3月25日

自然科学研究科 化学生命工学専攻

(学位規則第5条第1項該当)

Novel photoresponsive molecules toward photodynamic therapy and protein biosynthesis photocontrol

(光応答性分子を用いた光線力学的療法と蛋白質合成の光制御)

教授 大槻 高史 教授 世良 貴史 准教授 二見 淳一郎

学位論文内容の要旨

生体の治療や細胞機能制御のために人工的に反応を起こすとき、特定の領域で、任意のタイミングでの み反応を起こし制御することが望ましい。これまでにも熱感受性やpH感受性等の物質を用いる系が開発さ れており、その中でも、光反応性物質を用いる系は最も多い研究例の1つである。そこで私は、この光反応 性物質に着目し、以下の2つの研究を行った。

①当研究室で開発された 4 塩基コドンを用いる位置特異的非天然アミノ酸導入法をさらに応用し、光照 射特異的に目的蛋白質内の狙った位置に非天然アミノ酸を導入した。蛋白質合成に用いられるアミノアシ ルtRNAは中性水溶液中で不安定であり、翻訳反応に用いられない限り、30分程度でアミノ酸とtRNAに 分解される。この分解を防ぐために、アミノアシルtRNAに光反応性保護基を付加させたもの(ケージドア ミノアシルtRNA)を作製した。この保護基により水溶液中でもアミノアシルtRNAは分解されず、また、こ の保護基は光照射で外すことが可能である。光反応性保護基で保護した非天然アミノ酸に光照射を行った ところ、光照射時間に依存して保護基が外れた。また、4塩基コドンを含むmRNAを用いてin vitro翻訳を 行ったところ、光照射した場合のみ蛋白質が合成された。これらの結果から、ケージドアミノアシルtRNA による蛋白質合成の光制御が可能なことを実証した。

②DDSとは、「必要な場所に、必要な時に、必要量の薬剤を運ぶ」という概念であり、近年、ラクトソーム と呼ばれる高分子ミセルが開発された。このラクトソームは生分解性ポリマーから成る自己集合体であり、

細網内皮系を回避、EPR 効果を通して腫瘍に蓄積する。本研究では、このラクトソームに細胞膜透過性ペプ チド(CPP)を付加させ、より効率よく細胞内に取り込ませる(=薬剤吸収促進)機能を持たせた。また、光 増感剤であるテトラフェニルポルフィリンも搭載した。細胞導入実験の結果より、CPP を付加したラクトソ ームが細胞内に取り込まれやすいことを確認した。さらに、細胞内に導入した後に光照射を行うことで、光 照射特異的な細胞傷害を確認した。これらの結果から、CPP を担持させることでより効率良く細胞内に導入 することができ、さらに光を用いて特異的に細胞傷害を起こせることを実証した。

(2)

論文審査結果の要旨

本研究は、生体の治療や細胞機能制御のために人工的に反応を起こすとき、光刺激に応じて目的部 位のみで引き起こす方法の開発を目指して行われたものである。大きく分けて、以下の 2 つの研究が 行われた。

①アミノアシル tRNA に光反応性保護基を付加したケージドアミノアシル tRNA を用い、光照射し た時空間に特異的な蛋白質合成誘導法を開発した。ケージドアミノアシル tRNA の保護基は、分解の 早いアミノアシル tRNA を蛋白質合成反応開始時期まで保護しておく役割も持っていた。このケージ ドアミノアシル tRNA に光照射を行ったところ、光照射時間に依存して保護基が外れ、活性なアミノ アシル tRNA となった。また、光照射した場合のみ蛋白質が合成され、ケージドアミノアシル tRNA が 運ぶアミノ酸が蛋白質に導入されることが分かった。これらの結果から、ケージドアミノアシル tRNA による蛋白質合成の光制御が可能であることが実証された。

②必要な場所に、必要な時に、必要量の薬剤を運ぶドラッグデリバリーシステムの1つとして、近年、

ラクトソームと呼ばれる高分子ミセルが開発された。このラクトソームは生分解性ポリマーから成る自 己集合体であり、細網内皮系を回避、EPR 効果を通して腫瘍に蓄積する。本研究では、このラクトソー ムに細胞膜透過性ペプチド(CPP)を付加させ、より効率よく細胞内に取り込ませる機能を持たせた。

また、光増感剤であるテトラフェニルポルフィリンも搭載した。細胞導入実験の結果より、CPP を付加 したラクトソームが細胞内に取り込まれやすいことを確認した。さらに、細胞内に導入した後に光照射 を行うことで、光照射特異的な細胞傷害を確認した。これらの結果から、CPP を担持させることでより 効率良く細胞内に導入することができ、さらに光を用いて特異的に細胞傷害を起こせることを実証した。

これらの研究成果は、生命工学および医用生命工学とって有用な知見と方法論を提供するものだと考

え、学位審査委員会は学位論文の内容,公聴会による発表内容等を総合的に判断し,本論文は博士(工

学)に値するものと判定した。

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