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博士論文審査報告書

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学大学院 先進理工学研究科. 博士論文審査報告書. 論. 文. 題. 目. 超高周波用三次元高密度実装のための ダイレクト金めっきを用いた低応力接合技術 Low stress bonding technology using direct immersion gold for ultra-high frequency and high density three-dimensional package. 申. 請. 者. 乃万. 裕一. Hirokazu ナノ理工学専攻. NOMA マイクロシステム研究. 2018 年 7 月.

(2) 本 論 文 は 、超 高 周 波 用 三 次 元 高 密 度 実 装 を 目 的 と し た ダ イ レ ク ト 金 め っ き を 用いた低応力接合技術について述べたものである。 半導体素子の単一チップ面内での微細化が限界に達し、貫通シリコン電極 を用いた集積回路の三次元実装がメモリ分野などで本格化している。一方、 次 世 代 5G 通 信 な ど で は 超 高 周 波 帯 域 で も 実 用 に 耐 え う る 三 次 元 実 装 技 術 が 待 望 さ れ て い る 。次 世 代 の 三 次 元 実 装 に お い て は 以 下 の 点 が 要 求 さ れ て い る 。 シリコン積層チップ構造において電気的特性を向上するため、接合部分を薄 くしチップ間の距離を縮める。低誘電率層の保護のため積層チップと有機パ ッケージ基板の熱膨張係数の違いに起因する接合時の熱応力の問題を解決す る。パッケージ基板の両面にチップを接合する際に銅パッド表面の酸化を防 止する。インピーダンスミスマッチを防ぎ、チップ内の高周波信号特性を向 上させるため接合部材料を単一化する。本論文で著者は、ダイレクト金めっ きによる低応力接合技術を用いることで次世代の三次元実装を実現する上で の課題を解決することを提案している。ダイレクト金めっきとは、銅に対し てニッケルバリア層を介さず、直接置換還元金めっきを行うものである。こ の方法は銅パッドのダイレクト接合に適用でき、微細なピッチの接合にも適 しており、接合前の酸化膜除去を必要としないなど工程を大幅に削減できる というメリットもある。著者は、新たに開発した低応力接合技術を三次元高 密度実装の実現上不可欠な①積層チップと有機パッケージ基板の接合、②チ ップ間の低背接合、③フリップチップを用いた両面実装に適用し、その効果 を実証した。本論文はこれらの成果をまとめたもので、全5章で構成されて いる。 第1章「序論」では、超高周波用三次元高密度実装の必要性の背景、従来 の三次元積層化技術、および後工程の要素技術の有効性とその課題を纏め、 本研究の目的について述べている。 第2章「ダイレクト金めっきを用いた低応力接合」では、銅ピラーを用い た フ リ ッ プ チ ッ プ に お け る リ フ ロ ー 接 合 工 法 の ま ま で 、 低 誘 電 率 層 ( Low-k 層)を保護できる銅ピラー・はんだ接合構造を実現している。シリコン積層 チップを有機パッケージ基板に実装する際には、チップの電気特性を向上さ せ る た め に 使 わ れ る L o w - k 層 を 保 護 す る こ と が 重 要 と な る 。従 来 は チ ッ プ 側 の銅ピラーなどの設計寸法やリフローの温度プロファイル等工程条件を最適 化 す る 方 法 が 取 ら れ て き た 。し か し 、究 極 的 な Low-k 層 で あ る エ ア ・ ギ ャ ッ プ技術を用いるにはさらなる技術開発が要求される。そこで、著者ははんだ 形 状 を 最 適 化 す る こ と で L o w - k 層 へ の 応 力 を 低 減 す る こ と を 考 え 、は ん だ の 基板側のパッドへの濡れ性を考慮し、基板側の銅パッドをダイレクト金めっ き処理することを提案している。ダイレクト金めっきを用いることで、はん だが銅パッド上に広く濡れ広がり、接合部周辺に残るはんだ体積が減ること を実験により実証した。有限要素法で構造解析を行った結果、接合部周辺の はんだ体積が少ないダイレクト金めっき処理の方が、有機防錆被膜処理の場 1.

(3) 合 よ り も L o w - k 層 へ の 応 力 を 約 1 5 % 低 減 で き る こ と が 分 か っ た 。こ の 結 果 は 、 ダ イ レ ク ト 金 め っ き を 施 す こ と で よ り 誘 電 率 の 低 い L o w - k 層 を 活 用 で き 、周 波 数 帯 を 約 18%広 げ る こ と が 可 能 で あ り 工 学 的 意 味 が あ る 。 第3章「ダイレクト金めっきを用いたチップ間低背接合」では、超高周波 用三次元高密度実装に必要となる銅パッド同士の接合へのダイレクト金めっ きの応用について述べている。従来はパッド表面の平坦化並びにパッド表面 の銅酸化膜の除去が必要であった。著者は銅表面を柔らかい金で被覆でき、 かつ銅表面の酸化を抑止できるダイレクト金めっき膜を中間層として適用す る こ と を 提 案 し て い る 。 上 側 チ ッ プ ・ 下 側 チ ッ プ に そ れ ぞ れ 高 さ 1.5 m の 平 面 状 の 銅 薄 膜 を 形 成 し た 上 に 、 厚 さ 0.2 m の ダ イ レ ク ト 金 め っ き を 施 し た も の を 試 料 と し た 。こ の 金 表 面 同 士 を 温 度 条 件 3 5 0 ℃ 、試 料 同 士 の 加 圧 条 件 10 MPa、大 気( 0.1 MPa)雰 囲 気 下 で 接 合 し た 結 果 、シ ェ ア 試 験 で は シ リ コンのバルク破壊を起こすほどの強度が得られた。また、透過電子顕微鏡で 観 察 を 行 っ た 結 果 、 界 面 に 局 所 的 な サ イ ズ 0.2 m の ボ イ ド 観 察 さ れ る 程 度 の密着性が確認できた。接合は以下の3段階で進行すると考えた。第1段階 の加熱環境下で銅上にある金同士が接触し、金が塑性変形し表面粗さを吸収 し平坦化する。第2段階の加熱・加圧環境下で金同士が固相拡散接合を起こ す。第3段階の加熱環境下で金が銅の中へと拡散し、擬似的な銅のダイレク ト 接 合 が 形 成 さ れ る 。実 験 か ら 厚 さ 0 . 2  m の ダ イ レ ク ト 金 め っ き を 施 せ ば 、 表 面 粗 さ Rz0.4 m( 最 大 粗 さ ) を 吸 収 し 、 良 好 な 接 合 が 実 現 で き る こ と が 示唆された。この手法では銅の直接接合で要求されるナノメートルレベルの 平坦化が不要となる。また、ニッケルバリア層やはんだも必要がなくなり接 合 高 さ を 約 3 m と 大 幅 に 低 減 で き る 。 本 研 究 は 、 銅 層 の 厚 さ を さ ら に 薄 く す る こ と も 可 能 で 提 案 し た 手 法 に よ り 、 m レ ベ ル の 接 合 高 さ を 実 現 で き る ことを世界に先駆けて実証しており工学的価値が高い。 第4章「銅パッド表面処理の最適化による両面実装」では、フリップチッ プを用いた両面実装へのダイレクト金めっきの応用について述べている。著 者は、銅パッド表面に有機防錆被膜を用いる場合、銅パッドに無電解スズめ っきおよびダイレクト金めっきによる表面処理を用いる場合の3種を微細ピ ッチのフリップチップに適用して比較検討を行っている。両面実装の工程で は、一面目の実装時の熱が二面目にもかかるため、有機防錆被膜を用いた場 合、表面の酸化、有機防錆被膜と銅の結合状態の変化、有機防錆被膜のフラ ックスによる除去の有無が問題となる。金属表面処理に関しては、表面の酸 化および表面処理した金属と銅間の拡散が問題として挙げられる。有機防錆 被 膜 処 理 で は 、厚 み が 分 子 層 レ ベ ル で 分 解 温 度 が リ フ ロ ー 温 度 以 下 の も の と 、 厚 さ 0.3 m で 分 解 温 度 が リ フ ロ ー 温 度 以 上 の も の と を 用 い て 実 験 を 行 っ た 。 ま た 、金 属 表 面 処 理 に 関 し て は 、1.2 m 厚 さ の ス ズ め っ き 、0.03 m お よ び 0.06 m の ダ イ レ ク ト 金 め っ き を 施 し た も の に つ い て 実 験 を 行 っ た 。 有 機 防 錆被膜に関して、分解温度がリフロー温度以下のものでは、はんだが銅パッ 2.

(4) ド表面に均一に濡れているのに対して、リフロー温度以上のものでは部分的 に濡れていないことが観察された。これは、一面目の実装時の熱で有機防錆 被膜の銅パッド表面への結合が強くなり、二面目の実装時のフラックスに溶 けなくなったためと考えられる。スズめっきによる表面処理を用いた場合、 はんだが銅パッド上に濡れていない箇所があることが確認された。これは一 面目の実装時の熱で界面合金層が成長し、リフロー時に溶融しなくなったた めと考えられる。ダイレクト金めっきによる表面処理を用いた場合に関して 厚 さ 0 . 0 3  m の 金 め っ き で は 、は ん だ 接 合 が 十 分 で は な い こ と が 電 気 的 な 導 通 試 験 か ら 明 ら か に な っ た 。 一 方 、 厚 さ 0.06 m の ダ イ レ ク ト 金 め っ き に お いて電気的な導通が確保されており、かつパッド表面へのはんだの濡れが十 分であることが接合断面の光学顕微鏡観察で確認された。この結果は、微細 ピッチフリップチップ両面実装へのダイレクト金めっきの応用が有効である こ と を 世 界 で 初 め て 実 証 し て お り 、こ の 研 究 の 工 学 的 価 値 を 示 す も の で あ る 。 この方法を実用化する場合は、加熱処理に関するプロセスマージンを十分に 確保することが重要となるため、ダイレクト金めっきの厚さを厚くするなど の最適化が必要である。今後、フリップチップ両面実装の微細化がさらに進 むと、はんだブリッジを生じにくいダイレクト金めっきが有機防錆被膜より も圧倒的に有利となる。 第5章「結論と今後の展望」では、本研究の成果を総括し、今後の応用も 含めた展望について述べている。 以上、本論文において著者は、ダイレクト金めっきを用いた低応力接合技 術の三次元高密度実装への応用手法を確立した。本研究で構築した工学は高 密 度 集 積 回 路 お よ び 超 高 周 波 回 路 用 三 次 元 高 密 度 実 装 の み な ら ず 、 IoT 等 で も幅広い実装に応用でき、半導体工学、電子工学、通信工学をはじめとする 様々な分野への多大な貢献をなし、今後の実用的なマイクロ/ナノシステム 作製に寄与するところが大きい。よって、本論文は博士(工学)の学位論文 として価値のあるものと認める。 2018 年 6 月 審査員(主査)早稲田大学教授. 工学博士(東北大学). 庄子. 早稲田大学教授. 工学博士(早稲田大学). 川原田. 早稲田大学教授. 博士(工学)早稲田大学. 渡邉. 孝信. 水野. 潤. 早稲田大学教授. 博士(工学)東北大学. 3. 習一. 洋.

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