• 検索結果がありません。

映画「ブタがいた教室」による観客の意識変容

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "映画「ブタがいた教室」による観客の意識変容"

Copied!
10
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

映画「ブタがいた教室」による観客の意識変容

上 薗 恒太郎

Change of consciousness in audiences by viewing the movie

"Classroom with a Pig"

Kohtaro KAMIZONO

長崎大学教育学部紀要−教育科学− 第75号 別刷 2011年3月

Reprinted from Bulletin of Faculty of Education

Nagasaki University : Educational Science, No. 75 (2011)

(2)

映画「ブタがいた教室」による観客の意識変容

上 薗 恒太郎

Change of consciousness in audiences by viewing the movie

"Classroom with a Pig"

Kohtaro KAMIZONO

Ⅰ はじめに

映画を見ると、心が動く。その動きが道徳的であるならば、映画は道徳教育の役割を果 たしている。映画を見て観客の意識はどのように動くのか、そのアセスメントが本論の役 割である。

2010年11月4−6日にセントルイスで開かれたAME(Association for Moral Education)

の大会で、映画による道徳教育を考えるシンポジウムが開かれた。そこでは映画が道徳教 育の素材として使えると、3つの映画を例に語られた。映画を道徳の素材として使えると 説明する際、どのような語り方が行われているかに注目すると、○映画の筋を説明する、

○映画の意味を説明し、教育上の意義を解説する、○役者の台詞を紹介する、○他の映画 と比較する、○ビデオクリップで映画の一部を見せる、という方法がとられた。このほか 映画を薦める際には、○映画の制作意図を解説する、○映画に現れるエピソードを紹介す る、○映画制作過程での俳優のエピソードを語る、○映画を見た人の感想を紹介する、と いった方法がとられる。

映画の意義を語るには、こうした方法だけだろうか。というのも、映画を薦める際に挙 げた後者の4つは映画制作者の意図または制作過程での興味ある話の紹介であって、期待 はもたせるものの、映画を見た後の評価は観客にゆだねられている。これらはむしろ、映 画を見る前の情報または映画をより深く見るための情報として意味をもつ。

シンポジウムの席上で使われた前者の5つの方法は、映画を見た後の話である。しかし 観客は基本的に話者一人であり、観客全体の意識がどう動いたかではない。話者の話は、

聴衆にとって、自分もそう思う、自分にとって新しい見方だ、そういう映画の面もあった か、違うのではないかと、賛意を表するか、新しい意味付与として受け取るか、あるいは 不賛成だと思うか、映画を見た者同士の個別の対話になる。

こうした語りには、2つの弱点がある。一つは映画を見ていない者にとっては、そうで

すかと聞くほかない状態に置かれる。実は、アメリカ合衆国の映画を例に話された筆者と

しては、映画を知らないか、知っていても日本語の映画タイトルとしてどの映画の話かわ

からない状態に置かれた。もう一つは、ここでの話が基本的に一人称の映画、つまり「私

にとってこの映画は・・・」という話であり、観客全体にとってどのような意義があるかの根

拠は薄い。観客全体の意識をどう動かしたかよりも、どう見るべきかを語っている。映画

についての一人称の語りは、意味の解説をしてよりよくわかるために、映画の深い意味受

(3)

長崎大学教育学部紀要−教育科学− 第75号

容にはいいのだが、そして一人でも感動してくれる人がいるならいいとつぶやくのならば、

それでいい。それはしかしマニアックな世界ではあり得ても、映画は大衆芸術だという言 い方に妥当か、大勢の人の受けとり方として妥当かは別であろう。

映画を見ての感想を語り合うことは、それはそれで楽しいから、映画の意味を個人にと っての意味交換のつながりに求めていい。しかし、一人称の感想のつながりは、個人の趣 味の域を出ず、映画が観客に影響力を発揮する社会的な意義を見えなくする弱点がある。

公教育において見せる意義のある映画と主張するには実際の影響が語られない弱さが残る。

映画の教育上の意義を示すとき、観客全体にとっての意味によって語る必要があろう。

ヒットしたときに、映画が社会現象として意味をもつけれども、ブームの解説はできて も、観客へのどのような影響によってブームが生じたのか、観客の意識がどのように動い た映画なのか十分に解明されてきたとは言い難い。観客動員数が多ければ結果としていい、

それでいい、映画がどのように受け取られたかは一人一人の問題であってわからない、と 言わない限り、冷静な分析が必要である。とくに映画を教育に用いるとき、影響をあらか じめ分析しておく必要があろう。

映画が観客にどのような心の動きをもたらすのかは、教育を意図する以上欠かせない。

それは例えば「赤ずきん物語」が、母親にとっては親の言うことを聞かないとひどい目に 遭いますよという教訓物語として子どもに与えられるとしても、子どもが心を動かしてい るのはオオカミと女の子のベッドシーンであるとなると(子どもの時の赤ずきんの印象を 思い起こすと、教訓の部分ではないことがわかるだろう)、それは意図した効果をもたら さない物語になる。実は赤ずきんは、大人の意図と子どもの受け取りとがずれていること によって、それぞれに受け入れられている

1)

。その程度の大人と子どもの意識のずれはか まわない、おおらかであっていいとも言えるが。

映画による意識変容が探索されていいだろう。主人公のかっこよさが印象に残り、スト ーリーは記憶に残らないとしても、大人にとって影響は自己責任で処理する範囲であって もいいのだが、一人称の感想を並べる水準から抜け出した評価が行われていい。映画は、

多くの人の意識を動かすのだから、言いかえれば社会的影響があるのだから。映画の子ど もへの悪影響の排除は、セックスや暴力シーンがあるかによって、つまり映画の一つのシ ーンの是非によって判断されて、全体としての意義によっては判断されにくい傾向を考え ても、観客の意識に上る全体としての映画の影響によって考える必要がある。映画をみん なで見るのは、社会的な場を設定することだから。

とはいえ、観客全体の意識への影響となると、適当なアセスメントの技法がなかった点 が大きな要因として浮かび上がる。その点で、連想法が、観客の意識変容を知るために使 える。そこで、ここでは連想法によって「ブタがいた教室」による観客の全体としての意 識変容を明らかにしたい。

ここで映画「ブタがいた教室」はそもそも、という解説からはじめると、つまりこの映 画がいのちと食に関わる道徳教育の一環として行われた大阪での実践に基づいていると語 りはじめると、映画制作者の意図を語ることになるし、かといって筆者が考える映画の意 義を語りはじめると一人称の映画論を展開する従来の語りから抜け出ない。そこで本論は 従来の語りを省略して、いのちと食について観客の意識がどのように動いたかを端的に示 したい。映画によって観客の意識がどう動いたか、全体像を示す語り方である。観客一人 一人の意識の動きを埋め込んで、全体像を語る。

2

(4)

0 1 2 3 4 5 6 7 8

年齢

人数

「ブタがいた教室」長崎観客の年齢層

Ⅱ 方法

取り上げる映画は「ブタがいた教室」である。この映画を見た長崎市内とその近郊の 120名ほど(映画前後の出入りなどにより人数に動きがある)を対象に映画の前後に連想 調査をおこなった。これによって観客の思いの多くをすくい上げることができる。連想が すくいあげるのは、アンケートや感想文として形をとる前段階のさまざまな思いである。

連想法は、文章にしあげるために拾われなかった思いを含めて、頭をよぎった多くの言葉 を集める利点がある。本論では、連想調査で提示した言葉のうち映画を代表する提示語〈ブ タ〉、またこの映画のテーマを構成する〈いのち〉と〈食べる〉について、映画前後の回 答語の変化を見る。連想調査は、提示語1語について50秒で思いつく言葉を自由に思い つくだけたくさん書いてもらう単一自由連想を用いた。連想法が何であるかの説明は『連 想法による道徳授業評価 ―教育臨床の技法―』

2)

に任せたい。

「ブタがいた教室」を見た観客の平均年齢は45.3歳、8歳から75歳に及ぶ。年齢構成を 図1に示した。観客の男女別では女性が多く、性別不明を除く111名のうち89.2%を占め る。その意味では、全体は女性の応答に偏っている。

以下の叙述で連想の提示語を〈 〉、回答語を「 」、回答語を分けるカテゴリを《 》 で示す。以下、単一自由連想からつくられた連想マップを示して、観客の意識変容を見る。

Ⅲ 連想調査結果

Ⅲ−1 ブタ

映画を見る前の観客にとって〈ブタ〉は、「ピンク」(回答者数比、以下同様、35.7%)

で「かわいい」(31.3%)存在であった(図2)。回答語「肉」(26.8%)「豚肉」(16.1%)

を合計すると観客の42.9%あり、ブタは何よりも食生活を支える肉として「おいしい」 (9.8

「ブタがいた教室」長崎試写会の観客構成

図1 観客の年齢構成(年齢不明者を除く)

人  数 平均年齢 最小年齢 最大年齢

110人 45.3 8 75

「ブタがいた教室」長崎の観客の年齢構成

(5)

かわいい ピンク

臭い 豚肉

太っている

白 おいしい きれい好き

しっぽ

食べる

子豚

ブーブー 動物

肥満 トンカツ

ベイブ

豚小屋

家畜

食べ物 大きい

鳴き声子豚は可愛い

シャブシャブ ペット

汚い 黒豚

飼育

小屋

太い

いのしし

インフルエンザ エサ

ピッグ ブー ブウブウ

汚れている 角煮

雑食

美味しい

養豚場 うるさい

すき焼

スブタ たくさん ブヒブヒ 泣く

ミニブタ ロース 沖縄 飼料 小さい 焼ブタ

食べられる 食肉

清潔 清潔好き

貯金箱田舎 豚カツ

豚汁 豚足

肉はおいしい 肥えてい

鼻が大き

牧場

命 3匹の子 Pちゃん愛らしい イスラムあだ名 いのししいたずら イベリコブ うまいいやし おいしそううんこ おとしぶ遅い お尻おばあ カツ鹿児島の カナダ産カツ丼 カレーカルビ カレーライ キャラク感謝 くさいイきれい 子どもくわ焼 飼育小屋サゴジョ しっぽがしっぽが セロトニン集団 タン ちょっと臭 つぶらな トリュフトラック トン足鳥山敏子 寝る寝ころぶ のろいのいた教 肌色バーク 鼻の形がバッグ 低いハム ビタミンBビタミン ビタミンB1 ひれ肉がヒレカツ ヒンドゥー ふくよかブキー!

ブタのしっ ブタの耳ブタの顔 ふとっちょブタの鼻 ブヒブヒの ぷりぷりし ペットになベーコン ほ乳類ポークカ マスコット まんまる丸いシッ みにくいもミニ やぼった目 ヨタヨタ柔らかい

ラードランタンワラ愛すべき愛らしい愛情移植育てる雲仙映画栄養的に栄養満点仮屋崎さ絵本汗かき汗腺がな丸いしっ丸々とし泣き声金空恵み幸福黒黒いのも今人気が最後は殺私脂肪飼いたい耳自然鹿児島弱者種ブタ臭う小さい頃小さい目少しかわ少しよご少し毛が笑顔色色白食べたら食物食欲旺盛食料親子のブ酢豚水浴びが生命生姜焼赤と白草走る大変沢山短足蛋白質爪 動物園豚しゃぶ豚肩うす

豚肉おい農業 白豚肥る怖い

服のデザ母 放牧本でみる

毛がはえ毛が短い 野原油

友だちの養豚 料理炒めもの

かわいい

食べる

ピンク Pちゃん

生き物

ペット 大きい 生きる

きれい好き

トンカツ 子ども

おいしい

飼う 臭い 食 人なつっこい

生命 大切

動物

鳴き声 おしり シッポ

トマト

飼育

食物

白 育てる

食肉

食肉センター 生きている

豚肉

友だち

ありがとう 泣く よく食べる 感謝 愛情

丸い 元気 残飯 死 小さい

食べられる 食べ物

食料

人の命のもと成長 清潔

生物

太っている

大きくなる

命がある

6年2組

生きもの

いつくしむ いとしい おもしろい キャベツ きずな

繊細 むだにしない やさしい 柔らかい 愛らしい 感情がある

食事 食欲

食欲旺盛 神経質

太い

大変 仲間 肥る

鳴く 目

料理

力が強い

涙 6年生 あいきょう 足が速い温かい 頂くいただき イノシシいつか死 いやされ命の素 ウマいやし うんちうまい エサ代エサ おとなしおちゃめ おもしろおばあ かえる飼うのは 飼ってみかけがえ かわいそ悲しい キーキーかわいそ きれいにきれい くいしんぼ コラーゲごめんね 殺すのが殺す 使命シッポが たくさん食 たくましい チャンポ食べる肉 つま先歩中国 でかい デリケート トリどっしり トン足どろんこ と殺 なんでもなくては 肌色におい ヒールハム ヒツジひき肉 ひょうきんひづめ ブーと鳴く ブタの知ブーブー プヨプヨブタも食 ふわふわふれあい ポークソフン 焼き肉ボールの やらせやはり食 汚れていユーモア 輪廻ラード 愛情がわ愛される 案外とき愛嬌 引き継ぐ一生懸命 運命運動場 沖縄運命(宿 楽しませ家畜 気持ち顔が長い 牛肉牛 共存教えてく

教室金恵み健康見た目が現実と理言葉考える黒最後は食細い足雑食残すこと子どもた子どもと子ども達子豚私たちと飼主耳種蓄場寿命臭いにお臭くない小さい命小さな目小屋情がある食べない食べもの食べられ食べられ食べられ食べられ食べるた食べれな食肉とな食物とし心心のより親しみが身体に良人人思い人とのか人間人間くささ人間と同人間に人間に食人間のた人類世話世話をす星清潔感が生生かされ生きがい生きるた生き物と生涯生活生命力生姜焼き走る尊い太る体にとて大きくなっ大人大切に頂蛋白質長く生きら長生き頭がいい動く豚舎豚汁 肉として肉を食す農業

農場肥満 美味しい平等

歩く命のもと 命の大切命もある 命を支え目が小さ 役割役者 養豚 丸い

ブヒー とさつ

成長が早い

7.077 エントロピ 6.847 エントロピ 連想マップ(Association Map)

Date:2009年4月25日

「ブタがいた教室」長崎試写会前  Cue Word : ブタ

produced by K. Kamizono

Module Version 4.01, Programmed by T. Fujiki 2006.08

回答語 回答語数 回答者数比百分率 ピンク

かわいい 肉 臭い 豚肉 鼻 太っている 白 おいしい きれい好き しっぽ 食べる 子豚 ブーブー 動物 肥満 トンカツ ベイブ 食 豚小屋 家畜 食べ物 大きい 鳴き声 子豚は可愛い シャブシャブ ペット 汚い 丸い 黒豚 飼育 小屋 太い いのしし インフルエンザ エサ ピッグ ブー ブウブウ 汚れている 角煮 牛 雑食 美味しい 養豚場

(2 語以下省略)

40 35 30 23 18 18 15 12 11 10 8 8 7 7 7 7 6 6 6 5 5 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 588

35.7%

31.3%

26.8%

20.5%

16.1%

16.1%

13.4%

10.7%

9.8%

8.9%

7.1%

7.1%

6.3%

6.3%

6.3%

6.3%

5.4%

5.4%

5.4%

4.5%

4.5%

4.5%

4.5%

4.5%

3.6%

3.6%

3.6%

3.6%

3.6%

3.6%

3.6%

3.6%

3.6%

2.7%

2.7%

2.7%

2.7%

2.7%

2.7%

2.7%

2.7%

2.7%

2.7%

2.7%

2.7%

回答者数:112名、回答語種数:234種類、回答語総数:588語

連想マップ(Association Map) Date:2009年4月25日

「ブタがいた教室」長崎試写会後  Cue Word : ブタ

produced by K. Kamizono

Module Version 4.01, Programmed by T. Fujiki 2006.08

回答語 回答語数 回答者数比百分率 かわいい

命 食べる 生き物 ピンク P ちゃん 肉 ペット 大きい 生きる きれい好き トンカツ 子ども おいしい 臭い 飼う 食 人なつっこい 生命 大切 動物 鳴き声 おしり シッポ トマト 飼育 食物 白 育てる 食肉 食肉センター 成長が早い 生きている 豚肉 鼻 友だち ありがとう 泣く よく食べる 愛情 感謝 丸い 元気 残飯 死 小さい 食べられる 食べ物 食料 人の命のもと 成長 清潔 生物 太っている 大きくなる 命がある

(2 語以下省略)

56 48 19 17 16 15 12 9 9 8 7 7 7 6 6 6 6 6 6 6 6 6 5 5 5 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 646

45.5%

39.0%

15.4%

13.8%

13.0%

12.2%

9.8%

7.3%

7.3%

6.5%

5.7%

5.7%

5.7%

4.9%

4.9%

4.9%

4.9%

4.9%

4.9%

4.9%

4.9%

4.9%

4.1%

4.1%

4.1%

4.1%

4.1%

4.1%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

10語以上の増減

+21

+46

+11

+17

−24

+14

−18

−17

−14

−14 回答者数:123名、回答語種数:271種類、回答語総数:646語

長崎大学教育学部紀要−教育科学− 第75号

%) ( 「美味しい」と合わせると12.5%)と意識されていた。ブタの特徴として「臭い」 (20.5%)

「鼻」(16.1%)「太っている」(13.4%)「白」(10.7%)いイメージがあった(図2)。

連想法による連想マップでは、多くの人が答えた言葉が大きな円の中心に位置するように 設計されている。

4

図2 提示語〈ブタ〉映画の前

図3 提示語〈ブタ〉映画の後

(6)

映画を見た後、観客の〈ブタ〉のイメージが変わる。図3を見ると、〈ブタ〉は主人公

「Pちゃん」 (回答者数比12.2%、14語増加)の故であろう、何より「かわいい」(45.5%、

21語増加)存在になった。「かわいい」の表現には、女性の多い観客構成が反映している だろう。〈ブタ〉は、特に「命」(39.0%、46語増加)を観客に意識づけた。「命」はこの 映画によってブタについて最も増加した意識を表す言葉である。加えて〈ブタ〉は「生き 物」(13.8%)であるとの意識が映画を見た後新たに出現し、また「食べる」(15.4%、11 語増加)との事実を浮き上がらせた。

〈ブタ〉が「肉」(18語減少)や「豚肉」(14語減少)だとの意識、また「ピンク」(24 語減少)「臭い」(17語減少)「鼻」(14語減少)の特徴を想起することは少なくなった。

意識が「かわいい」「命」に集約されていった一方で、映画の後観客には多様な思いが よぎったように見える。回答者数の映画前後の違いを相殺するために、1人あたりの回答 語数を計算すると、5.250から5.252になっており、回答語の数はさほど変化していない。

しかし、一人あたり回答語種数は2.089から2.203に増加しており、回答語の種類の増加 がこの映画の後におこり、エントロピの増加(6.847から7.077に)すなわち回答語の散 らばりぐあいが大きくなっている。

映画は観客にブタのかわいさといのちを印象づけ、一般的なブタの特徴を思い起こすよ りも、いのち、すなわち生き物を食べていることを思い起こさせている。

Ⅲ−2 いのち

映画が観客にブタのいのちを印象づけたのならば、観客のいのちの意識が変わったのか を、提示語〈いのち〉の連想(図4、図5)によって見たい。

提示語〈いのち〉による連想マップは、〈ブタ〉の連想マップのような劇的な変化は見 せていない。回答語の第1位は変わらず「大切」である。とはいえ〈いのち〉が「大切」

(11語減少)「尊い」(6語減少)「大事」(7語減少)「1つ」(4語減少)といった、い のちの大切さを表現する言葉は軒並み減少している。しかしもし映画を見た観客に、いの ちは大切だと思いますかと質問すると、大切だと思う人が少ないとは思えない、つまり価 値意識の構造転換が起っているわけではないようだ。また〈いのち〉と対比した回答[死]

(7語減少)、言い換えた回答「生命」(8語減少)、が減っている。さらに図5の右の表の 回答語には登場しないが「誕生」が4語減少し、「赤ちゃん」(12語減少)「子ども」(9 語減少)と子どもの誕生といのちとをつなげる意識が減少している。これらの言葉の動き は、いのちの大切さ、対比、誕生よりも、他へと意識が動いた結果だろう。

意識の焦点は、「食べる」(13語増加)、すなわち「食」(4語増加)といのちのつなが りへと向かった。食べて「生きる」(4語増加)自分と「平等」(6語増加)であり、いの ちを「頂く」(3語増加)ことに「感謝」(3語増加)し、「ありがとう」(3語増加)との 気持を強くさせた。いのちは「重い」(3語増加)、「受け継ぐ」(3語増加)意識が増えて いる。つまり図5で、「大切」を取り巻く言葉の様相が動いていることがわかる。

一人あたりの回答語数がむしろ減少している(4.974から4.715へ)にもかかわらず回 答語種数は増えており(2.017から2.374)、これによってエントロピの増加(6.863から 7.355へ)がもたらされている。映画によってさまざまに考えたのであろう。考えた内容 は、いのちと食とのつながりであったことを、回答語の質の変化が示している。「ブタが いた教室」は、観客の意識をいのちと食のつながりに焦点化させ、いろいろ考えさせた。

(7)

尊い 大切

生きる

赤ちゃん

1つ 子ども

大事 生命 かけがえのない

病気

限りがある 守る

はかない 食べ物

生物 長生き 人間

誕生

動物

温かい

家族 血

植物 食べる 人

生命力

1つしかない

つながる 愛 一生 一番大事 強い

健康 死ぬ 自殺 重い

人生 水

生きている 生き物 生まれる

短い

老人 アリ ありがた 頂く 輝く つなげる なくなる ハート 一人に1つ 楽しむ楽しい

感謝 喜び 貴重 輝き 教育 兄弟

光 考える 魂 殺す 殺人 自然

寿命 出産

小さい

心臓新芽親 生かされている 生活尊厳

虫 動く

難しい 美しい

父母

両親 老い

1つだけイジメ いつか消いつか死 いつまで いのちはいとおし うれしいいのちび 女男 かなしいお寺 消えるか弱い 殺されるこころ 授かり物こわい 性捨てるも ともる食べられ ひと粒ネコ へその緒深い言葉 みんなが見えない 連鎖誘拐 育む若葉 一生に一一生けん 一切の生 一度 一度きり 一番 飲む一番大切 永遠宇宙 何よりも炎 家族との何物にも 芽歌 看病芽ぶき 奇跡丸い 苦しみ輝いてい 恵み空 継続継承 検査結婚 元気犬 今現在を限り 在る根っこ 産婦人科産声 支え命酸素 次世代に死を自分 自分だけ自分で

自分でど自分を大失ったら弱い種受胎拾い宿命女の子笑顔丈夫食食事食生活神身体障害身内人とのつ人の命と人格世界生生きがい生きなが生きる力生き物す生涯生存精子青春赤い先祖戦争泉早死草草花孫他人多種太陽代わりは大きい男の子地球長い短い伝承土灯同じ二度と戻肉親年より年齢悲しい 悲しい事病病院

夫文化 別れ母と赤

宝物豊かさ 万物未来

無かった命 予定が有余命

与えられ卵子 涙連続性 絆の尊さ

生きる 大切

尊い

食べる

1つ

かけがえのない 死

限りあるもの 食べ物 はかない

家族

重い

大事

平等

感謝

頂く

つながり

考える 子ども

守る 人 人間

生き物 生命

赤ちゃん 長さ

動物

難しい ありがとう

受け継ぐ

愛情 つながる 育てる

強い 健康 死ぬ

寿命 人生

水 生

生物

全うする

尊さ 1つだけ 温かい 癒し 悲しい この世で みんな命 リレー優しさ

一人に1つ 輝き一番大切 魚 思い出 自分ではど うすることも 受けつぐ 終 消える

食べなくては生きられない 食べられる

真剣 生きもの

生活 責任

存在する 大きい仲間

長生き 天国 同じ

病気 母

無駄にし 役割 友人

料理 絆

1つしか愛する 後に続く与える ありがたフリカ 生き甲斐あるもの いただき頂いて続 いたわり頂き物 いつくしむいつかは 命いとしい いのちはいのちが いろんないろいろ 犯すこと奪う かわいい終わりが 奇跡犠牲 この世の繰り返さ さずかりも すばらしシンプル すべてのすばらし すべてのすべての それぞれその人の たくさん考大事にす 楽しいたった一 食べ物に楽しむ 誰もが平誰が決め 伝える誰も決め つなぐたつながっ つなげる どの様にどう生き とわに なくてはながらえ なごみ はかれなハート ブタは食ブタ まわりブタも命 まわる(子 みなもとみがきあ みんな同みんな生 むごいみんな平 燃え尽き命令 安らぎもらう 豊かやっぱり 私たちがわからな 安楽愛すべき 育ち合う異 違 一人一人育てる 一生懸命一生 一度の人一度きり 永遠引きつぐ 何かの命永遠なる 何にも変何にも変 何らかの何のため 家族のき家 皆平等皆で共用 楽園覚えてい 感動感じ合う 丸い喜び 貴重強い思い

教えてい恵み血元気限り呼吸光考えさせ考えすぎ細々と殺す、殺残り少な子どもた子どもに子どもに思い思いやり支えあう慈しむも自然自分自分ため自分で大自分の使自分自身弱い守りたい助けあう小さい植物食べる=食料心の中で心臓深い深すぎて神親親子人として人間だけ人間だけ人間のた尽きる正と悪が生かされ生かされ生きてい生きるあ生きるた生きると生まれる生活の様生命の平精神祖先素晴らし続くもの孫に伝え尊厳他の生命他の命を他人のも体を大切大きな人誰にであ短い誕生団らん虫長い長寿長短天命動物すべ動物だけ動物も肉忍耐年寄り年齢美しい必要病院不安父仏別れ母親の腕捧げる無駄じゃ無駄にし命あるも 命の大切命をいた目には見輸入

友だち友達 与えられ幼児虐待 両親力 涙老い

ア 連想マップ(Association Map)

Date:2009年4月25日

「ブタがいた教室」長崎試写会前  Cue Word : いのち

produced by K. Kamizono

Module Version 4.01, Programmed by T. Fujiki 2006.08

回答語 回答語数 回答者数比百分率

大切 尊い 生きる 死 赤ちゃん 1つ 子ども 大事 生命 かけがえのない 病気 限りがある 守る はかない 食べ物 生物 長生き 人間 誕生 動物 温かい 家族 血 植物 食べる 人 生命力 母 1つしかない つながる 愛 一生 一番大事 強い 健康 死ぬ 自殺 重い 人生 水 生きている 生き物 生まれる 短い 父 老人

(2 語以下省略)

65 26 17 16 16 15 13 13 12 10 9 7 7 6 6 6 6 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 577

56.0%

22.4%

14.7%

13.8%

13.8%

12.9%

11.2%

11.2%

10.3%

8.6%

7.8%

6.0%

6.0%

5.2%

5.2%

5.2%

5.2%

4.3%

4.3%

4.3%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

回答者数:116名、回答語種数:234種類、回答語総数:577語

連想マップ(Association Map) Date:2009年4月25日

「ブタがいた教室」長崎試写会後  Cue Word : いのち

produced by K. Kamizono

Module Version 4.01, Programmed by T. Fujiki 2006.08

回答語 回答語数 回答者数比百分率 大切

生きる 尊い 食べる 1つ かけがえのない 死 限りあるもの はかない 食べ物 家族 重い 大事 平等 感謝 食 頂く つながり 考える 子ども 守る 人 人間 生き物 生命 赤ちゃん 長さ 動物 難しい ありがとう 受け継ぐ つながる 愛情 育てる 強い 健康 死ぬ 寿命 人生 水 生 生物 全うする 尊さ

(2 語以下省略)

54 21 20 17 11 10 9 8 7 7 6 6 6 6 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 580

43.9%

17.1%

16.3%

13.8%

8.9%

8.1%

7.3%

6.5%

5.7%

5.7%

4.9%

4.9%

4.9%

4.9%

4.1%

4.1%

4.1%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

3.3%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

3語以上の増減

+ 11

4 6 13 4 7

3 7 6 3 4 3

9

8 12 4

3 3 回答者数:123名、回答語種数:292種類、回答語総数:580語

6.863 エントロピ

7.355 エントロピ

長崎大学教育学部紀要−教育科学− 第75号 6

図4 提示語〈いのち〉映画の前

図5 提示語〈いのち〉映画の後

(8)

生きる おいしい

野菜

楽しい 楽しみ

家族

命 幸せ 料理

栄養

健康

食事 生きるため

大切 食欲 果物

お菓子

ご飯

食卓

水 毎日

給食

元気 口

作る 生きるために必要

生命 太る

昼食 朝食

満腹

夕食

いただく うまい

おいしい ケーキ

はし パン 育つ

感謝 食べすぎ

必要 文化

本能 満足

12時 ありがた

いただきま おいしいものを食 おいしく おいしく食べる お母さん おやつ お腹いっぱい ごちそうさま コミュニ ひもじい 安心 安全 一生

食育 成長

生活 生物

大好き 大事

茶わん中華 朝ごはん 動物 日本

肥る 肥満

弁当 母

和食お金がいおにぎりおなかおせちお米おかずおいしいおいしいおいしいおいしいうれしい命をもらう命のつなイタリアいただくありがとうあったか7人で食3食「頂きま

カツ丼餓死 カレーかむ 歓迎会カロリー ごちそうグルメ しっぽく残酷 すきシンプル すてきすし ダイエット 食べ物は食べ物 チャンポだ液 机疲れる どうしても添加物 なくてはなとても大 なごむなくなる にこにこ肉じゃが バイキン眠くなる パスタハシ パフェ バランスバランス バランス フォーク フランスブタも食 フレンチ みそ汁ヘルシー みんなと もったい難しい 衣食住ラーメン 一番嬉し育てる 飲む一番大切 宴会運動 下痢黄 家族の和何かが犠 会食花見 海草海のもの 楽しくた 活力楽しむ 甘い物大甘い物 気もちが帰りに匂 規則正し祈り 牛乳飢え 教育拒食症 均一(バ教室 恵み空腹 健康のた欠かせな 元気のも元気が出 考える御飯 今日も食行楽 皿作物 三食食べ三食 山のもの仕事 子ども脂肪 資源をも自然の土

捨てない手間手作り趣味出る旬のもの小麦粉笑顔植物色食べすぎ食べない食べもの食べられ食べる楽食堂食品食物食物の命食糧心身の癒新せん新鮮身体身体のみ人は何で人間人間は勝人間関係人生炊事生生きてい生きもの生きられ生きるす生きる力生き物生き物の生活して生長生命維持生命その生命のも生命の源生命をい生命をも生命を殺生命力赤絶対必要舌線尊厳体にとっ体のため体の基礎体重台所大食大切なも宅食炭水化物蛋白質団らん団欒地のもの仲間昼ごはん鳥伝統田舎で土土動物の命豚汁鍋南北問題日課日本食日本人は農業買い物白米美しい盛病気にな腹一杯腹八分勉強毎度の食毎日3食毎日する毎日健康味わう命につな命の源命の支え夜ごはん油友人友人との友達洋食欲ばり欲求卵卵やき力力の糧緑和和菓子貪欲 連想マップ(Association Map)

Date:2009年4月25日

「ブタがいた教室」長崎試写会前  Cue Word : 食べる

produced by K. Kamizono

Module Version 4.01, Programmed by T. Fujiki 2006.08

回答語 回答語数 回答者数比百分率

おいしい 生きる 野菜 楽しい 楽しみ 家族 肉 命 幸せ 料理 栄養 魚 健康 食事 生きるため 大切 食欲 果物 お菓子 ご飯 食卓 水 毎日 給食 元気 口 作る 生きるために必要 生命 太る 昼食 朝食 満腹 夕食 欲 いただく うまい おいしいもの ケーキ はし パン 育つ 感謝 食べすぎ 必要 文化 米 本能 満足

(2 語以下省略)

33 22 20 15 15 13 11 11 10 10 8 8 8 8 8 8 7 6 5 5 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 629

28.2%

18.8%

17.1%

12.8%

12.8%

11.1%

9.4%

9.4%

8.5%

8.5%

6.8%

6.8%

6.8%

6.8%

6.8%

6.8%

6.0%

5.1%

4.3%

4.3%

4.3%

4.3%

4.3%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

3.4%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

2.6%

回答者数:117名、回答語種数:310種類、回答語総数:629語 7.512 エントロピ

Ⅲ−3 食べる

いのちと食を考えた映画「ブタがいた教室」に集まった観客の食に対する意識は、どう なったのだろうか。この映画に集まった人々にとって〈食べる〉ことは当初「おいしい」

(回答者数比28.2%)し、「楽しい」「楽しみ」(合計25.6%)であり、「生きる」(18.8%)

ため「野菜」(17.1%)をとるように心がけ、また「家族」(11.1%)を思い起こさせた(図 6)。これら食に肯定的でいい雰囲気を抱き、生とつながりまた食に心配っている様子か ら、「ブタがいた教室」を見に集まった観客は、食のあり方として健全な意識を抱いてい たと見受ける。

映画を見終わると意識の様相が、いわばまじめになっている。〈食べる〉は、 「命」に「感 謝」して「生きる」ことだと集約されてくる(図7の中央)。7.512であったエントロピ が減少気味で7.438になったことは、映画が考えを広げるよりも〈食べる〉ことの意識を 集約する方向に作用したことを意味する。その様子は、連想マップ(図7)上で「生きる」

「感謝」「命」が映画後の〈いのち〉の中核を構成する点に現れている。

観客に、食べることは「生きる」(回答者数比24.0%)こと、「命」(22.4%)に「感謝」

(23.2%)する、そして「大切」(14.4%)な営みであるとの意識が映画によって生まれ ている。「生きる」に関連して、「動物」(6.4%)の命が自分の「生きること」(8.0%)に つながり、私たちは「生かされている」(4.0%)「命をいただく」(7.2%)との考えが増 加し、「大切」(14.4%)、「大切なこと」(4.0%)だとの認識が増加している(表1)。

「おいしい」(10.4%)との意識は継続している、しかし回答者数比にして17.8%減少し、

「おいしい」「楽しい」と答えていた当初の雰囲気からすると、「ブタがいた教室」は観客 を食とまじめに向き合わせている。そのまじめさは、回答者数が映画の後で増えているに もかかわらず、回答語種数、回答語数ともに減少している点に表れている。気楽に「おい しい」と言えなくなり、生きる、感謝、いのちという重い言葉をかみしめながら映画会場 を後にしたのであろう。

図6 提示語〈食べる〉映画の前

(9)

感謝 生きる 命

大切

おいしい

生きること 野菜

命をいただく 健康

動物

料理

ありがたい いただく

育てる 生きるため 食欲

生かされている

生きるため 大切なこと

いただきます

果物 楽しい

楽しみ 楽しむ

人間

成長

必要

ごちそうさま ご飯

ブタ 愛情 感謝の気持家族 犠牲

元気 残さない 残酷 子ども 自然

植物 生き物

生活 生命

生命をいただく

大好き 団らん

豊か

味わう

欲 ありがとう

受け継ぐ

すばらし つながる むだにしない もらう 喜び 気力 給食 共存 恵み 欠かせない 作る 殺す

食べ物 食事

食卓 心

生まれる 体力 大事

大切なもの 朝、昼、

日常 文化

毎日

命をうばう 命をつな

12時あとにつ ありがたく いいかげ生きてる いただくもいただき 嬉しい奪う おいしく食おいしい お金お腹がす かわい体で血や 犠牲があがんばっ 暮らす犠牲の上 殺すことごちそう さばく罪悪 すべてすてき たくさんのすべての 食べ物は食べ物が つながりつくる人 でないとつなぐ トマトトータル バランス抜きには バランスバランス 飽食ヘルシー むき合うみじめ むなしいむさぼる めぐりあう 夢めぐりめ リレー料理する レストラン 一生の物愛 一部 飲 栄養雨 栄養素 何かの犠何かが犠 何かの命何かの死 家庭家族の絆 楽しくなる家庭円満 活力活動 感謝して感じる 希望感謝を伴 泣く気持ち 拒食牛肉 原点健康に過 御飯現実 好き口 好物好き嫌い 幸福幸せ 考えてる考えてい 考える考えて大 最近の生穀物 作る人の作る人 残さず作物 仕事力残す 死ぬ支え 自分の寿歯 実失う 弱肉強食主食 寿司受けつぐ

重い出す笑い食べ切る食べすぎ食べもの食べもの食べられ食べられ食べる食べる=食べる喜食べる必食べ物の食育食後食卓だけ食卓を囲食肉食物食文化食油身上不二人人をつく人を意識人間や動人生水世界成長する生生きてい生きていく生きてい生きもの生きるす生きるた生きる為生きる源生き物の生と死生活を支生物の犠生命(生生命との生命の源生命は大生命をも生命を支生命力責任全部食べ粗末にし草孫へ伝え尊いこと尊い行為他の生命他の命を他の命を他を食す体体にいい体に良い体の一部大きくなる大事に食大切に食大変なこ地球仲間長崎は食長寿長生き天気伝える豚肉年をとっ農業排せつ悲しみ肥満不安感腹七分複雑分け合う平等平和飽食の時本能満足無駄にし命あるも命のかて命の支え命の素命をもらう命を長ら 命を頂い命受けつ輸入 友情友人との有り難い 有機有難み 夕食力贅沢をし 連想マップ(Association Map)

Date:2009年4月25日

「ブタがいた教室」長崎試写会後  Cue Word : 食べる

produced by K. Kamizono

Module Version 4.01, Programmed by T. Fujiki 2006.08

回答語 回答語数 回答者数比百分率 生きる

感謝 命 大切 おいしい 生きること 野菜 魚 命をいただく 健康 動物 肉 料理 ありがたい いただく 育てる 生きるために必要 食欲 生かされている 生きるため 大切なこと いただきます 果物 楽しい 楽しみ 楽しむ 死 人間 成長 必要 ごちそうさま ご飯 ブタ 愛情 家族 感謝の気持ち 犠牲 元気 残さない 残酷 子ども 自然 植物 生き物 生活 生命 生命をいただく 大好き 団らん 米 豊か 味わう 欲

(2 語以下省略)

30 29 28 18 13 10 10 9 9 8 8 8 7 6 6 6 6 5 5 5 5 4 4 4 4 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 610

24.0%

23.2%

22.4%

14.4%

10.4%

8.0%

8.0%

7.2%

7.2%

6.4%

6.4%

6.4%

5.6%

4.8%

4.8%

4.8%

4.8%

4.0%

4.0%

4.0%

4.0%

3.2%

3.2%

3.2%

3.2%

3.2%

3.2%

3.2%

3.2%

3.2%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

2.4%

3語以上の増減

回答者数:125名、回答語種数:299種類、回答語総数:610語

表 1 「ブタがいた教室」を見た後の回答語の増減 Date:2009年4月25日

Cue Word :〈食べる〉

増加・新出語 感謝 命 大切 生きること 命をいただく 生きる 動物 育てる 生かされている 大切なこと ありがたい 死 いただく 楽しむ 人間 ブタ 愛情 感謝の気持ち 犠牲 残さない 自然 豊か

(2 語以下増加した言葉を省略)

29 28 18 10 9 30 8 6 5 5 6 4 6 4 4 3 3 3 3 3 3 3

26 17 10 10 9 8 6 5 5 5 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3

20.8  13.6  8   8   7.19 6.4  4.8  4   4   4   3.2  3.2  2.4  2.4  2.4  2.4  2.4  2.4  2.4  2.4  2.4  2.4  回答者数比%

増加語数 語数

+ 8 26 17 10 20 10 10 9 6 3 3 4 3 5

5 3 5

11 11 3 4 3

3 3 10 3 3 3

3

3 7.438

エントロピ

増加 新出 減少 消滅

減少語 おいしい 楽しい 楽しみ 家族 野菜 幸せ 栄養 食事 お菓子 水 太る 昼食 朝食 満腹 口 夕食 食卓 毎日 生きるため 料理 肉 うまい おいしいもの ケーキ はし パン 育つ

(2 語以下減少した言葉を省略)

13 4 4 3 10 1 1 2 5 1 4 4 4 4 1 1 2 2 5 7 8 3 3 3 3 3 3

− 20 11 11 10 10 9 7 6 5 4 4 4 4 4 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3 3

16.0  8.8  8.8  8.0  8.0  7.2  5.6  4.8  4.28 3.2  3.42 3.42 3.42 3.42 2.4  2.4  2.4  2.4  2.4  2.4  2.4  2.57 2.57 2.57 2.57 2.57 2.57

− 16.0

− 8.8

− 8.8

− 8.0

− 8.0

− 7.2

− 5.6

− 4.8

− 4.28

− 3.2

− 3.42

− 3.42

− 3.42

− 3.42

− 2.4

− 2.4

− 2.4

− 2.4

− 2.4

− 2.4

− 2.4

− 2.57

− 2.57

− 2.57

− 2.57

− 2.57

− 2.57 回答者数比%

減少語数 語数

長崎大学教育学部紀要−教育科学− 第75号 8

図7 提示語〈食べる〉映画の後

(10)

表1は提示語〈食べる〉からの連想で、どんな言葉が増加しまた減少したかを示した。

おいしい、楽しい、幸せ、お菓子や、家族、野菜、栄養などの配慮も減少し、食のハッピ ーな気分や軽さのある言葉が減少している。増加したのは、いのちへの感謝であり、大切 さの意識である。生の自覚、いのちを頂いている自覚に関わる言葉であり、重さと真摯さ に裏打ちされた回答語が並ぶ。これらの言葉の様相から、映画「ブタがいた教室」は、食 について姿勢を正して考えさせる印象を観客に残している。

Ⅳ 結語

「ブタがいた教室」は観客にとって、いのちと食について笑い楽しみながらまじめに考 えさせた映画であった。会場には映画を見る観客の笑い声があった。映画は、楽しさを演 出し、ブタのかわいさを印象づけた。映画は、しかしブタについて、いのちを観客に意識 させ、生き物を食べていること、食といのちがつながっていることを突きつけた。観客に とって、ブタは、肉である以上に生き物であることに気づかせた。この映画は観客の、い のちが大切との認識を変えはしないが、大切さを支える意識に食とつながる構造をつくり 出し、いのちのあり方を多様に考えさせた。また、食について、食べるとはいのちを頂い て生きることであり、感謝する、との方向に観客の意識を動かした。

映画「ブタがいた教室」は、私たちはいのちを頂いて生きている、感謝しなければ、と 楽しみながら食といのちの関わりを伝えたいのであれば、その役割を果たす。

そして連想法は、観客の意識が映画によってどこに動いていったかをとらえて、観客の 意識のアセスメント方法としてすぐれている。これは今までになかった映画の語り口であ る。

〈註〉

1)赤ずきん物語の分析については、上薗恒太郎(2006)、民話による道徳授業論、北大路書房、

pp3-11を参照。

2)連想法については、上薗恒太郎(2011)、連想法による道徳授業評価 ―教育臨床の技法―、教

育出版、に詳しい。

参照

関連したドキュメント

従って、こ こでは「嬉 しい」と「 楽しい」の 間にも差が あると考え られる。こ のような差 は語を区別 するために 決しておざ

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

出てくる、と思っていた。ところが、恐竜は喉のところに笛みたいな、管みた

1 単元について 【単元観】 本単元では,積極的に「好きなもの」につ

ためのものであり、単に 2030 年に温室効果ガスの排出量が半分になっているという目標に留

(Ⅰ) 主催者と参加者がいる場所が明確に分かれている場合(例

賠償請求が認められている︒ 強姦罪の改正をめぐる状況について顕著な変化はない︒