確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八 条一項三号による再審の可否
著者 石橋 英典
雑誌名 同志社法學
巻 66
号 3
ページ 815‑844
発行年 2014‑09‑30
権利 同志社法學會
URL http://doi.org/10.14988/pa.2017.0000014667
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二三九八一五
確 定 判 決 の 効 力 を 受 け る 第 三 者 の 民 事 訴 訟 法 三 三 八 条 一 項 三 号 に よ る 再 審 の 可 否
平成二五年一一月二一日最高裁第一小法廷決定(平成二四年(許)第四三号 再審請求棄却決定に対する許可抗告事件)民集六七巻八号一六八六頁
石 橋 英 典
【事実の概要】
Y
X年二月七日、の二保有にかかわ三成る役社の代表取締で平あったXは、1。一役締取表に日五月解三年三二成平はXを代任取るいさっなと役締ていの権表代、れな な式の株主とのった。そ後、該株、当五り株新の株〇〇一行式株通普くづ基発(と﹂よに)ういと行以発株新件本、﹁下に
Y
こ予社の新株発行約た権が行使され1
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社は、1行いてし出作を形外のみ込払さてっよに金せ見が本件新なれ発を、し対にれ。こたし知通どたなとこるあでのもな効無株
Y
A定社、るすとたけ受を設対の権質ていつに式株にし社付で便郵明証容内のけ日、〇三月三年三二成平の1( )同志社法学 六六巻三号二四〇 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八一六
XおよびA社は、平成二三年四月一日付けの内容証明郵便で本件新株発行が有効なものであることなどを
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社に通知し1 平成二三年七月一三日、Y
社の株主である1Y
社は、2)。るすと﹂訴前 をこるすと効無新行発株の件本に的と提訴、件本﹁をられこ下え以(たし起予を備、とこ起提をえ訴るめ求を認確のし
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社を被告とし裁て、東京地方行判所に本件新株発が存在しない1、加事当うよるす討検を立追にのていつに実事因原求者証指第示で日期論弁頭口回二は、期して弁論し日を続行 採申出のあっれた書証を調用して取りべた上、請れぞそにる者ら対しても効力を有すこ第とを考慮し、当事者双方か三
Y
社日因原求請ていおに期は論実弁頭口回一第事判を、が決判該当、は所裁が認たしを弁答の旨るめ1)。件この判決﹁本を前判決﹂とする訴 決容の判渡を言い求認請請的備予、却棄求、的しの同よ、下以(たし定確りに年過経主日四一月〇一位、日七二月九年 とによるこがなどせ記載金た見がさ発式株件本たれさ出行述れ弁三二成平、し結終を論頭陳口で上たべ調り取を書ら提
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か社1 平成二三年一〇月一九日、、会Xに対しても効力を有する(は社もずらわかかに)条八三八法 、平、はX至でこそ。たっ二成日三年一一月一一、本件前訴判決るに知に前おいて、Xは本件訴日判決の存在を初めて
Y
社と害損の件別るす償を告被をX、告原賠さ請た期続手備準論弁れ求催開ていおに件事1Y
社および1、し者事当立独てと加るあが由事審参、()民たしを出申の上項一条七四法訴 理一項三号の代に権欠缺八準じた再条三X三さ害が利権の、たにめたたせされと確に法訟訴事民は訴主前件本、し張定
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をを社はその係属Xれに知らせずこ2Y
社、1。にたし起提をえ訴の審再るす対決
Y
判訴前件本、てしと告被をら社2第一審(東京地裁平成二四年三月三〇日決定・民集六七巻八号一七一六頁)は、確定判決の対世効による法律関係の画一的処理が図られないこととなってもやむを得ない特段の事情が認められる場合には、民訴法三三八条一項三号所定
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二四一八一七 の事由に準じた再審事由にあたる場合があることを認めたが、本件はその特段の事情にあたらないとしてXの再審請求を棄却した。これに対しXは抗告した。
原審(東京高裁平成二四年八月二三日決定・民集六七巻八号一七二六頁)は、まず、Xは本件前訴において共同訴訟的補助参加をすることができるため、再審の原告適格があるとした。そして、民訴法三三八条一項三号に準じた再審事由の有無については、現行法体系では、判決の効力を第三者に対しても及ぼす場合、詐害判決に対する再審を認めるか否かは個別に定められているのであり(例えば、行政訴訟法三四条一項や特許法一七二条)、これを認める場合には出訴期間の制限などが設けられていることから(例えば、行訴法三四条二項及び四項や特許法一七三条一項及び四項)、このような定めのない場合には再審は認められないとしてXの抗告を棄却した )1
(。これに対しXは許可抗告を申し立てた。
【決定要旨】 原決定破棄・差し戻し
。いなきではと 達の目的をとするこもがそ提てし起きをえの審再るす対で訴ず原、こうとるす有を格適告いの上え然当はに記再審の訴 地るきで右左を断判の上決判定確記、ずきでには位三ははこに決判定確記上、者な第記上、めたのそ。いとるを為行す 審て係に決判定確記上、もたしと訴し起提をえ訴の再る当訟訴訟訴のていつに案本の訟記の上、上以いなはで者事する ﹁対る判定確るす容認を求請係のにえ訴の効無の行発株決効に原決判定確記上てしと告審力再、は者三第るけ受を新 しかし、上記第三者が上記再審の訴えを提起するとともに独立当事者参加の申出をした場合には、上記第三者は、再審開始の決定が確定した後、当該独立当事者参加に係る訴訟行為をすることによって、合一確定の要請を介し、上記確定判決の判断を左右することができるようになる。なお、上記の場合には、再審開始の決定がされれば確定判決に係る
( )同志社法学 六六巻三号二四二 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八一八
訴訟の審理がされることになるから、独立当事者参加の申出をするために必要とされる訴訟係属があるということができる。
そうであれば、新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける第三者は、上記確定判決に係る訴訟について独立当事者参加の申出をすることによって、上記確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有することになるというべきである。最高裁昭和五九年(オ)第一一二二号平成元年一一月一〇日第二小法廷判決・民集四三巻一〇号一〇八五頁は、旧民訴法の下、確定判決の効力を受ける第三者が適法な独立当事者参加の申出をすることができなかった事案において、当該第三者の再審の訴えの原告適格を否定したものであり、本件との抵触が問題になる判例ではない。
記録によれば、原々審が、平成二四年三月三〇日に本件再審の訴えに係る請求を棄却する決定をした後、本件独立当事者参加の申出に係る事件においては、同年四月三日、訴訟係属を欠くことを理由に同申出を却下する判決がされ、現在、同事件は、控訴審に係属している。しかるに、原審は、上記の観点から本件独立当事者参加の適法性について検討することなく、抗告人が前訴判決の効力を受ける者であって共同訴訟的補助参加をすることができるものであるとして直ちに本件再審の訴えについての抗告人の原告適格を肯定したものであり、原審の上記判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。﹂
。再判決に民法三三八条一項三号の訴審こ事いなではときう由とるあがい 知らず、上訟記訴の属審をが係の訟訴記上、者三第るに理っ関と定確記上にち直、も与してた与する会を機えられなか 判け受を力効の決定株会訴記上てっよに社式に確記上)、号二条四え係八るの訟訴記上、上以いるてれさ行追が訟訴三 ﹁株式会式株たしを行発の株発、はえ訴の効無のの行社新みい法社会らかるあでのるてがれさとるす有を格適告被(
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二四三八一九 しかし、当事者は、信義に従い誠実に民事訴訟を追行しなければならないのであり(民訴法二条)、とりわけ、新株発行の無効の訴えの被告適格が与えられた株式会社は、事実上、上記確定判決の効力を受ける第三者に代わって手続に関与するという立場にもあることから、上記株式会社には、上記第三者の利益に配慮し、より一層、信義に従った訴訟活動をすることが求められるところである。そうすると、上記株式会社による訴訟活動がおよそいかなるものであったとしても、上記第三者が後に上記確定判決の効力を一切争うことができないと解することは、手続保障の観点から是認することはできないのであって、上記株式会社の訴訟活動が著しく信義に反しており、上記第三者に上記確定判決の効力を及ぼすことが手続保障の観点から看過することができない場合には、上記確定判決には、民訴法三三八条一項三号の再審事由があるというべきである。
本件において、Xは、前訴の係属前から、
て知のら自、ばれを利属係の訴前に権を、参しどなるす加に守訴前にめたる仮りお
Y
本りよに便郵証明容内てし対に件式株張てしどなるす主発を性効有の行1、なうことが明らか状を況にあり、かつ争求るめ請
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よしはそのがとこういとたいて識う認に十をとこるあに況状な分1 それにもかかわらず、Y
は、前訴において、1。請して本件式発行の無効を求める株求たをるあのもでし争を会機う逸 たにもからかわずあ、っせで易容がとこるら知を属れこ、をXどなるす加参に訴前のは、知果結のそ。たっかなせら係 訴対自付裏を実事因原求請ら、るし前に揮指訟訴の所判け書訴属てし対にXいなら知を係証の訴前、かほたし出提を裁
Y
受ての請求を全く争わず、かえっ、る請求原因事実の追加立証を求め2このような一連の経緯に鑑みると、前訴における
とを手はとこすぼ及力保効の決判訴前にX続障りとのもいなきでがこのるす過看らか点観、おししし反に義信くて著て
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りよに社法訴会は動活訟告の被ら適格を与えれた者によるものと1( )同志社法学 六六巻三号二四四 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八二〇
して、前訴判決には民訴法三三八条一項三号の再審事由が存在するとみる余地があるというべきである。しかるに、原審は、上記の観点からの審理を尽くさず、上記の再審事由の存在を否定したのであるから、原審の上記判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は、上記の趣旨をいうものとして理由がある。﹂
。﹂すにし戻差こととする 三審再の号三項一条八更三法訴民に由はに合場事いのせ審原を件本、めたるさ有く尽を理審てれつに無るら認がれこめ ﹁。れない、そこでを以免は棄破の定決原、ばれよに上上以説つ、せさく尽を理審ていに示無有の格適告原、てっ従に
【検討】
一 はじめに 新株発行の無効の訴えにおいては、被告は会社のみとされ(会社法八三四条二号)、その認容判決は第三者に対しても効力が及ぶとされている(同法八三八条)。また、新株発行の無効の訴えには、株式会社における責任追及の訴えの場合(会社法八四九条四項)のように、当該訴訟が提起された際、利害関係を有する第三者に対し公告ないし通知されることとなっていない。それゆえ、当該訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、その係属を知らない間に判決が確定することで、自らの権利が害される場合が起こりうる。特に、当該第三者の権利が不当に害される結果となるような訴訟追行が前訴当事者によって行われていた場合には、当該第三者の救済の可否が問題となる。この場合、第三者は民訴法三三八条一項三号の再審事由(以下、﹁三号事由﹂とする)があるとして、再審を申し立てることができるか。本件ではこの点が争われた。
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二四五八二一 本決定の意義として、まず第一に、新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける第三者は、当該確定判決に係る訴訟について独立当事者参加の申出をすることによって、当該確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有することとなることを明らかにした点を挙げることができる。これにより、確定判決の効力を受けるものの、当該訴訟について当事者適格を有しない第三者の権利が害された場合に、当該第三者が救済されるための方法が明らかとなった。ただし、前訴との関係で当事者適格を有しない第三者の再審の原告適格の有無や、再審を申し立てる際の参加申出の必要性やその形式については問題とされてきたところであり、本決定はこれらの議論との関係でどのように位置づけることができるか検討する必要がある。
本決定の第二の意義として、被告適格が与えられている会社の訴訟追行が著しく信義に反し、第三者の手続保障の観点から看過することのできない場合には三号事由にあたるとした点を挙げることができる。かつての明治民事訴訟法四三八条では、第三者による詐害再審の制度が認められていたが、現行民訴法ではこの制度は存在しないため、本件Xのように自らの権利を害されることとなった第三者をいかにして救済すべきかについては、従来から議論されてきた問題である。学説では三号事由の類推による再審を可能とする説が有力であったが、下級審判決では、大阪高決平成一五年十二月一六日判タ一一五二号二八七頁(積極)と本件原審(消極)とで見解が分かれていたという状況において、本決定により、最高裁の立場として、三号事由による第三者の救済が可能であることが明確にされることとなった。しかし、本決定では、三号事由の適用について、かつての詐害再審制度との関係ではなく、信義則や手続保障との関係で論じられていることから、その論理構成や従来の議論との関係について検討する必要がある。
そこで、本評釈では、第三者による再審の申立てに関する問題および三号事由適用の可否に関する問題についてそれぞれ検討することとしたい。
( )同志社法学 六六巻三号二四六 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八二二
二 第三者による再審の申立ての可否
1 「
再 審 原 告 」 と な り う る 者
一般的に、再審の原告適格を有する者とは、再審の対象となりうる確定判決の効力を受け、かつ、その取消し・変更を求める固有の利益を有する者であり、原則として、確定判決の当事者で、全部または一部敗訴している者とされている )2
(。また、本件のように、判決の効力が第三者に及ぶ場合、当該判決の取消しについて独自の利益を有する第三者にも再審の訴えの原告適格が認められ、再審原告となりうるとされている
)3
(。
これに対し、再審を申し立てる第三者が、再審開始決定によって復活する前訴との関係で当事者適格を有していない場合、再審原告にはなれないとする見解が主張されている
)4
(。これは、再審原告を、再審開始決定によって復活した前訴において当事者として訴訟追行し、当該本訴の判決の名宛人となりうる者として理解するためである )5
(。
これらの見解は次に述べるように、第三者が再審を申し立てる場合、いかなる形式で申し立てるべきかという問題に影響する。
2 第 三 者 に よ る 再 審 の 申 立 て 形 式
本件のように、前訴において当事者適格が与えられていない第三者が再審を申し立てる場合、その形式としては、第三者が直接申し立てる方法、共同訴訟参加の申出とともに申し立てる方法、独立当事者参加の申出とともに申し立てる方法、補助参加(共同訴訟的補助参加)の申出とともに再審を申し立てる方法が考えられる )6
(。
まず、第三者が再審を直接申し立てる方法については、かつての明治民事訴訟法四三八条でこれが認められていた )7
(。
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二四七八二三 しかし、大正一五年の改正により当該規定は削除され、平成八年改正においても復活することはなかった )8
(。後述するように、解釈論としてこれを認める見解も存在するものの、多くの見解は、現行民訴法の枠内では、第三者が再審を直接申し立てることはできず、参加の申出とともに再審の申立てをすべきであるとしている )9
(。
次に、共同訴訟参加の申出とともにする再審の申立てについては、そもそも、このような申立てが可能か否かについて争いがある )₁₀
(。仮にこれが可能であるとしても、共同訴訟参加の申出は、当事者間および参加人と相手方との間で合一に確定する必要があり、かつ、参加人に本訴の請求または請求棄却と同内容の主張をする当事者適格を有していることが要件とされているため )₁₁
(、本件Xのように前訴について当事者適格を有しない第三者は当該参加の申出をすることができないこととなる )₁₂
(。
よって、問題となるのは、補助参加(共同訴訟的補助参加)の申出とともに再審を申し立てる方法と、独立当事者参加の申出とともに再審を申し立てる方法であり、前述の確定判決の効力を受ける第三者は再審原告となりうるかという問題と対応している )₁₃
(。再審原告となりうるとする通説は、前訴両当事者を共同被告として独立当事者参加の申出とともにする方法をとることが可能であるとし )₁₄
(、他方、再審原告となりえないとする説は、補助参加(共同訴訟的補助参加)の申出とともにする方法のみが可能であるとする )₁₅
(。
補助参加(共同訴訟的補助参加)による方法については、第三者が三号事由によって再審を申し立てる場合、次のような問題が指摘されている。通常、補助参加の申出とともに再審を申立てる場合、参加人である第三者は被参加人である前訴当事者との関係で生じる再審事由以外は主張することができないと考えられている )₁₆
(。しかし、第三者が三号事由の存在を主張して再審を申し立てる場合、三号事由にあたる手続上の瑕疵は、被参加人たる前訴当事者においてではなく、再審を申し立てる第三者自身との関係で生じるものである。そのため、復活する前訴において補助参加人(共同訴
( )同志社法学 六六巻三号二四八 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八二四
訟的補助参加人)の地位を与えられているにすぎない第三者が、何故自己との関係における再審事由を主張することができるのかという問題が指摘されているのである )₁₇
(。
この指摘に対しては、共同訴訟的補助参加の場合の参加人の地位は、共同訴訟人に近い地位が認められることから、自己との関係で三号事由を理由にして再審の訴えを提起できるとする見解がある )₁₈
(。また、第三者(利害関係人)の訴訟当事者としての地位が、当事者に準じるものとして扱う必要がある場合であれば、憲法三二条の要請からも、第三者固有の再審事由の主張も許されるとする見解もある )₁₉
(。
3 判 例
判決の効力を受ける第三者による再審の可否については、主に、人事訴訟や会社訴訟において問題となっている。本決定が引用する最判平成元年一一月一〇日民集四三巻一〇号一〇八五頁(以下、﹁平成元年判決﹂とする)は人事訴訟における事例であったが、本決定では、これを﹁本件との抵触が問題になる判例ではない﹂としている。この点を検討するためにも、以下、この問題に関する判例を概観する。
⑴ 人事訴訟における判例 人事訴訟において第三者の再審の可否が問題となるのは、多くの場合、父の死後、検察官を相手方として提起されるいわゆる死後認知の訴えにおいて、原告の請求が認容・確定した後に、実子が相続権を侵害されたなどの理由から再審を申し立てるケースであるとされる )₂₀
(。平成元年判決までは、下級審において、このような事案の場合に第三者による再審の申立てを認めた事例がいくつか存在していたが )₂₁
(、平成元年判決によって、死後認知訴訟における実子による再審の
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二四九八二五 申立ては否定されることとなった。
平成元年判決の事案は、検察官を相手方とする死後認知請求訴訟において、検察官が積極的に訴訟追行することなく請求認容判決が確定したため、その後、これを知った実子らが、三号事由の類推による再審を申し立てたというものである。その際、実子らは、明確に独立当事者参加を申出ることなく、前訴両当事者を共同被告として再審を申し立てている )₂₂
(。最高裁は、﹁再審の訴えの原告は確定判決の本案についても訴訟行為をなしうることが前提となるところ、認知を求められた父の子は認知の訴えの当事者適格を有せず(人事訴訟手続法三二条二項、二条三項(現行人訴法四二条一項:評釈者注))、右訴えに補助参加をすることができるにすぎず、独立して訴訟行為をすることができないから﹂、実子らは再審の訴えの原告適格を有しないとして実子らの再審の訴えを却下した。
このように、平成元年判決では、実子らは前訴との関係で当事者適格がないことから、再審の訴えの原告適格もないとしたが、これは、前述した再審の原告適格に関する通説を疑問とする見解と同様の立場に立っているといえる。ただし、実子らは明確に参加の申立てをしておらず、最高裁も、独立当事者参加の要件を備えていないと判断した上で事件を処理しているため、実際に独立当事者参加あるいは共同訴訟的補助参加を申し立てた場合の可否についての立場は明らかではないとされている )₂₃
(。
この後、平成元年判決を契機として人事訴訟手続法が改正されることとなり、現行人訴法二八条によって、一定範囲の利害関係人に対する裁判所による通知が義務づけられ、また、同法一五条によって利害関係人は強制参加(参加の形態は共同訴訟的補助参加)させられうることとなった )₂₄
(。それゆえ、この問題に関しては、立法によって一定の解決が図られたと評価されているものの、通知される者の範囲が限定されていることから(人訴法一五条但書)、訴訟係属を知らない利害関係人が存在する可能性は残されたままであり、平成元年判決と同種の事件は今なお起こりうるとされてい
( )同志社法学 六六巻三号二五〇 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八二六
る )₂₅
(。
⑵ 会社訴訟における判例 会社訴訟では主に、株主総会決議不存在確認や新株発行無効の訴えなどの会社の組織に関する訴えにおいて第三者による再審の可否が問題となっているが、この点に関する最高裁の立場はこれまで明らかではなかった。例えば、名古屋地判昭和三九年三月六日下民集一五巻三号四八八頁は、株主総会決議不存在確認の認容確定判決を馴合判決とし、当該決議によって取締役に選任された株主Xが、本訴両当事者を共同被告として独立当事者参加の申出とともに再審の訴えを提起した事案であるが、その際、Xは前訴請求の排斥を求めるのみであった。名古屋地裁は、第三者であっても、判決の効力が及び、その排除につき不服申し立ての利益があれば、本訴両当事者を共同被告とする独立当事者参加の申出によって再審を提起することはできるが、その際、復活する前訴について、自己独自の請求を立てる必要があり、前訴原告の請求の排斥を求めるのみでは適法な参加申出とはならないとし、Xの申出を不適法なものとして却下した )₂₆
(。
また、近時の下級審判例として、本件原々審も引用する大阪高決平成一五年十二月一六日判タ一一五二号二八七頁(以下、﹁大阪高裁決定﹂とする)を挙げることができる )₂₇
(。事案は、
Y
社の社員2Y
が1、存資を行う旨の決議の不在当確認請求訴訟において増割三第るすと者者
Y
て社を被告とし、提起したXを出資2、にる立場じある﹂とし 参はか否かたしを申の加の訟訴なうよらど、め含を無明出か⋮で準に者事当の訴案本⋮訟、高なはい。大阪裁は、﹁X うあるでのも立いとたてなし。のお、Xが具体的な請求の定立有を申審共と再両当事者を同被告して、三号事由による 席期日を欠請したこと弁論す頭口ままいなしもとこる出でた求に訴前がXたっ知をれこ後認、めたをし定確が決判容提
Y
書を社は、Xにこれ告弁知することも、答2Y
訴条一項所定の﹃訟四の結果によって権七法利行が積極的に訴訟追し訟ない場合、﹁民事訴2( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二五一八二七 が害されることを主張する第三者﹄として、相手方
。由申立て認めた。なお、三号事を適て用るす後は述いのに否可つ その再審えの訴をり提、者よに式方の加参事当立独す起とるはの審再るよにX、てし﹂資るれさ解と者るす有を格、後 認求当立独に訟訴案本、めを者た確のとこるあで効有が事参決あし定確が決判案本、りで加ずはたきでがとこるすを議
Y
件との本案請求の棄却を求めると本もに、相手方らとの関係で1 このように、会社訴訟における下級審判例は、確定判決の効力を受ける第三者は再審原告となることができ、また、再審を申し立てる場合、前訴両当事者を共同被告とする独立当事者参加の申出の方法をとるべきとしている。これは、再審の原告適格および申立て方法についての通説の立場をとっているといえよう。4 本 決 定 の 立 場
これまで、第三者による再審の可否につき、再審原告となりうる者は誰か、その際の申立てはどのようにすべきかという問題に関する学説や判例を概観してきた。これらを前提として、本決定について、以下検討していきたい。
まず、本決定によって、確定判決の効力を受ける第三者は﹁独立当事者参加の申出をすることによって、上記確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有することになる﹂とされた。このことから、前訴において当事者適格を有しない第三者であっても﹁再審原告﹂となりうるという立場が示されたこととなり、この点に関する通説の立場に立ったとみることができよう。
次に、再審の申立ての形式について本決定では、﹁新株発行の無効の訴えに係る請求を認容する確定判決の効力を受ける第三者は、上記確定判決に係る訴訟について独立当事者参加の申出をすることによって、上記確定判決に対する再審の訴えの原告適格を有することになるというべきである﹂として、独立当事者参加の申出とともにする再審の申立て
( )同志社法学 六六巻三号二五二 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八二八
が可能であることが示された。これにより、再審の申立ての形式についても、通説の立場に立ったものとして評価することができよう。
では、その他の再審の申し立てる際の形式についてはどうか。第三者が直接再審を申し立てる方法については、﹁確定判決の効力を受ける第三者は⋮⋮当然には上記再審の訴えの原告適格を有するということはできない﹂としていることから、最高裁の立場としても、第三者による再審の直接の申立てを認めていないということができよう。また、共同訴訟参加の申出とともにする方法についても、これが可能であったとしても、本件ではXに被告適格が認められていないことを本決定でも明示されている以上、再審の申立てをすることはできないこととなろう。では、補助参加(共同訴訟的補助参加)の申出とともにする再審の申立てについてはどうか。本件Xは、独立当事者参加の申出とともに再審を申し立てており、最高裁もXの参加申出に応答する形でその可否について言及しており、補助参加の申出による方法を明示的に否定していないことからも、その可能性は残されているといえよう。ただし、この場合、自己との関係における再審事由を主張できるか否かについては、なお問題として残されている。
続いて、本決定が可能であるとした、独立当事者参加の申出とともに再審を申し立てる方法について検討する。 まず、本決定は、平成元年判決は﹁旧民訴法の下、確定判決の効力を受ける第三者が適法な独立当事者参加の申出をすることができなかった事案において、当該第三者の再審の訴えの原告適格を否定したものであり、本件との抵触が問題になる判例ではない﹂としている。平成元年判決と本件はどこが異なるのだろうか。
前述のように平成元年判決では、実子は前訴において当事者適格を有しておらず、独立して訴訟行為をすることができないことから再審の申立てが認められなかったが、本件でも同様に、Xは、新株発行無効の訴えに関する当事者適格(被告適格)は認められていないため(会社法八三四条二号)、この点に関しては同様である。このことから、本決定で
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二五三八二九 は、第三者による再審の可否に関しては、前訴における当事者適格の有無というよりは独立当事者参加の可否を重視しているように見える。
平成元年判決は旧民訴法下での事案であった。それゆえ、独立当事者参加した場合、その訴訟形態は前訴当事者と参加人との三者が互いに相争う紛争を解決するものとされていたため )₂₈
(、前訴本案について三面対立が存在しない限り、復活した前訴に第三者が参加することはできないと考えられていた )₂₉
(。しかし、現行民訴法四七条のもとでは、片面参加の認容などから、独立当事者参加の構造を三面訴訟として位置づけることに対しては否定的な見解も多く )₃₀
(、自己に不利な判決の生じることをくい止めようとする制度と理解すべきであるとされている )₃₁
(。このように解すると、現行民訴法下では、平成元年判決当時と事情は異なり、第三者の独立当事者参加が可能であると考えることもできる。本決定も、おそらくこのように考え、独立当事者参加が可能であるとしたと解することができよう。
ただし、独立当事者参加ができるとしても問題は存在する。まず第一に、参加人となる第三者はどのような請求を立てるべきかという点である。本決定はこの点に関してまでは言及していない。詐害防止参加であれば、参加人は請求を立てなくともよいとする有力な見解もあるが )₃₂
(、通説は、詐害防止参加であったとしても、本訴当事者の一方または両方に対し請求を立てなければならないとしている )₃₃
(。前述した大阪高裁決定が、﹁本案請求の棄却を求めるとともに、相手方らとの関係で本件決議が有効であることの確認を求め﹂ることができるとして、参加の際の請求の内容に関し言及していることからも、請求の定立が必要であるとすると、本件では、Xが定立しうる請求としては、本件新株発行が有効であることの確認、あるいは本件新株発行によって発行された新株の株主であることの地位の確認などを考えることができる。前者は、過去の事実についての確認であり、確認の利益が問題となるため、後者の地位確認請求を主張すべきであろう。
( )同志社法学 六六巻三号二五四 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八三〇
第二に、独立当事者参加の方法であれば三号事由を主張することができるかという点も問題になると思われる。これは、前述した補助参加の申出とともに再審を申立てるべきとする見解に対して指摘されていた問題である。独立当事者参加により、第三者が前訴当事者に請求を立て、復活した前訴に加わることができるとしても、前訴本案との関係では、会社法上、あくまでも第三者の立場に立つはずであることから、自己との関係で前訴に瑕疵があることを主張することは認められないのではないか。独立当事者参加の申出により、合一確定の要請を介して前訴本案の結果を左右することができる以上、当該第三者は前訴本案の当事者に準じる者として、その瑕疵を主張することができると解すこともできそうである。しかし、会社法上、当該第三者が訴訟に参加していなくとも前訴は適法であることが予定されていることからも、これを理論的に説明することは難しく、信義則および手続保障の観点からの第三者の事後的な特別の救済という政策的な判断がなされたと捉えるべきであろう。
第三に、独立当事者参加の申立てによって参加した後の訴訟の帰趨も問題となろう。すなわち、合一確定の要請の範囲において、復活した前訴本案の結果を左右することも可能となるが、会社の組織に関する訴えは、請求認容判決のみが対世効を有し(会社法八三八条)、また、参加した第三者の請求は、前訴当事者との間でのみ効力を有するため、たとえ、当該第三者が勝訴し、前訴本案を棄却させたとしても、それ以外の者に対しては対世効を有さないため、前訴原告とは異なる原告適格を有する者が、再度、同種の訴えを提起する可能性がある。それゆえ、独立当事者参加による再審を第三者に認めたとしても、同じ問題がなお繰り返されうるため、第三者の根本的な救済にはならないと評価することも可能であろう。ただし、新株発行無効の訴えは、新株が発行した後、六か月以内に提起しなければならないため(会社法八二八条一項二号)、何度も繰り返されるおそれが高くはないが、理論的な問題として残るといえるのではないだろうか。
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二五五八三一 三 民訴法三三八条一項三号の再審事由適用の可否 本件Xが、前訴は三号に準じる事由にあたるとして再審を申し立てているように、前訴の係属を知ることなく自らの権利を害されることとなった第三者が再審を申し立てる際には、これまで述べてきたような、その申立ての可否と同時に、三号事由を適用することの可否についても問題となる。
三号事由は、その原因如何を問わず、当事者が訴訟において適法に代理されなかったすべての場合を含むと解されている )₃₄
(。そして、三号事由の適用が想定される典型的な事例としては、法定代理人や訴訟代理人に代理権がなかった場合、法定代理人や訴訟代理人の訴訟行為につき特別の授権を必要とするのにこれを欠いた場合、訴訟無能力者が自ら訴訟行為をした場合などが挙げられる。
一般的に、再審は、紛争解決のための既判力を打破するものであるため、民訴法三三八条一項各号に挙げられている再審事由については限定列挙と解されるべきとされている )₃₅
(。しかし、再審事由は厳格に解すべきでなく、拡大・類推解釈が可能であるとする学説も有力に主張されており )₃₆
(、特に、本件でも問題となっている三号事由については、判例・学説ともに、その適用範囲を拡張することに肯定的であり、これに対して積極的に異論を唱える学説はみられないとされている )₃₇
(。
このような三号事由の拡張が論じられるようになったのは比較的最近のことであり、この問題に関しては、送達の瑕疵が問題となる際に手続保障との関連で論じられてきた。代表的な判例として、平成四年九月一〇日民集四六巻六号五五三頁と最決平成一九年三月二〇日民集六一巻二号五八六頁を挙げることができる。
これらの判例から、三号事由の適否に関する判例の立場としては、その文言にこだわらず、代理権の欠缺があった場
( )同志社法学 六六巻三号二五六 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八三二
合と﹁同視し得る﹂ことを理由に三号事由を認めていることから、再審事由の拡張解釈に関しては、手続保障との関係で柔軟な態度をとっているとされ )₃₈
(、学説からも好意的に受け止められている )₃₉
(。また、この場合の三号事由の適用形式としては、﹁三号に準じる事由がある﹂とはせず、直接適用している点も注目される。
1 学 説 ・ 判 例
前述のように、明治民訴法四三八条によって認められていた詐害再審制度は、現行民訴法下では存在していない。そのため、本件のような、前訴の詐害的な訴訟追行によってその権利を害されることとなった第三者を再審によって救済する場合、これをどのように根拠づけるかに関してはいくつかの見解が存在する。
まず、これを一種の執行妨害として民訴法三三八条一項五号を類推することで認めるべきとする見解がある )₄₀
(。この見解に対しては、執行妨害として捉えるため、給付判決のみが再審の対象となる点、また、再審期間の制限がかかる点などが指摘されている )₄₁
(。次に、詐害再審の規定が削除されたのは立法の過誤であるとして、解釈論を通じてこれを認めるべきであるとする見解がある )₄₂
(。そこでは、前訴両当事者の(認識で足りる)悪意によって自らの権利が害された場合、前訴両当事者を相手方として独立当事者参加人として再審を申し立てることができるとし、その際、一般の再審期間の制限を受けるとされている。
そして、近時有力に主張されているのが、三号事由の類推によってこれを認めるべきとする見解である )₄₃
(。この見解は、手続保障の観点から三号事由を拡張する近時の判例の流れに沿う見解であるとして、詐害的な訴訟追行により権利を害されることとなった第三者に関しても、事情の同一性を考慮することで三号事由の類推が可能であるとする見解である。この見解については、本訴両当事者の悪意(詐害意図)が必要か否か、あるいは判決の取消しの効力は絶対的無効か相
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二五七八三三 対的無効かなど、要件の面に関してそれぞれ詳しい検討がなされている。
このように、学説では詐害再審の復活が強く求められてきた一方で、この点に関する立場を明示的に示した最高裁判例はこれまでのところ見当たらなかった )₄₄
(。しかし、注目される下級審判例として、前述の大阪高裁決定を挙げることができる。
大阪高裁は、三号事由の適否につき、
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や1。これているらとわかるが 号では﹁三るにじ事由そこで、たま、きあがとこるけづが準る式﹂が形の用準はてし関にと形三用して、と号事由の適 るきであし﹂と現た。うべ由いとるあが事審再るじ準民行め訴認法置位てしと判審級下た例をいの枠内におて詐害再審 案た本、てっが視し。るきでと同決判一に八場に号三項条三は三法訟訴事民、合たに法っ理人よって適に代理されなか てに関与した訴訟為をこれ決、にのれさ起提がう判案本行行機の代が会事当訟訴、は態事者こてっあでのたれわを奪、 し指摘Xた上で、﹁とはをせこたっかなら知を起提終の、制局権前るすとうよし限を利の判己自てっよに力判既の決訴
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に在社の代表者がいずれも決議が存しXないことを望んでいたことや、2ただし、三号事由の類推(準用)によって詐害再審を認めることについては、本件原審が指摘するように、例えば、会社法八五三条一項や特許法一七二条一項などによって特別に認められる詐害再審には )₄₅
(、本訴当事者の詐害意図に関する追加的な要件や出訴期間の制限がある一方で、三号事由の類推(準用)による詐害再審には出訴期間の制限がなく、また、その要件も明らかではないことから、特別法が定める要件とのバランスについて合理的に説明することができないという批判がなされている )₄₆
(。また、詐害再審を認める場合、会社法上の訴訟において重視される取引の安全性との関係をどのように考えるかについても大きな困難を伴うことが予想されるとの指摘もなされている )₄₇
(。
( )同志社法学 六六巻三号二五八 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八三四
2 本 決 定 の 立 場
三号事由の適否について、まず、本決定では、﹁新株発行の無効の訴えの被告適格が与えられた株式会社は、事実上、上記確定判決の効力を受ける第三者に代わって手続に関与するという立場にもあることから、上記株式会社には、上記第三者の利益に配慮し、より一層、信義に従った訴訟活動をすることが求められる﹂としている。このことから、本決定のいう信義則とは、訴訟当事者間における信義則ではなく、確定判決の効力を受けるものの被告適格を有しない訴外第三者と被告適格を有する者の関係におけるものであり、制度上、被告適格を独占的に有するために求められる特別の訴訟追行上の責任として捉えることができる。
会社訴訟における会社の訴訟追行に関しては、その判決効が第三者に拡張されることから、処分権主義・弁論主義を制限し、請求の認諾や裁判上の自白の拘束力を否定すべきであるとの見解が、学説上では従来から有力に主張されてきた )₄₈
(。本決定では、会社の訴訟追行について具体的な行為を制限しているとまではいえないものの、このような学説の流れと同方向の立場に立っていると解することができよう。
さらに、本決定では、このような信義則に著しく反する訴訟追行が会社によって行われた結果として生じた判決の効力を、被告適格を有さない第三者に及ぼすことが手続保障の観点から看過することができない場合、三号事由にあたるとして、第三者の手続保障の観点を持ち出している。ここでは、三号事由の適用につき、信義則違反と手続保障がどのような関係にあるのかが問題となってこよう。本決定も指摘するように、会社法上、通常、第三者は前訴に関与することが予定されていないため、第三者が手続に関与できなかったという一事をもって、三号事由による再審が可能であるとはいえない。それゆえ、再審そのものが可能であるかに関しては、著しい信義則違反があったか否かが重要な要素となると考えることができる。その上で、当該第三者による再審が、三号事由による場合には、三号事由の適用(類推・
( ) 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 同志社法学 六六巻三号二五九八三五 準用)について、手続保障の有無を問題とする従来の判例の観点からも、第三者の手続保障の観点が持ち出されていると捉えるべきであろう。
以上から、本決定の判断構造としては、会社訴訟において独占的に被告適格を有する会社に著しい信義則違反があったか否かを判断した上で、第三者による再審の可否を判断し、その上で、三号事由の適否との関係で、確定判決の効力を受ける第三者の手続保障についての判断がなされていると解すべきであろう。このような判断構造は、これまで述べてきた、この問題に関する有力説や大阪高裁決定の判断構造とは大きく異なっているといえる。
前述したように、従来の有力説や大阪高裁決定は、かつて存在した詐害再審制度の復活を念頭に置きながら、現行法の枠内で救済を与えるために、三号事由の法理を類推すべきであるとされていた。そして、詐害再審制度の復活を念頭に置くため、その要件として、前訴当事者の一方あるいは両方の悪意(詐害意図)が要求され、さらに、三号事由の類推(準用)という適用形式をとるとされていた )₄₉
(。また、それゆえに、再審期間などに関し、詐害再審を認める現行規定とのバランスが問題として指摘されていた。
これに対し、本決定は、この問題を、かつての詐害再審制度との関係で捉えるのではなく、信義則によって要求される会社のあるべき訴訟追行と確定判決の効力を受ける第三者に与えられるべき手続保障の問題として捉えている。詐害再審の復活ではなく、信義則と手続保障の問題として、より一般化して捉えることで、他の詐害再審を認める規定とのバランスの問題を回避していると評価することができよう。
このように、第三者による再審を認める要件をより一般化して構成することで、その適用範囲についても、従来の有力説や大阪高裁決定とは異なるものとなってくると思われる。例えば、現行人訴法下においても、平成元年判決のような問題が起こりうることが指摘されていることは既に述べた通りであるが、このような死後認知の事例においては、被
( )同志社法学 六六巻三号二六〇 確定判決の効力を受ける第三者の民事訴訟法三三八条一項三号による再審の可否 八三六
告となる検察官の詐害意図は通常想定されえない。それゆえ、この場合に、かつての詐害再審制度の復活を前提とし、前訴当事者の悪意(詐害意図)を必要とすると、第三者による再審を認めることはできないこととなろう )₅₀
(。しかし、本決定のように考えることで、被告適格を独占的に有する検察官は、第三者の利益を配慮する訴訟追行が求められることから、消極的な訴訟追行を行うことで信義則違反となる可能性があり、その場合、第三者の手続保障の観点から三号事由による再審を申し立てることが可能であるとする余地があることとなろう )₅₁
(。さらに、詐害再審を認める特別規定が適用される事例においても、本決定によって示された法理を用いて、通常の民訴法による救済を図ることが可能となる余地もあろう。
このことから、本決定は、従来の有力説や大阪高裁決定の延長線上にあるものとしてではなく、確定判決の効力を受ける第三者の事後的な救済方法を新たに示したものとして位置づけることができよう。
本決定では、
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