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マイクロトム変異体コレクションから単離したトマトcurl変異体の遺伝学的及び形態学的解析

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Academic year: 2021

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Genetic and Phenotypic Characterization of

Tomato Mutants Exhibiting Upward Curly Leaf

(curl), Isolated from Micro-Tom Mutant

Collections

著者

Sri Imriani Pulungan

発行年

2018

その他のタイトル

マイクロトム変異体コレクションから単離したトマ

トcurl変異体の遺伝学的及び形態学的解析

学位授与大学

筑波大学 (University of Tsukuba)

学位授与年度

2017

報告番号

12102甲第8590号

URL

http://hdl.handle.net/2241/00152665

(2)

氏名 Sri Imriani Pulungan 学位の種類 博 士( 農学 )

学位記番号 博 甲 第 8590 号 学位授与年月日 平成 30年 3月 23日 学位授与の要件 学位規則第4条第1項該当 審査研究科 生命環境科学研究科

学位論文題目

Genetic and Phenotypic Characterization of Tomato Mutants Exhibiting

Upward Curly Leaf (curl), Isolated from Micro-Tom Mutant Collections

(マイクロトム変異体コレクションから単離したトマト

curl 変異体の

遺伝学的及び形態学的解析)

主査 筑波大学 教授 博士(農学) 江面 浩 副査 筑波大学 教授 博士(理学) 菅谷 純子 副査 筑波大学 准教授 博士(農学) 有泉 亨 副査 筑波大学 准教授 博士(理学) 小野 道之

論 文 の 要 旨

審査対象論文は、トマトの葉の形態形成に関わる新規遺伝子の単離と機能解析を行った研究である。葉は 植物が行う光合成の主要器官であり、農作物の生産性を決定する重要器官である。 著者は、所属研究グループが保有する実験トマト品種マイクロトムの大規模変異体集団から葉が上方に湾

曲する発達異常を示すCurly Leaf(curl)変異体7種類を選抜し(第2章)、curl変異体の葉の変異形質に

関与する原因遺伝子の同定(第3章)、curl 変異体の形態学的及び遺伝学的特徴づけ及び同定した遺伝子の

葉の形態形成における機能推定(第4章)に取り組んだ。

著者は、まず形態観察から選抜した6種類の変異体のアレリズムテストを行い、同定した全ての変異体の 葉の上方湾曲変異が同一遺伝子座に生じた変異によって引き起こされていることを明らかにした。続いて、 マップベースクローニング技術を利用して当該変異遺伝子座が9番染色体上に座乗していることを明らかに

し、さらに全エキソーム解析技術とTILLING 技術を利用して原因遺伝子がSolyc09g014380(SlLAX1と命

名)であることを明らかにした。原因遺伝子であるSlLAX1は、シロイヌナズナでオーキシン・インフラッ クス・キャリアとして知られているAtAUX1のホモログ遺伝子であった。SlLAX1は、膜貫通アミノ酸トラ ンスポータータンパク質をコードし、アミノ酸/オーキシン・パーミアーゼファミリーに属し、トマトゲノム 中には5つのSlLAX1-5遺伝子が存在することがデータベース解析から明らかになった。これらの遺伝子は 全て成熟葉と根で発現することが知られている。シロイヌナズナでは、AtAUX1 は重力反応、葉脈パターン、 側葉の発達を制御していると報告されていることから、著者はcurl変異体の根の重力反応を調べた。その結 果、変異体は根の重力反応が変異の影響を大きく受けるとともに、側根の発生も影響を受けていた。これら

(3)

の結果より、著者は、SlLAX1 は AtAUX1 と同様にトマトでオーキシントランスポーターとして機能し、葉

全体のオーキシン含有量ではなく、むしろ局在に影響していると推定した。一方、本研究でSlLAX1の機能

として注目している葉の平坦性の制御についてはトマトを含む他の植物種では報告されていない機能である。 そこで、SlLAX1 の curl遺伝子変異体と葉の平坦性の制御に関する知見をさらに検証するため、TILLING

技術を使って大規模変異体集団から SlLAX1 遺伝子の変異体を選抜し、その形態観察を行った。その結果、 選抜した新たな変異体は、先行して解析した6つの変異体と同じく、curl 変異形態を示したことから、 SlLAX1の遺伝子変異がcurl変異形態の原因であることが確認された。 著者は、続いて、curl 変異体の詳細な形態学的特徴づけを行った。その結果、curl 変異体の特徴である 葉の上方湾曲は、葉の発達初期では見られないこと、乾燥や水利用効率の変化によるものではないことを明 らかにした。著者は、この観察結果及び葉の向背軸極性が葉の発達の極めて初期に決定されると先行研究で 報告されていることから、curl変異形態は向背軸細胞の比率の変化に起因していると仮定した。そこで、向 背軸側の敷石細胞の数と大きさについて詳細な観察を行ったところ、curl変異体では野生型に比べて背軸側 の敷石細胞が大型化していること、一方、向軸側の敷石細胞の数と大きさはcurl変異体と野生型で大きな違 いがないことが明らかになった。これらの観察結果より、著者は、curl 変異体で見られた葉の上方湾曲は、 背軸側の敷石細胞の肥大成長の違いに起因すると結論づけた。一方、著者はSlLAX1の葉の発達における役 割をさらに解明するには、向背軸側それぞれの場所でのSlLAX1遺伝子やタンパク質の発現解析やオーキシ ンの局在解析が必要であるとした。 以上の研究結果から、著者は、SlLAX1の葉の形態形成における機能は、オーキシンを介して葉の向背軸 両側の敷石細胞の肥大をバランスすることであると結論した。

審 査 の 要 旨

著者は、果実研究のモデル植物の一つとして広く研究されているトマトを対象に、大規模変異体集団を活 用し、植物の光合成器官として最も重要な葉の発達に関わる遺伝子の同定とその機能解明に取り組んだ。そ の結果、葉の上方湾曲変異体を多数選抜した。さらに、マップベースクローニング技術と全エキソーム解析 技術を併用することで、オーキシンを介して葉の平坦性を制御していると考えられるSlLAX1遺伝子を同定 するに至った。葉の形態は農作物の生産性を決定する重要育種形質であり、著者の発見は葉の形態制御に新 規知見を提供するものであり、学術研究として意義のある研究であると判断された。また、著者の研究は全 エキソーム解析技術がトマト変異体の遺伝子同定技術として有効であることを示した世界的にも先駆的な研 究であり、技術開発研究としても高く評価される研究であると判断された。 以上より、平成30年2月15日、学位論文審査委員会において、審査委員全員出席のもとに論文の審査及び最 終試験を行い、本論文について著者に説明を求め、関連事項について質疑応答を行った。その結果、審査委員 全員によって合格と判定された。 よって、著者は博士(農学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものとして認める。

参照

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