GCP第38条ガイダンスで、実施医療機関の長は治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、 その組織、治験事務局を設けることとなっています。また、IRB事務局(GCP第28条のIRBの事務を行う者 )は、IRB設置者が指定します。IRB事務局は、治験事務局が兼ねることもできます。 治験事務局の役割は、 ・治験の契約手続き等の業務 ・施設SOP作成 ・「治験審査依頼書」のIRBへの提出 ・実施医療機関の長の指示決定に関する通知文書の作成 ・記録の保存 ・その他必要な事務及び支援 (実施医療機関内の各部門との連携、履歴書の管理、治験依頼者への 文書発送等) になります。 履歴書の管理においては、治験責任医師だけでなく、ICH-GCPにも準拠した試験では治験分担医師の 履歴書も必要とされる場合があります。 IRB事務局の役割は ・IRB委員の指名に関する業務 ・治験の契約手続き等の業務(「外部IRBとの契約」を含めた場合) ・IRBに関するSOP作成 ・IRB審査文書及び審査結果通知書等の関係者への提出 ・記録の保存 ・その他必要な事務及び支援 (治験依頼者への文書発送等) になります。
IRBとは、治験を審査する委員会です。治験ごとに実施計画書及び同意説明文書の内容等を審査することにより、被験者の人権、 安全性及び福祉を保護するための委員会で、治験依頼者(製薬会社)、治験に関わる医師等から独立した第3者的立場で公正な 審議を行う機関として重要な役割を担います。医学、歯学、薬学等の自然科学及び非専門家によって構成され、倫理的、科学的 及び医学的・薬学的観点から、それぞれの委員の専門性を活かし、また一方では被験者の目線で審議を行います。IRBでは、治 験開始時に計画書等、実施中には安全性情報、計画書からの逸脱等の審議を行いますが、計画が却下されたり、条件がついた 場合は治験を実施又は継続することができません。 【なぜIRBでの審議が必要か?】 ニュルンベルグ綱領(参考1)、ベルモント・レポート(参考2)で述べられているような被験者の権利を守るために、当該治験に関し て先入観のない医療の専門家、非専門家が、被験者の人権保護や安全性の確保、治験実施の社会的意義と被験者のリスクの バランス等について、治験に先立ち中立的な立場で検討する機会が必要とされています。 【IRB制度の成り立ち】 第2次世界大戦後(1947年)に人体実験を行ったナチスを裁くために定められたニュルンベルグ綱領を参考とし、世界医師会総会 にて医学研究者が自らを規制する目的の倫理規範として1964年にヘルシンキ宣言が採択され、時代にあわせ改訂されてきました。 独立したIRBでの計画書の審議と承認の必要性については、1975年の東京改訂にて追加されました。ニュルンベルグ綱領後も、 米国ではタスキギーの梅毒研究(1932~72)等が継続されていたことから、1979年ベルモント・レポートにて倫理原則が具体化さ れ、今日の生命倫理学の基本原理に重要な影響を与えています。 IRBに係る業務を遂行するにあたりIRB審査の目的を理解し、公正で適切な審議が出来る体制を整えることが重要となります。 <参考資料> 1. GCPポケット資料集 2014年版 2. ニュルンベルグ綱領、http://www.med.kyushu-u.ac.jp/recnet_fukuoka/houki-rinri/nuremberg.html 3. ヘルシンキ宣言、http://dl.med.or.jp/dl-med/wma/helsinki2013j.pdf 4. ベルモント・レポート、http://www.med.kyushu-u.ac.jp/recnet_fukuoka/houki-rinri/pdf/belmont.pdf 参考1:ニュルンベルグ綱領でのヒトを対象とする試験における記述 ①被験者の自発的同意が絶対に必要である、②あらゆる不要な身体的、精神的苦痛および障害を回避するように管理されなけ ればならない、③負わなければならない危険性の程度が問題解決の人道的重要性を超えてはならない 参考2:ベルモント・レポートの倫理原則 ①人格の尊重:個人を自律的な主体として扱うこと。自律性の低下した人格を保護しなければならないこと。 自由意思による同意に基づく研究への参加、インフォームド・コンセントに基づく研究への参加及び、プライバシー、秘密が保護 されることなどの要件が必要となる。 ②善行:個人に害をなしてはならない。利益をできる限り大きくし、害をできる限り小さくする。
【重要ポイント】 治験開始から終了までの期間、公正で専門的なIRB審議を一貫して行うことができるIRBを選 定することが重要となります。そのためには、設置団体の透明性、財務基盤、公正性、IRBの 専門性等についても調査して、治験が終了するまで適切な審議を行うことが出来るかを確認 する必要があります。多施設共同治験においては、複数の実施医療機関での審査をセントラ ルIRBで行うケースも増えており、効率化につながっています。 IRB委員の構成としては、実施する治験と利害関係のない委員(外部委員)を確保することが 重要となります。 外部委員として、実施医療機関の職員、IRB設置者の役員、職員又は会員等、顧問弁護士、 門前薬局の店主、医師派遣元の医学部の教授等を指名することは不適切とされています。疑 念がある場合は治験依頼者等に利害関係を説明できるようにしておきましょう。 また、専門家、非専門家、男女それぞれの目線から審議できるよう、適切な構成を検討して下 さい。 委員の指名にあたり注意すべき点は下記のとおりです。 ・男女両性で構成されるのが望ましい ・委員はヘルシンキ宣言、GCP、薬事法等の内容を理解していること ・委員が多数の際は、非専門家委員(3号委員)、実施医療機関と利害関係のない外部委員(4 号委員)、IRB設置者と利害関係がない外部委員(5号委員)を増やすなどして適切な割合とす ること ・非専門家委員(3号委員)は、実施医療機関と利害関係のない外部委員(4号委員)、IRB設置 者と利害関係がない外部委員との兼務不可 ・実施医療機関と利害関係のない外部委員(4号委員)、IRB設置者と利害関係がない外部委 員(5号委員)は、別人/複数が望ましい ・実施医療機関が複数の学部を有する大学の医学部の附属病院である場合に、他学部(法学 部等)の教員で実施医療機関と業務上の関係のない場合は実施医療機関と利害関係のない 外部委員(4号委員)として指名可能
治験依頼者側(実施会社、親会社、子会社、CRO等の職員等)、実施医療機関側(実施医療機 関の長、治験責任医師、分担医師、治験協力者等)は審議採決に参加することができません。 上記委員を除いた上で、成立要件を満たすことのできる委員構成を検討する必要があります。 審査品目の説明は、治験責任医師あるいは治験分担医師が行うのが望ましいとされています。 迅速審査対象案件については、被験者への危険性を増大させないものに限られます。IRBの 手順書に「迅速審査」の適用範囲、判断者等をあらかじめ定めておくことが必要となります。
治験依頼者からの治験依頼等や治験責任医師からの継続審査依頼等については、 実施医療機関の長がIRBに意見を聞き、IRBが実施医療機関の長へ審議結果を通知し、 実施医療機関の長が治験依頼者や治験責任医師に通知するというのが通常の流れ になります。 GCP第48条には、 「治験責任医師は、治験審査委員会等の継続審査を受けるために、治験の現況の概 要を年に1回又は当該治験審査委員会等の求めに応じてそれ以上の頻度で、実施医 療機関の長に文書をもって提出すること」 とあり、治験責任医師による治験実施状況報告書の作成とIRBによる審議が必要にな ります。 治験実施状況報告書は治験責任医師が作成すべき書類であることから、実施医療機 関が責任を持って作成し、IRBでの継続審査を受けるようにしなければなりません。治 験実施状況報告書の作成に関して、治験事務局から治験責任医師へ注意喚起する体 制を整えておくことは、継続審査の審議漏れを防ぐためにも有効です。 【重要ポイント】 適切なタイミングで必要な事項が審議されないと被験者の保護や科学性の担保ができ なくなり、データの信頼性を担保することも出来なくなります。
【重要ポイント】 平成24年12月発行のGCPガイダンスより、報告・審議結果通知の簡略化が可能となり ました。自施設での運用を検討してみて下さい。安全性に関する情報に関しては、速 やかに審議が行われることが治験を安全に実施する上で大切であり、可能な限り1ヶ 月に1回以上の審議を行うことが望まれます。 「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンス(平成24 年12 月28 日 付薬食審査発1228 第7 号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)では、治験依 頼者、IRB等及び実施医療機関の長との合意が得られていれば、治験依頼者は治験 責任医師、実施医療機関の長に加え、IRB等にも同時に副作用の個別報告や定期報 告など,安全性情報報告に限って通知することが可能となり、実施医療機関の長が IRBに文書により通知したものとみなされます。このことから、書式4の作成は不要とな ります。 IRB等は実施医療機関の長に加え、治験責任医師、治験依頼者にも同時に副作用な どの安全性情報等に関する審議結果を述べることが出来るようになり、実施医療機関 の長が治験依頼者及び治験責任医師に通知したものとみなされます。 IRBは実施医療機関の長に加えて治験責任医師及び治験依頼者にも書式5をもって、 意見をのべることができます。
【重要ポイント】 自施設で発生した重篤な有害事象報告については、前のスライドに示した簡略化は適 応されませんが、速やかに審議が行われることが治験を安全に実施する上で大切で す。 自施設にて発生した重篤な有害事象に関する報告については、治験責任医師から治 験依頼者、実施医療機関の長に報告書が提出され、書式4にてIRBに審議依頼を行う 必要があります。
【重要ポイント】 最近は、被験者の試料採取によるゲノム・遺伝子解析が計画されている治験が多く なってきています。遺伝子は個人情報を含む可能性があるため、研究目的によっては 審査対象資料、審議に際する留意点が異なります。 治験実施計画書にゲノム・遺伝子解析がある場合は、その分類(分類A~C)について 確認します。 【分類A】治験開始時に具体的な方法と実施時期が決定されている当該薬物の 評価に限定したゲノム・遺伝子解析を行う場合 【分類B】治験開始時に具体的な方法または実施時期が決定されていない当該 薬物の評価に限定したゲノム・遺伝子解析を行う場合 【分類C】当該薬物とは直接関連しない探索的研究 分類Aおよび分類Bに該当する場合で治験実施計画書と別にファーマコゲノミクス検討 の計画書並びに説明文書および同意文書を準備した場合には、治験実施計画書とと もにファーマコゲノミクス検討の計画書並びに説明文書および同意文書についても実 施医療機関のIRBで審査する必要があります。
【重要ポイント】 最近は、被験者の試料採取によるゲノム・遺伝子解析が計画されている治験が多くなってきています。 遺伝子は個人情報を含む可能性があるため、研究目的によっては審査対象資料、審議に際する留意 点が異なります。 治験実施計画書にゲノム・遺伝子解析がある場合は、その分類(分類A~C)について確認します。 【分類A】治験開始時に具体的な方法と実施時期が決定されている当該薬物の評価に限定した ゲノム・遺伝子解析を行う場合 【分類B】治験開始時に具体的な方法または実施時期が決定されていない当該薬物の評価に 限定したゲノム・遺伝子解析を行う場合 【分類C】当該薬物とは直接関連しない探索的研究 分類Cに該当する場合、治験実施計画書並びに説明文書および同意文書に加え、ファーマコゲノミクス 検討についても治験実施時には分類Bほどの具体的な計画は立てられないものの研究計画の概略並 びに説明文書および同意文書を整えた上で倫理的・科学的妥当性について実施医療機関のIRBにおい て審査する必要があります。 また、ゲノム・遺伝子解析を行う場合、ゲノム・遺伝子解析は治験とは独立した臨床研究にあたるため、 研究を行う機関でゲノム・遺伝子解析の研究計画書を作成し、「ゲノム倫理指針」に則った研究を行う機 関あるいは外部の「倫理審査委員会」で、その実施の適否等について倫理的および科学的観点から審 査する必要があります。 なお、『研究計画が確定した時点で,別途,「ゲノム倫理指針」に則った研究を行う機関における「倫理審 査委員会」で審査する。』旨を予め記載した治験実施計画書がIRBで審査され承認が得られていること、 試料の利用目的(概略)を十分説明した上で各被験者から文書による同意の取得されていることを前提 とし、ゲノム・遺伝子解析の研究計画は試料を採取した実施医療機関のIRBにおいて再度審査する必要 はありません。
【重要ポイント】 効率的な運営を行い、十分に科学的・倫理的な議論が行われるような質の高いIRBが 求められています。どのような運営を行うと、開催ごとに十分な審議を行うことが出来 るのか、良く検討してみましょう。 開催日程について注意を払うと共に、審議採決に関与できない委員の有無も確認し、 成立要件を満たすかどうか確認する必要があります。 また、審議対象資料の取り違え等が起こらないように、各種書類の日付の整合性をよ く確認しておきましょう。 IRB開催前に委員が十分に審議資料を読めるような時間的余裕を持って配布するよう にします。 委員は、IRB開催前に審議資料を読み、例えば当該試験について被験者保護や費用 負担の妥当性など、治験責任医師等に説明を求めたい点、審議すべき問題点、必要 な修正意見を整理して論点を整理しておく必要があります。事前に治験依頼者に質問 提出し、回答を準備してもらうことで、充実した審議を行うことができます。 委員が交代で担当し、担当者が全般的な審査意見を述べてから全体の審議に入るプ ライマリ・レビューア方式を採用することも、審議を充実させるための1つの方法です。 この場合、すべての委員が均等に担当するようにすること、審議が形骸化しないように するなどの注意が必要です。
【重要ポイント】 質の高いIRBを、効率的に運営するにあたり、IRB委員の教育も重要な要素となります。 IRBに関するGCPの要件は、GCP第27条から第33条に記載されています。治験審査委 員会の委員はこれらの要件を理解して審議等行う必要がありますので、事前教育は非 常に重要です。 「もしもIRB委員に指名されたら…<治験やIRBにはじめて関わる非専門・外部委員編 >には 初めてIRB(治験審査委員会)の委員に依頼/指名された特に非専門や外部の委員 の方を主な対象として、 IRBとその背景に関する基本的事項を、できるだけわかりやすく整理・紹介することを 目的に作成されておりますのでご活用ください。 <参考資料>
日本QA研究会(JSQA) GCP部会 第1分科会 Aグループ 「もしもIRB委員に指名された ら…<治験やIRBにはじめて関わる非専門・外部委員編>(2008年3月)」
【重要ポイント】 透明性の観点から、会議後速やかに(2ヶ月以内)IRBの審議結果を公表し、だれからも閲 覧可能にすることが重要になります。 IRBの会議の記録の概要については、平成21年2月5日付け厚生労働省医薬食品局審査 管理課 事務連絡の別紙にIRB議事録のモデルフォームがあります。 記載ルールが統一されているこのフォームを使用することで、治験依頼者からの確認の 問い合わせも少なくなります。 治験依頼者は、知的財産権に関する記載に注意を払っていますので、知的財産権の侵害 にならないよう、IRBの会議の記録の概要案の作成後、公表前に治験依頼者へ記録内容 の確認をとることが望まれます。 IRBの会議の記録の概要は、会議開催後2ヶ月以内に公表するのが望ましいとされていま す。
【重要ポイント】 治験の背景によって、GCP保存文書の保存時期、知的財産権等に関する取り決めが異なります。 契約書に記載が必要な事項はGCP第13条に記載されています。 契約書の内容において、よく治 験依頼者から変更を求められる点として、GCP保存文書の保管期間、知的財産権に関わる記述 があります。 GCPガイダンス第41条では、記録保存責任者は、次に掲げる治験に関する記録を被験薬に係る 医薬品についての製造販売の承認を受ける日又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した 日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならないとされています。その一方で、ICH-GCPに準拠する試験(たとえば、国際共同試験の等)の場合、医薬品の製造承認取得のための 治験が実施されている国々において製造販売承認が取得でき、かつ、その後、GCP/ICH-GCP/ 各国の規制を遵守する期間、保存する必要があります。ICH-GCPにおいては、製造(輸入)申請 を行うすべての国で、試験が終了した後2年間、文書を保存しなければならないことが規定されて おり、各国の試験進捗・承認状況などから、GCPで規定されている期間よりも長期間、記録の保 存を依頼する治験依頼者もあります。 また、PGxのためにDNA保存を行う試験も増えてきており、市販後に解析を行う可能性もあるため、 その同意書も含めたGCP保存文書について長期の保管をもとめる場合があります。 契約締結後に、GCPで規定されている以上の保管期間について、契約を変更し対応することも想 定されますが、治験開始時より保管期間について協議しておくことで、将来的に円滑に治験を進 めることができます。 記録保存に関する詳細については、「12_治験に関する保存文書の保管・管理」をご参照下さい。
【重要ポイント】 治験効率化の観点から、契約書の記載が緩和されています。 平成24年12月のGCP改正(平成24年12月28日付 厚生労働省令第161号)において、 治験責任医師の職名、治験分担医師の氏名、職名、目標とする被験者数は契約書の 記載項目から削除されました。治験に参加する治験分担医師の氏名、職名は、治験分 担医師・治験協力者 リストにて確認が出来ます。また、目標とする被験者数は、治験 依頼者との合意が必要ですので、お互いに何らかの形で契約書とは別に記録に残し ておく必要があります。 参考事例:<治験119> 質問番号:2013-12 目標とする被験者数の合意記録 質問番号:2013-13 治験分担医師の削除に対する治験審査委員会審査の要否
【重要ポイント】 治験依頼者以外に契約締結が必要な例として、SMO、検査委託先等があります。その 場合、GCP第39条2項に規定されている事項が記載されている契約の締結が必要です。 また、外部IRBが選定され審議依頼する場合も、GCP第30条2項に従ってIRBの設置者 との契約締結が必要になります。 治験実施計画書で規定されたCT、MRI、PET、眼科等の検査項目について自施設で対 応できないとき、外部の検査機関、実施医療機関に当該検査の委託を検討することが 可能な場合もあります。この場合、検査を委託する実施医療機関を適切に調査(機器 の精度管理、検査者、時間的余裕 等)し、契約を締結する必要があります。 (治験依頼者が治験実施計画書等に規定し、契約している中央一括測定等を除く)
【重要ポイント】 治験依頼者は、実施医療機関が治験を適切に実施できる体制を維持しているかどう かを、治験期間中も継続して確認する義務を負っています。特に治験責任医師の変更 は、要件の確認、規制当局への事前提出が必要になりますので速やかに治験依頼者 に伝達し、必要な手続きが行えるよう協力しましょう。 GCP35条では、実施医療機関の要件が規定されており、治験依頼者はGCP6条に基づ いて、治験依頼前に、実施医療機関が十分な設備、人員を有しているなどの要件調査 を行い、実施医療機関を選定しますが、実施医療機関の選定後に変更が生じた場合、 すみやかに治験依頼者に伝える必要があります。実施医療機関内で治験に関与して いる医師が変更になった場合に治験事務局にすぐに連絡が入る体制が望まれます。 特に治験責任医師の変更は、治験依頼者による再選定、治験届の事前提出、IRBの 審議が必要となり、治験の適切な実施及びその継続に大きな影響を与えますので治 験依頼者への事前連絡が必須となります。IRB委員の変更についても速やかに治験依 頼者に伝える必要があります。 治験依頼者は新たなIRB委員がGCP及び実施医療機 関のSOPに準じた構成要件であるかを確認します。 参考事例:<治験119> 質問番号:(1) 治験責任医師の異動/交代(その1) 質問番号:2004-04 医療機関の長の交代に伴う契約の変更(その1) 質問番号:2004-05 医療機関の長の交代に伴う契約の変更(その2) 質問番号:2005-07 治験責任医師の異動/交代(その2) 質問番号:2005-14 治験責任医師の異動/交代(その3)
【重要ポイント】 適切な時期に、効率的な直接閲覧が実施されることにより、起こり得るリスクが適切に 管理され、治験の質の向上、被験者の安全性の確保につながると考えられます。 治験事務局はモニタリング等の対応窓口として、モニター等の求めに応じ、原資料等 のすべての治験関連記録を直接閲覧に供し、モニタリング等が適切かつ速やかに行 われるよう協力することが求められています。 昨今、電子化の体制が整えられつつありますが、これによりリモートでの直接閲覧も可 能になり、よりモニタリング等の効率化につながる可能性があります。 <参考>(モニタリング等への協力) GCP37条
治験効率化の観点から、統一書式、押印省略、支援システムの利用が推奨されています。 「新たな治験活性化5カ年計画」(平成19年3月)に基づくアクションプランの一つとして「治験の効率的実 施及び企業負担の軽減」がありますが、この成果の一つとして「治験の依頼等に係る統一書式」が平成 19年12月に初めて示されました。統一書式は平成26年7月1日に改正され、厚生労働省「治験」ホームペ ージ、日本医師会治験促進センターのホームページからダウンロードできます。最近では治験業務支援 システム カット・ドゥ・スクエアの利用、押印省略等もあり、治験の効率化に貢献しています。 「8.治験関連文書の電磁化」の資料も参照して頂き、治験効率化という観点からも最適な治験事務局業 務管理方法を実施医療機関ごとに検討してみましょう。 <参考資料> 1.「新たな「治験の依頼等に係る統一書式」について(通知)」、(平成24年3月7日付 厚生労働省医政局 研究開発振興課長、厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知) 2.「新たな「治験の依頼等に係る統一書式」について(通知)」、(平成26年7月1日付 厚生労働省医政 局研究開発振興課長、厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知) 3.「治験関連文書における電磁的記録の活用に関する基本的考え方」の一部改正について」 (平成26 年7月1日付 医薬食品局審査管理課事務連絡)