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生活期リハビリテーションの生活機能評価アプリケーション開発とデータベース作成

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Academic year: 2021

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(1)理学療法学 第 144 43 巻第 2 号 144 ∼ 145 頁(2016 年) 理学療法学 第 43 巻第 2 号. 平成 25 年度研究助成報告書. 縦断的かつ鋭敏に捉えられる生活機能評価指標を組みこんだ標 準的評価票を作成し,利用者に対する評価を行い訪問リハの効. 生活期リハビリテーションの生活機能評 価アプリケーション開発とデータベース 作成 ─多施設共同による標準的評価の構築をめざして─. 果検証を行う。同時に施設および利用者データベース(以下, 利用者 DB)を構築するためのアプリケーション(以下,アプ リ)を開発することとした。 研究概要  昨年度の課題として介護状況を含めた生活動作評価(以下,生 活動作評価)と福祉用具使用評価の評価手順説明が不十分であ. 1). 2). 三浦祐司 ,上岡裕美子 ,飯島弥生. 3). ,. り無回答が多くなったため説明文やフローチャート,Q & A を. 中里和浩 4),鈴木 愛 5),大曽根賢一 1),斉藤秀之 3),. 作成し再検討を行い,各評価項目の内容妥当性を検討し Ver.1.0. 有田元英. ,山口普己. 3). 6). を完成させた。Ver.1.0 を使用し調査開始・3 ヵ月・6 ヵ月の利 用者の変化を検証し Ver.1.0 の有効性を検討した。昨年度凍結し. 1). ていたアプリ開発は,ファイルメーカー株式会社の FileMaker. 2). Pro13 を使用しデータベース作成方法を検討中である。. 筑波メディカルセンター 茨城県立医療大学. 3). 筑波記念病院. ①介護状況を含めた生活動作評価と福祉用具使用評価の再検証. 4). いちはら病院. 【方法】. 5). 新たに手順書・フローチャート・Q & A を作成し説明を行っ. 6). たうえで検者間信頼性を検討するため 5 施設の利用者 23 名の. 特別養護老人ホーム 七福神 有田内科整形リハビリクリニック. 評価を行った。 要旨:本研究は,昨年,信頼性と妥当性を検証し,再検討を必. 【結果】. 要とした項目の信頼性の検証を行い,内容妥当性から再構成. 昨年度と比較し無回答欄は減少したが,点数に関し検者間のば. した改訂版標準的評価票 Ver.1.0(以下,Ver.1.0)を作成した。. らつきが大きく信頼性が低く利用できるものではなかった。再. Ver.1.0 を用い訪問リハの介入による生活機能の変化の実態を. 度,問題点の抽出と検証を行い,DB 部会で修正を行っていく。. 明らかにし Ver.1.0 の有効性検証を行った。結果は,調査開始. ②内容妥当性の検証. 時と 3 ヵ月後,調査開始時と 6 ヵ月後においてベッド周囲基本. 【方法】. 動作能力評価,Function Independence Measure(以下,FIM). 20 施設の利用者 70 名に対し,標準的評価票を使用した評価者. 運 動,FIM 合 計, 参 加 _ 社 会 参 加, 参 加 _ 合 計,Life-Space. 36 名に,質問紙法により各項目が生活期リハの効果を検討す. Assessment, Canadian Occupational Performance Measure 遂. るうえで適切かどうか,その項目をそのまま残すべきか(包含. 行度において有意差が認められた。発症 1 年以内の利用者であ. 容認)について質問した。また,自由記載欄を設け評価者の意. れば生活期リハの効果を測定するツールとして有用である。た. 識を尋ねた。包含容認率を 75%とし評価者の意見をもとに項. だし,生活関連活動における参加の評価および介護状況を含め た生活動作評価に関しては再検証が必要である。経済的問題に. 目の採否を決定した。 【結果】. より凍結していたアプリケーション開発は,FileMaker Pro13. 評価者 36 名の職種は,PT 23 名,OT 11 名,無回答 2 名,評. を用いたデータベース作成方法を検討している。. 価者の職種経験年数 5 年未満と 5 年以上の比較と職種間の比較. キーワード:生活期リハビリテーション,生活機能評価,デー. を行ったが回答に偏りはなかった。包含容認率を満たさない既 存評価項目は,7 項目あり,新規評価項目では,生活関連活動. タベース. における参加の評価(以下,参加の評価) ,生活動作評価,福 背  景. 祉用具使用評価であった。それ以外の項目は,基準を満たして.  生活期リハビリテーション(以下,生活期リハ)の効果は,. いた。評価者の意見から参加の評価と生活動作評価に対する肯. 急性期・回復期のリハビリテーション効果を測定している尺度. 定的意見が多くあり内容と評価方法の明確化を望む声があっ. では的確に測定することが困難である。厚生労働省社会保障審. た。福祉用具使用評価に関しては否定的意見が多く認められた。. 議会でも,生活期リハの効果を検証しうる評価手法に関する研. ③改定版標準的評価票 Ver.1.0 の作成. 究を進める必要性が指摘されている. 1). 。在宅医療・介護等サー. 【方法】. ビスにおける Information Technology の導入は,進歩してき. 昨年度,24 の評価項目からなる標準的評価票の信頼性と妥当. ており,タブレット端末の活用が増加しているが,訪問リハビ. 性の検証を行い,評価者の意見も踏まえ DB 部会で検討・修正. リテーション(以下,訪問リハ)を代表とされるリハビリテー. を加え,Ver.1.0 を作成した。. ションに関する評価項目の少なさが訪問リハ事業所等へ普及の. 【結果】. 阻害因子となっている 2)。. Ver.1.0 として既存評価 7 項目と福祉用具使用評価を削除し,. 目  的. 必須項目 10・選択項目 6 とした(図 1) 。参加の評価と生活動.  有識者で構成されたデータベース作業部会(以下,DB 部会). 作評価に関しては,修正を加えず必須項目とし評価をすること. が,考案した生活機能の維持・向上に向けた訪問リハの効果を. で問題点抽出を行うこととした。.

(2) 生活機能評価アプリケーションの開発とデータベース作成. No. 必須項目. 145. No. 選択項目. 1. ベッド周囲基本動作能力評価. 1. 関節可動域. 2. ベッド周囲生活活動評価. 2. 筋力. 3. 生活関連活動における参加の評価. 3. 機能的上肢到達検査(Functional Reach Test). 4. 介護状況を含めた生活動作評価. 4. ボルグ・スケール. 5. FIM(Function Independence Measure). 5. MRC 息切れスケール. 6. 日本語版 Zarit 介護負担尺度(短縮版). 6. 予備心拍数(Heart Rate Reserve). 7. LSA(Life-Space Assessment). 8. MMSE(Mini-Mental State Examination). 9. COPM(Canadian Occupational Performance Measure). 10. 周径. 図 1 改定版標準的評価票 Ver.1.0 の評価項目. 表 1 動作所要時間の経時的変化. ④訪問リハの効果検証および Ver.1.0 の問題点の抽出 【方法】. 動作(時間単位). 初回. 3ヵ月. 6ヵ月. 10.9 ± 13.2. 9.9 ± 13.1. 対象者は,発症・受傷後 1 年以内の訪問リハ利用者および介護. ベッド上移動(秒) 11.9 ± 14.2. 者とし,除外疾患を設けた。Ver.1.0 を用い調査開始時,3 ヵ月. 寝返り(秒). 7.2 ± 7.3. 6.5 ± 5.4. 5.5 ± 4.6. 後,6 ヵ月後に評価を行った。. 起き上がり(秒). 11.5 ± 15.1. 14.1 ± 19.3. 11.4 ± 11.9. 【結果】. 移乗(秒). 10.7 ± 12.9. 13.1 ± 16.9. 12.3 ± 13.5. 調査開始時,利用者 70 名であったが,終了者 23 名あり完遂. 屋内移動(秒). 45.5 ± 59.9. 36.2 ± 29.2. 43.4 ± 45.3. できた利用者 47 名(男性 27 名/女性 20 名:平均年齢 76.7 ±. 排泄(分). 6.9 ± 7.1. 5.1 ± 3.6. 5.9 ± 4.1. 11.1 /平均要介護度 2.64 /発症から調査開始までの平均期間. 食事(秒). 21.1 ± 20.2. 23.2 ± 20.5. 23.8 ± 19.5. 238.1 ± 96.3 日)であった。主介護者 39 名(平均年齢 66.8 ±. 入浴(分). 23.7 ± 11.9. 27.0 ± 9.6. 24.7 ± 9.7. 12.3)で介護者がいない利用者が 8 名であった。. 屋外移動(秒). 41.2 ± 63.8. 41.2 ± 42.3. 36.5 ± 35.9. Ver.1.0 の必須項目を一元配置分散分析にて分析し,有意差が 認められた評価指標について,多重比較 Dunnett の方法を用 い検定を行った。結果は,ベッド周囲基本動作能力評価,FIM. おり,ネットワーク共有機能もしくは FileMaker Server を利. 運 動,FIM 合 計, 参 加 _ 社 会 参 加, 参 加 _ 合 計,Life-Space. 用したデータベース作成方法を検討中である。. Assessment(以下,LSA) ,Canadian Occupational Performance. まとめと考察. Measure(以下,COPM)遂行度において有意差がみられた。.  生活動作評価と福祉用具使用評価の再検証および内容妥当性. 3) 参加の評価は,ICF 活動と参加の基準(暫定案) を利用した. 検証により項目を絞りこみ Ver.1.0 を作成した。Ver.1.0 は,発. ため日本の生活に合わせた文言の設定として評価に戸惑うこと. 症 1 年以内の利用者であれば生活期リハの効果を測定するツー. が認められた。文言の設定を検討する。. ルとして有用である。ただし,参加の評価および生活動作評価. 生活動作評価は,問題点として(1)点数だけでは介護の有無. に関しては再検証が必要である。今後,Ver.1.1 を作成し発症 1. が判断できない(2)残存能力・介助方法が評価者の主観的な. 年以上経過した利用者にも有効であるか検証する。また,結果. 評価になりばらつきが生じる(3)利用者の疲労度記載をして. が表れるまでに時間を要する項目を検証するため長期間の研究. いたなど評価方法の問題点が明確になった。動作所要時間は同. 調査を行い,改定版標準的評価票を訪問リハのスタンダードに. 一利用者内でのばらつきは少ないが,利用者間でのばらつきや. することが望まれる。そのためにも FileMaker Pro13 を使用し. 外れ値が存在することで統計処理は困難であった。平均値の経. たデータベースを作成することで簡便に入力でき統計処理が行. 時的変化から介入により単純な動作は動作所要時間が短縮し,. え,状態像に合わせた訪問リハの効果を示すことができるよう. 複雑な動作になると動作所要時間は変動が大きくなる傾向が認. にすることが期待される。. められた(表 1)。この評価は「今までになく在宅で必要な評. 文  献. 価である」などの肯定的意見があり,評価内容として介護の有 無・動作可否・本人もしくは介護者の疲労度・動作所要時間と することで再検討する。 ⑤データベース作成方法の検討 【方法】 昨年度,経済的問題により凍結していたアプリ開発を DB 部会 で会議を行い FileMaker Pro13 を使用しデータ入力する帳票を 作成し,外部より入力できるシステムを開発することとした。 【結果】 FileMaker Pro13 を購入し,現在,Ver.1.0 の帳票作成を行って. 1)厚生労働省:第 1 回社会保障審議会介護給付費分科会介 護報酬改定検証・研究委員会議事録,老健局老人保健課, 2012.http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ecvr. html(2014 年 1 月 31 日引用) 2)三浦久幸:長寿医療研究開発費 平成 22 年度 総括研究 報告 在宅医療の推進に関わる総合的研究開発に関する研 究,国立長寿医療研究センター,2010.http://www.ncgg. go.jp/ncgg-kenkyu/documents/22/21si-2.pdf(2014 年 1 月 31 日引用) 3)厚生労働省大臣官房統計情報部:生活機能分類の活用に向 けて─ ICF(国際生活機能分類) :活動と参加の基準(暫 定案)─,厚生統計協会,2007.http://www.mhlw.go.jp/ shingi/2007/03/dl/s0327-5l-02.pdf(2013 年 8 月 21 日引用).

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