地域社会 におけ る男子 のスポー ツの実施状況 を
規定す る要因の分析
鳥取大学教育学部 山 口大学教育学部
Study on the Deter■
nants of卜
Iales'ParticipatiOns
in Sports Activities in COnlェ
nunity
Kazuyuki Futt」
ふ′IOTO*, Katsue ENDO**
I
研 究 目 的 地域 スポー ツの重要性が謳われ,地
域スポーツ振興のための様 々な方策が案出され,実
行 され て いるがいずれ も地域住民の 日常的スポーツ活動の促進 ということを課題 としている。 これ までにスポー ツの実施状況を規定す る要因についてはい くつかの研究1'2,3,0が ぁ り,「性J 「 年令」「 職業」「 結婚」「 生活時間」「 過去のスポーツ経験Jな
ど様 々な要因が指摘 され ているが, 現在 のスポーツ実施状況を規定す る要因の分析では,過
去のスポー ツ経験は不可欠の説 明変数 と し て取 り扱われ てお り,金
崎がスポーツ実施状況を規定す る要因の分析の中で,分
析 内容である過去 のスポーツ経験 にっぃて,「過去の どのようなスポー ッ経験が現在 のスポー ツ行動 に どの ような影 響 を及ぼす か, とい った より詳細 な分析をすすめてい くことが求め られ る」0と指摘 しているよう に,社
会人の場合の過去のスポーツ経験の分析は,長
期間を分析対象 として詳細 に検討 を加 えてい く必要がある。 本研究は地域社会での男子のスポーツ活動の実施状況を規定す る要因を,特
に過 去のスポー ツ経 験及びそれに伴 う認知の側面か ら探 ることを研究 目的 と している。Ⅱ
研 究 方 法
1
データの収集
本研究では山口県教育委員会が
1988年12月12日から
1989年 1月 20日にかけて郵送法により県内の
56市町村から人日の比率に基づき収集 したデータの中から
,男
子
282名分を採用 し分析を行 った。
* Department of Physical Education, Faculty of Education, TOttOri University
半*Eんpartment of Physkal Education,Faculty of Education,Yalnaguchi University
行
恵
和
勝
一
死
藤
福
遠
274福
元和行・遠藤勝恵 :地域社会における男子のスポーツの実施状況を規定する要因の分析 標 本 の構 成 は表-1の
通 りで あ る。 表-1
標本 の構成 %1,年
令20才
代30才
代40才
代50才
代60才
以上70 24, 9
93 33. 1
74 26. 3
23 10. 0
16 5. 7
2.結
婚 冴 婚 婚 死 未 既 離72 25. 8
202 72. 4
5 1. 83.末
子年令 子供いない 就学前 小 。中学生 高・大学生 就職64 24, 2
71 26. 9
77 29, 2
26 9, 8
26 9. 8
4,職
業 農林 漁業 商業 事務職 専 門管理職 .土木・建設 公務員 無職 。その他10 3, 7
26 9. 6
90 33. 2
17 6. 3
25 9. 2
16 5. 7
87 32. 1
5。 居住 地 区 商業地区 工業地区 住宅地区 農山漁村地区16 5。 8
6 2. 2
115 41.8
138 50. 2
6.通
勤 時 間15分
未満15分
以上30分
未満30分
以上 通勤 していな い127 45。
61 21.
58 20.
32 11.
7 9 9 57,平
日の 自由時間 3時間未満 3時間以上4時
間未満4時
間以上5時
間未満5時
間以上135 48.
82 29.
36 12.
26 9.
4 4 9 34時
間未満4時
間以上7時
間未満7時
間以上10時
間未満10時
間以上57 20.
78 27.
70 25.
75 26.
4 9 0 88.休
日の 自由時間鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 37巻 第
2号
(1995) 275 調査内容は山 口県教育委員会が実施 した「 山口県民のスポーツに関す る調査Jの
調査内容の中か ら個人的属性 に関 して9項
目,ス
ポーツ経験 に関 して40項 目など合計76項目を採用 し,分
析の対象 とした。なお,外
的基準であるスポーツの実施状況を測定す るす るための調査項 目の内容は, 2週
間以内に自由時間を見つけて何かのスポーツを実施す るだろう,で
ある。 また,ス
ポーツ経験につ いての調査内容は小学校時代 より現在 までを調査対象期間と した。2
デー タの分析 自由時間におけるスポーツの実施状況と各変数との関係を探 るため χ2値を求めたが,有
意差の 見られる2×3以
上の分割表を使用 した変数については,残
差分析を行 った。 また,林
の数量化理論 Ⅱ類の適用に際 しては,前
記調査内容に対する肯定群と否定群に分類 し外 的基準とした。 スポーツ経験については「非常にあてはまる」から「 まった くあてはまらないJま
での リッカー ト尺度の4段
階評定を「 あてはまるJ「あてはまらない」の2段
階評定に統合 し直 し,解
析 した。 解析の条件は, T=2(ス
ポーツ実施群124宅,非
実施群60名),ア
イテム教42,カ
テゴリー総数104 である。 Ⅲ 結 果 お よ び 考 察1
外的基準 と説 明変数 の クロス集計結果1)個
人 的属性 表2は
外 的基 準 (現 在 の ス ポー ツの実施状 況)と
年 令 の関連 を見 よ う と した もので あ る。 χ2検 定 の結果,年
令別 の スポー ツ実施 状 況 に差 が見 られ たた め,残
差 分析 を行 った結果,40才
代 で1%
水準 の有意差 が表 れ てお り,年
令 の若 い人 にスポー ツ実施者が多 い ことがわか る。 表-2
外的基準 と年令 の クロス集計結果 スポーツを実施 スポーツを非実施72
27.
(N=4
8 つ と 3 3 7 771. 2 74. 5
28. 8 25. 5
(N=59) (N=47)
29. 4 53.
70 6 46
(N=17) (N=1
I:20才
代 Ⅳ:50才
代0才
代Ⅲ
:40才
代0才
以上 3 6 Ⅱ V χ 2値=14.183**< 01
表3は外的基準 と結婚の関連を見ようとしたものであるが,有
意差が見 られ るため残差分析を行 っ た結果, 自由時間にスポー ツを実施す るとす る人は未婚(1%水
準),既
婚(5%水
準)に
多 く, 離死別では少 なく(10%水
準)な
ってお り,結
婚 に関連 した変数間にスポーツ実施状況に関 して差 異が見 られ る。276福
元和行・ 遠藤勝恵:地域社会 におけ る男子のスポー ツの実施状況 を規定す る要因の分析 表i3
外的基準 と結婚 の クロス集計結果 スポーツを実施 スポーツを非実施85.
14.
(N=4
62. 8
37. 2
(N=137)
25, 0
75. 0
(N=4)
4 6 1I:未
婚 Ⅱ:既婚 Ⅲ:離死別 χ2値=10.558**<. 01
表4は
外的基準 と末子年令の関連を見ようと したものである。有意差が認め られたため残差分析 を行 った結果,末
子が小 。中学生であるとす る父親 に有意差(5%水
準)が
確認 され,末
子年令が 中学生以下の父親ではスポーツ実施者が多いことがわか るが,一
方,末
子年令が高校生以上では高・ 大学生,就
職のそれぞれ に5%水
準で有意差が認め られてお り,高
校生以上の子供 を持つ父親 には スポーツを行 う人が少 ないと言える。 表-4
外的基準 と末子年令のクロス集計結果 スポーツを実施 スポーツを非実施75,
24.
(N=4
6 63.
4 36.
1)(N=4
78. 7 47.
21. 3 52.
(N=47) (N=2
44. 4
55. 6
(N=18)
8 2 7 6 4 1 子供な し 高 。大学生 Ⅲ:小 。中学生 χ2値=12.149*<. 05
表5は外的基準 と通動時間の関連を見ようと したものである。有意差が認め られたため,残
差分 析を行 った結果,通
勤時間15分以内(5%水
準),通
勤 していない(1%水
準)に
有意差が認め ら れたため,通
動時間の短 い人にスポーツ実施者が多いと考え られ るが,通
動 していない人にスポー ツ実施者が少 ないという点の解釈については,今
後の課題 と したい。 表-5
外的基準 と通勤時間の クロス集計結果 単 剛 学 職 就 就 Ⅱ V I Ⅳ スポーツを実施 スポーツを非実施75.
24.
(N=8
68.
3 1,(N=3
8, 1 1. 9=21)
3 6 N 4 6 8 7 3 6 3 6 3 〓 6 3 N 8 7 5 χ2値=10.698 *<.05
表6は外的基準 と平 日の 自由時間の関連を見ようと した ものである。有意差が認め られたため, 残差分析 を行 った結果, 4時
間以上5時
間未満(5%水
準), 5時
間以上(1%水
準)に
有意差が 1 3 I Ⅲ 5分未満 0分以上 Ⅱ Ⅳ15分
以上30分
未満 通勤 していな い鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 37巻 第
2号 (1995) 277
認め られたため,平
日の 自由時間が長い人にスポーツ実施者が多いと理解 してよい と考えるが, 5
時間以上の 自由時間の人にスポーツ実施者が少ない理 由の検討は,今
後の課題 と したい 表-6
外的基準 と平 日の自由時間のクロス集計結果 スポーツ・ クラブに参加 スポーツ・ クラブに不 参加66. 3 70. 2 85, 0
33. 7 29. 8 15. 0
(N=89) (N=57) (N=20)
2 8 7 1 8 〓 4 5 N I Ⅲ3時
間未満4時
間以上5時間 未満 Ⅱ Ⅳ3時
間以上4時
間未満 χ 2値=8.362 *<.05
5時
間以上2)ス
ポーッ経験 ① 小 。中学時代のスポーツ経験 小学時代のスポーツ経験 と外的基準 との関連 を見ようと したのが表-7で
ある。3変
数 に有意差 が認め られたが,「運動 クラブに所属 した ことがある」「 休 日などに自由に運動 した」「 スポー ツ経 験は充実 していた」の各設間に対す る肯定群では否定群 と比較 して,ス
ポー ツの実施者が多 く見 ら れ る。 表-7
外的基準 と小学校時代のスポーツ経験関連変数のクロス集計結果 クロス集計 説 明 変 数 χ2値 小学校 時代の スポー ツ経験15, 09
5. 70
4. 38
運動 クラブに所 属 した 休 日な どに 自由 に運動 した 充実 していた 3 8 5 *** * **<.05 ***<.001
中学 時代 のスポー ツ経験 と外 的基 準 の関連 を見 ようと した のが表-8で
あ る。運 動 クラブに所属していたとする人に,ス ポーツの実施者が多く見られる。
表-3
外的基準 と中学校時代のスポーツ経験関連変数のクロス集計結果 クロス集計 因 要 説 明 変 数 χ2値 中学 時代 のスポーツ経験 運動 クラブ に所属 した5. 158
*<.05
278福
元和行,遠藤勝恵:地域社会 におけ る男子 のスポー ツの実施状況を規定す る要因の分析 ② 高校時代のスポーツ経験 高校時代のスポーツ経験と外的基準との関係を見ようとしたのが表-9で
ある。4変
数に有意差 が認め られたが,「運動 クラブに所属 したことがある」「 地域のスポーツ大会によく参加 したJ「ス ポーツは楽 しか ったJ「スポーツ経験は充実 していた」「 スポーツは健康に役立 った」「 スポーツは 仲間づ くりに役だ った」「 スポーツにはよい思い出があるJの
各設間に対する肯定群では否定群 と 比較 して,ス
ポーツの実施者が多 く見 られる。 表-9
外的基準 と高校 時代 のスポー ツ経験 関連変数 の クロス集計結果 クロス集計 因 要 説 明 変 数 χ2値 高校 時代 のスポーツ経験 運動 クラブに所属 した 充実 してい た 健康 に役 だ った よい思 い出がある6. 501
9. 224
8 738
8, 261
* ** ** ***<. 05
**<, 01
③19才
∼22才のスポーツ経験 表-10は
19才∼22才のスポー ツ経験 と外的基準 の関連 を見 ようと した ものである。「 スポー ツ・ クラブに所属 した ことがあるJ「休 日などに家族や仲間などと少人数で 自由に運動 した」「 スポーツ は楽 しか った」「 スポーツは健康 に役だ ったJ「スポーツにはよい思い出があるJの
各設間に対す る 肯定群では否定群 と比較 して,ス
ポーツの実施者が多 く見 られ る。 表-10
外的基準 と19才∼22才 のスポー ツ経験 関連変数 のクロス集計結果 クロス集 計 因 要 説 明 変 数 χ2値19才
∼22才
の スポ ーツ経験 スポーツ クラブに所属 した 休 日な どに 自由に運動 した 楽 しか った 健康 に役 だ った よい思い出が ある14. 403 ***
4 740 *
10. 145 **
14 868 ***
9 071 **
*<. 05 **<. 01 ***< 001
④23才
以降のスポーツ経験 表-11は
23才以降のスポーツ経験と外的基準の関連を見ようとしたものである。「 スポーツ・ ク ラブに所属 したことがあるJ「休 日などに家族や仲間などと少人数で自由に運動 したJ地
域のスポー ツ大会によく参加 した」「 スポーツは楽 しかった」「 スポーツ経験は充実 していたJ「スポーツは健 康に役だ った」「 スポーツは仲間づ くりに役だったJ「スポーツにはよい思い出があるJの
各設間に 対する肯定群では否定群 と比較 して,ス
ポーツの実施者が多 く見 られる。鳥取大学教育学部研究報告 教育科学 第 37巻 第
2号 (1995) 279
表-11
外的基準 と23才 以降のスポーツ経験関連変数のクロス集計結果 クロス集計 要 説 明 変 数 χ2値23才
以降の スポーツ経験 スポーツ.ク
ラブに所属 した 休 日な どに 自由に運動 した 地域のスポー ツ大会に参加 した 楽 しか った 充実 していた 健康 に役 だ った 仲間づ くりに役だった よい思い出がある22, 01
18. 28
17. 34
28. 17
28. 82
30. 40
19, 68
15. 95
2 ***
3 ***
1 ***
9 ***
4 ***
4 ***
6 ***
2 ***
***<, 001
外的基準 と個人的属性及びスポーツ経験に関連す る変数の関連 を探 ったが,個
人的属性に関 して5変
数に有意差が確認 された。また,ス
ポーツ経験 に関 しては小学時代3変
数,中
学時代で1変
数, 高校時代で4変
数,19才
∼22才で5変
数,23才
以降で8変
数 の合計21変数 に,ま
た全体では26変数 に有意差が認め られた。 このことは地域のスポー ツ・ クラブヘの参加状況 との関連で有意差の見 ら れた変数が,女
子では11変数でスポーツ経験は19才以降のスポー ツ経験 に限定 されていた こと,ま
た男子では27変数で中学時代以降のスポーツ経験 に限定 され ていた ことを考慮す ると,ス
ポーツ活 動の実施状況に影響す る要因はスポーツ・ クラブ参加状況を規定す る要因よりも幅が広 く,小
学時 代のスポーツ経験 まで含む ことを示唆 していると考える。 要 因分析 の結 果1)ス
ポーツ活動の実施状況の規定要因 表-12は
スポー ツ活動の実施状況の規定要因の分析結果である。 η2値は0.503で あ った。 レンジ を手がか りに考察 を行 うが,各
要因の規定力の大 きさは「 年令J「結婚J「居住地 区」「 通勤時間」 「職業J「平 日の 自由時間J「末子年令J「小学時代 に運動 クラブに所属 した」「 高校時代のスポー ツ 経験にはいい思い出があるJ「 23才以降のスポーツ経験は仲間づ くりに役だ った」 という順序 になっ ている。 上位10アイテムの内訳は個人的属性 に関連す るアイテム7,小
学時代のスポー ツ経験に関連 した アイテム1,高
校時代のスポーツ経験 に関連 したアイテム1,23才
以降のスポーツ経験 に関連 した アイテム 1と なってお り,個
人的属性に関す るアイテムが過半数 を占めているが,ス
ポーツ活動の 実施状況を規定す る有力な要因となっている。 スポーツ経験に関連 したアイテムでは高校時代及び23才
以降のスポーツ経験に関連 した認知関 連要因が 2ア イテム見 られる。2)カ
テゴリー・ スコアと寄与の方向 カテゴリー・ スコアは各カテゴリーが外的基準のどの方向にどれだけの強さで影響を与えている かを見ることを可能にす るものであり,本
研究では, カテゴリー・ スコアが正の符号の場合スポー280福
元和行・遠藤勝恵:地域社会における男子のスポーツの実施状況を規定する要因の分析 表-12 要因分 析の結果 アイテム レンジ 順位カテゴリー カテゴリー・ スコア 偏相関 順 位 年 令 1 376 20才代 30才代 40才代 50才代 60才以上 282 一 一 結 婚 1 344 760 - 202 - 584 320 婚 婚 翔 未 既 離 居住地 区 1 108 商業地区 工業地区 住宅地区 農 山漁村地区 228 - 880 - 038 048 143 通動時間 1 030 15分未満 15分以上30分未満 30分以上 通勤 していない 259 職 業 0 939 農林漁業 商業 事務職 専門管理職 土木・建設 公務員 無職 。その他 190 平 日の 自由時間 761 3時間未満 3時間以上4時間未満 4時間以上5時間未満 5時間以上 175 木子年令 686 子供な し 就学前 小 。中学生 高・大学生 就職 一 一 180 小学時代に運動クラブに 開 議した 684 205 - 298 238 所属 した 所属 しなか った 高校時代のスポーツ経験には いい思い出がある 503 有る 無い 205 - 298 116 23才以降のスポーッ経験は 仲間づ くりに役だった 461 10 役 だ った 役立たない 158 - 303 休 日の 自由時間 134 (と)順位はすべての要 因(48アイテム)中の順位 であるが, 11位以下は省略 した くη
2=0 503)
ツ活動を実施 している, という方向に寄与 し,負
の場合実施 していない,と
いう方向に寄与す るこ とになるが,カ
テゴ リー及びカテ ゴリー・ ス コアは表-12の
通 りである。 上位10アイテムの中には「 年令J「結婚J「居住地区J「通勤時間J「職業J「平 日の 自由時間」「 末 子年令」 という個人的属性 に関連 した7個
のアイテムが見 られ るが,男
子のスポーツ・ クラブヘの蔦取大学教育学部研究報告 教育科学 第37巻 第