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水素と私:横浜国立大学環境情報学府/田中光

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水素エネルギーシステム Vol.33, No.1 (2008) 若い研究者の声

若い研究者の声

水素と私

田中 光

横浜国立大学 環境情報学府 環境生命学専攻 博士課程前期1年 〒240-8501 神奈川県横浜市保土ヶ谷区常盤台 79-5 「あなたも日本一のソーラーカーチームのメンバーに なりませんか」との勧誘ポスターを目にし、ソーラーカ ーの珍しさと日本一の言葉に惹かれて、大学入学と同時 に玉川ソーラーチャレンジプロジェクトへの所属を決め ました。私が所属した2003 年、ソーラーセルと燃料電 池を組み合わせたハイブリッドソーラーカーを製作し、 World Solar Car Rallye(秋田で開催されるソーラーカ ーの大会)に参加したところ、国際ソーラーカー連盟の 会長の目にとまり、彼が20 年前にソーラーカーで走破 したオーストラリア大陸(パースからシドニー) 4000km・20 日間の記録に新型車で挑戦することになり ました。製作したハイブリッドソーラーカーはソーラー カーが苦手とする曇りの日や雨の日、夜間も燃料電池を 使用することで快調に走行することができます。大陸横 断の7日間は曇りの日が多かったものの、そこは水素の 力でカバーし、夜間走行にも成功しました。天候に左右 されなくなったことで、ハイブリッドソーラーカーが究 極のエコカーとして一般家庭でも使用されるようになる のではないかと思い、未来を想像して感激しました。し かし、究極のエコカーだと思っていたハイブリッドソー ラーカーの燃料である水素は、多くの場合、化石燃料の 改質により得られるものだと知りました。その時の私は、 再生可能なエネルギーを燃料とする究極のエコカーを製 作したという認識を持っていたため、いずれ枯渇するで あろうといわれている化石燃料から水素を生成すること に疑問を抱きました。 これらの経験がきっかけとなって、農学的アプローチ で水素を生産できないかと思い、再生可能エネルギーで あるバイオマスからの発酵水素生産の研究を始めました。 そして、卒業までに私の作ったバイオ水素で燃料電池車 を走行させるという目標を立てたのですが、卒業までに 目標を達成することができませんでした。それをとても 残念に思い、水素についてもっと勉強してから就職して も遅くないのではないかと考え、大学院進学を決意しま した。現在の谷生研究室には私に刺激を与えてくれる 方々が大勢いて、環境問題や社会情勢、エネルギーにつ いてのディベートが毎日のように行われており、私自身 も今まで以上に興味を持って考えるようになりました。 また、韓国で開催されたThe 2007 Asian Bio-Hydrogen Symposium / Asia bio-HyLinks meeting に参加し、同 様のテーマに取り組む研究者に会い、講演を聴き、シン ポジウム後にはテクニカルツアーに参加して、研究所や 韓国で最初の水素ステーション等を見学しました。各国 の研究者と交流するなかで、バイオ水素が各国で研究さ れていることを肌で感じました。また、中国のある教授 が政治的には問題もありますが、共に頑張りましょうと 言われたのを聞いて、自分が取り組んでいる研究が修士 論文を書くためだけや、自分の満足のためだけでなく、 一生懸命研究を行い何か結果が出せたとしたら、それは 少しだけでも世界に良い影響を与えるのだろうかと思う ようになりました。私が研究に取り組める時間はとても 短いですが結果を残し、私のテーマを一歩前進させよう とバイオ水素に対する思いを新たにしました。私は現在 の研究室で、バイオ水素が実用化可能となるよう水素生 産速度の向上を目的に高菌密度での連続培養に取り組ん でいます。大学時代からの私の作ったバイオ水素で燃料 電池車を走行させたいという気持ちは未だ変わっておら ず、その機会も与えられています。やるべき課題は山積 ですが、与えられた研究テーマを遂行して高速度での水 素生産を可能にし、私の最終目標であり、4年越しの夢 でもあるバイオ水素での燃料電池車の走行を実現できた らと思います。 バイオマスからの発酵水素生産はこれからの技術です。 将来、用途によって様々な再生可能エネルギーを選択し て使用する時代に、バイオ水素がエネルギーの一つとし て社会を支えるようになることを期待しています。そし て、私自身も水素社会に貢献できるような職に就き、ず っと水素に関わっていきたいと思っています。 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 次号は、「武蔵工業大学」研究者の声です。

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