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全合成シングルモード形光ファイバ

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Academic year: 2021

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特集

オプトエレクトロニクス

全合成シングルモード形光ファイバ

FullY

SYnthesized

Single

Mode

OpticalFibers

光ファイバの適用領域は,特質をそれぞれに生かし拡大の一途にあるが,新

たな布設環境・使用条件の中から伝送特性,信頼性などを更に高度なものとす

る要求がなされている。

このため,従来のコアを合成し,クラッドに天然石英管を用いる製造法に代

わり,コア,クラッドとも合成する仝合成シングルモード形光ファイバの製造

法を実用化した。

この結果,石英管に内在する水酸基・気泡・不純物,更には偏肉などの欠点

から本質的に開放され,いっそうの低損失化・高強度化及びコア偏心の低減が

実現され,優れた光ファイバを安定に大量生産することが可能になった。

n

光ファイバが本格的に導入されてからまだ10年を経ていな

いが,大容量信号を高速かつ長距離伝送でき,また軽量・無

誘導性といった多くの長所から,多彩な分野で広〈実用化さ

れるに至っている。その間,品質向上を図るため多くの製造

技術の改善を行い成果を得たが,更に全合成シングルモード

形(以下,SM形と略す。)石英光ファイバの製造法を開発・実

用化した。

すなわち,石英光ファイバ母材(以下,プリフォームと称す。)

は,従来,VAD(Vapor-phaseAxialDeposition)法により多

孔質母材を製造し,これを焼結・透明ガラス化した後,延伸

したコアロッドにクラッドとなる天然石英管を溶融被覆する

製造法がとられていた。ところが,この石英管に起因する問

題が種々あることから,クラッド部のすべてをもVAD法で合 成した仝合成SM形石英光ファイバを製品化した。その結果,

光ファイバのいっそうの低損失化・高強度化・長尺化及びコ

ア偏心の低減が達成された。 本稿では,仝合成SM形石英光ファイバ製造技術の概要及び 光ファイバの諸特性について述べるとともに,接続技術への 効果についても触れる。

全合成SM形光ファイバの製造法

従来の光ファイバ製造法は,図lに示すとおり次の工程に よっていた。

(1)VAD法による多孔質母材の形成

(2)焼結による脱水酸基処理及び透明ガラス化 (3)最適寸法のコアロッドへの延伸

(4)クラッドとなる石英管を溶融被覆し,プリフォームを形

成 (5)線引き及び被覆により光ファイバ化 VAD (多孔質母材:¢200mm) 焼 結 (透明ガラス:即00mm) 延 (プリフォーム) 線引き (光ファイバ) (a)全合成形 図I SM形光ファイバの製造法 とし,石英管を用いる方法に代わり る新製造法が全合成形である。 u.D.C.る81.7.0る8.2.002.2

今澤正博*

肋sαゐ古畑ム舶Zα紺α

福島洋治*

y餅拘力脚力Z椚α

岡野広明**

仇和α鬼才O々α乃∂ VAD (多孔質母材:¢120mm) 焼 結 (透明ガラス:卵5mm〉 延 伸 (コアロッド) 石英管被覆 (プリフォーム) 線引き (光ファイバ) (b)従来形 従来のコアを合成してクラッド コア,クラッドのすべてを合成す これら製造技術の著しい進歩により,光ファイバの低損失

化・広帯域化が図られ,大容量・高速・長距離伝送が可能と

なり適用領域が拡大された。 その結果,新たにOPGW(光ファイバ複合架空地線)や光フ ァイバ海底ケーブルでは,いっそうの低損失化・高強度化・ 長尺化が,多心光ファイバケーブルでは,接続を容易にする

ため光ファイバの構造寸法の高精度化が要求された。

ところが,従来の製造法では,比較的小形のVAD装置によ

るコアロッドに石英管を被覆し,大形のプリフォームを得る

ことが可能という利点がある反面,石英管が持つ次の問題か

*日立電線株式会社日高コ瀕 **日立電線株式会社電線研究所 93

(2)

1090 日立評論 VOL.69 No.11(198ト=) らこのような新しい要求への十分な対応は困難であった。

(1)石英管に含まれる水酸基・金属不純物の影響による損失増

(2)石英管内の気泡・不純物による強度の低下 (3)石英管の偏肉によるコア偏心 (4)石英管サイズによる長尺化の制約

以上から,石英管を用いずにコアと同様にクラッドのすべ

てをも合成する図1に示す全合成SM形光ファイバの製造法を 開発・実用化した。 図2はVAD法を模式的に示したものである。斜めに設置さ

れた酸水素バーナ内の同心管にガス化した四塩化ケイ素を送

り込み,最下段のコア形成用バーナには更に屈折率制御用の

ドーバントとして四塩化ゲルマニウムを混合し,酸水素火炎

中でいわゆる火炎加水分解反応を起こさせる。この火炎中に

生ずる二酸化ケイ素から成る純白の微粉末を出発石英棒の先

端に付着・たい(堆)積させて多孔質母材を形成する。

従来形1)では,コア部とその近傍のクラッドの一部だけを合 成したが,仝合成形では,コア部とクラッド部のすべてを合 成によって形成するもので,そのためには装置の大形化に加

え,効率よくかつ高速の合成が必要であり,7g/min程度のた

い積速度が得られている。それぞれの多孔質母材を図3に示

す。仝合成形母材の外径は200mmであり,合わせて長尺化を

図り,光ファイバ換算長120km以上に相当する大形母材が製 造可能となった。 また,大形母材を安定製造するには,大量の原材料ガスを

高精度に制御する必要があるため,原材料ガス供給方式とし

てベーキング方式を導入した。国4に従来方式であるバブリ

ング方式とベーキング方式の原理を示す。バブリング方式で

は,MFC(マスフローコントローラ)で流量制御したキャリア

ガス(Ar)を原材料である四塩化ケイ素又は四塩化ゲルマニウ

ム(いずれも常温で液体)中に送り込み,飽和蒸気として原村

一r出発石英樺 反応容器

排気 多孔質母材 原材料ガス 供給装置 クラッド用バーナ

[H2認Ar〕0

[Hざ諾㌔r][=ク

コア用バーナ 図2 VAD法の模式図 多孔質母材は,回転・引き上げられながら 軸方向に成長する。 94 図3 多孔質母材 左が従来形,右が全 合成形を示す。 料ガスを取り出レヾ-ナ部に供給する。この方式では,たと えキャリアガス流量を一定に制御しても,液体原材料の温度 が変化すると供給される飽和蒸気量が変化しやすいという雉 点があった。特に,キャリアガス流量を増し大量の飽和蒸気

を取り出す場合,大量の気化熱が奪われ液体温度が低下し,

長時間安定に原材料ガスを供給することが困難であった。 これに対してベーキング方式では,液体原材料を沸点以上 の温度に加熱して気化させ,これをMFCで直接流量制御した

後キャリアガスと混合するため,長時間にわたって安定かつ

正確な量の原材料ガスを供給することが可能となった。

臣l全合成SM形光ファイバの諸特性

量産設備による仝合成SM形光ファイバの損失波長特性を 図5に示す。ここでは水酸基による1.39JJmでの吸収損失につ いて,石英管からの水酸基拡散の影響と多孔質母材の大径化 に伴う脱水酸基処理の兼合いが問題となったが,焼結工程を 最適化することで1.39/〟nの損失のピークは極めて小さくなり,

仝合成化の効果が確認された。この光ファイバの1.3JJmでの

損失分布を図6に示す。従来形による光ファイバの損失に比

べ,平均値は0.03∼0.05小さい0.349dB/km,偏差は半分以下

の0.007dB/kmであり,低損失光ファイバが安定して得られて

いる。 光ファイバの強度はプリフォーム内部の気泡や不純物によ

って劣化するが,石英管に起因するものがほとんどのため全

合成化によって解決され,これらの原因による破断をほぼ皆 無にすることができた。その結果,図7に示したとおり,全 合成SM形光ファイバの破断強度特性には,低強度部がなく良 好な特性が得られた。長尺化に関しては,仝合成化すること による高強度化に加え,被覆材料を熱硬化性シリコーン樹脂

(3)

全合成シングルモード形光ファイパ 1091 60 50 40 MFC バーナ部 液体原材料 (80℃以上) キャリアガス(Ar) キャリアガス (Ar) 注:略語説明 MFC MFC (a)ベーキング方式(新方式) キャリアガス+原材料ガス 0、 0 0 () 0 液体原材料 (常温∼40℃) (b)バブリング方式(従来方式) MFC(Mass F10WController) 恒温槽 バーナ部 図4 原材料ガス供給方式 従来のバブリング方式では温度変化の 影響を受けやすかったが,ベーキング方式では,安定した供給が可能で ある。 (∈ミ皿ヱ《 悠 二次モードの放射損失

′ ヽ / ヽ ′ l I l ′ ヽ ヽ 0.35dB/km 0.8 0.9 1.1 1.2 1,3 1_4 1.5 1.6 1.7 波 長(〃m) 図5 全合成SM形光ファイバの損失波長特性例 l.3/州での損 失は0.35dB/kmであり,l.39〝mの水酸基吸収損失倦も0.2dB/kmと小 さい。

から紫外線硬化性樹脂とすることでいっそうの高強度化が図

られ,プリフォームの大形化とあいまって1条100km以上の

SM形光ファイバが得られている。

SM形光ファイバではコア部が非常に細いため,コア(¢10

〟m)/クラッド(¢125JJm)間の偏心の影響が接続損失に顕著に

現れるので,このコア偏心の低減が必要である2)。ところが, 従来のコアロッドの偏心とそれに石英管を被覆・線引きした 嶽 触5 30 20 10 試料数:100 平均 0.349dB/km 最大 0.36dB/km 最小 0.33dB/km 偏差 0.007dB/km (波長1.3/州) 0.310.320.33 0.34 0.35 0.36 0.37 0.38 損 失(dB/km) 図6 損失分布い.3/Jm) 全合成により石英管の不純物拡散の影響 がなくなり,低損失化が図れた。 99 0 0 0 0 0 ∩) 0 0 0 9 00 7 (n) 5 4 3 2 1 (訳)胤憩蓋世 試料数:100 平 均:8.15kgf 000 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 910 破断強度(kgf) 図7 仝合成SM形光ファイバ心線の破断強度特性 ケージ長が 川m,引張速度が500mm/minである。 SM形光ファイバの偏心の関係は,図8に示すとおi)光ファイ

バの偏心のほうが大きく,石英管に偏心の要因があるものと

推察された。一方,図9は仝合成によったプリフォームとそ れを線引きしたSM形光ファイバの偏心の関係を示したもので

ある。この光ファイバの偏心は,プリフォームの偏心と同等

の平均0.37%(0.23/Jm)であり,石英管を使用しない効果が出

ていることが分かる。 95

(4)

1092 日立評論 VOL.69 No.11(198ト=) 0 0 0 (訳)ミ。や喋Gて†トト米蔽≡S 2 0 小 .●暮 -■ ● ●● ●●●● ● ● 一 ● ● 一● ● ●● ● ● ● -●●● ●● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 試料数55 0 0.2 0.4 0.6 0.8 コアロッドの偏心力/β(%) 注:月(コア中心とコアロッド中心の距離) β〔石英管被覆後の半径(設計値)〕 α(モードフィールド中心とクラッド中心の距離) 占(クラッド半径) 1.0 図8 コアロッドの偏心とSM形光ファイバの偏心の関係 SM形 光ファイバの偏心(平均0,64%)のほうがコアロッドの偏心に比べ大きく なっている。 1.0 試料数50 (訳)ミ。J、準Gて†トト米蔽≡S 8 ごU O O 4 0 2 0 ● ● ● ● ● ● ● ●+ ●● ● ● . ● ● ● ●● ● ● ●

● ● 0 0.2 0.4 0.6 0.8 プリフォームの偏心Aソβ′(%) 注:月′(コア中心とプリフォーム中心の距離) 月′(プリフォーム半径) α(モードフィールド中心とクラッド中心の距離) ム(クラッド半径) 1.0 図9 全合成プリフォームの偏心とSM形光ファイバの偏心の関係 SM形光ファイバの偏心(平均0.37%)は,プリフォームの偏心と相関が 見られ,かつ石英管を用いる従来光ファイバに比べ小さい。 この結果,SM形光ファイバの融着接続に際し,漏光法3)や コア直視法などによるコア軸を調心する接続法から,コア,

クラッドとも軸合わせをしない無調心接続法への展開が可能

となった。図10にSM形光ファイバを無調心の軸固定(Ⅴ溝方 96 凄ま 触さ 20 15 10 試料数:90 平 均:0.09dB 0 0.1 0.2 0.3 接続損失(dB) 図】0 仝合成SM形光ファイバの接続損失特性 コア偏心0.2∼ 0・4/仰の3種顆の光ファイバを,コア,クラッドとも無調心の軸固定(∨ 溝方式)融着機による接続結果を示す。 式)融着機で接続した損失を示す。試料はコア偏心が0.2∼0.4 〟mの3種類のSM形光ファイバを組み合わせたもので,平均 接続損失0.09dBが得られた。このように,偏心が低減された

ことによって無調心で低接続損失の可能性が確認された。ま

た,現在開発が進められているSM形テープ心線の接続でも効

率的な無調心一括接続が期待できる。

言 SM形光ファイバのいっそうの品質向上を図るため,天然石 英管を用いず,コア,クラッドとも合成する仝合成SM形光フ ァイバの製造法を開発・実用化した。

この結果,石英管による有害要因から開放され,心線時損

失:平均0.35dB/km,コア偏心:平均0,37%(0.23/(m)が達

成された。この偏心の低減により無調心の軸固定(Ⅴ溝方式)融

着機による接続損失:平均0.09dBを得た。また,高強度化・ 長尺化も合わせて実現された。 今後,この低損失化によって長距離伝送への新たな展開が 期待でき,コア偏心の低減に伴い融着接続及びコネクタ接続

の容易かつ低損失化への大きな進展が可能となった。

参考文献 1)大橋,外:スート堆積法による光ファイバの量産化,日立電線, '82/12,No.2 2)詫摩,外:単一モード光ファイバの偏心と接続損失の関係,昭 和60年度電子通信学会総合全国大会,1137(昭60-3) 3)外谷,外:クラッド漏えい光検知方式によるシングルモードフ ァイバ接続法,昭和61年度電子通信学会総合全国大会,2168 (昭6ト3)

参照

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