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競技規則とスポーツ紛争についての事例研究

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Academic year: 2021

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(1)Title. 競技規則とスポーツ紛争についての事例研究. Author(s). 新開谷, 央. Citation. 北海道教育大学紀要. 第二部. C, 家庭・養護・体育編, 34(2): 31-40. Issue Date. 1984-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/6627. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . ハ 北海道教育大学紀要 (第2部C) 第3 4巻 第2号 lofHokka i do Un ive i i Se i IC Journa t t t )VOL34 r s on( c onl yofEduca .2 ,No. 昭和5 9年3月 Mar 98 4 ch ,1. 競技規則とス ポーツ紛争についての事例研究. 新 開 谷. 央. 北海道教育大学函館分校保健体育教室. The Case Study about Athl i c Rules and Sport Disputes et . Hi sashi SHINKAIYA Phys i IEduca ion Laboratory t l l ido Un i ive i ty ofEducat ca e Co ege rs on ,Hakodat ,Hokka , Hakodate040. Abstract Di fsport disputes ranges sputes re1ated to Sports are not rare phenomena. The space o. l f i fe rom play action to dai yl . The purpose of the present paper i s to explain the process of a Sport dispute and the is tics o f ath l i i t character e c ruleS and Sanctions. lnth S parer sport disputes are regarded as. i deredi i Socia1 phenomena. The case cons sa d spute between two sport organizations. The mai n explanatoryterms aresport norm,athletic rule,athletic penalty,organiZationalpenalty and Sport action Space. ized asf Theresults obtai lows: 1 つ ーas nedf rom the present case Study are sum・ ol Theappl icablerangeofSanct ionsagainsta departurefrom athlet icrulesenlargeSfrom t he. lay action spacetotheSport organization. p one o fthe ma in causes ofSports disputeSin SportSmal lgroups orsport organizationSIS. ionof an organizational penalty after a departuref i theappl l i t cat rom an ath e crule. l fthe standard information about normative decisionsrelative to organizationalintegra… ioni icated t t s compl , he disputes are prolonged,. A rule dec ided on by a Sport group of Sport organization takes precedence over a rule dec idedbythe players.. はじめ に. スポーツの大衆化, 高度化が社会現象としてとりあげられて久しい, この現象の進行にともなっ てスポーツはすぐれて社会的現象となっ てきた。 スポーツが社 会現象として, その現象生起の質量 (1).

(3) . 新開谷 汗谷. 32. 央. の拡大にともない, スポーツをめ ぐる倫理性はもとより, スポーツのマナー, ルールといった規範 も社会問題としてとりあげられることが多くなっ てきた. さて, そのス ポーツ規範であるが, これを説明する場 合, 社会規範の概念に準拠して説明する場 合とスポーツを概念化する過程で説明するふたとおりの仕方がある. しかし, これらの説明方法の 多くはスポーツ規範を非日 常的領域における活動規範としてあつかっており, スポーツ規範と社会 規範との関連についてはじゅうぶんに 示されていない. このふたつの規範の関連はスポーツを社会 現象としてとらえる立場においてさけてとうられない問題である. 今日, ス ポーツはますます社会 現象となっ てきている. この状況はスポーツのもつ効果やス ポーツの結果が社会的に価値をもっと いうことになろう. 同時に実社会の価値がス ポーツに敏感に反映さ れる時代 であることも意味して いる. そこ でスポーツを分析する 一視点として, 言語的スポーツ概念として, 実社会との空間的関 )のスポーツ空間論を )はこの関連性に ついて 荒井1 連性を連続性をもっ て示す 必要が生じる. 著者9 , よりどころとして, 運動の場とそこにおける活動の原則から社会現象としてスポーツを分析する仮 説的モデルのひとつを設定した. このモデルは プレイの 世界と実社会との間に媒介的空間領 域とし て中間集団的性格をもつ場を設定し, プレイの 世界から実社会までの間に生起する現象を連続性の なかでとらえようとしたものである. つぎに, これらのスポーツ空間におけるスポーツ現象が具体 的に生起するレベ ルを, スポーツ行為, ス ポーツ小集団, スポーツ組織, 全体社会という図式で設 定し, 各レベ ルにおけるス ポーツ規範とその相 互関連性 を分析した. この小論は以 上の作業をふまえ, 社会現象としてのスポーツとその規範の性質, 特徴, さらには ス ポーツ事象の規範的決定過程を問題に しようとするものである.. 1. 研究方法 本稿はス ポーツを社会現象として分析する視 点にたち, そしてスポーツ規則やそのサンクショ ン の特徴とス ポーツ事象の規範的決定プロセスを明らかにすることが目的である. したがって, 被説 明事象は社会現象化 したス ポーツである. 具体的には競技場面 (プレイ領域) に端を発し, スポー ツ 組織間の内紛にま で発展した事例が分析対象となる. 説明用語は以下の用 語である. 1-1. お も な 説明 用 語. ◎ ス ポーツ規範 ス ポーツ規範は一般的には 「フォ ークウェィ ズとモーレスの両方の性格をもち, 慣習に対応する ) 」とに分けられる. そしてスポーツルールといっ た場合には広義, 狭 マナーと 法に相当するルール4 義のとらえ方があり, 後者の場合は競技規則を指すケースが 多い. 本稿 ではこの競技規則を中核に 論を進めることになる.. ◎競技規則 競技規則は競技の始まりから終了ま での行動様式とその規準を示したものであるが, サンクショ }の説明が有効となる クンマーは競技規則を「その違反が現に進 ンとの関連でとらえるとクンマー7 . 行しつつある競技に限定された競技上の不利益によ っ て処罰される規則 であり, 競技という媒介に } よ って罰せられる7 」としたうえで, 競技規則を狭義の競技規則, 数回戦から成る競技の規則, 競技 資格に関する規則, 競技用具に関する規則に分類 している.. ◎競技規則の認識レベルと決定権 (2).

(4) . 競技規則とスポー ツ紛争についての事例研究 腕 允 か こつい の 、 ス′・一ツ. 33. つぎに, 競技規則がどのよう に決定され, そしてそれがどのようなレベ ルで認識され実行されて )は 競技規則が絶対の権威を持ち順守しなけ いるかが問題となる.規則の認識レベ ルについて永嶋6 , れ ば な ら な い も の と プレ ー ヤ ー の 合 意 に も と づ く き ま り と い う ふ た つ の レ ベ ル が あ る こ と を 示 し て. いる. 同時に後者の規則が軽視されていることも示摘 している. この認識レベ ルにおける規則の二 面性 はその規則 を決定する背景にもつう じる. つまり, 競技規則の 決定権が個々の プレー ヤーに あ る か ス ポー ツ 団 体 に あ る か と い う 決 定 権 者 の 差 異 に よ っ て も, こ の 認 識 レ ベ ルは こ と な る し た .. がって, 規則の認識レベルと規則 の決定過程には何らかの関係があるものと考えられる. ◎競技罰と団体罰 「規範はすべて, それへの同調のチャンスを高めるような社会的サンクショ ン(報酬と罰)を伴っ. )」 と い わ れて い る よ う に 競 技 規 則 に お い て も サ ン ク シ ョ ン は 存 在 す る 従 来 の ス ポー ツ て いる3 , . .. 規範はスポーツをプレイ領域内の活動として規定するところから出発し, その領域内の活動のしか たを説明しているのに対し, クンマーはプレイとしての活動とそのプレイ領域内の規範を明確にし ) つつ, かつスポーツが社会現象として「法的解釈を迫ってくるものも少なくない7 」という事実に着 目している, そして, スポーツ事象について法的判断を示すひとつのアプローチとして, 競技規則 にもとづくサンクショ ンとしての競技罰のほかに,プレイ領域内において発生した現象であっ ても, それがプレイ領域を越えて日常領域に作用をおよぼすとき, それは競技罰ではなくことなっ た性格 をもつサンクショ ン であるとして, それを団体罰と規定している. ◎スポーツ行動者・関係者の行動者空間 行動者空間とはスポーツ・運動をおこなう者, スポーツに関与している者がスポーツ現象, たと えばスポーツの過程やその結果などをもち込んだり, 問題に できる範囲を意味する. 具体的な一例 として, スポーツ行為, ス ポーツ小集団, スポーツ組織, 全体社会というレベ ルを考える. ◎スポーツの規範的決定過程 t 「出来事even eなどに関する事実についての情報が投入されると, それについての評 , 事件cas 価, 規範に違反したかどうかの判定, 問責 (帰功) , サンクションの決定, 命令 (禁止・許容) など }」 という考え方をス の形 で規範的決定が産出される. この情報変換過程を規範的決定過程と呼ぶ5 . ポーツ事象にあてはめたものである. 1 -2. おもな分析点. スポーツ場面周辺におけるトラ ブルの発生からその解決までのプロセスを事例的に 分析するなか で次の点を問題とする. 0 ス ポーツ空間ないしスポーツ行動者・関係者の行動空間とそこにおける行動規準ないしサン ク シ ョ ンの 関 連 に つ い て.. 0. 競技規則に起因したトラブルの紛糾形態と紛糾の影響範囲について.. 0. トラ ブルの終結までの過程とくに規準となる規範等の特徴について.. 3. 事例の概要 1 981年1月の全日本学生 スキー選手権大会 (以下イ ンカレと 略す) において早稲田大学 (以下早 大と略す) の選手に 無資格者が出場 していたことに端を発し, インカレの主催団体である全日本学 生 スキ ー連盟 (以下学連と略す) が早大に制裁を果した.・その処置をめ ぐっ て学連と学連の上部団 (3).

(5) . 新開谷. 34. 央. 2月には和解が成 体である日本スキー連盟 (以下 SAJと略す) とが対立した事件である. 1982年1 尚データは読売新聞縮 次のようになる 立している. この間の経緯を時間をお ってまとめてみると . N , 170 刷 版 No , 185 , 182 , , 177 , 178 , 176 , 172 , 175 , 171 , と 北 海 道 新 聞縮 刷 版 o , 273 , 274 , 280 187 , 188 , 189 に よ っ て い る.. 事例の経緯 <1981 年>. 1月上旬 インカレ開会式 <学生代表者会議〉 ◎ 早大選手の資格問題が提示され, 討議の結果大会出場を了承. 早大側は早 急に理事会での結論を要求. 1月上旬 〈第54回インカレ〉 ◎. 結果, 早大総合5位. 第54回インカレ終了後 〈一部大学から学連へ〉 -部大学から早大選手の資格調査要望が出る.. ◎ 1月 ◎. 1月 ~4月. 〈学連調査委員 会〉. 調査委員会の結果,早大の2選手は早大専門学校の学生,2選手は出場資格はなく出場はルー ル違反.. ◎. 4月 20 日. 〈学連懲罰委員会〉. 処分案検討. 案は次のとおり,. ◎. 成 績の 変 更.. ◎. ◎第54回インカレ総合5位の早大を最下位に, ◎個 人入賞の選手名の抹消. ◎第52回大会にも出場し入賞した専門校 生の成績も抹消. 参加資格の制 限 ◎1981年2月から1年間学生競技会への出場停 止.. ◎. ◎再出場の場合は最下部の第4部から. ◎組織資格. ◎早大推センの学連理事6人の職務1年間停止. 5月 7 日 ◎. 〈学連理事会>. 懲罰委員会の処分案どおり 処分を決定. 〈早大 OB 会-稲門スキー倶楽部総会〉. 5 月 26 日. 学連処分の承認と再 建の確認. 6 月1日 〈第54回大会当時の学生代表者〉〈学連〉 ◎. ◎. 当時の各大学の代 表者が処分撤回の要望書を学連に 提出. 内容は次のとおり. ◎ 学生の決定をなんの相談もなく覆した. ◎ 以前も専門校生の出場があり, 学連理事会はこれに対し具体的措置をとっ ていない.. 6月 20 日 ◎. <SAI 理 事 会〉. 学連の早大処分は正当 でなく, 学連への処分が論議. ◎処分内容-学連主催 のイ ンカレの A級公認取消し. ◎処分理由-無資格者の 疑義に対 し検討機関である大会 組織委員会が開催されなかった. (4).

(6) . 競技規則とスポーツ紛争についての事例研究. 35. ・決められた手続きをふまない事後処分は正当性 をかく <SAI評議員会> ◎ 学連の早大処分問題に ついて判断を理事会に一任 . 6月 25 日 〈学連理事会〉 ◎ 早大処分の撤回はしないことを確認 , 6月21日. 7月 26 日 ◎. <SAJ 理 事 会>. 学連への処分問題検討 のため 「学連対策小委員会」 を設定 .. 10月 22 日. <早 大 ス キ ー 部〉 <学 連>. ◎. 早大スキー部から学連へ謝罪文書の提出 . ◎内容-世論を騒がせたことへの謝罪 .. 1 0月 28 日 ◎. -早大選手の処分の再検討を求める . <SAI理事会>. 学連から解決へむけ事態が進行中であるとの要望書が提出さ れ 学連処分の結論を先にのば ,. す こ と を了 承 。 11月 7 日 <学生委員会 (全加盟校代表)〉. 11月 28 日 ◎. <SAJ理事会〉. 学連対策小委員会案 「学連主催のイ ンカレのA級公認を取り 消す方針」 を決定 . 〈学連緊急理事会>. 1 2月 4 日 ◎. 早大への処分緩和 を決定.. ◎緩和内容- 1年間出場停止処分の解除 。 -インカレ最下部からの出場を許可 SAJ理事会> 12月 15 日 〈 ◎ インカレのA級公認取り消しを正 式決定 . ◎決定理由 -学連内部が混乱しているため . ◎処分期限-学連が真に信頼できる団体になるま で . 12 月 18 日 <学連拡大総務委員会〉 ◎ SAJに対抗手段は取らず, 事態を静観 . ◎ 従来の 決定は変更しない . 〈1982 年〉 1月 11 日. ◎. 〈第 55 回イ ン カ レ〉. 早大第4部からの出場処分 を不服として参加せず .. 3月 25 日. くSAJ 理 事 会〉. 学連の SAJ構成員としての資格の停止を討議 . ◎ 学連の組織改革等の措置のない場合は6月の評議員会でこの案の提起を決定 5月 9 日 〈学連理事会> ◎ 役員選挙-会長, 理事長 を再任 . 8月 28 日 <SAJ 理 事 会> ◎ SAI が学連と早大の仲介を図ることを決定 。 1 0月 22 日 <学連-早大-SAJの三者会談> ◎ SAj , 仲介案を提示 「早大をイ ンカレの一部に復 帰させる」 . ◎ 早大は仲介案を了承. ◎. (5).

(7) . 新開谷. 36. ◎. 央. 学連は持ち帰り検討.. 〈学連, 理事会〉 譲歩案 「二部あるいは三部での早大のインカレ復帰を認める.」 を決定. 11 月 10 日 〈SAI理事会〉. 11月上旬 ◎. 学連の譲歩案に結論でず. ◎ 11月 20 日をめどに再度三者会談を予定. 11 月 24 日 〈学連, 理事会〉 ◎. 譲歩案 「二部 での早大のイ ンカレ復帰を認める.」 を決定. 11月 28 日 〈SAJ評議員 会〉 ◎ 理事会の裁定案 「早大の 一部インカレ復帰」 を了承. SAJの最終的態度決定. ◎. 〈学連, 各大学スキ ー部長 と理事会の初の懇談会> 12月 6 日 〈学連, 理事会〉 ◎ 譲歩案を確認, SAJ仲介案 (裁定案) の拒否.. 12月 6 日. 12月 8 日 〈SAI理事会> 3 日 ま でに 求 め る こ と に し た. ◎ SAI裁定に対 し学連の最終回答を1 ◎ 11月 28 日評議員会裁定と同 時にインカレA級公認取り消し処分の解除を決定. 同日にあわ せ, 第 55 回イ ン カ レ を A 級 公 認 扱 い に 戻す. <学 運, 理 事 会> 12月 11 日. ◎ SAj裁定受け入れを決定.. 4. 事例の考察. と こでとり あげた事例はおおきく次のよっ つの部分 に 分 け る こ と が で き る. 第一 パート:第54回インカレ前日の学生代表者会議における決定まで. 第二 パート:第54回インカレから学連理事会における早大処分決定まで. 第三 パー ト:早大 処分から第55回インカレつまり SAJの学連制裁の実行まで. 第四 パート:SAIの仲 介裁定から解決まで. 第54回インカレ前日の学生代表者会議にお ける決定まで. この パートはまず, 早大の選手資格の問題が提示されるところから始まる. 提示された場はイン カレ第一部校の学生代表者 会議である. この会議の 組織上の位置づけは不明 であるが, 少なくとも スポーツ行為空間に最も近 いところであること, そして, その場 で早大選手の出場を了承したこと 6 ) (一部校九校の主将, 代表者全員 一致 で決定している.) が大き な特徴となっ ている. これは永嶋 のいう プレーヤ ーの合意によっ て競技参加資格と いう競技規則が決定されていることに なる. この 4-1. く第一 パート〉. 決定にいたるまでは,おそらく 第54回インカレ競技規則とともに 従来も早大の専門校の学生が選手 として出場していたという慣例 が決定の 規準になっ たものと考 えられる. こおいて, 学連理事会に対し早 急に結論を出すように 要求している いっ ぽう, 早大側はこの 時点る が学連からの 結論は出さ れていない. この要求は プレーヤーの合意のみならず, 参加資格に対 し絶 対的権威の判 断を求めたものと解される. この パートでは参加者の プレーヤー間の承認, 絶対的権 威からの承認の 要求という段 階であるた (6).

(8) . 競技規則とスポーツ紛争につい 1 冗 ての事例研究 肌 、 ス」・一ツか こついての. 37. め, サ ン ク シ ョ ン の 適 用 は な い , く第 二 パ ー ト〉 第 54 回イ ン カ レ か ら 学 連 の 早 大 処 分 決 定 ま で . パー この ト は 第 54 回イ ン カ レ が 実 施 さ れ た こ と が 出 発 点 に な る こ の 出 発 点0 こは 第一 パ ー ト で示 . 4-2. した条件が付与さ れている.インカレその運営自体は学連が SAjという 上位団体の規範内でルール を設定し, それにもとづいた狭義の競技規則を厳守しておこなわれる 狭義の競技規則はプレイと . してのスポーツ行為の性格を強く規定するルールであり, それはスポーツ行為空間にお いて効力を 持つ. また, 絶対的権威をもった競技規則を順守してプレイをおこなうことによって プレイの場 , とその勝敗, 成績の順位などに対して, 絶対的権威からある特権が与えられる。 インカレというプ レイの場には SAJからA級公認という 特権が与えられている. このような性格をもつインカレ大会終了 後, 一部校から早大選手の参加資格の調査要求が学連に 出され, 学連の調査の結果, 早大に無資格者がいるとの見解 が出さ れている ここで重要な点は専 . 門校と大学の判断規準 ではなく,大会終了後という時期と大会前の資格審査過程とその決定にある . この場合, プレイ の場に 参加する規則とプレイの場の規則にしたがって, 一応プレイ が形式的には 完結している点にひとつのポイントをみい出すことが できる つまり第一パー トにおける了承 合 . , 意と審査の要求そして無回答という状況, この時点 で大会参加の資格は競技参加資格に合致したも のであり, したがっ て, 大会が終了した時点 でプレイとそのサンクショ ンは完結したという見方が 成り立つ訳である.この見方は第三 パートにおける SAIの学連処分の根拠のひとつになっている , この見方がある一方, 疑義の提出, 調査そして処分という事態が生 じている. この学連の早大処分, 処分内容と第一パー トの存在そして競技資格に関する規則違反についての 競技罰の考え方の三点を検討すると次のことが考えられる. まず, 第一 パートが存在しなかったとすると, 学連の早大処分のうち, 第5 4回インカレの成績の 抹消は競技罰-競技資格の欠落 が後程明らかになった場合には連盟もしくは団体は, その競技者に ) 一に該当する 対し, その競技者を失ったものと宣言する のが唯一の競技罰 である7 , 。 つぎに, 同じく第一パートが存在しなかったとしても, 学連の早大処分のうち, 次回の第5 5回イ ンカレの出場権の剥奪, 再出場時の条件設定さらに学連という組織構成員の資格の制限は競技罰の 範囲を越えた団体罰に該当する. つまり, 学連は第一パートの存在にもかかわらず, イ ンカレとい う競技内にでおこっ た早大の違反に対して,第5 4回インカレという 競技を失ったものと宣言した競 技罰と第54回以外の学生競技大会の出場制 限等と いう制裁の適用という団体罰の二種類を科 した こ と に な る.. 以上は第一 パートが存在しなかったことがひとつの考察条件であった 第一 パートの存在, さら . に, 早大への制裁とくに団体罰の適用 がつぎの第三パートの展開のイン プッ トになっ ている . また, 第一 パートの決定にもかかわらず, 参加校から疑義 が出さ れたことは, ひとつの問題を提 示していることになる. つまり, 第一 パートの決定は参加校 (出席しない一校を除く) の全員決定 であっ たにもかかわらず, そのなかから疑義が出た点 である. これは前者の決定がキャ プテン, マ ネージャーという学生の決定, いいかえれば, プレーヤー相互の了解であるのに対し, 疑義は00 大学スキー部というスポーツ小集団ないし学連という ス ポーツ組織のいち構成単位から出されてい る. 第一部の決定基盤と疑義 の提出 基盤はある組織を構成する単位であるが, その性格はことなっ たものである点がひとつの特徴である. したがって, 学連が疑義を認めたことは, プレーヤーの合 意というルール認識を超越した存在 として組織の構成単位の優位を認めたものと考えられる。. (7).

(9) . 新開谷 汗谷. 38. 4 -3. く第 三 パ ー ト〉. 央. 早 大 処 分 決 定 か ら 第 55 回イ ン カ レ ま で.. この パー トにおけるおもなイン プッ トは学連の早大処分とその内容 である. この発端になってい るのは第54回インカレ当時の学生代表による早大処分の撤回要望書の学連への提出にある.この要 望書の性格は プレーヤーの合意にもとづく規則の決定と学連という組織としての権威との対時と み ることができる.これらの状況において SAIは第54回の学連の運営に問題 があったこと,学連内に おける 組織上の混乱 (早大との対立) などを理由として, 学連に対してイ ンカレのA級公認の取り 消しという処分をおこなっている.SAJの学連処分については,1981年6月に案が提出されその後 学連, 早大との相互作用がおこなわれているが, 約1年後の同年12月にこの処分案を正式決定して い る.. この処分の性格は競技罰, 団体罰を下した団体に対して, その団体の上部団体がさらに団体罰を 科 したという もの である. そ してこの 上位, 下位団体間のおも な争点 であり, かつ 次の パ ー ト の論点ともなっているのは早大への 学連の処分の緩和ということである. つまり, 学連の早大に対 する処分のうちおもに団体罰の適用が問題化されていることになる. 4回インカレにおける早大選 ま た こ の パ ー ト で も う ひ と つ の 特 徴 的 な こ と は つ ぎの 点である.第5 手の成績抹消が問題とならないのは競 技罰としての制裁処分はこのトラ ブルを構成する単位が了承 したと判断できる. 以後の 問題は競技規則による判断ではなく団 体罰をめ ぐる早大-学連-SAJの 三者の相互作用になっ てくる. したがっ て, この時 点でこのトラブルの事例は 組織の統合に関する トラ ブルという 性質をもつことになり, 行動者空間においてもスポーツ行為レベ ルを離れ, スポー ツ小集団-スポーツ組織というレベルで解決される問題となる. 4-4. 〈第 四 パ ー ト〉. SAJ 裁 定 か ら 解 決 ま で .. 第一パー トにおける決定のおもな規準情報は SA1・学連規則に準拠してつく られた大会規則と従 来からの慣習という ようにプレイ を中核としたその周辺的性格 をもつ競技規則 であった. 第二パー トでは競技規則, 組織の登録規則 (大学, 専門学校の規準等も含めた) をおもな規準情報とし, い わゆる規範的決定がなされている. これらに対 し, 第三 パ÷ トからは競技規則からふたつのス ポー ツ団体の組織統合上の考え方が決定の規準情報となってきており, この第四 パートでは上位構成団 体に対する裁定という形態がとられる. 裁定が出され解決をみるま での プロセスにおけるおもな規 準情報は早大, 学連, SAJ の組織をいかに統合するかという点に集中してくる. プレイの場ないし それにごく近い行動空間で発生したこのトラ ブルも最終的には競技罰については問題とならず, 早 大 を 一 部 でイ ン カ レ に 復 帰 さ せ る, さ ら に イ ン カ レ の A 級 公 認 の と り あ つ か い と い っ た 団 体 罰 の 適. 用の取り消しという形で解決をみることになる. (第55回インカレには早大が四部からの出場を不 服としてエントリーしていないため, 実質的には団体罰のひとつは 適用されたことになる.) 第三 パートからは団体罰をめく っ てトラ ブルがエスカレートし, この パートにおいて相互の組織上の利 益という点から, 団体罰の相 互の緩和のくり返しという形で解決への糸口が導びき だされたことに な る.. 4-5. 各パートの全体的考察. この小論でとりあつかっ たケースはスポーツ界という空間において特殊な事例 ではない. 競技へ の参加資格をめくるトラ ブ ルは少年野球から国際試合にま でおよんでいる. まず今回の事例をス ポーツ行動者・関係者の行動空間ないし範囲でみると, スポーツ行為そのも のの場面においてルールの違反は存在しない. つまり狭義の競技規則 違反はない. これがひとつの (8).

(10) . 競技規則と ′、 ′ 、 」ついての事例研究 ・ スポーツ紛争に 光. 39. 特徴 である. トラブルの発生原因は競技への参加 資格ならびにその 審査の手続き上の問題にある . そしてこの 手続き上の問題をめぐっ て トラブルは スポーツ小集団 スポーツ団体という組織レベ , , ルに お い て 紛糾 し て い る .. ここ で, この手続き上の問題において 競技規則に対する認識のレベ ルが問題となる この事例 , . では プレーヤーの合意による規則決定よりもその大会を公認主催 する競技関係者の競技規則に対す る判断が優先している. いまや, 大会と称する競技場面において 少なくともスポーツ団体の公認 , 大会においてはプレーヤーの合意による競技規則 決定と いう ことは極めてまれな現 象とな っ てい る.. つ ぎに, 各パート でそれぞれのプロセスをへて何らかの決定がされているが その決定が出さ れ , る プロセスで適用さ れたと思われる規準情報は第一パ÷ ト 第二 パート ではある程度明文化された , 規則 であると思われるが, 第三 パート 第四パー トにいたっ ては組織統合上の団体間の相互作用 が , 強く影響さている為不明な点が多い 第一パート 第二パートにおいては規範的決定が明確に一度 . , に出されているのに対し, 第三パート, 第四パートではその決定案の提出から案の決定まで非常に 長い時間 を要している. この事実には団体を統合する明文化された規程の有無に左右されていると 思われる. しかし, トラブルが長期化したおもな原因 は競技参加資格違反に対する制裁 が明確にさ れていない点にあるが, ふつう参加資格は事前にチェックされ 無資格者は排除されるため この , , 違反に 対するサンクショ ンは明記されていない場合が多い 「競技 資格の欠落 が後程明らかにな た っ . 場合には, 連盟もしくは団体はその競技者に対し その競技を失ったものと宣言するのが唯一の競 , )」 という処置が一般的である ここ で 参加規則 技罰 である7 とその手続き上の問題と違反に対す . , , るサンクションがトラブルの主要因としてうかびあ がってくる 上述したように 参加資格に対す , , る一般的なサンクシヨン形態はその競技上の不利益をもっ て処罰される競技罰7 )であるが この事 , 例においては第一 パートにおけ る合意にもかかわらず 競技罰とともに団体罰も科した ことにある , . さらに競技参加チームに競技罰と団体罰 を科した 団体に対し その団体の上部団体がさらに団体罰 , を科すという図式になったため,最終的に は競技罰 は問題外となり ふたつの団体の団体罰をめ ぐ っ , てトラブルが続いたことがこの事例の大きな特徴 である 競技上の不利益を越えて処罰がおよ ぶと 。 )という団体罰の性 質からして トラブ ルが組織 その処罰の根拠として競技規則をもち出しえない7 , 上の, 特に組織の維持, 統合の問題に発展したのは当然の結果とも思われる ・トラブルが長期化し . た要因には競技をはなれた 団体罰の適用とその結果のリアクショ ンという関係において 競技罰を , 適用 する時のような明確な規準がないこともあげられる このことはプレイの場としてのス ポーツ . 行為とそこをとりまくスポーツ行為関連空間における規範がそれ ぞれことなっ た性質をもつもので 、 あると考えられる。 特に後者の規範はいわゆる実社会における規 範的性質にごく近い関係にあると )は競技における 団体罰の適用とその結果については裁 思われる. この点に ついてクンマー7 判所の 判 断 に ゆ だ ねる こ と が でき る と して い る .. さいごに, 規範的決定のプロセスを示すこともこの小論の目的のひとつであったが いわゆる事 , 実についての情報がトラブルという事象の性格上 新聞以外に入手できず 考察にたるだけの資料 , , に は な ら なかっ た .. (9).

(11) . 央. 新開谷. 40. おわりに. 2 8 ) ) ’ 事例の スポーツ場面ないしス ポーツ関係領 域における紛糾事例は多く出現している . これらの ンの特徴やト ひとつ として, 早大- 学連-SAJのトラ ブルをとりあげ, 競技規則とそのサンクショ ないが, ここ ラ ブルの解決への プロセス をみてき た. ひとつの事例をもっ て結論を出すことはでき めとしたい. で分析した事例から判明したことがらをいくつかにまとめてこの小論のまと OB で組織され 0 学連という 組織は学生主体型 ではなく OB 主導型の組織である. したがっ て, る部門の決定が学生の 決定に対 して優先する. 如何に ス ポーツ行為のレベ ルないしそれに ごく近い空間で発生した規則 違反に対する制裁の よ っ て, 発生したトラ ブルは, 競技場面 をはなれて 処置されることがある.. 後 その処罰の結 果, クンマーのいう 競技罰と団体罰というふたとおりの 処罰の仕方があり, ブ 発展するこ 者の罰の 適用はスポーツ小集団, ス ポーツ団体という組織的ないし組織内のトラ ルに と が あ る.. トラ ブルは規範的決定の規準となる情報 が複雑であり, かつ明 文化されていな 組織統合上の. い場合が 多いので, 解決ま でに 時間がかかると考えられる. も権威と 0 チャ ンピオンシッ プス ポーツにおいて, プレーヤーの合意によるルールの実行より してのス ポーツ団体の規範的決定に よるルールが優先する. 0. 引用・参考文献 ・ 荒井貞光 「楽しさへの埋没からくるスポーツ気分の稀薄化」 体育社会学研究会編, スポーツ行動の文化社会学 1) ・1979 的基 礎, 道和 書院, .185一87 . , pp ,. 20- 2:91-107 , 2) 藤原健固 「社会規範と価値の補強に及ぼすスポーツの逆機能に関する一考察」 体育学研究, 1975 .. 982 .67 . .p 3) 演島朗・竹内郁郎・石川晃弘, 社会学小辞典, 有斐閣, 1 ポーツ文化, シリー 4) 今村浩明 「文化としてのス ポーツ」 影山健・中村敏雄・川口智久・成田十次郎編, 国民ス .39 ズ・ ス ポー ツ を考 える, 第 2 巻, 大 修 館, 1977 . .p. 16 7 1 9 7 .2 ,P . 5) 小室直樹 「規範社会学」 川島武宜編, 法社会学の基礎2, 法社会学講座4, 岩波書店, 1 9 7 5 2 6 -7: 2 3 体育科教育 p ール 」 競争性とル . , . , 6) 永嶋淳正 「スポーツにおける 1 12一2 1 9 77 .1 . , pp 7) 中村晃紀 「競技の規則と法の規則」 日本法哲学会編, 法規範の諸問題, 有斐閣, 982 C 一 4 2 -1: 3 7 3 3 ,1 . 8) 新開谷央 「スポーツの逸脱と紛争の事例について」 北海道教育大学紀要 第2部 , 3 1 4 1 9 8 :9- 1 8 学研究 , . 9) 新開谷央 「運動の場と原則についての一分析的モデル」 北海道体育. ) ( 1 0.

(12)

参照

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