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中学生の数学教育における内発的動機づけの研究

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(1)平 成 四 年 度 学 位 論 文. 中学生の数学学習における. 内発的動機づけの研究. 兵庫教育大学大学院 学校教育研究科 学校教育専攻 教育基礎コース. M91017B 姫 田 光 乃.

(2) は じ め に. 「内発的に動機づけられた活動とはt当の活動以外には明白な報 酬がまったくないような活動のことである。人びとは,その活動が 外的報酬に導いてくれるという・理由からではなく,そのことだけが 目的でその行動に従事しているように思われる。こうした活動は,. 目的のための手段というより,それ自体が目的なのである。」これ は,一般に容認されているところの内発的動機づけ(intrinsic motivation)の定義であるとDeci(1975)は述べている。また, 動機づけについて研究しているDcciを始め多くの人たちは,研究の 結果,小学生から大学生まで,学習を行うのに外的な要因は必ずし も必.要ではないと述べている。子どもたちは,学習をしないと先生. や親たちに怒られるから,よく学習すると褒められるから,また, 先生や親たちが喜ぶから,あるいは,何か報酬を得られるからなど,. 外的な理由で学習を行うよりは,学習の課題の楽しさなど内発的な 理由で掌習を行う方が,意欲的に学習に取り組むことができ,学習 内容も多くそして深く進むようである。. 今,中学生である生徒たちは,毎日学業に取り組んでいる。その 学習の様子からは,生徒自身の積極的な学習意欲が感じられる生徒 が少ない。真面目に根気よく取り組んでいるのだが,与えられた課 題を必要にせまられて,必死にこなしているだけのように見える生 徒が多いように思われる。このような状態は,全般的な学業ではも. ちろん,数学という1つの教科でも同様である。生徒たちにとって.

(3) 教室での学習は,思考や理解に伴って喜びや満足や自己向上の気も ちを,味わわせてくれるものであるはずである。また,学校という. 共同生活を通して,学ばなければならない勇要なこともあるはずで ある。しかし実際には,生徒たちは学習の知識の量によって,彼ら の生活が全面的に統制されているように感じられる。数学において も,わかる楽しさや思考過程において満足感を経験することは少な く,理解するよりも機械的にできること,テストで良い点を採るこ. とに力が注がれている。そのような中でt自分自身に対して能力に 対して自信をなくし,内発的な興味・関心・好奇心に碁ずく動機づ. けで,学習することが減少しているのではないだろうか。中学1年 から中学3年に目を向けると,真面目に,真剣に学習に取り組んで いる様子の生徒が増えるが,1年のように,学習そのものを楽しむ 生徒は少なくなっているように思われる。. 内発的動機づけに関与していると考えられる有能感は,学年によ りどのように変化しているのか,内発的動機づけの下位尺度である. 達成・因果律の所在・挑戦・楽しさ・知的好奇心・帰属についても 学年による変化はみられるのか,男女差はあるのだろうか,など,. 中学生の現在の実態を知ることが大切だと考えられる。そこで,本 研究では有能感,内発的動機づけ,数学に対する自己意識などの中 学生の実態を知ることと,これらの諸要因の関連を通して,中学生 の数学に対する内発的動機づけについて調査研究を行うものである。.

(4) 目. 次. 《はじめに》. 研究の背景と動向 一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 1. 第1節. 内発的動機づけ研究の概要. 1. 第2節. 教育への内発的動機づけ研究の意義. 第1章. 一一一一一一一一一一一一一一 ・一一一一一一. 3. 研究の目的と方法 ・一一一一一一一一一一一・一一一一・一一一一一一一一一一一. 6. 第1節. 研究の目的. ・一一一一一一一一一一一・一一一一一一一.一一.一一__.一一一. 6. 第2節. 研究の方法. ・一・一一・一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一. 7. 第2章. !.. 調査の対象者 ・一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一. 7. 2.. 調査年月日 ・一一一一・一一・一一一一一一曽一一一一一一一胃卿『一一一『…. 7. 3.. 調査内容. 7. 4.. データー処理 …一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 8. 一一一・一一一一一一一一一一一一一一. 9. 第1節. 目的 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 9. 第2節. 質問項目 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 9. 第3節. 因子分析の結果と考察. 第4節. 認知されたコンビテンス測定の結果と考察 …. 第5節. 下位尺度における結果と考察 …一一一一一一一一一・. 第3章. !.. 認知されたコンビテンス. 学習. 一一一一一一一一一一一一一一一一. ・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 10 12 14 14.

(5) P6. 2.. 友人. 3.. 自己価値 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ユ8. 4.. 考察. 第6節. ・一一一一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一・一一・一一一一. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一19. 認知されたコンビテンスと性格特性. 1.. 結果. 2.. 考察. 第4章. 一一一一一一一23. ・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一23. ・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 内発的外発的動機づけ. Q7. ・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一28. 第!節. 目的 ・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一28. 第2節. 質問項目 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一28. 第3節. 因子分析の結果と考察. 第4節. 内発的外発的動機づけ測定の結果と考察. 第5節. 下位尺度における結果と考察 一一一一一一一一一一一一37. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一29 ・一一一. R2 R8. 1.. 達成. 2.. 因果律の所在. 3.. 挑戦. 4.. 楽しさ ・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一44. 5.. 知的好奇心. 6.. 帰属. 第6節. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一40. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一42. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. S6. ・一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一49. 内発的外発的動機づけと性格特性. 一一一一一一一一一一. T1. 1.. 結果 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一51. 2.. 考察. ・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一54.

(6) 第5章. 数学 一一一一一一一一一一一一一・一・一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一55. T5. 第!節. 質問項目. 第2節. 因子分析の結果と考察 一一一一一一一一一一一一一一一一一・55. 第3節. 数学の結果と考察 …一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一57. 第4節. 数学と性格特性 一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一64. 1.. 結果. 2.. 考察. 第6章. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一・一一一・一一一一一一・一一. ・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一・一一一一一一一一一一一一一67. 数学と内発的動機づけ. 一一一一一一一一一一一一一一’一一一一一一一ロ. 第1節. 相関関係の結果と考察 ・一一一一一一一一一一一一一一一. 第2節. 分散分析の結果と考察 ・一一一一一一一一一一一一一一一一一. 第3節. 重回帰分析の結果と考察. 第7章. U4. 総合的な考察. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一・. 68 68 69 73. 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一78. 第1節. 研究のまとめ 一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一78. 第2節. 今後の課題 一一一一・一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一83. 《引用文献》 《参考文献》 《おわりに》. 参考資料.

(7) 第−章 研究の背景と動向. 第1節 内発的動機づけ研究の概要 現在,心理学の分野では,内発的動機づけという用語は,徐々に 定着していっている。そして,心理学的な内発的動機づけの概念も さまざまな考え方がうちだされている。それに伴って教育の世界に も,影響を与えている。内発的動機づけにはさまざまな概念の捉え 方があり方法がある。内発電動機づけ研究の概要を,Dcci(1975) と桜井(1990)を参考にして検討していきたい。 tg40年忌後半から1950年忌前半にかけては, 「動因命名」による. アプローチの盛んな時代である。これは,内発的動機づけを意識し たものではないが,行動にある動因を仮定し命名することによって,. 動因低減説からその行動を説明しようとするものである。. Bcrlyne (1950,1955)は,ネズミは新奇な空間や対象物を探索 し,刺激作用があるかぎり探索をし続けることを実証している。. Wdlkcr(1956a,1956b)もチンパンジーについて似たような結果を 出している。動因命名的アブ’ 香[チには,Montgomcry(1954)によ. る「探索動因」,Butler(1953)による「視覚的探索の動因」,. Ilarlow(1953a)による「操作動因」,Isaacq962)による「感性動 因」などがある。そして,多くのデータが好奇心や操作,探索は,. 内発的に動機づけられた行動であるという考えを支持している。し かし,動因命名的アプローチは多くの欠点をもち,不適切,であった. 一1一.

(8) めに次第にすたれていった。. つぎに出てきたのが「最適不適合」 (optimal incongruity)で. あり,このアプローチに最も貢献したのがIlunt(1963,1965)であ. る。これに類似したものに, McClcllandら(1953)の順応水準か らのズレ,Berlync (1973)の「最適喚起ポテンシャル」などがあ. る。また,Hebb(1955)が「最適覚醒」のアプローチを提唱してい る。これらのアプローチは1970年代まで最も中心となった考え方で ある。二つのアプローチは,内発的に動機づけられた個体が,ある 時は不適合(覚醒)を低減しようと行動し,またある時には不適合 (覚醒)を増大しようとする一見矛盾するようにみえる2つの行動 を合理的に説明するために提唱された。 「不確かさの低減」 (unccrtainly rcduction)によるアプロー チは,Kagan(1972)によって提唱された。これはFcstingcr (1957). の認知的不協和理論や最適不適合に一部類似している。 次に, 「有能さと自己決定」 (compctencc and sclf−dctcrmina−. tion)によるアプローチが登場してくる。これは, Whitc(1959)に よって「有能さへの動機づけ」(compctcncc motivation), 「エフェ. クタンス動機づけ」(effectancc motivation)という用語で提唱さ. れている。その後,deCharms(1968)がHcidcr(1958)の“認知さ れた因果徹の所在(pcrccivcd locus of causality)”を援用して,. 「主体的因果律」を提唱している。Dcci・(1975)も,人聞は有能さ. と自己決定の意識を感得せんがために多くの行動にたずさわると論 じている。本研究の原尺度を作成したIlartcr(1980,1981)は,. 一2一.

(9) Whitc (1959)のエフェクタンス動機づけを,具体的な行動や質問 項目で捉えられるよう検討し,測定尺度を作成している。 そして, 「帰属理論」 (attribution theory)の観点から内発的. 動機づけを捉えようとするアプローチが出てきている。Hcider( 1958),dcCharms(1968), Dcci(1975)は,内発的動機づけの関連で. “認知された因果律の所在”という用語を用いている。Kruglanski (1975)は, 「内生三一外生的帰属」からの新しい視点を提示してい. る。桜井(1985)は,有能さと自己決定の考え方と,帰属理論の考 え方の両方を「内発的一外発的動機づけ測定尺度」にとりいれてい る。. 第2節 教育への内発的動機づけ研究の意義 内発的に動機づけられた活動とは,当の活動以外には明白な報酬 がまったくないような活動のことであり,目的のための手段という より,それ自体が目的なのだと定義されている(Dcci,1975)。教 育への内発的動機づけの必要性を初めて述べたのがブルーナーであ る。Bruncr(1960)は, 「・… ・・. 学習のための動機づけは, ・・. 動的にしないようにしなければならないし,またできるだけ. 学習することそれ自体に対する興味の喚起にもとっくのでなければ ならない。」としていう。彼によって教育の世界に,内発的動機づ けの考え方が導入されて以来,現在もその重要性は多くの人たちに よって主張されている。. 1940年代から1950年代にかけて優勢であった動因低減説だが,こ. 一3一.

(10) の動機づけの伝統的な理論は, 「人間は本来怠け者であって,なん らかの不都合が生じないかぎりt活動的にはならない。」 (波多野・. 稲垣,1973)ということを前提においている。不快な状態から逃れ るために,つまり,先生や親に叱られたり,注意をされるのがいや だから学習はするが,自らすすんで学習する素振りはまったくみら れない。といった感じである。そして,この説の反論としてでてき たのが, 「…. 人間への信頼だといいかえてもよい。人間は,条. 件さえ与えられれば,活動的で好奇心が強く,よく努力をし,・・ ・…. @ 。」 (前掲示,1973)という考え方である。活動的で好奇. 心に満ちているような状態のとき,人間は常に不快な緊張状態とは 考えられない。つまり,学習による適度な緊張の連続に「楽しさ」 の経験もしているし,また,好.奇心とか向上心によって,自分の有. 能さを感じたり,さらに有能さを伸ばしていこうとするような内在 的な傾向もある。人間性の捉え方の変化により,プルーナーを初め,. 多くの人たちによって,内発的動機づけの考え方が教育の分野に取 り入れられてきている。. このように,内発的動機づけの意義は,人間は怠惰だけの存在で はなく,好奇心,向上心の強い存在で積極的に知識を吸収し,新し い感覚と有能さの自覚から大きな喜びを感じるようになっていく, というような新しい人間観が出てきたことであり。またこの新しい. 人間観をもとに,教育に対する考え方が徐々に変化していっている ことである。怠け者だと思われていた時は,強制的にやらされてい た学習も,能動的であり,活動的あると考えられるようになってく. 一4一.

(11) ると,学習者の意志をも考慮した,自ら学ぶ力を育てることが必要 となってくる。そして現在,生涯学習の必要性がよくいわれている が,生涯学習がスムーズに行われるためにも,自ら学習をすること を学習しておかなければならない。そのたあにも,内発的動機づけ に関する研究は今後の教育に役立つものだと思われる。. 一5一.

(12) 第2章 研究の目的と方法. 第1節 研究の目的 現在,中学生は,数学の多彩な内容をさまざまな方法で学習して いる。その学習では,個々の生徒の意欲とかやる気により,取り組 み方には大きな個人差がみられる。この個人差が数学学習に多大な 影響を与えていると考えられる。一般に,乳幼児・小学校低学年の 児童たちは,何事にも「する」ということに最大の関心を持ってお り,「結果」についてはそれほど関心を持たないと考えられている。. このように旺盛な好奇心を持っているようにみえる三二も,小学校 中学年・高学年・中学生となるに従い,好奇心が影をひそめてしま うように思われる。その結果,学習は「自らやる」ことから「他か らやらされている」という状態に変わっていくように感じられる。 しかし,そのような中にも,外的な理由だけではなく,内発的に課 題に取り組み学習を楽しんでいる生徒もいる。. 本研究では,中学生が,彼ら自身のコンビテンスをどのように認 知しているのか,数学を学習することをどのように捉えているのか,. 数学に対する自己意識をいかに把握しているかを調査し,男女差, 学年差があるかどうかを検討するとともに,性格特性との関係など,. それぞれの関連を探ることにより,中学生の数学学習の内発的な動 機づけについての要因,数学に対する自己意識を高めるための要因 を知り,今後の学習指導に役立てたい。. 一6.

(13) 第2節 研究の方法 1.調査の対象者 ・予備調査・・兵庫県内の公立中学校生徒61名(有効被験者数) 3年生 61名(男子29名、,女子32名). ・本調査・・兵庫県内の公立中学校生徒500名(有効被件者数). 1年生213名(男子114名,女子 99名) 平均年令・一一12才7月 年令範囲一一一一一12才1月∼13才1月. 3年生287名(男子132名,女子155名) 平均年令・一一14才8月. 年令範囲・一一14才2月∼15才2月. 2.調査年月日. ・予備調査・・1992年4月下旬∼5月上旬 ・本調査…. 1992年5月中旬∼6月上旬. 3.調査内容 ・質問紙. ①Ilarter(1979)が作成し,桜井(1983)によって邦訳された「認. 知されたコンビテンス測定尺度」から下位尺度の運動に関する 有能さを省いた調査 ②Harter(1980,1981)が作成した質問紙をもとに,桜井(1985). 一7一.

(14) が作成した「内発的一一外宮的動機づけ測定尺度」を数学の学習 場面に限定した調査 ③Shavelson,R. J.やMarsh,H. W.(1976)が作成し,塩見・大沢. (1986)によって邦訳された「自己判断質問紙」の数学の調査. ④塩見・吉岡・田中(1987)によって作成された「SPI性格検 査(第4版児童版)」 を使用した。. ・調査方法. 各学級担任の指導のもとで,学活の時闇に調査を実施した。 「認知されたコンビテンス測定尺度」 「内発的一外発的動機づ. け測定尺度」 「数学」を同じ時間に実施し, 「SPI性格検 査」は別の時間に実施した。. ・調査実施にあたっての留意事項 ①あまり考えすぎずに,さっさと回答すること。 ②質問項目を飛ばさないように気をつけること。 ③回答方法の異なる質問があるので気をつけること。. 4.データー処理 因子分析,分散分析,相関分析,重回帰分析などは,兵庫教育大 学電子計算機センターのSAS(Statistical Analysis System) 統計パッケージを使用した。. 一8一.

(15) 第3章 認知されたコンビテンス. 第1節 目的 中学生は,自分自身のコンビテンスをいかに認知しているのだろ. うか。小学生から中学生になったばかりの1年生,2年間中学校生 活をおくってきている3年生について調査を行い,中学生が彼ら自 身の有能さをどのように認知しているのかを,学年差,男女差を通 して検討する。また,性格特性との関連をも検討する。. 第2節 質問項目 Ilartcr(1979)の原尺度は, cognitivc,socia1, physica1,. gcncral sclf−worthの4っの下位尺度,合計28項目(各下位尺度. 7項目)から構成され,回答方法は4段階評定となっている。桜井 (1983)によって邦訳された日本語版の「認知されたコンビテンス. 測定尺度」も学習に関する有能さ,友人関係に関する有能さ,運動. に関する有能さ,自己価値の4つの下位尺度をもっている。この「 認知されたコンビテンス測定尺度」から運動に関する有能さ(phy−. sica1)下位尺度を除いた21項目を質問項目とし,回答方法は Hartcr,桜井と同様に,コンビテンスの高いものから4,3,2, 1点の4段階評定とした。数学の学習について調査することを目的 としているので,逓動に関する有能さ下位尺度を省いた質問項目と した。. 一9一.

(16) 第3節 因子分析の結果と考察 各項目の平均と標準傭差において,特に大きく変わったものがな. かったので,2!項目全てを因子分析(主因子分析を行い,固有値 によって因子数を推定し,Vari田ax回転を行う)にかけた。. 表3−1認知されたコンビテンスの因子分析. 項目. 因子. 番号. 番号. 13 20 5 7. 1. 3. 10 16 9. 12 21 18 2. 15. 2. 因 子. 項目. 因子. 負荷量. 番号. 番号. 学. 0.6132. 6. 習. G.6089. 8. に有. 0.6052. 関能. O.5846. すさ. 0.5081. る. 0.4786. 4. 0.3214. 0.4785. 19. 0.2770. 因子. 友. 0.6869. 人. 0.6180. に有. 0.5969. 関能. 0.4647. すさ. 0.4293. る. 0.3294. 11 14 17. 因子. 因 子 負荷量 0.6340. 自. 0.5895 価. 3. 己. 0.55H 0.5159. 値. 0.3694. *項目番号は調査紙の質問番号である。. * *因子負荷量は0.2700以上を認嶺した。. 10一.

(17) 結果は表3−1に示している。. 桜井G983)は全項目を因子分析し, cognitivc・下位尺度を「学. 習に関する有能さ」,socia1下位尺度を「友人関係に関する有能さ 」,gcncral sclf−worth下位尺度を「自己価値」,physical下位尺. 度を「言動に関する有能さ」として,4因子を抽出している。そこ で, 「運動に関する有能さ」を除いた今回の調査結果が,「運動に. 関する有能さ」を取り除いた桜井の結果と同様の因子構造を示すか. どうかを検討した。因子分析は中学1年生と3年生のデータをひと まとめにして行った。その結果,桜井と同様に3因子が妥当と思わ れ同定した。 (3因子で全体の寄与率は,41.2%であった。). 21項目の質問について,因子負荷量.2700以上の項目を拾い上. げると,項目番号1(原尺度18)はどの因子にも高い負荷量を示 さなかったがr他はいずれかの因子に.27QO以上の因子負荷量を示. した。このことより,7項目を学習に関する有能さを,6項目を友 人関係に関する有能さを,7項目を自己価値を測定する尺度として 使用することとする。. 3つの因子は次のような因子である。 ①第1因子(学習に関する有能さ 以下学習) 学習に対する認知された有能さを測定しようとするもの。. ②第2因子(友人関係に関する有能さ 以下友人) 友人関係における認知された有能さを測定しようとするもの。. ③第3因子(自己価値) 自分の生き方とか,自分自身についてどのように認知してい. 一11一.

(18) るかを測定しようとするもの。. 第4節 認知されたコンビテンス測定の結果と考察 次は認知されたコンビテンス測定尺度全項目において,学年差・男 女差があるかどうかを検討する。. 認知されたコンビテンスの合計得点について,学年別,さらに男 女別にした平均とSD(不偏標準偏差)を示したのが表3−2である。. また,認知されたコンビテンスの合計得点の推移を表しているのが 図3−1である。. 表3−2認知されたコンビテンス得点の平均とSD 男. 平. 女. .子. 均. SD. 平. 全. 子. SD. 均. 平. 体. 均. SD. 中1. 46.6491. 8.0650. 46.5051. 8.1808. 46.5822. 8.1001. 中3. 44.5227. 7.1146. 44.3548. 6.9933. 44.4321. 7.0375. 表3−2−1認知されたコンビテンス得点の分散分析表. SUM OF. MEAN. 変動因. DF SQUARES. 条件間. 3 568.3199. 誤 差. 496 28071.1281. 一!2一. SQUARES F VALUE PR>F 189. 4400 3. 35 O. 0190 56. 5950.

(19) 認知されたコンビテンス測定尺度の合計得点をもとに,学年(2 )×性(2)の2要因分散分析を行った。その結果は表3−2−1であ る。. P値は0.0190で条件闇の差は有意であった。次に主効果,交互作 用の検定結果を表3−2−2に示している。. 表3−2−2主効果,交互作用の結果. 変動因. 学 年 性. 学年×性. DF. ss. MS. F. PR>F. 9. 99. O. OO17. 1. 565. 2107. 565. 2107. 1. 3.0920. 3.0920. 0.05. 0.8153. 1. 0. 0172. 0. 0172. 0. oo. 0. 9861. 学年間において有意差(F=9.99,pく.01)が認められたが,性差や. 交互作用は認められなかった。中学1年から3年になるに従い,自 己に対する有能感が減少していく傾向にあると思われる。. 一13一.

(20) 47 46,65. 難 46.5. 妬蕊℃一一. 嚢 た. コ. 45.5. ン. ピ ア ン ス. \、.処52. 44,5. ag,35. 1年. 3年 一男子・…女子. 図3−1認知されたコンビテンス得点の平均の推移. 第5節 下位尺度における結果と考察 さらに,各因子の因子ごとの傾向を知るために,学年(2)×性 (2)の2要因分散分析を行った。学習因子・友人因子・自己価値 因子のそれぞれの分散分析の結果を表3−3−1∼表3−5−2に示してい る。. 1.学習 学習因子得点の分散分析で,. P値は0.0682であった。主効果,交. 互作用の検定をおこなった。. 一14一.

(21) 表3−3−1学習因子得点の分散分析表. SUM OF. MEAN. 変動因. DF. SQUARES. SQUARES F VALUE PR>F. 条件闇. 3. 95.4919. 31.8306 2.39 O.0682. 496. 6612. 5081. 誤 差. 13. 3317. 表3−3−2主効果,交互作用の結果. 変動因 学 年 性. ss. MS. 85. 4300. 85. 4300. DF 1 1. 学年×性. 1. F PR>F 6.41 O.O117. 1. 6440. 1.6440. 0.12 O.7256. 8. 417 9,. 8.4179. 0.63 O.4272. その結果,学年間において有意差(F=6.41,pく.05)が認められたが. 性差,交互作用は認められなかった。学習に関する有能感は,自己 概念に含まれる学習に対する情報の評価であり,自分についての感 情である。そして,感情は,その人その人のもっている基準によっ ても異なってくる。本調査は,個人の主観的な評価を測定している. にすぎない。しかし,中学1年では約6年間,中学3年では約8年 間の学習経験をもち,その学習に対して他者(教師・友達など)の. 一15一.

(22) 評価を受け続けている。つまり,他者の評価にかなり影響を受けて いる。その結果の学習に関する有能感だと思われる。学習因子得点 の平均の推移を図3−2に示している。. i5,3. 15,17. 15.2 15,1. 15 第. 14, ee ””’・一・・..,.. 14,9 14,8. 三. 14.7 14,6. 讐. 14,5. 14,4. 14.4. 14,3. 14.2. 14, ee. x. 14,1. 14. 3年. !年 一男子一・女子. 図3−2学習因子得点の平均の推移. 2.友人 表3−4−1友人因子得点の分散分析表. SUM OF. MEAN. 変動因. DF. SQVARES. SQUARES. F VALUE PR>F. 条件間. 3. 60. 8843. 20. 2948. 2. 21 O. 0861. 誤 差. 496. 4555. 6657. 一1 6一. 9.1848.

(23) P値は0.0861であった。主効果,交互作用の検定を行った。結果 を表3−4−2に示している。. 表3−4−2主効果,交互作用の結果. 変動因. DF. 学 年 性. 1 1. 学年×性 1. ss. MS. F PR>F. 57. 8634. 57. 8634. 6. 30 O. 0124. 2.5243. 2.5243. 0.27 O.6003. 0.4966. 0.4966. 0.05 O.8162. 学年差に有意差(F=6.30,P<.05)が認められたが,男女差,交互. 17.2 17.1. 17.餌. 17 i6,9. 一. 16,8. 一. 16.7. 16・ 82X ””’e・,... 16,6. 葵. 16.5 16.4. ’…,,...16・ as. 16.3 16,2. 16.i9. 16.1. 16. 3年. 1年 一男子一・女子. 図3−3友人因子得点の平均の推移. 一1 7一.

(24) 作用は認められなかった。年令が高くなるに従って,ただたんに遊 ぶだけの仲間から,趣味とか興味・関心が同じである者との友人関 係,さらに情緒的なものとか価値観が重視されていくような関係へ 変化していくと思われる。また,相手の気持ちなども考えた関係へ と変わっているのだろう。友人因子得点の平均の推移を図3−3に示 している。. 3.自己価値 表3−5−1自己価値因子得点の分散分析表. SUM OF MEAN 変動因. DF. SQUARES SQUARES. 条件間. 3. 74.8000 24.9333. 誤 差. 496. F VALUE PR>F 2.04 O.1079. 6074.4380 12.2469. P値はO.1079であったが,主効果,交互作用の検定を行った。結 果は表3−5−2である。. 学年間においては有意差(F=3.92,p<.05)が認められたが,性差. 交互作用は認められなかった。1年から3年と進むにつれ,学習内 容も複雑になっていくために,学業にだんだん自信が持てなくなる ことも影響しているように思われる。自己価値得点の平均の推移を 図3−4に示している。. 一8一.

(25) 表3−5−2主効果,交互作用の結果. 変動二. 二 年 性. 学年×性. ss. MS. 1. 47. 9491. 47. 9491. 3.92 O.0484. 1. 2L 4314. 21.4314. 1.75 O.1865. 1. 5. 4196. DF. 5. 4196. F PR>F. 0. 44 O. 5062. 14,8. 14.66. 14.7 14,6. 麺. 14,5 14, 48’一・一..... 14.4. 星. 14, 27. 14,3 14.2. 羅. 14.i ,14. 13,9 13,8 13.7 13,〔語. 13,6 13.5. 1年. 3年 一男子…’女子. 図3−4自己価値因子得点の平均の推移. 4.考察 本研究では,下位尺度すべてにおいて加齢とともに減少傾向がみ られた。特に,学習に関する有能さは.生徒たちの学校での課題に. 一19一.

(26) 対する自信が,年令とともに,学校での経験の結果として下降して いっている(Stipck,1984)。学校での体験が自信を喪失させてい るのだろう。桜井(1983)の結果も学習に関する有能さ下位尺度,. 自己価値に関する下位尺度で加齢とともに減少傾向が認められてい る。nartcr(1979)のデータではこのような傾向は見られない。こ れは,現在の日本独特の教育事情が関係していると考えられる。. 本研究では,下位尺度すべてに性差が見られなかった。現在の中 学校では,学習・友人・自己に関して,はっきりとした男女差が認 められるような学習指導,生徒指導などは行われていないと思われ る。学校における生活はほぼ同質だと思われる。学習に関しても,. 女子だから,男子だからといった差は全くみられない。桜井の結果 では,自己価値下位尺度だけに性差が認められ,男子の方が高いコ ンビテンスを示’している。Hartcrの結果には,性差は見られない。. また,表3−6−1より,学習因子と自己価値因子の相関はr・.3076と. なり,0.1%水準で有意である。友人因子と自己価値因子の相関も r=.4006でO.1%水準で有意である。学習に自信をもつことや,友 達との人関係がうまくいっていることが,生徒自身の生き方とか,. 彼ら自身の自信につながり,有能感にある程度の影響を与えている. と考えられる。1年から3年に進むに従い,下位尺度間の相関係数 は小さくなっている。特にt学習に関する有能さと友人に関する有 能さの相関は減少している。学年が進めば,青年期前期に入り,友 達との関係が質的に変化することや,自己意識の変化が原因として 考えられる。女子の方が男子より,学習に関する有能さが自己価値. 一20一.

(27) に,友人に関する有能さが自己価値に影轡を及ぼしゃすいと思われ る。有能感を感じている生徒は(学習に関する有能さでも,友人に 関する有能さでも,高い自己価値でもよい),学習あるいは生活の 多くの場面で,さまざまな事柄に積極的に取り組み,さらに自信を 強めていくものと考えられる。. 表3−6−1下位尺度間の相関表(全体) : コ 1友 習 ;. 学. :. ロ. 人. ・自己価値 :. 1. 騨. 1. 3. 1. 学. 習. 1. コ. 蓼 0.2647 雰*寧 ・ 0.3076 寧傘申. 1. 8. 1 1. 1 1. ____一______↓__脚_一一_一_一_↓一r_________ , 1. 友. 人. 1. 1. コ. ロ. 8. ‘. 0.2647 率零零 蓼 1 1. 1 0.4006 宰寧零. 1 1. _______一.___↓___________↓__一}一嫡r−r__ 屡 6. 聖. 自己価値. 9. ロ ロ 0.3076 牽掌寧 1 0.4006 *‡寧 1 膠 1 1. 1 0. 1. *** p〈.OOI, ** p〈.Ol, * p〈.05. 一21一.

(28) 表3−6−2下位尺度間の相関表(学年) 学 学. 友. 習. 習. 人. 自己価値. 友. 入. 自己価値. 0。3561寧桝. 0.3538 率桝. O.1690 艸. f.2566 掌艸. 0.3561傘零事. 0.4634 電’寧. O.1690 寧宰. O.3390 鱒寧. 0.3538率桝. 0.4634寧寧寧. O.2566車桝. O.3390韓率. ‡‡‡ pく.001, ‡‡ p〈。01, ‡ pく.05 上最は1年,下匿は3年の棺関係薮である。. 表3−6−3下位尺度間の相関表(男女) 学 学. 友. 習. 習. 人. 自己価値. 友. 人. 自己価値. 0.3192掌桝. 0.2856 桝寧. f.2050寧寧承. O.3328 鱈‡. 0.3192寧’零. 0.3285 桝傘. O.2050事零傘. O.4761事桝. 0.2856零桝. 0.3285寧桝. O.3328目脂. O.4761率窒零. *t* p〈.OOI, ii p〈.Ol, * p〈.05 上腰は男子,下段は女子の桐閉探数である。. 一22一.

(29) 第6節 認知されたコンビテンスと性格特性. 1.結果 認知されたコンビテンスと性格特性との相関係数を,表3−7−1∼ 表3−7−3に示している。. 表3−7−1相関表(全体) 学. 習. 人. 自己価値. 一〇.1385 *寧. 一〇.3523榊*. 一〇.3242車幅. − 榊 神経過敏 黶Z,1198. 一〇.i868榊*. 一〇.2585料ホ. 一〇.3799*榊. 一〇.2849卓料. 自 閉. 友. @S. @N 自己不全. 一〇.1938零*零. @u 執. 着. 0.1954*料. 0.0470. 調. 0.1284 桝. 0.4594 卑榊 ’. 一〇.0141. @1 同. 0.1836韓傘. @C 自己顕示. 一〇.0920. 零. 一〇.06玉4. 一〇.2299榊象. 一〇.2136翠桝. 一〇.23「02寧傘傘. @H 粘. 将. 一〇.0764. @E *零‡ pく.00」,. ** p〈.O.L * p〈.05. −23一.

(30) 表3−7−2相.関表(学年) 学 自. .閉. 習. 友. 一〇.12ら5 │0.’1365.. @.S. 神経過敏. .一. 傘.. Z. 19「07. 宰零. 自弓価値. 人. 一〇,2325. 零車ゆ. 一〇.2902. 零寧寧. 黶Z.4.336. 零傘傘. 黶Z..3418. 傘零宰. 一〇. 2435. 零 傘傘. 一〇. 2503. 零零率 .. @ N. 黶Z。0681. 黶D0。.1483. .自己不全. 一〇. 1940. 車零. 一〇. 2623. 傘 零零. 一〇.1166. @ u. 黶Z. 1940. 「零寧. 黶Z. 4745. 零 承零. │0.4139. 傘. 黶Z.2699. 寧傘傘. 寧傘零. 執 着. 0.13.81. 章. 0.0066. 一〇.0305. @ 1. O,2178 傘零傘. O.0505. O.0254. 0.0997. 0. 276b. 雰 雰寧. O. 5912. 承傘傘. 同. 調. @ C. O.1320. 傘. 0.1.484 寧 O. 1.966. 傘傘傘. Z. 176.1. 阜*. 自己顕示. 一〇.0946. 一〇.0935. @ H.. │0.0755. │0..0238. 黶Z.2575. 車承寧. 一〇. 2154. 一〇. 3144. 傘亨承. 一〇.2699. 卓章傘. 傘.. 黶Z.2307. 申申傘. 粘. 着. 零寧. .一. @ 噛 ㌧. @ E.. 黶Z.0044. 黷f. 1760. il‡ pく.001, .lt p<.Ol, i p<.05 上段ぼ1年,下段は3年の桐蘭係数である。. 24.

(31) 表3−7−3相関衷(男女) 学 自. 閉. 友. 習. 人. 自己価値. 一〇.1506. 寧. 一〇.3301庫桝. 一〇.4252傘艸. 黶Z.1244. 傘. 黶Z.3798 寧桝. 黶Z,2384傘翠寧. 神経過敏 一〇.1892 料. 一〇.2743*桝. 一〇.3168掌*率. @ N. 黶Z.0567. 黶Z.1124. 黶Z.1904 艸. 自己不全. 一〇.1820. 一〇.3511寧桝. 一〇.2853傘桝. @ u. 黶Z.2067桝宰. 黶Z,4107零車*. 黶Z.2858桝寧. 一〇.0357. 一〇.0323. @ S. 執. 着. @ 1 同. 調. @ C. *. 0.1758 榊 O.2160*桝. O。1319. 0。2029 串*. 0.4056*寧*. 0.1613. O.0491. O.5159寧榊. O.2157寧桝. 寧. O.0614 零. 自己顕示. 一〇.0539. 一〇.0768. 一〇.2388桝*. @ H. │0.1359 零. │0.0509. 黶Z。2092零零寧. 一〇.0094. 一〇.2014 串零. 一〇.2230寧桝. │0.1491 零. 黶Z.2260 寧桝. 黶Z.2418寧桝. 粘. @ E. 着. *** p〈.001, ‡* p<.01, * pく.05 上段は男子,下段は女子の掘関係数である。. 「SPI性格検査」の回答方法は3段階評定である。逆転項目以 外は, 「はい」 「?」「いいえ」を2,1,0点とし,逆転項目は, 「はい」 「?」 「いいえ」をO,1,2点とした。. 一25一.

(32) 性格特性とは次のような特性である。. ・自 閉 性格(S)…. 敏感,繊細で傷つきやすいため,自. 己の内部に閉じこもりやすいが,きまじめで,こっこ っ自分の好きなことをする。抽象的,論理的な思考を 好み理屈っぽいところがある。. ・神経過敏性格(N)…. 神経質で些細な刺激に普通以上に敏. 感に反応する。. ・自己不全性格(U)…. 劣等感,不全感を基調とする。内気. で何事につけ自信がなく常に遠慮,気兼ねをする。. ・執着性格(1)… 几帳面,仕事熱心で,何かやりだし たら最後までやりとげなければ気がすまず,悶違いや ごまかしを許すことのできない徹底性を持っている。. ・同 調 性格(C)…. 活動的・社交的で冗談を好み,人と. すぐ親しくなることができ友人も多いb要領がよく融 通性に富み,環境に適応しやすい。. ・自己顕示性格(H)…. 自己中心的でわがままで,人目に立. っことが好きである。. ・粘 着 性格(E)… 頑固でしつこく,綿密であり,形式 ばっている。. 1年,3年共に,学習と執着性格とに弱い相関,学習と自己不全 性格とに弱い負の相関,友人と同調性格とに弱い相関,友人と自閉 性格,神経過敏性格,自己不全性格,粘着性格とに弱い負の相関,. 一26一.

(33) 自己価値と同調性格とに弱い相関,自己価値と自閉性格,神経過敏 性格,自己顕示性格,粘着性格とに弱い負の相関がみられる。 男女共に,学習と執着性格とに弱い相関,学習と自閉性格,自己 不全性格とに弱い負の相関,友人と同調性格とに弱い相関,友人と 自閉性格,自己不全性格,粘着性格とに弱い負の相関,自己価値と 同調性格とに弱い相関,自己価値と自閉性格,神経過敏性格,自己 不全性格,自己顕示性格,粘着性格とに弱い負の相関がみられる。. 2.考察 学習に関する有能さと関わっている性格特性として,執着性格と 自己不全性格が考えられる(自己不全傾向の弱い生徒の方が有能感 を持ちやすいであろう)。友人に関する有能さと関わっている性格 特性として,自閉性格,自己不全性格,同調性格,粘着性格がある (自閉傾向,自己不全傾向,粘着傾向の弱い生徒の方が有能感を持. ちやすいであろう)。自己価値に対しては,関わりのみられないも のが執着性格だけである。幅広く自分自身について考え,自分の生 き方全般についての認知と関係している下位尺度であるため,やは り,多くの性格特性となんらかの関連があると思われる。. 有能感を持つ,有能感を感じやすいということに,強い関わりで はないが,いくつかの性格特性が関連していると考えられる。. 一27一.

(34) 第4章 内発的外発的動機づけ. 第1節 目的 中学生が数学の学習を行うとき,内発的動機づけのそれぞれの因 子がどのように働いているのか,また,数学学習をどのようにとら. えているのかを,1年生,数学嫌いの者が多くなる2年生(銀林, 五984)を経てきた3年生について,調査を行い,学年差,男女差が あるかどうかを検討し,また,性格特性との関連をも検討する。. 箪2節 質問項目 Harter(1980,1981)の原尺度は,動機づけに直接関係している challenge,cvriosity,masteryの3っの下位尺度と,認知的評価に. 関係しているjudgcmcnt,critcriaの2っの下位尺度,合計30項目 (各下位尺度6項目)から構成され,回答方法は4段階評定となっ ている。ffarter(1980,198i)の原尺度をもとに,桜井(1985)が 新しく開発した「内発二一外発的動機づけ測定尺度」は,挑戦(ch− allenge),知的好奇心(curiosity),達成(mastcry),認知された因 果律の所在(pcrccivcd locus,以下因果律),内生的一外生的帰属( endogenous−cxogenous attribution,以下帰属),楽しさ(enjoyment. )の6つの下位尺度,合計30項目(各下位尺度5項目)から構成 されており,学習全般の内発的外発的動機づけの測定を行っている。 だが,本研究では, 「内発的一外回的動機づけ測定尺度」 (以下内. 一28一.

(35) 発的外発的動機づけ)を数学の学習場而(教室・家庭などにおける). に限定した質問項目とする。また,桜井(1985)ば,適用範囲を回. 答形式の単純化で小2∼中1としているが,本研究では,回答形式 をIlarterに準拠し,中学1年,中学3年を被験者とした。回答方法. は,内発的動機づけの高いものから4,3,2,1点とする4段階 評定とした。. 第3節 因子分析の結巣と考察 各項目の平均と標準偏差において,. 調査紙の質問番号30の質問. イ.難しい問題がとけると,とてもうれしくなります。 ロ.難しい問題がとけても,うれしいとは思いません。. が,平均で3.5 (他の質問項目の平均はL8一・2.5である。)と高かっ. たが,標準偏差は他の項目とほぼ同じだったので,全項目を因子分 析(主因子分析を行い,固有値によって因子数を推定し,Varimax 回転を行う)にかけた。結果は表4−1に示している。. 桜井(1985)は全ての学習場面の測定を行っているが,本研究で は,数学の学習場面に限定しているため,桜井の結果と同様の因子. 構造を示すかどうかを検討した。因子分析は,中学1年生と3年生 のデータをひとまとめにして行った。その結果,桜井(1985)と同 様に6因子が妥当と思われた。 (6因子で全体の寄与率は,56.7% であった。). 一29一.

(36) 30項目の質問について,因子負荷量0.3000以上の項目を拾いあげ. ると,項目番号19(原尺度16)はどの因子にも高い負荷量を示さな. 表4−1内発的外発的動機づけの因子分析 項目. 因子. 番号. 番号. 13 10 4. 達 1. 20 18 27 25 2. 因子. 12. 項目. 因子. 負荷量. 番号. 番号. 0.8621. 7. 0.81Q7. 5. 0.7673. !7. 0.6974. 4. 楽. 0.6814. し. 0.5268. さ. 0.4598. 知. 0.6254. 因. 0.7085. 3. 的. 0.5750. 果. 0.6867. 好. 0.43H. 律. 0.5477. 奇. 0.4051. 心. 0.3182. 0.7644. 6. 負荷量. 9. 21 3. 子. 0.8190. 0.3512. 16 11. 因. 0.3806. 0.4072. 8. 1. 因子. 26 30. 成. 2. 因 子. 挑. 0.7128. 戦. 0.6878 0.5957 0.3676. 項目番号は調査砥の質周番号である。. 因子負荷量は0.3000以上を一scした。. 一30一. 23 24 28 15 14 22 29. 0.3369. 5. 0.7103. 6. 帰. 0.6745. 属. 0.6018 0.3120.

(37) かったが,他はいずれかの因子に,0.3000以上の因子負荷量を示し た。. この結果より,5項目を達成,5項目を因果律,5項目を挑戦, 5項目を楽しさ,5項目を知的好奇心,4項目を帰属を測定する尺 度として使用することとする。. 6っの因子は次のような因子である。 ①第1因子(達成) 他人に頼らずに問題に取り組む傾向を,測定しようとするも の。. ②第2因子(因果律) ある行動をしょうとする意図が,個人によってひき起こされ ていると認知すれば内的要因性であり,環境によってひき起 こされていると認知すれば外的要因性である。内的要因性が 内発的動機づけであり,この内的要因性を測定しようとする もの。. ③第3因子(挑戦) 困難な問題に意欲的に挑戦する傾向を,測定しようとするも の。. ④第4因子(楽しさ) その行動をすることが楽しいかどうかを,測定しようとする もの。. ⑤第5因子(知的好奇心) 興味や好奇心により,さまざまな問題に接近する傾向を測定. 一31一.

(38) しょうとするもの。. ⑥第6因子(帰属) ある行動をするとき,その行動をすること自体に目的がある. と認知していれば内生的帰属であり,その行動をすることが 手段,あるいは他の目的があると認知していれば外生的帰属 である。内生的帰属によって動機づけられている場合が,内 発的動機づけであり,これを測定しようとするもの。 因子分析の結果,桜井(1985)とほぼ同じ結果になったということ. は,同様の質問内容でありながら,一般的な学習に関することを問 うた場合と,数学に限定した学習について問うた場合の因子構造が いっしょになるということである。これは,調査紙の質問内容が,. 学業全般を問うものでありながら,学業全般から数学学習に変更し て問うことが可能な内容だからである。塩見・大沢(1987)も「中 学生の自己意識の構造についての研究」のなかで, 「・…. 一般. 的な学業に関することと数学の尺度がいっしょになることである。・ ・・…. @ ともに同じようなことを質問でたずねているからである。. 」と述べている。 (本研究とは異なる調査紙であるが。). 第4節 内発的外発的動機づけ測定の結果と考察 次は内発的外発的動機づけ尺度全項目において,学年差・性差が あるかどうかを検討する。. 内発的外発的動機づけ尺度の合計得点について,学年別,さらに. 男女別に平均とSD(不偏標準偏差)を示したのが表4−2である。. 一32一.

(39) また,内発的外発的動機づけ尺度の合計得点の平均の推移を表して いるのが図4−1である。. 表4−2内発的一外発的動機づけ得点の平均とSD 男. 女. 子. SD. 平 均. 子. 全. SD. 平 均. 体. SD. 平 均. 巾1 76.6228. 13.0360. 78.3131. 11.6125. 77.4085. 12.3947. 中3 67.0758. 12.9548. 70.4194. 五1.2278. 68.88!5. 12.1465. va. pa.・3i ........ 77.41・.. ”一・一. 暴. 76 75 74. 76.62. 蘇 71 ・・. 7e.42・. け. 69 ss. 68.88.. 67一. 67.. i年. 3年 一男子一・女子…全体. 図4−1内発的外発的動機づけ得点の平均の推移. 一33一.

(40) さらに,内発的外発的動機づけ尺度の合計得点をもとに,学年( 2)×性(2)の2要因分散分析を行った。表4−2−1である。. 表4−2一ユ内発的外発的動機づけ得点の分散分析表. SUU OF MEAN 変動因. DF SQUARES SQUARES F VALUE PR>F. 条件間. 3 9837.8440 3279.2813 22.03 O.OOOI. 誤 差. 496 73817.0580 148.8247. P値はO.0001で条件間の差は有意であった。次に主効果,交互作 用の検定結果を表4−2−2に示している。. 表4−2−2主効果,交互作用の結果. SOURCE 学 年 性. 学年×性. DF SS MS. F. PR>F. 1 8889.4651 8889.4651. 59.73. O.OOOI. 1 865.3003 865.3003. 5. 81. O. 0163. 1 83.0786 83.0786. 0. 56. 0.4553. 学年差,性差において有意差(F・59.73,P〈.OO1;F竺5.8ユ,P〈.05). 一34一.

(41) が認められたが,交互作用は認められなかった。下位検定において,. 学年間に5%水準で平均値の差に有意差がみられたが,男女間には 平均値の差に有意差はみられなかった。. 次に,1年男子,1年女子,3年男子r3年女子におけるグルー プによる分散分析を行った。有意差(F=22.03,pく.001)が認められ. たので,Scheffcによる多重比較を行った。その結果,5%水準で. 1年の女子と3年の女子に,1年の女子と3年の男子に,1年の男 子と3年の男子に,!年の男子と3年の女子に有意差が確認された。 その結果を表4−2−3に示している。. 表4−2−3内発的外発的動機づけ得点のグループの有意差. 1年男子. 1年男子. 1年女子 3年男子. ns *. 1年女子. ns. 3年男子. *. *. ・3年女子. *. *. 3年女子 *. *. *. ns ns. * pく.05. 内発的動機づけは,学年が進むにつれて低下している。これは,. 自らの内発的な動機で学習に取り組むことが少なくなっていくから だと思われる。高校受験などが原因として考えられる。興味のある. 一35一.

(42) 課題などをゆっくり考える余裕はなく,あらゆる分野の問題を早く. 正確に解答していかなければならない。理解することより,課題を. 解くこと,正解にすることが要求されている。男子も女子も,1年 から3年になると内発的動機づけは減少している。男女ともに,自 らの内発的な学習ではなく,環境による外回的な学習・やらされて いる学習へと変わっていくように感じられる。桜井(1985)の結果 でも,加齢とともに減少する傾向が見られる。. 質問項目30(原尺度18)が,他の質問と比べ,平均が3.5t(1年 平均3.55,3年平均3.48)と特に高かったことについて考えてみた. い。過去に,難しい問題ができたときの気持ちのよさ,楽しさ,達 成感を経験したことがあり,そのときの感情には,自分自身の有能 感を感じさせるものがあったからではないだろうか。また,ふだん 1ea 16②. lea lca. ユ33. 12e 会. 109. lee 68. 紛. 四. 4. 8. 6. 4 1年. 図4−2質問項目30の度数. 一36一. (点). 3年.

(43) はあまり問題の解答が出せない生徒も,問題を解きたい,わかるよ うになりたいと思っているのではないだろうか。図4−2に質問項目 30のそれぞれの度数を示している。. 質問項目30の質問について,学年,男女に平均の差があるかどう. かみるために,t検定を行ったが学年差,男女差ともに有意差は認 められなかった。. 第5節 下位尺度における結果と考察 達成,因果律,挑戦,楽しさ,好奇心,帰属の各因子について,. 学年(2)×性(2)の2要因分散分析を行ったところ,それぞれ 条件問の差は有意であったので,主効果,交互作用の検定を行うと, 達成,帰属では学年差において有意差(F=16.23,p〈.001:F=19.54,p. ぐOOI)が認められたが,性差,交互作用は認あられなかった。因 果Clt,挑戦,楽しさ,知的好奇心では学年差,性差において有意差 (F=16.48,p<.001;F=16.63,p<.001:F−38。65,pく.001;F=4.50,pく.05: F=48.22, p〈. OO1;F=3. 9, 1, p〈. 05:F==47. 74, p〈.OOI;F=24.55, p〈. OO 1. ). が認められたが,交互作用は認められなかった。各因子得点の平均. とSD(不偏標準偏差)を表4−3∼表4−8に,各因子得点の平均の 推移を図4−3∼図4−8に示している。. 一37一.

(44) 1.達成. 表4−3達成因子得点の平均とSD 男. 子. 女. SD. 平 均. 子. 全. SD. 平 均. 体. SD. 平 均. 中1. 13.8246. 3.2267. 13.6263. 3.2406. 13.7324. 3.2271. 中3. 12.3106. 3.6906. 12.6968. 3.1300. 12.5192. 3.3987. 達成因子得点で学年に主効果がみられたので,平均の差の検定を. 行うと,学年間に有意差(5%水準)が認められたが,男女間には 認められなかった。. 14. 第. 13,8. 11:紗. 13,6. 13’63蟻澱r一. 13,4 ;1;1:3’:・一. 因. 13,2. テ. 13. 謡. 12.8. ’・・. 12,6. D. ”. P2,7. 12. 52. 12,4. 12,31. 12,2. 12. 3年. 1年 一男子…・・女子…全体. 図4−3達成因子得点の平均の推移. 1年の男女,. 3年の男女の4つのグループにわけて,. 一38一. 分散分析を.

(45) 行ったところ,有意差(F(3,496)=5.79,pく0.001)が認められたの. で多重比較(Schcffc法)を行うと,5%水準で1年男子と3年男 子に,1年女子と3年男子に有意差がみられた。結果を表4−3−1に 示している。3年の男子の落ちこみが大きいようである。これは, 学年が進むにつれ,数学の学習内容も徐々に複雑になり,かなりの 努力を必要とするようになるが,その努力が報われることも少なく なり, 「できた。」とか「やった。」という体験が減少してくるか. らだと思われる。女子の方は,真面目にこつこつと課題に取り組む 傾向があるが,男子の方は,わからなければ簡単にあきらめてしま うように感じる。 (しかし数学を楽しむことのできる男子は,あき らめずに,さまざまな方略を行っている。)もう1っの理由として,. 達成内容が変化することがあげられる。つまり,学年が高くなるに つれ評価が粛要視され,競争專態が多くなり,学習の過程よりも結. 表4−3−1達成因子得点のグループの有意差. 1年男子 1年女子 1年男子. ’ns. 1年女子. ns. 3年男子. *. *. 3年女子. ns. ns. *. Pぐ05. 一39一. 3年男子. 3年女子. *. ns. *. ns ns ns.

(46) 果の評価に重点がおかれるようになっていくことである。. 2.因果律の所在. 表4−4因果律因子得点の平均とSD 男. 女. 子. 平 均. SD. 全. 子. SD. 平 均. 体. SD. 平 均. 中1. 13.1842. 2.9285. 13.8384. 2.9819. 13.4883. 2.9646. 中3. 11.5758. 3.i818. 13.0387. 3.0872. 12.3659. 3.2098. 2要因分散分析の結果,条件間の差は有意であった。学年・性に 主効果がみられたので,平均の差の検定を行うと,学年間,男女間 に有意差(5%水準)が認められた。 15. 箋. 13.en. i4. 13,49... H一”’””. 學. t一一一一一一一一一一. 13. 13,18. 一1一一一一一一S−t一一一4一一一一. ... ’””””’”””一’“”””’””’””一・s!・3: ee. 一一一一一一s一一一d. 暮. ”12,37 12 11.58 11. 3年. ↓年. 一男子一・女子…全体 図4−4因果律因子得点の平均の推移. 一40一.

(47) 学年が進むにつれ,数学を学習するということが,自分自身のた めのわかる楽しさではなく,つまり,内的な原因ではなく,よい点 をとらなければならないなどの外的な原因によってなされている,. あるいは,させられている,と意識するようになるからだと思われ る。女子の方が目の前にある課題とか,与えられた課題に抵抗なく 取り組める傾向があるように感じる。. さらに,4つのグループ(1年男女,3年男女)による分散分析 を行ったところ,有意差(F(3,496)一11.75,1〕〈0.001)がみられたの. で,多重比較(Scheffe法)を行うと,表4−4−1の結果となった。. 表4−4−1因果郁因子得点のグループの有意差. 工年男子. 1年男子. 1年女子 3年男子. ns ns. ns *. 1年女子. ns. 3年男子. *. *. 3年女子. ns. ns. 3年女子. *. * *. * p〈. 05. 特に3年の男子にとって,精神的な発達の影響もあり,環境など外 部の影響で「やらされている」と受け止めてしまうことが多いのか も知れない。. 一41一.

(48) deCharms(1984)は, 「…. 生徒に起動者(origin)としての. 体験をもたらす学習は,被動者(pawn)の感じを抱かせる学習より も,はるかに内発的モティベーションを高める。」と述べている。. 3.挑戦 表4−5挑戦因子得点の平均とSD 男. 女. 子. SD. 平 均. 平 均. 全. 子. SD. 平 均. 体. SD. 中1. 12.8333. 3.7320. 1!.9394. 3」031. 12.4178. 3.4749. 中3. 10.7727. 3.5244. 10.3226. 3.0683. 10.5296. 3.2878. 分散分析の結果,学年・性に主効果がみられ,平均の差の検定を. 行うと,学年間,男女間に有意差(5%水準)が認められた。内発 的一外発的動機づけと各因子の平均の中で,挑戦因子の平均得点だ けが男子の方が女子より高かった。一般的に,男子の方が活動的で 冒険や探険を好むと考えられているが,数学の学習や課題に対して も,その傾向が現われているのだろうか。女子に比べ,少々困難な 課題であっても,やってみようとする積極性があるように思われる。. しかし,1年から3年になるに従い,挑戦因子は低下している。複 雑な課題を解くことに慎重になったり,この問題はできないと早々 とあきらあてしまうことも原因であろう。高い得点を得ることを目 的とする学習指導が,生徒たちの内発的な動機づけ,興味,関心を 徐々におしつぶしていくためだとも考えられる。. 一42一.

(49) 14. 12.83. 13 麺. 歯. 11器. 12. テ 縫. 11. 救三一. 1e. le,sa. 9. 1年. 3年 一男子・一女子…全体. 図4−5挑戦因子得点の平均の推移. 次に,4つのグループ(1年男女,3年男女)による分散分析を. 表4−5−1挑戦因子得点のグループの有意差. 1年男子. 1年女子. ns. 1年男子 1年女子. ns. 3年男子. *. ns. 3年女子. *. *. * p〈. 05. 一43一. 3年男子. 3年女子. *. *. ns. *. ns. ns.

(50) 行ったところ,有意差(F(3,496)=14.56,p〈0.00Dがみられたので,. 下位検定(Schcffc法)を行った。表4−5−iの結果になった。. まだ小学生のような雰囲気を残し,中学生の生活に慣れていない 1年の男子がもっとも挑戦的であり,さまざまな問題に積極的に,. 一面遊び感覚で取り組んでいるように思われる。3年になると,今 までの数学学習の経験から,わかる問題,考えても無駄な問題とす ばやく判断してしまい,それ以上問題との関わりをもたなくなる。. Harter(1980)のデータの結果でも加齢に伴い,減少傾向をしめし ている。桜井(1985)の結果では,減少傾向を示す場合と示さない 場合がある。. 4,楽しさ. 表4−6楽しさ因子得点の平均とSD 男. 平 均. 子. 女. SD. 平 均. 全. 子. SD. 平. 体. 均. SD. 中1. 14.5526. 2.7750. 15.0808. 2.7131. 14.7981. 2.7526. 中3. 12.8485. 2.6254. 13.2968. 2.7591. 13.0906. 2.7030. 分散分析の結果,学年,性で主効果がみられたので,平均の差の 検定を行うと,学年間に有意差(’5%水準)が認められたが,男女 闇には認あられなかった。. 一4 4一.

(51) i6 15, os. 酋. 15 14.8 ... 14. 55. 馨. 14. ンンごr漫3 さ. }1駕. 13. 12. i年.. 3年. 一男子一・女子…全体 図4−6楽しさ因子得点の平均の推移. 4っのグループ(1年男女,3年男女)における分散分析の結果. 表4−6−1楽しさ因子得点のグループの有意差. 1年男子. ’1年女子 tis. 1年男子 1年女子. ns. 3年男子. *. *. 3年女子. *. *. * p〈. 05. 一45一. 3年男子. 3年女子. *. *. *. *. ns ns.

(52) 有意差(F(3,496)・17.39,Pく.OO1)がみられたので,下位検定(. Scheffc法)を行うと,表4−6−1の結果になった。. 1年の最初には楽しんで数学を学習していた生徒が,3年になる と楽しいという気持ちが減少している。2年の学習内容が数学嫌い を増やす,といわれることに関係しているのであろうか。小学校に 比べ問題に抽象性が高くなる中学1年の内容であるが,まだまだ, 理解しやすく,考え方も複雑なものは少ない。論理的思考を要求さ れる内容が現われるのが2年である。それまでの考え方とは大きく 異なっており,わかる喜び,できる喜びの体験が減少する。 「わか ること」 「できること」が楽しさにとって大切だと思われる。. 5.知的好奇心 表4−7知的好奇心因子得点の平均とSD 男. 平 均. 子. 女. SD. 全. 子. 平 均. SD. 体. 平 均. SD. 中1. i3.7807. 2.9741. 14.8586. 2.5315. 14.2817. 2.8227. 中3. 11.7424. 3.1371. 13.1484. 2.6818. 12.5017. 2.9788. 身散分析の結果,学年,性に主効果がみられたので,平均の差の 検定を行うと,学年間,男女問に有意差(5%水準)が認められた。. 図4−7に知的好奇心因子得点の平均の推移を示している。. 一46一.

(53) 16. 輩. 14,86. 15. i4,2B.. 一一一. 14. 13, 7B. 馨. 一一s.一”....... ’’’’’’’’’”s. ””””””””””一・!3.:15. 13. ’12,5 i2. 11,74 11. 3年. 1年 一男子一・女子 一一・全体. 図4−7知的好奇心因子得点の平均の推移. 知的好奇心には, 「拡散的好奇心」と「特殊的好奇心」がある(. 波多野・稲垣,1973)。ここでの知的好奇心は拡散的好奇心の方を 測定しており,特殊的好奇心は,挑戦因子に含まれている(桜井,. i985)。拡散的好奇心は,われわれの興味をひろげ,知識をバラン スのとれたものにするのに役立つ。はっきりした方向性はないが,. それがむけられる領域には,ある程度の「好み」がある。特殊的好 奇心は,われわれの知識を深め,より首尾一一一 esしたものにしていく. うえで,非常に重要である(波多野・稲垣,1973)。このような拡. 散的好奇心を測定しており,男女では女子の方が,学年では1年の 方が平均得点が高い。. 一.4 7一.

(54) 4つのグループ(1年男女,3年男女)による分散分析を行った ところ有意差(F(3,496)・24.23.Pく.001)がみられたので,多重比. 較(Schcffe法)を行った。その結果を表4−7−1に示している。. 表4−7−1知的好二心因子得点のグループの有意差. 1年男子 1年男子. 1年女子 3年男子. ns. ns *. 1年女子. ns. 3年男子. *. *. 3年女子. ns. *. 3年女子. *. *. * *. * p〈. 05. 知的好奇心は,1年の女子が高く,3年の男子が低い結果となっ た。女子の方が一般的にt幅広く多くのことに目を向けるというこ とであろうか。加齢に伴い,好奇心は減少していく傾向にある。桜 井(1990)は, 「…. 。知的好奇心下位尺度,すなわち拡散的好. 奇心は年少の頃から女性に優位に発達し,他方,挑戦下位尺度,す なわち特殊的好奇心を含んだところの挑戦傾向は,年長になった段 階で男性に優位に発達するものと考えられる。・・…. ,女性に. は早期の社会化により拡散的好奇心という情報収集活動を主体とす る好奇心が,男性には,長期の社会化により特殊的好奇心という1. −48一.

(55) つの問題を深く掘り下げていく好奇心が,. かなり特殊的に発達する. ものと推論される。」と述べている。. 6.帰属 表4−8帰属因子得点の平均とSD 男. 女. 子. 平 均. SD. 子. 全. SD. 平 均. 体. SD. 平 均. 中1. 8.4474. 2.ユ985. 8.9697. 2.1592. 8.6901. 2コ908. 中$. 7.8258. 2.0546. 7.9161. 1.8161. 7.8746. 1.9265. 2要因分散分析の結果主効果がみられたので,平均の差の検定を. 行うと,学年間に有意差(5%水準)が認められたがt男女間には 9,2 8. 97. 9 8,8. 笙. Q. 8. 69 .. 8,6 8.4. 8, 45. 子 8.2. 邊. 零・・:り:….,ク.91. 8. ;7,er 7. es. 7.8 7.6 7.4. 3年. 1年 一男子…”女子…全体. 図4−8帰属因子得点の平均の推移. 一49一.

(56) 認められなかったd. 4つのグループ(1年男女,3年男女)よる分散分析を行ったと ころ,有意差(F(3,496)=7.72,P〈.QODがみられたので,多重比較. (Scheffc法)を行った。その結果を表4−8−1に示している。. 表4−8一ユ帰属因子得点のグループの有意差. 1年男子 1年女子. ns ns. ns. !年男子. 3年男子 3年女子. 1年女子. ns. 3年男子. ns. *. 3年女子. ns. *. *. *. ns ns. * p〈. 05. 1年の女子と3年の男子,3年の女子に有意差(5%水準)がみ られた。予想に反して,3年の平均得点が1年の平均得点より,低 かった。桜井(1985)の結果では,加齢に伴い得点は高くなってい るが,性差は認あられなかった。今行っている学習は,学習するこ と自体が目的ではなく,例えば,受験に合格するための方法である と捉えているからであろう。. 一50一.

(57) 第6節 内発的外発的動機づけと性格特性. 1.結果 内発的外回的動機づけと性格特性との相関関係を表4−9−1∼表4− 9−3に示している。 (性格特性は第3章の6節を参照). 表4−9−1動機づけと性格特性の相関表(全体). 自 閉. 達成. 因騨. 挑戦. 楽しさ. 好奇心. 帰属. 一〇.0992. 一〇.1280. 一〇.0962. 一〇.2866. 一〇.1242. 一〇.0220. @ *零*. @ *. @ S 耀遇敏. @ *. 一〇.0806. @ N 肥不全. 一〇.1236. 0.0120 一〇.0477 一〇.0135 一〇.0470. @ ‡. 一〇.1125. @ u. 一〇.1370. 一〇.0720. 一〇.1193. 一〇.0751. 一〇.0517. 0.1129. @ *. 蛛 薪. 0.2469. 0.2018. 0.2186. 0.1583. 0.2074. @ 1. @***. @*零. @***. @*. @*零*. 同 調. 0.0699. 0.0809. 0.1408. 0.1288. 0.ユ290. @*. @*. @*. @ C. 記嚇. 一〇。0434. @ lI. 粘 着. 一〇.2229. 一〇.0220. 一〇.1514. 一〇.02ユ4. @ E. 一〇.1237 @ *. *** p〈.OOI,. 一〇.1155. 一〇.1147. 一〇.0287. 一〇.069]. @ **. @ ***. 一〇.0469. 一〇.1749. 0.0625. ** p〈. Ol, * p〈. 05. −51一.

(58) 表4−9−2動機づけと性格特性の相関表(男子). 自 閉. 遷域. 因果率. 箆軽. 楽しさ. 好奇心. 経属. 一〇.0967. 一〇.1143. 一〇.0199. 一〇.1764. 一〇.0791. 一〇.1036. 一〇.0487. 一〇.1203. 一〇.1609. 一〇.・1608. 一〇.1744. @ ‡. @ ‡. @ ‡‡. @ S. @ 材. 祐経西日. 一〇.1214. 一〇.0341. 一〇.0304. @ N. 一〇.1566 @ ‡. 目己不全. 一〇.1172. @ u. 一〇.1858. 一〇.O176. @ ‡‡. 駄 着. 0.2793. 0.2407. 0.1375. 0.1948. 0.2022. @ 1. @‡‡‡. @‡‡‡. @‡. @‡‡. @‡*. 司 調. 0.1292. 0.0734. 0.2261. 0.2261. 0.1995. 0.1359. @C. @‡. @‡‡‡. @‡‡. @‡. 躯顕示. 一〇.亙427. 一〇.1436. @ H. @ ‡. @ ‡. 着. 0.0291. 一〇.0327. 一〇.0968. 一〇.1570. 一〇.0540. 0.0910. 一〇.018、】. @ *. 0.0669 一〇.0491. 0.0238. 0.0545. d ‡*‡ p〈.001, ‡i pく.01, ‡ p〈.05. 男子では,執着丁丁と達成,因果律,挑戦,楽しさ,好奇心に,. 同調性格と達成,楽しさ,好奇心,帰属に弱い相関が,自己不全性 格と因果律,楽しさ,好奇心,帰属に,自己顕示性格と達成,因果 律,楽しさに弱い負の相関がみられる。楽しさに多くの性格特性が 関わっているようである。. 一5 2一.

(59) 表4−9−3動機づけと性格特性の相関表(女子). 臼 閉. 達成. 因果率. 挑戦. 楽しさ. 1碕心. 帰属. 一〇.0992. 一〇。1280. 一〇.0962. 一〇.2866. 一〇。玉242. 一〇.0220. @ *零*. @ *. @ S. @ ‡. 神経過敏. 一〇.0806. @ N. 一〇.1236. 0.0120 一〇。0477 一〇.0135 一〇.0470. @ ‡. 記不全. 一〇.1125. @ u. 一〇.1370. 一〇.0720. 一〇.1193. 一〇.075】. 一〇.05】7. 0.1129. @ *. 執 薪. 0.2469. 0.2018. 0.2186. 0.1583. 0.2074. @ 1. @ネ‡*. @*‡. @***. @*. @*零*. 同 調. 0.0699. 0.0809. 0.1408. 0.1288. 0.1290. @零. @*. @*. @ C 配顕示. 一〇.0434. @ ll. 一〇.2229. 一〇.0220. @ *ネ零. 驚. 一〇.0469. 一〇.1514. 一〇.1749. 0.0625. 一〇.1155. 一〇.1147. 一〇.0287. 一〇.0691. @ ‡‡. 一〇.0214. d. 一〇.1237 @ *. **零 p〈.001i ** p〈.01, * pく.05. 女子では,執着性格と達成,因果律,挑戦,楽しさ,好奇心に, 同調性格と挑戦,楽しさ,好奇心に弱い相関が,自閉性格と因果律,. 楽しさ,好奇心に,自己顕示性格と因果律,楽しさに弱い負の相関 がみられる。因果律と楽しさに多くの性格特性が関わっているよう である。帰属と性格特性との相関は認められなかった。』. 一53一.

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