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計算機システムの安定的な稼働に関するソフトウェアの研究

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Academic year: 2021

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全文

(1)

計算機システムの安定的な稼働に関する

ソフト ウェアの研究

提出先

大阪大学大学院 情報科学研究科

提出年月

2016

1

植 田  良 一

(2)

業 績リ スト

関 連 発 表 論 文

論 文 [1-1] 植 田 良 一, 角 井 健 太 郎, 爲 岡 啓, 松 下 誠, 井 上 克 郎, “Web サ ー ビ ス シ ス テ ム の 応 答 性 能 劣 化 診 断 の た め の 学 習 デ ー タ 自 動 選 定 方 法”, 電 子 情 報 通 信 学 会 和 文 論 文 誌 D(採 録 決 定), 2015. [1-2] 植 田 良 一, 練 林, 井 上 克 郎, 鳥 居 宏 次, “再 帰 を 含 むプ ロ グ ラ ム の ス ラ イ ス 計 算 法”, 電 子 情 報 通 信 学 会 論 文 誌 D-I, Vol.J78-D-I, No.1, pp.11-22, 1995.

国 際 会 議

[1-3] Ryoichi Ueda, M. Hiltunen, R. Schlichting, “Applying Grid Technology to Web Application Systems”, Fifth IEEE International Symposium on Cluster Computing and the Grid (CCGrid’05) - Volume 1, pp.550-557, Cardiff, UK, 2005.

研 究 会 発 表 等 [1-4] 爲 岡 啓, 植 田 良 一, 松 下 誠, 井 上 克 郎, “ベ イ ジ ア ン ネット ワ ー ク と ク ラ ス タ リ ン グ 手 法 を 用 い た シ ス テ ム 障 害 検 知 シ ス テ ム の 有 効 性 検 証”, 情 報 処 理 学 会 研 究 報 告, Vol.2015-SE-188, No.4, pp.1-8, 2015. [1-5] 佐 藤 慎 一, 植 田 良 一, 井 上 克 郎, “再 帰 や ポ イ ン タ を 含 むプ ロ グ ラ ム の 効 率 的 な 依 存 関 係 解 析 法 の 提 案”, 電 子 情 報 通 信 学 会 ソ フ ト ウェア サ イ エ ン ス 研 究 会 報 告 SS95-37 p.9-16, 1996. [1-6] 植 田 良 一, 練 林, 井 上 克 郎, 鳥 居 宏 次, “再 帰 を 含 むプ ロ グ ラ ム の 依 存 関 係 解 析 と そ れ に 基 づ くプ ロ グ ラ ム ス ラ イシ ン グ”, 電 子 通 信 学 会 ソ フ ト ウェア サ イ エ ン ス 研 究 会 報 告 SS94-5 p.33-40, 1993.

そ の 他 の 論 文

論 文 [2-1] 柳 井 孝 介, 植 田 良 一, 佐 川 暢 俊, “大 規 模 分 析 の た め の 木 構 造 デ ー タ 処 理 プ ラッ ト フォー ム”, 人 工 知 能 学 会 論 文 誌, Vol.26, No.5, pp.594-606, 2011. [2-2] 田 中 哲 雄, 植 田 良 一, 相 薗 敏 子, 牛 嶋 一 智, 内 藤 一 郎, 薦 田 憲 久, “情 報 の メ タ デ ー タ に 着 目 し た 情 報 ラ イ フ サ イ ク ル 管 理 向 け ポ リ シ ー 記 述 方 式”, 電 気 学 会 誌 C 部 門 論 文 誌, Vol.126, No.4, pp.498-505, 2006.

(3)

研 究 会 発 表 等

[2-3] 植 田 良 一, 佐 藤 嘉 則, 森 正 勝, 中 村 浩 三, 佐 川 暢 俊, “社 会 イ ン フ ラ の 革 新 に 貢 献 す る 知 識 化 サ ー ビ ス 基 盤 KaaS”, 日 立 評 論, Vol.92(5), pp.36-39, 2010.

(4)

内 容 梗 概

ス マ ー ト フォン 等 の 普 及 を 背 景 に ,日 常 生 活 の 多 く の 場 面 で オ ン ラ イン サ ー ビ ス を 利 用 す る よ う に なった 現 在 ,そ の サ ー ビ ス を 支 え る 計 算 機 シ ス テ ム の 安 定 稼 働 の 重 要 性 が 増 し て い る . 本 論 文 で は ,オ ン ラ イン サ ー ビ ス シ ス テ ム の 安 定 的 な 稼 働 に 資 す る 以 下 の 3 つ の 手 法 を 提 案 す る . (1) Webサ ー ビ ス シ ス テ ム の 応 答 性 能 劣 化 診 断 の た め の 学 習 デ ー タ 自 動 選 定 方 法 [1-1] 計 算 機 シ ス テ ム の CPU / メ モ リ 等 の メト リ ク ス 値 を 元 に ,シ ス テ ム の 状 態 ,特 に 応 答 性 能 異 常 を 検 知 す る た め に ,機 械 学 習 を 応 用 し た 手 法 が 提 案 さ れ て い る が , 学 習 に 使 う デ ー タ の 選 定 を 人 手 で 注 意 深 く 行 う 必 要 が あ る と い う 問 題 が あ る . そ こ で 本 研 究 で は ,選 別 労 力 を か け ず に 選 ん だ 初 期 学 習 デ ー タ か ら 開 始 し ,観 測 デ ー タ の 中 か ら 自 動 的 に 学 習 デ ー タ に 追 加 す べ き デ ー タ を 選 別 す る 方 法 を 提 案 す る .本 方 法 を 採 用 し た 場 合 と ,選 別 な し に 全 デ ー タ を 学 習 し た 場 合 と で 同 等 の 診 断 結 果 が 得 ら れ る 事 を 確 認 し た . (2) 計 算 機 シ ス テ ム の 処 理 性 能 を 拡 大 す る Grid 技 術 の ,オ ン ラ イ ン Web サ ー ビ ス シ ス テ ム へ の 適 用 方 法 [1-3] 本 研 究 で は ,Web サ ー ビ ス シ ス テ ム に Grid コ ン ピュー ティン グ 技 術 を 適 用 す る 際 の 2つ の 課 題 解 決 に 取 り 組 ん だ .ひ と つ は Web ア プ リ ケ ー ション の Grid 基 盤 上 へ の 移 行 方 法 ,も う ひ と つ は Grid 基 盤 へ の 移 行 が も た ら す 効 果 の 判 定 で あ る .こ れ ら の 検 証 の た め ,Grid 技 術 の 動 的 リ ソ ー ス 割 当 機 能 を 活 用 す る ス ケ ー ラ ブ ル ア ー キ テ ク チャを 設 計 ,J2EE イ ン タ ー ネット バ ン キ ン グ ア プ リ ケ ー ション を Grid 化 し ,元 の バ ー ジョン と の 性 能 比 較 を 行った . そ の 結 果 ,Grid 技 術 が ,シ ス テ ム 全 体 の 管 理 性 を 向 上 す る た め の ひ と つ の 方 法 と し て 有 効 で あ る こ と が 分 かった . (3) プ ロ グ ラ ム の バ グ を 発 見 す る た め に 役 立 つ ,プ ロ グ ラ ム ス ラ イ ス の 計 算 方 法 [1-2] 本 研 究 で は, 再 帰 を 含 むプ ロ グ ラ ム の 依 存 関 係 の 静 的 解 析 と, そ の 結 果 に 基 づ い て ス ラ イ ス を 求 め る た め の ア ル ゴ リ ズ ム を 提 案 す る. 手 続 き の 境 界 を 越 え て 解 析 を 行 う た め に ,独 自 の 改 良 を 施 し た プ ロ グ ラ ム 依 存 グ ラ フ を 定 義 し ,計 算 結 果 が 収 束 す る ま で 解 析 を 繰 り 返 す 方 法 を 採 用 し た . 本 ア ル ゴ リ ズ ム に 従って ス ラ イ ス を 計 算 / 表 示 す る 試 作 シ ス テ ム を 作 成し, 本 ア ル ゴ リ ズ ム が 正 し く 動 作 す る 事 を 確 認 し た.

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オ ン ラ イン サ ー ビ ス シ ス テ ム の 安 定 稼 働 を 達 成 す る た め に ,研 究 成 果 (1) は ,シ ス テ ム レ ベ ル の マ ク ロ な 視 点 か ら ,シ ス テ ム の 応 答 性 能 劣 化 の 原 因 が リ ク エ ス ト 過 多 で あ る か ,そ れ と も ,シ ス テ ム の 障 害 で あ る か を 判 定 す る 際 に 役 立 つ . 応 答 性 能 劣 化 の 原 因 が リ ク エ ス ト 過 多 に あ る 場 合 ,研 究 成 果 (2) の Grid 化 技 術 を 適 用 し て ,オ ン ラ イ ン サ ー ビ ス シ ス テ ム の 処 理 能 力 を 拡 大 す る こ と で こ れ に 対 処 す る 事 が で き る . ま た ,応 答 性 能 劣 化 の 原 因 が シ ス テ ム の 障 害 で あった 場 合 ,今 度 は ミ ク ロ の 視 点 で 研 究 成 果 (3) の ス ラ イ ス 計 算 方 法 を 活 用し て ,シ ス テ ム 障 害 原 因 の ひ と つ と な る プ ロ グ ラ ム 内 の バ グ 発 見 を 支 援 す る 事 が で き る と 考 え る .

(6)

謝 辞

本 研 究 の 推 進 に あ た り,常 日 頃 よ り 適 切 な ご 指 導 を 賜 わ り まし た ,大 阪 大 学 大 学 院 情 報 科 学 研 究 科 コ ン ピュー タ サ イ エ ン ス 専 攻 井 上 克 郎 教 授 に ,心 か ら 深 く 感 謝 申 し 上 げ ま す. 本 研 究 に 関 し て ,適 切 な ご 助 言 を 頂 き ま し た ,大 阪 大 学 大 学 院 情 報 科 学 研 究 科 コ ン ピュー タ サ イ エ ン ス 専 攻 萩 原 兼 一 教 授 ,楠 本 真 二 教 授 に 深 く 感 謝 申 し 上 げ ま す. 本 研 究 の 推 進 に あ た り,直 接 具 体 的 な ご 助 言 と ご 指 導 を 頂 き まし た ,大 阪 大 学 大 学 院 情 報 科 学 研 究 科 コ ン ピュー タ サ イ エ ン ス 専 攻 松 下 誠 准 教 授 に 心 よ り 御 礼 申し 上 げ ま す. 本 研 究 を 進 め る に 当 た り,ご 協 力 い た だ い た ,大 阪 大 学 大 学 院 情 報 科 学 研 究 科 爲 岡 啓 氏 ,( 株 )日 立 製 作 所 研 究 開 発 グ ル ー プ 角 井 健 太 郎 氏 に 感 謝 申 し 上 げ ま す.

(7)

目 次

第 1 章 は じ め に 11 1.1 シ ス テ ム の 安 定 的 な 稼 働 の 重 要 性 . . . . 11 1.2 シ ス テ ム の 処 理 性 能 問 題 へ の ア プ ロ ー チ . . . . 11 1.2.1 シ ス テ ム の 処 理 性 能 劣 化 の 検 知 / 原 因 診 断 技 術 . . . . 11 1.2.2 シ ス テ ム の 処 理 性 能 の 動 的 拡 大 / 縮 小 技 術 . . . . 12 1.3 プ ロ グ ラ ム の バ グ 問 題 へ の ア プ ロ ー チ . . . . 12 1.4 本 論 文 の 概 要 . . . . 13 1.5 各 章 の 構 成 . . . . 15 第 2 章 Web サ ー ビ ス シ ス テ ム の 応 答 性 能 劣 化 診 断 の た め の 学 習 デ ー タ 自 動 選 定 方 法 16 2.1 ま え が き . . . . 16 2.1.1 既 知 の 方 法 の 課 題 . . . . 17 2.1.2 提 案 手 法 の 発 想 . . . . 17 2.2 学 習 デ ー タ 自 動 選 定 方 法 . . . . 17 2.3 提 案 手 法 の 有 効 性 検 証 . . . . 18 2.3.1 評 価 方 法 . . . . 19 2.3.2 実 験 シ ス テ ム 構 成 . . . . 19 2.3.3 実 験 方 法 . . . . 21 2.3.4 実 験 結 果 . . . . 23 2.3.5 結 果 の 考 察 . . . . 26 2.4 関 連 研 究 . . . . 27 2.5 む す び . . . . 28 第 3 章 Grid 技 術 の Web サ ー ビ ス シ ス テ ム へ の 適 用 30 3.1 導 入 . . . . 30 3.2 ア プ リ ケ ー ション の Grid 化 . . . . 31 3.2.1 概 要 . . . . 31 3.2.2 Delegation対 Porting . . . . 32 3.2.3 Porting手 順 . . . . 33

(8)

3.2.4 性 能 比 較 . . . . 34 3.3 ス ケ ー ラ ブ ル ア ー キ テ ク チャ . . . . 37 3.4 結 果 と 今 後 の 課 題 . . . . 40 第 4 章 再 帰 を 含 む プ ロ グ ラ ム の ス ラ イ ス 計 算 方 法 43 4.1 ま え が き . . . . 43 4.2 プ ロ グ ラ ム 依 存 グ ラ フ と ス ラ イ ス . . . . 45 4.2.1 入 力 言 語 . . . . 45 4.2.2 制 御 依 存 と デ ー タ 依 存 . . . . 45 4.2.3 プ ロ グ ラ ム 依 存 グ ラ フ (PDG) . . . . 45 4.2.4 ス ラ イ ス . . . . 46 4.3 PDGへ の 変 換 . . . . 47 4.3.1 諸 定 義 . . . . 48 4.3.2 プ ロ グ ラ ム 全 体 の 解 析 . . . . 49 4.3.3 ひ と つ の 手 続 き の 処 理 . . . . 50 4.3.4 解 析 例 . . . . 52 4.4 ス ラ イ ス の 計 算 . . . . 54 4.5 ア ル ゴ リ ズ ム の 複 雑 さ . . . . 55 4.5.1 PDGを 作 る コ ス ト . . . . 55 4.5.2 PDG上 で ス ラ イ ス を 計 算 す る コ ス ト . . . . 57 4.5.3 解 析 全 体 に か か る コ ス ト . . . . 57 4.6 む す び . . . . 57 第 5 章 ま と め 60 5.1 こ れ ま で の 研 究 成 果 . . . . 60 5.2 今 後 の 研 究 方 針 . . . . 61

(9)

図 目 次

2.1 学 習 デ ー タ 自 動 選 定 手 順 . . . . 18 2.2 実 験 シ ス テ ム の 構 成 . . . . 20 2.3 初 期 学 習 デ ー タ の リ ク エ ス ト 量 . . . . 22 2.4 バック グ ラ ウ ン ド ト ラ フィック パ タ ー ン の 例 . . . . 23 2.5 BNお よ び CL で の 診 断 結 果 の 例 . . . . 24 2.6 Baseの 診 断 結 果 . . . . 25 2.7 L1の 診 断 結 果: 第 2 区 画 で CL(4 点) が し き い 値 を 超 え る . . . 26 2.8 L4の 診 断 結 果: CL の し き い 値 超 え な し . . . . 27 2.9 Wholeの 診 断 結 果 . . . . 28 3.1 典 型 的 な Web3 階 層 ア プ リ ケ ー ション . . . . 31 3.2 Delegationモ デ ル . . . . 32 3.3 Hibernate版 と Grid 版 . . . . 34 3.4 3つ の 版 の リ ク エ ス ト 種 別 の 平 均 応 答 時 間 . . . . 36 3.5 Grid化 Web ア プ リ ケ ー ション の ス ケ ー ラ ブ ル ア ー キ テ ク チャ . . . . 38 3.6 サ ー バ あ た り の イン ス タ ン ス 数 と 応 答 時 間 と の 関 連 . . . . 40 3.7 Gridサ ー バ 数 と 応 答 時 間 と の 関 連 . . . . 41 4.1 プ ロ グ ラ ム の 一 部 . . . . 43 4.2 試 作 シ ス テ ム の 全 体 像 . . . . 44 4.3 関 数 f に 対 す る PDG の 概 略 . . . . 46 4.4 プ ロ グ ラ ム atoi . . . . 47 4.5 atoiの 文 writeln(c) に 関 す る ス ラ イ ス . . . . 47 4.6 関 数 定 義 の 概 略 . . . . 50 4.7 ス ラ イ ス の 計 算 例 . . . . 53 4.8 プ ロ グ ラ ム progression に 対 す る CG . . . . 54 4.9 プ ロ グ ラ ム progression に 対 す る PDG . . . . 59

(10)

表 目 次

2.1 監 視 対 象 メト リ ク ス . . . . 21 2.2 実 験 結 果: 1 回 分 . . . . 23 2.3 他 の 学 習 結 果 と の 比 較 . . . . 25 2.4 初 期 学 習 デ ー タ を 変 更 し た 場 合 の 実 験 結 果 . . . . 29 2.5 診 断 デ ー タ を 変 更 し た 場 合 の 実 験 結 果 . . . . 29 3.1 RMIに 対 す る SOAP の オ ー バ ー ヘッド . . . . 36 3.2 リ ク エ ス ト 種 別 応 答 時 間 (ミ リ 秒) . . . . 39 4.1 特 殊 節 点 . . . . 46 4.2 各 文 で の 確 実 定 義 集 合 の 計 算 方 法 . . . . 51 4.3 各 文 で の 潜 在 定 義 集 合 の 計 算 方 法 . . . . 51

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1

章 はじ めに

1.1

シ ス テ ム の 安 定 的 な 稼 働 の 重 要 性

ス マ ー ト フォン を は じ め と す る 高 機 能 携 帯 端 末 の 爆 発 的 な 普 及 を 背 景 に ,SNS や ゲ ー ム 等 の 情 報 交 換 ,娯 楽 関 連 の サ ー ビ ス だ け で な く,商 品 の 売 買 ,銀 行 取 引 等 生 活 の 多 く の 活 動 を ,い つ で も ,ど こ に い て も 行 う 事 が で き る よ う に なった [1].こ れ ら 社 会 イン フ ラ の 一 部 と なった オ ン ラ イン サ ー ビ ス を 支 え る 計 算 機 シ ス テ ム は ,大 規 模 か つ 複 雑 化 す る 一 方 で ,銀 行 の ATM が 数 日 に わ たって 利 用 で き な く な る 等 [2],サ ー ビ ス 停 止 時 の 影 響 は 年々大 き く な り,そ の 長 期 的 な 安 定 稼 働 の 重 要 性 が 増 し て い る . オ ン ラ イン サ ー ビ ス シ ス テ ム の 安 定 稼 働 を 阻 害 す る 要 因 は ,(1) 処 理 性 能 を 越 え る リ ク エ ス ト,(2) プ ロ グ ラ ム の バ グ / 設 定 ミ ス ,(3) バック アップ 等 の 運 用 に よ る 負 荷 ,(4) 攻 撃 等 が 考 え ら れ る [3]. 本 論 文 で は ,こ れ ら オ ン ラ イ ン サ ー ビ ス シ ス テ ム の 安 定 稼 働 の 阻 害 要 因 の う ち ,(1) シ ス テ ム の 処 理 性 能 に 関 す る マ ク ロ な 視 点 と ,(2) プ ロ グ ラ ム の バ グ に 関 す る ミ ク ロ な 視 点 の 両 面 か ら ア プ ロ ー チ す る 事 を 検 討 し た .

1.2

シ ス テ ム の 処 理 性 能 問 題 へ の アプ ロ ー チ

オ ン ラ イン サ ー ビ ス シ ス テ ム の 処 理 性 能 問 題( 性 能 劣 化 )へ の 対 策 に は ,発 生 時 の シ ス テ ム の 状 態 を 知 る 必 要 が あ る .す な わ ち ,(a) 単 に リ ク エ ス ト 量 が 多 す ぎ て 処 理 に 時 間 が か かって い る の か ,そ れ と も ,(b) シ ス テ ム のど こ か に 発 生し た 障 害 に よ り,本 来 利 用 で き る は ず の リ ソ ー ス の 一 部 が 利 用 で き な く なった た め 処 理 に 時 間 が か かって い る の か ,を 見 極 め る 必 要 が あ る . 前 者 の 場 合 ,シ ス テ ム の 処 理 性 能 を 動 的 に 拡 大し て 対 処 可 能 で あ る が ,後 者 の 場 合 , 障 害 の 箇 所 / 原 因 を 突 き 止 め て 対 処 す る 必 要 が あ る .こ の 見 極 め を 行 う の が シ ス テ ム の 処 理 性 能 劣 化 の 検 知 / 原 因 診 断 技 術 ,ま た ,性 能 劣 化 の 原 因 が リ ク エ ス ト 過 多 の 場 合 の 対 処 方 法 が ,シ ス テ ム の 処 理 性 能 の 動 的 拡 大 / 縮 小 技 術 で あ る .

1.2.1

シ ス テ ム の 処 理 性 能 劣 化 の 検 知 / 原 因 診 断 技 術 大 規 模 か つ 複 雑 化 し た シ ス テ ム で は ,設 定 ミ ス や 部 分 的 な 障 害 等 に よ る 処 理 性 能 の 劣 化 を 早 期 に 検 知 し ,シ ス テ ム 全 体 が 停 止 に 至 る 前 に ,そ の 原 因 を 究 明 し 対 処 す る 必

(12)

要 が あ る . 従 来 ,シ ス テ ム 障 害 の 検 知 に は CPU 利 用 率 ,ネット ワ ー ク 通 信 量 ,Disk IO 量 等 の 個々の メト リ ク ス の 閾 値 越 え を 監 視 す る 方 法 が と ら れ て き た が ,シ ス テ ム の 複 雑 化 に 伴って , 個々の メト リ ク ス の 監 視 だ け で は 不 十 分 と なって き た [4].ま た ,熟 練 者 が 実 際 の 運 用 を 通じ て 獲 得し た 知 識 を ,障 害 判 断 条 件 と そ の 対 応 方 法 の 組 で 表 現し た if-then ル ー ル に よ る 監 視 手 法 は ,障 害 の 検 知 を 行 う た め に あ る 程 度 の 効 果 は あ る も の の ,ル ー ル 記 述 が 困 難 ,人 間 が 認 識 で き な い 隠 れ た ル ー ル は 記 述 で き な い ,等 の 課 題 が あ る [5].そ こ で , 近 年 ,収 集し た 大 量 の デ ー タ を 機 械 学 習 等 の 統 計 処 理 を 施 す こ と で ,複 雑 に 絡 み 合った メト リ ク ス 間 の 関 連 を モ デ ル 化 し ,シ ス テ ム の 正 常 / 異 常 の 判 定 ,異 常 の 根 本 原 因 究 明 に 活 用 す る 手 法 が 提 案 さ れ て い る [4, 5, 6, 7, 8, 9, 10].本 論 文 で は ,2 章 で ,本 課 題 に 対 す る 解 決 策 を 提 案 / 評 価 し た 結 果 を 示 す.

1.2.2

シ ス テ ム の 処 理 性 能 の 動 的 拡 大 / 縮 小 技 術 処 理 の 開 始 前 に あ ら か じ め 処 理 量 の 正 確 な 見 積 も り を 行 う 事 が で き る バッチ 処 理 シ ス テ ム と は 異 な り,オ ン ラ イ ン サ ー ビ ス シ ス テ ム で は 単 位 時 間 当 た り の リ ク エ ス ト 量 を 正 確 に 見 積 も る こ と は 非 常 に 困 難 で あ る [11].こ れ に 対 処 す る た め に ,過 去 の 最 大 リ ク エ ス ト 量 を 処 理 す る の に 十 分 な リ ソ ー ス を 保 持 す る の は ,ほ と ん ど 利 用 さ れ な い 余 剰 リ ソ ー ス を 持 つ こ と に な り,資 産 効 率 の 面 で 問 題 と な る . そ こ で ,変 化 す る リ ク エ ス ト 量 に 応 じ て シ ス テ ム の 処 理 性 能 を 拡 大 / 縮 小 す る 方 法 が 提 案 さ れ て い る .例 え ば ,Web3 階 層 シ ス テ ム で は ,ユ ー ザ か ら の リ ク エ スト 量 が 増 加 し ,リ ク エ スト に 対 す る 平 均 応 答 時 間 が 長 く な る と ,リ ク エ スト を 受 け 付 け る Web サ ー バ の 台 数 を 増 加 さ せ て 並 列 処 理 す る こ と で ,応 答 時 間 の 改 善 を 図 る 手 法( ス ケ ー ル ア ウ ト )が 知 ら れ て い る [12].本 論 文 で は ,3 章 で 本 課 題 に 対 す る 解 決 策 を 提 案 / 評 価 し た 結 果 を 示 す.

1.3

プ ロ グ ラ ム の バ グ 問 題 へ の アプ ロ ー チ

大 規 模 か つ 複 雑 化 し た シ ス テ ム 内 で 稼 働 す る プ ロ グ ラ ム は サ イ ズ が 大 き く,プ ロ グ ラ ム 内 に 潜 む バ グ を 発 見 / 除 去 す る 事 は 困 難 で あ る [13].こ の 困 難 性 の 削 減 に 効 果 的 な の が ,巨 大 な プ ロ グ ラ ム か ら ,注 目 す る 箇 所 や 変 数 に 影 響 を 与 え る 部 分 だ け を 抽 出 す るプ ロ グ ラ ム ス ラ イシ ン グ 技 術 [14] で あ る .抽 出 さ れ た プ ロ グ ラ ム の 断 片 を ス ラ イ ス と 呼 ぶ . プ ロ グ ラ ム P の ス ラ イ ス と は, 直 感 的 に は P 中 の あ る 地 点 n お よ び あ る 変 数 v に 対 し て, n に お け る v の 値 に 影 響 を 与 え る P 中 の 各 文 や 式 の 集 合 を 言 う. す べ て の 可 能 な 入 力 デ ー タ に 対し て 解 析し た も の を 静 的 ス ラ イ ス, 特 定 の 入 力 デ ー タ に 対し て 解 析し た も の

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を 動 的 ス ラ イ ス と い う [15](本 論 文 で は 静 的 ス ラ イ ス の み を 扱 う の で, 以 下 単 に ス ラ イ ス と 言 え ば そ れ は, 静 的 ス ラ イ ス を 意 味 す る も の と す る). ス ラ イ ス の 技 法 は Mark Weiser[14] に よって 提 案 さ れ, 当 初 は プ ロ グ ラ ム の デ バッグ を 支 援 す る た め に 使 わ れ て い た が, 現 在 で は, デ バッグ だ け で な く テ スト や 保 守, プ ロ グ ラ ム 合 成 な ど に も 利 用 さ れ て い る [16, 17].本 論 文 で は ,デ バッグ 時 の 利 用 を 想 定 し て ,対 話 的 に ス ラ イ ス 計 算 結 果 を ユ ー ザ に 提 示 す る 手 法 の 提 案 を 目 指 す. ス ラ イ ス の 計 算 に は, プ ロ グ ラ ム 内 の 文 の 間 の 依 存 関 係 の 正 確 な 解 析 が 必 要 で あ る が, 再 帰 が 存 在 す る プ ロ グ ラ ム を 正 確 に 解 析 を す る の は 容 易 で は な い [18]. Weiserは, ス ラ イ ス を 計 算 す る た め に, デ ー タ フ ロ ー 方 程 式( 詳し く は 4.3 節 参 照 )を 使っ た が, 正 確 な 計 算 が で き る の は ひ と つ の 手 続 き 内 だ け だった. Ottenstein[19] が, こ の ス ラ イ ス の 計 算 を グ ラ フ 上 の 到 達 可 能 性 問 題 に 置 き 換 え る 手 法 を 考 案し た. こ の 手 法 を 使って, Horwitz[20, 21]が, 手 続 き の 境 界 を 越 え て ス ラ イ ス が 計 算 で き る ア ル ゴ リ ズ ム を 紹 介し た が, こ の ア ル ゴ リ ズ ム で は 各 手 続 き 内 の デ ー タ フ ロ ー 解 析 と ス ラ イ ス 計 算 の た め の グ ラ フ 作 成 等 を い く つ か の フェー ズ に 分 け て 行 な う た め, 実 際 の シ ス テ ム 作 成 に は 応 用 し に く い. ま た, Hwang[18] は, 再 帰 を 含 むプ ロ グ ラ ム に 対し て 最 小 不 動 点 を 求 め る 手 法 を 用 い て, ス ラ イ ス を 直 接 計 算 す る 方 法 を 提 案 し た が, こ の 方 法 で は プ ロ グ ラ ム 中 の 地 点 n, 変 数 v ご と に 再 帰 方 程 式 を 解 く 必 要 が 生じ ,時 間 が か か る た め ,対 話 的 に ス ラ イ ス 情 報 を 提 供 す る シ ス テ ム に は 組 み 込 み に く い. 本 論 文 で は ,4 章 に て ,手 続 き の 境 界 を 越 え て デ ー タ フ ロ ー を 解 析 で き る よ う に 拡 張 し た プ ロ グ ラ ム 依 存 グ ラ フ を 用 い ,さ ら に ,再 帰 を 含 むプ ロ グ ラ ム に も 適 用 可 能 と な る よ う に 解 析 方 法 を 工 夫 す る こ と で ,本 課 題 を 解 決 す る 方 法 お よ び そ の 評 価 結 果 を 示 す.

1.4

本 論 文 の 概 要

本 論 文 で は ,前 節 で あ げ た 課 題 を 解 決 す る た め に ,以 下 の 3 つ の 手 法 を 提 案し ,提 案 手 法 を 実 装 / 評 価 し た 結 果 を 述 べ る . (1)マ ク ロ 視 点 シ ス テ ム レ ベ ル の 視 点 で ,シ ス テ ム 処 理 性 能 の 劣 化 を 検 知 す る 方 法 ,お よ び ,シ ス テ ム 処 理 性 能 を リ ク エ ス ト 量 に 応じ て 拡 大 / 縮 小 す る 方 法 (a) Webサ ー ビ ス シ ス テ ム の 応 答 性 能 劣 化 診 断 の た め の 学 習 デ ー タ 自 動 選 定 方 法 [1-1] Webサ ービ ス シ ス テ ム の CPU / メ モ リ 等 を 対 象 と し た メト リ ク ス 値 を 元 に ,シ ス テ ム の 状 態 ,特 に 応 答 性 能 異 常 の 検 知 に 寄 与 す る 技 術 を 提 案 す る .計 算 機 シ ス テ ム の 異 常 検 知 の 方 法 は ,熟 練 者 が 見 出 し た 相 関 に 基 づ く ル ー ル ベ ー ス 方 式 か ら ,過 去 の 運 用 デ ー タ か ら 機 械 学 習 等 の 統 計 処 理 に て 生 成 し た モ デ ル に 基 づ い て 異 常 の 診 断 を 行 う 統 計 処 理 方 式 へ と 変 化 し つ つ あ る .機 械 学 習 を

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応 用 す る 方 法 で は ,診 断 結 果 の 精 度 を 上 げ る た め に 学 習 デ ー タ の 量 を 十 分 に 多 く す る 必 要 が あ る が ,計 算 量 が 多 く な る た め ,や み く も に 過 去 の 全 デ ー タ を 学 習 に 使 う こ と は 現 実 的 で は な い . そ こ で 本 論 文 で は ,選 別 労 力 を か け ず に 選 ん だ 初 期 学 習デ ー タ か ら 開 始し ,観 測 デ ー タ の 中 か ら 自 動 的 に 学 習 デ ー タ に 追 加 す べ き デ ー タ を 選 別 し ,こ れ が 出 現 す る た び に 学 習 デ ー タ へ 自 動 的 に 組 み 入 れ ,モ デ ル を 逐 次 更 新 す る 方 法 を 提 案 す る .選 別 を 行 わ ず に 全 デ ー タ を 追 加 し て 学 習 さ せ た 場 合 と ,本 論 文 で 考 案 す る 方 法 で 選 定 し た 部 分 デ ー タ の み 追 加 し て 学 習 さ せ た 場 合 と で ,診 断 結 果 を 比 較 す る 実 験 を 行った .そ の 結 果 ,本 論 文 の 方 法 を 採 用し た 場 合 ,10 種 中 7 種 の 実 験 で ,全 デ ー タ で 学 習 し た 場 合 と 同 等 の 診 断 結 果 が 得 ら れ る 事 を 確 認 し た . (b) 計 算 機 シ ス テ ム の 処 理 性 能 を 拡 大 す る Grid コ ン ピュー ティン グ 技 術 の ,オ ン ラ イン Web サ ー ビ ス シ ス テ ム へ の 適 用 方 法 [1-3]

Globus Toolkitの よ う な Grid ミド ル ウェア や ,Open Grid Services Architecture (OGSA) の よ う な Grid 標 準 は ,分 散 企 業 ア プ リ ケ ー ション を 構 築 す る の に 十 分 な 能 力 を 備 え て い る 事 を 期 待 さ れ て い る が ,こ の よ う な 用 途 で の 活 用 は ま だ 十 分 に な さ れ て い な い . 企 業 ア プ リ ケ ー ション の 多 く が Web ア プ リ ケ ー ション で あ る 現 状 を 踏 ま え ,本 論 文 で は ,こ れ に Grid 技 術 を 適 用 す る こ と に 関 連 す る 2 つ の 課 題 解 決 に 取 り 組 ん だ .ひ と つ め は ,既 存 の ミド ル ウェア が Web ア プ リ ケ ー ション を Grid 基 盤 上 に 移 動 さ せ る の に 有 効 か ど う か ,も し 有 効 な ら そ の 方 法 の 発 見 で あ る .ふ た つ め は ,こ の よ う な Grid 化 は 性 能 拡 張 や 管 理 容 易 性 の 観 点 で ,優 位 性 を も た ら す の か ど う か ,で あ る .こ れ ら の 検 証 の た め ,J2EE イン タ ー ネット バ ン キ ン グ ア プ リ ケ ー ション を Grid 化し ,元 の バ ー ジョン と の 性 能 比 較 を 行った .さ ら に , 変 動 す る リ ク エ ス ト 量 に 対 応 す る た め に Grid 技 術 の 動 的 リ ソ ー ス 割 当 機 能 を 活 用 す る ス ケ ー ラ ブ ル ア ー キ テ ク チャを 設 計 し た .基 本 的 な 性 能 計 測 の 結 果 , 本 ア ー キ テ ク チャは リ ク エ ス ト 量 の 変 化 に 応 じ て ス ケ ー ル す る こ と ,す な わ ち ,Grid 技 術 が ,シ ス テ ム 全 体 の 管 理 性 を 向 上 す る た め の ひ と つ の 方 法 と し て 有 効 で あ る こ と が 分 かった . (2)ミ ク ロ 視 点 シ ス テ ム 内 で 稼 働 す るプ ロ グ ラ ム の 視 点 で ,シ ス テ ム の 安 定 稼 働 を 阻 害 す る バ グ の 発 見 に 寄 与 す る プ ロ グ ラ ム ス ラ イ ス の 計 算 方 法 (c) プ ロ グ ラ ム の バ グ を 発 見 す る た め に 役 立 つ ,プ ロ グ ラ ム ス ラ イ ス の 計 算 方 法 [1-2] 本 研 究 で は, 再 帰 を 含 む プ ロ グ ラ ム の 依 存 関 係 の 静 的 解 析 と, そ の 結 果 に 基 づ

(15)

い て ス ラ イ ス を 求 め る た め の ア ル ゴ リ ズ ム を 提 案 す る. 本 ア ル ゴ リ ズ ム で は, 再 帰 的 な 手 続 き 定 義 に 対 応 す る た め に, 計 算 に 必 要 な 情 報 を あ ら か じ め 仮 定 し, そ の 情 報 を よ り 正 し い も の へ と 変 化 さ せ, そ れ が 収 束 す る ま で 解 析 を 繰 り 返 す と い う 方 法 を とった. さ ら に, 手 続 き の 境 界 を 越 え て ス ラ イ ス を 計 算 で き る よ う に, 独 自 の 改 良 を 施し た プ ロ グ ラ ム 依 存 グ ラ フ を 定 義 し た. こ の ア ル ゴ リ ズ ム は, 従 来 の も の に 比 べ, 再 帰 を 含 むプ ロ グ ラ ム を 効 率 的 に 解 析 す る 事 が で き, 対 話 的 に ス ラ イ ス 情 報 を 提 供 す る シ ス テ ム に 組 み 込 む 事 が で き る. 本 ア ル ゴ リ ズ ム に 従って ス ラ イ ス を 計 算し, 表 示 す る 試 作 シ ス テ ム を 作 成し, 本 ア ルゴ リ ズ ム が 正し く 動 作 す る 事 を 確 認し た. こ の シ ス テ ム は SUN SPARCstation ELC上 で 動 作 し, 13 個 の 手 続 き, 7 個 の 大 域 変 数 を 含 む 再 帰 呼 び 出 し の な い 249 行 の プ ロ グ ラ ム を 0.80 秒 で, ま た, 8 個 の 手 続 き, 9 個 の 大 域 変 数 を 含 み, す べ て の 手 続 き が お 互 い に 呼 び あ う 可 能 性 の あ る 275 行 の プ ロ グ ラ ム を 1.82 秒 で, そ れ ぞ れ 解 析 す る 事 が で き る.

1.5

各 章 の 構 成

2章 で は ,Web サ ー ビ ス シ ス テ ム の 応 答 性 能 劣 化 診 断 の た め の 学 習 デ ー タ 自 動 選 定 方 法 に つ い て 述 べ る .3 章 で は ,Grid 技 術 の Web サ ー ビ ス シ ス テ ム へ の 適 用 に つ い て 述 べ る .4 章 で は ,再 帰 を 含 むプ ロ グ ラ ム の ス ラ イ ス 計 算 方 法 に つ い て 述 べ る .最 後 に 5 章 で ,研 究 成 果 の ま と め と 今 後 の 研 究 に つ い て 述 べ る .

(16)

2

Web

サービ スシ ステムの 応答性能劣

化診断のための 学習デ ー タ自動選定

方法

2.1

ま え が き

本 章 で は ,Web サ ー ビ ス シ ス テ ム の 応 答 性 能 劣 化 診 断 の た め に ,機 械 学 習 を 適 用 す る 際 の ,学 習 デ ー タ の 自 動 選 定 方 法 を 提 案 す る . こ れ ま で に 提 案 さ れ た ,機 械 学 習 に よ る シ ス テ ム の 異 常 診 断 方 法 の 代 表 的 な 2 つ を 以 下 で 紹 介 す る . (a) ベ イ ジ ア ン ネット ワ ー ク に よ る 異 常 診 断 [4, 5] ベ イジ ア ン ネット ワ ー ク( 以 下 BN)は ,個々の 事 象 の 因 果 関 係 を 条 件 付 き 確 率 で 表 す モ デ ル で ,観 測 対 象 の 過 去 の 状 態 を 学 習 し ,観 測 対 象 が あ る 状 態 S に あ る 時 の 注 目 事 象 E( 例:応 答 時 間 が 3 秒 以 上 と な る )の 発 生 確 率 PEを 算 出 す る 事 が で き る .た だ し ,学 習 デ ー タ に 含 ま れ る 過 去 の 状 態 と 同 じ と み な さ れ る 既 知 の 状 態 で の 注 目 事 象 の 発 生 確 率 は 計 算 で き る が ,学 習 デ ー タ に 含 ま れ な い 未 知 の 状 態 下 で の 注 目 事 象 の 発 生 確 率 は 正 し く 計 算 で き な い .注 目 事 象 の 発 生 確 率 を 正 し く 計 算 す る た め に は 学 習 デ ー タ の 量 を 増 や す こ と が 効 果 的 で あ る .し か し ,デ ー タ 量 が 増 え る と 学 習 処 理 に か か る 時 間 が 増 大 し ,実 用 的 な 時 間 で 完 了 し な く な る と い う 課 題 が あ る .学 習 デ ー タ に 含 ま れ る 観 測 項 目 数 を 一 定 に し た 場 合 ,計 測 回 数 に 比 例 し て 学 習 時 間 が 長 く な る [22]. (b) ク ラ ス タ リ ン グ に よ る 異 常 診 断 [6] ク ラ ス タ リ ン グ( 以 下 CL)は ,観 測 対 象 の 過 去 の 状 態 を グ ル ー ピ ン グ し ,い く つ か の ク ラ ス タ に 分 割 す る 方 法 の ひ と つ で あ る .教 師 デ ー タ が 存 在し な い 場 合 ,個々の ク ラ ス タ に 対 す る 意 味 付 け( 例:正 常 時 の ク ラ ス タ 等 )は 当 該 ク ラ ス タ に 含 ま れ る 観 測 値 か ら 人 間 が 判 断 す る .入 力( 学 習 )デ ー タ と し て 正 常 時 の デ ー タ の み 与 え , 最 近 傍 ク ラ ス タ か ら の 距 離 が 閾 値 を 越 え る 観 測 値 を 異 常 と 判 定 す る 診 断 方 法 が 知 ら れ て い る が [5],正 常 範 囲 の 一 部 し か 学 習 デ ー タ に 含 ま れ な い 場 合 ,正 常 で あ る に も か か わ ら ず 異 常 と 判 定し て し ま う.こ の た め ,異 常 デ ー タ を 含 ま ず,か つ ,正 常 範 囲 内 で な る べ く 広 い 範 囲 を 含 む 入 力 デ ー タ が 必 要 と な る .こ の 要 件 が 十 分 に

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満 た さ れ な い と ,検 知 漏 れ や 誤 報 を 引 き 起 こ す 可 能 性 が 高 く な る [6].

2.1.1

既 知 の 方 法 の 課 題 機 械 学 習 を 活 用 す る 方 法 の 多 く は ,期 待 す る 効 果 を 得 る た め に 適 切 に 学 習 デ ー タ を 選 定し な け れ ば な ら な い ,と い う 共 通 の 課 題 が あ る .現 在 は ,学 習 パ ラ メ ー タ の 調 整 と 合 わ せ て ,学 習 デ ー タ の 選 定 を 人 間 が 試 行 錯 誤 で 行 う 事 で ,こ の 課 題 に 対 処し て い る .

2.1.2

提 案 手 法 の 発 想 こ れ ま で の 経 験 か ら ,Web サ ー ビ ス シ ス テ ム の 運 用 中 の ほ と ん ど の 時 間 は 安 定 し た 正 常 状 態 の 範 囲 内 に と ど ま り,ご く 稀 に こ の 正 常 状 態 か ら の 逸 脱 が 発 生 す る と 考 え て い る .こ の よ う な 状 況 で は ,シ ス テ ム の 状 態 に 大 き な 変 化 が な い 期 間 の 膨 大 な 観 測 デ ー タ の 全 て を 学 習 デ ー タ に 利 用 す る こ と は 効 率 的 で は な い .そ こ で ,本 論 文 で は 学 習 デ ー タ の 選 定 を 自 動 化 す る 方 法 を 模 索 し た .BN の 学 習 デ ー タ に ,同じ 状 態 が 繰 り 返 し 出 現 す る 回 数 を 減 ら し つ つ ,異 な る 状 態 を 多 数 含 め る こ と が で き れ ば ,よ り 少 な い デ ー タ 量 で ,全 デ ー タ で 学 習し た 場 合 と 同 等 の 学 習 効 果 を 得 る 事 が で き る と 考 え た .刻々と 収 集 さ れ る 観 測 デ ー タ の 異 常 診 断 を 行 う と 同 時 に ,現 在 の 状 態 が 学 習 デ ー タ に 含 ま れ て い る か ど う か の 判 定 を 行 い ,現 在 の 学 習 デ ー タ に 含 ま れ て い な い と 判 定 し た 場 合 に ,そ の 期 間 の デ ー タ を 学 習 デ ー タ に 追 加し て 再 学 習 す る ,と い う 一 連 の 動 作 を 繰 り 返 せ ば , よ り 少 量 で あ り な が ら 多 種 の 状 態 を 含 む 学 習 デ ー タ を 作 り 上 げ る こ と が で き る と の 仮 説 を 立 案 し た .現 在 の 学 習 デ ー タ に 含 ま れ て い な い 状 態 を 検 知 す る に は ,BN と 同じ 学 習 デ ー タ を CL に 学 習 さ せ ,現 在 の 計 測 値 と 最 近 傍 ク ラ ス タ と の 距 離 を 計 算 す る こ と で 実 現 で き る .よって ,BN と CL を 上 記 の よ う に 組 み 合 わ せ る こ と で ,学 習 デ ー タ を 自 動 選 定 す る 異 常 検 知 シ ス テ ム が 実 現 で き る と 考 え た .

2.2

学 習デ ー タ 自 動 選 定 方 法

本 論 文 で 提 案 す る ,学 習 デ ー タ の 自 動 選 定 手 法 の 手 順 を 図 2.1 に 示 す.本 手 法 で は 一 定 の 時 間 分 の 連 続 し た 観 測 デ ー タ の 集 合 を デ ー タ 区 画 と 呼 び ,学 習 デ ー タ と し て の 追 加 要 否 を 判 定 す る 最 小 単 位 と し て い る .は じ め に ,(1) あ ら か じ め 手 動 で 選 定 し た 初 期 学 習 デ ー タ を CL で 学 習 ,モ デ ル を 生 成し ,診 断 を 開 始 す る .次 に (2) 監 視 対 象 シ ス テ ム の 現 在 の 状 態 を 収 集 し ,CL に て 最 近 傍 ク ラ ス タ か ら の 距 離 を 計 算 し ,記 録 す る .次 に (3)当 該 デ ー タ 区 画 の 最 後 ま で 到 達 し た ら ,(4) 直 近 の デ ー タ 区 画 の CL で の 診 断 結 果 の 平 均 が 閾 値 を 越 え て い な い か 検 査 す る .閾 値 を 越 え る 事 は ,監 視 対 象 シ ス テ ム が ,当 該 デ ー タ 区 画 の 間 ,現 在 の 学 習 デ ー タ に 存 在し な い 未 知 の 状 態 に あった 事 を 意 味 す る .ゆ え に ,閾 値 を 越 え て い た 場 合 ,(5) 当 該 デ ー タ 区 画 を 学 習 デ ー タ に 追 加 し ,新 た な 学 習

(18)

図 2.1: 学 習 デ ー タ 自 動 選 定 手 順 デ ー タ で 再 度 学 習 を 行 う.こ の 再 学 習プ ロ セ ス に よ り,新 た な 状 態 を 含 ん だ 学 習 デ ー タ に よ る モ デ ル が 生 成 さ れ る .上 記 (2) か ら (5) を 繰 り 返 す こ と で ,徐々に ,CL が 未 知 と 判 定 す る 頻 度 が 減 少 し ,学 習 デ ー タ の 集 合 が 収 束 に 向 か い ,全 デ ー タ と 比 較 し て 少 量 の 学 習 デ ー タ の 集 合 を 作 り 上 げ る 事 が で き る .

2.3

提 案 手 法 の 有 効 性 検 証

本 研 究 の 目 的 は ,全 デ ー タ を 学 習し た 場 合 と 同 等 の 診 断 結 果 が 得 ら れ る よ う な ,よ り 少 な い デ ー タ の 集 合 を 自 動 的 に 選 定 す る 事 に あ る .提 案 手 法 の 有 効 性 を 検 証 す る た め に ,全 デ ー タ を 学 習 デ ー タ に 追 加し た 場 合 と ,提 案 手 法 に よって 自 動 選 定し た 学 習 デ ー タ の み 追 加 し た 場 合 の ,そ れ ぞ れ の BN に よ る 診 断 結 果( 平 均 応 答 時 間 が 1 秒 を 越 え る 確 率 の 時 系 列 デ ー タ )の ユ ー ク リッド 距 離 と 相 関 係 数 を 比 較 す る こ と と し た .全 デ ー タ を 学 習 し た 場 合 の 診 断 結 果 の 移 動 平 均 を W = (w1, w2, w3, ...),提 案 手 法 を 適 用 し た 場 合 の 診 断 結 果 の 移 動 平 均 を P = (p1, p2, p3, ...) と し ,ユ ー ク リッド 距 離 E,相 関 係 数 C を そ れ ぞ れ 以 下 の 計 算 式 で 算 出 し た .w は w1, w2, ..., wnの 平 均 値 を 表 す.p も 同 様 . E = v u u t∑n i=1 (wi− pi)2 (2.1)

(19)

C = ni=1 (wi− w)(pi− p) v u u t∑n i=1 (wi− w)2 v u u t∑n i=1 (pi− p)2 (2.2) こ れ に よ り,学 習 デ ー タ 自 動 選 定 結 果 の 善 し 悪 し を 判 断 す る .

2.3.1

評 価 方 法 JPetStore[23]( オ ン ラ イ ン ペット 販 売 サ イト ア プ リ ケ ー ション )に ,実 ア ク セ ス パ タ ー ン に 基 づ く バック グ ラ ウ ン ド ト ラ フィック を 与 え な が ら ,同 時 に ,シ ス テ ム の 異 常 状 態 を 模 擬 す る 負 荷 を ,シ ス テ ム を 構 成 す る サ ー バ の 一 部 に 与 え る .監 視 対 象 シ ス テ ム を 構 成 す る 全 て の サ ー バ で 監 視 エ ー ジェン ト が 稼 働し て お り,一 定 間 隔 で 観 測 デ ー タ を 監 視 サ ー バ に 集 約 さ れ る .実 際 の 負 荷 パ タ ー ン と し て ,WorldCup98[24] で 提 供 さ れ る Web サ ー バ へ の ア ク セ ス デ ー タ の 一 部 を 活 用 し た .シ ス テ ム 全 体 の 処 理 能 力 の 差 を 考 慮 し て 秒 間 リ ク エ ス ト 数 を 500 分 の 1 程 度 に 縮 約し ,リ ク エ ス ト の 増 減 パ タ ー ン の み 維 持し た .ま た ,シ ス テ ム の 異 常 状 態 を 模 擬 す る た め に stress コ マ ン ド に て 負 荷 を 与 え た .は じ め に ,あ ら か じ め 収 集 さ れ た デ ー タ の 中 か ら 任 意 の 初 期 学 習 デ ー タ を 抽 出 し ,CL に て 学 習 を 行 い ,モ デ ル を 生 成 す る .次 に ,現 在 の シ ス テ ム の 状 態 を CL に て 診 断 し ,記 録 し て お く.観 測 時 刻 が デ ー タ 区 画 の 末 尾 に 到 達 し た 際 に ,直 近 の デ ー タ 区 画 の ,CL で の 診 断 結 果 の 平 均 が 閾 値 を 越 え る 場 合 ,未 学 習 で あ る と 判 断 し ,当 該 デ ー タ 区 間 の デ ー タ を 学 習 デ ー タ に 追 加し ,再 学 習 を 行 う.以 降 の 診 断 は 再 学 習 で 生 成し た モ デ ル に て 行 う.こ の 処 理 を 一 定 期 間 繰 り 返し 実 行 後 ,生 成 さ れ た 学 習 デ ー タ が ,提 案 手 法 に て 自 動 選 定 さ れ た 学 習 デ ー タ で あ る .最 後 に ,自 動 選 定 さ れ た 学 習 デ ー タ の 善 し 悪 し を 判 定 す る た め に ,全 デ ー タ を 学 習 し た 場 合 と ,提 案 手 法 に て 自 動 選 定 し た 学 習 デ ー タ の み 学 習 し た 場 合 の ,そ れ ぞ れ の BN に よ る 診 断 結 果 の ユ ー ク リッド 距 離 と 相 関 係 数 を 比 較 す る .

2.3.2

実 験 シ ス テ ム 構 成 実 験 環 境( 図 2.2)は ,(1) 監 視 対 象 シ ス テ ム ,(2) ト ラ フィック 発 生 部 (A),(3) シ ス テ ム 異 常 検 知 部 (E),か ら な る .監 視 対 象 シ ス テ ム は ロ ード バ ラ ン サ (B),Web-AP サ ー バ (C1)(C2), DBサ ー バ (D) か ら な り,JPetStore ア プ リ ケ ー ション が 稼 働し て い る .各 サ ー バ に は ,CPU/ Memory/ Network/ Diskの 利 用 状 況 デ ー タ を 10 秒 間 隔 で 収 集 す る た め の 監 視 エ ー ジェン ト (collectd)が 組 み 込 ま れ て お り,シ ス テ ム 異 常 検 知 部 (E) に 観 測 デ ー タ を 送 付 す る .ト ラ フィック 発 生 部 (A) は ,あ ら か じ め 与 え た シ ナ リ オ( 例:商 品 検 索 → 1 商 品 を カ ー ト に 入 れ る → チェック ア ウ ト )と 負 荷 パ タ ー ン に 応じ て ,ユ ー ザ の 挙 動 を 模 擬 す る リ ク エ ス ト を 発 生 さ せ る .

(20)

図 2.2: 実 験 シ ス テ ム の 構 成 収 集デ ー タ の 一 覧 を 表 2.1 に 示 す.今 回 の 実 験 で は ,LB で#1 か ら#3 と#5 ま で の 7 項 目 ,2 台 の Web サ ー バ そ れ ぞ れ で#1 か ら#4 ま で の 合 計 8 項 目 ,DB サ ー バ で#1( 2 コ ア 分 )と ,#2, #3, #4, #6の 合 計 7 項 目 ,計 22 項 目 の シ ス テ ム 監 視 で 一 般 的 な メト リ ク ス を 収 集し た .監 視 対 象 シ ス テ ム に は ,指 定 時 刻 に な る と ,当 該 シ ス テ ム の 性 能 を 劣 化 さ せ る stress コ マ ン ド が 実 行 さ れ る よ う に 設 定し た .シ ス テ ム 異 常 検 知 部 は ,各 サ ー バ 内 の 監 視 エ ー ジェン ト が 収 集 す る 観 測 デ ー タ を 蓄 積し ,常 時 異 常 検 知 を 行 い つ つ ,必 要 に 応じ て 再 学 習 を 行 う.今 回 の 実 験 で は 仮 想 サ ー バ 環 境 上 に ,CPU:1core, Memory:1GB, HDD:20GB, Network:1Gbps の リ ソ ー ス を 持 つ 2 つ の Web/AP サ ー バ ,DB サ ー バ ,LB の 合 計 4 サ ー バ を 使った .DB サ ー バ だ け は 2 コ ア を 利 用し た .各 仮 想 サ ー バ 同 士 が リ ソ ー ス を 取 り あ う 事 が な い よ う に 異 な る 物 理 サ ー バ 上 に 仮 想 サ ー バ を 作 成し た .OS は 全 サ ー バ で Linux(CentOS 6.5) を 採 用し た .ま た ,BN の 実 装 と し て ,統 計 解 析 環 境 R[25] 用 ラ イブ ラ リ bnlearn[22] を ,CL の 実 装 と し て R 標 準 ラ イブ ラ リ の k-means を 活 用し た .CL の ク ラ ス タ 数 は 10 を 指 定し た .シ ス テ ム の 状 態 数 に 相 当 す る ク ラ ス タ 数 は 過 去 の 運 用 の 経 験 ,お よ び ,事 前 の デ ー タ 分 析 に よ り 10 か ら 20 程 度 が 妥 当 で あ る と 判 断し た た め ,モ デ ル が 最 も 単 純 と な る 10 を 採 用 し た .

(21)

表 2.1: 監 視 対 象 メト リ ク ス

# Resource Monitoring Items

1 CPU(DB has 2 cores, others have 1 core) User usage for each core(%)

2 Memory Used (bytes)

3 Network(LB has 2) Used (bps, sent+received)

4 Disk(except LB) IOPS (ops/sec)

5 Web Access(only LB) (a)Request count, (b)average and (c)max response time(sec) 6 DB Access(only DB) (a)Processed data (bytes), (b)Written data (bytes)

2.3.3

実 験 方 法 以 下 の (1) か ら (4) に 示 す 一 連 の 実 験プ ロ セ ス を 1 セット と し て ,合 計 10 セット の 実 験 を 行った .10 セット 中 5 セット は ,初 期 学 習 期 間 を 変 化 さ せ ,診 断 期 間 を 共 通 と し た .残 り 5セット は 逆 に 初 期 学 習 期 間 を 共 通 と し ,診 断 期 間 を 変 化 さ せ た . (1) 初 期 学 習 デ ー タ の 生 成 WorldCup98の ア ク セ ス パ タ ー ン の 縮 約 比 率 を 変 化 さ せ て ,(a) 監 視 対 象 シ ス テ ム が 平 均 応 答 時 間 1 秒 以 下 を 維 持 で き る 程 度 の リ ク エ ス ト を 処 理 し て い る 状 態 ,(b) リ ク エ ス ト が ほ と ん ど な い 状 態 ,(c) 平 均 応 答 時 間 が 1 秒 を 越 え る 状 態 ,の 3 つ の 状 態 が 繰 り 返 し 発 生 す る 5 時 間 分 の デ ー タ を 用 意 し た .そ の 中 か ら 図 2.3 に 示 す よ う に ,(a)(b)(c) の 3 状 態 が 現 れ る 50 分 間 の デ ー タ を 異 な る 時 間 帯 か ら 選 択 し ,初 期 学 習 デ ー タ と し て 活 用 し た .こ の 5 時 間 の 間 に は シ ス テ ム 障 害 を 模 擬 す る 負 荷 は 与 え な かった . (2) サ ー バ 異 常 の 模 擬 生 成 WorldCup98の ア ク セ ス パ タ ー ン( 図 2.4)を 再 現 し た ト ラ フィック を バック グ ラ ウ ン ド ト ラ フィック と し て 与 え て い る 状 態 で ,検 知 す べ き 障 害 を 模 擬 す る 異 常 を 各 サ ー バ 内 に 作 り 出し た .今 回 の 実 験 で は ,CPU, Memory, HDD の 各 リ ソ ー ス に 対し て stress コ マ ン ド に て ユ ー ザ リ ク エ ス ト 処 理 を 阻 害 す る 負 荷 を か け た . (3) 提 案 手 法 に よ る 追 加 学 習 デ ー タ の 自 動 選 定 上 記 (2) を 実 行 中 に 10 秒 毎 に 収 集 さ れ る ,40 分 間 の 観 測 デ ー タ に 対 し ,BN に て 平 均 応 答 時 間 が 1 秒 を 越 え る 確 率 を 逐 次 診 断 す る .こ の 診 断 と 同 時 に CL で の 最 近 傍 ク ラ ス タ か ら の 距 離 計 算 も 行 い ,5 分 毎 に 直 近 5 分 間 の 距 離 の 平 均 が 閾 値 6 を 越 え る か ど う か を 判 定 ,越 え た 場 合 は 学 習 デ ー タ に 当 該 5 分 間 分 の デ ー タ を 追 加し ,再 度 学 習 を 行 う.本 実 験 で は ,各 ク ラ ス タ の 重 心 ベ ク ト ル と 1 回 分 の 観 測 デ ー タ の ベ クト ル を 用 い て ,正 規 化 後 ベ クト ル 間 の ユ ー ク リッド 距 離 の 最 小 値 を ,当 該 観 測 の

(22)

図 2.3: 初 期 学 習 デ ー タ の リ ク エ ス ト 量 最 近 傍 ク ラ ス タ か ら の 距 離 と し て 利 用 し た .以 降 の 観 測 デ ー タ に 対 し て は ,再 学 習 で 生 成 さ れ た モ デ ル で 診 断 を 行 う.50 分 間 の 初 期 学 習 デ ー タ に 加 え ,最 大 で 8 区 画 40 分 間 の デ ー タ が 学 習 デ ー タ に 追 加 さ れ る .今 回 の 実 験 で は ,後 半 8 区 画 40 分 中 の ,連 続し な い 3 区 画 で シ ス テ ム 異 常 を 模 擬 す る 5 分 間 の 負 荷 を ,2 台 の Web サ ー バ と DB サ ー バ の う ち い ず れ か 1 台 ,ま た は 2 台 ,ま た は 3 台 全 て に 与 え た .診 断 期 間 を 共 通 と し た 5 セット の 実 験 で は ,第 2 区 画 で Web サ ー バ Web A に ,第 4 区 画 で は も う 一 方 の Web サ ー バ Web B に ,第 6 区 画 で は 2 つ の Web サ ー バ に 加 え て ,DB サ ー バ に も 負 荷 を 与 え た( 図 2.5).診 断 期 間 を 変 化 さ せ た 5 セット の 実 験 で は ,連 続 し な い 3 区 画 で 上 記 負 荷 を 順 不 同 で 与 え た . (4) シ ス テ ム 異 常 検 知 結 果 の 比 較 CLに て 40 分 間 の 診 断 を 終 え た 後 ,生 成 さ れ た 学 習 デ ー タ の 善し 悪し を 判 定 す る た め に ,(a) 全 デ ー タ を BN に て 学 習し ,後 半 40 分 を 診 断し た 結 果( 以 下 Whole)と ,(b) 上 記 (3) に て 自 動 選 定 し た 学 習 デ ー タ を BN に て 学 習 し ,(a) と 同 一 デ ー タ を 診 断 し た 結 果 の 類 似 性 を 判 定し た .類 似 性 判 定 に は ,ユ ー ク リッド 距 離 と 相 関 係 数 を 採 用 し た .ま た ,学 習 デ ー タ の 追 加 の 効 果 を 見 る た め に ,学 習 デ ー タ へ の 追 加 を 行 う た び に ,新 た な 学 習 デ ー タ に よ る 診 断 結 果 と Whole と の 類 似 性 を 評 価し た .異 常 検 知 結 果 の 例 を 図 2.5 に 示 す.上 段 グ ラ フ の 丸 点 が BN に よ る 平 均 応 答 時 間 が 1 秒 を 超 え る 確 率 P( 左 軸 ),三 角 点 が CL に よ る 最 近 傍 ク ラ ス タ か ら の 距 離 D( 右 軸 ),横 軸 は 経 過 時 間( 秒 )を 表 す.下 段 グ ラ フ の ○ 点 が 10 秒 間 の リ ク エ スト の 最 大 応 答 時 間( 左 軸:秒 ),三 角 点 が 同 10 秒 間 の 平 均 応 答 時 間( 左 軸:秒 ),+ 点 が 同 10 秒 間 の

(23)

図 2.4: バック グ ラ ウ ン ド ト ラ フィック パ タ ー ン の 例 処 理 リ ク エ スト 数( 右 軸:リ ク エ スト / 秒 ),横 軸 は 経 過 時 間( 秒 )を 表 す.各 グ ラ フ タ イト ル の MA=4 は グ ラ フ 上 の 点 が 隣 接 4 デ ー タ の 移 動 平 均 値 で あ る 事 を 表 す.

2.3.4

実 験 結 果 表 2.2 に 1 セット 分 の 実 験 結 果 を 示 す.1 セット の 実 験 は 初 期 学 習 デ ー タ の み か ら 生 成し 表 2.2: 実 験 結 果: 1 回 分

Heat ID Training Data Avg Dist. Euclid. Correlation

Base Base 5.36 -0.16 L1 Base+0-5 20.49 3.21 0.34 L2 L1+5-10 21.97 3.03 0.38 L3 L2+15-20 6.02 0.91 0.66 L4 L3+25-30 8.79 0.16 0.98 た モ デ ル で 診 断 し た 結 果 (Base) で 始 ま り,1 デ ー タ 区 画 を 学 習 デ ー タ に 追 加 し て 全 デ ー タ を 診 断 し た 結 果 (L1),さ ら に 1 デ ー タ 区 画 を 追 加 し て 全 デ ー タ を 診 断 し た 結 果 (L2), と 学 習 デ ー タ を 追 加 す る た び に 番 号 を 増 や し て 区 別 で き る よ う に し た .表 中 の 各 行 を Heatと 呼 ぶ .表 中 Heat ID は 当 該 実 験 の Heat 名 を ,Training Data は 当 該 Heat の 学 習 デ ー タ を ,Avg Dist. は 当 該 Heat で 初 期 デ ー タ に 組 み 入 れ た デ ー タ 区 画 の 最 近 傍 ク ラ ス タ か ら の 距 離 の 平 均 を ,Euclid. と Correlation は 全 デ ー タ で 学 習 し た モ デ ル で の BN の 診 断 結 果 と , 当 該 Heat の モ デ ル で の BN の 診 断 結 果 間 の ユ ー ク リッド 距 離 と 相 関 係 数 を ,そ れ ぞ れ 表 す.Euclid. が 0 に 近 付 き ,Correlation が 1 に 近 付 く ほ ど ,Whole と の 類 似 性 が 高 い .例 え ば 表 2 で は ,L1, L2, ... と 学 習 デ ー タ を 増 や す ご と に ユ ー ク リッド 距 離 が 0 に 近 付 き ,か つ , 相 関 係 数 が 1 に 近 付 い て い る .こ れ は ,学 習 デ ー タ の 追 加 に よ り,全 デ ー タ を 学 習 し た

(24)

図 2.5: BN お よ び CL で の 診 断 結 果 の 例 場 合 と 同 等 の 診 断 結 果 を 出 せ る 学 習 デ ー タ の 集 合 に 徐々に 近 づ い て い る 事 を 意 味 す る . Baseの 診 断 結 果 を 可 視 化し た グ ラ フ を 図 2.6 に 示 す.第 1 区 画( 冒 頭 の 5 分 )で CL の 計 算 結 果( 三 角 点 ,右 軸 )の 平 均 が ,あ ら か じ め 設 定し た 閾 値 6 を 越 え て い る( 平 均 20.49) た め ,当 該 区 画 を 学 習 デ ー タ に 組 み 入 れ る .組 み 入 れ た 後 の Heat で あ る L1 の 診 断 結 果 を 図 2.7 に 示 す.L1 で は 第 2 区 画( 5 か ら 10 分 )で ,CL の 計 算 結 果 が 6 を 越 え て い る( 平 均 21.97)た め ,当 該 区 画 を 学 習 デ ー タ に 組 み 入 れ る .同 様 に L2, L3 と 処 理 を 進 め た 結 果 で あ る L4 の 診 断 結 果( 閾 値 越 え な し )を 図 2.8 に 示 す. こ の 実 験 で は 第 1,2,4,6 の 4 区 画 を 初 期 学 習 デ ー タ に 追 加し た L4 が 最 終 形 で ,Heat が L1 か ら L4 ま で 進 む 間 に ,ユ ー ク リッド 距 離 お よ び 相 関 係 数 が 共 に 改 善 さ れ た .最 終 的 に L4で ,Whole と の ユ ー ク リッド 距 離 が 0.16,相 関 係 数 が 0.98 と な り,全 8 区 画 中 4 区 画 の 観

(25)

図 2.6: Base の 診 断 結 果 測 デ ー タ で ,全 区 画 を 学 習し た 場 合( 図 2.9)と 同 等 の 診 断 結 果 が 得 ら れ た .こ の 実 験 で は ,さ ら に ,提 案 手 法 に よ る 学 習 デ ー タ 選 定 の 妥 当 性 を 検 証 す る た め に ,8 区 画 中 ,L4 で 選 択 し な かった 4 区 画 を 学 習 し た 場 合 (R4) や ,提 案 手 法 に よ る 選 定 と は 無 関 係 に ,L4 と 同じ 4 区 画 分 を ,単 純 に 8 区 画 中 の 前 半 (F4),中 盤 (C4),後 半 (S4) の 4 区 画 ,お よ び ,先 頭 と 末 尾 の 2 区 画 ず つ を 選 択 し た 場 合 (P4) の 診 断 結 果 と の 比 較 を 行った( 表 2.3). 表 2.3: 他 の 学 習 結 果 と の 比 較

Heat ID Training Data Avg Dist. Euclid. Correlation

L4 L3+25-30 8.79 0.16 0.98 R4 Reverse of L4 0.38 0.96 F4 Base+0-20 0.42 0.78 S4 Base+20-40 1.21 0.85 C4 Base+10-30 1.50 0.60 P4 Base+0-10,30-40 1.49 0.43 そ の 結 果 ,い ず れ も L4 の 結 果 に は 及ば ず,L4 が Whole に 最 も 近 い 診 断 結 果 を 得 ら れ る 事 が 分 かった .同 様 の 実 験( L1 か ら 最 大 L4 ま で )を 10 回 行った 結 果 を 表 2.4 と 表 2.5 に 示 す.Exp. ID は 実 験 ID,Heat ID は 当 該 実 験 で 提 案 手 法 を 適 用 し た 場 合 の 最 終 Heat ID ま た は 比 較 対 象 の Heat ID,Euclid. は 当 該 Heat と 全 デ ー タ を 学 習 さ せ た 結 果 と の ユ ー ク リッド 距 離 ,Correlation は そ の 相 関 係 数 を 示 す.各 実 験 の 1 行 目 は 最 終 Heat の 結 果 を ,2 行 目 に , 前 項 で 説 明 し た よ う な 他 の 学 習 デ ー タ を 選 定 し た 場 合 で 最 良 の 結 果 を 出 し た Heat の 結 果 を 比 較 対 象 と し て 記 載し た .Heat ID が R で 始 ま る Heat は ,提 案 手 法 で 選 択し な かった

(26)

図 2.7: L1 の 診 断 結 果: 第 2 区 画 で CL(4 点) が し き い 値 を 超 え る 区 画 の 中 か ら ,R に 続 く 数 字 分 の 区 画 を ラ ン ダ ム に 選 択し て 学 習 デ ー タ に 追 加し た 場 合 の 結 果 を 意 味 す る .ま た ,Eval. に は 提 案 手 法 が 期 待 通 り の 選 定 結 果 を 出 せ た 場 合 に O, そ う で な い 場 合 に X を 記 載し た .た だ し ,ユ ー ク リッド 距 離 お よ び 相 関 係 数 の 一 方 で の み 優 位 性 が 現 れ た ,実 験 Exp Dd に 関し て は ,相 関 係 数 の わ ず か な 差 よ り も ユ ー ク リッド 距 離 の 顕 著 な 差 を 重 要 視し て O と し た .実 験 の 結 果 ,提 案 手 法 は 10 種 中 7 種 の 実 験 で 期 待 す る 結 果 を 出 す 事 が で き た .ま た ,初 期 学 習 デ ー タ を 変 更し た 場 合 と ,診 断 デ ー タ を 変 更し た 場 合 の 実 験 結 果 に 顕 著 な 違 い は 見 ら れ な かった .以 上 か ら ,提 案 手 法 は 大 量 の 観 測 デ ー タ の 中 か ら 学 習 デ ー タ と し て 利 用 す べ き 部 分 デ ー タ を 自 動 的 に 選 択 可 能 で あ る 事 ,ま た ,BN の 学 習 時 間 は 学 習 デ ー タ 量 に 比 例 す る た め [22],ひ い て は ,異 常 診 断 を 行 う BN の 学 習 時 間 の 短 縮 に 貢 献 で き る 事 が 分 かった .

2.3.5

結 果 の 考 察 今 回 の 実 験 で は 再 学 習 の 発 生 頻 度 が 上 が り す ぎ な い よ う に す る た め に 5 分 の 固 定 長 で 各 区 画 を 区 切 り,こ の 区 切 り に 合 わ せ て 監 視 対 象 シ ス テ ム へ 負 荷 を か け て い る .し か し ,結 果 を 詳 細 に 分 析し た と こ ろ ,観 測 デ ー タ が 表 す 負 荷 は こ の 5 分 区 画 の 境 界 を 越 え て 次 の 区 画 に 影 響 を 及 ぼ し て い る 事 が 分 かった .こ れ に よ り,提 案 手 法 で 選 定し た 区 画 の 次 の 区 画 を 学 習 す る と 選 定 区 画 の 一 部 を 学 習 し た の と 同じ 効 果 が 得 ら れ る 可 能 性 が あ る と 考 え ら れ る .こ の 状 況 を 勘 案 す る と ,負 荷 の 影 響 の 始 ま り と 終 わ り を 正 し く 認 識し て 学 習 デ ー タ に 組 み 入 れ ,か つ ,再 学 習 の 発 生 頻 度 を 一 定 以 下 に 制 御 す る こ と が , 今 後 の 改 良 点 と し て あ げ ら れ る .

(27)

図 2.8: L4 の 診 断 結 果: CL の し き い 値 超 え な し

2.4

関 連 研 究

Ira Cohenら は [5] に て ,本 論 文 で の 提 案 手 法 と 同 類 の TAN(Tree-Augmented Bayesian Network) を 活 用 し て ,様々な メト リ ク ス 観 測 結 果 と シ ス テ ム の 状 態 を 関 連 付 け る 技 術 を 発 表 し た .Steve Zhang ら は [4] に て ,本 手 法 を 拡 張し て ,直 近 の 区 画 の 観 測 デ ー タ か ら 生 成し た 新 モ デ ル が ,当 該 区 画 の 診 断 に お い て ,現 行 モ デ ル 集 合 内 のど の モ デ ル よ り も 良 い 診 断 結 果 を 出 し た 場 合 ,こ の 新 モ デ ル を モ デ ル 集 合 に 追 加 す る 診 断 方 法 を 提 案 し た .こ の 手 法 で は 複 数 の モ デ ル を 結 合 す る の に 比 べ ,本 論 文 の 手 法 で は 学 習 デ ー タ を 結 合 す る 点 が 異 な る .学 習 デ ー タ の 結 合 処 理 が デ ー タ ファイ ル の 単 純 な 結 合 で 実 現 で き る の に 比 べ ,モ デ ル の 結 合 は 時 間 の か か る 複 雑 な 処 理 と な る .Satoshi Iwata ら は [9] に て ,性 能 劣 化 の 根 本 原 因 を 推 定 す る 方 法 を 発 表 し た .シ ス テ ム を 構 成 す る 各 サ ー バ で の 処 理 時 間 の 平 均 / 中 央 / 最 大 / 最 小 を メト リ ク ス と し て ク ラ ス タ リ ン グ を 行 い ,原 因 の 判 明 し て い る 既 知 の イン シ デ ン ト と 同じ ク ラ ス タ に 属 す る 新 規 イン シ デ ン ト は 同じ 原 因 で 発 生し て い る と 推 定 す る .事 前 に 人 手 に よ る 分 析 を 終 え た 学 習 デ ー タ( 教 師 デ ー タ )を 必 要 と す る 事 が 本 論 文 の 手 法 と 異 な る 点 で あ る .Thanh H. D. Nguyen ら は [10] に て ,シ ス テ ム の 性 能 劣 化 原 因 の 自 動 特 定 技 術 を 発 表し た .こ の 技 術 は ま ず,事 前 の 性 能 テ スト で 性 能 計 測 デ ー タ と 性 能 劣 化 原 因 の ペ ア を 複 数 収 集し ,こ れ を 教 師 デ ー タ と す る .次 に ,発 生 中 の 事 象 が 教 師 デ ー タ のど れ と 類 似 し て い る か を 機 械 学 習 ア ル ゴ リ ズ ム に て 同 定 す る こ と で 事 象 の 原 因 を 推 定 す る .学 習 デ ー タ 量 削 減 の た め に Control Charts を 利 用 す る . 17種 の 機 械 学 習 ア ル ゴ リ ズ ム に て ,そ れ ぞ れ の 6 種 の 性 能 劣 化 原 因 の 究 明 率 を 比 較 し た 結 果 ,1 原 因 あ た り 4 つ の 学 習 デ ー タ を 準 備 す る こ と で ,74-80%の 精 度 で 原 因 究 明 で

(28)

図 2.9: Whole の 診 断 結 果 き る 事 を 確 認し た .少 量 で は あ る が ,事 前 に 人 手 に よ る 分 析 を 終 え た 学 習 デ ー タ( 教 師 デ ー タ )を 必 要 と す る 事 が 本 論 文 の 手 法 と 異 な る 点 で あ る .

2.5

む す び

Webサ ー ビ ス シ ス テ ム の CPU / メ モ リ / ネット ワ ー ク 等 の 利 用 状 況 の 観 測 値 を 元 に , 機 械 学 習 を 活 用 し て シ ス テ ム の 状 態 ,特 に 性 能 異 常 の 検 知 に 寄 与 す る ,学 習 デ ー タ の 自 動 選 定 手 法 を 考 案 し た .オ ン ラ イ ン 販 売 シ ス テ ム を 使 い ,あ ら か じ め 用 意 し た 初 期 学 習 デ ー タ に 加 え て ,提 案 手 法 で 自 動 選 定 し た 学 習 デ ー タ を 追 加 し た 場 合 の 診 断 結 果 と ,全 デ ー タ に よ る 診 断 結 果 の 類 似 性 を 判 定 す る 評 価 実 験 を 行った 結 果 ,10 種 中 7 種 で , よ り 少 量 の デ ー タ で 全 デ ー タ 学 習 と 同 等 の 学 習 効 果 が 得 ら れ る こ と を 確 認 し た .今 後 の 課 題 と し て ,(1)CL で の 既 学 習 / 未 学 習 を 判 定 す る 際 の 閾 値 の 決 定 方 法 ,お よ び ,(2) 未 学 習 デ ー タ を 学 習 デ ー タ に 組 み 入 れ る 際 の デ ー タ 区 画 長 の 決 定 方 法 が あ る と 考 え る . 本 実 験 で は ,CL の 判 定 閾 値 と し て ,既 学 習 デ ー タ に 対 し て は 十 分 に 大 き い と 人 間 が 判 定し た 6 を ,ま た ,デ ー タ 区 画 の 分 割 方 法 と し て 固 定 長 5 分 を ,そ れ ぞ れ 採 用し た が ,後 者 に 関し て は そ の 問 題 点 を 確 認し た .将 来 は ,前 者 に 関し て は 自 動 化 を ,後 者 に 関し て は CL の 出 力 結 果 が 急 激 に 大 き く な る エッジ を 捉 え て か ら ,急 激 に 小 さ く な る ま で の ,可 変 長 の デ ー タ 区 画 を 採 用 し ,か つ ,再 学 習 の 頻 度 が 上 が り す ぎ な い よ う に 制 御 す る の が 適 切 と 考 え る .

(29)

表 2.4: 初 期 学 習 デ ー タ を 変 更 し た 場 合 の 実 験 結 果

Eval. Exp. ID Heat ID Euclid. Correlation

X Exp Sa L4 0.66 0.36 R4 0.60 0.88 O Exp Sb L2 2.57 0.95 R2 3.19 0.95 O Exp Sc L4 0.16 0.98 R4 0.38 0.96 X Exp Sd L4 1.27 -0.07 R4 0.73 0.28 O Exp Se L4 1.26 0.37 R4 1.31 0.30 表 2.5: 診 断 デ ー タ を 変 更 し た 場 合 の 実 験 結 果

Eval. Exp. ID Heat ID Euclid. Correlation

O Exp Da L2 1.27 0.90 R2 1.45 0.90 X Exp Db L2 1.34 0.90 R2 0.97 0.95 O Exp Dc L3 0.39 0.97 R3 3.50 0.88 O Exp Dd L3 0.57 0.80 R3 2.42 0.85 O Exp De L3 0.97 0.95 R3 3.37 0.72

(30)

3

Grid

技術の

Web

サービ スシ ステムへ

の 適用

3.1

導 入

Globus toolkit [26, 27]の よ う な Grid コ ン ピュー ティン グ ミド ル ウェア と ,Open Grid Services Architecture (OGSA) [28]の よ う な Grid 標 準 は ,大 規 模 分 散 シ ス テ ム の 実 装 の 容 易 化 を 主 目 的 と し ,サ ー ビ ス 指 向 ア ー キ テ ク チャ(Service-Oriented Architecture:SOA),ア プ リ ケ ー ション を 構 成 す る コ ン ポ ー ネ ン ト の ラ イ フ サ イ ク ル 管 理 ,リ ソ ー ス の 利 用 効 率 や ア プ リ ケ ー ション の ス ケ ー ラ ビ リ ティの 改 善 に 役 立 つ リ ソ ー ス 管 理 ,と いった 機 能 を 提 供 す る .こ れ ま で ,Grid 技 術 を 効 果 的 に 活 用 で き た ア プ リ ケ ー ション の ほ と ん ど は 大 規 模 な 科 学 計 算 で あった が ,組 織 横 断 の 分 散 企 業 ア プ リ ケ ー ション に も 適 用 可 能 で あ る と 考 え る .こ れ が ,Global Grid Forum (GGF) と W3C や OASIS 等 の 標 準 化 団 体 に よ る Grid サ ー ビ ス と Web サ ー ビ ス の 標 準 を 有 機 的 に 融 合 す る こ と の 動 機 と なった .

本 章 で は ,Grid 技 術 を 企 業 ア プ リ ケ ー ション に 適 用 す る と い う 課 題 を 扱 う.特 に ,以 下 の 2 つ の 疑 問 へ の 回 答 を 試 み る .

• 既 存 の Grid ミド ル ウェア Globus toolkit が イン タ ー ネット バ ン キ ン グ や e コ マ ー ス 等 の

企 業 ア プ リ ケ ー ション に 適 用 可 能 か ど う か .こ れ を ア プ リ ケ ー ション の Grid化 と 呼 ぶ . • 機 能 性 ,性 能 ,管 理 容 易 性 等 の 観 点 で ,Grid 技 術がど ん な 付 加 価 値 を も た ら す か . 本 章 で は こ れ ら の 課 題 に 取 り 組 む た め に ケ ー ス ス タ ディを 実 施し た .バック エ ンド の デ ー タ ベ ー ス サ ー バ と ,そ れ に ア ク セ ス す る ア プ リ ケ ー ション サ ー バ ,フ ロ ン ト エ ン ド Web サ ー バ か ら な る ,典 型 的 な 3 層 Web 構 成 の e コ マ ー ス ア プ リ ケ ー ション [29] を 活 用 し た . も ち ろ ん ,こ れ は 企 業 ア プ リ ケ ー ション の 1 形 態 で し か な い が ,旧 来 の 科 学 計 算 ア プ リ ケ ー ション と は 異 な り,1 リ ク エ ス ト あ た り の 計 算 量 は 小 さ い が ,同 時 に 大 量 の リ ク エ ス ト を 許 容 し ,か つ ,応 答 時 間 を 短 く 保 つ 必 要 が あ る と い う 特 性 を 持 つ ア プ リ ケ ー ション の 代 表 と し て は ちょうど よ い . Grid技 術 が 成 熟 す る に つ れ ,こ の よ う な ア プ リ ケ ー ション は ,設 計 者 が Grid ミド ル ウェ ア を 使って 実 装 す る 典 型 的 な ア プ リ ケ ー ション と な る と 考 え ら れ る . 既 発 表 の 技 術 と は 異 な り,本 章 で は ,既 存 の 3 層 J2EE Web ア プ リ ケ ー ション を い か に

(31)

JSP (View) Servlet (Controller) Entity (Persistence) HTTP RMI (Remote) Web Container Session (Biz Logic) EJB Container RMI(Local) DB Server JDBC User (Browser) User (Browser)

(1) Typical web application – EJB version

図 3.1: 典 型 的 な Web3 階 層 ア プ リ ケ ー ション

Grid化 す る か を 詳 細 に 述 べ ,そ の 変 換 の 実 行 可 能 性 と ,Grid 技 術 の 適 合 性 を 評 価 す る 性 能 指 標 を 提 示 す る .

本 章 は ,3.2 節 で Web ア プ リ ケ ー ション を Grid 化 す る 方 法 に つ い て 述 べ る .Web ア プ リ ケ ー ション の 構 造 ,Grid 化 の 2 つ の 方 法:delegation と porting,簡 単 な オ ン ラ イン バ ン キ ン グ ア プ リ ケ ー ション を 使って ,ア プ リ ケ ー ション を 変 換 す る 方 法 ,オ リ ジ ナ ル 版 と Grid 化 版 と の 性 能 比 較 を 含 む .3.3 節 で は ,変 動 す る リ ク エ ス ト に 対 応 す る た め に ,Grid 技 術 の 動 的 リ ソ ー ス 割 り 当 て 機 能 を 活 用 す る ス ケ ー ラ ブ ル な ア ー キ テ ク チャと ,性 能 評 価 結 果 を 示 す.最 後 に ,3.4 節 で 結 論 と 今 後 の 研 究 に つ い て 述 べ る .

3.2

アプ リ ケ ー ション の Grid 化

3.2.1

概 要 こ こ で は Web ブ ラ ウ ザ か ら HTTP プ ロ ト コ ル で ア ク セ ス す る Web ア プ リ ケ ー ション を 想 定 す る .こ の よ う な ア プ リ ケ ー ション を 開 発 す る 方 法 は い く つ か あ る が ,こ こ で は , 図 3.1 に 示 す よ う な ,J2EE ア プ リ ケ ー ション モ デ ル と Enterprise Java Beans (EJB)[29] を 活 用 し た 3 層 Web ア プ リ ケ ー ション に 注 目 す る .こ こ で い う 3 層 と は ,

• Web サ ー バ. HTTP で ア ク セ ス され る フ ロン ト エ ンド で ,JavaServer Pages (JSP) と Servlet

か ら 構 成 さ れ る .コ ード は Web コ ン テ ナ 上 で 実 行 さ れ る .

• アプ リ ケ ー ション サ ー バ. 業 務 ロ ジック 記 述 と アプ リ ケ ー ション の 状 態 を 保 持 す る た

め に Session Beans と ,Entity Beans を 活 用 す る .Session Beans は ク ラ イ ア ン ト と ア プ リ ケ ー ション サ ー バ 間 の や り 取 り を 表 現 し ,ク ラ イ ア ン ト の た め の タ ス ク を 実 行 す る .Entity Beans は 永 続 化 オ ブ ジェク ト を 表 現 す る .コ ード は EJB コ ン テ ナ 上 で 実 行 さ れ る .

• デ ー タ ベ ー ス サ ー バ. ア プ リ ケ ー ション サ ー バ の バック エ ンド で Entity Beans の 永 続

図 2.1: 学 習 デ ー タ 自 動 選 定 手 順 デ ー タ で 再 度 学 習 を 行 う.こ の 再 学 習プ ロ セ ス に よ り,新 た な 状 態 を 含 ん だ 学 習 デ ー タ に よ る モ デ ル が 生 成 さ れ る .上 記 (2) か ら (5) を 繰 り 返 す こ と で ,徐々に ,CL が 未 知 と 判 定 す る 頻 度 が 減 少 し ,学 習 デ ー タ の 集 合 が 収 束 に 向 か い ,全 デ ー タ と 比 較 し て 少 量 の 学 習
図 2.2: 実 験 シ ス テ ム の 構 成 収 集デ ー タ の 一 覧 を 表 2.1 に 示 す.今 回 の 実 験 で は ,LB で#1 か ら#3 と#5 ま で の 7 項 目 , 2 台 の Web サ ー バ そ れ ぞ れ で#1 か ら#4 ま で の 合 計 8 項 目 ,DB サ ー バ で#1 ( 2 コ ア 分 )と , #2, #3, #4, #6 の 合 計 7 項 目 ,計 22 項 目 の シ ス テ ム 監 視 で 一 般 的 な メト リ ク ス を 収 集し
表 2.1: 監 視 対 象 メト リ ク ス
図 2.3: 初 期 学 習 デ ー タ の リ ク エ ス ト 量 最 近 傍 ク ラ ス タ か ら の 距 離 と し て 利 用 し た .以 降 の 観 測 デ ー タ に 対 し て は ,再 学 習 で 生 成 さ れ た モ デ ル で 診 断 を 行 う.50 分 間 の 初 期 学 習 デ ー タ に 加 え ,最 大 で 8 区 画 40 分 間 の デ ー タ が 学 習 デ ー タ に 追 加 さ れ る .今 回 の 実 験 で は ,後 半 8 区 画 40 分 中 の ,連
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