JAIST Repository: P19胚性腫瘍細胞の分化誘導初期における遺伝子発現解析
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(2) B14a2 P19 胚性腫瘍細胞の分化誘導初期における遺伝子発現解析 佐飛 真知子(塚原研究室) 【背景と目的】近年、心筋や神経等の様々な細胞に分化が可能な幹細胞が、再生医療への利用や細胞 の分化メカニズム解明のモデルとして注目を浴びている。幹細胞は骨髄だけでなく、いろいろな臓器 に存在することが知られており、幹細胞の利用には分化に影響を与えているシグナルのメカニズムを 理解することが必要である。 P19 胚性腫瘍細胞は、様々な濃度の all-trans レチノイン酸(at-RA)で処理することによって多分化 能を持つ細胞であり、安定で維持が容易な点から幹細胞の分化誘導研究の良いモデルとなっている。 RA は初期胚の前後軸形成に関わっており、 RA の濃度勾配を形成することで形態形成に影響を及ぼす。 現在までに at-RA や TGF-β ファミリーのような、濃度依存的に細胞分化に関わっている Morphogen が複数同定されてきた。細胞の分化は最終分化に至るまで、多段階な状態をとるが、in vitro の実験で その初期段階から濃度依存的な効果を受けていることが示唆されている。しかし、幹細胞の初期発生 において機能している分子やシグナル経路が、いままで考えられてきたよりもずっと複雑であること がわかってきた。そこで本研究では P19 胚性腫瘍細胞の分化誘導初期段階における遺伝子変化と、分 化の方向性の関連性を明らかにするため、at-RA の濃度依存的な遺伝子発現の変化を cDNA マイクロ アレイを用いて解析した。 【実験方法】2.0 x 105cells / ml の P19 細胞を at-RA を加えた培地中で 3 時間、分化誘導を行い Agilent Oligo Microarray で解析することで、初期段階での濃度依存的な遺伝子変化を検討した。また、at-RA 濃度を変え(0, 2, 20, 200 nM)マイクロアレイ解析を行うことで中胚葉および外胚葉系細胞への分化 誘導条件下での遺伝子発現の変化を検討した。 【結果と考察】解析を行った 20,868 遺伝子から RA による影響があると知られている 315 遺伝子を取 り上げた。この遺伝子群のうち、平均値から外れた全体の上位/下位 5%と、RA による直接の影響が確 認されている計 93 遺伝子について、クラスタリングを行い、3 グループに分類した。 •. グループ 1 : 0 nM に比べ、遺伝子の発現が減少している遺伝子群 (50 遺伝子). •. グループ 2 : 0 nM に比べ、遺伝子の発現が上昇している遺伝子群 (26 遺伝子). •. グループ 3 : 0 nM に比べ、遺伝子の発現が上昇している遺伝子群 (17 遺伝子). グループ 2 とグループ 3 の違いは、20 nM と比べ 200 nM の発現が減少している遺伝子群がグループ 2、上昇している遺伝子群がグループ 3 である。発現後期で RA による影響が示唆されている遺伝子で も初期段階では大きな影響が見られないことや、特定の濃度で発現が上昇していることを確認した。. 図 1. 各 RA 濃度の発現強度 (左)グループ 1 (中央)グループ 2 (右)グループ 3 Keyword:all-trans Retinoic acid、分化誘導、Microarray、P19 胚性腫瘍細胞.
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