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Title
遺伝子改変マウスを用いた間葉系幹細胞分化メカニズム
の解析
Author(s)
溝口, 利英
Journal
歯科学報, 118(5): 467-467
URL
http://hdl.handle.net/10130/4730
Right
Description
467 歯科学報 Vol.118,No.5(2018)
シ ン ポ ジ ウ ム
遺伝子改変マウスを用いた間葉系幹細胞分化メカニズムの解析
東京歯科大学口腔科学研究センター溝口 利英
骨髄間葉系幹細胞( BM-MSC)は,自己複製能と多分化能を有する。したがって,生涯にわたる骨芽細胞の 供給は,BM-MSC が担うと考えられている。しかしながら,そのキャラクター,生体内での分化調節機構お よび骨代謝に対する重要性についての十分な理解は得られていない。そこで我々は,遺伝子改変マウスによる フェイトマッピング解析法を用いて,BM-MSC を生体内で同定することを試みた( Dev Cell 29:340,2014)。 マウスの胎生14.5日齢(E14.5)の骨発生部位には軟骨原基が認められるが,その内部に骨髄組織は存在しな い。E14.5の軟骨原基を,骨芽細胞分化のマスター転写因子である Osterix(Osx)に対する抗体で免疫染色 を行った。その結果,組織の広範囲に,Osx の発現が認められた。以上の結果より,骨の成長過程に Osx を 発現する細胞画分に,成体の BM-MSC の起源となる細胞が含まれることを予想した。そこで,新生仔期の Osx 陽性細胞から分化する子孫細胞を,フェイトマッピング解析により調べた。その結果,Osx 陽性細胞の一部 が,成体の BM-MSC に寄与することが明らかになった。また,Osx 陽性細胞由来の BM-MSC は,レプチン 受容体(LepR)を組織特異的に発現し,血管に近接した場所に局在した。LepR 陽性細胞は成長にともない 骨芽細胞および脂肪細胞に分化した。また,BM-MSC の軟骨細胞への寄与は,発生段階には認められないも のの,骨折治癒過程においては確認された。 一方,副甲状腺ホルモンの N 末端の34アミノ酸残基[テリパラチド:PTH(1-34)]は,骨量増加作用を 有し,骨粗鬆症治療薬として臨床で用いられている。次に我々は,LepR 陽性細胞の子孫細胞への分化に対す る PTH(1-34)の作用を調べた。その結果,PTH(1-34)は,LepR 陽性細胞の骨芽細胞分化を亢進す ることが示された( Sci Rep 7:4928,2017)。興味深いことに,PTH( 1-34)は骨髄の脂肪細胞を減少させ た。すなわち,PTH(1-34)は,LepR 陽性細胞の子孫細胞への分化の方向性を脂肪細胞から骨芽細胞側に スイッチすることにより骨粗鬆症の改善効果を発揮することが示唆された。本講演では,以上の所見を基に, BM-MSC の骨代謝に対する重要性を議論したい。 ≪プロフィール≫ 2006年 松本歯科大学総合歯科医学研究所講師 2018年 東京歯科大学口腔科学研究センター講師 (現職) (海外) 2011年-2014年米国 Albert Einstein College of Medicine (Pau l S. Frenette 博士)博士研究員 2017年-2018年
米国 Albert Einstein College of Medicine
<学 歴> (伊藤圭介博士)客員研究員
1998年 東京薬科大学生命科学部卒業
2000年 東京薬科大学大学院生命科学研究科修士号取得 <受賞歴>
(生命科学) 2014年8月 第11回 Bone Biology Forum
2005年 東京薬科大学大学院生命科学研究科博士号取得 優秀演題賞受賞 (生命科学) 2015年6月 第1回日本骨免疫学会,最優秀演題賞受賞 2016年2月 第1回口腔医科学フロンティア研究会, <職 歴> 研究奨励賞受賞 2000年 松本歯科大学総合歯科医学研究所助手 2016年7月 第34回日本骨代謝学会,研究奨励賞受賞 ― 99 ―