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腸腫瘍におけるDclk1陽性細胞の遺伝子発現プロファイリング

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Academic year: 2021

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Title

Gene expression profile of Dclk1+ cells in intestinal tumors(

Abstract_要旨 )

Author(s)

Yamaga, Yuichi

Citation

Kyoto University (京都大学)

Issue Date

2019-01-23

URL

https://doi.org/10.14989/doctor.r13221

Right

https://doi.org/10.1016/j.dld.2018.06.011

Type

Thesis or Dissertation

Textversion

ETD

(2)

京都大学

博士(医学)

氏 名

山 賀 雄 一

論文題目

Gene expression profile of Dclk1

+

cells in intestinal tumors

(腸腫瘍における Dclk1 陽性細胞の遺伝子発現プロファイリング)

(論文内容の要旨)

正常組織に幹細胞が存在するように、腫瘍細胞においてもヒエラルキーがあり、腫 瘍幹細胞が存在するという仮説が提唱されており、腫瘍の治療標的として注目されて いる。京都大学医学部消化器内科学では以前に、腸腫瘍のモデルマウスにおいて Dclk1 が正常組織の幹細胞ではなく、腫瘍幹細胞の特異的なマーカーであり、Dclk1 陽性かつ Lgr5 陽性細胞が腸腫瘍の腫瘍幹細胞であることを報告した。腫瘍幹細胞を標的とする 治療を開発するためには、腫瘍幹細胞に特異的に発現しているキナーゼなどの創薬標 的を同定する必要がある。そこで本研究では、マウスの正常小腸上皮と小腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞において高発現している因子のプロファイリングを行った。 まず、マウスの正常小腸上皮と小腸腫瘍において、Dclk1 陽性細胞と Dclk1 陰性細 胞をフローサイトメトリーにてソーティングし、マイクロアレイにより遺伝子発現プ ロファイリングを行った。さらに Dclk1 陽性細胞で高発現している因子について蛍光 免疫染色で検討した。その結果、正常小腸上皮の Dclk1 陽性細胞で、エイコサノイド 合成経路に関わる Alox5ap が高発現していることがマイクロアレイによって示され た。Dclk1 は Cox を発現する Tuft 細胞のマーカーであるという既報と合致する結果で あった。さらに正常小腸上皮の Dclk1 陽性細胞では、Rac2、Camk2b、Myo1b などの微 小管や細胞骨格に関わる因子や、Hck、Csk、Ptpn6 などの Src ファミリーキナーゼが 高発現していることがマイクロアレイによって示された。蛍光免疫染色でこれらの因 子が正常小腸上皮の Dclk1 陽性細胞に発現していることを確認した。さらに蛍光免疫 染色では、リン酸化 Hck と、Src ファミリーキナーゼに属するリン酸化 Lyn も正常小 腸上皮の Dclk1 陽性細胞に発現していた。小腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞においては、 Rac2、Camk2b や、Hck、Ptpn6 などが高発現していることがマイクロアレイで示され た。蛍光免疫染色にてこれらの因子が小腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞に発現していること を確認した。さらに蛍光免疫染色で、Myo1b、Csk、リン酸化 Hck、リン酸化 Lyn が小 腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞に発現していた。正常小腸上皮と小腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞 の遺伝子発現プロファイリングが類似していたため、両者を直接マイクロアレイで比 較した結果、細胞周期を正に制御する Ccnd1 が小腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞で高発現し ていた。蛍光免疫染色で Ccnd1 が小腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞に発現していることを確 認した。蛍光免疫染色で、細胞周期に関わる c-Jun も小腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞で発 現していた。Ccnd1、c-Jun はいずれも小腸腫瘍内に広く発現している。そこで、腫瘍 幹細胞に特異的に発現している因子を検索するため、小腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞にお いて高発現している因子の中で、小腸腫瘍の Lgr5 陽性細胞にも発現している因子を 免疫染色で検討した。その結果、小腸腫瘍においてリン酸化 Hck とリン酸化 Lyn が小 腸腫瘍の Lgr5 陽性細胞にも発現していた。すなわち、リン酸化 Hck とリン酸化 Lyn とが、小腸腫瘍中の Dclk1 陽性と Lgr5 陽性細胞の双方に発現しており、これらの因 子が Dclk1 陽性腫瘍幹細胞において重要な因子である可能性が示唆された。 以上のように、本研究では、腸腫瘍における Dclk1 陽性細胞で高発現する因子を明 らかにした。これらの因子が腫瘍幹細胞を標的とする治療の開発につながる可能性が 示唆される。

(論文審査の結果の要旨)

大腸癌に対する新規治療法のひとつとして癌幹細胞を標的とする治療の研究が進

められている。Doublecortin like kinase 1 (Dclk1)は、腸腫瘍モデルマウスにおいて正常

小腸では分化した細胞(tuft 細胞)を、腸腫瘍では Lgr5 とともに腫瘍幹細胞をマー

クする。そこで本研究では、マウス正常小腸と腸腫瘍における Dclk1 陽性細胞の遺

伝子発現プロファイリングを行った。

まず正常小腸上皮と小腸腫瘍の Dclk1 陽性細胞をフローサイトメトリーにてソー

ティングし、マイクロアレイ解析を行ったところ、正常小腸上皮と小腸腫瘍の Dclk1

陽性細胞において Rac2 などの細胞骨格に関わる因子や、Hck などの Src ファミリー

キナーゼが高発現していた。腸腫瘍幹細胞に特異的な因子を同定するため、小腸腫

瘍の Dclk1 陽性細胞に発現する因子について、小腸腫瘍の Lgr5 陽性細胞における免

疫染色を行ったところ、Hck および Lyn のリン酸化が亢進していた。

以上の研究は大腸癌幹細胞の特質解明に貢献し、大腸癌の新規治療標的候補同定

に寄与するところが多い。

したがって、本論文は博士(医学)の学位論文として価値あるものと認める。

なお、本学位授与申請者は、平成30年12月25日実施の論文内容とそれに関連

した試問を受け、合格と認められたものである。

要旨公開可能日: 年 月 日 以降

参照

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