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〈原著〉Zymosan誘発関節炎モデルおよび自然飼育加齢モデルマウスにおけるレクチン様酸化LDL受容体-1(Lectin-like Oxidized LDL receptor-1, LOX-1)の役割: ノックアウトマウスを用いた研究

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Academic year: 2021

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(1)近畿大医誌(MedJKi nkiUni v)第39巻1,2号. 13∼2 5 2 01 4. 1 3. Zymo s a n誘発関節炎モデルおよび自然飼育加齢モデル マウスにおけるレクチン様酸化 LDL受容体1 (Le c t i n l i keOxi d i z e dLDL r e c e p t or 1 ,LOX1)の役割: ノックアウトマウスを用いた研究 小 田. 豊. 近畿大学医学部整形外科学教室. 抄. 録. 血管内皮の酸化低比重リポ蛋白(LDL)受容体として同定されたレクチン様酸化 LDL受容体-1 (Le c t i nl i ke -1 ,LOX-1)が軟骨細胞にも発現することが示され,LOX/ 酸化 LDL系と関節症の関 Oxi di ze dLDL r e ce pt or 1 連が示唆されている.しかし,LOX1ノックアウト(KO)マウスを用いてこれを i nvi voで証明した報告はない. KOおよび C5 7BL野生型(WT)マウスに Zymos an誘発関節炎を作製し,炎症細胞浸潤,滑膜過形成,軟骨変性 を組織学的に評価した.また同様のマウスを長期自然飼育し,9週,6,1 2 ,1 8 ケ月で膝関節を摘出し加齢に伴う 組織学的変化を評価した.炎症細胞浸潤は Zymos an投与1日後,滑膜過形成は3,7日後,軟骨変性は7日後に おいて KOで抑制が認められた.免疫染色では WT マウスの滑膜細胞,軟骨細胞において LOX-1の発現,酸化 2 ,1 8 ケ月において KOで軟骨変性は抑制されており, LDLの局在が認められた.長期自然飼育加齢モデルでは1 WT マウスにおいて LOX1,酸化 LDLの陽性細胞率は軟骨変性の進行と共に増加し,これらの間には有意な正の 相関を認めた.本研究により LOX-1および酸化 LDLが滑膜への炎症細胞浸潤,それに引き続く滑膜過形成および 軟骨変性,そして軟骨の加齢変性に関与している可能性が示された. ) 1 ,Zymos ani nduc e d Ke ywor ds:oxi di z ed LDL ( OxLDL),l e c t i nl i ke oxi di z ed LDL r e c ept or 1( LOXar t hr i t i s ,s ynovi t i s ,c ar t i l agede gene r at i on,agi ng. 諸. 言. 血管内皮細胞における酸化低比重リポ蛋白 (LDL)の受容体としてクローニングされたレクチ ン 様 酸 化 低 比 重 リ ポ 蛋 白 受 容 体 -1 (l ec t i nl i ke oxi di z edl ow de ns i t yl i popr ot ei nr e c e pt or 1,以下 )が軟骨細胞にも発現していることが示さ LOX-1 れ,LOX酸化 LDL系と軟骨変性との関連が示唆 1/. 局在していること,抗 LOX-1モノクローナル抗体 の投与により滑膜炎および軟骨変性が抑制されるこ とを示した워 .さらに,LOX-1と酸化 LDLの結合は ラット培養軟骨細胞において PI ( 3 ki nas e PI 3 k)/ Akt経路の抑制により細胞活性を低下させ非アポ トーシス細胞死を誘導することを示した웋 .当教室 월 では,ウシ培養軟骨細 胞 に お い て,酸 化 LDLと. されてきた웋 .LOXαな 욹 웏 1は I L1 β,I L-6,TNF-. LOX1の結合が細胞内活性酸素種(r e ac t i ve oxy,以下 ROS)を発生させ NF-κBを活性 ge ns pe ci es. どの炎症性サイトカインや機械的ストレス,リガン. 化すること,ヒト OA 軟骨において LOX-1が発現. ドである酸化 LDL自身によって発現が亢進し,酸. し酸化 LDLが局在すること,これらの局在と軟骨. 化 LDLとともに動脈. 変性度が良く相関することを示した.さらに,血管. 化症の発症および進展に関. 与していることが示されている受容体である원 . 욹 웓 Nakagawaらは,ラット実験的関節炎モデルの軟. 内皮増殖因子(VEGF)や単球走化 性 因 子 蛋 白 1 (MCP1)発現を亢進させること,軟骨細胞の 化. 骨細胞組織において LOX-1が発現し酸化 LDLが. を促進し肥大軟骨細胞様形質を誘導することを示し. 大阪府大阪狭山市大野東3 77 2 (〒5 8 98 5 11 ) 受付 平成25 年1 0 月3 1 日,受理 平成2 5 年1 1 月1 8日.

(2) 1 4. 小 田. 豊. てきた웎 .さらに,ウシ培養軟骨細胞系を用いて 웦 웋 웋 욹 웋 웎 LOX-1と酸化 LDLの結合はテロメラーゼ活性を 抑制し細胞老化を促進すること,ストレス誘発性細 胞老化を生じることを報告し,加齢による軟骨細胞 の老化変性にも LOX-1 /酸化 LDL系が関与する可 能性を示した웋 .近年,ヒト関節リウマチ(RA)の 웏 軟骨細胞において LOX-1の発現が認められ,酸化 LDL刺激によりマトリックスメタロプロテアーゼ3 (mat )発現が r i xmet al l opr ot e i nas e 3,MMP3. 方. 法. 1)実験動物 実験動物として雄の野生型 C5 / lマウス 7 BL6 Jc (日本クレア社,東京,WT マウス)と雄の LOX-1 遺伝子欠損マウス (遺伝的背景は C5 ,KOマウ 7BL6 ス) を. 用した.KOマウスはリガンド結合に必須で あるレクチン様ドメインをコードするエクソンをネ オマイシン耐性遺伝子に置換するターゲティングベ. の発現が認められ,酸化 LDLの刺激により MMP-. クターを設計し作製された워 .Zymos 워 an誘発関節炎 モデルには上記マウス9週齢のものを 用した.. ,3の産生が亢進されることが示されている웍 . 1 웦 웋 원 本研究では,LOX-1ノックアウトマウス(KO). KOマウスは国立循環器センター沢村達也先生のご 好意により提供されたものを近畿大学医学部実験動. を用いて,亜急性関節炎における LOX-1の役割を. 物施設で繁殖して用いた(ホモ同士の. i nvi voで検討した.すなわち,KOが関節内への炎 症細胞浸潤,滑膜過形成,軟骨変性を抑制できるか. 配) .全ての実験は近畿大学医学部実験動物取扱規約. どうかを,Zymos an誘発関節炎を用いて検討した. Zymos anは酵母菌の細胞壁から抽出した β-グルカ. 2)Zymos an誘発関節炎モデルマウス WT マウス 9週齢 雄および KOマウス 9. ンであり,補体副経路を活性化し,Zymos anを貪食. 週齢 雄をソムノペンチル (シェリング・プラウ ア. したマクロファージは活性化する.活性化したマク. ニマルヘルス社 ペントバルビタールナトリウム. ロファージは I L-1を産生し,ライソソーム酵素や. 16 . 2mg/ 0. 2 5ml )腹腔内投与による全身麻酔を行. 活性酸素(ROS)を放出し,血管透過性亢進,白血 球浸潤を引き起こすとされている웋 .Zymos 웑 웦 웋 웒 anを 関節内投与すると,上記のような機序にて亜急性の. った. 尖刃刀にて右膝蓋骨傍切開にて皮切を加えた.. 滑膜炎,滑膜過形成,軟骨変性を引き起こし,これ. 関節内注射後,皮膚を 7 0ナイロンにて縫合した.. らの変化は RA 関節症変化と類似している웋 .LOX 웑 は血管内皮細胞に発現し, 白血球のローリング, 1 接着,血管内皮細胞下への浸潤に重要な作用がある. 対照として同様の方法にて左膝関節に生理食塩水 (6. 亢進すること,ヒト RA 滑膜細胞において LOX-1. ことが示されている웋 .また,前述の如く LOX웓 1は 炎症性サイトカインや酸化 LDLにより軟骨細胞で の発現が亢進し,関節炎および軟骨変性を促進する 可能性が示されている.我々は RA に類似した亜急 性関節炎における LOX-1の役割を検討するため, Zymos an誘発関節炎を用いた.さらに,マウスは通 常の環境で長期飼育を行うことにより膝関節に変形. 配,兄妹. を遵守して行われた.. 膝蓋腱外側から3 0 ゲージ針,10 lシリンジを用いて 8 0 g/ 6l )を s ,MO,1 Zymos an(Si gma,St .Loui. )を関節内注射した. l 関節内注射後1日後,3日後,7日後に. 殺,両. 膝関節を採取した(各 n=1 0 ). 3)自然飼育マウス WT マウスおよび KOマウスを一定条件下(同一 ケージ内,室温 2 2 ±1 ℃ 湿度 5 0±1 0 % 飼料 日本クレア社 CE-2 ) にて長期飼育を行い,9週齢, 6ケ月,1 2 ケ月,1 8ケ月で 殺し膝関節を採取した (各 n=1 0 ).. 性関節症(OA)様変化を生じることが知られてい る워 .そこで,加齢性軟骨変性を基盤とする OA に 월 웦 워 웋. 4)組織学的検討. おける LOX1の役割を i nvi voで検討する目的で,. 衝液を用いて固定した (4℃,24 時間) .組織標本は. KOの長期自然飼育を行ない,KOと野生型(WT) マウスとで軟骨組織を比較した.また,野生型マウ. 4 )にて脱灰(4℃,2週間)し 10 %EDTA(pH 7. た後,高濃度エタノールにて脱水した.パラフィン. ス に お い て 軟 骨 変 性 と 酸 化 LDLの 局 在 お よ び. ブロックとした標本をパラフィン用滑走式ミクロト. LOX1発現の関連を組織学的に検討した. 本研究は,LOX酸 1KOマウスを用いて LOX1/. ームにて約 4 m の連続切片として切り出した.切 り出しは大 骨内側顆荷重部矢状方向とした.切片. 化 LDL系の関節炎における滑膜炎,軟骨変性への 関与,および,加齢による軟骨変性への関与を検討. は脱パラフィン後,HE染色,サフラニンO染色を行 い,滑膜炎症細胞浸潤,滑膜過形成,軟骨変性程度. した最初の報告である.. を評価した.. 両側膝関節は4%パラホルムアルデヒドリン酸緩. Zymos an誘発関節炎モデルにおけるスコアリン グは以下の如く行った.中川らのスコアリング方法워.

(3) 関節症における LOX-1の役割:ノックアウトマウスを用いた研究. 15. に従って評価した.. による前処理 1 0 の後,2%正常ヤギ血清を用い. 滑膜炎症細胞浸潤. てブロッキングを行った (室温,40 ) .一次抗体は. 0 =正常. 抗 LOX-1ラビット・ポリクローナル抗体(abcam. 1 =微増. 社,濃度 1 :5 0 0 ,1 および %BSA 含有 PBSに溶解). 2 =軽度. 酸化 LDL (MI :5 0 0 ,1%BSA LLI PORE社,濃度 1. 3 =中等度. 含有 PBSに溶解)を4℃,2 4 時間反応させた.PBS. 4 =重度. 洗浄後(5. ×3回) ,二次抗体(Ve ,ビオチン ct or 標識ヤギ抗ラビット I gG抗体,室温 30 )を反応. 滑膜過形成(表層細胞の重層化) 0 =正常滑膜 1 =微弱,滑膜表層重層化,わずかな層構造を呈する もの 2 =軽度,滑膜表層重層化,いくらかの層構造を呈す るもの. させ,PBS洗浄後(5 ×3回) ,アビジン/ ビオチ ン標識ぺルオキシダーゼ混合液(Ve ,室温,30 c t or )を反応させた.PBS洗浄後(5 ×3回),DAB (Ve )にて発色,続いてヘマトキシリン液(和光 c t or 純薬工業,大阪)にて核染色を行った.. 3 =中等度,滑膜表層重層化,不明瞭な層構造を呈す. 6)軟骨細胞における LOX,酸化 LDLの陽性細 1. るもの. 胞数. 4 =重度,滑膜表層重層化,完全に不明瞭な層構造を. 最も変性の進んだ部位の軟骨組織(内側大. 骨,. 呈するもの. 脛骨顆部)において一定領域内(顕微鏡拡大率4 0 0倍. 軟骨変性度. 画像内の大. 1 =正常. おける軟骨細胞)の LOX1および酸化 LDLの陽性. 2 =表層のみサフラニンO染色低下. 細胞数をカウントし,軟骨変性度と相関するかを検. 3 =深層までサフラニンO染色低下. 討した. 7)統計解析. 4 =サフラニンO染色が完全に失われたもの 軟骨変性のスコアリングについては,内側大. 骨関節面および脛骨関節面軟骨組織に. 骨. 各データは平. 値±標準偏差(平. ±標準偏差). 症学会(OARSI )の定めたマウス軟骨組織変性評価. で表記し,平 値の有意差検定には St ude ntst t e s t ) を用いた. および酸化 の陽 (unpai LOX 1 LDL r ed 性細胞率と OARSIスコアによる軟骨変性度との相. スコアを用いた워 .本評価法は平 変性スコアと最 웍 大変性スコアからなり,平 変性スコアとは最大変. 関はピアソンの相関係数を用いて検討した(Exce l . 20 1 0,日本マイクロソフト,東京). および脛骨関節面の点数を合計した. 自然飼育マウスにおけるスコアリングは国際関節. 性部位と最少変性部位との平. 値をとったものであ. 結. る.スコア法は以下に示す.. 果. 0 =正常. 1.Zymos an誘発関節炎モデルにおける関節炎ス. 0 . 5=構造上の変化はなく, サフラニンO染色の低下. コア. のみ 1 =軟骨欠損がなく, 軟骨表面のわずかな線維化のみ. HE染色およびサフラニンO染色を各実験群にお いて行った.顆間部滑膜において炎症細胞浸潤およ. 2 =縦方向への浅層下への亀裂と微細な表層の欠損. び滑膜過形成を,大. 3 =石灰化軟骨層への縦方向の亀裂, びらんが関節表 層の25%未満. 軟骨において軟骨変性を組織学的に評価した.WT マウス, KOマウス共に Zymos an投与1日後におい. 4 =石灰化軟骨層への縦方向の亀裂, びらんが関節表. て滑膜への炎症細胞浸潤が最も顕著であったが,. 層の25%以上50 %未満. KOマウスにおいて抑制される傾向があった(図1 A,B) .Zymos an投与1日後の炎症細胞浸潤スコア. 5 =石灰化軟骨層への縦方向の亀裂, びらんが関節表 層の5 0%以上75 %未満. (平. 骨および脛骨の内側顆部関節. ±標準偏差)は,WT マウス 3 . 5 ±0 .9 7 に対し. 層の7 5%以上. . 5±0 . 9 7 で,KOマウスにおいて有意に KOマウス 2 .Zymos 低値であった (図1C,웬p<0 .0 5 ,n=1 0 ) an. 5)免疫組織学的検討. 投与3日,7日後において炎症細胞浸潤は軽減傾向. (Ve s c t or , Bur l i ngame, Vec t as t ai n ABC ki t USA)のプロトコールに従い免疫染色を行った.脱. にあり,WT マウスと KOマウスに差は無かった. 6 =石灰化軟骨層への縦方向の亀裂, びらんが関節表. パラフィン後のマウス膝切片を用いて, LOX1およ び酸化 LDLの免疫染色を行った.3%過酸化水素. (図1C).コントロールの生食投与群では WT マウ ス,KOマウスともに炎症細胞浸潤は認められなか った (図1D∼F) .滑膜過形成については WT マウ.

(4) 16. 小 田. 豊. ス,KOマウスともに経時的に増悪の傾向があり, KOマウスにて抑制される傾向があった(図2AD) .滑膜過形成スコア(平. ±標準偏差)は,関節. 内注射3日後において WT マウス 2.9 ±0 .74 に対 し て KOマ ウ ス 2 . 1±0 . 8 7 で あ り(図 2 E, p< 0 . 0 5,n=1 0) ,7日後におい て WT マ ウ ス 3 .4± 0 .7 0 に対して KOマウス 2.3 ±1 . 1 5で,KOマウス において有意に低値であった(図2E, p<0 .02, 0 ).コントロールの生食群では WT マウス, n=1 KO マウスともに滑膜過形成は認められなかった(図2 F∼J).軟骨変性については WT マウスにおいて 経時的にサフラニンOの染色性の低下が進行する傾 向があったが,KOマウスでは染色性の低下に大き な変化はなかった(図3A,B) .軟骨変性スコア (平 ±標準偏差)は7日後において WT マウス 2 .4± 0 .9 4 に対して KOマウス 1. 6±0 .5 9であり,KOマ ウスにおいて有意に低値であった(図3C, p< 0 .0 0 3,n=1 0) .コントロールの生食投与群では WT マウス,KOマウスともにサフラニンOの染色性の 低下は認められなかった(図3D∼F) . 2.Zymos an誘発関節炎モデルにおける LOX-1 の発現および酸化 LDLの局在と軟骨変性スコアの 関連 軟骨細胞,滑膜細胞,滑膜血管内皮細胞における LOX1の発現,酸化 LDLの局在を免疫染色により 評価した. 軟骨細胞:WT マウスにおいては,Zymos an投 与群の軟骨細胞において Zymos an関節内注射1日 後より LOX1,酸化 LDLの染色性が認められ,3 日後,7日後と軟骨変性の増悪と共に陽性細胞数は 増加していた.また,LOX1,酸化 LDLの染色性は 肥大 図. HE染色による滑膜炎症細胞浸潤の組織学的 評価. , それぞれ WT マウス,KOマウスの Zymos an投与1日後の HE染色を示す(× 2 0 0) .KOマウスにおいて滑膜炎症細胞浸潤 は抑制されている. Zymos an投与1,3,7日後の炎症細胞 浸潤スコアを WT マウスと KOマウスで比 較した.Zymos an投与1日後における KOマ ウスのスコアは有意に低値であった(エラー バーは標準偏差を示す.n=1 0,St udentst , p<0 .05) . t e s t , それぞれ WT マウス,KOマウスの 生食投与1日後の HE染色を示す(×200 ) . 滑膜炎症細胞浸潤は認められない. コントロールとして生食投与1日後,3 日後,7日後の WT マウス,KOマウススコ アを評価した.スコアは全例0点であった.. 化した軟骨細胞に多く認められる傾向があっ. た(図4A,B上段) .WT マウス生食群では LOX -1 ,酸化 LDLともに染色性は認められなかった (図 4A,B下段).KOマウスの Zymos an群および生 食群においては LOX1,酸化 LDL共に染色性は認 められなかった(図4C,D) . 滑膜細胞:WT マウスにおいては,Zymos an関 節内注射1日後より滑膜細胞の LOX-1,酸化 LDL 染色性が認められ,3日後,7日後も同様に認めら れた(図5A,B上段).生食投与群では LOX-1 , 酸化 LDL染色性は認められなかった(図5A,B下 段) .KOマウスにおいては Zymos anおよび生食投 与群のいずれにおいても LOX-1 ,酸化 LDLの染色 性は認められなかった(図5C,D) . 滑膜血管内皮細胞:WT マウス Zymos an投与 群1日後の滑膜血管内皮細胞において LOX-1発現 の亢進が認められ,3,7日後も同様に認められた..

(5) 関節症における LOX1の役割:ノックアウトマウスを用いた研究. 1 7. 図쏰 HE染色による滑膜過形成(表層細胞の重層化)の組織学的評価. ∼ それぞれ WT マウス,KOマウスの Zymos 0 ) . an投与3,7日後の HE染色を示す(×20 KOマウスでは滑膜の過形成が抑制されている. Zymos an投与1,3,7日後のスコアを WT マウス,KOマウスで比較した.Zymos an投 与3,7日後において KOマウスのスコアが有意に低値であった(エラーバーは標準偏差を示す. 0,St ,웬p<0 . 0 5 ,웬 . 0 2 ) . n=1 udentst t es t 웬 p<0 ∼ それぞれ WT マウス,KOマウスの生食投与3,7日後の HE染色を示す(×20 0 ) .滑 膜過形成はほとんど認められない. コントロールとして生食投与1日後,3日後,7日後の WT マウス,KOマウススコアを評 価した.スコアはいずれも低値で有意差を認めない.. (図6A上段) .WT マウス 生食投与群,KOマウス 群では滑膜血管内皮細胞の LOX-1発現を認めなか った(図6A 下段,図6B) . 3.長期自然飼育における LOX-1ノックアウトの. 加を認めたが,9週齢,6ケ月,1 2ケ月,1 8 ケ月齢 のすべての時期において,WT マウスおよび KOマ ウスの間に有意な差を認められなかった(図7) . 2)OARSI評価スコアによる関節軟骨変性評価 大 骨内側顆,脛骨平原の関節軟骨変性の程度を. 軟骨変性に与える影響の検討 1)体重 自然飼育におけるマウス体重(グラム,平. 準偏差)の変化を調べた.自然飼育により体重の増. ±標. サフラニンO染色により評価した.WT マウス,KO.

(6) 18. 小 田. 豊. マウスは両者共に長期自然経過と共に軟骨変性は進. ウスにおいてスコアは有意に小さかった(図8J,. 行していたが,WT マウスに比較して KOマウスで は軟骨変性は抑制される傾向が認められた(図8A. .0 0 2 ,n=10 ) .同様に,1 8 ケ月での平 スコア p<0 は,WT マウス 1. 24 ±1 . 3 2,KOマウス 0. 7 7 ±0 .69. -DおよびE-H) .そこで,OARSIのマウス軟骨変. で KOマウスにおいてスコアが有意に小さかった. ,最大スコア. (図8I,p<0 .0 0 6,n=1 0) .最大スコアも WT マウ ス1 .6 1 ±1 .4 0 ,KOマウス 1. 02 ±0 . 7 8で KOマウス. は共に WT マウスと KOマウスの間で有意な差を. においてスコアが有意に小さかった(図8J,p<. 認めなかった.1 2 ケ月での平. 0. 0 3,n=1 0) .. 性評価法(平. および最大スコア)に従い変性度を. 点数化した.9週齢,6ケ月では平. スコア(平. ±標準. 偏差) は WT マウス 0 . 84±0. 7 0,KOマウス 0 . 49 ±. 3)軟骨細胞における LOX1,酸化 LDLの免疫染. 0.58で,KOマウスにおいてスコアは有意に小さか. 色. った(図8I,p<0. 001 ,n=1 0) .最大スコアも WT. 9週令では WT マウス,KOマウス共に軟骨組織 に LOX-1,酸化 LDLの染色性は認められなかっ. マウス 1 .14±0.7 7 ,KOマウス 0 .60 ±0.6 7で KOマ. た.自然飼育6ケ月の WT マウスの荷重部関節軟骨 組織の軟骨細胞には LOX-1の発現,酸化 LDLの存 在が軽度ながら確認された.自然飼育1 2ケ月,1 8ケ 月の WT マウスでは,軟骨変性部. の軟骨細胞に. (図9A) ,酸化 LDL(図9B)の染色性の LOX-1 亢進が認められた.LOX1,酸化 LDLの染色性は軟 骨変性部. の軟骨組織浅層と肥大軟骨細胞に亢進が. 認められた(図9A,B,矢印) . 4)軟骨変性程度と LOX,酸化 LDLの免疫反応 1 陽性細胞割合との関連 ) ,12 WT マウスにおける自然飼育6ケ月(n=10 ケ月(n=1 0) ,1 8 ケ月(n=1 0 )の大 骨,脛骨荷重 部軟骨組織における LOX1,酸化 LDLの免疫反応 陽性細胞数をカウントした.軟骨変性の進行ととも に LOX1陽性細胞割合が増加しており,軟骨変性 スコアと陽性細胞割合との間に有意な相関を認めた (図1 0A,r =0 . 61 ,n=3 0,p<0 .0 0 01 ,陽性細胞 워 数/ 細胞. 数:8 8 9/ 4 83 3 ) .また,軟骨変性スコアと. 酸化 LDL陽性細胞割合との間にも有意な相関を認 めた (図1 0 B,r =0 . 4 9,n=3 0,p<0 . 00 0 1 ,陽性細 워 胞. 数/ 細胞. 数:5 78 / 46 6 0 ).. 図쏱 サフラニンO染色による軟骨変性の組織学的評価. , そ れ ぞ れ W T マ ウ ス, KO マ ウ ス の Zymos an投与7日後のサフラニンO染色を示す(× 2 0 0 ) .KOマウスにおいては軟骨変性(サフラニンO による染色性の低下)が抑制されている. Zymos an投与1,3,7日後のスコアを WT マ ウス,KOマウスで比較した.Zymos an投与7日後 において KOマウスのスコアが有意に低値であっ た(エラーバーは標準偏差を示す.n=1 0 ,St ude nt ,웬 . 0 0 3) st t e s t p<0 , それぞれ WT マウス,KOマウスの生食投 与7日後のサフラニンO染色を示す(×20 0 ).特に サフラニンOの染色性に変化を認めない. コントロールとして生食投与1,3,7日後の WT マウス,KOマウススコアを評価した.スコアは いずれも低値で有意差を認めない..

(7) 関節症における LOX1の役割:ノックアウトマウスを用いた研究. 図쏲 関節軟骨変性部 における LOX,酸化 LDLの免疫染色. 1 , WT マウスの軟骨細胞における LOX1および酸化 LDLの免疫染色.上段:Zymos an投 与群,下段:生食投与群(×400 ).Zymos an投与1日後より,わずかに LOX1の発現,酸化 LDL の存在が認められ,3,7日後と軟骨変性が進行するとともに陽性細胞は増加する傾向にあった. コントロールの生食投与群では陽性細胞は認められなかった. , KOマウスの軟骨細胞における LOX1および酸化 LDLの免疫染色,上段:Zymos an投 与群,下段:生食投与群を示す(×40 0 ) .KOマウスでは染色性は認められなかった.. 図쏳 滑膜表層細胞における LOX-1および酸化 LDLの免疫染色. , an投 WT マウスの滑膜細胞における LOX1および酸化 LDLの免疫染色.上段:Zymos 与群,下段:生食群(×20 0) .Zymos an投与1日後より,LOX1の発現,酸化 LDLの存在が認 められ,3,7日後も同様に認められた.コントロールの生食投与群では陽性細胞は認められな かった. , KOマウスの滑膜細胞における LOX1および酸化 LDLの免疫染色.上段:Zymos an投 与群,下段:生食群を示す(×20 0 ) .KOマウスでは染色性は認められなかった.. 1 9.

(8) 20. 小 田. 豊. 図쏵 長期自然飼育におけるマウス体重の変化. 2,1 8 ケ月の WT マウス,KOマウ 9W ,6,1 スの体重の平 値を示す.エラーバーは標準 偏差を示す(各群 n=1 0 ,St ) . ude ntst t es t すべての時期において WT マウスと KOマ ウスの間に有意な差は認められなかった.. 示すことが出来た. I nvi t r oの研究では,血管内皮細胞において LOX -1とそのリガンドが結合すると血管内皮は I CAM1,VCAM1などの細胞接着 子やマクロファージ の遊走因子である MCP-1を発現し,白血球の血管 内皮細胞へ の 接 着,浸 潤 を 促 進 す る と さ れ て い る워 .また,好中球が LOX-1に直接結合すること, 웎 웦 워 웏 LOX-1を介して好中球が血管内皮下に浸潤するこ とが示されている웋 .これらの LOX웓 1の機能は動脈 化巣形成の初期において重要とされている.ラッ トの Zymos an誘発関節炎モデルを 図쏴 血管内皮細胞における LOX-1の免疫染色. Zymos an投与群,上段:WT マウス,下 段:KOマウスの免疫染色を示す.WT マウ スの Zymos an投与群では LOX-1の発現は 亢進していた.KOマウスにおいて染色性は 認められなかった. 生食投与群,上段:WT マウス,下段: ). KOマウスの免疫染色を示す(×400 WT マウス,KOマウスのいずれにおいても LOX1の染色性は認められなかった.. 察 本 研 究 で は LOX-1 KOマ ウ ス を 用 い て, Zymos an誘発関節炎モデルマウス,長期自然飼育マ. 用し,抗 LOX. -1中和抗体による関節炎治療効果を検討した報告 では,滑膜血管内皮に発現する LOX-1が関節内へ の白血球浸潤過程に重要な役割があることを示唆し ている워 .今回の研究でも,KOマウスにおいては Zymos an関節内投与1日後の炎症細胞浸潤は WT マウスに比較して有意に抑制されていた.Zymos an はマクロファージや好中球から I L-1βの産生を亢 進するとされているが웋 ,I 웒 L1βは LOX1の発現を 亢進することが知られている원 .Zymos 웦 웑 anによる炎 症誘発により滑膜血管内皮細胞での LOX-1の発現 が増加し,炎症細胞が LOX-1を介して血管内皮に ローリング,接着,浸潤することにより滑膜炎症を. ウスにおける LOX1の役割を検討した.すなわち,. 促進すると. えられる.よって Zymos an誘発関節 炎モデルマウスにおいて血管内皮に発現する LOX-. Zymos an誘発関節炎は亜急性の関節炎を生じるた め RA のモデルとして,長期自然飼育は加齢による. 1が炎症細胞浸潤過程に重要な役割を果たす可能性 が示された.. OA のモデルとして,滑膜炎および軟骨変性におけ る LOX1の果たす役割を検討した.滑膜炎および. 維芽細胞様の2型細胞により構成されており,RA. 軟骨変性は両モデルにおいて LOX-1ノックアウト. の滑膜炎において特徴的に見られる滑膜過形成は1. により有意に抑制され, LOX-1の亜急性関節炎およ び加齢による軟骨変性への関与が i n vi voで明確に. 型細胞の浸潤と線維芽細胞様細胞の増殖により生じ. 滑膜表層細胞はマクロファージ系の1型細胞と線. ると. えられている워 .本研究では,Zymos 원 an投与.

(9) 関節症における LOX1の役割:ノックアウトマウスを用いた研究. 2 1. 図쏶 OARSI評価スコアによる関節軟骨変性の平 および最大スコア. (A∼D) WT マウスの 9W ,6,1 2 ,1 8 ケ月のサフラニンO染色を示す (×2 0 0 ) .加齢とともに 軟骨変性が進行している. (E∼H) KOマウスの 9W ,6,1 2 ,1 8 ケ月のサフラニンO染色を示す (×2 0 0 ) .加齢とともに 軟骨の変性があるが,WT と比較して程度は低い. 自然飼育 9W ,6,12 ,1 8ケ月の OARSI平 スコアを WT マウス,KOマウスで比較した. ケ月,1 8 ケ月において KOマウスで有意に低値であっ 9 W ,6ケ月では有意差は認めなかった.12 た (エラーバーは標準偏差を示す.n=1 0 ,St ,1 2 ケ月:웬 . 0 0 1 ,18 ケ月:웬 ude ntst t e s t p<0 웬p< 0.00 6). 自然飼育 9 ,18ケ月の OARSI最大スコアを WT マウス,KOマウスで比較した. W ,6,12 ,1 8 ケ月では KOマウスで有意に低値であった(エラ 9 W ,6ケ月では有意差は認めなかった.12 ーバーは標準偏差を示す.n=10 ,St ,1 2 ケ月:웬 . 0 0 2 ,1 8 ケ月 웬 . 0 3 ) . ude ntst t e s t p<0 웬 p<0. 3日後,7日後において,WT マウスに比較して KO マウスにおいて滑膜過形成は抑制されていた.LOX -1ノックアウトではマクロファージを含む炎症細. された. ま た,WT マ ウ ス 軟 骨 組 織 の 免 疫 染 色 で は. 胞浸潤が抑制されることより,滑膜過形成が二次的. Zymos an投与1日後から軽度の LOX1の発現,酸 化 LDLの存在が認められ,経時的に LOX-1 ,酸化. に抑制されると えられる.WT マウスの滑膜表層 細胞では Zymos ,酸化 an投与1日後以降に LOX-1. LDL陽性細胞数が増加していた.さらに,軟骨変性 が強い部 の軟骨表層細胞に多くの陽性細胞が認め. LDL陽性細胞が認められ,その後も同様の染色性が 認められた.活性化したマクロファージにも LOX-. られた.LOX-1はヒト RA 軟骨においても発現し. .さら 1の発現が認められることが報告されている워 웑 に近年,I s hi kawaらは重層化したヒト RA 滑膜表. ていることが示されている웍 .また,RA の関節液に は酸化 LDLが存在することも示されている워 . 웒 욹웍 월 従って,炎症刺激により発現が亢進した軟骨細胞の. 酸化 LDLの存在を報告しており,RA における病的. 酸化ストレスの亢進した関節内環境にお LOX-1は, いて形成された酸化 LDLと結合する可能性は高い. 滑膜過形成に LOX-1 / 酸化 LDL系の関与を示唆し. と. ている웋 .LOX원 1ノックアウトマウスを用いた本研 究においても Zymos an誘発関節炎の滑膜過形成. 究において,LOX1と酸化 LDLの結合は,ROSの 発 生 や NF-κBの 活 性 化,MMP-3産 生 亢 進,. (重層化)に LOX1は重要な役割を果たすことが示. PI 3 ki nas e/ Akt経路抑制による非アポトーシス細. 層細胞での1型および2型細胞での LOX-1発現,. えられる.培養軟骨細胞を用いた i nvi t r oの研.

(10) 22. 小 田. 豊. 図쏷 自然飼育における軟骨細胞での LOX,酸化 LDLの免疫染色. 1 0 ) .6ケ月 WT マウスの軟 LOX1の免疫染色.上段:WT マウス,下段:KOマウス(×40 骨細胞には LOX-1の発現,酸化 LDLの存在が軽度ながら認められる.12 ケ月,1 8 ケ月の WT マ ウスでは,軟骨変性部 の軟骨細胞に LOX1の染色性の亢進が認められた.また,陽性細胞は軟 骨変性部の軟骨浅層,肥大軟骨細胞に目立っていた(矢印).KOマウスではすべての時期におい て染色性は認められなかった. 酸化 LDLの免疫染色.上段:WT マウス,下段:KOマウス(×40 0 ) .6ケ月 WT マウスの 軟骨細胞には酸化 LDLの存在が軽度ながら認められる.12 ケ月,1 8 ケ月の WT マウスでは,酸 化 LDLの陽性細胞は増加傾向にあった.また,陽性細胞は軟骨変性部の軟骨浅層,肥大軟骨細胞 に目立っていた(矢印).KOマウスではすべての時期において染色性は認められなかった. タイドマークは矢頭(▼)で示す.タイドマークより深層が石灰化軟骨層,浅層が軟骨表層であ る.. 胞死を引き起こすことが示されている웍 .本研究 웦 웋 월 웦 웋 웋 では,WT マウスにおいて軟骨変性の進行と共に LOX-1および酸化 LDL陽性細胞数が増加してい たことや,軟骨変性が強かった軟骨表層に染色性が 高かったこと, LOX1ノックアウトにより軟骨変性 が抑制されたことより,LOX1/酸化 LDL系は亜急. の間に有意な差が認められたものと. えられる.. 我々はヒト膝 OA 軟骨細胞において LOX-1の発 現および酸化 LDLの蓄積が増加していること,両 者が共局在していること,LOX-1 ,酸化 LDLの陽性 細胞数が Manki nスコアと正の相関を示している. 性関節炎における軟骨変性に重要な役割を果たして. ことを示してきた웎 .すなわち,LOX-1 / 酸化 LDL系 が軟骨組織の加齢変性に重要な役割を有する可能性. いる可能性が示されたと. える.WT マウスではよ り強い滑膜過形成が持続していることより,炎症滑. を示してきた.そこで,本研究では LOX1ノックア. 膜から産生されるサイトカインにより軟骨変性が進. ス膝関節軟骨組織の加齢変性に関与するかを検討し. 行すること,さらに軟骨に発現する LOX-1に酸化. た.従来,関節に加わる力学的負荷が軟骨変性に関. LDLが結合することにより軟骨変性が進行し, Zymos an投与後7日後に WT マウスと KOマウス. 与することは明らかにされている.本研究では,WT. ウトマウスを長期自然飼育し,これらの. 子がマウ. マウスおよび KOマウスは同じケージにおいて同.

(11) 関節症における LOX-1の役割:ノックアウトマウスを用いた研究. 23. を強く示唆するものである.我々はウシ培養軟骨細 胞系を用いて LOX-1と酸化 LDLの結合はテロメ ラーゼ活性を抑制し細胞老化を促進すること,スト レス誘発性細胞老化を生じることを報告した웋 .本 웏 研究では LOX1ノックアウトが加齢による軟骨変 性を抑制することを i n vi voで示すことが出来たも のと. える.. 興味深いことに,1 2 ケ月,1 8ケ月において LOX1,酸化 LDLの陽性細胞は石灰化軟骨層における肥 大軟骨様細胞に多く認められた.近年,OA 発症に重 要なシグナルの一つとして軟骨細胞の肥大. 化およ. びアポトーシス,つまり軟骨内骨化シグナルが注目 されている웍 .このような軟骨細胞の肥大 化過 웋 웦 웍 워 程は生理的に成長板軟骨において観察されるが,膝 関節軟骨に力学負荷を加える実験的 OA マウスモ デルにおいても軟骨変性初期に軟骨細胞の肥大 が認められ,この肥大軟骨様細胞から. 化. 泌される. MMP-1 3や ADAMTS-5などの蛋白 解酵素は軟 骨基質の変性が引き起こすことが示されてい る웍 .また肥大軟骨細胞は Vas 웍 웦 웍 웎 c ul ar e ndot he l i al (VEGF)産生を介して血管侵入を誘 gr owt hf ac t or 導して基質を石灰化し,最終的にはアポトーシスを. 図쏙 쏢 軟骨変性程度と LOX-1および酸化 LDLの 免疫反応陽性細胞割合との相関. LOX1およ び酸化 LDL陽性細胞数は,軟骨変性の進行 とともに増加しており軟骨変性と正の相関を 認めた. OARSIスコアと LOX-1陽性細胞率と の相関関係(r =0 .61,n=30,p<0.00 01 ) . 워 OARSIスコアと酸化 LDL陽性 細 胞 率 との相関関係(r =0.4 9,n=30 ,p<0. 000 1 ) . 워. 生じることが示されている웍 .よって OA 発症,進 웎 웦 웍 웏 行に軟骨細胞の肥大 化,アポトーシスなどの軟骨 内骨化シグナルが重要であることが示 さ れ て い .我々は,ウシ培養軟骨細胞を用いて LOXる웍 웍 원 웋 웦 웍 워 웦 と酸化 1 LDLの結合は肥大軟骨様細胞への 化を 誘導することを示し,肥大軟骨細胞への. 化に重要. な転写因子である Runx2の発現が亢進することを 示した웋 .本研究においては,WT マウスの12ケ月, 웎 18 ケ月齢マウスの変性関節軟骨には肥大軟骨様細胞 が KOマウスに比較して数多く認められ,それらに. 様に飼育を行い,両群の体重はすべての時期におい. は LOX-1の発現,酸化 LDLの局在が認められた.. て両者に差はなかったことを第一に確認した.すな. すなわち,本研究結果は LOX-1 / 酸化 LDL系が肥. わち,膝関節の力学環境は両群において差は無かっ. 大軟骨様細胞への. たと. 変性に関与している可能性が示すものと. えられる.WT マウスの免疫染色において, 9週齢の軟骨細胞における LOX-1の発現,酸化 LDLの局在は認められなかったが,6ケ月でわずか に染色性が認められた.また,1 2ケ月,1 8 ケ月と加. 化を介して関節軟骨組織の加齢. 結. える.. 語. 齢が進につれて軟骨変性は進行し,陽性細胞数が増. Zymos an誘発関節炎における滑膜炎と軟骨変性, および, 長期自然飼育による加齢性軟骨変性に LOX. 加していた.OARSIの軟骨変性スコアリング워 웍で は,平 スコア,最大スコアにおいて9週,6ケ月. -1 / 酸化 LDL系が関与することを,LOX-1ノック アウトマウスを用いて示した.本研究は LOX/酸 1. では WT マウス,KOマウス両者に有意差はなかっ. 化 LDL系が RA や OA などの関節症の病態形成に. たが,12 ケ月,18 ケ月で KOマウスの方が抑制され. 重要な役割を果たすことを i n vi voにおいて示した. ていた.また,WT マウスにおいて,軟骨変性スコ アと LOX-1および酸化 LDLの陽性細胞率には有. 最初の報告である.. 意な正の相関が認められ,これらの結果は加齢に伴 う軟骨変性に LOX-1/ 酸化 LDL系が関与すること. 謝. 辞. 稿を終えるにあたり,御指導を頂いた赤木將男教授に深く.

(12) 2 4. 小 田. 豊. 謝意を表します.また,本研究にあたりご協力いただいた近畿. e s s i on i n cul t ur e d human 1e nhanc es MCP-1 expr. 大学医学部ライフサイエンス研究所の奥本勝美先生,近畿大 学医学部実験動物共同研究室の水口信行先生,並びにご協力. ar t i cul archondr oc yt es .Os t eoar t hr i t i sCar t i l age1 7:27 1 27 5. 頂いた教室員の皆様,実験助手の皆様に心から感謝申し上げ. 14.Ki nduct i onofhyper t r ophi c s hi mot oH,etal( 201 0) I. ます.. c hondr ocyt e l i ke phe not ype sby oxi di z ed LDL i nc ul 文. 献. 1.Sawamur aT,etal(1 99 7)Anendot hel i alr ec ept orf or oxi di z edl owde ns i t yl i popr ot e i n.Nat ur e386:7377 2.NakagawaT,e tal(20 02)Lect i nl i keoxi di ze dl owdens i t yl i popr ot ei nr e cept or1me di at e sl eukocyt ei nf i l t i l age de s t r uct i on i n r at t r at i on and ar t i c ul ar c ar. hr oughi ncr e as ei n t ur e dbovi near t i cul archondr oc yt est oxi dat i ves t r es s .Os t eoar t hr i t i sCar t i l age18:128 4-1 29 0 15.Zus t i c ul ar hiS,e tal(20 09) I nduct i on ofbovi ne ar c hondr ocyt es enes c encewi t hoxi di ze dl owdens i t yl i popopr ot e i nt hr ough l e ct i nl i ke oxi di z ed l owde ns i t yl i -1 pr ot e i nr e cept or .Ar t hr i t i sRhe um 60:300 7-3 016 16.I ) Lect s hi kawa M,etal(20 12 i nl i ke oxi di ze dl ow. zymos ani nduc edar t hr i t i s . 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Ci r cul at i on -28 1 01:2889 95 26.Ul ) 썥l fMu l er Ladne r ,Re nat eE.Gay,St ef f e nGay(19 97 St r uct ur eandf unct i onofs ynovi ocyt es ,I n:Wi l l i am J . Koopman:Ar t hr i t i sandAl l i edCondi t i ons:at ext book of r heumat ol ogy 1 3 읜 읕 Bal t i mor e , MD:Wi l l i ams & Wi l ki ns ,pp24 3-2 51.

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参照

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