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Peripheral Microvascular Abnormalities Detected by Wide-Field Fluorescein Angiography in Eyes with Branch Retinal Vein Occlusion(広角蛍光眼底造影による網膜静脈分枝閉塞症の網膜周辺部病変の評価と視力予後の関係)<内容の要旨及び審査結果の要旨>

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Academic year: 2021

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Nagoya City University Academic Repository

学 位 の 種 類 博士 (医学) 報 告 番 号 甲第1740号 学 位 記 番 号 第1237号 氏 名 安田 優介 授 与 年 月 日 令和 2 年 3 月 25 日 学位論文の題名

Peripheral Microvascular Abnormalities Detected by Wide-Field Fluorescein Angiography in Eyes with Branch Retinal Vein Occlusion. (広角蛍光眼底造影による網膜静脈分枝閉塞症の網膜周辺部病変の評価と 視力予後の関係) Ophthalmic Res 2019; 61:107–114 論文審査担当者 主査: 間瀬 光人 副査: 松川 則之, 鵜川 眞也

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論 文 内 容 の 要 旨

網膜静脈分枝閉塞症(Branch Retinal Vein Occlusion: BRVO)は, 網膜動静脈交叉部における 動脈硬化性変化により網膜静脈が閉塞し発症する. 急性期には, 網膜静脈圧の上昇に伴う網膜出 血や黄斑浮腫(Macular Edema: ME)により視力が低下する。慢性期では閉塞静脈圧の上昇に起 因すると思われる毛細血管閉塞による網膜無灌流域(Nonperfused Area: NPA), 網膜毛細血管 拡張, 側副血管, 毛細血管瘤(Microaneurysm: MA)、網膜血管新生(Neovascularization: NV)な どの様々な微小血管障害をきたす。 また、血管内皮増殖因子(Vascular Endothelial Growth Factor: VEGF)も硝子体内で上昇していることが示されている。VEGF は低酸素によって誘導さ れる因子で、過剰な発現は網膜血管柵の破綻をきたし、視力低下の主因であるME を形成する。 また過剰に分泌したVEGF の作用により NV が形成され、重篤な視力低下の原因となる硝子体出 血(Vitreous Hemorrhage: VH)をきたしうる。大規模臨床試験の結果から、BRVO の ME に対 して、VEGF 阻害薬の硝子体内注射が視力・中心網膜厚の改善に有効と報告されているが、再発 を繰り返す症例がある。頻回の診察・複数回注射は医療費・患者負担の増大につながり、社会的 な問題である。これまでBRVO における微小血管障害の評価には, フルオレセイン蛍光眼底造影 (Fluorescein Angiography: FA)が主に用いられていた。広角走査レーザー検眼鏡を用いた広角 フルオレセイン血管造影(Wide-Field Fluorescein Angiography: WFFA)の登場により、様々な眼 底疾患の網膜最周辺部の評価が可能となった。しかし、BRVO における網膜最周辺部微小血管異 常と視力予後との関連についての報告はない。BRVO に対する網膜光凝固(Photocoagulation: PC) がNV および VH の発生予防に有効であるとの報告がある。しかし、BRVO に伴う ME の治療に おいて、VEGF 阻害薬硝子体内注射に、最周辺部網膜無灌流領域への PC を併用した場合、ME 消退や注射回数の削減には効果的でないという報告と、効果的であったという報告がある。今回、 BRVO 患者で WFFA を用いた異常所見の局在と、最周辺部 NPA への PC の視力予後、治療経過 への影響に関して検討した。対象は、NPA が 5 乳頭径大以上、網膜最周辺部まで有する BRVO 患者で1 年以上経過観察できた症例 39 例 40 眼(平均年齢 71 歳)に対しレトロスペクティブに検討 した。方法はWFFA 画像上の眼底を、後極部(ZoneⅠ)、中間周辺部(ZoneⅡ)、最周辺部(ZoneⅢ) に区分し、MA、NV の出現率を区分別に検討した。また、最周辺部の異常所見の有無、NPA に 対するPC 施行の有無による視力予後と治療経過について比較検討した。検討項目は、矯正視力、 中心網膜厚、トリアムシノロンアセトニドテノン嚢下注射とVEGF 阻害薬の硝子体内注射の注射 回数、ME の遷延期間とした。結果、各領域の病変出現率については、最周辺部の MA と NV の 出現率は他の領域と比較し有意に低く(P<0.0001)、最周辺部に病変を認めたのは、全領域に病変 を認める症例のみで最周辺部領域のみに病変を認める症例はなかった。また、最周辺部領域にお ける病変の有無別の治療経過と視力予後の検討については、すべての検討項目に関して両群間で 有意差は認められなかった。また、PC 施行有無別の治療経過と視力予後の検討については、すべ ての検討項目に関して両群間で有意差は認められなかった。NV を伴った 7 眼中 5 眼で VH をき たしたが、PC 施行の有無と VH との関連は考えられなかった。ZoneⅠに 5 乳頭径以上の NPA を 認める群は有意にNV の発生頻度が高かったが、ZoneⅢには認められなかった。また、ZoneⅠに 5 乳頭径以上の NPA を認める群では有意に VH の発生頻度が高かった。以上、今回の我々の検討 から、網膜最周辺部の病変の有無や網膜最周辺部NPA に対する PC は視力予後、治療経過、VH の発症に影響を及ぼさなかった。NV 発生例に対して PC は有用だが、NV を伴わない最周辺部 NPA への PC は必ずしも必要でないことが示唆された。

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論文審査の結果の要旨

【背景】

広角走査レーザー検眼鏡を用いた広角フルオレセイン血管造影の登場により、様々な眼底疾患の網膜 最周辺部の評価が可能となった。しかし、網膜静脈分枝閉塞症(Branch Retinal Vein Occlusion: BRVO)における網膜最周辺部微小血管異常と視力予後との関連についての報告はない。BRVO に対す る網膜光凝固が網膜新生血管および硝子体出血の発生予防に有効であるとの報告がある。しかし、 BRVO に伴う黄斑浮腫の治療において、VEGF 阻害薬硝子体内注射に、最周辺部網膜無灌流領域への網 膜光凝固を併用した場合、黄斑浮腫消退や注射回数の削減には効果的でないという報告と、効果的で あったという報告がある。今回、BRVO 患者で広角フルオレセイン血管造影を用いた異常所見の局在 と、最周辺部網膜無灌流領域への網膜光凝固の視力予後、治療経過への影響に関して検討した。 【方法】 対象は、網膜無灌流領域が 5 乳頭径大以上、網膜最周辺部まで有する BRVO 患者で 1 年以上経過観察 できた症例 39 例 40 眼(平均年齢 71 歳)に対しレトロスペクティブに検討した。広角フルオレセイン 血管造影画像上の眼底を、後極部(ZoneⅠ)、中間周辺部(ZoneⅡ)、最周辺部(ZoneⅢ)に区分し、毛細 血管瘤、網膜新生血管の出現率を区分別に検討した。また、最周辺部の異常所見の有無、網膜無灌流 領域に対する網膜光凝固施行の有無による視力予後と治療経過について比較検討した。検討項目は、 矯正視力、中心網膜厚、トリアムシノロンアセトニドテノン嚢下注射と VEGF 阻害薬の硝子体内注射 の注射回数、黄斑浮腫の遷延期間、硝子体出血の有無とした。 【結果】 各領域の病変出現率については、最周辺部の毛細血管瘤と網膜新生血管の出現率は他の領域と比較し 有意に低く、最周辺部に病変を認めたのは、全領域に病変を認める症例のみで最周辺部領域のみに病 変を認める症例はなかった。また、最周辺部領域における病変の有無別の治療経過と視力予後の検討 については、すべての検討項目に関して両群間で有意差は認められなかった。また、網膜光凝固施行 有無別の治療経過と視力予後の検討については、すべての検討項目に関して両群間で有意差は認めら れなかった。網膜新生血管を伴った 7 眼中 5 眼で硝子体出血をきたしたが、網膜光凝固施行の有無と 硝子体出血との関連は考えられなかった。ZoneⅠに 5 乳頭径以上の網膜無灌流領域を認める群は有意 に網膜新生血管の発生頻度が高かったが、ZoneⅢには認められなかった。また、ZoneⅠに 5 乳頭径以 上の網膜無灌流領域を認める群では有意に硝子体出血の発生頻度が高かった。 【考察】 網膜最周辺部微小血管異常の有無や網膜最周辺部網膜無灌流領域に対する網膜光凝固は視力予後、治 療経過、硝子体出血の発症に影響を及ぼさなかった。網膜新生血管発生例に対して網膜光凝固は有用 だが、網膜新生血管を伴わない最周辺部網膜無灌流領域への網膜光凝固は必ずしも必要でないことが 示唆された。

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【審査の内容】 約 20 分間のプレゼンテーションの後に,主査:間瀬光人教授より、広角蛍光眼底造影法の利点、網 膜静脈分枝閉塞症の発生機序、網膜周囲病変評価の意義などについて計 5 項目の、また第 1 副査:松 川則之教授より VEGF 発現部位、光凝固療法の影響、データ解釈などについて計 8 項目の、第 2 副 査:鵜川眞也教授より網膜静脈分枝閉塞症の初発症状,VEGF 発現のメカニズムなどについて計 5 項 目の質問があった。これらの質問に対して、申請者からはおおむね適切な回答が得られ、学位論文の 内容に対する理解も十分であると判断した。したがって、本申請者は博士(医学)の学位を授与する に値すると判定された。 論文審査担当者 主査 間瀬 光人 副査 松川 則之 鵜川 眞也

参照

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