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2型糖尿病患者における、HbA1cの変動が微量アルブミン尿発症に及ぼす影響の検討

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Academic year: 2021

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(1)

HbA1c variability and the development of

microalbuminuria in type 2 diabetes: Tsukuba

Kawai Diabetes Registry 2

著者

菅原 歩美

その他のタイトル

2型糖尿病患者における、HbA1cの変動が微量アルブ

ミン尿発症に及ぼす影響の検討

学位授与大学

筑波大学 (University of Tsukuba)

学位授与年度

2013

報告番号

12102甲第6736号

URL

http://hdl.handle.net/2241/00122076

(2)

審査様式2-1

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-14/0

7/02

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氏 名 ( 本 籍 )

菅原 歩美(山梨県)

学 位 の 種 類

博士(医学)

学 位 記 番 号

博甲第 6736 号

学 位 授 与 年 月

平成25年11月30日

学位授与の要件

学位規則第44条第2項該当

審 査 研 究 科

人間総合科学研究科

学 位 論 文 題 目

HbA1c

variability

and

the

development

of

microalbuminuria in type 2 diabetes: Tsukuba Kawai

Diabetes Registry 2

2 型 糖 尿 病 患 者 に お け る 、HbA1c の 変 動 が 微 量 ア ル ブ ミ

ン 尿 発 症 に 及 ぼ す 影 響 の 検 討 )

筑波大学教授 博士(医学) 山縣 邦弘

筑波大学准教授 博士(医学) 鈴木 浩明

筑波大学准教授 博士(学術) 高橋 秀人

筑波大学講師 博士(医学) 村越 伸行

論文の内容の要旨

(目的) 糖尿病患者において、HbA1c が増加するにつれて血管合併症発症・進展のリスクが上昇すること は、確固たるエビデンスとなっているが、HbA1c の個人内変動(HbA1c variability)については 1 型糖尿病ので検討されているものの2型糖尿病患者においては明らかではない。さらに、一定期間 の HbA1c variability の大小が、将来の合併症発症リスク予測を可能かどうかも検討されていない。

そこで本研究では、日本人 2 型糖尿病患者を対象に、1) HbA1c variability が微量アルブミン尿の 発症に関連するのか、2) 初診(コホート研究登録)から 1 年間を HbA1c 測定期間として設定しデ ータを集積、ベースライン時のデータとして HbA1c variability を計算し、微量アルブミン尿の発症 予測が可能か検討すること 3) HbA1c variability と平均 HbA1c の影響力の強さの比較を行うことを 目的とした。

(対象と方法)

(3)

審査様式2-1

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-14/0

7/02

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歳から 79 歳の 2 型糖尿病患者 1713 名である。対象患者のうち、尿中アルブミン/クレアチニン比 (urinary albumin/creatinine ratio; ACR)の測定未実施(n=284)、初診から 1 年間の間に治療中断(n=29)、 ACR 高値(n=284)、血清クレアチニン高値(n=2)、癌または CVD 既往(n=25)を除外した 812 名(男性 558 名、女性 254 名)を最終対象者とした。

平均 HbA1c・HbA1c variability は、(A)全期間、(B)1~12 カ月間、(C)7~18 カ月間で得られた HbA1c の 3 種類の算出を行った。Microalbuminuria(MA)は、連続して測定した ACR3 回のうち 2 回 が 3.4mg/mmol(30mg/gcre)以上とした。HbA1c の変動が MA 発症の独立したリスクファクターにな るかを Cox 比例ハザードモデルを用いて解析した。解析には IBM SPSS statistics 19 (IBM corporation, Chicago, IL)を使用した。なお、本研究は川井クリニック倫理委員会にて承認を受けた。 (結果) 初診から 1 年間の HbA1c 測定をした(B)の場合、中央値で 11 回(5-12 回)の HbA1c 測定を行 った。その後、 4.3±2.7 年の観察期間中に 193 名が MA を発症した。MA 発症者は、非発症者と比 較して、年齢、糖尿病罹病期間、血圧、コレステロール、降圧薬・経口血糖降下薬の服用率が有意 に高値であった。また、MA 発症群・非発症群とも初診時から 6 カ月頃まで HbA1c 値が低下し、そ の後はゆるやかな上昇傾向を示した。

HbA1c 測定期間の違いによる平均 HbA1c、HbA1c variability については、いずれも(C)が(A) (B)よりも低く、特に HbA1c variability は半減した。また、測定期間別の平均 HbA1c はそれぞれ 強く相関した(r = 0.77~0.86)が、HbA1c variability は(A)(B)間での相関は強かった(r = 0.72) が、それぞれ(C)との相関はやや低くなった(r = 0.48, 0.34)。Cox 比例ハザードモデルによる解 析では、(A)(B)では平均 HbA1c、HbA1c variability ともに MA 発症と有意に関連した。(C)では、 平均 HbA1c と HbA1c variability を個別投入した際はそれぞれ有意となったが、同時投入した際は、 HbA1c variability のみが有意な関連因子となった。また、(B)の期間で、平均 HbA1c と HbA1c variability が MA 発症に及ぼす影響の強さを比較するために1SD あたりに変換して比較したところ、 両者のハザード比はほぼ同程度となった。

(考察)

本研究は、2 型糖尿病患者においても HbA1c variability が MA 発症に関連することを明らかにし た最初の前向き研究である。既知の腎症発症リスク(年齢、血圧、喫煙)なども有意な因子であっ た。また、平均 HbA1c と HbA1c variability の影響力がほぼ同一であることは、1 型糖尿病患者を 対象とした先行研究の結果と一致したが、本研究では多変量解析にてそれを明らかとした。さらに 本研究においては、1 年間の HbA1c 測定期間を設けたことで、HbA1c variability の大小が将来の MA 発症を予測することが可能であることが明らかとなった。 一方で、初診から 6 ヶ月間を除外することでの HbA1c variability 低下が著しかったことから、 HbA1c 測定期間は再考の余地がある。さらに、観察研究であるためメカニズムが不明であること、 観察期間中の服薬の変化や変動の回数が考慮に入れられていないことを解決することが課題とし て挙げられる。

審査の結果の要旨

(批評)

(4)

審査様式2-1

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本研究において、HbA1c variability は 2 型糖尿病患者においても微量アルブミン尿の発症と関 連することが明らかになった。しかしながら治療開始時から、改善に向かう HbA1c の低下を変動と 捉え、この変動の大きい=初期 HbA1c 高値の影響なども否定できず、治療の変化を考慮に入れるこ と、HbA1c が比較的低値で維持した中での HbA1c variability の大小による合併症発症の差異など、 HbA1c variability のよりよい測定方法については今後のさらなる検討が望まれる。

平成25年9月30日、学位論文審査委員会において、審査委員全員出席のもと論文について説 明を求め、関連事項について質疑応答を行い、最終試験を行った。その結果、審査委員全員が合格 と判定した。

参照

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